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2015年6月29日 (月)

【シリーズUDL07】水編5・手軽で頼れる化学力(#1019)

■UDLとはUnder Disaster Lifeの頭文字。当ブログが提唱する被災生活の概念です。

ここまで、簡易濾過装置で水の濁りを取り、中空糸膜フィルターで濾過して、さらに煮沸消毒もしました。

でも、火を使えない場合もありますし、中空糸膜フィルターもあるとは限りません。もっと手軽に、水を消毒できないでしょうか。そして、保存水の持ちをもっと良したい。そんな方法は無いのでしょうか。

さらなるハイブリッドの方法、もちろんあります。


【こんどは化学力】
水道水は、『塩素消毒』されて微生物、細菌、ウイルスが除去されています。それを自分でやることができるのです。

水道水に添加されている『塩素』とは、『次亜塩素酸ナトリウム』のことです。これはプールの消毒にも使われているもので、いわゆる『プールの臭い』の正体です。

人が身体ごと浸かるプールの場合は、水道水よりはるかに強力に消毒しなければならず、かなり高い濃度になっているので、あのような臭いがするわけです。

東京都の水道水の場合、『次亜塩素酸ナトリウム』の濃度が、家庭の蛇口部分で0.1ppm以上1ppm以下になるように添加されています。ppmは100万分の1を表す単位ですから、水の量に対して1000万分の1の濃度があれば、消毒効果があるということです。

ちなみにWHO(世界保健機構)による世界基準では、一生飲んでも健康に害を及ぼさず、かつ十分な消毒効果がある『次亜塩素酸ナトリウム』濃度は、5ppmとなっています。これに比べると我が国は大丈夫なのだろうかと心配になりますが、世界には恐ろしく悪い水質の水を飲まなければならない人々が多く、そのような場所を基準としているからです。

“水の国”日本は、とても恵まれているわけです。同時に、それくらい濃い目で消毒しても、仮に、それを一生飲んでも健康には影響が無いということですから、あまり神経質になる必要はありません。


【安価で多用途、一家に一本】
『次亜塩素酸ナトリウム』は、薬局や通販で入手できます。当ブログでお薦めしているのは、液体タイプの『ケンミックス4』(商品名)です。
Kenmix_2

入手しやすい類似の製品として、『ピューラックス』(商品名)もあります。
Purax


これら製品は食品添加物として認可されているもので、飲料水の消毒に安心して使えます。有効塩素濃度はケンミックス4が4%、ピューラックスが6%となっており、適量を水に混ぜるだけで消毒できます。

これが一本あれば、UDLでの水の消毒はもとより、後の衛生編でも大活躍します。衛生状態が劣悪なUDLだけでなく、普段の生活でインフルエンザ、ノロ、ロタなどウイルス感染症対策としてもとても有効です。もちろん、MERSウイルスにも効きます。

これを水に混ぜるだけで、細菌、微生物、ウイルスに関する問題はほぼ解消できるのです。最悪の場合、川の水や雨水を汲んでからしばらく置いて泥やゴミを沈殿させ、上澄みに少し濃いめに混ぜるだけで、急場をしのぐための飲料水を作ることもできます。

自分で備蓄していた水道水や、給水車からもらった水でも、容器の滅菌ができていないので長時間の保存は不安ですし、使う時に細菌などが入ることもあります。

そこで、備蓄水は先に『次亜塩素酸ナトリウム』を加えておくだけで、より長く安全な状態に保つこともできます。

細かい使い方は後述しますが、ポイントは時間。水に添加したら、よく混ぜて30分ほど放置します。十分な効果を発揮するためには、それくらいの時間が必要です。


【まず、生きるために】
想像してみてください。猛暑の夏場に大災害に襲われ、備蓄水が無くなり、救援も来ない。そんな中で、自ら“安全な水”が作れるかどうかの差を。

これまで紹介した装備があれば、飲料水の備蓄が無くても、例えば雑用水としてタンクに溜めておいた水や、最悪は風呂の残り湯やトイレの水さえも、とりあえず飲める水にできます。そんなことをしなければならない状況では、水を飲むこと=生きることそのものなのです。

管理人としては、水の消毒手段は防災用備蓄の筆頭に挙げたいのですが、巷で言われるのは飲料水の備蓄ばかり。

過去の大災害で、個人が備蓄した水で十分足りたという話がありますか?水を備蓄していても、それを失うことも多かったのです。

それでも、『防災の専門家』はこういう指導をほどんどしない。1週間分は備蓄せよとか無責任に言うけれど、家族全員分の水を1週間分も備蓄できる人が、どれだけいるのですか?

しかも、巨大災害では1週間後に十分な救援が来るとも限らないのです。


【こんな時に一滴】
ペットボトル水を開けたけれど、しばらく残っている。そう言えば一度ラッパ飲みしてしまった(口の中の雑菌が確実に混入している)

水道水をタンクに溜めてあるけれど、何ヶ月も放置してあったから飲めるか不安。

マンションの配水タンクから水を分けてもらったけど、断水してからしばらく経つので、そのまま飲むのは不安。

防火用水槽の水が使えるけれど、雑用だけではなく飲用にできないか。

雑用のために雨水を溜めたが、飲み水にしたい。

近くに、結構きれいな川が流れている。

水を煮沸したり、中空糸膜フィルターで濾過したけれど、なんだか不安。さらに確実に消毒できないか。

雑用水で食器などを洗いたいが、かえって細菌などがつかないか。


そんな場合のトドメのハイブリッド方式が、『次亜塩素酸ナトリウム』の添加だと言えるでしょう。

これまで紹介した複数の方法を状況によって併用することで、実際に安全度が上がるだけでなく、安心感もアップします。

ただでさえ不安が多いUDLで、生命の根幹である水が安全であり、しかも自分で安全な水を作れて、その方法を複数持っていること。その効果は絶大です。

ちなみに、小見出しの“一滴”というのは、その程度という表現であり、もちろん適量があります。しかし、多少多めに混ぜても、健康がどうのという影響はありません。それはWHOの基準にもあるように、科学的に証明されています。

ぷんぷん臭うプールの水をがぶっと飲んでしまっても、別に問題はありませんし。


【実に低コスト】
ここまで、家庭で安全な水を作るための装備として、自作浄水器を除いて3つの製品を紹介しました。この3つをハイブリッドして使えば、UDLでも渇きに苦しむことも、水が原因で健康を害することもほぼ無くなるのです。防災セットとか言う前に、生きるための根幹となる装備を揃えませんか。

参考価格を見てみましょう。

カセットコンロ 2500円
ガスボンベ9本 1000円
スーパーデリオス 2600円
ケンミックス4 600円

あくまで最安値レベルの概算ですが、ざっと7000円弱。しかも、みんな他の用途にも、平時の暮らしにも幅広く使えるものばかりです。カセットコンロは言うに及ばず、ケンミックス4は平時の殺菌、ウイルス消毒にも使えますし、スーパーデリオスは、水道水が不安な地域の海外旅行にはぜひ持って行きたいものです。国内旅行でも、備蓄を持たない旅先での被災時に絶大な威力を発揮します。


【次亜塩素酸ナトリウム溶液の使い方】
ケンミックス4の場合
水20リットル(灯油用などの大型ポリタンク1つ分)に対し、原液1滴を添加し、かき混ぜて30程度置く。それで有効塩素濃度0.1~0.4ppmとなる。
(ケンミックス4製造元サイトより)

しかし、UDLではもっと少量の水に添加することが多くなりますので、一旦高濃度の希釈液を作ってから、それを添加するようにする方が現実的です。

下記に、有効塩素濃度6%(ビューラックスに相当)の溶液による、少量の水の消毒方法をリンクしますので、是非ご覧ください。なお、ケンミックス4の有効塩素濃度は4%ですので、約1.2倍の希釈液を添加します。

液体消毒液を使った水の消毒方法(愛知県ウェブサイトpdfファイル)

なお、リンク先にもありますが、次亜塩素酸ナトリウム希釈液は作り置きができません。時間と共に消毒効果が失われますので、基本的には使う直前に希釈液を作るようにします。


次回は、水編の最終回として「水の保存と運搬」を考えます。

※当ブログ及び管理人は、記事内で紹介している製品の製造元及び販売元等とは一切の関係はありません。

■当記事は、カテゴリ【シリーズUDL】です。


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コメント

こんにちは。

エキノコックス等の原生生物って次亜塩素酸ナトリウムで殺菌できましたっけ?
まあ煮沸が出来れば最適だと思いますが。

ふと思っただけです。

>whokiさん

鋭いご指摘ありがとうございます。私もかつて北海道に住んでいたこともあり、エキノコックスについての知識はあります。

最近は南下傾向もあるようで、東北でも見つかったとか。

でも、とりあえず自治体の広報などでも、北海道以外ではほとんど触れられていません。

記事では、生水を塩素消毒だけして飲むのは、最悪の状況を想定してはいます。でも、ちょっと説明不足でしたので、記事に追記することにします。

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