ただ電車が止まっただけでなく(#1041)
空調が止まり、非常灯のみとなった京浜東北線車内。ちなみにこれは空いている方面。満員の電車もあった
8月4日の晩、東京を経由して埼玉と神奈川を結ぶJR京浜東北線が、長時間に渡って止まりました。
折しも、午後7時過ぎのラッシュ帯だったことに加え、途中の横浜では花火大会が開催されていたため、帰宅の足を奪われた人が非常に多くなりました。
【プチ帰宅困難】
原因は、電車に送電する架線が何らかの理由で切断されたこと。このため広い範囲で送電が止まり、駅間で立ち往生する電車もかなり出ました。
熱帯夜の中、立ち往生した電車では照明非常灯のみとなってクーラーも換気も止まり、暗闇の蒸し風呂です。最近の車両は開く窓が少ないため、効果的な換気もできません。気分が悪くなる人が続出しました。
電源が入っていた車両でも、いつ動くかわからない満員の車内に、長時間に閉じこめられる状態となりました。
こうなると、もう”都市型災害”というレベルです。
【セルフディフェンスできるか?】
当ブログの読者様にも、巻き込まれた方がいらっしゃるかもしれませんが、そこでは何が欲しかったでしょうか。
車内は満員で真っ暗。しかも立ちっぱなしで温度は30℃以上になり、動く見込みもない。一部の乗客は、自分の判断で非常コックを開けてドアを開き、線路を歩き始めたそうです。そのような行為は、基本的にはやってはいけません。近くの線路に電車が走っている場合はもちろん危険ですし、その後復旧した場合、線路内に完全に人が残っていないかを確認しなければ、再び電車を走らせることができなくなるからでもあります。
但し、いかなる場合も絶対ダメという考えもすべきではありません。鉄道側の対応が無かったり、火災が発生していたり、その場所に津波や山崩れなどの危険がある場合もあります。車内にいたら生命に危険が及ぶと判断したら、迷わず行動すべきではあります。
さておき今回立ち往生した電車では、満員の乗客は係員の誘導で車外へ出て、線路を歩いて駅まで移動しました。でも、誘導が始まるまでに早くても1時半以上かかっています。真っ暗で蒸し風呂となった車内での待機は、過酷なものだったでしょう。
外に出ても、高架上の線路は多少の街明かりがあっても足下は真っ暗。線路はいろいろな機器や突起物が多く、砂利も敷いてあります。これが周りも停電している状態ならば、真っ暗闇です。
駅に着いても、すぐに代わりの路線に乗れた人はラッキーであり、また長時間立ちっぱなしで待たされます。でも、他の交通も止まっていたら、そこで進退窮まります。
売店や自動販売機には列ができていて、やっと飲み物を買えると思ったら売り切れだらけ。最近は夏場のカフェイン飲料の危険が浸透してきているので、水、スポーツドリンク、麦茶など、ジュース類、緑茶・紅茶、コーラ、コーヒー類の順番で売り切れて行きます。
とりあえず喉を潤すだけならともかく、もしその後も水が補給できない、すなわち停電や断水が続くような状況ならば、カフェイン飲料はほんの一口にしておき、一度にたくさん飲むべきではありません。
電車が止まっただけならば、駅のトイレにでも行けば水は飲めます。その後の行動を考えれば、キモチ悪いなんて言っている場合ではありません。
言うまでもなく、これが地震で広い範囲で交通が止まり、停電、断水している状態だったらどうなるか、イメージを膨らませてみてください。
そんな状況に突然放り込まれるのが、都市型災害なのです。それに備えることはできるのでしょうか。
【ひとつの例として】
では、管理人がそこにいたら何ができたか。過去記事では、管理人のEDCグッズを紹介していますが、もちろんいつも持ち歩いています。
まず26ルーメン(明るさの単位)のLEDライト。暗闇の車内でも線路歩きでも十分。車内で天井に向けて照らせば、かなり広い範囲を腕時計が読める程度に明るくできます。昨日の場合は非常灯が点灯していますが、バッテリーが切れたり、機器に損傷があれば真っ暗闇です。
携帯やスマホのライトは、手元を照らすには良いのですが、歩く時に十分とは言えません。それに、こういう場合は通信・情報機器のバッテリーはできるだけ温存すべき。暇だからとスマホで音楽聴いている場合でもありませんし、Twitterに投稿したりネット閲覧しまくっている場合でもありませんよ。
管理人は、主にスマホ用に5000mAhのモバイルバッテリーもEDCしています。iphone5なら充電約2回分、iphone6でも約1.5回分の容量です。
そして水。夏場の外出時は、常時水のペットボトルをバッグに入れています。そのために、外部ポケットのついたバッグを使っていますが、普通はなかなかそうも行かない。
でも、夏場の外出時は常時飲み物を手元に持っている、という意識が必要です。暑い中で移動しながらも水分補給したいですし、常にペットボトル半分、250ccくらいは残っている状態にしておきたいもの。もし災害に遭遇したら、それだけでも天地の差ですよ。でも、何も毎回買う必要はありません。ペットボトルが空になったら、水道水を補給すれば良いのです。
管理人はそれに加えて、最悪の場合は川の水でも飲めるようにできる「浄水ストロー+消毒剤」もバックアップに携帯しています。
さて、駅に着いても電車が動いておらず、何時間待たされるかわからない。歩いても帰れない。ならばポンチョを取り出して、床に敷いて座り込みます。横にだってなれるし、仮にちょっと寒くなっても大丈夫。
それ以前に、電車から脱出する時点で雨が降っていないとは限りません。不安定な線路の上を傘さして歩くのは大変だし、荷物も水濡れから守れません。バッグにパソコンやタブレットとか入っていませんか?外は豪雨かもしれませんよ。
なんとか歩いて帰れるようならば、歩き出す前に絆創膏を足の裏などマメができやすい場所に貼ります。これだけで、マメの痛みに苦しむことがほとんどなくなります。
おながかすいたなと思ったら、カロリーメイトをちびちびかじります。
という感じで、昨晩のような状況ではEDCグッズが大活躍というわけです。基本的には地震などの大災害を想定してEDCしているわけですが、その他の都市型災害でも有効なものであり、むしろそちらの方が、遭遇する機会が確実に多いわけです。
小難しいことを考える必要はありません。いつもあるものが無くなった時、いかに『楽ができるか』、そう考えたらこうなった、それを、いかに軽量コンパクトにまとめるかというセレクトなのです。
ぜひご参考にされてみてください。
【改めてツッコみましょう】
あの状況で、モバイル機器と予備バッテリーが何より必要だと思われた方、いらっしゃいますか?そんなもの、あなたの通信と情報欲を満たしてくれるだけで、あなたの身体や財産をなにひとつ守ってくれませんよ。
モバイル機器だけあれば良かった、と思われる方がいたとしたら、それは『その程度』で済んだ幸運に過ぎないのです。
しかも「本番」では、その通信がほぼ確実にダウンするのですから。
でも、そういうヨタ言う(しかも上から目線だw)手合いが「防災のエキスパート」だの「危機管理のプロ」だの名乗るの、許せますか?
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実はドンピシャで桜木町におりましたw
花火大会なんぞたまたま目撃することはあってもそれを目的に出かけるなんてことは学生の頃からなかったのですが、家内が行きたいというので子連れで大変だろうと思い行ってきました。「帰れないのでは仕方ないから観覧車に乗りましょう」と娘としては楽しんでいたようです。
周辺の鉄道が全滅という稀な事態で人がたくさん集まる状況でしたので4GLTE回線の状態もダメダメでしたが、人出を見込んでコンビニも充電器含めて品切れということはありませんでしたし、桜木町駅前だけでなく周辺の路上には警察官が待ってましたとばかりにテントを張って待機してましたので、状況としてはかなり特殊だったように思います。「復旧の見込みなし」と状況もハッキリしてましたしね。ある意味準備万端の状態だったとも言えます。
それと、周りにいた人たちはほぼ20〜30代の若者ばかりで、たまに仕事帰りのおじ様がいるくらいで、もしかすると半径数百メートルの最長老は私かも?とか思うくらいみんな若くて元気でした。
震災当日の東京ドーム前くらいの人混みにはさすがに恐怖しましたが、早いうちから先が見えてたのでみんなまったりしてたように思います。でもこれが停電するような大地震だったらと思うとちょっとゾッとしますね。
ケータイの充電器を勧める人は電話回線もネットの電波も繋がらない状況というものを経験したことないんでしょうかね?ケータイラジオの方がよほど有効だと思います。
投稿: tnt | 2015年8月 5日 (水) 15時20分
>tntさん
それはお疲れ様でした。ピンポイントで当たっちゃったんですね。そういう時は焦っても始まりませんから、急がないのなら楽しんでしまうというのもひとつの手ですね。でもパパは大変だw
うちは私以外の家族がつかまりました。止まった満員電車で立ちっぱなしだったり途中で運転打ち切りとかで、私が車で迎えに出ましたよw
まあ、それほど大きな混乱が無かったようなので、プチ帰宅困難と。これがもっと酷かったら大変だなと考えるためのきっかけにはなったんじゃないですかね。
なにしろ、そういう時は情報が命。ネットが落ちたらラジオしかありません。AMラジオが一番冗長性が高いのですが、私は常時携帯しているウォークマンのFMラジオです。都市部ならばFMでも大丈夫ですから。
例の御仁は、その発言からほとんど音声通話とメールくらいしか使っていないのがアリアリ。感覚としては、携帯が普及しはじめた阪神・淡路大震災後くらいで止まってますね。
携帯やスマホが個人データベース化して無くすと大変というのは、その後の時代で普通に言われていたことで、決してオリジナルの発想じゃない。
まあ、なんにしろ受け売りで実体験はないでしょうね。
投稿: てば | 2015年8月 5日 (水) 23時04分
暑い中お疲れ様です。
夏用に扇子とスポーツ飲料のパウチをEDCに追加しています。
最近はスポーツ飲料のパウチでも500ml入るものもあります。
プラティパス等の専用品と比べると機能や手入れの点で劣りますが、入手しやすく安価です。
飲んだらコンパクトに畳めますが、ペットボトルと比べて汎用性は低いかもです。
8月2日に幕張メッセで行われた大規模イベントでは会場内はテロ対策の一環で「飲み物持ち込み禁止」だったそうです。
その結果、多数の救急車が出動する悲惨な事態となったそうです。幸い亡くなった方はいない様ですが、、、、
投稿: | 2015年8月 6日 (木) 15時00分
>コメント主様
本当に暑いですね。でも、そろそろピークを超えるという話も。
来年辺りは40℃超えが当たり前になるのかも。どうなるかわかりませんが、そういう覚悟はしておいた方がいいかもしれません。
アルミやビニール製のパウチは、持ち運びしやすくていいですね。私は、アウトドアに長時間出る時には、リュックの中に軍用のハイドレーションバッグを入れて行きます。
プラティパスの大きい奴の、もっと丈夫な奴です。ビニール製で2リットル入り、使わない時は丸めておけます。
私もスポーツドリンク用を、バックアップ用に装備しようかな。普段はペットボトルで、いざとなったら取り出す感じで。邪魔にもなりませんしね。
先日は炎暑の屋外ライブに行ってきましたが、そこで扇子の威力を改めて感じました。ファングッズなんですけどねWこれは普段持ち歩いてもいいかなと思いました。
8月2日の幕張というと、モンストですか。あれ、飲料持ち込み禁止はガセだそうですよ。チェックポイントに飲料がたくさんあったのを、没収物と勘違いしてネットに流されたみたいで。運営から「事実無根」とアナウンス出てます。
この季節にそれやったら、マジで死者出ますってwちなみに、熱中症で死者が出たというのもガセだそうです。
投稿: てば | 2015年8月 6日 (木) 15時50分
前回スポーツ用パウチについて言及した者です。
スポーツ用パウチを水筒代わりに使用して気づいた事があります。
1、水を補給し辛い
漏斗等がないと入り難いです。蛇口につけても全部が入る程飲み口が大きくないので時間もかかります。
2、安全性
中の様子が分からないので汚れ具合が把握出来ません。消毒用アルコールを入れてよく濯いでいますが、、、
結論として、EDC+日常使いを想定するなら登山用品店等で売っているような折り畳み式の水筒を用意した方が良いでしょう。
飲み口が大きいく手入れしやすいので長く使うのが苦ではないです。
イベントの件、失礼しました。
◎◎テレビで言ってたんだけどなぁ〜。
投稿: | 2015年8月27日 (木) 00時35分