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2015年8月 6日 (木)

【ヲタ目線地震教室20】すぱっと切れれば断層雲(#1042)

震災前の話なのですが、気象衛星画像を見ていた管理人は、不思議な雲を見つけました。

それは朝鮮半島上空から西日本上空まで続く、かなり太い一本の雲の帯でした。天気図を見ても、そこに前線や気圧の谷はありません。

もちろん『地震雲』だとは思わなかったのですが、これを『信者』が見たら、きっと大規模な『地震雲』だと大騒ぎするだろうなと思ったのです。


【そう思いたい人々】
管理人は、その不思議な雲の画像を、mixiのコミュニティにアップしました。雲に詳しい方がいたら解説していただきたいと。

すると、別の方で詳しい方wがコメントをつけました。
「すごい『断層雲』ですね!プレート境界の真上じゃないですか!」と。

管理人、内心「やっぱり来たかw」と思いつつ、お返事は遠慮させていただきましたw

前述のように、朝鮮半島から西日本上空にかけて、ほぼ東西に延びる雲です。どこが“プレート境界の真上”なんだか。

でも、大規模な『地震雲』がプレート境界上、すなわち巨大断層上に出るという、根拠の無い“知識”を持つ方々は、それっぽいものがあれば、「プレート境界上に違いない」という思い込みでテンション上がっちゃうんですね。

これなど、まさに典型的なエセ科学の論法です。「そうに違いない」と思ったら、現実の違いなどすっとばして「そういうこと」にしてしまう。

そこで、「本当にそうなのだろうか?」という科学的視点でプレート境界図を重ねたら、“夢の世界”はあっと言う間に崩壊してしまいます。だから、やらない。

もし違いがわかってしまっても、「ならばあれは『地震雲』ではない」とはならず、「プレート境界上でなくても同じような現象が起こることがあるに“違いない”」などと、新たな”理論”を構築しちゃうんですね。

エセ科学とは、まず『○○ありき』で始まり、それを正当化するためには、事実などいかようにもねじ曲げて行くのです。

そんなことの繰り返しで、我が国は世界で唯一の『地震雲大国』になってしまったw前記事でも書きましたが、『地震雲』とか騒いでいるのは、日本だけなのです。


【その雲の正体は?】
その後、気象予報士さんからご教示をいただけました。

その雲はシーラスストリークと呼ばれる巻雲の筋で、高層を流れるジェット気流の低緯度側に並行して現れる、特に珍しくもない雲だそうです。ただ、管理人がアップした画像の場合は、かなりはっきりときれいに出ていて、それは結構珍しいとのことでした。

ちなみに、ジェット気流に並行する巻雲の筋がシーラスストリーク、これに対して、ジェット気流に沿ってほぼ直角に現れる巻雲の筋を、トランスバースラインと呼ぶそうです。

下画像は、当時のものではありませんが、シーラスストリークとトランスバースラインの実例です。
Ss
水色の線がジェット気流のルート、赤色の線で示したのがシーラスストリーク、黄色の点線の中に見られる、ジェット気流に直交するような縞状の雲がトランスバースラインです。

なんとまあ『地震雲』信者が食いつきそうな形状でしょうかw


【断層雲の“定義”とは】
ここまでの話だと、『断層雲』とは断層上空に出る雲ということになりそうです。ところが、実際はそうではないんですね。

『断層雲』で検索ヒットした画像群をご覧ください。
Dansouun

ご覧のように、巨大な雲がすぱっと切れた、あたかも“断層のように見える雲”ということなのです。 ちなみに、画像群の真ん中より少し下に、薄い筋状の雲と直交するような縞状の雲の画像がありますが、これがシーラスストリークとトランスバースラインを地上から見た画像です。ね、やっぱり『断層雲』の仲間にされてるw

なにしろ、あくまでイメージの問題。雲が断層みたいな形で、地震は断層で起きるから、きっと関係あるに“違いない”という、言葉遊びみたいな話です。

そこに後付けで、例えば東京西部に出たら「立川断層上空だ」とか、大阪市内に出たら「上町断層帯上空だ」とか、無理矢理こじつけられるわけで。太平洋上に出ていれば、日本海溝や南海トラフ沿いだと大騒ぎできる。

もちろん、雲の切れ目が断層にぴたりと沿っていることなど無いのですが(時々偶然も起きますが)、最初に登場した『信者』のように、そうだと思えば事実なんかどうでも良いのです。たとえ断層と直交していようとも、“その辺り”に出ていれば“当たり”ということで。

そんな『断層雲』、震災後にかなり“人気”を上げてきました。これもうろこ雲などと同じく、目にする機会がかなり多いので、ネタには事欠かないというのが最大の理由でしょう。画像をネットにアップして「『断層雲』が出ていました。何か起きなければ良いのですが」と、不安がれる機会が多いということですw


【断層雲の正体とは?】
一応触れておきますが、これはもう、うろこ雲などよりタチが悪い。画像群を見ればおわかりの通り、『雲がすぱっと切れている』というだけで、雲の種類はなんでも良いわけです。

高層でも低層でも、空の大部分を覆うような雲でも大きな筋雲の一部でも、とにかくすぱっと切れていれば『断層雲』の仲間。だから、できるメカニズムもいろいろ。

なぜそうなるかと言えば、上空に雲ができる条件がある部分と無い部分ができている、としか言えません。それは気象条件であり、大気重力波などの気象現象でもあり、高層ならばジェット気流の影響もあります。

さらには、低層ならば地表面の状態でも影響があります。例えば、低層に層状に広がった雲が大きな川の上空ですぱっと切れるようなことも、結構あります。風の流れや地表面の温度差が、上空の雲に影響することもあるのです。

『断層雲』の類ではありませんが、東京で一時話題となった『環7雲』もその一種。都心を取り巻く環状7号線道路の上空に沿って積雲が発生する現象で、これは車が出す熱の上昇気流と、風が通りやすい広い道路という条件によって、独特の雲が発生するものです。


【そして最大の理由は】
これもうろこ雲などと一緒。見かけが不思議で不気味だからということに尽きますね。

不気味な雲は、とりあえず『地震雲』。中でも、形が地震の巣である断層をイメージさせるから、特別に『断層雲』という“新ジャンル”が生まれたということです。

昔の『地震雲』は電磁波とか地磁気の影響で震源の方向を示すとか、もうちょっと“科学的”だったんだけどなぁw


次に何をネタにするか考え中ですが、『地震雲』はもういいかな?w


■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。

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