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2015年9月27日 (日)

【シリーズUDL16】栄養編5・食物繊維+αを摂取するために(#1061)

■UDLとはUnder Disaster Lifeの頭文字。当ブログが提唱する、被災生活の概念です。


今回は、UDLにおける食物繊維の摂取を考えます。

UDLにおける食物繊維の意味は、食品のバランスとか糖の吸収がどうだという普段の概念ではなく、とにかくおなかの調子を整えることに尽きると考えます。

インフラが止まってトイレの環境が過酷になるUDLでは、できるだけいつも決まった時間に、できるだけ短時間で用を済ますことが、ストレス軽減につながるのです。とにかく“快便”であること。

そのために、食事において最も効果的なのが、食物繊維を摂ることなのです。


【普段から不足している】
厚生労働省の指針では、食物繊維を1日当たり20~25g摂ることが推奨されています。しかし、実際には平均値で15g程度の摂取量というのが現状。

普段からそうなのに、食事の内容が限られ、しかも食物繊維を豊富に含む野菜類が決定的に不足するUDLでは、さらに悪化します。“快便”のためには、意識して摂らなければなりません。

それも、生鮮品はあきらめて、常温で長期間保存できる食品からでなければなりません。機能性食品やサプリメントでカバーもできますが、できれば安価で手に入りやすいものにしたいところです。

見づらくて恐縮ですが、参考までに食物繊維を比較的多く含む食品・食材のリストを掲載します。
Photo
これを見ると、UDLでは手に入りづらいものばかりですね。備蓄として実際に使えそうなものは、そば(乾麺)くらいです。

なお、食物繊維には水溶性と不溶性があり、それぞれに身体に対する作用が異なります。理想的には両方をバランス良く摂りたいところですが、ここではあくまで非常時における対応ということで、敢えて分類はしません。


【どれくらいを目標にするか】
理想的には1日20g。しかし普段からあまり足りていないものを、UDLで強化するというのも現実的ではありません。

ただ、UDLでは食事の時間、内容、量、栄養素、環境がかなり偏りがちで、肉体的・精神的ストレスも加わり、ただでさえおなかの調子が狂いがちになります。できるだけたくさん、食物繊維を摂りたいもの。


多くの被災者が言うには、トイレが酷い状態、そうでなくても快適な状態ではないので、できるだけトイレに行きたくなかったと。その結果、ひどい便秘、または下痢をしてしまったという話も多く聞きます。やはり、食べたものはきれいに出さなければなりません。

数日ならともかく、ここで想定している1ヶ月のインフラ停止下では、我慢で済む問題ではないのです。


余談ながら、阪神・淡路大震災では、半壊した無人の建物に侵入し、タンクに水が残っている無事なトイレを見つけては用を足して行く人も少なくなく、『トイレハンター』と呼ばれたとか。これは笑い話ではなく、UDLではそれだけ“流せるトイレ”が貴重になるということです。

そこで、出す方をできるだけ快適にするための、食べる方の工夫の筆頭が食物繊維の摂取というわけですが、さて、どうしましょうか。

学術的な根拠は無いのですが、当ブログでは“ゼロよりマシ”という発想で、とにかく1日5g、できれば10gを目安にしたいと思います。それで、とりあえず1ヶ月。


【どんな食品が良いか】
まず、主食を考えます。米は、数値的には100g中の食物繊維含有量が約0.5gしかありません。しかし、炊いたご飯には高分子のデンプンが生成され、それが大腸の中まで消化されずに到達し、食物繊維と同じ働きをするようになるとのこと。量的にはデータが無いのですが、ご飯を食べるだけで、ある程度は効果が見込めるわけです。

そして、UDLで多くなりがちな麺類。中でも『日本そば』は100g中で約2.7g、通常の一人前で約4gの食物繊維が摂れる最強の麺です。乾麺ならば備蓄食としても最適。そばを1日1回食べれば、目安量の半分くらいは補給できそうです。

一方、中華麺は100g中約2g、パスタ・マカロニ類は約1.5gと、それなりに優秀です。ただ、乾麺類は備蓄しやすくて良い食品なものの、問題はゆでるのに大量の水を使うこと。

水に余裕が無ければ、油で揚げたり炒めたりしていただきましょう。炭水化物、食物繊維に加え、脂質の補給にもなります。

UDLでは、なにも普段の食べ方にこだわる必要は無いのです。ある程度おいしく食べられれば、アイデアと栄養価次第で、何でもアリです。


【より効果的に摂るために】
主食に続いて、食物繊維を特に多く含む食品を考えます。しかし、常温保存が効かない生鮮食品は除外。

すると残ってくるのは、特に家庭の食を預かる方ならばおわかりの方も多いでしょう。乾物類です。かなり優秀なものがあります。 ここで下手な理屈はこねず、食物繊維を多く含む乾物TOP5を挙げてみましょう。カッコ内は、重量比の食物繊維含有量です。

1・寒天 (81.3%)
2・きくらげ (74.2%)
3・ひじき (55.0%)
4・乾ししいたけ (43.4%)
5・わかめ (37.9%)

すごく単純に言ってしまえば、例えばひじきを(乾燥重量)20g食べれば食物繊維が10g強摂れるということ。このように、乾物類には実に優秀な食品が多いのです。これらの食品ををUDLの食事で使うことで、食物繊維の摂取量をぐっと増やすことができます。その重量辺り含有量は、生鮮食品よりはるかに多いのです。

例えば、豚汁を作るにしても、きくらげ、乾ししいたけ、わかめを入れてもいいじゃないですか。寒天は、UDLではちょっと使いづらいかもしれませんが。

この他に青海苔、かんぴょう、昆布も、食物繊維が多い食品です。約30%前後含まれています。


【料理に使わないのならば】
このように、乾物には食物繊維が豊富なものが多いのですが、乾物を直接食べるのは現実的ではなく、調理をしなければなりません。では、調理無しで手軽に食物繊維を補給できるものは無いのでしょうか。

そこで注目したいのが、これ。
Dried_fluits
ドライフルーツです。

常温で長期保存でき、過酷なUDLでの疲労感を癒す甘味であり、そのまま手軽に食べられ、カロリーもそこそこあり、種類によってはビタミン類も豊富で、しかも食物繊維をたっぷりと摂取できるという、実に優れた食品です。

果物の種類によって食物繊維やその他の栄養素の含有量は異なりますが、何しろ天然の食物繊維や栄養素が凝縮されている上に、乾燥させることによって生成された、新たな栄養素を含むものもあります。

ドライフルーツの種類は非常に多いので、あまり理屈っぽく考えずに『とても優れた非常食』として、お好きなものを常にある程度備蓄しておくと良いでしょう。なお、ドライフルーツは重量比のカロリーは低く、良質の糖分を補給できますので、普段のおやつやダイエット食としても優秀です。

糖尿病などで糖分のコントロールをされている方の場合も、果物の糖分は調味料による糖分より血糖値の上昇が緩やかになるため、身体への負担がより軽くなります。


【非常食ばかり食ってるわけじゃない】
災害報道では、非常備蓄食品と炊き出しばかりがピックアップされます。何故なら、それが最も“被災地っぽい”画だからです。自前の備蓄を料理して食事する姿など、全然被災地っぽくない。メディアにとって、被災者は悲惨でかわいそうな存在でなければならず、自分の備蓄で食事をする姿など、メディアには忌み嫌われるのですw

でも、現実の被災地では、カメラが向かない、向かせないそういう人が一番多いのです。当たり前のことですが、メディアに乗る情報は“最も画になるごく一部に過ぎない”ということを忘れてはなりません。


メディアはそれが商売だからともかく、なんだか『防災の専門家』だの『危機管理のエキスパート』だの名乗る連中も、支援物資に頼らずに、自宅の備蓄をやりくりして食いつないでいる、ある意味で『優秀な被災者』のための情報など、ほとんど無視です。

何故なら、当シリーズのような日常と兼用できる食品を勧めても、誰にも『うま味』が無いから。高コストで利幅の大きな非常用品販売者とタイアップしてメディアで売り込めば、売り上げは上がるし紹介者にはキックバックと、両者に『うま味』たっぷりだからです。

こういう関係があるから、『商業ベースの防災の専門家』の言うことは、信用ならんことが多くなるわけですね。仮にタイアップが無くても、メディアのコメントして次の仕事をもらうためには、数字になるキャッチーなことを言うのが一番だから、トリビアばかりになる。それが本当に役に立たなくてもね。


【良い情報は存在する】
何しろ、『商業ベースの防災の専門家』の言うことは、話半分以下で聞くことです。一応、正しいことも言いますよ。でも、それはどこにでもある情報です。管理人のような素人がここまでブログでやっている通り、誰でもアクセスして参考にできる情報ばかりです。その手間をちょっとかけているだけの話。

すなわち、そういう情報はネットでも書籍でも公式資料でも、いろいろ存在するんです。特に、商売っ気がない自治体のウェブサイトなど、探して行くと本当に有用な防災情報がありますよ。でも、そこは商売っ気が無いだけに結構複雑でわかりづらいこともあり、理解するためにはそれなりに基礎知識が必要なことも多いのです。

だから、みんなそれを見ればOKなどと言うつもりもありません。ただ、自ら『本当に役に立つ』情報を欲するならば、断片的で低レベルなメディアの情報など信じずに、ご自分で疑問点をキーワード検索してみてください。良い情報は、意外にたくさんありますよ。


というわけで、最後は恒例の大脱線をしてしまいましたが、栄養編、もう1回やります。


■当記事は、カテゴリ【シリーズUDL】です。

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