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2015年11月18日 (水)

【パリ同時テロ関連02】テロは思いつきではできない(#1087)

French_sordier
大規模テロの実行には、監視を潜り抜けた長期間の準備が必要である
(画像は市街を警戒するフランス軍兵士)


今回は、テロの種類と実行するために必要な条件を考えます。

【テロの種類とは】
広義においてのテロ行為とは、平時に敵対勢力の隙を突いて攻撃し、敵対勢力にダメージを与える行為すべてと言って良いでしょう。

そのような意味では、暗殺や個人での爆破や銃撃も、テロ行為の範疇となります。しかしここでは、我々も含めて戦闘状態下にはない一般市民が最も怖れるべき、組織的バックボーンを持った勢力による、都市部での無差別テロについて考えます。

今回のパリでのテロを見聞し、同様の勢力による同様のテロが我が国でも起きるのではないかと、心配されている方も多いでしょう。

もちろん、その心配が無いとは言えません。


【パリのテロを分析する】
ここで、パリのテロで行われたことを分析してみましょう。

・実行犯
フランス国内に同質のコミュニティが多数存在する、特定の宗教を信仰し、フランス語を母国語とするフランス出身または在住期間が長い人物が多数を占める集団。

・戦術
約30分間に8ヶ所で攻撃が実行されるという、綿密に計画・訓練された戦術。スタジアム周辺で時間差で3回の自爆が起きたのは、爆発によって集まる負傷者救護や現場掌握のための人物、もしくは野次馬に対して攻撃を反復し、被害を拡大させる戦術と思われる。

判明している状況からは、射撃はかなり正確であり、射手は軍事訓練を受けていた可能性が高い。一部の実行犯は、テロ実行主体とされる勢力の掌握地域に渡航していたことが確認されている。

・武器
戦闘用ライフル銃(AK47系)と大量の弾薬。おそらく隣国ベルギーの闇市場で調達された、半自動(単発)射撃専用の民生モデル。なお、現代の軍用ライフル銃は全自動(連発)射撃が可能だが、命中精度が落ちるので、全自動射撃は実戦ではあまり使用されない。

自爆用爆薬の種類は判然としないが、人間が爆薬ベストに詰めて身体に巻ける量ということからして、少量でも強力な爆発力を持つプラスチック爆薬もしくはダイナマイトなどの可能性。しかしフランス国内への持込や入手は困難とも思われるので、硝酸系肥料や軽油などから自作できる、アンホ(ANFO)爆薬の可能性もある。

これらのことを踏まえて、大規模テロを実行するには何が必要なのか、検証してみましょう。


【大規模テロは“段取り9割”】
今回のテロのような、多数の人間が複数箇所を同時攻撃をするような大規模テロのためには、何が必要か検証します。

・人選
最大の条件は、実行地域に溶け込めること。目立たない風貌、行動、言語の人物でなければならない。加えて、作戦を完遂できる能力、精神力、強固な意志と、準備段階でそれと察知されない用心深さを持っていなければならない。特に『敵側』の監視対象になっている集団に属する人物の場合は、長期に渡って監視の目を欺くための、高い技術と能力が要求される。

・環境
大規模テロを行うには、秘密裏の準備行動が長期間にわたり、関わる人物も多数に上る。その間に実行メンバーや支援メンバーが集まったり出入りしても怪しまれない環境、具体的には同質の人間による、それなりの規模のコミュニティが必要。同様の考えや習慣を持つ、地元民による支援コミュニティが存在するのが理想的。

・武器の調達
攻撃ターゲット近くで武器弾薬を調達できる環境か、極秘裏に持ち込めるルートが必要。アンホ爆薬などを自作する場合には、原料となる肥料や軽油などを大量に買い付けても怪しまれない人物と環境が必要。もしくは怪しまれない人物多数による分散調達や、闇ルートでの調達が必要。さらに、武器弾薬の集積や加工を怪しまれずにできる場所も必要であり、そのためにも実行グループが“溶け込める”環境が必須。

・訓練
物資の調達、ターゲットの選定及び下見、隠密での行動訓練を行う必要があるが、その際にそれと察知されやすい要素があってはならない。そのためにも、“そこにいても目立たない人物”である必要がある。


ざっと考えても、大規模テロにはこのような準備が必要なのです。決して、粗暴な人間が思いつきで実行できることではなく、高い能力を持った多くの人間がそれぞれの役割を完璧にに実行した上で、それらを組み合わせて初めて実行できるのです。

上記のような過程が完全に実行されたならば、余程偶発的な事態が起きない限り、大規模テロは成功したも同然と言えます。

そして、今回パリで起きた同時多発テロでは、上記の条件がすべて整っていたことがわかります。今年1月に発生したテロに続き、再びフランスでテロが実行されたことは、決して偶然では無いということができます。


それでは、このようなテロが我が国でも実行可能なのでしょうか。

次回はそれを検証します。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。


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