関東地方、梅雨が明けたようです。早速、猛暑です。こんな中で大災害が起きたら辛いだろうなと、暑さでぼやけた頭で考えておりますw
そこで暑さの腹いせに、あまり好ましいスタイルではないのですが、言いたいことが山ほどあるので、敢えて大毒吐き大会をやります。やたらと長文になりますが、ご容赦ください。
民放テレビをほとんど観ない管理人ではありますが、先日読者様から連絡をいただき、バラエティ番組の防災特集を観ました。リアルタイムではなく、youtubeにアップされたものですけど。
公式ではないようなので消えてしまうかもしれませんが、下記リンク先で視聴できます。
■ダウンタウンなう6月19日
【“防災のエキスパート”だそうで】
おなじみの恐怖アオり系の映像はともかく、出演している『専門家』お三方。おふたりは最近メディアで『○○を的中させた』と“防災ヒーロー化”著しい早川氏と島村氏。もうおひとりは、当ブログでも良くネタさせていただいている、“防災ジャーナリスト”W氏(この期に及んでまだイニシャルw)でした。
管理人は、学術的専門家の研究成果にケチつけようとは思いません。でも、あれがテレビの恐ろしさなんでしょうか。どうにも鼻につく発言があって。
まず早川氏。地震前に地中から発せられる電磁波による、電離層の変化から地震を予測している研究者です。
5月30日、小笠原諸島沖の深さ682kmを震源とするマグニチュード8.1の巨大深発地震がありましたが、その前に氏は、その震源域で深さ50km程度、マグニチュード6程度の地震を予測していました。
早川氏が予測したのは、太平洋プレート内で起きるスラブ内地震、もしくはフィリピン海プレートとの境界で起きるプレート境界型地震です。
そこでタイミングはばっちりで起きたのが、あの巨大深発地震だったのです。しかし予測と単純に比較しても深さは600km以上深く、規模は1000倍以上です。
しかしその地震について、氏は自ら「的中した」とのたまいました。メカニズム的に全く別で、世界的にも例のない地震だったのですが。
つまり、あの超深発地震でも氏の理論、地震の直前に地殻の岩盤が割れ、空中に電磁波が放出されて電離層に変化を起こすという現象が起きたと?
深さ約682kmのマントル内の変化が、厚さがせいぜい50~60kmくらいの地殻内で、沈み込み部を考えても深さ200kmくらいがせいぜいの場所で起きるような現象を起こしたというのでしょうか。
小笠原諸島付近はプレート境界域ですから、早川氏が予測したような地震は起きていますし、その兆候は捉えられていたのでしょう。でも、「別モノ」まで的中と言うのは、科学的態度とは言えない。
まるで、サッカーの敵オウンゴールで勝った試合を、実力で勝ったと吹聴しているようなものでは?
あれ、場所とタイミングがドンぴしゃだったから、テレビ側に「的中した」と言ってください、宣伝になりますよとアオあれて、それに乗っかっちゃったのかなぁ、やっちまったなぁと、管理人は見ておりました。なんかもう科学者じゃねえなぁと。
テレビ出るって、怖いことなんですよ。自分の考えとか関係なくて、ウケる方向に持っていかれちゃいますから。そんなのも、経験的にちょっと知っている管理人ですが。
それに、情報知りたければメルマガ登録をとさんざん繰り返すのもどうかと。研究費はたくさん欲しいのでしょうが。 管理人は、氏の理論にケチつけるつもりは全くありませんけど、なんだか宣伝クサく、て無茶苦茶鼻についたのでした。
それに、研究者(と、地震ヲタ)以外には小さな地震など別にどうでも良くて、一般には被害が出るような地震だけ予知できれば良いわけですけど、もしそんな兆候が見られても、メルマガ読者以外には公開しないわけですかね。
良い情報は、おカネを払ってでも得るべきです。しかし、公益性の高い情報はあまねく公開すべきと考えますけどね。
もうひとつ。早川氏は、番組オンエア日(6月19日の生放送でした)から2~3日、長くても1週間程度の間に、東北地方の太平洋岸を震源とするマグニチュード6クラス(震源が陸地ならば震度5強~6弱レベル)の地震が来ると言いました。
管理人、わくわくしながらモニターしていましたが、期間中に起きた地震で最大のものは、マグニチュード4.4、最大震度3が最大でした。的中とは言えません。東北沿岸部で良く起きているレベルの、普通の地震です。
東北地方の太平洋沿岸は、そうでなくても毎日のように地震が起きていますから、地震が起きたこと自体も決して的中ではありませんし。
マグニチュード6クラスは、震災後の東北沿岸部でも滅多に起きていない規模です。ですから、それなりの『前兆』は捉えていたのでしょうけど、テレビで公開予測するという壮大な試みは、失敗に終わったようです。
【そしてお待ちかねW氏だw】
W氏が、防災のためにこれだけは用意しておけというものひとつ挙げてと言われてのたまわったのが、携帯やスマホの予備バッテリーでしたよw
実はこの御仁、以前から携帯やスマホを“防災三種の神器”のひとつとしていて、予備バッテリーも用意せよと言っていまして、当ブログの過去記事でも(笑)ネタにさせていただいています。
まあ、間違いじゃないですよね。使えれば。だれもがそう思うのですが、それでも、携帯やスマホは自分のデータベース化していて、災害下でそれが使えないと大変なことになると力説されてますよ。電話番号やメルアドみんな記憶してますか?って。いやごもっともです。してませんw
でも、他の防災関係者で携帯やスマホにバッテリーを防災グッズの筆頭に挙げる人いませんよね。だって当たり前だもん。だから、この御仁の“独自のアドバイス”になってるのでしょう。
でも、こうも言ってますよ。「基本的には通話に使っていただきたい」って。
言うまでも無いことですが、最大の問題は、災害時にはその通信デバイスが使えなくなることですね。音声通話回線が最もダウンしやすいのに、あくまで通話だと。現代は音声回線よりはるかに冗長性が高い、ネット回線の文字通信が主流という当たり前のことに、既について行けていない発言ですね。LINEとかが一般化する前の発言と変わってないしw
それに設備の被害、通話やネット通信規制、過大なトラフィックによるシステムダウンなどのために通信環境が全滅しない程度の災害なんて、大したことありません。まあ、そのレベルでこそモバイル通信機器が役立つわけで。そうかそういうことだったのかww
東日本大震災ではモバイル通信がほぼ復旧するのに1ヶ月以上、場所によってはもっと長くかかっているのですけどね。きっと、大都市圏を襲う“中小災害”向けのアドバイスなんでしょうwwww
なにしろ、携帯やスマホがなくても、通信がダウンしてもそれですぐに命の危機になることは滅多にない。なのに「これだけは持ち歩け」という筆頭ですよ。正直、意味わからん。
都市部ならば、大地震後でもすぐに通信が回復するとでも?モバイル通信の移動基地局があるから?あれの自家発電能力は約4時間。それが過ぎれば、燃料補給か外部電源が無ければアウト。それに、都市部の端末数に対して何台あるかという話です。
回線がある程度復旧しても、膨大なトラフィックからシステムを守るために、ネット接続も含めて発着信規制が当分続くことは確実です。
モバイル通信機器があれば便利なのは当然として、災害時には使えなくなる可能性が大きい、発災当初の身体的危険を防ぐためには全く役に立たないものを筆頭に挙げる『防災ジャーナリスト』って、一体何なのでしょうか。
でも、こんな反論が来るのでしょうね。携帯やスマホの電話帳を見られれば、生きている公衆電話や災害仮設電話で連絡できると。はいその通りです。
まさに、『生き残ってから』に偏った話の典型です。それでも『防災のエキスパート』だと!正直言って、行政とかといろいろ絡んで“大御所化”してしまったお年寄りの首に、誰も鈴付けられないのでしょうね。おかしな事言っても反論する人もいないし。同業者は“大御所”にニラまれたら非常にやりづらい、せまーい世界ですしね。
それに、間違い言っても責任取る立場でもないから好き勝手言えるし、周りも放っておくのでしょうよ。アホくさい。
番組の出演者は、『専門家』ならではの目からウロコの答えを期待したのでしょう。テレビ的にもそれが正解です。それで携帯スマホにバッテリーとか言われて流れた微妙な空気、是非動画でご覧ください。「でも大地震来たら使えなくなりませんか?」とツッコみたいのを、みなさん堪えておりますw
でも、あれがご年輩の“防災ジャーナリスト”で、“防災のエキスパート”と大々的に紹介しているゲストだから、敢えて黙っていたのでしょうね。空気読んで花持たせたと。さすが芸能人。
まあバラエティですから『本当に役に立つ』かは問題じゃないのでしょうが。
【もうひとつ見所】
W氏は、その他の災害対策や火山噴火についても得々と述べております。そのシーンで、隣に座った火山の専門家、島村氏に注目です。
「この御仁は何言ってるんだ?」
という視線で、じーっとW氏を見ております。その表情と視線がすべてを物語っておりますw
実際、W氏の発言は基本的には真っ当なのです。原則論ですから。でも、専門家から見たら「“素人”がそこまで語るな」という感じなのでしょうか。そうでなくても、発言に疑問を感じているのがアリアリです。
ちなみに、少なくともW氏が番組(過去のメディア出演なども含めて)で語っていることは、決して『防災の専門家』でなくてもわかる、すべて公開されている情報のコラボレーションに過ぎません。
だから、『まとめサイト』みたいだとw
番組内で、W氏が東京23区では板橋区の地盤が一番強いという「クイズの答え」を言った時も、盛んに「東京都が発表した調査結果によれば」だと予防線張ってます。 地盤の専門家でもないし、自分でデータ調べた訳じゃないから、細かいことツッコまれたらわからないからでしょうね。
それに関する氏の知識は、板橋区は北方から続く武蔵野台地の辺縁部で、柔らかい堆積層ではないからというレベルでしょう。
実は、豊島区の大部分も武蔵野台地にかかっていて、地盤はかなり強いのです。それでも板橋区よりは高度が低くて脆弱だし、テレビ的に「クイズの答え」が二つあるのはアレなんでしょうけどね。 もし、「山手線の駅付近で一番地盤が強いのは?」という出題ならば、池袋が正解ということになります。
ちょっと余談を付け加えれば、JR山手線の北部、池袋から山手線外周りで東の方向(田端方面)へ行くと、ずっと段丘の下を走りますよね。あれが武蔵野台地の裾です。鉄道を引くときに、台地の裾のガケを削って路盤を作ったのです。何故かって?ガケには建物が無かったからですw

↑巣鴨-大塚間。左側が武蔵野台地の裾

↑田端-西日暮里間になるとこの高低差(台地上から撮影)

↑JR田端駅の山手・京浜東北ホーム際には、武蔵野台地の裾が迫る
もし東京を震度6強~7クラスが襲ったら、この段丘が崩れるかもしれないという、別の危険もあるわけですが。
さておき、盛んに地盤の差を強調するW氏も、例えば海沿いの江東区と揺れがどれくらい違うかとか聞かれたらアウト。だからでしょうね。「東京都の調査によれば」と予防線張りまくり。うわー管理人と一緒の知識レベルだw
それでも“防災ジャーナリスト”は名乗れますし、講演もできます。管理人も、やれと言われればできますよ。
でも、長年ため込んだ防災知識や言いたいことは、このブログで吐き出します。
【管理人がゲストだったら】
最後に、管理人が「防災のためにひとつだけ持つなら」と問われたらなんと答えるか。
こういう聞き方、キャッチーではありますが、答えるのは難しい。災害から『生き残る』方法は多岐に渡り、優先順位がつけられないのです。
もし3つまで言っていいなら、25ルーメン以上のLEDライト、浄水ストロー(またはスーパーデリオス)、ポンチョですね。見えて、飲めて、水濡れと寒さを防ぐ。 AMラジオなど情報機器も欲しいところですが、ここでは生命と行動力維持を優先しました。
もちろん、それらを実際にEDCしています。でも、どうしてもひとつというならば、LEDライトですね。管理人も、バッグを失ったら身体に残るのはポケットの中のLEDライトのみですし。
もちろん、それが絶対ではありません。それぞれの居場所や条件で起こりやすいことに対処できることが重要です。例えば外出が多い方はポンチョなど雨具からとか、郊外で水は確保できそうだけど、商店が無いような場所にいることが多ければ携帯食料とか、あなたの居場所の状況によるアレンジが必要です。
そして、それを持っていることで普段から安心できる、というモノだということも重要です。災害、特に地震は怖い。その思いを少しでも軽くすることが、防災グッズを揃えることの大きな意味でもありますから。
でも、最後に付け加えますが、「普段から用意しておくもの」で一番大切なのは、常に「ここで地震が来たら何が起きるか、何ができるか、何をするか」と考える、あなた自身の防災意識なのです。
持つべきものの筆頭は、モノではありません。ましてや携帯スマホじゃないw
くだらんトリビア大会は、もうたくさんだ。
■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。