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2015年10月 5日 (月)

”サバイバルのプロ”を嗤え(#1063)

先日、NTTdocomoの情報配信サービス『i コンシェル』から、非常に興味深いメールが届きました。なんせdocomoですから、多くの方がこのメールを受信されているでしょう。

Image_2

以下文面
件名: 【iコンシェルインフォメーション】サバイバルのプロが日常的に気をつけている「3つ」のこと

日本は世界でも有数の災害大国。いつどこで被害に遭うかわかりません。サバイバルのプロが普段から気をつけている、3つのことを紹介しましょう。


【テンション上がりましたw】
管理人、文面を見た途端にテンションMAXで、期待に胸を膨らませたのです。なにせ『サバイバルのプロ』の教えが受けられるのですから。

『サバイバルのプロ』というからには、消防、警察、海保や自衛隊など公的機関で、専門的な訓練を受けたような方じゃないかと思ったのです。言うまでも無く“プロ”とは、そういうことですが、なかなかそういう方々のアドバイスを聞く機会はありません。

過酷な状況に対応するための訓練を積んだ方々が、普段の生活で何に気をつけているのか。防災ヲタとしては、興味を惹かないわけがありません。災害で起こり得る危険とその対応を知り尽くし、訓練を重ねたたそういう方々の対策こそが、“本当に役に立つ”ことなのです。

早速、リンク先の記事に飛びました。すると・・・


【身分詐称に等しい粉飾】
しかしそのページ、docomoの防災情報ページなのですが、残念ながらPCではアクセスできません。事実上、スマホからしか見られないようです(ガラケーは未確認)。とりあえず文末にリンクを貼ります。以下、記載内容にツッこんで行きます。

まず、そのページを監修している人物。W田氏としましょう。当ブログでいつもネタにしているW氏とは別人。あちらはW辺氏ですw

その御仁のプロフィールが掲載されたページをリンクします。
W田氏プロフィール記載ページ
まあ、メディアなどで比較的多く目にする方ですね。でも、経歴を見てください。防災絡みの資格は「防災士」だけのようで。しかも過去に『サバイバルのプロ』としての教育や訓練を受けた経歴は無し。「防災士」がプロならば、管理人だって「防災士」だしw

百歩譲って『防災の(カネを稼いでいるという意味において)プロ』だとしても、絶対に『サバイバルのプロ』ではない。自らそう名乗るのならば、完全に身分詐称です。しかし、どうやら自社ページで使っている人間を、docomoが勝手に持ち上げているようです。自社の発注先は優秀だとアピールしなければなりませんからね。

でも、それもユーザーをナメた話です。プロとは言えない人物を、プロとして祭り上げて信頼させようと言うですから。メディアに『防災の鬼』とか持ち上げられて、しかし使えないトリビアや大ウソを撒き散らしている御仁もいたりしますが、同類ですね。

要は、自分でネタ集めて詳しくなられた方がそれをネタに商売している、当ブログで言うところの『商業ベースの防災の専門家』という奴です。災害大国日本では、その程度でも企業、行政、メディアに食い込めばいい商売になるわけです。しかも学術的な専門家より、はるかに高いギャラを取れる。

しかし、『防災の専門家』の経歴など、実は問題ではないのです。問題なのは、“本当に役に立つ、本当に実現できる防災情報”を発信しているか?という一点のみです。


【さあ笑おうぜ】
では、記事の内容。サバイバルのプロが日常的に気をつけている「3つ」のこととは?ここでまず確認しておきましょう。サバイバルとは、「生き残る」ことです。

災害から「生き残る」ために日常的に気をつけていることとは、そのために最も優先されるべき行動のはず。それは自分の身体を災害で想定される外的危険から守り、その後の安全を維持するための行動です。で、その「3つ」とは?

1・電車は3両目以降に乗れ
2・ペットボトル水500ccを常に持ち歩け
3・携帯電話とモバイルバッテリーを常に持ち歩け

だそうで。当ブログの読者様ならば、わかりますよね。ここ、笑うところですw

各項目にはかなり長い解説がついていますが、そこからは都市部での大地震災害に備えるための行動を想定していることが明らかです。都市部の大地震から「生き残る」ために優先して気をつけるべきことが、この3つなんだそうで。

携帯通信機器とモバイルバッテリーは、当ブログではお馴染みのW辺氏が筆頭に挙げているものですね。過去記事(#1034)でも散々ツッコんでいますけど、第3位とはいえ他にも同様の『防災の専門家』がいたとは。

ちなみに、どれも正しいです。鉄道車両が脱線転覆するような事故では、3両目までに重篤な被害が集中することが多くなりますし、災害時には商店から必要な品物があっと言う間に消えるので、最低限の飲み水は確保しておくに越した事はありませんし、できることなら携帯通信機器で連絡や情報収集をしたい。但し、モバイル通信が生きているならば。

でも、これが都市部の地震災害から「生き残る」ために優先されるべき3つだと言われて、「なるほど!さすがサバイバルのプロだ」と思われた方、いらっしゃいますか?そして、NTTdocomoという日本最大のキャリアが、全国的にバラ撒く情報として望ましいクオリティだと思われた方、いらっしゃいますか?ユーザー、かなりバカにされていませんか?

とりあえずウケが良い防災記事を配信するから、メディアに良く出る『専門家』に丸投げしておけという、やっつけ仕事にしか見えませんけどね。ちなみにW田氏、NTTdocomoとは非常に良好な関係のようで、他にも防災関係の記事を一通り監修しています。太い仕事ですw

他の記事にもツッコみどころがいろいろなので、機会があったら触れますね。


【とりあえず正しければという風潮】
言わんとする内容は、それなりに正しい。問題は、優先順位と実現可能性です。

都市部の大地震対策として、なんで電車内の対策が筆頭に来るのか。

大地震時には、都市部の商店から水や食品がすぐに消えることは、もう誰もが知っている。でもそれを誰も知らないが如く上から目線で説いて(文末リンクから記事をご覧ください)、実現が難しいことを平然と“指導”する。

災害時の連絡や情報収集は大事だが、通信ダウンや発着信規制という確実に起こり得る事態を無視して、災害の第一撃を逃れるためにはあまり意味の無い、通信の維持を優先せよと言う。もしかしてdocomo発注の記事だから、通信がダウンするとは書けないとか?笑い事じゃなく真面目な話。

過去に大地震災害で必ず起きている“本当に大切なこと”が、企業のイメージや都合でないがしろにされているのか?

なんでこうなるかと言えば、これらが大地震災害から「生き残る」ために本当に大切なことよりも、実にトリビア的でキャッチーだからです。平たく言えば、記事としてウケるからで、そういう情報ばかりはびこるのは、これまで当ブログで指摘してきた通りです。


一方で、防災情報にありがちな“男性目線”という問題も見えて来ます。水500ccの重さは500グラム。これを毎日持ち歩き、飲んだらこまめに補充できる人がどれだけいるか。男性用バッグでもペットボトルを入れる容量が無いことも多いのに、女性用の小ぶりなバッグに入れられるのか。さらに、常に500グラムの“重り”を持ち歩ける人がどれだけいるのか。ペットボトルにつく露はどう処理するか。

モバイルバッテリーにしても、筆者は携帯電話を3日間フルに使える容量のバッテリーを持ち歩いていると言っていますが、その場合スマホ用ならば10000mAh以上、3日間フルに使おうというのならば20000mAhクラスの容量が必要で、そのクラスの重量は400~500グラムクラスになり、サイズもかなり大きくなります。

500グラムの水と合わせて約1kgの荷重、しかもとてもかさばるものを日常的にEDCできる人がどれだけいるのか。とりあえず正論を言っておけば、方法は自分で考えろということか?

ちなみに管理人、都市部への外出時には実際に500ccの水を持ち歩きますが、バッグに専用のアウターポケットがついているので(ペットボトル収納用にそういうバッグを選んだのです)、収納場所も水滴も気になりません。そういう装備なくして、誰もができることなのか?そんな管理人にしても、EDCしているモバイルバッテリーは、軽量コンパクトな5000mAhクラス。旅行に出るのでもなければ、10000mAhクラスを持ち歩こうとは思いません。

このように、言っていることが理屈として正しければ、その優先順位が低くても、実際に行うことが困難でも“指導”としてまかり通る、防災の世界はそんなのばかりではありませんか。ここで採り上げた記事など、その象徴のようなものです。

そういうハンパな仕事を企業やメディアから丸投げされた『商業ベースの防災の専門家』が平然とやって、メシを食っているのが、世界でも有数の災害大国日本の現状だということです。


【いつでもどうぞ】
当ブログでは、個人攻撃が目的ではありませんので、誰かを批判、非難する際でも基本的にイニシャルで表記します。しかし、最近は敢えて誰だか特定できる方法で書いています。

記事に関しての異論、反論、ご意見はどなたからでも歓迎しますが、最も歓迎したいのが、「この記事は自分のことを書いている」と思われたご本人からご連絡をいただくことです。

いつでも、お待ちしていますよ。

なお、当記事は続編を予定しております。批判するだけじゃなく、対案を提示します。

当記事で採り上げた防災情報ページへのリンク(NTTdocomo公式ページ)

■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

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