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2015年9月14日 (月)

【関東・東北大水害】やったもん勝ちを許すな(#1056)

Rescue_hero
緊迫の救難シーン。これを撮っているのはマスコミヘリ


ちょっと本題と離れますが、やはりこういう話が出てきました。

今回の関東・東北大水害でも、被災地上空にマスコミのヘリが多数集まったことに批判が集まっているようです。これは20年前の阪神・淡路大震災から強く指摘されて来たことですが、全く改善されていないどころか、悪化の一途という感じです。


【知る権利をタテにするな】
報道ヘリは、国民の『知る権利』をタテにして、被災地上空を飛び回ります。でもその実、要はスクープ映像を抑えたいだけ。最も“数字”になる映像以外には興味は無いのです。

いきおい、最も被害が甚大だったり、過酷な救出劇真っ只中というような場所に集中して、救難活動の邪魔になっているのです。マスコミのヘリがいるせいで、救難ヘリの経路や高度に制限が入ることも少なくありません。

地上の救難活動にも、悪影響を及ぼします。倒壊家屋や被災家屋に人が残っていないか確認する場合、基本的には声を頼りにしますし、サイレントタイムという無音の時間を作って、生存者の声を聞き取ります。でも上空にヘリが常時張り付いていたらサイレントタイムが取れないばかりか、救助隊の指揮命令にも支障を来たします。

一部に、マスコミのヘリが要救助者を発見したという“美談”もあるようですが、そんなものはおまけ。マスコミのヘリがそんなことを大して気にしていないのは、実は放送を見ればわかります。


【捜索なんかしていない】
マスコミのヘリは、主に報道連絡波というマスコミ各社に割り当てられた周波数と、カンパニー波というヘリ基地との交信用周波数で無線交信を行います。

特にテレビ局のヘリは、現場上空では報道連絡波で放送局サイドとの交信を行っており、画角やオンエアのタイミングなどの指示を受けたりします。

今回の水害報道でも、現場上空から記者がレポートする裏に、よく聴くと報道連絡波の交信音声がかぶっていることが良くありました。聞き慣れないと何を言っているか良くわかりませんが、管理人のようなマニアになると、結構わかります。

それを聞いても、眼下で取り残された要救助者が布切れを振って助けを求めている中継映像においても、一度もそれに関する交信が行われたようにはも聞こえませんでした。あくまで放送に関する打ち合わせ的なものが大半で。

そんな映像は、マスコミ的には最も緊迫している“オイシイ映像”に過ぎないということです。仮に要救助者の存在を救難当局に連絡しようとしても、音声通信でその場所をピンポイントで伝えるのは非常に困難で、ランドマークが少ない地方や、ましてや大災害被災地ではほとんど不可能です。狭い範囲では、GPSの座標もほとんど役に立ちません。

ですから、もしマスコミのヘリが要救助者を発見し、速やかな救助に繋がったことがあったとしても、それはあくまで偶然に近いもので、マスコミのヘリが災害時に有用であるという理屈にはなりません。


【バカも休み休み言え】
マスコミのヘリ批判をする報道に、放送関係者のコメントとして、こんなものがありました。放送側からの発言とされていますが、やはりヘリの集中は問題だと。そして最後に、

『・・・できることなら、ドローンを飛ばして撮影したらいい』

これが本当に放送関係者の発言ならば、ほとんど犯罪的です。どうせニセものでしょうが、それにしても無知蒙昧をさらけ出している。


ドローンのような目視やレーダー評定困難な飛行物体が飛んでいたら、その空域には他の航空機は一切進入できなくなります。ただでさえヘリ同士の衝突の危険も大きいのに。

ドローンが救難機の機体に衝突したり、エンジンに吸い込まれたりしたら大事故に発展しますから、空域が完全にクリアになったことが確認されるまで、救難機も近づけないのです。

実際に、最近多発している米国カリフォルニアの山火事現場でも、正体不明のドローンが飛んでいたために消防機が空域に進入できず、消火活動が何時間も遅れたということも現実に起きているのです。なのに、「放送関係者」がドローンを飛ばせだと。

いや、本当はやりたいのでしょう。低コストでものすごい“寄り”の画が取れますから。災害被災地上空のドローン飛行規制をしないと、必ずどこかがやって混乱を引き起こすでしょう。バカな個人がやることも、十分に考えられます。


【具体的な対策を】
大災害時には、自衛隊や警察が空域管制を行い、救難に無関係な機体の空域進入を厳しく制限するなどの対策を行わない限り、スクープ映像を狙う報道ヘリの跋扈を止めることはできないでしょう。

もちろん、過去にはそのような空域管制が行われたこともあります。しかし、報道ヘリは管制の言う事を聞かない。

管理人は、過去のある大事故現場で、航空管制無線を聞いていたことがあります。最初は消防ヘリのみが上空進入を許可されたのですが、気がつくとマスコミのヘリが制限空域内に入っている。無線でも、報道にも進入を許可せよと、かなり感情的な声が飛び交っている。

そのうちに進入が許可されたものの、最低高度制限がかけられた。しかしいつのまにかその高度をはるかに割り込んで降下して、“寄り”の画を撮っている。気がついた管制が高度を上げるように警告しても、知らん顔して低空に張り付いている。しまいには空域退去命令が出て、やっとしぶしぶ離れて行くようなことを実際に目の当たりにもしました。どう見ても、“やったもん勝ち”としか考えていないようで。

もうちょっと書くと、それは航空機の墜落現場でした。高度制限は決してマスコミ対策ではなく、ヘリのダウンウオッシュ(下降気流)が地上の救難活動を支障しないようにというのが主目的だったはず。でもそんなことお構いなく、平気で消防ヘリよりも低い高度にまで降りてきたりもしていました。

すると、あとから集まって来た他社のヘリが「うちも入れろ」と矢のようなリクエストをしてきて、しまいには再び空域は閉鎖されたのです。ヘリの記者にとっては、始末書何十枚書かされようと、それよりスクープ映像という意識がミエミエでしたね。それが現実です。

後で自衛隊や国交省などからマスコミへ指導が入っても、「善処します」とかいいながら同じことやるのでしょうね。何か根本的な対策はないのでしょうか。

今回もやっぱり起きたマスコミヘリ問題。これは我が国だけでなく、メディアが発達したどこの国でも似たり寄ったりのようですが、少なくとも欧米では、航空に関する規制や罰則は我が国より厳格なはず。“やったもん勝ち”が事実上許されているような状況では、また繰り返されることは間違いありません。

今回は報道ヘリについての苦言でしたが、ヘリついでに、あまり知られていない救難ヘリの凄い話を次回はお送りします。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。


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