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2015年7月

2015年7月28日 (火)

【ヲタ目線地震教室19】理屈すらないうろこ雲(#1039)

Uroko
「うろこ雲」での画像検索結果の一部。これが地震の前兆だそうですよw


今回は、『地震雲』と言われるもののひとつ、いわゆる「うろこ雲」(ひつじ雲も含む)について考えてみます。


【うろご雲が一体なぜ?】
うろこ雲がなぜ『地震雲』になってしまったのか、正直なところ良くわかりません。おそらく、『地震雲』信者にも説明できないのではないでしょうか。

想像するに、古くから言われている「波状の雲」や「放射状の雲」と似ていて、空の大部分を覆うような“迫力”から、いつのまにか同類にされてしまったように思えます。最近流行りの“(恣意的な)解釈の変更”という奴です。

なお、「波状の雲」(もしくは連続する筋状の雲)は大気重力波や山岳波というごく普通の気象現象の結果であり、「放射状の雲」に至っては、あくまで見かけ上だけであり、それ自体が存在しないということを、当ブログの過去シリーズ【地震雲ってなに?】(カテゴリ:エセ科学オカルト排除)の中で明らかにしています。

もうひとつ、うろこ雲は目にする機会が比較的多いので、『地震雲』信者に発見や発信の喜びwを与える機会も多いのでしょう。だからネット上の情報量も多く、いつの間にか”そういうこと”になってしまったようです。


【うろこ雲とは何か】
では、うろこ雲はどうやってできるのか。ある意味で不思議な形状とも言えますから、自然の力ではできるはずがない→何か別の力が働いている→地震の前兆に違いないという、エセ科学やオカルトにありがちな論理(ですらない)の飛躍を誘発しているようです。 知らないってことは、ある意味で自由ですww

さらに、前述のように空の大部分を覆うことが多いので、普通ならば美しい自然のショーなのですが、一部の人にはその“迫力”が不安をかき立ててしまう。

しかし言うまでもなく、科学的に解明されているごく普通の気象現象です。だから、うろこ雲が出ても地震なんか起きやしない。でも、なんとなく近くで起きた小さな地震や、下手をすると海外の大規模地震まで引き込んで、「あの地震の前兆だったんだ」ということにしてしまう。これは『地震雲』の検証とされるもの全般に言えることですが。

本来、『地震雲』とは震源域近くで発生して、『震源の場所や方向を示す』とされるものじゃなかったっけ?空全面に出るうろこ雲も仲間とは、もうそんなことどうでも良くなっちゃったんだなw


【うろこ雲のメカニズム】
これは、実に単純です。まず、空の高い部分に、薄い雲ができます。その雲自体は、温暖前線の接近、つまり暖かく湿った気団が、比較的冷たい空気の上層に押し上げられる(暖かい空気は軽いのです)ことよってできる場合が多いので、うろこ雲が出ると、天気が下り坂になると言われる所以でもあります。

次に、高層にできた雲の上面が、放射冷却によって冷やされます。すると、冷やされて重くなった上面の空気が沈み込み、下面の暖かく軽い空気が上昇します。雲の中で対流が起こるのです。

しかし雲が薄いので対流は大きな渦にはならず、雲の中で小さな対流渦が無数に発生します。そのため、平たく広がっていた雲が細かく分かれて、うろこ状になるわけです。雲が厚めだと対流渦が少し大きくなるので、雲の固まりが大きめの、あたかも羊の群れのような「ひつじ雲」となります。

簡単に言えば、細かく分かれた雲の固まりひとつひとつの中で、空気が上下に渦を巻いているということです。


【秋は地震が多い?】
このようなメカニズムですから、うろこ雲やひつじ雲は「秋の風物詩」とされているわけです。秋になると、高層で放射冷却が起きやすくなるからです。

冬になってしまうと、放射冷却は起きやすいのですが、上空と地表近くの気団の温度差が小さくなり、含まれる水分量も減るので、高層の雲自体ができづらくなります。

もちろん、条件が揃えばほかの季節でも出ることがありますが、気象条件からして秋に出ることが多いのです。

ならば、秋は地震が増えていなければいけませんよねwしかし、そんなことはない。


【言い訳封じ】
となると、『地震雲』信者がこう言うのはわかっています。

「普通のうろこ雲と『地震雲』は違う」と。

じゃあどう違うのかというと、それを説明できる人はいませんというか、いろいろ見ても、まともな説明はありません。まあ、当然でしょう。思いこみなんですから。

基本的に、見た目の印象なんですよね。大規模に出て迫力があったり、逆に空の一部ですぱっと切れていたりすると、不思議→不気味→地震ということになってしまう。

この“すぱっと切れている雲”というのも、『地震雲』のニューカマーのひとつで、『断層雲』というらしいwそれについても、後記事でやりますが。


【やってみてください】
前の記事でも掲載したのですが、『地震雲』で画像検索してみてください。そこに出てくる画像の多くに、共通するものが見えて来ます。

それはこの三つ。
■不思議な形の雲である
■空の大部分を覆う迫力ある雲である
■夕暮れ時が多い
いかがでしょうか。

同じ雲でも、夕暮れ時の迫力は凄いですよね。うろこ雲ならば、空全体が紅とグレーのまだらに染まって、ある意味で不気味と言えなくもない。美しいんだけどなぁw

そんな大量の画像から、『地震雲』信者の心理が見えてきませんか。不思議で不気味な雲は、とりあえず『地震雲』だということにしてしまう。


その一方で不思議なのが、一時は『地震雲』の主流だった「竜巻状の雲」や「放射状の雲」の画像が、最近はすごく少なくなったということ。

その辺りは、管理人だけでなくあちこちで否定されてますし、要は“旬が過ぎた”ということなのでしょう。当ブログがその一助になれていれば幸いなのですが。

そして最近、その他の雲が増えて来たのは、より見られる確率が高い、すなわち“発見の快感”を得られる機会の多い雲に、主流がシフトしてきたのではないかと。


その過程で、電磁波がどうのとか震源の方向を示すとか、地震のメカニズムと一見関連付けたような話がどんどん薄まって来ていますね。最近は、あくまで“見た目の不気味さ”が主流のようです。

まあ、『地震雲』なんてものは人間の不安心理の産物ですから、それもある意味で必然なのでしょうが。

あ、そうだ。最後にとても面白い話をひとつ。実は、

『地震雲とか騒いでいるのは、日本だけ』

なんですよw


次回は、『断層雲』(と、いわれるもの)です。

■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。

【調布墜落事故】当ブログとしてのまとめ(#1038)

■当記事執筆時点では、事故機に燃料が必要以上に搭載されて過荷重に近い状態だったことがわかっていませんでした。その状況を受けて、また、読者様からのご指摘もいただきましたので、内容を一部訂正いたします(2015/7/30)

東京・調布で発生した住宅街への小型機墜落事故について、状況がほぼ出揃ったようなので、当ブログとしての検証とまとめをして、この事故についての記事を一旦終わりにしたいと思います。


【エンジントラブルと判断ミスの可能性】
この事故の原因は、この二点に集約されると考えます。

まず、離陸滑走中にエンジンのトラブルが発生。トラブルの内容は、エンジン回転数が上がらず、離陸に必要なパワーが出なかったこと。

エンジン回転数が上がらなかった原因として考えられるのは二点。まず、純粋なメカトラブル。可能性として、燃料系統の異常でエンジンに十分な燃料が供給されなかったか、電気系統のトラブルでシリンダーの一部が点火されていなかったこと。

目撃者によると、エンジン音が異常で、上空で「パン」という破裂音がしていたとのことで、異常燃焼によるアフターバーン(ガソリンが排気管の中で燃焼すること)の発生が疑われる。

これらのことから、燃料系統の異常の可能性が最も大きい。いわゆるガス欠の症状。電気系統の異常で、一部のシリンダーが点火されていなかった可能性もある。その場合にも、アフターバーンは発生する。


滑走中にエンジン異常が感知されていれば、離陸中止を決断する状況。しかしパイロットは離陸決心速度(V1 それを超えると離陸中止しても滑走路内で停止できない)の時点で中止の決断をせず離陸を継続した。それが判断ミスなのか、離陸中止を決断する状況ではなかったのかは、現時点では不明。しかし、本来の離陸速度(VR)に達しないまま離陸した可能性も残る。


エンジンが正常ならば、そこからでも加速上昇に入れるか、少なくとも水平飛行で加速できるが、何らかの理由でパワーがさらに低下した。離陸直後の映像でも、高度・速度が異常に低く、エンジン音が低くバラついているようにも思え、プロペラの回転速度もかなり遅く見える。

パイロットは、離陸直後から着陸装置を出したまま緊急着陸もしくは不時着を考えた可能性がある。しかし、離陸直後の映像では引き込み脚が少し引き込み方向に作動しているのがわかるので、脚を引き込んで空気抵抗を減らし、速度を維持しようとしていたのかもしれない。

なお、本来の引き込み脚格納操作は、設定された加速上昇速度(V2)に達した後に行うので、その速度に達していない状態で行われなかったのは、ある意味では当然といえなくもない。

ちなみに、飛行場外への不時着の場合は、脚を出さずに胴体着陸をするのが基本。


離陸後わずかに左方向に変針したが、全く上昇できず、水平飛行も維持できないほどパワーが低下。異常燃焼も発生(目撃証言による)。パイロットは頭上げ操作を繰り返して高度を維持しようとしたが、速度がさらに低下して高度を失って行った。

ごく短時間のうちに急激にエンジンパワーを失っていることから、やはり燃料系統の問題が最も疑われる。

最終的にはほとんどエンジン停止状態(推力ゼロ)で失速、わずかに左バンクを取った状態から、左下方向へ横滑りを始めた。

墜落地点隣の民家の屋根でバウンドし、裏返しになって墜落、炎上。離陸直後で搭載燃料が多かったため、瞬間的に大火災となった。

このような事故だったと思われます。


【飛んではいけなかった】
事故の詳細は今後の調査の結果を待ちたいと思いますが、事故の最大の原因は、何らかの原因でエンジンパワーが低下していたのに、「飛んでしまった」ということに尽きるようです。その時点で、運命は決まってしまったのです。

但し、離陸を決断する段階で既に異常が起きていたのか、パイロットが対処不可能の段階で異常が起きたのかは、現時点では不明。

前記事でも書いたのですが、報道からだけでもこれだけの状況がわかるのに、「航空評論家」を名乗る人物が「純粋なパイロットミス」だと、それも操作ミスではなく、機体の状況を判断できなかっただけだと言う、それが東京のキー局に出演から全国ネットされるというのは、もはや異常事態としか言えないかと。

「航空評論家」本人はもちろん、そんな人物を使って明らかな誤報をたれ流す放送局の責任も重大です。

まあ、その責任を取らないために、“専門家”を使うわけですが。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

2015年7月27日 (月)

【調布墜落事故】おかしな専門家が現れた(#1037)

妙なことを言う『専門家』が現れました。


【やっぱり出たパイロットミス主因説】
東京・調布の小型機墜落事故について、エンジントラブルはなく、パイロットミスのみで発生したという主張です。

現時点ではパイロットミス自体を否定はできませんが、そう主張する理由が専門家とは思えません。

どういう経歴かは知りませんが、「航空評論家」のS氏は、下記の理由でパイロットミスだと言うのです。

■当時は非常に暑く、滑走路上は40℃以上と思われ、5人フル搭乗で重い機体を上げるパワーが出ていないことに気づかず離陸した。

■最後まで引き込み式の着陸装置が引き込まれていない。
(通常は離陸後すぐに引き込む)

■遠くまでエンジン音が聞こえている(エンジントラブルならば、音が聞こえないはずと)

一見まともそうですが、意味不明です。


【素人以下の理屈?】
エンジンは、気温が高いと空気の密度が下がる、すなわち体積当たりの酸素含有量が減るので燃焼効率が落ち、パワーが出づらくなります。

それを見越せず、パワーと速度不足のまま離陸したミスだと。

事故機のエンジンは、ターボチャージャー付き350馬力のピストンエンジンですが、エンジンが正常ならば、あの状況で離昇出力が足らなくなるほど非力ではない。ただでさえ暑くてパワーが出づらいのに、パイロットがわざわざパワーを絞って離陸したというのでしょうか。

引き込み脚が出たままだったことについては、さらに意味不明。離陸後すぐに脚を引き込む理由として、「軽くするため」だと。

当たり前ですが、脚を引き込んでも軽くはなりません。すぐに引き込むのは、空気抵抗を減らして加速上昇をしやすくするためです。

ましてや、速度とパワー不足で上昇できずにいるのです。すぐに緊急着陸をするために、脚を出したまま飛行場に戻ろうとするのはごく当たり前のこと。


エンジン音については、もう訳がわからない。遠くから撮られた画像でエンジン音が聞こえているから、正常だったと。エンジントラブルならば、音が聞こえないそうですよ。そりゃエンジンが止まるか高速回転していない場合だろう。それに、風向きなどで音の聞こえ方は全然変わりますし。

遠くからの映像では、事故機は地面とほとんど平行に低空を飛びながら、何度か機首を上げ下げする様子が写っています。

操縦輪を引いて、頭を上げて加速上昇したかったのに、パワーがついて来ない。だから頭を上げると速度が落ちて失速しそうなギリギリの速度で、なんとか高度を維持しようとしていたのでしょう。

仮に離陸時はパワー不足状態だったとしても、そこから思うように上昇できない時点で、スロットルを全開にしていないとでも言うのでしょうか。パワーが欲しいのに、何らかの事情でそれが得られていない状況だったのは明らかです。

そして、多くの目撃者は、最後にはエンジン音が聞こえなくなり、滑空するように墜落したと証言しています。最後の瞬間にはエンジンが止まっていたか、アイドリング状態のような低回転になっていたのは間違いないでしょう。

前記事にも書きましたが、離陸直後にサッカー場上空を通過する際のエンジン音は、明らかに通常の離陸時より低い、まるで低速で航過飛行をするような音でした。管理人の印象ではそれよりも低く、少しバラついていたようにも思えます。

地元の、小型機の音を聞き慣れた方の証言にも「いつもと違う異常な音だった」というのが複数あります。

管理人はバイク乗りですし、航空機も大好きで、しかも埼玉・桶川のホンダエアポートで小型機のエンジン音はいやという程聞いていますから、エンジン音の異常くらいは聞き分けられます。


とにかく、最大のパワーが欲しい離陸時に、しかも上昇できないでいるのに、そこまで「正常な」エンジンを絞っていたというのが、パイロットの判断ミスだと主張しているわけです。

これなど、ほとんど素人以下の理屈じゃないですかね。こんなのが「航空評論家」だそうで。事故の検証以前に、脚を引き込むのが「軽くするため」という時点でニセモノか、血迷った方なのでは?

どうも、エンジントラブルとパイロットミスの複合要因が主流の事故原因説の中で、「独自の主張」をして注目を集めたいとしか思えませんね。パイロットミス説は、一番注目を集めますから。もし間違っていても『評論家』は責任取る必要ないし。あれ、何かの『専門家』と一緒だw

登場していたのが、あの東京・お台場の放送局っていうのも何か示唆的なw


【エンジントラブルの種類】
ここで、敢えて考えましょう。航空機のエンジンは、自動車よりもはるかに頻繁に点検整備されていますから、機械部分が壊れる可能性はあまりありません。

この事故のケースで起こるとしたら、下記の三種類の可能性が非常に大きいのです。

■燃料系統のトラブルまたは切り替えミス
■電気(点火)系統のトラブル
■ターボチャージャーのトラブル

墜落直前にエンジンが止まっていたのならば、まず第一に燃料系統が疑われます。トラブルかミスによってエンジンに燃料が十分に流れず、最後には途絶えてしまった。

次に、電気系統。シリンダーの一部でも正常な点火をしていなければ、十分なパワーは出ません。

そして車でも結構ある、ターボチャージャーのトラブル。ターボは空気を圧縮してシリンダー内に押し込むことで酸素量を増やし、燃焼効率を上げてパワーアップする機器です。

だから、空気密度の低い高空や暑い中でも、自然吸気エンジンよりはるかにパワーが出るのです。それがいきなり失われたとしたら、大げさに言えばエンジン出力がいきなり100馬力落ちるような、大きな影響があったはずです。

それならば暑い中、フル搭乗の機体が上昇できなくなる可能性考えられます。

さらに付け加えれば、吸排気系統のパイプ類にヒビが入ったりしても、エンジン出力は大きくダウンしますから、その可能性も多少は考えられます。

このような、なんらかのエンジントラブルを併発していなければ、あの事故は起きなかったと思われます。パイロットの判断ミスがあっても、エンジンパワーさえあれば何とかなった可能性が非常に高いのです。

【お互い様の世界で真実は死ぬ】
ということで、また毒吐いちゃいましたけど、本来こういうのは、『専門家』が批判しなければいけないんじゃないですか。でも、商業ベースでそれをやる人はいません。他人の“既得権”を奪うようなことすると、どこかでしっぺ返し食うかもしれないからでしょうね。

プロが同業者を公式に批判するのは、余程の理由と覚悟が必要ですから。もちろん、『防災の専門家』の世界も一緒。

まあ、素人でもツッこめるような理屈を、「航空評論家」として堂々と公開した勇気には拍手を贈りたいと思いますよw


全く余談ながら、地上で犠牲になった女性は、犬を助けようとして逃げ遅れたようです。もし動物救援ボラもやっている管理人がそこにいたら、どうしたか。それを思うと、たた悔しくて仕方ないのです。

10匹くらいいたという犬も、全部生還したわけではないでしょう。でも、報道にも一切触れられない命を守るために身を投じた方のご冥福を、改めて心からお祈りしたいと思います。

事故も災害も、あまりに理不尽なのです。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

2015年7月26日 (日)

東京・調布で小型機が住宅街に墜落(#1036)

7月26日の午前11時過ぎ、東京都の調布飛行場を離陸した小型機が、500mほど離れた住宅街に墜落しました。地上の方も巻き添えになり、3名の犠牲者が出てしまったようです。

亡くなられた方のご冥福をお祈りすると共に、心身に傷を負われた方にお見舞い申し上げます。


【捉えられていた映像】
このような離陸直後の墜落事故の場合、その原因のほとんどがエンジントラブルと言っても良いのですが、飛行場から500mという墜落現場のあまりの近さに、第一報当初から何かとてつもない異常さを感じました。

近隣で撮影された事故機の離陸時の映像がyoutubeにアップされ、その後ニュースでも引用公開されています。下画像は、ニュース画面からのキャプチャです。
Chofu

その映像は、航空機を見慣れた方ならば、誰もが同じ感想を持つものでしょう。


『遅い、低い、ふらついている』


もちろん管理人もそうでした。音にしても、離陸上昇時の、ほぼ全開となるエンジン音ではありません。

事故当時の調布飛行場付近は、ほぼ無風もしくは東よりの微風が若干あったようですが、ほぼ真南向きに離陸した機体は、その直後から進路の左側、東側にコースを逸れて、そのままほぼ直線で墜落現場まで飛行しています。

これには、ふたつの理由が考えられます。

ひとつは、離陸速度が遅かったために東寄りの微風の影響が大きく、流されないように風上に機首を立てようとして、方向舵を左に切ったため、通常より大きく左へ偏針したこと。

もうひとつは、離陸したもののパイロットはエンジン不調を覚知しており、滑走路の反対側に回って緊急着陸をしようと、離陸直後から左上昇旋回に入れていたこと。

しかし離陸上昇中の低速時、ましてやエンジン不調によって速度、高度が通常より低い状態での旋回は自殺行為であることは、パイロットならば知らないわけがありません。

低速で旋回すると、空気抵抗が増えて一気に速度と高度を失いますから、相応の速度と高度、そしてエンジン出力が必要なのです。

ただし、映像を良く見ると、離陸後すぐに左(東向き)に変針しているものの、通常の旋回の操作はされてないようです。あくまで、エンジントラブルよって飛行を継続できなくなったように見えます。


【どうすべきだったか】
事故の詳しい原因は、今後の調査によって明らかになるでしょう。

ただ、現時点で確実に言えることは、どう考えても

『飛んではいけなかった』

ということです。エンジン不調で、十分な離陸速度に達しないまま離陸してしまったということは、ほぼ間違いありません。滑走中に、離陸中止を決断すべきだったのです。

しかし、何故飛んでしまったのかについては、現時点では判断できません。パイロットの判断ミスや、例えばエンジン不調に加えて速度計の故障で正確な速度が把握できていなかったなどの、いくつかの原因が考えられます。

いずれにしろ、あの状態で『上がってしまった』段階で、運命はほぼ決まってしまっていたということです。


航空機事故は滅多に起こりませんが、一旦起こると致命的な大事故になりやすい。そして、飛行場周辺に住むことは、ある程度のリスクを負担することであるという現実を、改めて突きつける事故でした。

都心上空を飛ぶ、羽田空港への新ルートに関する議論にも影響を与えそうではあります。


■7月27日0:40追記
この事故の原因かどうかは現時点では全くわかりませんが、過去に起きた似たような事故の例を挙げておきます。

過去には、『燃料系統の切り替えミス』で同様の事故が起きたことがあります。航空機の燃料タンクはひとつではなく、いくつかに分かれていることが多いのです。

それらのタンクからエンジンに燃料を送る系統の切り替えミスにより、離陸直後にエンジンへの燃料供給が途絶えてエンジン停止、墜落に至ったという事故が実際にありました。

なお、事故機のパイパー・マリブ・ミラージュの場合は、少なくとも両翼内に分かれたふたつの燃料タンクを持っていますので、その可能性も捨て切れません。

■■追記■■
その後、事故機の燃料はほぼ満載状態だったことがわかりました。このため、燃料系統の切り替えミスによるエンジン異常の可能性は、ほぼなくなりました。

■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

2015年7月24日 (金)

【シリーズUDL11】栄養編1・偏りまくるUDL食生活(#1035)

Meal
炊き出し支援はUDLの命綱。でもそれだけでは・・・

■UDLとはUnder Disaster lifeの頭文字。当ブログが提唱する被災生活の概念です。


不幸なことに大災害に遭遇してしまい、UDLが始まりました。まず冷蔵庫のナマ物を食べ切ってしまった後は、米、缶詰、乾物など、保存が効く食材がいくらか残っています。備蓄した非常食料もあります。

しかし、商店からは食品類があっと言うまに消え、この先当分の間は食品の補給ができそうにありません。支援物資や炊き出しに頼ることになります。

しかし、公的避難所ならまだしも、自主避難所や自宅待機者への支援は、なかなか届きません。特に大都市圏の場合、何週間も支援が受けられないということもあり得ます。

そんなUDLに備えて、普段から何を備えておけば良いのでしょうか。必要なのは、非常食料の備蓄だけではありません。

非常食料は、あくまで発災直後の混乱期に役立つものにすぎず、そこから長く続くUDLには、別の対策が必要です。

まずは基本的な考え方から。


【大災害=炭水化物】
一見、意味不明の小見出しですが、これが現実です。

現実には、非常食料として乾パンやビスケット類を備蓄している方も多いでしょう。そして、特に発災後初期の支援食品はパン、おにぎり(白米)、カップ麺などがほとんどになります。

自宅のストックを使う場合も、ご飯を炊いて、それに缶詰や乾物のおかずが少々、というようなが多くなるでしょう。

このように、UDL初期での食事は『炭水化物だらけ』になるのです。

炭水化物は腹持ちが良く、活動するためのエネルギー化しやすいので、UDL初期の栄養素としては適していますが、いつまでもそれだけでは健康を害します。

しかし、UDLではその他の栄養素を摂ることが、とても難しくなります。


【必要な栄養素とは】
ここでは不自由なUDLであることが前提ですから、細かいことは省きます。それでも、以下の栄養素をできるだけバランス良く摂らなければなりません。

・炭水化物
・タンパク質
・脂質
・ビタミン類
・食物繊維

ここでの食物繊維は、健康がどうのという話ではありません。最大の目的は、整腸効果。トイレ事情が過酷なUDLでは、おなかの調子を整えておくことが、大きな意味を持ってくるのです。

しかしこれらの栄養素を補給するための生鮮食材は、特に都市部ではほとんど手に入らなくなりますし、あっても冷蔵庫なしでは保存できません。UDLで炭水化物以外を摂るのがいかに困難か、現実の問題として考えてみてください。

最近は、各栄養素を配合した食品もいろいろありますし、それらを非常食料として備蓄することはお勧めできます。しかし、それもせいぜい3日分でしょう。

本当の過酷さは、その後にやってくるのです。


【食えれば良いわけじゃない】
では、仮に完全栄養の非常食があったとして、それを毎日食べていれば済むかというと、そうでもない。

食には、『満足感』が必要なのです。

精神的にも肉体的にも過酷なUDLで、食事は大きな楽しみとなります。でも、いくら乾パンや乾物を食べても、満足感にはほど遠い。

ただでさえ身体は不足する栄養素を要求し、それがやたらと食べたくなります。肉が食べたい、魚が食べたい、野菜が食べたい。しかし、無い。

UDLでは、そのストレスが非常に大きくなるのです。そのストレスをいかに小さくして行くかも、UDLの食生活ではとても大切です。

なのに、まだ乾パンだけですか?


【日常生活にUDLを組み込む】
日常生活とUDLを別々に考えると、面倒なことになります。あたかも長い旅行に出るように、日常と全く別の装備を整えるのは、骨が折れますね。

しかし自宅にいる以上、非日常であるUDLも“新たな日常”と考えなければなりません。

そこで、日常生活の中にUDLでも役に立つモノや考え方を組み込んでおいて、イザとなったらそれを転用することができれば、負担は大きく減らせます。

モノで言えば、カセットコンロなどその最たるものです。普段はテーブルでの鍋物用。それがUDLでは暖かい食事を作り、飲み水やほ乳瓶を煮沸し、暖房もできる唯一のモノとなります。

UDL対策としては、ガスボンベを十分に用意しておくことだけ。災害対策としてキャンプ用のガスコンロなど用意する前に、まずそこからです。

食品においても、必要な栄養素をできるだけ摂り、できるだけ満足感を得るために、そのような『転用』ができるものがあります。

それを普段の食生活に組み込んでおくことも、立派な災害対策なのです。それができるのは、家族の食を預かる、あなたです。


■当記事は、カテゴリ【シリーズUDL】です。


2015年7月19日 (日)

とても暑いので腹いせに大毒吐き大会をしますww(#1034)

関東地方、梅雨が明けたようです。早速、猛暑です。こんな中で大災害が起きたら辛いだろうなと、暑さでぼやけた頭で考えておりますw

そこで暑さの腹いせに、あまり好ましいスタイルではないのですが、言いたいことが山ほどあるので、敢えて大毒吐き大会をやります。やたらと長文になりますが、ご容赦ください。

民放テレビをほとんど観ない管理人ではありますが、先日読者様から連絡をいただき、バラエティ番組の防災特集を観ました。リアルタイムではなく、youtubeにアップされたものですけど。

公式ではないようなので消えてしまうかもしれませんが、下記リンク先で視聴できます。

■ダウンタウンなう6月19日

【“防災のエキスパート”だそうで】
おなじみの恐怖アオり系の映像はともかく、出演している『専門家』お三方。おふたりは最近メディアで『○○を的中させた』と“防災ヒーロー化”著しい早川氏と島村氏。もうおひとりは、当ブログでも良くネタさせていただいている、“防災ジャーナリスト”W氏(この期に及んでまだイニシャルw)でした。

管理人は、学術的専門家の研究成果にケチつけようとは思いません。でも、あれがテレビの恐ろしさなんでしょうか。どうにも鼻につく発言があって。

まず早川氏。地震前に地中から発せられる電磁波による、電離層の変化から地震を予測している研究者です。

5月30日、小笠原諸島沖の深さ682kmを震源とするマグニチュード8.1の巨大深発地震がありましたが、その前に氏は、その震源域で深さ50km程度、マグニチュード6程度の地震を予測していました。

早川氏が予測したのは、太平洋プレート内で起きるスラブ内地震、もしくはフィリピン海プレートとの境界で起きるプレート境界型地震です。

そこでタイミングはばっちりで起きたのが、あの巨大深発地震だったのです。しかし予測と単純に比較しても深さは600km以上深く、規模は1000倍以上です。

しかしその地震について、氏は自ら「的中した」とのたまいました。メカニズム的に全く別で、世界的にも例のない地震だったのですが。

つまり、あの超深発地震でも氏の理論、地震の直前に地殻の岩盤が割れ、空中に電磁波が放出されて電離層に変化を起こすという現象が起きたと?

深さ約682kmのマントル内の変化が、厚さがせいぜい50~60kmくらいの地殻内で、沈み込み部を考えても深さ200kmくらいがせいぜいの場所で起きるような現象を起こしたというのでしょうか。

小笠原諸島付近はプレート境界域ですから、早川氏が予測したような地震は起きていますし、その兆候は捉えられていたのでしょう。でも、「別モノ」まで的中と言うのは、科学的態度とは言えない。

まるで、サッカーの敵オウンゴールで勝った試合を、実力で勝ったと吹聴しているようなものでは?


あれ、場所とタイミングがドンぴしゃだったから、テレビ側に「的中した」と言ってください、宣伝になりますよとアオあれて、それに乗っかっちゃったのかなぁ、やっちまったなぁと、管理人は見ておりました。なんかもう科学者じゃねえなぁと。

テレビ出るって、怖いことなんですよ。自分の考えとか関係なくて、ウケる方向に持っていかれちゃいますから。そんなのも、経験的にちょっと知っている管理人ですが。


それに、情報知りたければメルマガ登録をとさんざん繰り返すのもどうかと。研究費はたくさん欲しいのでしょうが。 管理人は、氏の理論にケチつけるつもりは全くありませんけど、なんだか宣伝クサく、て無茶苦茶鼻についたのでした。

それに、研究者(と、地震ヲタ)以外には小さな地震など別にどうでも良くて、一般には被害が出るような地震だけ予知できれば良いわけですけど、もしそんな兆候が見られても、メルマガ読者以外には公開しないわけですかね。

良い情報は、おカネを払ってでも得るべきです。しかし、公益性の高い情報はあまねく公開すべきと考えますけどね。


もうひとつ。早川氏は、番組オンエア日(6月19日の生放送でした)から2~3日、長くても1週間程度の間に、東北地方の太平洋岸を震源とするマグニチュード6クラス(震源が陸地ならば震度5強~6弱レベル)の地震が来ると言いました。

管理人、わくわくしながらモニターしていましたが、期間中に起きた地震で最大のものは、マグニチュード4.4、最大震度3が最大でした。的中とは言えません。東北沿岸部で良く起きているレベルの、普通の地震です。

東北地方の太平洋沿岸は、そうでなくても毎日のように地震が起きていますから、地震が起きたこと自体も決して的中ではありませんし。

マグニチュード6クラスは、震災後の東北沿岸部でも滅多に起きていない規模です。ですから、それなりの『前兆』は捉えていたのでしょうけど、テレビで公開予測するという壮大な試みは、失敗に終わったようです。


【そしてお待ちかねW氏だw】
W氏が、防災のためにこれだけは用意しておけというものひとつ挙げてと言われてのたまわったのが、携帯やスマホの予備バッテリーでしたよw

実はこの御仁、以前から携帯やスマホを“防災三種の神器”のひとつとしていて、予備バッテリーも用意せよと言っていまして、当ブログの過去記事でも(笑)ネタにさせていただいています。

まあ、間違いじゃないですよね。使えれば。だれもがそう思うのですが、それでも、携帯やスマホは自分のデータベース化していて、災害下でそれが使えないと大変なことになると力説されてますよ。電話番号やメルアドみんな記憶してますか?って。いやごもっともです。してませんw

でも、他の防災関係者で携帯やスマホにバッテリーを防災グッズの筆頭に挙げる人いませんよね。だって当たり前だもん。だから、この御仁の“独自のアドバイス”になってるのでしょう。

でも、こうも言ってますよ。「基本的には通話に使っていただきたい」って。

言うまでも無いことですが、最大の問題は、災害時にはその通信デバイスが使えなくなることですね。音声通話回線が最もダウンしやすいのに、あくまで通話だと。現代は音声回線よりはるかに冗長性が高い、ネット回線の文字通信が主流という当たり前のことに、既について行けていない発言ですね。LINEとかが一般化する前の発言と変わってないしw

それに設備の被害、通話やネット通信規制、過大なトラフィックによるシステムダウンなどのために通信環境が全滅しない程度の災害なんて、大したことありません。まあ、そのレベルでこそモバイル通信機器が役立つわけで。そうかそういうことだったのかww

東日本大震災ではモバイル通信がほぼ復旧するのに1ヶ月以上、場所によってはもっと長くかかっているのですけどね。きっと、大都市圏を襲う“中小災害”向けのアドバイスなんでしょうwwww


なにしろ、携帯やスマホがなくても、通信がダウンしてもそれですぐに命の危機になることは滅多にない。なのに「これだけは持ち歩け」という筆頭ですよ。正直、意味わからん。

都市部ならば、大地震後でもすぐに通信が回復するとでも?モバイル通信の移動基地局があるから?あれの自家発電能力は約4時間。それが過ぎれば、燃料補給か外部電源が無ければアウト。それに、都市部の端末数に対して何台あるかという話です。

回線がある程度復旧しても、膨大なトラフィックからシステムを守るために、ネット接続も含めて発着信規制が当分続くことは確実です。

モバイル通信機器があれば便利なのは当然として、災害時には使えなくなる可能性が大きい、発災当初の身体的危険を防ぐためには全く役に立たないものを筆頭に挙げる『防災ジャーナリスト』って、一体何なのでしょうか。

でも、こんな反論が来るのでしょうね。携帯やスマホの電話帳を見られれば、生きている公衆電話や災害仮設電話で連絡できると。はいその通りです。

まさに、『生き残ってから』に偏った話の典型です。それでも『防災のエキスパート』だと!正直言って、行政とかといろいろ絡んで“大御所化”してしまったお年寄りの首に、誰も鈴付けられないのでしょうね。おかしな事言っても反論する人もいないし。同業者は“大御所”にニラまれたら非常にやりづらい、せまーい世界ですしね。

それに、間違い言っても責任取る立場でもないから好き勝手言えるし、周りも放っておくのでしょうよ。アホくさい。


番組の出演者は、『専門家』ならではの目からウロコの答えを期待したのでしょう。テレビ的にもそれが正解です。それで携帯スマホにバッテリーとか言われて流れた微妙な空気、是非動画でご覧ください。「でも大地震来たら使えなくなりませんか?」とツッコみたいのを、みなさん堪えておりますw

でも、あれがご年輩の“防災ジャーナリスト”で、“防災のエキスパート”と大々的に紹介しているゲストだから、敢えて黙っていたのでしょうね。空気読んで花持たせたと。さすが芸能人。

まあバラエティですから『本当に役に立つ』かは問題じゃないのでしょうが。


【もうひとつ見所】
W氏は、その他の災害対策や火山噴火についても得々と述べております。そのシーンで、隣に座った火山の専門家、島村氏に注目です。

「この御仁は何言ってるんだ?」
という視線で、じーっとW氏を見ております。その表情と視線がすべてを物語っておりますw

実際、W氏の発言は基本的には真っ当なのです。原則論ですから。でも、専門家から見たら「“素人”がそこまで語るな」という感じなのでしょうか。そうでなくても、発言に疑問を感じているのがアリアリです。

ちなみに、少なくともW氏が番組(過去のメディア出演なども含めて)で語っていることは、決して『防災の専門家』でなくてもわかる、すべて公開されている情報のコラボレーションに過ぎません。

だから、『まとめサイト』みたいだとw


番組内で、W氏が東京23区では板橋区の地盤が一番強いという「クイズの答え」を言った時も、盛んに「東京都が発表した調査結果によれば」だと予防線張ってます。 地盤の専門家でもないし、自分でデータ調べた訳じゃないから、細かいことツッコまれたらわからないからでしょうね。

それに関する氏の知識は、板橋区は北方から続く武蔵野台地の辺縁部で、柔らかい堆積層ではないからというレベルでしょう。

実は、豊島区の大部分も武蔵野台地にかかっていて、地盤はかなり強いのです。それでも板橋区よりは高度が低くて脆弱だし、テレビ的に「クイズの答え」が二つあるのはアレなんでしょうけどね。 もし、「山手線の駅付近で一番地盤が強いのは?」という出題ならば、池袋が正解ということになります。

ちょっと余談を付け加えれば、JR山手線の北部、池袋から山手線外周りで東の方向(田端方面)へ行くと、ずっと段丘の下を走りますよね。あれが武蔵野台地の裾です。鉄道を引くときに、台地の裾のガケを削って路盤を作ったのです。何故かって?ガケには建物が無かったからですw
Sugamo
↑巣鴨-大塚間。左側が武蔵野台地の裾

Tabata502
↑田端-西日暮里間になるとこの高低差(台地上から撮影)

Tabata501
↑JR田端駅の山手・京浜東北ホーム際には、武蔵野台地の裾が迫る

もし東京を震度6強~7クラスが襲ったら、この段丘が崩れるかもしれないという、別の危険もあるわけですが。

さておき、盛んに地盤の差を強調するW氏も、例えば海沿いの江東区と揺れがどれくらい違うかとか聞かれたらアウト。だからでしょうね。「東京都の調査によれば」と予防線張りまくり。うわー管理人と一緒の知識レベルだw

それでも“防災ジャーナリスト”は名乗れますし、講演もできます。管理人も、やれと言われればできますよ。

でも、長年ため込んだ防災知識や言いたいことは、このブログで吐き出します。


【管理人がゲストだったら】
最後に、管理人が「防災のためにひとつだけ持つなら」と問われたらなんと答えるか。

こういう聞き方、キャッチーではありますが、答えるのは難しい。災害から『生き残る』方法は多岐に渡り、優先順位がつけられないのです。

もし3つまで言っていいなら、25ルーメン以上のLEDライト、浄水ストロー(またはスーパーデリオス)、ポンチョですね。見えて、飲めて、水濡れと寒さを防ぐ。 AMラジオなど情報機器も欲しいところですが、ここでは生命と行動力維持を優先しました。

もちろん、それらを実際にEDCしています。でも、どうしてもひとつというならば、LEDライトですね。管理人も、バッグを失ったら身体に残るのはポケットの中のLEDライトのみですし。

もちろん、それが絶対ではありません。それぞれの居場所や条件で起こりやすいことに対処できることが重要です。例えば外出が多い方はポンチョなど雨具からとか、郊外で水は確保できそうだけど、商店が無いような場所にいることが多ければ携帯食料とか、あなたの居場所の状況によるアレンジが必要です。

そして、それを持っていることで普段から安心できる、というモノだということも重要です。災害、特に地震は怖い。その思いを少しでも軽くすることが、防災グッズを揃えることの大きな意味でもありますから。


でも、最後に付け加えますが、「普段から用意しておくもの」で一番大切なのは、常に「ここで地震が来たら何が起きるか、何ができるか、何をするか」と考える、あなた自身の防災意識なのです。

持つべきものの筆頭は、モノではありません。ましてや携帯スマホじゃないw

くだらんトリビア大会は、もうたくさんだ。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

2015年7月17日 (金)

【ヲタ目線地震教室18】かわいそうな彩雲w(#1033)

当ブログ過去記事(カテゴリ【エセ科学・オカルト排除】)では、いくつかの『地震雲』とされる雲について、「そんな形の雲は存在しない」ということを明らかにしました。

『地震雲』とされる雲は他にもあり、(しかも増えている!)それらをひとつひとつ否定して行くこともできます。でも、結局いたちごっこなんですよね。

なんたって、ちょっと不気味な雲が出たら、何でも『地震雲』にされちゃうんですから。

そこで、個別の雲についての解説と併せて、なぜ『地震雲』がこれだけウケるのかについても、考えて行きたいと思います。


【“ニューカマー”登場】
まずは、東日本大震災の後に『地震雲』のスタメン入りしたと思われる、2種類の雲について考えてみます。

まずは「彩雲」。“我に追いつくグラマンなし!”のあれではなく(すいませんヒコーキヲタネタですw)、雲の一部が虹色、特に赤や緑に染まる現象です。
Saiun1
Saiun2

我が国では、彩雲は古くから“吉兆現象”として見られてきました。つまり、それを見たら良いことが起こるという。 それが、今は一部の人々にとって“恐怖の前兆”なのですから、彩雲が不憫で不憫でw

彩雲は、いろいろな条件が揃わないと見られません。そこがポイントだったりもしますが、昔から意識している管理人でも、過去に5~6回程度しか見た記憶がありません。最初に見たのが小学生の時だったのは、はっきり記憶しています。気象図鑑で見たレアな現象を目の当たりにして、大喜びしたものです。それが今はねえw


【彩雲なんて存在しない】
いきなりの全否定ですが、当然ながら、雲の種類としての彩雲というものは存在しません。

だから『地震雲』信者が言う「彩雲が出た」ということ自体がナンセンスなのです。

なぜ雲が虹色に染まるかという理由は、もう大体おわかりですよね。要は虹が見えるのと同じことが、雲の中で起きているだけのこと。

ついでに言えば、二重の虹が見えたりすると「地震が起きるかも」と騒ぐ人もいますが(虹が不憫でw)、雨上がりにかかる虹は『常に二重に出ている』ということも覚えておくべきかと。それが普通の現象なのです。

しかし、外側の虹は内側より薄くなるので、多くの場合肉眼では見えません。空気中の水分や太陽光の強さや方向などの、ある条件が揃った時だけ、下画像のように肉眼で見えるほどの“濃さ”になるわけです。
Rainbow1

今度虹が見えた時は、虹の橋の外側をよーく見てみてください。うすーい虹が見えることもありますよ。下画像は、かなり良く見えている状態です。なお、外側の虹は、内側の虹と色の並び順が逆になっています。
Rainbow2

あ、また脱線したwさておき、虹とは太陽の白色光が空気中の水滴がプリズムの働きをすることで、七色に分かれて見えるという現象だということは、小学校で習いました。

だから、虹は太陽と逆の方向に見えるということも。太陽に向ったら、見えないわけです。と、いうことは?


【見えているのはあなただけ】
空に彩雲が見えた。写真を撮ってネットにアップして「彩雲が出たから云々」などとやる人は、彩雲がだれにでも見えていると思っているのでしょうね。

でも残念ながら、見えているのはあなただけでは無いですが、“太陽に対してあなたと同じくらいの角度にいる人だけ”なのです。

それは、太陽光の方向を中心にして大体30~40度から広くても60度くらいの間。すなわち、そこから外れた人たちからは、ただの白い雲にしか見えていないのです。残念でしたw

それくらいレアな現象だからこそ、吉兆現象と言われて来たわけなんですが。単純に、すごく美しいし。

なお、彩雲が赤や緑に見えることが多いのは、雲の水滴がプリズムの働きをする『回析』の過程で、光の波長によって屈折度が異なることによるものです。


【不気味=地震という児戯】
そもそも、彩雲が『地震雲』の仲間に入れられてしまったことに、電磁波がどうのというエセ科学的にも、何の根拠もありません。

まず彩雲という現象を知らず、滅多に見られない珍しい現象を見てしまったからなんとなく不安、ならば地震かもという、子供じみたと言ったら子供に失礼というくらい、無茶にも程がある理屈なんですから。

で、誰かがそう言い出せば、後はもう“そういうもの”として拡散されてしまって。

このパターンは彩雲に限らず、他の『地震雲』でも似たり寄ったりなんですけど。


【彩雲のメカニズム】
これはもうウィキペディアでも見ていただいた方がよろしいかと思いますがw(ウィキにはいい画像がありますよ)、簡単にまとめます。

まず、太陽が透けて見えるくらいの、まだらで薄い雲であること。雲全体が染まることもありますが、厚い雲の端の、薄い部分にだけ現れることもあります。

そして、雲が水滴であること。多くの場合、雲の粒は氷ですが、氷の粒では彩雲のようにきれいに『回析』されません。上空の気温が比較的高かったり、雲の粒が過冷却で水滴の状態を維持している場合です。

そんな雲を、“程良い角度”で太陽光が通り抜けると、地上から彩雲が観測されるというわけです。多くの場合、太陽と観測者の間付近に雲がある時に見られます。

前述の通り、雲が虹色に染まっているのではなく、雲を通り抜けた太陽光が虹色、特に赤や緑に見えている現象なのです。

どこが地震の前兆なんだか。


【おまけ】
似た現象で、彩雲と混同されることも多い現象があります。

それは『環水平アーク』。多くの場合『幻日』を伴います。下画像は1年程前に管理人が撮影したもので、生まれて初めて実物を見ることができました。
Arc2

これは、雲の中の氷の粒(氷晶)によって太陽光が『回析』されて起こるもので、環状の虹色の光が見えますが、彩雲とは別モノです。

画像では、左の木の上に見える明るい光が本物の太陽、右端の光が『回析』によって現れた“幻の太陽”、幻日(げんじつ)です。これは彩雲よりはるかにレアな現象です。これが見られると、ニュースになるくらいですから。

もちろん、現れる理由もメカニズムも明らかな気象現象であり、地震とは何の関係もありません。

いい加減、だれかの勝手な思いこみに振り回されるの、やめませんか?


こんな感じで、いつの間にか『地震雲』の仲間にされてしまったかわいそうな彩雲の名誉回復、できたでしょうかw

さて、次回はこれも比較的ニューカマーの、うろこ雲について考えましょう。


■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。

2015年7月16日 (木)

台風11号接近(#1032)

強い台風11号が、西日本に接近しています。

この台風は勢力がかなり強いだけでなく、速度が遅めなので、これから九州、西日本、東日本の広い範囲で、長い時間の豪雨が予想されます。

台風の進路から比較的遠い東日本でも、台風に伴う強い積乱雲が発生していますので、豪雨だけでなく突風や竜巻が発生する危険があります。


【今のうちに!】
台風による災害のうち、最も生命に関わるのが、ガケ崩れ、地滑り、土石流などの土砂災害です。

例によって土砂災害の兆候が見られたら避難というような話も未だにありますが、豪雨や強風の中、ましてや夜間には、それを察知することはほとんど不可能です。

土砂災害の危険がある場所にお住まいの方は、『今のうちに』安全な場所へ避難してください。

今回の台風は、勢力、コース、予想降雨量からすると『土砂災害が起きて当たり前』という状況です。

ガケや急斜面の下、山から流れ出る川沿いなど、危険が予想される場所からは、”静かなうちに”避難してください。それしか、確実に『生き残る』方法はありません。

もしそのような地域に残る場合は、必ず『2階以上』にいてください。それだけで、生命にかかわる被害のほとんどを防ぐことができます。

これは台風に近い西日本だけでなく、東日本の広い範囲でも同様です。


【財産の避難も】
土砂災害の被害が直接及ばないような地域の場合は、浸水に警戒してください。

市街地でも、少し低い場所は下水道による排水が間に合わなくなる『内水氾濫』(ないすいはんらん)によって、浸水する可能性が非常に高くなっています。

過去に水が出たような場所は特に、地下や1階から大切なものや家具などを上階に上げておきましょう。特に、パソコンなど電気器具は絶対です。


自動車やバイクを安全な場所に移動させることも必要です。危険がなくなるまで、比較的高い場所のコインパーキングなどに移動させるべきでしょう。少しの出費で、大きな財産を守ることができます。

なお、自然の水害による自動車の被害は、一般的な車両保険でカバーされますが、お金をもらえれば良いという話でもありませんし、補償額はあくまで『時価』ですから、同じレベルの車やバイクが買えるわけでもありません。


お住まいの場所に大きな危険が予想される場合には、車やバイクと一緒に、水が出ない場所のビジネスホテルなどに”避難”してしまうのも、ひとつの方法です。

何も無かったらそれで良し。事前の避難行動は、『無駄足9割』の覚悟が必要です。

本格的な豪雨と強風が来る前に、行動することをお勧めします。


■当記事は、カテゴリ【気象災害】です。

2015年7月14日 (火)

【シリーズUDL10】キミは震災ディナーを知っているか?(#1031)

Stake
カセットコンロで豪華な肉野菜料理。UDLと何の関係が?

■UDLとはUnder Disaster Lifeの頭文字。当ブログが 提唱する被災生活の概念です。


人が生きるために必要なのは、まず水。その次に、身体機能を維持し、行動するための栄養を補給しなければなりません。

今回から、過酷なUDLで健康を維持するために必要な、UDLの栄養学を考えて行きます。

当シリーズ当初に述べた通り、大災害における被災地からの報道は“いちばん大変な”人たちのことに偏ります。勢い、家を失って公的な避難所にいる人々のことばかりになるのです。

しかし、特に災害下の都市部で数的に最も多いのは、インフラ停止下の自宅や自主避難所のような場所で過ごしている人々です。

そんな人々は、過去の災害ではどのようなUDLを過ごしたのでしょうか。


【最初の晩餐?】
小見出しは、誤植ではありません。記事タイトルとも併せて、もうお気づきの方もあるかと思います。

これはちょっと考えればわかることですが、意外にも知られていない事実です。

大地震などの災害に遭遇し、インフラがすべて止まった。しかし、とりあえず自宅にいられる状態だった。落ち着いたら、お腹がすいてきた。さあ、そこであなたなら何を食べますか?一応、非常食料の備蓄もあるにはあります。

ご家族の食を預かる方なら、いやそうでなくても、そこで最初に考えるのは、「冷蔵庫のナマ物を食べてしまおう」ということでしょう。

肉類、野菜類、瓶詰め食品、冷凍食品、乳製品類などがどんどん傷んで行きます。ならば、それから食べようとなりますよね。

過去の大災害では、発災直後にやたらと豪華な“最初の晩餐”を食べた人、意外に多いのです。


【満腹“震災ディナー”】
例えば、カセットコンロなどの火力でバターたっぷりのステーキにありったけの付け合わせ、生野菜サラダ、チーズに牛乳、そしてデザートには少し溶けたアイスクリームとか。卵料理ならば、肉類などよりもう少し先まで食べられます。

とにかく「傷む前に食べてしまえ」ということですから、量もたっぷりになります。肉類など、冷蔵庫無しでは1日と持ちません。捨てるくらいなら、少し無理しても食べてしまおうと。

しかも、その先しばらく食料の供給が滞るのは目に見えているのです。できるだけ栄養を摂っておこうとも考えます。

阪神・淡路大震災のある被災者は、そんな豪華な食事を、周りの状況とのあまりにも大きな隔たりへの皮肉もこめて“震災ディナー”と呼びました。

中には、無理に食べ過ぎてお腹をこわしたというような、笑えない話もあります。UDLはトイレ環境が劣悪ですから、お腹をこわしては大変です。


【内緒の晩餐?】
そのような話が、あまり表に出てこないのには理由があります。

ご近所だけでも、家が大きく損傷した人、食材のストックが無かったり少なかった人などと、大きな“格差”が生まれたのです。

さらに、家を失って命からがら避難所に逃げた人、家族が傷ついたり行方不明の人もいます。そんな中で、仕方無しとは言いながら、豪華な食事を腹いっぱい食べるのは気がひける。

ですから、家の中で懐中電灯やろうそくの灯りの下、ひっそりと“内緒の晩餐”となることが多かったのです。

もちろん、食べ物が無い人に食事を分けてあげるなどの助け合いもありました。

それでも、食うや食わずの人々の事を考えれば、基本的には『内緒』だったために、あまり知られていない話というわけです。


これから起こる大災害でも、とりあえず家が無事ならば、このようなことになるでしょう。 しかし“震災ディナー”も、発災後せいぜい1~2日だけの話です。さて、それからどうするか。


【乾パン信仰は卒業しよう】
高いおカネを出して『防災セット』を買っても、食品は乾パンだけみたいなのも多いのが現実。

しかし乾パンのメリットは保存性くらいで、食の満足感、食べやすさ、栄養を考えたら、極論すれば「あんなものいらない」のです。

20年も前の阪神・淡路大震災の時から、乾パンは水無しでは大して食べられないという被災者の声がありましたし、東日本大震災でも、その声は繰り返されました。それに、いくら食べても摂取できるカロリーは大したことありません。

なのに、未だに『まず乾パン』が多すぎる。

乾パンは伝統的な保存・非常食ではありますが、現代は優秀な食品がいろいろ手に入るのです。おカネは、もっと別のものにかけましょう。


基本的な考え方は、できるだけ食べやすく、満足感が大きく、必要な栄養を摂れる食品です。

それは専用の保存食だけでなく日常の食品にも、ちょっとした工夫で非常時に転用できる、優秀なものも少なくありません。それも、専用食品よりはるかに安価で。

当シリーズでは、1ヶ月に渡るインフラ停止のUDLを想定していますから、安価であることはとても重要です。


それでは、次回から本編です。とても優秀な、しかし意外な食品も登場しますよ。


■当記事は、カテゴリ【シリーズUDL】です。

2015年7月13日 (月)

大分県佐伯市で震度5強(#1030)

7月13日の午前2時52分頃、大分県南部の深さ58kmを震源とするマグニチュード5.7の地震が発生し、震源直上付近の大分県佐伯市で、最大震度5強を観測しました。

気象庁の発表によると、発震機構は『北東ー南西に圧力軸を持つ横ずれ断層型』ということで、我が国で起きる地震としては、比較的珍しいタイプです。


【記憶に無い!】
この地震の第一報が入った時、管理人が最初に思ったのは、「大分県南部なんて、記憶に無い」ということでした。

すぐに過去のデータを調べて見たところ、同震源域で発生した地震は、以下の通りでした。

・2012年11月6日 M2.6 震度1
・2011年5月29日 M3.2 震度2
・2008年9月12日 M3.6 震度1
・2008年3月4日  M3.5 震度1

遡れたのはここまでですが、たったこれだけです。

地震自体がごくまれにしか起きていませんし、ここ数年のうちに記憶に残るような地震が起きたことも無い、かなり”静かな”場所です。

今回の震源の西側、福岡・北九州付近や東側に当たる瀬戸内海、伊予灘付近での発生は比較的多く、被害が出る規模の地震も起きています。しかし南部に限らず、大分県が震源となる地震は非常に少ないのです。

しかも、タイプとしても珍しい『圧縮力による横ずれ断層型』でした。


【今後どうなるか】
我が国では、横ずれ断層で巨大地震が発生する可能性はまず無いでしょう。断言はできませんが、歴史的に見ても、その可能性はごく小さいと言えます。

今回の地震は、長い間かかって溜まったひずみエネルギーが、大きめに解放されたということかと考えられます。

そにしても、この震源域としては、おそらくここ数十年で初めてと言えるような規模の地震であり、非常に広い意味では、東日本大震災による地殻変動の影響を受けているのかもしれません。

今後しばらくの間、この震源域での余震も多少は起こるでしょう。加えて、周辺の比較的活発な震源域の動きも、併せて注視すべきかと思います。


■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。

2015年7月11日 (土)

おかげさまで100万PVになりました(#1029)

Million

当ブログ『生き残れ。Annex』は、2012年1月12日スタートからの通算PV数が、100万PVを突破いたしました。

皆様のご愛読に、心から感謝いたします。

これからも、『本当に役に立つ』防災情報を、皆様にお伝えして行きたいと思っております。

今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。


『生き残れ。Annex』管理人拝

※PC画面に表示されるアクセスカウンターは90万PVを超えたところですが、旧集計システムで積算されていない携帯電話からのアクセスが10万PV強ありますので、実質的に100万PV超となります。


2015年7月10日 (金)

【ヲタ目線地震教室17】気象学者さん何とか言ってくださいw(#1028)

Jishingumo
「地震雲」で検索ヒットする画像の数々。みんなため息モノの美しさなんですけどね。加工された画像も混ざっているのでご注意を

地震のメカニズム関係から始まった当シリーズですが、なんか脱線方面がメインになりそうな気配wまあ、ヲタ目線ですからご容赦を。

ハードな話題もいずれやりたいと思っていますので、とりあえずこの流れで行きたいと思います。


【地震雲ねえ・・・】
過日、最近話題の地震研究者、早川氏がテレビ出演した際に、出演者から「地震雲って本当にあるんですか?」と質問されて、こう答えました。

「これからの研究課題です」

確かに、現時点では地震雲とされるものについて信頼に足る科学的調査や検証が行われていませんので、本当にあるかどうかは断言できない。

肯定するも否定するも、調べて見なければわからないという、極めて真っ当な答えです。しかしそれは同時に、現時点では科学者として肯定する材料が無い、ということでもあります。

ただ、地震予知研究の“本流”を外れ、地中からの電磁波による電離層異常という方面からアプローチして成果を上げているとされる早川氏が、笑いモノにさえなっている地震雲を完全否定しなかったことで、ニュアンス的に『あり得る』と受け取られた向きも多いかと。特に“信者”の方々は。

早川さんお願いです。本当に真面目に研究してみてくださいw


一方、管理人は当ブログのカテゴリ【エセ科学・オカルト排除】のシリーズ記事で、地震雲なんて存在しないとぶった切っています。

もっとも、管理人は科学的に調査・研究をしたわけではありません。管理人の検証方法は、世間で地震雲と言われる形状の雲は、気象現象として説明できるものか、見かけ上の誤認に過ぎないということを明らかにしたまでです。

地震と関係あるかどうか以前に、それは単なる見間違いか、いつも出ている雲に過ぎないということです。

しかも、地震雲とされる雲の出現と実際の地震の発生には、素人目にも何の相関もありません。真っ当な調査が行われれば、そのことがさらにはっきりするだけでしょう。


【偏向情報に惑わされるな】
ところが、“信者”(と、それを商売にする一部メディア)は、実に巧みに情報を加工します。

例えば東北で不気味な雲が見えたとして、その翌日に関東でちょっと大きな地震が起きたら、場所の違いなど無視して「あの地震の前兆だった」と、理由も示さず断定したりします。

近くで起きたら、さらにテンション上がります。しかし、 例えば東北地方ならば、震災後は現在でも3日に1回とかの頻度で地震が起きていますから、「的中して当然」でもあります。

しかも、時間的、場所的にピンポイント予想で『的中』したのならともかく、変な雲が見えるたびに「地震が来る」と言っていれば、いつかは当たりますってw

そして、「的中した」という情報だけがネット上で一人歩きしてして、拡散されて行く。その段階になると、もう「的中した」ということが全てで、果たして的中と言える条件があったかなど、どうでも良くなっている。


【大地震を的中させたことがあるか?】
“地震雲信者”の間では、地中からの電磁波によって不思議な雲ができるとされています。

それが本当であるかどうかの可能性については、管理人も何も言えません。

しかも、これまで当シリーズで述べた通り、地中からの電磁波が上空の電離層に影響を与えたり、発光現象を起こすほどの強い電磁波が放射されることがあるかもしれないという、「真っ当な」研究成果もあるわけです。

ならば雲も、という話になりそうですが、それとは次元が違います。電離層異常や発光現象は、普段は起きない現象が地震前に起きるからこそ、異常現象なわけです。

さらにそれらの現象は、大きな地震の震源域付近か、その上空で起きているのです。だから地震と関連付けられる。

一方、地震雲とされる雲は実は普段から出ているし、その理由もはっきりしています。何も異常現象ではありませんし、『的中』したとされる地震雲も、震源域直上とかだったこともまず無い。なんとなく近ければ当たり、という程度のアバウトさで語られますし。

ただ形が不思議だから、見かけが不気味だからということで、当たり前の雲でさえ、最近はみんな地震雲にされてしまいます。


もし雲が電磁波の影響で地震前に変化するならば、過去の大地震前にそれが観測されたことがあるでしょうか?

わかっています。信者は「ある」と言うのを。でも、本当にあるのか。

電磁波によるとされる電離層異常や発光現象は、大地震前にこそ顕著に見られています。それは、大地震前にはその前兆現象も大きくなっているからということです。

しかし、地震雲ではそのようなことはありません。阪神・淡路大震災前日の『竜巻状の雲』も、誤認に過ぎません。(過去記事で検証しています)

ある『まとめサイト』では、東日本大震災直前の、『雲が真っ黒で不気味だ』というような東北地方からのツイートがまとめられていて、それを見ると関係があるのかと不安にもなりますが、思い出してください。震災直後、宮城や岩手では雪が降りました。真っ黒な雲は、いわゆる雪雲に過ぎなかったのです。


気をつけなければならないのは、その類の『目撃情報』は、何も大地震前だけでは無く、毎日のように流されているということ。 そんな雲はいつも出ているはずですが、たまたま見つけたある人の目には不気味に映った、それを一部の人が発信した、ただそれだけです。

そしてまとめ情報は、後から“それっぽいもの”だけを集めた、バイアスかかりまくりの情報だということです。それも、数百数千とあるわけでもなし。統計的情報としては、全く意味がありません。


【情報の印象はいくらでも変わる】
こういうバイアスのかかり方として、わかりやすい例があります。

航空機事故が起こると、その便に乗り遅れて難を逃れたり、便を変更して乗ったばかりに犠牲になってしまったというような、悲喜こもごもが起こります。

そういう個別の情報を見ると、そこに何か不思議な力が働いているような気にもなります。人智を超えた何かが。

しかし、そうではない。そのような乗り換えは、すべての便で起きているのです。つまりどの便が事故を起こしても、必ずそういう話が出てくる。

でも、事故が起きてピックアップされた情報だけを見ると、なんだか不思議に思えるというだけです。


地震雲の話も、ほとんどこれと同じ。ごく一部の情報が、それも普遍的事実ではなく、あくまで個人的印象による情報が意識的にピックアップされて、さらに“信心”や商売によるバイアスがかけられて、大げさになっているだけのこと。

この場合、飛行機事故に当たるのが、大きめの地震です。それが起きると、「ああ、あれが前兆に違いない」というバイアスがかかった印象になり、まとめ情報も数多く発信されるからより目立つ。

しかしその一方で、地震雲らいしものが出ても『何も起きなかった』大半のケース、飛行機事故絡みで言えば、安全に飛んでいる飛行機の乗客のことなど誰も気にしていないか、無視しているというだけです。


【と、いうわけで】
当シリーズの次のテーマは、地震雲。

しかし、前述の通り管理人とて科学的調査や研究をしているわけではありませんから、絶対にあり得ないとは断言しません。

でも、「あれは違うよ」と言うことはできます。過去記事とカブる部分も出てきますが、新たなネタも加えて、何回かお送りしたいと思います。

もし仮に地中からの電磁波が雲を作るのだとしても、世間で騒がれているような形状の雲では無いはず。きっと、素人目にはわからないような変化に違いありません。とにかく、巷で言われるような地震雲はすべて気象現象で説明できますし、気象条件によって『出るべき場所に出ている』だけなのですから。


地震雲を信奉する人、せめて雲の種類とでき方くらいは勉強しようよ。でも、それやると“不思議世界”が壊れちゃうんだよなw


■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。


岩手県盛岡市で震度5弱+余談(#1027)

7月10日の午前3時32分頃、岩手県沿岸北部、深さ88kmを震源とするマグニチュード5.7の地震が発生し、岩手県盛岡市で最大震度5弱を観測しました。

気象庁の発表によると、この地震は『西北西ー東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型』とのことです。西向きに移動して陸側の北アメリカプレート下に潜り込む、太平洋プレート内部の比較的深い場所で起きた、圧縮力による『スラブ内地震』と思われます。

東日本大震災以降、東北地方の沿岸部ではこのタイプの地震が頻発するようになりましたが、岩手県北部は震災の震源域より若干北側に当たり、このタイプの地震はあまり多くはありません。

震災震源域に沿った岩手県南部、宮城県、福島県沿岸部よりは、太平洋プレートの移動による圧縮力の影響が小さいためと思われます。

しかし確実に影響を受けている場所ですので、比較的長い間にじわじわと岩盤に溜まったストレスが解放された地震と考えられます。

岩手県北部沿岸においては、今後もこのタイプが頻発するようにはならないと思われますが、発震する場合は比較的大きめになるかもしれません。

ただし、震災後の東北地方沿岸部におけるこのタイプ、『スラブ内地震』の履歴によれば、最大でも震度5強レベルです。メカニズム的にも、大被害をもたらすような規模にはならないと思われます。


【無関係の小ネタ】
全く余談ではありますが、同日の午前1時15分頃に、管理人在住の埼玉県南部で、震度3の揺れを感じました。

ぐわっと大きく揺れてすっと収まるような地震でしたが、揺れが収まった直後、管理人は「茨城県南部の埼玉寄り、深さ50~70km、マグニチュード4.3から4.5」と判断しました。

さらに、主要動の立ち上がりが強く、揺れの持続時間が短かったことから、おそらく浅めの50km程度だとも考えました。

初期微動と主要動の時間、揺れの感じと方向、震度3以上で発報するケーブルテレビの緊急地震速報のタイミング、そして何より、震災以降の経験値の蓄積からの判断です。

結果、この地震は『茨城県南部(埼玉・栃木県境近く)、震源深さ50km、マグニチュード4.4』でした。

普段から意識していると、居場所の周辺で起きた地震については、こういう判断もできるようになります。もっとも、揺れの後から判断できても防災的には何の役にも立たない、単なるヲタ趣味なのですが。

そんな判断の方法については、現在連載中のシリーズ記事、【ヲタ目線地震教室】で、後ほど解説したいと思います(宣伝w)


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2015年7月 9日 (木)

報道されない真実を知れ~最前線からの報告~(#1026)

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被災地で救助活動中の陸自ヘリコプター(画像はイメージです。この画像の解説を文末に付記します)


過日、現職の陸上自衛隊員氏からお話を聞く機会がありました。

詳しい所属は明かせませんが、某基地の航空科でヘリコプターに乗っている方で、東日本大震災や御嶽山噴火などの災害派遣及び海外のPKOにも出動されています。

伺ったお話の内容は今後の記事に反映させますが、ここでも少し記事にさせていただきます。

その方は、東日本大震災では福島と宮城へ災害派遣で出動されたとのこと。その最前線で見聞されたお話は、震災2ヶ月後から被災地へ入った管理人が、現地で聞いた話を追認するものでした。


【秩序の裏側で】
被災地からの報道では、被災者は皆助け合い、秩序立った行動をしていたというものがほとんどです。それは多くの場合で事実であり、我が国の誇りとも言って良いものです。

しかし、やはりというか、そうではない現実もあったのです。それも、断片的な報道をはるかに超える現実が。

その方は、こう言われました。

「大災害後には、特に女性は自分の身を守ることを考えてください」

阪神・淡路大震災や東日本大震災でも、噂レベルではありましたが、やはり現実なのです。


【自衛隊員が襲われた?】
これは陸自の話ではありませんが、災害派遣の海上自衛隊員が、夜間に沖の大型船から小型ボートで被災地の浜に上陸した時のこと。浜は、真っ暗です。

すると突然、棒などの武器を持った男たちに囲まれ、殴りかかられたそうです。

すぐに身分を明かして事なきを得たそうですが、その男たちは暴漢ではなく、地元の「自警団」だったそうです。被災地で、なぜ「自警団」が結成されていたのか。

阪神でも東日本でも、被災地に外部からの「火事場泥棒」が想像以上に入り込んでいたのは、隠しようの無い事実です。そのような報道は断片的ながらありますし、「自警団」が警備していたという話は聞きます。

しかしそれだけではなく、特に女性に対する身体的危害も少なからず発生しているのです。

海自隊員を襲った「自警団」は、実際に起きた女性に対する危害により、結成されたものだったそうです。

そのような事件は、メディアの取材陣が多い場所では起きません。そして起きてしまっても、被害者を慮って周囲の人は口を閉ざします。だから報道に乗ることはありませんし、仮にメディア側が知っても、“自主規制”してしまうのです。

しかし、現実に起きている。それもあちこちで。上記は一例に過ぎず、実際に最前線で活動した自衛隊員が、女性に対して「まず身を守れ」と言いたくなるような状況が、現実にあったということです。


【海外だけではない】
海外で大災害が起きると、被災者による暴動や集団略奪が起きたというような報道が見られることがあります。

では、我が国では?

滅多に起きません。しかし、起きています。陸自氏の言葉を借りれば、

「主に、日本人ではない人たち」

によるものだと。誤解なきように付け加えますが、このことを記すのは、外国人に対する偏見や差別によるものではありません。あくまでひとつの現実であり、大災害下で我々が直面する可能性のある危険だという認識をする必要があるからです。

さらに、管理人が知るところを付け加えれば、「外国人だけとは限らない」のです。世の中には、様々な人がいます。

「火事場泥棒」だけでなく、開いている商店が狙われ、モノが手に入らないと腹いせに破壊して行くというようなことも、少なからず起きています。


【報道されない真実】
繰り返しますが、外国人が危険だと言いたいのではありませんし、多くの在日外国人は、大災害下でも秩序を守ったのです。

ただ、習慣や考え方の違いもあって、一般的な日本人とは異なる行動も起きているという現実は知っておくべきです。そしてそれは、外国人に限らないということも。

女性に対する危害に至っては、国籍や民族がどうのという話ではありません。危険は、どこに潜んでいるかわからないのです。

報道されることだけが、真実ではない。それに対するセルフディフェンスも、考えておかなければなりません。


もっとも、暴動や略奪に対して、素人ができることはありません。現実には、逃げるだけです。

一方、女性に限りませんが、身体的危害や侵入盗、いわゆる「火事場泥棒」に対しては、人目の無い場所では一人にならない、集団で警備をするなどの対策をしなければならないこともある、ということです。

こういう現実をメディアが流すと、過激に過ぎる自警活動や、外国人に対する偏見や排斥に繋がると危惧されるのでしょう。ごく一部を除き、報道はされないのです。


【“防災”とは?】
災害対策は、どうしてもインフラ停止による耐乏生活対策に目が行きますし、多くの場合それが主眼でもあります。

しかし、つまるところ防災とは何か。

それは、まず『自分の身を守ること』なのです。


災害で失われるものは、人命や財産だけではありません。秩序、そして心も失われることも少なく無いという現実を、忘れてはなりません。


災害下で起こり得る危険を知り、そこから身を守る方法を知り、対策を考え、必要な装備を整え、訓練をして“その時”に備えること。

そのために必要な情報を得て、意識をしておくために、敢えてこの記事を記します。


■掲載画像について■
この画像は宮城県の南三陸町の病院で救助活動をする、陸上自衛隊のUH-60型ヘリコプターです。テレビからのキャプチャですが、実はこの画像、航空関係者やマニアの間でとても有名なになったものです。

一見、病院の屋上に普通に着陸しているように見えますが、そうではありません。

建物の幅は機体幅の3倍もなく、しかも高さ2メートルくらいのフェンスに囲まれています。高速回転しているので見えませんが、ローター(回転翼)はフェンスからはみ出しているのです。もし下降時や上昇時に機体が傾いてローターがフェンスに触れれば、墜落は確実です。

普段からこんな場所に下ろす訓練などしていませんが、常に厳しいケースを想定して精確に操縦するという訓練の積み重ねが可能にした、神業に近い技術です。

狭いだけでなく、このような普通のビルは大型ヘリの重量に耐えるほどの強度がありません。ですからこれは着陸しているのではなく、屋上に着陸装置のタイヤをつけた状態で、半分浮いているのです。

もし普通に着陸してしまったら、着陸装置が屋上にめり込み、安定を失って転覆するでしょう。それを避けるために半分浮きながら、しかし病人などが乗りやすいように、ぴたりと機体を安定させているのです。

パワーをかけて浮いているため、普通の着陸状態ならあまり気にならないローターからの下降気流が凄まじく、ヘリに近づこうとする避難者が、強烈な風に耐えているのがわかります。普通の台風以上の、凄まじい風です。

それでも、この病院から救出するには屋上に下ろすしかないという判断で、訓練でもやらないようなことを一発勝負で決めている瞬間だということを、航空機に詳しくない方にも知っていただきたく、敢えてこの画像を択びました。

なお、この画像はお話を伺った陸自隊員氏とは無関係です。


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2015年7月 7日 (火)

【シリーズUDL09】水編7・UDLで水を長持ちさせるために+水編まとめ(#1025)

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保存水を長持ちさせるためには何が必要か?(画像は自衛隊の給水支援)

■UDLとはUnder Disaster Lifeの頭文字。当ブログが提唱する被災生活の概念です。

今回は水編の最終回として、『水の保存』を考え、最後にまとめをします。


【基本は冷暗所】
水を長期保存する場合の基本は、なるべく光が当たらず、温度変化が少ない場所にするのが基本です。ペットボトルの水は、段ボール箱に入れたままが良いでしょう。

川の水や雨水など雑用水の場合でも、光が当たると中に含まれる藻類などが光合成して繁殖しやすくなり、水が早く濁ります。

実用的にはともかく、あまり気持ちの良いものではありませんから、半透明のポリタンクに保存する場合でも、毛布などをかけて光を遮断しておきましょう。

ベランダなどに備蓄する場合は、光を通さないコンテナ類に入れておくと良いでしょう(下画像は一例)
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【紫外線消毒はできる?】
強い紫外線には、殺菌効果があります。もし電気が使えて殺菌灯があれば、その光を一定時間当てることで、細菌、ウイルスや微生物を死滅させることができます。

殺菌灯は、紫外線の中でも最も殺菌効果が高い波長を、強く発するようになっています。

では、日光の紫外線による殺菌消毒は可能でしょうか。夏場の強い日差しを当てれば、殺菌できるような気もします。

しかしその答えは、「効果はあるものの不完全」です。

日光程度の紫外線では、実用レベルの完全な殺菌はできません。殺菌灯が発する、殺菌効果が最も高い波長は、日光の中にはほとんど含まれていませんし、光の強さも完全殺菌には不足です。

現実に、いつも直射日光が当たっている場所にも、細菌は確実に存在しています。

海外のミネラルウォーターの一部は、きれいな自然水を日光による紫外線消毒のみで瓶詰めにしたものもありますが(日本国内では販売されていません)、飲んだ人が下痢や感染症を起こすことも起きています。

このようなことから、殺菌効果を考えて、水を日光に晒すことはあまり意味がありません。むしろ、温度が上がって細菌などが繁殖しやすくなることもあります。

空の水容器などを強い日光に当てれば、ある程度の殺菌はできますが完全ではなく、それよりもフタを開けておくことで空気中のゴミや細菌が内部に付着する危険の方が大きいと言えるでしょう。

水容器の消毒には、次亜塩素酸ナトリウムの希釈液を使うのが効果的です。


【水でなければ積極的に】
水の場合は「滅菌」というレベルでの殺菌が必要なので、日光の紫外線では不十分です。一方で、衣類、寝具や飲食に関係ない道具類は、積極的に日光に当てるべきです。

UDLでは空調もなく湿気がこもりやすく、トイレの環境は悪く、洗濯もできず、こまめに手を洗えないので、家の中で雑菌類が繁殖しやすい環境になります。日光の紫外線は、そのような菌類を減らし、なるべく繁殖を押さえるためには確実に効果があります。

衣類や寝具などの湿気を取るだけでも、効果は大きいのです。


【水使用時には細心の注意を】
密閉して冷暗所に保存した浄水は、放っておいてもそれほど問題はありません。不安がある場合でも、これまで紹介した方法で消毒することができます。

最も気をつけなければならないのは、水の使用時です。一旦容器を開ければホコリ(もちろん細菌がついています)が含まれる外気に晒され、細菌(場合によってはウイルスも)ついた手で容器にさわることになります。それが水に入らないとは限りません。

水の中に手や容器を入れて汲み出したりすれば、100%細菌類が混入します。ですから、そんな水容器はUDLの飲み水用としては使いモノにならないのです。売ってるけど。

保存容器からのラッパ飲みも100%アウト。口の中は雑菌だらけなのです。その場合は、短時間で飲みきらなければなりません。


給水を受けた直後や開封した時に安全だった水も、特にUDLでは加速度的に危険になる可能性が高いので、一旦外気に晒されたり何かに触れたりした水は、ある程度時間が経った後は、これまで述べたような方法で安全を確保しましょう。

水の使用時には容器の注ぎ口にはさわらず、細菌やウイルスの付着を防ぎます。もし不安があれば、アルコールや次亜塩素酸ナトリウムの希釈液でふき取るかスプレーしておきましょう。

少量で容器をふき取るくらいならば原液でもかまいませんが、次亜塩素酸ナトリウムは布地の色を落としたり、ぼろぼろにしてしまいますし、原液が皮膚ついたら炎症などを起こします。

早い話が、『塩素系漂白剤』の成分とほぼ一緒ですから、ふき取る場合は手につかないようにして、紙類を使いましょう。安全と無駄無く使うことを考えれば、基本的には希釈液がお勧めです。

なお、ウイルス消毒の場合はアルコールでは効果が無いことも多いので、次亜塩素酸ナトリウムの方が確実です。


【気にし過ぎなのか?】
そんなに気を使わなくても大丈夫じゃないか、と思われた方もあるかもしれません。

普段の生活ならばそうでしょう。しかし、UDLは“非日常”であり、しかも長期間続きます。1週間で普通の生活に戻れるくらいならば、それほど気にすることも無いでしょうが。

UDLでは衛生状態が悪く、栄養も十分ではないか偏りがあり、精神ストレスも多く、ひいては免疫力が低下しがちになります。その中で自分とご家族の健康と安全を守るためには、これくらいの気遣いが必要と考えるべきです。


これで水編を終了します。最後に、水編のまとめを。


【水編まとめ】
まず、発災直後の混乱期のために、ペットボトルなどの浄水を家族の3日分は備蓄したいもの。

そして、その後のUDLで飲料水を浄化するための手段は3種類。それぞれに必要な装備と効果は以下の通り。

■煮沸
・カセットコンロと予備ガスボンベ
・細菌、微生物、ウイルス、寄生虫卵を死滅させられる。濁り(不純物)は除去できない 

■濾過
・自作浄水器+中空糸膜フィルター(スーパーデリオスなど)
・自作浄水器で除去できるのは濁り(不純物)のみ。中空糸膜フィルターは濁り(不純物)、細菌、微生物、寄生虫卵を除去。ウイルスは除去できない

■薬品
・次亜塩素酸ナトリウム液(ケンミックス4、ピューラックスなど)
・細菌、微生物、ウイルスを除去。濁り(不純物)と寄生虫卵は除去できない
・保存水に添加することで、消毒効果を長続きさせられる

以上3種類の方法を、状況や水の状態に合わせてハイブリッドして使うことで、安全な水を作ることができます。


■水の保存と運搬のために便利な装備
・飲料水用蛇口付き水タンク
・雑用水用大型タンク(灯油用ポリタンクなど)
・小分け用小型水タンク
・台車、カート、背負子など運搬と運び上げ器具

これらをすべて新しく揃えたとしても、2万円以内に収めることもできますし、UDLだけでなく、平時でも他の用途へ流用できるものも多いのです。その効果を考えたら、決して高い買い物ではありません。 なにより、イザとなったらこれある、という安心感は絶大なのです。

水は生命の根幹です。自分と家族の健康と安全のために、まずはここから備えてはいかがでしょうか。

相変わらず、『防災の専門家』は水そのものを備蓄せよとしか言いませんけどね。


次回からは、栄養編を始めます。


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2015年7月 4日 (土)

久々に毒吐かせていただきますwww(#1024)

最近つくづく思うことがあります。商業ベースの『防災の専門家』って、なんかアレにそっくりだなと。


【仕入れはタダ】
防災の専門家と言っても、行政や学術方面の方々は、それぞれの専門分野で仕事をされて、その結果得られた情報を、メディアの要望などに応えて公開しているわけです。

つまり、出すネタにはおカネも時間も手間もかかっている。

それに対し、メディアに良く出るような商業ベースの『防災の専門家』は、そういう情報を集めて羅列するか、別の形に加工して世に出すことでおカネに変えているわけで。

言ってみれば仕入れはほとんどタダですよ。大部分が、他人が作りあげたネタを集めてるだけだから。

で、それ自体はあまりおカネにならなくても、メディアに露出することで、本出したり講演したりという『本業』の宣伝になるわけですね。もっとも、その内容もほとんど受け売りの集合体なんでしょうが。

それって、まるでアレと一緒じゃないですか。


まとめサイト


キャッチーな関連ネタを集めて、まとめて流して広告収入を得るという。

別に、まとめサイトを批判してるんじゃありません。あれは便利で楽しいし、管理人もよく利用します。情報収集やエンタメとしては。でも、防災は断片的な情報で足りるようなエンタメじゃないんですよ。


【本当に大切なことはどこへ?】
そんな感じだから、出すネタはいきおいキャッチーなトリビアが優先になる。しかも、“ライバル”とカブらないように、なんとかオリジナリティを出そうとする。でも、『本当に大切なこと』は、そんなに多くは無い。

その結果、キャッチーなだけの『本当は役に立たない』情報のてんこ盛りとなるわけで。

でもインパクトを望むメディアがいて、そんなものに疑問を感じないある程度のユーザーがいればこそ、需要と供給が成り立っているんですけどね。


【対立は人気の基本です】
すごく疑問なのは、メディア上で結構ありますよね。『防災の専門家』のコメントに、“かつてはこう言われたけど、実はこうすべきだ”というようなの。

例えば、過去には「グラッと来たら火の始末」とか言われたのが、最近はガス機器の高性能化に加えて、やけど防止を主眼として「火を消しに行かずに、まず安全確保」というように変わったとか、テーブルや机の下に入ると、脱出できなくなるかもしれないから入るなとか。

そういうのは過去の“常識”を否定し、そこに新たなパラダイムを投下するという、実にキャッチーなネタなんですね。どんなネタでも“対立軸”を作ることが、耳目を集める効果的な方法なわけです。エンタメでも政治でも。

言うなれば、人気が出てきたマンガに、主人公と対立する新キャラをどんどん投入して話を膨らませたり、プロレス団体が内部抗争を演出して(断言したら怒られるかな)、盛り上げるのと同じようなものです。

アイドルグループの選挙、あれだって同じですよね。


【小出しにするとおトク】
しかしエンタメならともかく、防災情報には命がかかっています。過去の“常識”が否定されたのならば、積極的に広報しなければならないはずです。

しかし、目にするのは電波媒体や紙媒体のインタビューとかで、ごく断片的な情報のみ。もっと詳しく知りたければ、自分の本を買え、講演に呼べということなのでしょうね。カネ出さなければ『本当に大切なこと』は教えないと。
まあ、カネ払ってもロクでもないことしか無いこともありますけどね。

もっとも、取材を受けたから、限りのある分量の中で述べているだけだと言い返されるでしょうけど。でも、それがお互いwin winの関係(懐かしいぞw)になっているわけです。『専門家』の肩書つき(=自分が責任を負わない)コメントが欲しいメディアと、本業の宣伝になる『専門家』の双方にとって。


広告の手法に、『ティザー広告』というのがあります。例えば車ならば、全体像を見せずにシルエットだけ見せて、もっと詳細を見たいという興味を惹く方法です。そして、全体像を出した時の印象を強めるという。

まったくもってそれに近いなと。まあ商売人であり、人気商売と言っても良いでしょうから、話題を提供し続けることは必要でしょう。でも、あまりに話題性だけじゃないですか?


【これからもやりますよ】
などということを、当ブログでは3年半以上ずっと主張し続けてきたというか、そういう状況だからこそ、こういうブログが始まったのです。しかし所詮は素人、ゴマメの歯軋りは覚悟の上。それでも、主張しなければと。

せめて、このブログを見てくれた方には、『本当に大切なこと』を伝えたい。

これからも、あくまでそれにこだわって、このブログをやって行こうと思います。しかしそれは、『防災業界の嫌われ者』を標榜することでもあります。もっとも、管理人が批判するのは、あくまで一部の『中身が足りない連中』だけですけどね。そういう連中が目立ち過ぎだ。


と言うわけで、言いたい事言って毒吐かせていただきました。

でも、なんでいきなりこんな記事書いたかって?実は文中に特定の方々へのメッセージが仕込まれているんですよwww


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2015年7月 3日 (金)

新幹線火災事件についての考察(#1023)

東海道新幹線車内で男が焼身自殺をするという、ショッキングな事件が起きました。

巻き込まれて亡くなった方のご冥福と、心身に傷を負われた方の早期快癒をお祈りいたします。


【事象面からの考察】
事件の原因や背景は、当ブログの範疇ではありません。しかし、日本が世界に誇る新幹線システムが、たったひとりの暴挙のために危機に陥ったという事実について、あくまで事象面から考察してみます。

まず、巻き込まれて犠牲になってしまった方について。

この方の死因は、当初は一酸化炭素中毒と報道されていましたが、出火後短時間で2両目方面へ移動していることから、その可能性は無いと判断していました。

一酸化炭素中毒は、不完全燃焼などで発生する一酸化炭素をある程度の時間吸引することで、まず意識混濁が起こります。

しかし現場はガソリンが一気に燃焼している状況で、被害者はすぐに火点を離れていますから、死亡するような量の一酸化炭素を吸引した状況とは思えません。

しかも、その後に出火車両に残った乗客に、重篤な一酸化炭素中毒者は出ていないのです。一酸化炭素が発生していなくても、もし他の有毒ガスが発生していたら、他の乗客もあの被害では済まなかったでしょう。

なお、一酸化炭素中毒で死亡した場合は、皮膚が鮮紅色に変わるという著しい特徴がありますから、判断はしやすいのです。なぜあんな報道が出たのかは、理解に苦しみます。

その後、犠牲者の死因は「窒息死」と訂正されました。火災で窒息したというと、煙を吸い込んで息ができなくなったというイメージですが、この場合はそうではありません。

これは、我々が遭遇することもある状況ですので、敢えて解説します。

犠牲者の死因は、「気道熱傷による窒息死」でした。火点のすぐ近くにいたために、炎そのものか数百度に達する熱気を吸い込んでしまい、気道、すなわち気管から肺の内部に重いやけどを負ってしまったのです。

このため、損傷した気道が塞がってしまったか、もしくは肺の内部まで熱で損傷したために呼吸ができなくなり、窒息に至ったのです。


【息を吸うな!】
この状況は、我々が大火災などで遭遇することがあります。

例えば、大きな火災のすぐ近くを通って逃げなければならない場合です。火の周囲の空気は数百度になっていますから、そこで息を吸い込んでしまうと気道内部を焼かれ、短時間で動けなくなります。

板などで火の輻射熱を遮断したとしても、熱い空気までは遮断できません。仮に気道熱傷が軽く、その場を離れられたとしても、その後に大変な苦しみが襲って来ます。

体内の熱傷による苦痛に加え、呼吸が十分にできないのです。対処方法は、病院で気道を切開してチューブを通し、人工呼吸器で呼吸を確保するしかありませんが、大災害下ではそのようなチャンスも無いと考えなければなりません。

とにかく、近くに大きな火が迫ったら、まず「息を止めて速やかに火点から距離を取る」ことが必要です。


1923年の関東大震災では、東京市本所区(当時)の陸軍被服廠跡で4万人近くが火災旋風の犠牲になりましたが、この場合もすさまじい熱気による気道熱傷で、多くの人がその場を動くこともできずに倒れました。

そのような規模ではどうにもなりませんが、もし小規模ならば、火災旋風でも生き残れる可能性が多少は出てきます。なによりまず、息を止めて熱気を吸い込まないことです。 それはもちろん、有毒ガスが含まれるかもしれない煙を吸い込まないことでもあります。


この状況は、火山噴火で火砕流に襲われた場合も同様です。御嶽山噴火では、火口近くでの死因の一部が、気道熱傷による窒息でした。

火砕流が大規模だったら対処のしようもありませんが、規模が小さい、温度があまり高くならない、居場所が火砕流の端だったなどの状況ならば、生き残れる可能性が出てきます。

その場合はなるべく厚い自然素材の布で鼻と口を覆う、ほら穴や窪地に入る、頑丈な箱やリュックなどに頭を入れるなどして、とにかく熱気と火山灰を直接吸い込まないようにすることです。

あとは運を天に任せるしかありませんが、自ら生き残る可能性を高めることはできるのです。

犠牲者のSNSなどを晒して騒いでいる場合ではありません。理不尽な犠牲から我々が学ぶべきことは、他にあるのです。


【新幹線の脆弱性】
次に、新幹線について。

新幹線は、飛行機や海外の一部の高速鉄道のように、手荷物検査などせずに気軽に乗れるのが大きな魅力です。

しかし、そこに脆弱性が潜むことは、以前から指摘されて来ました。今回の事件は、その脆弱性を露わにしたと言えるでしょう。


【新幹線だからこそ】
しかし、「この程度」で済んだのは、新幹線だからこそという部分が大きいのです。

車内でガソリンを10リットル以上も撒いて火をつけたというのに、大きく延焼もせず消火器一本ですぐ消せる程度の火災で済んだこと。

車内設備が激しく燃えたのに、致命的な有毒ガスが発生していないこと。

事故車両が、そのまま自走できたこと。

これは、大変なことなのです。
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画像は消火後の車内です。一時は猛烈な炎が上がったはずですが、焼けたのは火点の周りだけに限られ、樹脂製の内装材が熱で溶けて垂れ下がっているものの、引火はしていません。

我が国の鉄道車両の不燃・難燃化対策は世界でもトップレベルですが、中でも新幹線車両の対策は厳重です。

そして、報道にもありますが、2003年の韓国地下鉄放火事件による惨事を受けて、我が国の対策はさらに強化されているのです。地下鉄車両や、地下鉄に乗り入れる車両の不燃・難燃化対策も、基本的には新幹線と同レベルと言って良いでしょう。

その成果が、今回の事件では最大限に発揮されたと言えます。


【防ぐことはできるのか】
それについては、多くの問題があります。

そこには利便性を取るか、安全性を取るかという大きなジレンマがあります。


ここで、一冊の小説を紹介したいと思います。

1975年(40年も前です)に刊行された、『動脈列島』(清水一行著)です。

この小説は、義憤に駆られたある男が東海道新幹線を脱線転覆させることを計画し、日本政府と国鉄(当時)を脅迫するというストーリーです。

犯人は、それが実行可能であるということを証明するために、新幹線の脆弱性を突いて、予告通り何度も新幹線を止めて見せるのです。

そして要求が通らなければ、脱線転覆させると警告します。果たしてそれは可能なのか。


この小説は、企業小説の大家である清水一行氏が、詳細なリサーチを元にすべて“実行可能”な方法で描いています。

当時と現代では、新幹線の細かいシステムや警備体制は異なります。しかし基本的には変わっておらず、この小説で描かれた新幹線の脆弱性は、現在でもほとんど存在すると言って良いでしょう。

最大の脆弱性は、冒頭の「最初の事件」で語られ、それは今回の火災事件にも通じることでもあります。


古い小説ですが、新幹線の問題についてお知りになりたい方は、ご一読をお薦めします。鉄道ファンでなくても楽しめる、秀逸なミステリーです。 パニック小説ではありませんから、ご安心ください。

なお、原作のエッセンスをすべて再現できていないきらいはあるものの、田宮二郎主演で映画化もされています。


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2015年7月 2日 (木)

【ヲタ目線地震教室16】光の正体ついに解明か?(#1022)

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松代群発地震で観測された「白色蛍光灯のような」発光現象
(気象庁松代地震観測所ウェブサイトから転載させていただきました)


これまで述べて来たように、地震の前に不思議な発光現象が起こることがあるという事実は、否定できません。

しかし、その発生メカニズムには諸説あるものの、未だに決定的な説明はされていません。

一説には、ある程度の規模の地震前に発光現象が起こる条件が揃う確率は、0.5%未満とも言われています。大きな地震は世界各地で起きる中で、実際に目撃された例の少なさからしても、それはあながち間違ってはいないようにも思えます。


【電磁波の強さがポイント】
改めてまとめますと、地震前の発光現象は、電磁波が関係することは間違いないようです。

そして、地震前に地中から空中へ電磁波が放出されることがあるのも、ほぼ間違いありません。その電磁波が、上空80km以上にある電離層に影響を与えることは、事実と言って良いでしょう。

そこで最大の問題となるのは、少なくとも現時点で理論的に考えられる、または観測された電磁波の強さでは、空気中で何らかの媒体を発光させるには、全くエネルギー不足であるということです。

もし、地震前に強力な電磁波が発生することがあるという事実が確認されれば、多くの謎を解くことができます。


【最新理論とされるもの】
最近、これは“決定版”ではないかと言われる理論が発表されました。

米国のサンノゼ州立大学とNASAエイムズ研究センターに所属する物理学者、フリーデマン フロイント氏が発表した理論です。

少し長くなりますが、ナショナルジオグラフィック日本版から一部を引用させていただきます(下記太字部分)


力が加わった玄武岩や斑れい岩に、電荷の“充電スイッチ”が入る。

そこに地震波がぶつかると、岩石内の電荷が解放される。

地質的な条件、「岩脈」と言われる垂直構造も重要だ。マグマが垂直の割れ目に流れ込んで冷えた地盤で、地下100キロに達する場合もある。

ここで玄武岩や斑れい岩が電荷を解放すると、地下から地表へ向けて一気に駆け抜けていくことになる。

電荷は結合して一種のプラズマのような状態になり、猛スピードで移動し、地表ではじけて空中放電を起こす。

これが色鮮やかな光の正体だ。


というものです。地中を縦に貫く岩盤「岩脈」がいわばコンデンサのような働きをして、電荷を空気の絶縁を破壊するほどの強さにまで強め、それが空中に電磁波として発射されることで放電現象を起こすということです。

なお、前述した「発光の条件が整うケースは0.5%未満」というのも、フロイント氏の発表によるものです。


【その他の条件とは】
フロイント氏の理論では、発光現象はマグマ由来の火成岩が縦方向に深くまで貫入した地殻構造我ある場所、つまり火山付近でなければ起きないことになります。

過去に発光現象が起きた場所に、すべてそのような構造があることが確認されたかどうかについては、記事では触れられていません。

ただ、松代群発地震で発光現象が起きた場所は、皆神山を中心とする古代の火山付近であったことは事実です。

特殊な電磁波の発生に加えて、松代群発地震で観測や推測されたように、気象条件や希ガスなどの放出によっても、光り方や色などが影響される可能性も考えられます。

地中から“揺り出された”希ガスの影響で夕焼けがより赤く見えるということも、もしかしたらあるのかもしれません。


一方、昭和南海地震で発光現象があったとされる、四国沖の南海トラフ付近の条件がこの理論にあてはまるかどうかについては、残念ながら管理人は情報を持っておりません。

海底火山のような構造も考えられますので、可能性は十分にありますが。

ただし、上記の理論が正しいかどうかに関わらず、発光の原因はそれが唯一ではなく、その他の理由で起きる可能性も捨て切れません。

今後の研究に期待したいと思います。


【様々なパターンがある】
過去の目撃証言によれば、地震前の発光現象は空が光るだけでなく、球状の光が空を漂った、地面から炎のように立ち上った、地上から空に向かって伸びる一瞬の閃光だったなど、様々なパターンがあります。

色も赤系が比較的多いものの、白、青、虹色などいろいろあります。

いずれも、良く見れば他の自然光とは明らかに違うのですが、確実に識別できるとは限りません。


余談ながら、管理人が防災ヲタになるきっかけとなった、小松左京氏の小説『日本沈没』(1973年)でも、伊豆半島を襲う大地震前の発光現象が、「幕電」として表現されています。

それは松代群発地震での「白色蛍光灯のような」光(撮影は1966年)に似た表現であり、参考にされたのかもしれません。

管理人はそれ以来、今に至るまで大きな地震の前には不思議な発光が起きるかもという意識を持ち続けて来ましたが、実際に説明不能の発光現象を見たことは一度も無いのです。

もっとも、大きな被害が出るレベルの地震に遭遇したことも無いのですが。


【光を見てしまったら】
上記の「最新理論」が正しいとすれば、発光現象はどこでも起きるものではなく、その機会も滅多に無いということになります。近年は監視カメラの発達で不思議な発光が捉えられる機会も増えましたが、それでも目撃証言はかなり限られています。

問題は、他の自然光や人工光と誤認しやすいということです。

例えば、夜間に遠くの雲の中で稲光が光ったりすると、地表からの光で空が光るような、松代の「白色蛍光灯のような」光とそっくりに見えることも少なくありません。 管理人も、昔はずいぶんと誤認したものです。

東日本大震災後の大きな余震では、仙台市郊外の変電所でスパークが発生した様子がお天気カメラに捉えられてリアルタイムで放送されたことがありますが、それが地震による発光現象だと、未だにまことしやかに語られていたりもします。


何にしても、これまで述べたような不思議な発光現象を見てしまったら、その直後から1週間程度の間は、大きな地震に警戒すべきでしょう。

とりあえず、我々にできるのはそれくらいです。


地震前の発光現象については、これで終了します。


■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。


【シリーズUDL08】水編6・水はとにかく重いということ(#1021)

■UDLとはUnder Disaster Lifeの頭文字。当ブログが提唱する被災生活の概念です。

今回と次回は水編の最終テーマとして、『水の運搬と保存』を 考えます。


【とにかく重い!】
水は1リットルで1kg。10リットルなら10kg。この当たり前のことが、UDLでは大きな問題となります。

水道が整備されていない時代や場所では、生活水を井戸や川に汲みに行かなければなりません。古代からずっと繰り返されてきた行為ですが、UDLにおいては、少なくとも水に関しては古代と同じ生活を強いられます。

現代のUDLにおいては給水車が井戸代わりですが、必ずしも近くに来てくれるとは限りませんし、古代には無かった高層住宅もありますし、普段から重量物を運ぶことも滅多にありませんから、より過酷とも言えます。

飲料水が備蓄で間に合ったとしても、下水道が無事ならば、水洗トイレ用や洗濯用の雑用水も必要になります。管理人は東日本大震災の被災者から直接伺いましたが、小規模の自主避難所では、周辺の自宅待機組とも協力して、雑用水を交代で川へ汲みに行っていたとのこと。

車が使えればまだしも、燃料の供給が止まっていたり道路が損傷していれば、それもままなりません。

いずれにしても、UDLでは「水を運ぶ」という作業が、どうしても必要になるのです。それもかなりの頻度で。


【人の振り見て我が振り直せ?】
被災地からの報道では、給水車から水を受け取る被災者の映像があります。テレビに映るのは、ペットボトルやバケツなどあり合わせの容器に水を入れ、それを重そうに運ぶ女性やお年寄りの映像が多いですね。

なぜなら、いちばん“大変そうな画になる”からです。そこでしっかりしたタンクに水を入れ、台車などで楽々運ぶ人の画など“テレビ的に台無し”ですから、まずカメラは向きません。

しかし、そういう人々もたくさんいるのです。あなたもそうなりましょう。

では、具体的に何が必要でしょうか。


【容器にもTPOがある】
誰にもわかることは、まず密閉できる水タンク。折りたたみ式などもありますから、備蓄しておくのも場所を取りません。容量は、重さを考えたら10リットルくらいが良いでしょう。UDLでは、給水車からひとり20リットルも水をもらえることは、まずありません。

飲料水用には、蛇口がついているタイプが水を使う時に便利ですし衛生的です(画像は参考)
Water_jag


特に飲料水用に必要な条件として、雑菌や不純物の混入を避け、中の水をできるだけ空気に晒さず、使用時にも他の容器に触れないようにしなければなりませんから、密閉できる蛇口付きは必須とも言えます。密閉してあれば、消毒用塩素の効果も長続きします。

そうではない「防災用」市販品があるのが信じられないのですが。

一方、雑用水用には蛇口は必要なく、できるだけ容量の大きなものが欲しいところですが、20リットルクラスだと力が無い人には水を移し変えるのも大変ですから、小分けできる5リットルくらいのタンクもあると便利です。

断水下の水洗トイレで便を流す時は、ある程度の勢いが必要です。バケツなどに水を移し変えなければなりませんから、水タンクは誰でも簡単に手に持てるサイズと重量でなければなりません。 満タンの20リットルタンクを楽に抱えられる人は、そうはいませんね。


【運搬手段は必須】
そして、重い水タンクを運ぶ方法。荷物用の台車ならば運搬能力が一番高いのですが、UDL用として家庭に装備するのは、あまり現実的ではありません。下画像は参考ですが、価格は3000円くらいからある、耐荷重100kgの小型のものです。このサイズでも、20リットルタンク3個を十分に運べます(しっかりした固定方法が必要です)
Carry_009
載っている水タンクは10リットルと5リットルのもの。これでも手で運びたくはありません。

台車でなくても、この際赤ちゃん用のバギーでもなんでも良いのですが、10~20kgの重量で長距離を耐えるものでなければなりません。重量物を載せてガタガタ走ると、フレームが折れたり溶接がはがれたりして、結構壊れます。

旅行用のキャスターバッグやスーツケースも使えないことはありませんが、大きな水タンクを入れたら、まずフタが閉まりません。

そこで最も手軽なのは、牽引式のカートです。これひとつあるだけで天地の差となります。しかし、1000円くらいで販売されている細い鉄パイプ製のものは、重量物を繰り返し運ぶと壊れることもあります。

画像のような頑丈なタイプならば、20kgのタンクを繰り返し運んでも、まず大丈夫でしょう。 下画像は、10リットルのタンクを載せた状態です。価格はちょっと張って、3000円台後半からになります(画像は一例)
Carry_007

ここに掲載した画像はすべて管理人の私物ですが、ご覧いただきたい部分は、荷物を押さえるゴムコードやネットも装備していることです。これが無いと、路面の段差などデコボコですぐに荷物が落ちるのです。それで水タンクが割れたりしたら、大変です。

カートに付属しているコードや、自転車用の細いコードではあまり力がかかりませんので、オートバイ用の太いコードを使っています。これならば、重い水タンクもしっかり固定できます。


さて、水が家に着きました。しかしあなたの家はマンションの上層階。もちろん、エレベーターは止まっています。どうしましょうか。10~20kgのタンクを手に持って上層階まで階段を上がるのは、筋トレ好きの管理人でもイヤです。

いろいろ考えた末、少しでも楽ができる装備は、こんなものではないかと(画像は参考)
Backpack_frame
アウトドア用の背負子(バックパックフレーム)です。水タンクだけでなく、背負える大きさのあらゆる荷物の運び上げに利用できます。これでも大変なのですが、あると無いでは天地の差でしょう。 価格は、3000円くらいから数万円まで各種あります。

ちょっと特殊なものですが、引っ張って階段を上れるカートもあります(画像は参考)
Step_cart_2
力があまり強く方には、こちらの方が使いやすいかもしれません。積み替える必要もありませんし。価格は2500円くらいからありますが、なるべく頑丈なものを選びたいもの。

そして、上記ふたつをハイブリッドしたタイプ。UDLの「高層難民」対策には、これが究極かもしれません(画像は参考)
Frame_cart
背負いと引っ張り上げのどちらにも対応できます。価格は8000円弱とちょっと張りますが、便利さは群を抜いています。


【運ぶだけじゃない】
現実のUDLでは、荷物を楽に運べれば良いというわけでもありません。気持ちも体も疲れている中で、なんとかしてもっと楽をするという工夫も大切です。

水に限らず、UDLでは支援物資の配給や開いている商店には、長蛇の列ができます。ほとんど一日中並んでいたというようなことも、実際に起きています。

そこで欲しいのが、アウトドア用の折りたたみ椅子。何時間も立ちっぱなしは大変です。せめてグラウンドシートがあれば、汚れた地面でも座って待てますし、雨が降ったら荷物を守れます。

もちろん、自分の防水も大切です。悪天候の中で行列しなければならないかもしれません。そんな場合には、片手をふさぐ傘など邪魔モノ以外の何物でもないですから、ポンチョやカッパでなければなりません。

強い日射がある場合でも、日傘など持たずに、帽子など被りもので対応すべきです。

そんなことを諸々考えると、それなりの装備を運べて、帰りはたっぷり荷物を積めて、しかも休憩にも使えるこれは使えるなと(画像は参考)
Silver_cart
お年寄り用の買い物カート(シルバーカート)です。もちろんお年寄りがいる家庭にしか無いでしょうし、UDL用に買うのも現実的ではありませんが、かなり使い勝手は良いでしょう。ちなみに、価格は1万円くらいからあります。

何しろ、UDLで水や物資の配給、買い物に出る時は、長時間でも座って待てる装備と日射や悪天候対策は必ず持って出かけるべきでしょう。


【エクイプメント ディバイド】
小見出しは管理人の造語です。「装備格差」とでも言いましょうか。極端に不自由なUDLでは、有用な装備の有無が、生活の質を大きく変えるのです。

しかし大げさな話ではなく、雨の日に傘があるかないか、基本的にはその延長線上です。問題は、だれもが雨=傘と知っているのに対して、UDLで「本当に役に立つ」ものが、正しく知られているとはあまり言えないことです。「被災者の声を反映」などと謳っている商品でも、疑問だらけのものも少なくありません。

水は必ず必要になる、しかし一番運びにくいものです。できるだけ楽に効率良く運ぶための装備は、UDLには必須と言えるでしょう。


『水の保存』は次回へ続きます。次回が水編の最終回となります。


■前回記事への追記 ■
読者の方からのご指摘により、当シリーズ前回記事に関して追記させていただきます。

前回記事では、『最悪の場合』に、川の水を次亜塩素酸ナトリウムで消毒して飲用するケースを考えましたが、北海道を中心に分布するエキノコックスなどの寄生虫卵は、次亜塩素酸ナトリウムだけでは除去できません。

煮沸すればそれも死滅させることができますし、中空糸膜フィルターならば濾過することもできますので、川の水を飲まなければならない場合はどちらかの方法を優先し、どうしても水が必要だけれども他の消毒方法が無い不場合に、次亜塩素酸ナトリウムで消毒して細菌とウイルスを除去するとお考えください。

もちろん、併用すればより安全度が高まります。

※当ブログ及び管理人は、記事で紹介した製品の製造元、販売元等とは一切の関係はありません。

■当記事は、カテゴリ【シリーズUDL】です。


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