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2015年10月 8日 (木)

続々“サバイバルのプロ”を嗤え(#1066)

Hanshin_rail
この画像の高架上と高架下、あなたにとってどちらが危険かまず考えよ(阪神・淡路大震災被害画像)


今回は、例の記事への反論として、都市部における地震対策として普段から気をつけるべきこと3つを、現実に即して考えてみます。でも、「はいこの3つ」で終わりじゃなく、やたらと細かく長いのが「生き残れ。Annex」クオリティですw


【徹底的に想定せよ】
大前提として、いかなる対策も、まず『そこで何が起きるか』がわからなければ、立てようがありません。まず、それを考えます。

都市部で大地震に遭遇した場合、その第一撃であなたの身体を傷つけるものの大半は、建造物、構造物とその中の備品です。場所によっては、土砂災害もあり得ます。

ですから、まず発災害直後にはそれらの危険から身を守らなければなりません。そこが出発点であり、交通機関における危険は、その中に含まれます。

第一撃を逃れることができたら、次の状況はインフラの停止。交通機関、電気、水道、ガス、通信などが途絶します。

その次に、二次的な危険である津波、火災、爆発、有毒ガス、群衆のパニックなどの危険が考えられます。

このように、その時に起こることをできるだけ想定し、その中で安全を維持しつつ、その後の行動を可能にするための行動をしなければなりません。そういう前提で、普段から気をつけるべきこと、それも現実的に可能なレベルでできることを考えるのです。


【それなりの知識は不可欠】
まず最初に起こることは、建物内のモノが転倒や飛散し、建造物からは壁やガラス、部材などが落下し、建物ごと崩れることもある。

強い揺れを感じてから、それらへの対処のために残された時間は、ほんの数秒以下。緊急地震速報などで少し早く大地震の襲来がわかっても、特に直下型地震の場合は、激しい揺れが来るまでに5秒あれば良い方でしょう。

その間に、身を守るためになんとかしなければなりません。ただでさえ、大きな地震が来ると頭の中が真っ白になって動けなくなることもあります。でも、それを乗り越えて行動するために、一番必要なのは何でしょうか。

それは『そこで何が起きるか』を事前に想定し、行動を考えておくこと。そして、それを習慣にしておくことです。さらに、できるだけ実際に身体を動かしてみること。どこで遭遇するかわからない大地震に対して、あなたが「生き残る」確率を高めるには、それ以上の備えはありません。

例えば、建物が古いなら、その中で一番強度のある場所はどこで、どうやって移動するか。

部屋の中に倒れたり飛散したりするものはあるか、それから逃げるにはどうするか。

街中ならば、倒壊しそうだったり壁やガラスが落ちてきそうな建物は無いか。どこへ移動すれば直撃を避けられるか。

人混みの中ならば、パニックに巻き込まれないためには、どのような行動をすべきか。

鉄道に乗っていたら、車内の状況によって効果的な耐衝撃姿勢はどう取るか(乗る場所を選べるならそうすべきだが、指定席など選べないことも)

車に乗っていたら、どのような場所へ停止し、どこへ脱出するか。


これらのような考え方を、普段の生活の一部として、どこへ行っても常に欠かさないよう習慣化すること。それが、最も優先されるべきことなのです。

そのためには、大地震時にはそこで何が起きるか、その時どうするかという知識がどうしても必要です。しかし、状況によってあまりに多岐にわたるので、「こうしましょう」と一言では言えない。

この“本当に大切なこと”がいかに難しく、簡単に表現や“指導”できないことかということは、おわかりいただけるかと思います。

だから『防災の専門家』はわかりやすいトリビアに走りやすく、「あなたの周りで何が起こるか考えておきましょう」くらいでお茶を濁すのです。それは考え方だけで、実際の行動には全く応用できないことです。


「そんなこと普段から意識できない」とか「覚える知識が多すぎて無理」とか思われた方、どう考えるかは自由です。

ただ、大地震に遭遇した時に、ひどい目に遭いたくない。痛い思いをしたくない。とにかく生き残りたいと願い、偶然に頼らず自分で可能性を切り開きたいと思われるのならば、必要な知識を学んで、それを普段から実践してください。

ひとつ確かなことは、メディアで断片的に、それもアオりやトリビア偏重で流される情報をいくら見たところで、災害の第一撃から身を守るチカラはほとんど身に付かないということです。あなたの生き残るちからをアップするためには、あなた自身が能動的に情報を選び、体系的に学んでください。

当ブログは、そういう方をサポートしたいと思ってやっています。


【あとのふたつは】
また激しく脱線しましたが、ここまでが「3つ」のうちのひとつ。では、後の2つは。

もう長々とは書きません。さらっと行きます。

インフラがすべて止まった街中を行動するために最も確保すべきものは、やはり飲み水。しかし、商店での入手はできないと考えるべき。

ならば水を持ち歩くのも正解ですが、かさばるし重いし、量にも限界がある。ならば、飲み水を作れるものを装備すれば良いのです。街中にも、ちょっと手を加えれば飲めるようになる水、結構あります。

管理人がお薦めし、実際にEDCしているのは以下のふたつ。
Mizuq2
Delios
消毒薬つき浄水ストロー「Mizu-Q」(画像は管理人の収納方法)と、中空糸膜フィルター「スーパーデリオス」です。前者は画像の状態で36グラム、後者はフィルターキャップだけなら60グラム。重さも大きさも、ほとんど負担になりません。「スーパーデリオス」は、ペットボトルの口にもぴったり合います。

水を持ち歩くのならば、このようなバックアップを備えた上で。これらがあれば、災害下でも乾きで苦しむことはほとんどなくなります。例えば、水が手に入ったけれど何の水かわからず、飲むのは不安。でもこれらがあれば、ほぼ安全な水にできますし、その気になれば、川の水でも飲めるのです。

こういう有用な製品もあるのに、『商業ベースの防災の専門家』が出す情報には契約やら何やらの“大人の事情”が絡んで自由に出せない。逆に“大人の事情”で、優れてもいないものが紹介されたりもするわけです。それで紹介者が儲かるわけで。


さて、最後のひとつ。それは情報です。例の記事ではモバイル通信がダウンしない前提ですが、大災害下では確実にダウンまたは通信トラフィック規制がかかります。

年始に、いわゆる「あけおメール」の殺到による障害を防ぐためにメールの送受信が制限されることがありますが、大災害時の通信トラフィックはその数十倍、数百倍以上となるでしょう。そこで何が起こるかは言うまでもありません。

ネット回線が生きていても、有用な情報サイトにはアクセスが集中し、ほとんど閲覧できなくなるでしょう。しかし、その次の行動を決めるためには情報が不可欠ですし、心理的にも情報の途絶が一番堪えることは、過去の災害の教訓として生きています。

しかし、携帯やスマホのネット情報は得られないし、個人発信の情報は、見られてもあまりに不正確で、すぐに信用するには危険すぎる。そこで必要なのは、やはりラジオなのです。

できればAM・FMつきトランジスタラジオを持ち歩きたいのですが、普段使わないラジオを常時持ち歩くのは、意外に負担が大きいもの。そこで、ひとつの対策として、ラジオ付きの携帯音楽プレーヤーを選ぶのも良いでしょう。

その場合は大抵FMラジオになりますが、都市部ならば事実上問題ありませんし、詳細な地元情報を流すコミュニティFM放送も受信できます。

スマホのテレビ・ラジオアプリは、あくまでネット経由だということをお忘れ無く。ネットがダウンしたらおしまいですし、本来の通信が回復した時のために、携帯端末のバッテリーは、なるべく温存しておくべきです。

現実には、発災からしばらくの間は、携帯やスマホを持っていても大して役に立ちません。もしそこから情報が得られたら、それは幸運にすぎないくらいに考えて、もっと確実な方法を備えておくべきなのです。

もちろん、モバイルバッテリーを持ち歩いた方が良いのは言うまでもありませんが、決して筆頭に来るものではないのです。


【と、言うわけで】
なんだかんだと長くなりましたが(管理人には短文まとめは無理かw)、当ブログが提示する、都市部での大地震対策として普段から気をつけておくべき「3つ」とは、このようになります。

・自分の居場所の危険を常に探し、避難行動も考えておく
(鉄道の対策はそこに含まれる)
・浄水グッズをEDCしておく
・ラジオ放送が受信できるようにしておく

一見、W田氏の記事に似ていないこともないですが、これらの行動で対応できる幅は比べものにならないほど広がり、普段の肉体的負担もずっと軽くなります。

一方で、正しい知識を学び、常に周囲の状況を観察するという負担は増えますが、すべては、あなたが「生き残る」ためなのです。

災害対策は、最大公約数的に誰もが同じレベルでできることではありません。有効な対策をしている人ほど、ひどい目に遭う確率が下がる。それが冷徹な現実なのです。


最後の最後にちゃぶ台返しさせていただければ、災害対策に「3つ」もへったくれもありません。当ブログ過去記事でも触れていますが、これは読者の興味を惹くための文章テクニックに過ぎず、これだけ覚えればOKのような勘違い、ゆめゆめされませんように。

とりあえず、例の記事のスタイルに合わせたら、当ブログではこうなる、という例だとご理解ください。

なにしろ、くだらないトリビア見て喜んでいる場合じゃありませんよ。



■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。


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