【ヲタ目線地震教室17】気象学者さん何とか言ってくださいw(#1028)
「地震雲」で検索ヒットする画像の数々。みんなため息モノの美しさなんですけどね。加工された画像も混ざっているのでご注意を
地震のメカニズム関係から始まった当シリーズですが、なんか脱線方面がメインになりそうな気配wまあ、ヲタ目線ですからご容赦を。
ハードな話題もいずれやりたいと思っていますので、とりあえずこの流れで行きたいと思います。
【地震雲ねえ・・・】
過日、最近話題の地震研究者、早川氏がテレビ出演した際に、出演者から「地震雲って本当にあるんですか?」と質問されて、こう答えました。
「これからの研究課題です」
確かに、現時点では地震雲とされるものについて信頼に足る科学的調査や検証が行われていませんので、本当にあるかどうかは断言できない。
肯定するも否定するも、調べて見なければわからないという、極めて真っ当な答えです。しかしそれは同時に、現時点では科学者として肯定する材料が無い、ということでもあります。
ただ、地震予知研究の“本流”を外れ、地中からの電磁波による電離層異常という方面からアプローチして成果を上げているとされる早川氏が、笑いモノにさえなっている地震雲を完全否定しなかったことで、ニュアンス的に『あり得る』と受け取られた向きも多いかと。特に“信者”の方々は。
早川さんお願いです。本当に真面目に研究してみてくださいw
一方、管理人は当ブログのカテゴリ【エセ科学・オカルト排除】のシリーズ記事で、地震雲なんて存在しないとぶった切っています。
もっとも、管理人は科学的に調査・研究をしたわけではありません。管理人の検証方法は、世間で地震雲と言われる形状の雲は、気象現象として説明できるものか、見かけ上の誤認に過ぎないということを明らかにしたまでです。
地震と関係あるかどうか以前に、それは単なる見間違いか、いつも出ている雲に過ぎないということです。
しかも、地震雲とされる雲の出現と実際の地震の発生には、素人目にも何の相関もありません。真っ当な調査が行われれば、そのことがさらにはっきりするだけでしょう。
【偏向情報に惑わされるな】
ところが、“信者”(と、それを商売にする一部メディア)は、実に巧みに情報を加工します。
例えば東北で不気味な雲が見えたとして、その翌日に関東でちょっと大きな地震が起きたら、場所の違いなど無視して「あの地震の前兆だった」と、理由も示さず断定したりします。
近くで起きたら、さらにテンション上がります。しかし、 例えば東北地方ならば、震災後は現在でも3日に1回とかの頻度で地震が起きていますから、「的中して当然」でもあります。
しかも、時間的、場所的にピンポイント予想で『的中』したのならともかく、変な雲が見えるたびに「地震が来る」と言っていれば、いつかは当たりますってw
そして、「的中した」という情報だけがネット上で一人歩きしてして、拡散されて行く。その段階になると、もう「的中した」ということが全てで、果たして的中と言える条件があったかなど、どうでも良くなっている。
【大地震を的中させたことがあるか?】
“地震雲信者”の間では、地中からの電磁波によって不思議な雲ができるとされています。
それが本当であるかどうかの可能性については、管理人も何も言えません。
しかも、これまで当シリーズで述べた通り、地中からの電磁波が上空の電離層に影響を与えたり、発光現象を起こすほどの強い電磁波が放射されることがあるかもしれないという、「真っ当な」研究成果もあるわけです。
ならば雲も、という話になりそうですが、それとは次元が違います。電離層異常や発光現象は、普段は起きない現象が地震前に起きるからこそ、異常現象なわけです。
さらにそれらの現象は、大きな地震の震源域付近か、その上空で起きているのです。だから地震と関連付けられる。
一方、地震雲とされる雲は実は普段から出ているし、その理由もはっきりしています。何も異常現象ではありませんし、『的中』したとされる地震雲も、震源域直上とかだったこともまず無い。なんとなく近ければ当たり、という程度のアバウトさで語られますし。
ただ形が不思議だから、見かけが不気味だからということで、当たり前の雲でさえ、最近はみんな地震雲にされてしまいます。
もし雲が電磁波の影響で地震前に変化するならば、過去の大地震前にそれが観測されたことがあるでしょうか?
わかっています。信者は「ある」と言うのを。でも、本当にあるのか。
電磁波によるとされる電離層異常や発光現象は、大地震前にこそ顕著に見られています。それは、大地震前にはその前兆現象も大きくなっているからということです。
しかし、地震雲ではそのようなことはありません。阪神・淡路大震災前日の『竜巻状の雲』も、誤認に過ぎません。(過去記事で検証しています)
ある『まとめサイト』では、東日本大震災直前の、『雲が真っ黒で不気味だ』というような東北地方からのツイートがまとめられていて、それを見ると関係があるのかと不安にもなりますが、思い出してください。震災直後、宮城や岩手では雪が降りました。真っ黒な雲は、いわゆる雪雲に過ぎなかったのです。
気をつけなければならないのは、その類の『目撃情報』は、何も大地震前だけでは無く、毎日のように流されているということ。 そんな雲はいつも出ているはずですが、たまたま見つけたある人の目には不気味に映った、それを一部の人が発信した、ただそれだけです。
そしてまとめ情報は、後から“それっぽいもの”だけを集めた、バイアスかかりまくりの情報だということです。それも、数百数千とあるわけでもなし。統計的情報としては、全く意味がありません。
【情報の印象はいくらでも変わる】
こういうバイアスのかかり方として、わかりやすい例があります。
航空機事故が起こると、その便に乗り遅れて難を逃れたり、便を変更して乗ったばかりに犠牲になってしまったというような、悲喜こもごもが起こります。
そういう個別の情報を見ると、そこに何か不思議な力が働いているような気にもなります。人智を超えた何かが。
しかし、そうではない。そのような乗り換えは、すべての便で起きているのです。つまりどの便が事故を起こしても、必ずそういう話が出てくる。
でも、事故が起きてピックアップされた情報だけを見ると、なんだか不思議に思えるというだけです。
地震雲の話も、ほとんどこれと同じ。ごく一部の情報が、それも普遍的事実ではなく、あくまで個人的印象による情報が意識的にピックアップされて、さらに“信心”や商売によるバイアスがかけられて、大げさになっているだけのこと。
この場合、飛行機事故に当たるのが、大きめの地震です。それが起きると、「ああ、あれが前兆に違いない」というバイアスがかかった印象になり、まとめ情報も数多く発信されるからより目立つ。
しかしその一方で、地震雲らいしものが出ても『何も起きなかった』大半のケース、飛行機事故絡みで言えば、安全に飛んでいる飛行機の乗客のことなど誰も気にしていないか、無視しているというだけです。
【と、いうわけで】
当シリーズの次のテーマは、地震雲。
しかし、前述の通り管理人とて科学的調査や研究をしているわけではありませんから、絶対にあり得ないとは断言しません。
でも、「あれは違うよ」と言うことはできます。過去記事とカブる部分も出てきますが、新たなネタも加えて、何回かお送りしたいと思います。
もし仮に地中からの電磁波が雲を作るのだとしても、世間で騒がれているような形状の雲では無いはず。きっと、素人目にはわからないような変化に違いありません。とにかく、巷で言われるような地震雲はすべて気象現象で説明できますし、気象条件によって『出るべき場所に出ている』だけなのですから。
地震雲を信奉する人、せめて雲の種類とでき方くらいは勉強しようよ。でも、それやると“不思議世界”が壊れちゃうんだよなw
■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。
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