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2015年10月

2015年10月31日 (土)

【ヲタ目線地震教室21】生き残るためにまず知り、そして感じること。(#1079)

Quake_graph
細かいP波の揺れの後に、大きなS波が襲って来る

久々に復活の【ヲタ目線地震教室】、今回からは新テーマ、地震の揺れ方と震源の推定方法についての話です。

でも、素人が地震の揺れ方から震源の推定なんかしても、そんなの趣味のお遊びに過ぎない思われるでしょう。まあ、その通りですw

しかし地震の揺れ方を知っていいれば、揺れを感じた瞬間に危険な地震がどうか判断できますから、避難行動における『命の一秒』を、稼ぎ出せる可能性が高くなるのです。

震源推定はそのオマケみたいなものですが、ご自分がお住まいの地域で起きやすい地震の“クセ”を知っておくことも、避難行動のスピードを上げるために役立つのです。


【最初にP波が到達】
まず、地震動の基本についておさらいしておきましょう。

地下で断層の破壊、すなわち地震が発生すると、震源から最も速い速度で広がっていくのが、P波(初期微動)です。このため、地表ではまず最初にP波を感じることになります。Pはprimary(プライマリ)の頭文字で、「最初の」という意味です。

P波はいわゆる「たて揺れ」で、ガタガタ、ビリビリ、ブルブルという細かい揺れとして感じられることが多いのですが、震源が観測点の真下に近い場合、いわゆる直下型地震の場合は、中規模以上になると、下から突き上げるような「ドン!」や「ドドド!」という強い揺れを感じることもあります。

突き上げられるような「ドン!」や「ドドド!」を感じた場合は、最も危険とされる直下型の、かなり大きな地震です。数秒以内に激しい揺れが襲って来る可能性が非常に高いので、すぐに身を守る行動に移らなければなりません。

なお、P波のたて揺れは建物などに対する破壊力は小さく、人が歩けないほどの揺れになることはありません。恐ろしいのは、その後に到達するS波です。


【次が本番のS波】
P波の次に地表に到達するのが、S波(主要動)です。Sはsecondary(セカンダリ)の頭文字で、「二番目の」という意味です。

S波はいわゆる「よこ揺れ」で、P波よりはるかに揺れる速度も振幅も大きく、建物などに対する破壊力も、P波よりはるかに大きくなります。S波による激しい揺れが始まると歩けなくなるどころか、四つん這いにさえなれないこともあります。

なお、S波は一般的には「よこ揺れ」と言われますが、地震の規模が大きい、震源にごく近いなどの場合は、かなりたて揺れの成分も発生します。大地震の被災者が「上下左右に振り回すような揺れだった」と証言することがあるのは、このためです。

そうなると、耐震強度が低い建物が倒壊する、ガラスや壁材が落下する、固定していない家具などが一気に倒れたり、激しく移動するということなどが起こります。

ですから、身を守る行動は最初のP波を感じた段階ですぐに始めて、S波が到達する前に安全を確保しなければなりません。

しかし、震源が観測点にごく近くて浅い直下型地震の場合は、体感的にはP波とS波がほぼ同時に来るように感じることもあります。その場合、避難行動をする時間の余裕がほとんどありませんから、最も危険な地震と言えます。

さらに、震源からの距離が近い場合には、揺れの周期が比較的短かくなりやすく、その揺れが建物や崖などに大きな破壊力をもたらしやすいという意味でも、最も危険な地震なのです。

建物の中でそのような地震から身を守るためには、“自分が動けなくても大丈夫な対策”をしておかなければなりません。それは建物の耐震強度を上げ、家具・備品類を固定し、ガラス等の飛散防止対策などをしておくことです。

最も危険な直下型地震の典型は、1995年の阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)や、2004年の新潟中越地震などです。


【P波とS波は速度が違う】
P波とS波は地中を伝わる速度がかなり違うため、観測点に到達する時間差は、震源の深さも含めた観測点と震源との距離によって決まります。

言うまでもなく、観測点と震源が近いほどP波とS波の時間差は小さく、震源との距離が伸びるほど、その時間差が大きくなります。

このことを利用して、地震の距離と規模を直感的に判断することができます。

まずP波によるガタガタ、ビリビリ、ブルブルという揺れを感じた時点で、それなりに大きな地震だとわかります。P波はS波に比べて振幅が小さく減衰しやすいので、規模が小さかったり震源からの距離が遠いと、P波を感じられないことも多いのです。

そしてP波を感じてから短時間でS波、よこ揺れが来れば、震源が比較的近い地震であることがわかります。

一方、P波が長い時間続いて、なかなかS波を感じられない場合は、震源はかなり遠いものの、地震の規模はかなり大きいということがわかります。

減衰しやすいP波が、身体に感じられる大きさで遠くから到達している時点で、かなり大きな地震というわけです。

その場合、観測点に次に来るS波の揺れは比較的周期の長い、ユサユサとした大きめの横揺れの可能性が高くなります。地震波は、震源との距離が長くなるほど、揺れの周期が長くなる性質があるからです。

東日本大震災(東北地方太平洋地震)で、大阪では震度3だったにも関わらず、長周期地震動が発生して高層ビルを大きく揺らしたのが、典型的な例と言えましょう。 震源から1000km以上、震源域南端からも600km以上離れた場所にあのような地震動が到達したのは、マグニチュード9.0という超巨大地震だったが故です。

長周期の揺れは、特に中高層建物を振り回すように大きく揺らし、室内に被害をもたらしやすいのです。P波を感じてから避難行動ができる時間は比較的長いのですが、どう動くか考えておかないと、とっさの判断ができなくなりやすいので、普段からの避難行動シミュレーションと、実際に身体を動かす訓練をしておくことが、何よりも大切なのです。

防災グッズを揃える前に、まずはそこからです。モノの対策が一通り済んでいるなら、すぐに今日から。


このような知識と見方に加え、ある程度の経験もしくは訓練があれば、P波を感じた瞬間、そしてその後数秒のうちにその地震が自分にとって危険な地震なのか、その後に何が起きるのかを、瞬間的に予想して行動することができるようになるわけです。

なお、実際の地震波はP波とS波の他に、地表面を伝わって来る地震波である表面波(レイリー波、ラブ波)や、地球内部で反射、屈折して地表に届く後続波、海底地震の際に海水中を伝播してくるT波など、様々に分類されます。

しかし、それは地震学者と地震ヲタだけの世界なのでw、基本的にはP波とS波の性質がわかっていれば良いでしょう。

次回は、震源の推定方法です。


■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。

2015年10月29日 (木)

【シリーズUDL21】衛生編4・こんなのならさらにお手軽(#1078)

■UDLとはUnder Disaster Lifeの頭文字。当ブログが提唱する被災生活の概念です。

アルコール(エタノール)と次亜塩素酸ナトリウム消毒剤の使い方に行く前に、今回は代用品について。


【ちょっと妥協すればお手軽に】
アルコール(エタノール)は、医薬品指定のものならば、肌を直接消毒することができます。

次亜塩素酸ナトリウム消毒剤は、食品添加物指定のものならば、飲み水の消毒に使うことができます。

その代わり、どちらもコスト的には少し高めではあります。

そこで、両者から『肌の消毒ができる』と『飲み水の消毒に使える』という機能を外してしまうと、かなりお手軽な方法が見つかります。


【たっぷり使いたい】
まずアルコール。キッチン用アルコール消毒液も市販されていますが、コスト的にはそれほどお得感はありません。

そこで、家の中や食器などの殺菌に特化してしまって、こんなものを備えておくのはいかがでしょうか。
Alchool_2

業務用アルコール消毒液です。画像のものは5リットルで2000円ちょっとと、かなりお得。管理人も5リットルタンクを備えていまして、スプレーボトルに小分けして、普段から使っています。何より、低コストでたっぷり使えるし、残量をあまり気にしなくて良いのが魅力。

最も使うのが、まな板の消毒。洗剤で洗った後に吹きかけておけば、まな板の傷の中に入り込んでいる細菌まで消毒できます。特に、肉や魚を切った後には欲しいもの。

その他、シンクの隅などカビが生えやすい場所にかけておいたり、生ゴミにひと吹きしておいて、腐敗臭が出にくくするなど、普段からとても重宝しています。キッチンの油汚れをはがす効果もかなり高いですし、エアコンの中のカビを除去するという裏技もあります。値段が高い奴だったら、そんな使い方はもったいなくてw

そしてその手軽さが、UDLではさらに効いてくるのです。環境のあらゆる殺菌に使えますし、特に作業やトイレの後で、手が十分に洗えない時の安心感が抜群です。

溜めた水で手を洗っただけでは何となく気持ち悪いですし、実際に細菌が手に残りやすいどころか、水の中の細菌が再付着することもあるのです。

あれ、肌には使えないんじゃ?という話ですが、法律とか厳密な意味での不適合とかを気にするのならば、その通り。

でも、食品添加物指定されたものならば、「食品の消毒にも使える」ということから、後は皆様の自己判断で。肌に対して完全に安全に使えるとは言えませんが、少なくともUDLにおいては、管理人は喜んで手指や身体の消毒に使うでしょう。

デメリットとしては、市販のアルコール消毒液に比べて、少しアルコール臭がきつい製品もあること、アルコール以外の添加物の効果で、木部などに使うと変色することがあることくらいでしょうか。

なお、業務用アルコール消毒液を選ぶ場合の注意点はふたつあります。
・アルコール濃度が70%以上であること(それ以下だと十分な消毒効果が得られないことがある)
・食品添加物指定されていること

この2点に注意してください。上画像と、文末に販売ページをリンクした製品は、アルコール分約74%で食品添加物指定です。その中で最安値と思われるものを選びました。


【もっとたっぷり使いたい】
さて、次亜塩素酸ナトリウム消毒液も、安価でたっぷり使えるものがあります。洗濯用やキッチン用の、塩素系漂白剤(商品名ハイターなど)です。
Photo
これの主成分が次亜塩素酸ナトリウムですが、少量の水酸化ナトリウムなど他の成分も添加されているので、飲み水の消毒には使えません。

これなど、安価なものは600ccボトルが100円しなかったりしますし、消毒用の希釈液を作るだけならば、1本あれば1年以上普通に使えます。水500ccにキャップ半分くらいしか使いませんから。

主な効能は細菌とウイルスの除去。これがあれば、インフルエンザやノロウイルス感染症が流行しても、家の中に最強のバリアを張ることができます。家の中に感染者がいる場合にも、他の家族に伝染しないようにするために、とても有効な“武器”となるのです。

普段の生活では、希釈液をアルコール消毒液と同じように使うことができますが、注意すべきは、原液に直接触れないことと、換気を良くすること。 原液は肌をかぶれさせる力が強いので、手などについたら、すぐに水で良く洗ってください。希釈液を作る時は、ゴム手袋をつけることをお勧めします。

また、希釈液を撒くとプールのような臭いがしますが、これは微量ながら有毒な塩素ガスです。吸い込みすぎると、人によっては頭痛などが起きることがあるので、使用時は換気を良くしましょう。

言うまでも無いことですが、本来は漂白剤です。色物の服についたら一発で色が抜けてしまいますので、取り扱いには十分に注意を。

裏技的使い方としては、洗濯機に水を張った後、600ccボトルの中身を全部投入して洗濯槽をしばらく回せば、洗濯槽の裏についたカビ菌を死滅させることができます(カビ自体がすべて除去できるとは限りません)。これが100円以下でできるのですから、お得じゃありませんか。


【普段から使おう】
というわけで、今回はアルコール(エタノール)と次亜塩素酸ナトリウム消毒液の安価な代用品と、普段からの使い方をお送りしました。

これらは決してUDL用備蓄ではなく、普段から手軽に使える上に、他のものでは補えない絶大な効果を生むものなのです。

できれば、すべて医薬指定品や食品添加物指定品で揃えられればより良いのですが、今回記事のような安価なものでも、その効果は絶大です。

これらを備えることで、地震災害云々ではなく、近年さらに脅威度を増している各種の細菌・ウイルス感染症に対しても、十分に太刀打ちできるのと同時に、UDL対策を普段の生活に組み込む、ということでもあるのです。


次回は、UDLにおける具体的な使い方を考えます。



■当記事は、カテゴリ【シリーズUDL】です。

2015年10月28日 (水)

サワヤカにしてみましたw(#1077)

Scshot
リーダー等でお読み頂いている皆様へPC画面のスクショを。こんな風になりました

管理人からのお知らせです。

おかげさまで100万PVに到達したからという訳では無いのですが、ブログのデザインを久々に変えてみました。


これまで当ブログは、虚飾を廃して実質を重視するという考えからも、敢えて最も地味でシンプルなデザインを選んできました。

でも、あまりにも色気が無さ過ぎるな、もっと遊んでもいいかなという思いもありました。

それに最近、記事内容に毒が多くなってきているので、もうちょっとさわやかなビジュアルにしようかなとコジつけてみたりもして。


そんなわけで、鮮やかなエメラルドグリーン主体の、シンプルなデザインに変えてみました。

これで、記事の毒素もちょっとは薄まりますかねwww


なんだかサワヤカすぎて、管理人自身が戸惑っておりますが、内容は薄めずに、むしろサワヤカなビジュアルで毒性をごまかしつつw、さらに濃度を上げて行きたいと思っております。

もし読みづらいとか、似合わねえとかのご意見がありましたら、何なりとお申し付けください。


そんなわけで、見かけだけリニューアルした『日本唯一の100万PV防災情報ブログ、生き残れ。Annex』、今後ともよろしくお願いいたします。

なんて安っぽい自慢したら、イヤらしいですよね。(前記事からの続きw)


新感覚のエンターテインメント登場?(#1076)

今回は、あくまで小ネタとして。 しかし長いけどw

もし創作活動をする人や芸能人がこれをやったら、パクりだのヤラセだのさんざん言われることなのですが。


【ある意味でプロの技】
江戸時代の川柳に、こんなのがあります。

講釈師 見てきたような 嘘をつき

江戸時代後期の大衆ニュースメディアは、主にかわら版。そして、ニュースをテラ銭を取ってライブショーで面白おかしく語ったのが、講釈師(現在は講談師が一般的な名称なので、以後講談師)でした。

講談師は、かわら版の内容や取材も含めた伝聞を語っているのですが、そこはプロ。あたかも自分が現場にいたかのように、臨場感一杯に語ったのです。

それを軽く皮肉ったのが、上の川柳。もちろん聴く方もその辺はわかっていながら、その上でニュースソースとしてだけでなく、娯楽としても楽しんでいたわけです。

これなど、ウケるためなら過剰演出や時にはヤラセも厭わない、現代のワイドショーの原型と言っても良いかと。

でもこの場合、聴衆は情報収集と娯楽が一緒にできますから、多少の誇張やウソには目くじらを立てないという、暗黙の了解もあったわけです。ある意味、プロの技にお金を払うという。

それに、誰もが面白いニュースの臨場感を感じたい、できれば自分の目で見たいという心理があります。我々も、事件の録画映像よりライブ映像の方が、確実にテンション上がりますよね。

講談師は、その大衆心理を巧みにくすぐって商売していたわけです。念のため申しそえますと、それはひとつの文化として成立していた事実であり、その事実や現代も連綿と続く文化でもある講談を批判する意図はありません。

でも現代、それもジャンルが違って来ると、そうとも言っていられません。そこで、管理人も一句ひねり出してみました。

防災屋 見てきたように ウソをつき


【現代の講談師ここにあり】
そのまんまですねwいや先日いただいた『防災の専門家』Y氏の講演資料に、実に興味深いものを見つけたもので。

Y氏は、講演中にやたらと自慢しています。毎日のように全国を講演で飛び回っているとか、海外の災害被災地もあちこち行ったとか、東日本大震災被災地は30回行ったとか。

自分は売れっ子だと自慢する安っぽい芸人みたいものかと思ったら、どうもガチでアピールしたいみたいですね。講演依頼とかが減って来てるのかな?それとも増えていて、それを自慢したいのかな?w

なにしろ、メディアのアゴアシ付きでも現場に行っているのは本当でしょうけど、そこで大したことはしていないのでしょうね。

もしあなたが災害被災者だったら、防災とか書いた帽子やTV局のマーク入りヘルメットをかぶった御仁が、カメラや記者を引き連れてウロウロしてたら、話をする気になりますか?

いくら何度も被災地入りしていても、現地の方との直接交流でも無ければ、余所者、しかもメディア側の人間に、いきなり“本当のこと”なんて話しません。

それでも、被災地を直接見ているというアドバンテージを振りかざし、昔の講談師と同じで、あたかも自分だけが見てきた聞いてきたような話しぶりです。


【老害か聴衆をナメてるのか】
Y氏の講演はラストに“お涙頂戴”コーナーが入るのが定番のようです。災害被災地で起きた、日本人ならではの忍耐に富み、自分より他を気遣うような逸話を語って、聴衆の涙を誘ってシメるという演出。

でもそこで語られたいくつかの逸話、ほとんど過去にどこかで聞いた話ばかり。しかも、その手の話はディティールをちょっと変えれば、例えば「自衛隊員から聞いた話」を「被災者から聞いた話」と言って視点を変えれば、すぐに自分が採録したようなオリジナルの逸話になりますし。

でも聞く方はその真偽を検証できないから、ある意味でやりたい放題です。しかもY氏、自分が被災地で見聞した話と何度も強調しながら語ります。

そしてトリに持ってきた話、多分Y氏的にはもっとも感動したというか、もっとも聴衆のお涙を頂戴できる話と考えたのでしょう。この話です。

『小さな女の子が店でお菓子を買おうとしたが、レジで募金箱を見てお菓子を棚に返し、代金を募金した。女の子に礼を言う店員の声が震えていた』

もう、ピンと来られた方もあるでしょう。現場の聴衆にしても、お年寄りとかでなければ、多くの方が気付いたはず。この話がパクリであることに。

それでもY氏、どうやらトリの定番として、このネタを長いこともやっているらしい。メディアにたくさん出ている割に、恐るべき情報リテラシーの低さ。やっぱりその程度だったのですね。

この話の元ネタは、これです。
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(画像は管理人が加工しました)

震災直後の3月14日にツイートされ、その後1万6000回以上リツイートされた、ネット上ではあまりにも有名で、あちこちのメディアでも採り上げられた話です。

そんな有名な話を、自分で見聞したような流れでトリに使うという、しかも何年も定番化しているという、これは正直言ってサプライズでした。聴衆が気付かないとでも思っているのでしょうか。

そもそも震災3日後の投稿ですから、『防災の専門家』が現地で採録できる話ですらない。後で聞いたにしても、語り口がツイートの文面とそっくりで、何をかをいわんや。

これが、防災以前に『危機管理ジャーナリスト』とかも名乗っている人間の現実ですよ。こんなのでも誰も批判しないし、アンケートも「ためになりました」としか書かれないから、裸の王様化しているんですね。


【難癖です。でも】
この記事を読まれて、これは管理人が大嫌いな『商業ベースの防災の専門家』を貶めるための難癖だと思われた方も多いかと思います。

管理人、認めます。これは難癖です。『防災の専門家』を批判する本質的な話ではなく、枝葉末節をディスっているのです。

しかし、曲がりなりにも専門家だのジャーナリストだの名乗る人間の姿勢として、許されることではありません。

そして、言いたいことはこれだけでは無いのです。Y氏の講演の全編に渡って、問題点が山ほどあります。本人の知識・理解レベルの低さに加え、聴衆をナメてかかり、自分の知識を自慢するような言辞も目立ちます。しかし、わざと難解な専門用語を使いつつ使い方が間違えていたりとか、超基本的なデータが間違っていたりとか、底の浅さも露呈させています。

最大の問題は、現実的な防災知識を得ようと思って話を聴いても、結局ほとんど役に立たない90分なのです。問題点やデータ、トリビアは山ほど提示しますが、具体的な解決策はほぼ皆無なのですから。

やはりこれは防災講演ではなく“防災講談”であり、語り手はウケることを最優先する“防災芸人”である言わざるを得ませんね。

そう考える、すなわちこれは“防災エンターテインメント”なのだと考えれば、腹も立たないのかもしれません。でも、そんな手合いが芸人ではなく、『防災の第一人者』と崇められているのが、“世界有数の災害大国”である、我が国の現実なんですよ。

この話、まだ続きます。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

2015年10月27日 (火)

【シリーズUDL20】衛生編3・敵の弱点と武器の効果を知れ(#1075)

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平時は十分な手洗いに勝る感染症予防策なし。しかしUDLでは・・・

■UDLとはUnder Disaster Lifeの頭文字。当ブログが提唱する被災生活の概念です。


前回は、UDLで細菌やウイルスと戦うための“武器”である、アルコール(エタノール)消毒液と、次亜塩素酸ナトリウム消毒液の装備をお勧めしました。

そのふたつがあれば、UDLでも食品以外、飲み水と住環境の消毒のほとんどを賄うことができますから、使い方云々を考える前に、まずは各1本ずつ揃えましょう。


【武器が無ければ戦えない】
これらの消毒剤の詳しい使い方は、自治体の防災ウェブサイトなどで公開されていることが多いのですが(後でお勧めサイトをリンクします)、一般メディアの防災記事にはほとんど載らず、『商業ベースの防災の専門家』もまず採り上げません。

使用目的が、すぐに目に付く効果が少ない衛生維持であり、使用方法もそれなりの知識と技術が必要なので、一片の情報でウケを取れるトリビアネタにはほど遠いからです。

さらに言えば、UDLでの衛生維持という概念も知識も、最初からお持ちで無いような『防災の専門家』もちらほらいらっしゃるようで。まあ、机上の空論屋には無縁の概念でしょう。口先で感染症に注意とか言っても、対処方法を知らなければ問題外です。

でも、これまで述べた通り、UDLのような劣悪な環境になるほど、その必要性が高くなるのです。

防災情報の優先順位をウケる、ウケないで決めるような輩を信用せず、あなたと家族の健康を人任せにしない、過酷なUDLでも”自分の意志”で安全と健康を守りたいとお考えの方は、すぐに備えてください。UDLだけでなく、普段の感染症対策にも必ず役に立ちます。

この先、新型伝染病のパンデミックが起きる可能性も指摘されていますが、その際にも、このふたつの消毒液は、我々一般人が病原体と戦うためのほとんど唯一の武器と言っても過言ではありません。ウイルス感染症に対して、マスクなど大して意味が無いのです。

実際に何らかの重大な危機に陥り、ここぞとばかりに『防災の専門家』が付け焼刃の知識をメディア流した途端に、店頭や通販からこのような商品が消えるはず。そうなる前に、あなたの家の標準装備にしておきましょう。


【敵の弱点とは】
アルコール(エタノール)消毒液は、原液のまま消毒したい場所に噴霧したり、拭き取りに使えます。医薬品指定の製品ならば、肌や傷口周りの清拭に使うこともできます(粘膜には使用できません)

次亜塩素酸ナトリウム消毒液は、希釈した水溶液を消毒したい場所に噴霧したり、拭き取りする場合に使います。飲み水の消毒には、水の量に対して一定の比率の原液をよく混ぜて、30分ほど放置します。

使い方の基本はたったこれだけですが、覚えておくべきことがあります。


何より、“敵”である細菌やウイルスの弱点を突く、武器の効果を知っておかなければなりません。

アルコール(エタノール)は、ほとんどの細菌と一部のウイルスに対して有効で、医薬品ならば肌を直接消毒することができます。なお、アルコールでかぶれる場合もありますから、最初は少量を肌につけてテストしてみてください。 アルコールには脱脂効果があるので、使用すると肌が多少かさつくことがあります。

次亜塩素酸ナトリウムは、ほとんどの細菌とウイルスに対して有効です。希釈液でも肌に直接使うことは避けるべきですが、UDLにおける飲み水の消毒には必須です。水道水の消毒のために添加されているのが、次亜塩素酸ナトリウムです。

このように、両者には向き不向きがあるので、両方用意しておいて使い分ける必要があります。

なお、UDLで脅威となる可能性が高いノロウイルス、ロタウイルスなどには、アルコール(エタノール)消毒は効きません。

大雑把に言えば、細菌の消毒にはアルコール(エタノール)、ウイルスの消毒には次亜塩素酸ナトリウムということで良いでしょう。仮にどちらかひとつだけ備えるのならば、細菌とウイルスに対して効果がある、次亜塩素酸ナトリウム消毒液ということになります。


もうひとつ覚えておくべきことは、次亜塩素酸ナトリウム希釈液の、用途別の希釈率です。主に、家の中の消毒用と飲み水の消毒用の2種類を覚えておけば良いでしょう。

それらについては、後でまとめます。


【備えておくべき商品とは】
まずアルコール(エタノール)消毒液。これはどこの薬局やドラッグストア、または通信販売でも手に入ります。手指や肌の消毒にも使いたい場合は、医薬品指定のものを。

当ブログとして、特にお勧めの銘柄はありません。文末の通販ページリンクには、なるべく安価なものを掲載しています。

次に、次亜塩素酸ナトリウム消毒液。管理人は長いこと「ケンミックス4」(商品名)を愛用しているのですが、最近は「ピューラックス」(商品名)をお薦めしています。どちらも食品添加物として認可されており、飲み水の消毒に使えます。

お薦めを変えた理由は、有効成分の含有率です。「ケンミックス4」は、その名の通り有効成分4%なのですが、「ピューラックス」は6%です。

もちろん濃いから良いということではなく、実は情報量の問題なのです。

自治体の防災サイトなどで、次亜塩素酸ナトリウムによる飲み水の消毒方法や、家の中の消毒用希釈液の作り方などの情報は、有効成分6%の原液を基準にしているものが多いのです。

ですから、いちいち換算しなくても良いように、6%の「ピューラックス」をお薦めすることにします。4%の原液を使う場合は、6%原液のざっと1.5倍の量にすれば良いわけですが、それは大体で大丈夫です。多少量が違ったからと言って、身体に悪影響はありません。

次回は、より手に入りやすい代用品についてです。

念のため申し添えますが、紹介している製品の製造元、販売元と管理人は、一切の関係はありません。



■当記事は、カテゴリ【シリーズUDL】です。


おかげさまで間もなく100万PV(#1074)

100man

当ブログ『生き残れ。Annex』は、おかげさまで間もなく(恐らく10月27日中)100万PVに到達します。日頃からの皆様のご愛読に、心から感謝いたします。ありがとうございます。

トップのビジュアルは、最近は新幹線まで巻き込んでしまっている「あのアニメ」風に、シャレで作ってみましたw30分くらいでサクっと作った粗悪品ですけど。管理人、決して「あのアニメ」のファンというわけではないのですが、あのビジュアルの感じはかなり好きなんです。ブログのキービジュアルにも、なんとなく採り入れてますし。

お分かりにならない方のために、元ネタもお借りして掲載しておきます。要は、サルマネです。本当はもっと細かく再現しようとも思ったのですが、力尽きましたw
Eva


当ブログのスタートは、2012年1月12日。それから約3年と10ヶ月で、ここまで来ました。お送りしてきた記事の総数は、当記事で1074本目となります。

ところで、ちょっと前に100万PV到達という記事があったのをご記憶いただいている方もあるかと思います。

実は、当ブログで利用している『ココログ』の旧集計システムでは、携帯電話からのアクセスがアクセスカウンターに反映されていませんでした。現在は反映されていますが、未反映分が約10万1000PVほど存在するのです。

このため、アクセスカウンターが90万PVに到達した時点で、事実上100万PV到達という記事をお送りしました。

しかし、こんな二重価格のような面倒なことをやっているのもアレですので、今後はアクセスカウンターの表示を公式PV数として、過去の約10万1000PVは、大変申し訳ありませんが“無かったこと”にさせていただこうと考えました。

とにかく、これでスッキリです。当記事アップ時点で、公式に99万9285PVでございます。


そんなわけで、これからも『本当に役に立つ防災情報』をお届けして行きたいと考えております。そのために、正しい情報拡散を阻害する対象や不良情報を巻き散らす対象に対しても、今後も変わらずに忌憚なく意見して参りたいと思います。

なお、当ブログと併せまして、公式Twitterアカウント『生き残れ。Annex公式』も開設しております。ブログ記事の更新情報と、記事にはならないニッチネタ、時事ネタなどを呟いておりますので、そちらのフォローも是非ともお願いいたします。

■生き残れ。Annex公式@ikinokore_annex

それでは、今後とも『生き残れ。Annex』をよろしくお願いいたします。


管理人 てば拝


2015年10月25日 (日)

【宏観現象による地震警戒情報10/25】今回の変化についてのまとめ(#1073)

10月9日に発生した、千葉県北部の井戸の変化その後について注目してきましたが、この辺りでまとめをしたいと思います。

経緯ですが、まず10月9日の晩に、井戸水に震災以来の量とされる砂の混入が見られました。その後砂の混入は一旦収まったものの、数日後から断続的に少量の混入が見られました。そのため、警戒期間を延長して、しばらく様子を見ていました。

結果的に、井戸水の変化と関係がありそうな大きな地震は、幸いなことに発生しませんでした。


【関係ありそうな地震は2回】
過去の経験則から、井戸水の変化に関係がありそうな地震は、小規模ながら2回発生しました。

1回目は、10月15日に茨城県南部の埼玉県境寄りの深さ50kmで発生したマグニチュード2.9、最大震度1の地震です。

2回目は、10月24日に千葉県北西部の深さ80kmで発生したマグニチュード3.9、最大震度2の地震です。

いずれも小規模ですが、震災後に地震が多発している震源域で発生した“良くある地震”であり、過去には井戸水の変化の後に、非常に高い確率で発生していましたので、今回も何らかの関係があったかもしれないと考えられます。

ふたつの地震の震央を、下図に青い丸で示しました(わかりやすいように丸を大きくしています)
Matome
茨城県南部の地震は深さ50km、千葉県北西部の地震は深さ80kmと、多発している場所で起きた“良くあるタイプ”の地震です。

特に、千葉県北西部の震源は井戸の場所にごく近く、そちらの方がより井戸水の変化と関係がある可能性が高いと思われます。


【今後も変わらず警戒を】
上記2回の地震も、必ずしも井戸水の変化と関係があるとは言えませんし、これでもうしばらく起きないということでもありません。

過去にも、井戸水に大きな変化が出ても小規模地震しか起きなかったり、井戸に変化が無くても近くの震源域で地震が起きたこともあります。

震災後に多発している井戸と関係ありそうな地震は、上図の通り茨城県南部から千葉県北西部の比較的深い場所で起きているもので、メカニズム的に震災本震のように超巨大化する、例えば地上に震度6強以上をもたらすような可能性は、ほぼありません。

しかし、上図の震源域でも、地上に被害が出るレベルの規模で発生する可能性は、十分にあります。また、上図はあくまで過去の経験則から、井戸水の変化に関係がありそうな震源域を示したもので、関東南部には沿岸部の海底も含めて、他にも活発な震源域が存在します。

ですから、やはり『いつどこで起きてもおかしくない』と言わざるを得ません。今後も、もし目立つ兆候がありましたら、お伝えして行きたいと思っておりますが、場合によっては事後報告となることもありますので、その点はご了承ください。


■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。


2015年10月24日 (土)

【シリーズUDL19】衛生編2・まず“武器”を揃えよ(#1072)

■UDLとはUnder Disaster Lifeの頭文字。当ブログが提唱する被災生活の概念です。


今回から、UDLにおける衛生維持のための具体的な方法を考えて行きます。

衛生管理には、水や食品も含めた『環境の衛生』と、『身体の衛生』に大きく分けられます。その目的は、ひとことで言えば“病気にならない”ことです。

インフラが止まって手も身体もろくに洗えない中で、いかに健康を保つか。それには、かなり細かい気遣いが必要です。なんと言っても、目に見えない細菌やウイルスは、どこにいるかわからないのです。

しかしちょっとした対策で、目に見えないものの、実際には劇的な効果をあげることもできます。ただし、十分な効果を上げるためには、それなりの備えと技術が必要になります。

それではまず、『環境の衛生』から考えて行きましょう。


【あたなの周りは敵だらけ】
普段の生活では、周りの環境にいる細菌やウイルスの存在を意識することは少ないかと思います。

せいぜい食中毒やインフルエンザなどのニュースを見て、「注意しなければいけないなぁ」と。でも、普段の生活では手を良く洗うくらいで、特別の対策を取られていない方も多いかと思います。

しかしUDLでは、あらゆる条件が感染症の発生を促す方向になるのです。


ここで、現在2015年10月のニュースをひとつ。今年発生しているノロウイルス感染症のほとんどすべてが、遺伝子が変異した新型ウイルスによるものだそうです。すなわち、免疫抗体を持つ人がほとんどおらず、大流行が発生する可能性が非常に高いのです。

このようなこともありますから、これから紹介するウイルス・細菌感染症対策は、普段の生活でも採り入れて行くべきもので、ましてやUDLになれば、対策の有無がとてつもなく大きな差となります。

あなたと意志と対策で、あなた自身と家族を病魔から守らなければなりません。


【敵は細菌とウイルス】
改めて確認しますが、衛生の主な敵は、病原性の細菌とウイルスです。“病気を防ぐ”ことは、そのような細菌とウイルスを除去することと考えて良いでしょう。

そして、細菌もウイルスもとりあえずは生物であり、病気を引き起こす力があると同時に、弱点もあります。その弱点を正確に突けば、除去することができるのです。

ただし、あなたの周りに存在する、すべての細菌やウイルスが危険というわけでもありません。悪さをするのはごく一部です。あまり神経質になりすぎると、今度は精神の健康を損なってしまいますから、あくまで“病気を防ぐ”ことに特化して考えましょう。


【防ぐべき“病気”とは】
UDLの環境で、最も危惧されるのは体力の消耗。それが激しくなれば、生命に関わります。

そして、体力の消耗を引き起こす主な症状は、高熱と激しい下痢です。特に下痢は、身体の水分を大量に失い、トイレ環境が劣悪な中で、周囲に感染を広げる大きな原因ともなります。

高熱や下痢を起こす主な病気は、いわゆる風邪、インフルエンザ、ノロウイルス等感染症(以上ウイルス感染症)と、いわゆる食中毒(細菌感染症)です。UDLにおいては、環境と飲食物への管理を徹底することで、これらの病気を防ぐことが主眼となります。


【戦うための武器とは】
ウイルスや細菌感染症を防ぐ最も有効な手だては、たっぷりのきれいな流水で、石鹸や洗剤も使って手や食器などを良く洗うことです。

食中毒に関しては、それが必要な食品は冷凍、冷蔵や加熱を十分にすることです。

しかしUDLでは、どれもできないか不十分となります。それに代わる対策が必要です。


そのために備える有効な“武器”は、ふたつあります。そのふたつがあれば、ほとんどのウイルス・細菌感染症を予防する効果があります。 と言うか、これが無ければ始まらないというくらいに重要なものでもあります。

使い方は順次解説して行きますが、環境の衛生を維持するために、まずはそのふたつを備えてください。普段の生活でも非常に利用範囲が広いので、備えておいて損はありません。

そのふたつとは、

・アルコール(エタノール)消毒液
Etanol_2


・次亜塩素酸ナトリウム消毒液
Purax

画像は一例です。詳しい商品名などはまた次回。このふたつが手に入らない場合でも、さらに安価な代用品もあります。


■当記事は、カテゴリ【シリーズUDL】です。


2015年10月19日 (月)

【シリーズUDL18】衛生編1・UDLは見えない強敵との戦い(#1071)

■UDLとはUnder Disaster Lifeの頭文字。当ブログが提唱する被災生活の概念です。

Enemies
UDLでは、このような見えない敵とも戦わなければならない


今回から、UDLにおける衛生について考えて行きます。

【忘れられがち、しかし不可欠】
UDL対策というと、つい水、食品や住環境のことに偏り、衛生の維持については忘れがちです。衛生の敵は主に細菌やウイルスであり、その正体が見えないのも大きな理由でしょう。

しかも、衛生対策をしても、目に見える劇的な効果はほとんどありません。ふと気がついたら体調不良も病気も無いくらいの感じで。だから、「これがあれば大丈夫!」というような、トリビア的話題にもならない。

耳目を惹きやすい話ではない、すなわちウケないから、『商業ベースの防災の専門家』もほとんど無視する。


モノの面から見ても、出来合いの“防災セット”の中に、ウエットティッシュ程度以上の、例えばケガ用以外の消毒剤のような衛生グッズが入っていること、まずありませんよね。売る側もユーザーも、その重要さをあまり認識していないし、流通やコストの問題で、そういうものをきっちり入れたら商売のうま味が減るからでしょう。

さらに、消毒剤などは使うためにそれなりの知識と技術が必要なので、そもそも万人向けのセットにはそぐわないのです。

しかしインフラが止まり、肉体的、精神的ストレスが大きなUDLでは、対策の有無がとても大きな差となって、確実に現れます。 だから、“本当に必要なもの”は、あなた自身で備えなければなりません。


衛生対策は単純に病気を防ぐだけでなく、メンタル面にも効果的です。

水や食品の保存状態、さらにはトイレの状態も劣悪で、身体どころか手さえ自由に洗えないUDLでは、目に見えない細菌やウイルスを消毒する手段があるだけで大きな安心感があり、心の安定にもつながります。過酷なUDLでは、不安要素はひとつでも減らすべきなのです。

極端な話、もしあなたが俗に言う『潔癖性』、さらに言えば強迫神経症と呼ばれるような状態だとしたら、そんなUDLで心の平穏が保てるでしょうか。UDLでは、普段の衛生管理がほとんどできなくなるのです。

もしご自分にそういう不安が少しでもあるのなら、迷わず十分な対策を。そこまで行かなくても、過酷なUDLで自分や家族の健康を守るためには“絶対に必要”という認識をするべきジャンルなのです。

埃まみれで後片付けをした後、水が出ないトイレに行った後、その手のままで食事したり赤ちゃんに触れることになったりしても、備えていなければ後の祭りですよ。

それでも、『防災の専門家』は衛生にほとんど触れませんね。防災グッズに専用の衛生用品がほとんど無いということと無関係ではありません。ユーザーの意識が低い、すなわちたくさん売れないから商売にならないし、耳目を惹くトリビアも少ないから、紹介しても話題にならないし。

でも、世間など関係ありません。あなた自身で、あなたと家族を“自然の敵”から守るのです。

【目前の敵は最強の敵ではない】
例として挙げるにはいろいろご意見もありましょうが、象徴的な話をひとつ。ジャングルや山中で戦う兵士の話です。

そのような場所を専門とする部隊の兵士に対しては、戦闘技術に劣らぬほど徹底的に、衛生管理の教育が行われます。それは“屈強な兵士”のイメージを覆すほど微細に渡り、まるで女性の肌ケアのようなことも含まれる、細かい対策です。

ジャングル戦での衛生状態は非常に劣悪であり、その中で移動や野営をしている時間が長くなります。その間に何も対策をしていないと、すぐに“自然の敵”にやられてしまい、屈強な兵士でさえ、敵と戦う前に動けなくなってしまうことがあるのです。

ジャングルには、あらゆる敵が潜んでいます。細菌、ウイルス、アメーバやそれを媒介する生物、毒虫、毒蛇、有毒植物など。それも普段接していない、耐性も免疫も無いようなのがうじゃうじゃいるのです。 それはある意味で銃を持った敵より怖ろしい、気がつかないうちに接触したが最後、身体の中から蝕ばまれる“最強の敵”なのです。


例えば、きちんと教育された兵士は、ジャングル内を移動する際は暑くても腕まくりをしません。何故なら、草の葉でこすったわずかな傷が激しく化膿したり、そこから毒素が入ったり、細菌やウイルスに感染することが普通に起こるからです。

ですから、僅かでも身体に傷がついたら、すぐに抗生物質などで治療します。当然、十分な衛生装備品を持参しています。

ジャングルではない日本の山の中でも、肌を出しているとウルシなどを触ってかぶれたり、ダニ類に噛まれたりして、最悪の場合は生命に関わる感染症にかかります。

そこで「自分は大丈夫」などと根拠もなく無視していると、突然倒れて敵と戦えなくなるだけでなく、仲間にも負担をかけることになる。だから優秀な兵士ほど、衛生には気を配るのです。水や食料にも細心の注意を払うことは、言うまでもありません。


という話、UDLと無関係だと思われるかもしれませんが、過酷な環境下で人間が“自然の敵”と戦うための、象徴的な例として挙げました。

もちろん、UDLでもジャングルよりははるかに安全です。それでも、身体も服もモノもろくに洗えない、水や食品が傷みやすい、トイレが劣悪、疲労やストレスで免疫力が低下している、病原体が拡散しやすい、人が密集する場所で伝染が起きやすいというUDLの状況は、“都会のジャングル”と言っても過言では無いのです。


茨城県常総市の水害現場では、後片付け中にケガをした方が土中にいる破傷風菌に感染して発病しましたが、所詮ひとりだけと甘く見ていませんか?

そこまでの重症より前に怖れるべきは、細菌やウイルス感染による発熱、下痢、食中毒などです。大災害被災地では実際に多発しているものの、その程度の話はニュースにもなりません。

しかし、治療が十分に受けられず水分も十分でない環境では、特にお年寄りや子供には致命的な結果になりかねない重大事です。体力のある方でも、過酷なUDLで寝込みたくはないでしょう。細菌やウイルス感染症には抗生物質が効果的であることが多いのですが、医師の処方がなければ入手できません。しかし、十分な医療が受けられる可能性が低いのが、UDLなのです。

東日本大震災後の被災地では、特にお年寄りが感染症による衰弱で亡くなることががかなりありました。しかし分類上は『災害関連死』としてひとくくりにされているし、メディアも取材しない(事実上できないし問題提起するつもりも無い)ので目立たないだけです。


【自分でできることは何か】
そんなUDLにおいて、衛生のために自分で備えられることは何でしょうか。

大きく分けてふたつの分野があります。ひとつは身体の衛生、もうひとつは水や食品も含めた環境の衛生です。当シリーズでは、それらの問題をなるべく安価で入手しやすいモノを使い、しかも効果的に解決する方法を考えて行きます。

具体的には過去記事で触れた方法の再録がほとんどとなりますが、改めてまとめたいと思います。


■当記事は、カテゴリ【シリーズUDL】です。

2015年10月17日 (土)

ちょっとした日記二題(#1070)

ただいま、10月9日に千葉県北部の井戸水に現れた変化について、その後の地震発生状況を注視していますが、10月15日に茨城県南部の埼玉寄りで震度1が起きた他は、予想される震源域での有感地震は発生していません。

しかし、井戸水の変化が未だ完全に終息していないので、もうしばらくの間は警戒レベルを高めつつ、状況を注視して行きます。

そんな中、管理人今晩は渋谷のど真ん中に行くんですよ。正直、繁華街に出るのは不安もありますが、余程の危険要素が無い限り、防災のために普段の生活を変えないというのも信条。そこで何が起きるか、それに対処するために何ができるかを常に考えつつ、EDCグッズも強化して行ってきます。


【“ためになる”セミナーの話】
さておき、それは本題ではありません。

管理人、最近あるセミナーに参加しました。そしてもうひとつ、あるセミナーの詳細情報をある協力者様からいただきました。これがまたふたつとも、実に“ためになる”セミナーでしたので、その話。

管理人が参加したのは、東京消防庁主催の『地震から身を守る室内安全セミナー 事業所・共同住宅の室内安全対策』(下画像は告知ビジュアル)というものです。
Seminar
ご覧の通り、講師は東京大学生産技術研究所の目黒公郎教授です。

当ブログ記事でもたまに触れていますが、管理人は平成19年の防災士研修で目黒教授の講義を受けて以来、かなりの“目黒ファン”です。というか、地震対策において非常に合理的、実践的そして現実に実行可能な考え方と対策を提示されているので、ファンじゃなくても耳を傾けざるを得ません。

簡単に言えば、「災害対策にはこれが必要です」というだけで、それを実現するための現実的な解決策を示さないか、できもしない対策を平然とバラ撒く、いわゆる『商業ベースの防災の専門家』の対極にあるコンテンツを提示されている教授です。

もっとも、他人のデータをコラボして偉そうに説教する『商業ベースの防災の専門家』と、自ら調査、行動、研究されて解決策を編み出している『学術的な防災の専門家』を、同列で比較しては失礼も甚だしいという話ですが。

一方目黒教授は、当ブログでも頻出させていて、管理人が同名の小説まで書いてしまった『声無き声』を聴け、という考え方を提示されている方でもあります。

災害から生き残った人の声は、ある意味で“成功体験”だから、本当の教訓にはならない。必要なのは、災害から生き残ることができなかった人々がもし語れるならばなんと言うか、実際には聴けない究極の“失敗体験”である『声無き声』を、最大限の想像力を働かせて“聴き取る”こと。そしてそれを実際の対策に生かすことこそが、災害対策の根幹であるという考え方です。

災害でどんなひどい目に遭った、危機一髪だったという話をいくら聞いても、『生き残るために本当に役に立つ』情報はほとんど得られない、ということです。


というわけで、今回も非常に有用はお話をいろいろ聴けました。その内容は、随時ブログ記事に反映させて行きます。しかしまあ、こんな当たり前のことが、なんで世の中の主流にならないのだろうということばかりです。


【できもしないことが行われようとしている】
せっかくですから、セミナーの話題をひとつ。

目黒教授は、主に南海トラフ地震被災予想地域向けに、浮上型の避難所建設を提案されています。

地面を掘り下げて大型フロートを埋め込み、その上に普段はコミュニティセンターなど公共施設として使用できる建物を建てる方法です。そこが津波や洪水などで水没した場合、建物ごと浮き上がるのです。もちろん机上の空論ではなく、構造学のプロが構造やコスト的に実現可能として提示しているものです。

ところが、一部の津波被災予想地域で導入されようとしている避難所は、なんと『水没式』だと。

地下や山腹などに水密式の避難シェルターを作り、その中で水が引くまで持ちこたえる方式。こちらも、構造やコスト面では可能なものです。でも、誰もが思いつきますよね。

いつ扉を閉めるのか?

津波が来る前に、想定された全員が避難できるとは思えない。もしできても、それ以外の人が助けを求めて来る可能性も高い。なのに、その人たちの姿を認めながら、誰が水密扉を閉められるのか。必死に駆けて来る人を見殺しにしなければ、シェルター内が全滅する。誰がその判断をするのか。

避難者にしても、まだ家族が外にいる。ここに来るはずだから、まだ閉めないでくれということが普通に起こる。そこで、扉を閉めることができるのか。

現実には、不可能です。

さらに、扉の上に瓦礫が積み重なるかもしれない、深い泥溜まりができるかもしれない、大火災が起きるかもしれないと考えれば、シェルター内から無事脱出できるとも限らない。

しかし、そういう方式が現実に行われようとしているのが、災害大国日本の、しかも巨大地震・津波被災予想地域の現実だということです。行政や一部の学者、そして施工業者が寄ってたかって、できもしない、“本当は役に立たない”ことをやろうとしているのです。要は、だれかが儲かるということです。

このように、行政が、公的機関が言うから、やるから大丈夫という思考停止は、ゆめゆめされませんうに。こういう例は、他にいくらでもあります。その対策が有効かどうかを判断するのは、あくまであなた自身でなければなりません。


【別の意味で“ためになる”セミナー】
もうひとつは、管理人が参加したのではないのですが、ある協力者様から、詳細な記録をいただきました。

いや実にためになります。何にって、ブログのネタとしてww

何のセミナーかというと、『テレビでおなじみの防災の専門家』Y・T氏の防災セミナーです。


Y氏、さすがに講演の数をこなしているだけあって、何も考えないで聴くのだったら、それなりに飽きさせもせずに90分くらい引っ張りますね。実にこなれている。

でも、そこから何かを得ようと思ったり、現実的な防災知識や解決策を聞きたいと思っている人にとっては、つまらんを通り越して腹が立ってくるほどのもの。あの内容で何十万円とかもらえるのだったら、管理人はもっともらえるwww

ええ、わかってます。世の中がカネを払うのは、内容じゃなくてネームバリューに対してですからね。でも、命がかかっている災害対策でも、巷の多くで求められるのは、あの程度で良いといういう現実でもありますね。

Y氏のセミナー、話題は盛りだくさんです。そりゃいくらでもネタはあります。メディアのアゴアシ付きで被災地巡りしてますからね。面白いのは、海外の災害被災地の話になると、被災者の声が全く出てこないんですね。なんでかって、言葉わからないからwww

加えて、いろいろなデータ(もちろん受け売り)やら衝撃映像やら取り合わせて、それなりに聞かせますよ。最後には定番の被災地お涙頂戴話もあって。実にまあクサい演出。でも、それもご本人が拾った話じゃなくて、ネットとかで有名な話も平然としてたりとか。程度が知れますな。

で、何がいちばん腹立つかというと、行政やら心理やら知識やら行動やら、様々な問題点や間違い(Y氏独自の視点は全く無いけど)を盛んに指摘はするものの、誰もが聞きたい「じゃあどうしたらいいの?」という話がほとんど皆無ということ。指摘だけなら、ちょっと詳しい人なら誰でもできますね。

それに、この話どっかで聞いたなあ、どっかのブログに書いてあったなぁ(爆笑)というフレーズもちらほらあったりして、実に興味深い。


とにかく、防災エンタメとしてはそれなりだけど、問題を解決するためには具体的に何をどうしたら、そのためには何から始めれば良いかのような知識は、何も身につきません。

実際、どんな内容か詳しく知りたい方はいらっしゃいますか?もしお一人でもいれば、シリーズ記事で徹底的にお知らせしますよ。少なくとも、録音・録画禁止とか内容の二次使用禁止や引用禁止とは一言も触れられていかなったようですから。

楽しみなのは、もし記事にした後、Y氏の講演が録音・録画や二次使用禁止とか変わったら面白いなってこと。なんて書いたらすぐやられちゃうかなww記事のご希望は、コメントかメールでお願いします。


■10月19日追記■
匿名の読者様からメールを頂戴しまして、当記事の文面についてのご指摘をいただきました。

文中、『バカでもできますね』という表記は、いくらなんでも失礼ではないか、とても不快だというお叱りでした。

しかし、管理人が『バカ』と書いたのはY・T氏ご本人を指してではなく、一般論として『その立場において求められる能力に著しく欠ける人物』を指してのことです。

しかし、不快に感じられる方がいては申し訳ありませんので、当該『バカでもできますね』という表記を、『ちょっと詳しい人なら誰でもできますね』と、訂正させていただきました。

ご意見ありがとうございました。

■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。


2015年10月16日 (金)

【宏観現象による地震警戒情報10/15】井戸と関連の地震か?(#1069)

現在、10月9日に千葉県北部の井戸水に現れた変化について、その後の状況を注視しております。


【井戸の変化に関連する地震が発生?】
井戸水に変化が現れてから6日後となる本日10月15日午前10時6分頃、茨城県南部の深さ50kmを震源とするマグニチュード2.9の地震が発生し、茨城県水戸市などで最大震度1を観測しました。非常に小規模であり、普段ならばほとんど気にも留めない地震です。

この地震の震央を、気象庁ウェブサイトからお借りした下図で示します。
20151015
この震央は、下に掲載する管理人が製作した南関東の地震多発地域図では、『茨城県南部』と『茨城県南部(埼玉寄り)』のほぼ中間、ふたつの震源域が重なる辺りとなります。震源深さは50kmであり、震災後にこの震源域で多発している、“よくあるタイプの地震”ではあります。
Photo

井戸水の変化から約6日後というほぼ予想された期間内に、予想された震源域で、予想されたタイプの地震が発生しました。これは、過去の経験則に合致するものです。しかし、今回の井戸水には東日本大震災以来という大きな変化が出ていたにも関わらず、地震の規模は非常に小さいものでした。

一応、地震規模以外は予想された内容との整合性はあるものの、これをもって的中だとか言うつもりはありません。上図に示した震源域では、未だに震災前よりかなり高い頻度で地震が発生していますから、本日の地震も単なる偶然である可能性もあります。

では、とりあえず本日の震度1が井戸水の変化に関連する地震だとしたら、これでもう終わりと言えるのでしょうか。


【井戸の状況その後】
管理人は本日、井戸の情報を頂いている協力者様と都内で久々にお会いしまして、詳しいお話を伺いました。

それによると、10月9日の晩に井戸水に大量の砂が混入して強い匂いが出ているのを確認したものの、前記事に追記した通り、10月12日には砂の混入は認められなかったそうです。

しかしその後、9日ほど大量ではないものの、断続的に砂の混入が認められているとのこと。そしてそれは、本日10月15日現在も続いているそうです。

なお、この現象は井戸水の水面近く、ポンプの取水パイプの位置にまでかなり大粒の砂が舞い上がっているということです。すなわち、比較的重い砂粒をそこまで舞い上げる、普段より強い水流が噴出してることを意味します。それは、地下深くでの何らかの普段と違う動きがある、例えば地下水にいつもより強い圧力がかかっているなどの、何らかの変化を表しています。

ただし、その変化が地震の発生と関係するかどうかは、震災後約4年半の経験則で判断するしかありません。

でも現在の状況からすれば、本日15日の震度1で“終わり”だとは考えにくいのです。もうしばらくの間は、千葉県北部近隣の震源域で、比較的大きな地震が起こる可能性を考え、警戒レベルを上げておくべきかと考えます。協力者様も、引き続き『警戒レベル5』を継続されるとのことです。


【非常にわかりづらい状態】
千葉県北部に井戸水に現れる変化と近隣の震源域で発生する地震の関係は、震災後の余震活動が収束して行くにつれて、だんだんわかりづらくなって来ています。

その推移の過程は、当カテゴリ【地震関連】の過去記事、【宏観現象による地震警戒情報】シリーズの一連の記事をご覧いただくとお分かりいただけますが、はっきりした関係が見えづらくなってきたために、そのシリーズの記事は今までお休みしておりました。

そんな中、震災以来という大きな変化が現れたために、今回の記事をお送りしました。その結果、今回は何も起きなかった、もしくは小規模で済んだということであれば良いのですが、前記の通り、まだ“終わり”とは言えないと考えています。

とりあえずあと1週間程度、来週の22~23日くらいまでは、警戒レベルを上げつつ様子を見たいと思います。でも、あまり気にされないでください。あくまで普段の生活を送ることが前提です。

引き続き、続報がありましたらお伝えします。


■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。

2015年10月11日 (日)

【宏観現象による地震警戒情報10/11】画像をいただきました(#1068)

ひとつ前の1067号記事でお伝えした通り、当ブログで宏観現象の情報をいただいている、千葉県北部の井戸水に大きな変化が出ています。


【大量の砂が混入した画像】
その変化は、10月9日から井戸水に大量の砂が混入していることで、さらには水にかなりの匂いも出ているとのこと。これはいずれも、千葉県北部から茨城県南部の震源域で地震が発生する数日前に、かなり多く見られた現象です。

しかも今回は、混入している砂の量が東日本大震災時に匹敵する量ということで、これらのことを過去の経験則に当てはめれば、数日中、具体的には10月14から15日くらいまでの間に、かなり大きな地震が発生するかもしれない可能性を示しています。

本日、情報を頂いている協力者様から、砂が混入した井戸水の画像をいただきました。
Sand
井戸水をポンプでくみ上げてバスタブに入れたところ、画像のように大量の砂が混じっている状態で、強い匂いも出ていて、炊事などには使えないレベルだそうです。

管理人も過去何度も画像を見せていただいていますが、この量の砂を見るのは初めてです。

協力者様の経験則では、この状態は『警戒レベル5段階中の5』、すなわち最大級の警戒が必要という状態だそうです。


【どんな地震が起きる可能性があるか】
下図をご覧ください。

Photo

この図は東日本大震災後に、千葉・茨城県境付近で比較的多くの地震が起きている震源域を、管理人がまとめたものです(公式の資料ではありません)

今回の井戸の変化で、地震の発生が最も懸念されるのが、ピンク色で示した『千葉県北西部』の震源域で、この場所では震源深さ70~90kmの地震が多発しています。実は、変化が起きる井戸はこのピンクの範囲内にあります。

この場所で地震が起きると、震央周辺はもとより、東京湾を挟んだ東京23区から神奈川県東部まで、震源からの距離が比較的離れた場所まで、かなり大きな揺れとなります。恐らく、地下に地震波が伝わりやすい構造があるものと思われます。

その次は、オレンジ色で示した『茨城県南部』の震源域です。ここでは主に震源深さ40~70kmの地震が多く、南関東で最も活発な震源域のひとつと言って良いでしょう。図では3つの地域に分けていますが、過去に井戸の変化後に起きた地震の頻度からすると、最も可能性が高いのが『茨城県南部』、その次が『茨城県南部(埼玉寄り)』、そして『茨城県南部(霞ヶ浦付近)』となります。

これらの震源域を含めて薄い黄色で示した範囲が、千葉・茨城県境付近で地震が多い地域ですが、その大半はピンクとオレンジの範囲内で発生しています。


【わからない、でも警戒を】
何度も繰り返していますが、この情報は協力者様の経験則と管理人の検証による、ひとつの予想に過ぎません。上記の震源域で地震が起きる可能性は比較的高いとは言えますが、小規模だったり、全く起きないという可能性も十分にあります。

また、上図に示した場所以外で、異なるタイプの地震が発生する可能性も十分にあります。

しかし、地震の発生と何らかの関連があることはほぼ確実な井戸に、東日本大震災以来の大きな変化が出ているということは事実です。

皆様のお考えで、できる対策をできるうちに進めていただければと、管理人は考えています。

続報がありましたら、随時お伝えします。


■10月12日午前0時15分追記■
現時点で、砂の混入は止まっているそうです。しかし、大量の混入の後の“沈黙”は、決して変化の終息を示すものではなく、協力者様はむしろ不気味だと言っております。

いずれにしろ、近隣震源域の様子を注視しつつ、警戒レベルを高めておくべきかと思います。過去の経験則からは、10月14~15日くらいまでに地震が発生する可能性が高いと言えます。但し、その規模はなんとも予測できません。


■10月12日午後8時35分追記■
10月12日午後2時42分頃、茨城県北部の深さ10kmを震源とするマグニチュード3.4の地震が発生し、震央近隣で最大震度1を観測していますが、この震源域は震災後に非常に活発化した、福島県浜通り南部から茨城県北部に連なるもので、井戸との距離もかなり遠いので、井戸水の変化とは無関係です。

過去にも、井戸の変化とこの震源域が連動するような関係は見られていません。

現時点では、10月9日から発生した井戸水の変化に対応するような有感地震は、ひとつも発生していません。


■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。


2015年10月 9日 (金)

【宏観現象による地震警戒情報10/9】井戸に大量の砂が噴出(#1067)

最初にお断りしておきますが、この記事は大規模地震の発生を予知・予測するものではありません。あくまで、地震の発生と相関が見られる宏観現象についてお伝えするものです。


【震災時以来の大量混入発生中】
最近はお休み中でしたが、当ブログでは千葉県北部在住の協力者様宅の井戸に起きる、地震の発生と相関が見られる宏観現象についてお伝えしてきました。(カテゴリ【地震関連】にまとめてあります)

本日10月9日、その協力者様から連絡をいただきましたので、緊急記事をアップします。

現在の状況は井戸水の中に砂が混入しており、その量は東日本大震災時に匹敵するということです。

なお、そのような量の混入は、管理人がお聞きしている限りでは、震災後ほぼ初めてと思われます。もしこの現象が地震と本当に関連があるとすれば、近いうちにかなり大規模な地震が発生する可能性があります。


【変化と地震規模の関係】
この井戸に変化が現れると、直後から4~5日目くらいの間に、千葉県北部から茨城県南部を中心とした震源域で地震が起きることが多いことが、過去の検証から明らかになっています。

井戸の変化の内容は、軽い方から
・水に匂いが出る
・水が変色する
・水に浮遊物が浮く
・水にシルト(粘土状の細かい土)が混ざる
・水に粒の大きな砂が混ざる

というもので、協力者様の経験則と管理人の検証からは、上の現象から順に、発生する地震の規模が大きくなる傾向が見られています。なお、震災後に管理人が井戸の変化をお聞きし始めてからは、関連があると思われる地震は、最大で震度5弱でした。

但し、当該震源域で地震が起きる前に井戸に変化が出ないことも、変化があっても地震が起きなかったこともありますから、言うまでもなく地震の発生を断言できるものではありません。

現在言えることは、震災時に震度5強クラスも発生した千葉県北部から茨城県南部を中心とした震源域での地震発生と関連があると思われる宏観現象が、震災時と同じレベルで発生している、ということであり、これは特に警戒を要する状況だと、協力者様、管理人共に考えているということです。


【経験則による予想】
管理人の経験則によると、千葉県北部の井戸に変化が現れてから4~5日目くらいまでに、周辺の震源域で関連があると思われる地震が発生することが、比較的多く見られました。

現在の状況をそれに当てはめれば、もし関連する地震が発生するならば、本日10月9日から10月14日くらいまでの間の可能性が高く、震災時並みの量の砂が混入しているということからは、当時最大級だった震度5強クラスもしくはそれ以上の地震が、千葉県北部から茨城県南部周辺の震源域で発生するかもしれない、ということになります。


【もしものためにやるべきことは】
繰り返しますが、これは大規模地震の予知・予測ではありません。

しかし、しばらくの間は東京都内も含めた関東地方南部における警戒レベルを上げた方が良い状況だと考えています。予想震源域に近い場所にお住いの協力者様は、実際に備蓄の買い増しをされていますし、もちろん管理人も警戒レベルを上げます。

管理人の具体的行動としては、特に用事が無ければ繁華街に出ない、外出時のEDC装備を普段より増量・強化する、車や交通機関乗車時の対策をより厳にする、行く先々での危険要素発見・回避方法検討をより厳に行う、などとなります。基本的には、地震時の危険要素にできるだけ近づかないということでしょうか。

これは、既に基本的な地震対策が済んでいるという前提の行動です。もしご自分の対策に不安がありましたら、すぐにでも可能な対策されることをお勧めします。今回何も起きなくても、何も無駄にはなりません。

続報がありましたら、引き続きお伝えします。


■10/11 午前11時25分追記■
10月11日午前11時16分頃、茨城県南部の深さ60kmを震源とするマグニチュード3.0、宇都宮市で最大震度1を観測する地震が発生しましたが、この地震は茨城県南部でもかなり北寄りで、井戸の場所からかなり離れているので、今回の変化とは直接の関連は無いと考えています。

この地震を除外すると、今回の変化に対応すると思われる有感地震は、まだ発生していません。引き続き警戒が必要です。


■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。

2015年10月 8日 (木)

続々“サバイバルのプロ”を嗤え(#1066)

Hanshin_rail
この画像の高架上と高架下、あなたにとってどちらが危険かまず考えよ(阪神・淡路大震災被害画像)


今回は、例の記事への反論として、都市部における地震対策として普段から気をつけるべきこと3つを、現実に即して考えてみます。でも、「はいこの3つ」で終わりじゃなく、やたらと細かく長いのが「生き残れ。Annex」クオリティですw


【徹底的に想定せよ】
大前提として、いかなる対策も、まず『そこで何が起きるか』がわからなければ、立てようがありません。まず、それを考えます。

都市部で大地震に遭遇した場合、その第一撃であなたの身体を傷つけるものの大半は、建造物、構造物とその中の備品です。場所によっては、土砂災害もあり得ます。

ですから、まず発災害直後にはそれらの危険から身を守らなければなりません。そこが出発点であり、交通機関における危険は、その中に含まれます。

第一撃を逃れることができたら、次の状況はインフラの停止。交通機関、電気、水道、ガス、通信などが途絶します。

その次に、二次的な危険である津波、火災、爆発、有毒ガス、群衆のパニックなどの危険が考えられます。

このように、その時に起こることをできるだけ想定し、その中で安全を維持しつつ、その後の行動を可能にするための行動をしなければなりません。そういう前提で、普段から気をつけるべきこと、それも現実的に可能なレベルでできることを考えるのです。


【それなりの知識は不可欠】
まず最初に起こることは、建物内のモノが転倒や飛散し、建造物からは壁やガラス、部材などが落下し、建物ごと崩れることもある。

強い揺れを感じてから、それらへの対処のために残された時間は、ほんの数秒以下。緊急地震速報などで少し早く大地震の襲来がわかっても、特に直下型地震の場合は、激しい揺れが来るまでに5秒あれば良い方でしょう。

その間に、身を守るためになんとかしなければなりません。ただでさえ、大きな地震が来ると頭の中が真っ白になって動けなくなることもあります。でも、それを乗り越えて行動するために、一番必要なのは何でしょうか。

それは『そこで何が起きるか』を事前に想定し、行動を考えておくこと。そして、それを習慣にしておくことです。さらに、できるだけ実際に身体を動かしてみること。どこで遭遇するかわからない大地震に対して、あなたが「生き残る」確率を高めるには、それ以上の備えはありません。

例えば、建物が古いなら、その中で一番強度のある場所はどこで、どうやって移動するか。

部屋の中に倒れたり飛散したりするものはあるか、それから逃げるにはどうするか。

街中ならば、倒壊しそうだったり壁やガラスが落ちてきそうな建物は無いか。どこへ移動すれば直撃を避けられるか。

人混みの中ならば、パニックに巻き込まれないためには、どのような行動をすべきか。

鉄道に乗っていたら、車内の状況によって効果的な耐衝撃姿勢はどう取るか(乗る場所を選べるならそうすべきだが、指定席など選べないことも)

車に乗っていたら、どのような場所へ停止し、どこへ脱出するか。


これらのような考え方を、普段の生活の一部として、どこへ行っても常に欠かさないよう習慣化すること。それが、最も優先されるべきことなのです。

そのためには、大地震時にはそこで何が起きるか、その時どうするかという知識がどうしても必要です。しかし、状況によってあまりに多岐にわたるので、「こうしましょう」と一言では言えない。

この“本当に大切なこと”がいかに難しく、簡単に表現や“指導”できないことかということは、おわかりいただけるかと思います。

だから『防災の専門家』はわかりやすいトリビアに走りやすく、「あなたの周りで何が起こるか考えておきましょう」くらいでお茶を濁すのです。それは考え方だけで、実際の行動には全く応用できないことです。


「そんなこと普段から意識できない」とか「覚える知識が多すぎて無理」とか思われた方、どう考えるかは自由です。

ただ、大地震に遭遇した時に、ひどい目に遭いたくない。痛い思いをしたくない。とにかく生き残りたいと願い、偶然に頼らず自分で可能性を切り開きたいと思われるのならば、必要な知識を学んで、それを普段から実践してください。

ひとつ確かなことは、メディアで断片的に、それもアオりやトリビア偏重で流される情報をいくら見たところで、災害の第一撃から身を守るチカラはほとんど身に付かないということです。あなたの生き残るちからをアップするためには、あなた自身が能動的に情報を選び、体系的に学んでください。

当ブログは、そういう方をサポートしたいと思ってやっています。


【あとのふたつは】
また激しく脱線しましたが、ここまでが「3つ」のうちのひとつ。では、後の2つは。

もう長々とは書きません。さらっと行きます。

インフラがすべて止まった街中を行動するために最も確保すべきものは、やはり飲み水。しかし、商店での入手はできないと考えるべき。

ならば水を持ち歩くのも正解ですが、かさばるし重いし、量にも限界がある。ならば、飲み水を作れるものを装備すれば良いのです。街中にも、ちょっと手を加えれば飲めるようになる水、結構あります。

管理人がお薦めし、実際にEDCしているのは以下のふたつ。
Mizuq2
Delios
消毒薬つき浄水ストロー「Mizu-Q」(画像は管理人の収納方法)と、中空糸膜フィルター「スーパーデリオス」です。前者は画像の状態で36グラム、後者はフィルターキャップだけなら60グラム。重さも大きさも、ほとんど負担になりません。「スーパーデリオス」は、ペットボトルの口にもぴったり合います。

水を持ち歩くのならば、このようなバックアップを備えた上で。これらがあれば、災害下でも乾きで苦しむことはほとんどなくなります。例えば、水が手に入ったけれど何の水かわからず、飲むのは不安。でもこれらがあれば、ほぼ安全な水にできますし、その気になれば、川の水でも飲めるのです。

こういう有用な製品もあるのに、『商業ベースの防災の専門家』が出す情報には契約やら何やらの“大人の事情”が絡んで自由に出せない。逆に“大人の事情”で、優れてもいないものが紹介されたりもするわけです。それで紹介者が儲かるわけで。


さて、最後のひとつ。それは情報です。例の記事ではモバイル通信がダウンしない前提ですが、大災害下では確実にダウンまたは通信トラフィック規制がかかります。

年始に、いわゆる「あけおメール」の殺到による障害を防ぐためにメールの送受信が制限されることがありますが、大災害時の通信トラフィックはその数十倍、数百倍以上となるでしょう。そこで何が起こるかは言うまでもありません。

ネット回線が生きていても、有用な情報サイトにはアクセスが集中し、ほとんど閲覧できなくなるでしょう。しかし、その次の行動を決めるためには情報が不可欠ですし、心理的にも情報の途絶が一番堪えることは、過去の災害の教訓として生きています。

しかし、携帯やスマホのネット情報は得られないし、個人発信の情報は、見られてもあまりに不正確で、すぐに信用するには危険すぎる。そこで必要なのは、やはりラジオなのです。

できればAM・FMつきトランジスタラジオを持ち歩きたいのですが、普段使わないラジオを常時持ち歩くのは、意外に負担が大きいもの。そこで、ひとつの対策として、ラジオ付きの携帯音楽プレーヤーを選ぶのも良いでしょう。

その場合は大抵FMラジオになりますが、都市部ならば事実上問題ありませんし、詳細な地元情報を流すコミュニティFM放送も受信できます。

スマホのテレビ・ラジオアプリは、あくまでネット経由だということをお忘れ無く。ネットがダウンしたらおしまいですし、本来の通信が回復した時のために、携帯端末のバッテリーは、なるべく温存しておくべきです。

現実には、発災からしばらくの間は、携帯やスマホを持っていても大して役に立ちません。もしそこから情報が得られたら、それは幸運にすぎないくらいに考えて、もっと確実な方法を備えておくべきなのです。

もちろん、モバイルバッテリーを持ち歩いた方が良いのは言うまでもありませんが、決して筆頭に来るものではないのです。


【と、言うわけで】
なんだかんだと長くなりましたが(管理人には短文まとめは無理かw)、当ブログが提示する、都市部での大地震対策として普段から気をつけておくべき「3つ」とは、このようになります。

・自分の居場所の危険を常に探し、避難行動も考えておく
(鉄道の対策はそこに含まれる)
・浄水グッズをEDCしておく
・ラジオ放送が受信できるようにしておく

一見、W田氏の記事に似ていないこともないですが、これらの行動で対応できる幅は比べものにならないほど広がり、普段の肉体的負担もずっと軽くなります。

一方で、正しい知識を学び、常に周囲の状況を観察するという負担は増えますが、すべては、あなたが「生き残る」ためなのです。

災害対策は、最大公約数的に誰もが同じレベルでできることではありません。有効な対策をしている人ほど、ひどい目に遭う確率が下がる。それが冷徹な現実なのです。


最後の最後にちゃぶ台返しさせていただければ、災害対策に「3つ」もへったくれもありません。当ブログ過去記事でも触れていますが、これは読者の興味を惹くための文章テクニックに過ぎず、これだけ覚えればOKのような勘違い、ゆめゆめされませんように。

とりあえず、例の記事のスタイルに合わせたら、当ブログではこうなる、という例だとご理解ください。

なにしろ、くだらないトリビア見て喜んでいる場合じゃありませんよ。



■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。


2015年10月 7日 (水)

宮城県沖で連続小規模地震(#1065)

宮城県沖で、小規模の地震が連続しています。

10月6日から7日にかけて、牡鹿半島の南側から東側に当たる海底の深さ30~50kmの間で、これまでに6回の地震が続いています。

一連の地震でこれまでに最大のものは、6日午後6時32分頃に発生したマグニチュード4.9、最大震度3で、その後も震度1~2クラスが続いているものの、震源は近いながらも少しバラけており、震源深さも少し異なっているので、前震、本震動、余震という関係でも無さそうです。


【広義における余震か】
震源の場所は、陸側の北アメリカプレートと海側の太平洋プレートが接する日本海溝より陸側であり、北アメリカプレートが日本海溝へ落ち込む部分の岩盤内で発生した、スラブ内地震と思われます。

この程度の地震では気象庁から発震機構の発表はありませんが、一般的に考えれば、太平洋プレートに押し込まれた北アメリカプレート内で発生している、逆断層型地震かと思われます。

東日本大震災後の地殻変動の影響による、広い意味での余震と考えて良いでしょう。


【最近では珍しい状況】
東日本大震災後、震源域でこのような地震が連続することは珍しくないのですが、ここしばらくの間はこのように狭い範囲で連続することがほとんど見られなかったため、一応は警戒すべき状況と思われます。

但し、このタイプの地震自体が震災本震のように巨大化することは考えられません。でも、震源域が陸地に比較的近いこともあり、陸地の揺れが最大で震度5弱、場合によっては5強クラスの地震に繋がる可能性はあります。

しかし、震源深さが30kmより深い場所で発生しているので、かなり大きな地震でも海底の変形は起きにくく、被害が出るような津波が発生する可能性は高くありません。

もっとも、狭い範囲で地震が連続したからと言って、必ずしも大きな地震に繋がるわけではなく、このまま収束する可能性の方が大きいのですが、最近ではちょっと珍しい状況になっていますので、今後の活動を注視する必要はあるかと思います。


■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。


2015年10月 6日 (火)

続“サバイバルのプロ”を嗤え(#1064)

Ranger
陸上自衛隊レンジャー部隊。こういう方々が本当の“サバイバルのプロ”(陸上自衛隊HPから引用)

こういう話になると執筆がやたら早い管理人ですw

前回記事(#1063)に続き、今回も実体の伴わない“サバイバルのプロ”を嗤い、対案も提示します。


【批判ばかりでもなんですから】
のっけからなんですが、ちょっと褒めモード。記事を書くに当たり、ネット上でみつかるW田氏発信の防災情報、一通り読んでみました。

その結果思ったことは、このW田氏、どこぞの『防災の鬼』や、具体的な方策も示さずに『近助』が大切とか言っている『防災の専門家』に比べて、かなり現実的な災害対策を提示されているようです。

というか、そっち方面が酷すぎるんですが。

W田氏の場合、良くある「落下物に注意しましょう」のようなものではなく、「どうやって注意したら良いか」というレベルの話もありますね。

そうなると必然的に、管理人提示の災害対策とカブる部分もかなりあります。もっとも、目指すところが一緒ならば、似る部分が多くなるのはある意味で必然。中には、どこかで見たような『本当に必要な防災グッズ』なんて記事もあったりしてw

でも、それも管理人オリジナルのフレーズでもありませんから、きっと偶然ですよねww

ただ、そういう記事で薦めているグッズも、決して『本当に必要』なものばかりではないですね。そこが逆の意味で“プロ”の限界で、要はタイアップした企業の商品を薦めなければならないわけです。もちろん、それで利益を得ているのだからね。

さておき、具体的な対策は似通って来ても、もう一歩深い部分まで理解されているかどうかは、文章をたくさん読んでみればわかります。

例えばW田氏はアウトドアに精通しているようですが、キャンプ用品を防災用に転用する話と、非常用食品を日常的に使って入れ替える『ローリングストック』の話では、全くニュアンスが違う。実践的知識や経験の有無が、はっきり見て取れます。

もっとも、管理人も含めて誰でも得手不得手はあって当然。しかし、ただの受け売りや曖昧な知識でのやっつけ仕事は、すぐにわかります。防災の世界は詳しい人が少なく、表面的な知識だけでヨタ言っても批判されないので、そういうのが多すぎる。“プロ”名乗るからには、それは許されないはず。


【敢えて重箱の隅をつつく】
全体的に、当ブログで良くネタにする『防災の専門家』より、それなりのレベルだと感じるW田氏も、大切な部分で「あれ?」と思うことも結構あって。例えば、家具類の固定の話にある「地震被害の90%は家の中で起きている」というような文言は明らかに知識・研究不足。単純に考えて、そんな訳ないだろw

これは明らかに阪神・淡路大震災のデータからですね。あの地震では、犠牲者の86%が自宅内で死亡しています。それを丸めたか、曖昧な記憶で90%と書いたのでしょう。

でも、あれは午前5時46分という在宅率が高い早朝に発生したこと、1981年以前の旧耐震基準建物、特に昭和20~40年代前半の木造家屋が密集している地域と震度7レベルの激しい揺れの地域が重なったことによる、ある意味で特殊な状況だったのです。街に人が溢れている時間帯だったら、あんな比率になるはずもない。

この例のように、その程度の曖昧さで生命を左右するアドバイスをする、それが許されて批判もされないという『防災の専門家』とその“業界”を、管理人は糾弾します。

ちなみにこの数字、防災士研修で詳しく出てきますので、元ネタはそこでしょう。でもテキストには書いていないので、ノートを取っていないと曖昧な知識しか残りませんね 。管理人は一言一句漏らさずノート取ってますけどw

W田さん、違いますか?違うのなら是非反論を。てか、このブログなんて見てないだろうし、ひとりの素人の批判など無視するのが、オトナの作法ってものでしょうけどねw

なんとも重箱の隅をつつくような話になっていますが、決して難癖ではありません。“プロ”としての姿勢の問題です。素人には数字が70%だろうが90%だろうが大した違いはありませんが、”プロ”の仕事で許されることではない。

でもこの世界、いわゆる“大御所”やメディアべったりの連中がヨタばかりやってるし、“自称”と人脈だけですぐ防災話に絡んで商売できるから、緊張感があまりにも希薄。人の命に直接関わる話なのに。ここで採り上げた NTTdocomoの配信記事など、キャリア側の姿勢も含めて猛省を促したい。誰が何と言おうと、あれは現実から乖離したトリビアを並べただけのやっつけ仕事に過ぎない。

この世界がそういう状態だから、当ブログが存在するのですけどね。当分ネタは尽きそうにありません。


【管理人だったらどうするか】
ちょっと妄想してみましょう。もし、大手会社から管理人に同じような記事の発注があったとしたら、どんな「3つ」を提示するか。

実はその答えは当ブログの過去記事の中にすべてあります。それも、徹底的に状況を突き詰めて考えています。文字数に制限があったり、ウケるネタに無理矢理偏らせられたりする媒体では、そういうスタイルはほとんど不可能。だから、管理人は自由なブログにこだわるのです。

さて、当ブログの中で、管理人は災害対策の6+1要素を提示してきました。それは、
・水分
・カロリー
・視界
・防水・防寒
・安全・衛生
・情報

以上6つに、救護を加えた6+1要素です。これは災害下で確保すべき要素であり、具体的には行動であったり、グッズの装備であったりもします。


ここでの記事の内容は、主に都市部において、大地震災害に対して普段の行動で気をつけるべきことを3つということで良いかと思います。それを、各要素の優先順位に沿って考えます。筆頭は、絶対電車じゃないのですけどね。

ちなみに、ここ十数年ほどの間に主に大都市圏で導入が進んでいるステンレス軽量車体の電車は、車体が軽くなることによる慣性重量の低下と相対的な低重心化によって、阪神・淡路大震災の頃の電車に比べて、地震の際もはるかに脱線転覆しづらくなっています。その一方で、車体強度が旧型車に比べて劣り、衝突時に変形しやすいというデメリットもあります。いずれにしろ、乗車時には脱線転覆などに備える心構えと対策は必要ですが。


都市部で大地震に遭遇した場合、第一撃での最大の危険は、身体に対する物理的危険です。室内ならば家具備品類の転倒や飛散、屋外ならば落下物や建物の倒壊。でも、考えようによってはそれだけであり、それらの危険を避けることが、「生き残る」ために最も重要になります。

二次的な危険である津波、火災などからの避難も、第一撃をかわして自分の意思で動ける状態でいることが大前提です。

ではそのために何が必要かと言うと、自分が置かれた状況によってありとあらゆる対策が考えられますから、「地震の時はこうしろ」とは簡単に言えない。それが現実だから、すぐにわかりやすいトリビアに走る連中が後を絶たないのです。

でも、あらゆる状況に共通する、普段から気をつけるべき行動はあります。というか、それなくして効果的な避難行動はできないと言っても過言ではありません。


ずいぶん長くなってしまいましたので、具体例は次回もう1回続きをやります。なんか「このあとすぐ!」と言いつつ次週まで引っ張るテレビみたいでイヤなのですが、本当にすぐやりますw


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

2015年10月 5日 (月)

”サバイバルのプロ”を嗤え(#1063)

先日、NTTdocomoの情報配信サービス『i コンシェル』から、非常に興味深いメールが届きました。なんせdocomoですから、多くの方がこのメールを受信されているでしょう。

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以下文面
件名: 【iコンシェルインフォメーション】サバイバルのプロが日常的に気をつけている「3つ」のこと

日本は世界でも有数の災害大国。いつどこで被害に遭うかわかりません。サバイバルのプロが普段から気をつけている、3つのことを紹介しましょう。


【テンション上がりましたw】
管理人、文面を見た途端にテンションMAXで、期待に胸を膨らませたのです。なにせ『サバイバルのプロ』の教えが受けられるのですから。

『サバイバルのプロ』というからには、消防、警察、海保や自衛隊など公的機関で、専門的な訓練を受けたような方じゃないかと思ったのです。言うまでも無く“プロ”とは、そういうことですが、なかなかそういう方々のアドバイスを聞く機会はありません。

過酷な状況に対応するための訓練を積んだ方々が、普段の生活で何に気をつけているのか。防災ヲタとしては、興味を惹かないわけがありません。災害で起こり得る危険とその対応を知り尽くし、訓練を重ねたたそういう方々の対策こそが、“本当に役に立つ”ことなのです。

早速、リンク先の記事に飛びました。すると・・・


【身分詐称に等しい粉飾】
しかしそのページ、docomoの防災情報ページなのですが、残念ながらPCではアクセスできません。事実上、スマホからしか見られないようです(ガラケーは未確認)。とりあえず文末にリンクを貼ります。以下、記載内容にツッこんで行きます。

まず、そのページを監修している人物。W田氏としましょう。当ブログでいつもネタにしているW氏とは別人。あちらはW辺氏ですw

その御仁のプロフィールが掲載されたページをリンクします。
W田氏プロフィール記載ページ
まあ、メディアなどで比較的多く目にする方ですね。でも、経歴を見てください。防災絡みの資格は「防災士」だけのようで。しかも過去に『サバイバルのプロ』としての教育や訓練を受けた経歴は無し。「防災士」がプロならば、管理人だって「防災士」だしw

百歩譲って『防災の(カネを稼いでいるという意味において)プロ』だとしても、絶対に『サバイバルのプロ』ではない。自らそう名乗るのならば、完全に身分詐称です。しかし、どうやら自社ページで使っている人間を、docomoが勝手に持ち上げているようです。自社の発注先は優秀だとアピールしなければなりませんからね。

でも、それもユーザーをナメた話です。プロとは言えない人物を、プロとして祭り上げて信頼させようと言うですから。メディアに『防災の鬼』とか持ち上げられて、しかし使えないトリビアや大ウソを撒き散らしている御仁もいたりしますが、同類ですね。

要は、自分でネタ集めて詳しくなられた方がそれをネタに商売している、当ブログで言うところの『商業ベースの防災の専門家』という奴です。災害大国日本では、その程度でも企業、行政、メディアに食い込めばいい商売になるわけです。しかも学術的な専門家より、はるかに高いギャラを取れる。

しかし、『防災の専門家』の経歴など、実は問題ではないのです。問題なのは、“本当に役に立つ、本当に実現できる防災情報”を発信しているか?という一点のみです。


【さあ笑おうぜ】
では、記事の内容。サバイバルのプロが日常的に気をつけている「3つ」のこととは?ここでまず確認しておきましょう。サバイバルとは、「生き残る」ことです。

災害から「生き残る」ために日常的に気をつけていることとは、そのために最も優先されるべき行動のはず。それは自分の身体を災害で想定される外的危険から守り、その後の安全を維持するための行動です。で、その「3つ」とは?

1・電車は3両目以降に乗れ
2・ペットボトル水500ccを常に持ち歩け
3・携帯電話とモバイルバッテリーを常に持ち歩け

だそうで。当ブログの読者様ならば、わかりますよね。ここ、笑うところですw

各項目にはかなり長い解説がついていますが、そこからは都市部での大地震災害に備えるための行動を想定していることが明らかです。都市部の大地震から「生き残る」ために優先して気をつけるべきことが、この3つなんだそうで。

携帯通信機器とモバイルバッテリーは、当ブログではお馴染みのW辺氏が筆頭に挙げているものですね。過去記事(#1034)でも散々ツッコんでいますけど、第3位とはいえ他にも同様の『防災の専門家』がいたとは。

ちなみに、どれも正しいです。鉄道車両が脱線転覆するような事故では、3両目までに重篤な被害が集中することが多くなりますし、災害時には商店から必要な品物があっと言う間に消えるので、最低限の飲み水は確保しておくに越した事はありませんし、できることなら携帯通信機器で連絡や情報収集をしたい。但し、モバイル通信が生きているならば。

でも、これが都市部の地震災害から「生き残る」ために優先されるべき3つだと言われて、「なるほど!さすがサバイバルのプロだ」と思われた方、いらっしゃいますか?そして、NTTdocomoという日本最大のキャリアが、全国的にバラ撒く情報として望ましいクオリティだと思われた方、いらっしゃいますか?ユーザー、かなりバカにされていませんか?

とりあえずウケが良い防災記事を配信するから、メディアに良く出る『専門家』に丸投げしておけという、やっつけ仕事にしか見えませんけどね。ちなみにW田氏、NTTdocomoとは非常に良好な関係のようで、他にも防災関係の記事を一通り監修しています。太い仕事ですw

他の記事にもツッコみどころがいろいろなので、機会があったら触れますね。


【とりあえず正しければという風潮】
言わんとする内容は、それなりに正しい。問題は、優先順位と実現可能性です。

都市部の大地震対策として、なんで電車内の対策が筆頭に来るのか。

大地震時には、都市部の商店から水や食品がすぐに消えることは、もう誰もが知っている。でもそれを誰も知らないが如く上から目線で説いて(文末リンクから記事をご覧ください)、実現が難しいことを平然と“指導”する。

災害時の連絡や情報収集は大事だが、通信ダウンや発着信規制という確実に起こり得る事態を無視して、災害の第一撃を逃れるためにはあまり意味の無い、通信の維持を優先せよと言う。もしかしてdocomo発注の記事だから、通信がダウンするとは書けないとか?笑い事じゃなく真面目な話。

過去に大地震災害で必ず起きている“本当に大切なこと”が、企業のイメージや都合でないがしろにされているのか?

なんでこうなるかと言えば、これらが大地震災害から「生き残る」ために本当に大切なことよりも、実にトリビア的でキャッチーだからです。平たく言えば、記事としてウケるからで、そういう情報ばかりはびこるのは、これまで当ブログで指摘してきた通りです。


一方で、防災情報にありがちな“男性目線”という問題も見えて来ます。水500ccの重さは500グラム。これを毎日持ち歩き、飲んだらこまめに補充できる人がどれだけいるか。男性用バッグでもペットボトルを入れる容量が無いことも多いのに、女性用の小ぶりなバッグに入れられるのか。さらに、常に500グラムの“重り”を持ち歩ける人がどれだけいるのか。ペットボトルにつく露はどう処理するか。

モバイルバッテリーにしても、筆者は携帯電話を3日間フルに使える容量のバッテリーを持ち歩いていると言っていますが、その場合スマホ用ならば10000mAh以上、3日間フルに使おうというのならば20000mAhクラスの容量が必要で、そのクラスの重量は400~500グラムクラスになり、サイズもかなり大きくなります。

500グラムの水と合わせて約1kgの荷重、しかもとてもかさばるものを日常的にEDCできる人がどれだけいるのか。とりあえず正論を言っておけば、方法は自分で考えろということか?

ちなみに管理人、都市部への外出時には実際に500ccの水を持ち歩きますが、バッグに専用のアウターポケットがついているので(ペットボトル収納用にそういうバッグを選んだのです)、収納場所も水滴も気になりません。そういう装備なくして、誰もができることなのか?そんな管理人にしても、EDCしているモバイルバッテリーは、軽量コンパクトな5000mAhクラス。旅行に出るのでもなければ、10000mAhクラスを持ち歩こうとは思いません。

このように、言っていることが理屈として正しければ、その優先順位が低くても、実際に行うことが困難でも“指導”としてまかり通る、防災の世界はそんなのばかりではありませんか。ここで採り上げた記事など、その象徴のようなものです。

そういうハンパな仕事を企業やメディアから丸投げされた『商業ベースの防災の専門家』が平然とやって、メシを食っているのが、世界でも有数の災害大国日本の現状だということです。


【いつでもどうぞ】
当ブログでは、個人攻撃が目的ではありませんので、誰かを批判、非難する際でも基本的にイニシャルで表記します。しかし、最近は敢えて誰だか特定できる方法で書いています。

記事に関しての異論、反論、ご意見はどなたからでも歓迎しますが、最も歓迎したいのが、「この記事は自分のことを書いている」と思われたご本人からご連絡をいただくことです。

いつでも、お待ちしていますよ。

なお、当記事は続編を予定しております。批判するだけじゃなく、対案を提示します。

当記事で採り上げた防災情報ページへのリンク(NTTdocomo公式ページ)

■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

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