【パリ同時テロ関連04】いつどこで何が、そしてどうすれば?(#1089)
テロのターゲットは心理的効果によって選ばれる(画像はあくまでイメージです)
今回は、我が国で実際に起こり得るテロ行為を、現実の状況と技術面から考えます。
【小規模テロならどこでも可能】
いきなりですが、これが現実です。
但し、それはあらゆる手段を含んだ、個人または少人数で完結するテロ行為まで想定した場合です。例えば、東京・秋葉原で発生した無差別殺傷事件も、背景に政治的などの動機は無いものの形態としてはテロ行為そのものであり、あのような攻撃ならば、どこでも可能なのです。
しかし、現在懸念されるテロリスト集団の“得意な方法”である、銃撃や爆弾攻撃となると、それほど簡単ではありません。
前記事の通り、多人数が連携して長期間の準備が必要な大規模テロを、外国勢力が日本国内で行うのはかなり困難です(絶対不可能とは言えませんが)
しかし、テロとは大衆に『恐怖』を植え付けることが目的ですから、その効果が有れば、攻撃の規模は問わないのです。大規模テロならばより大きな『恐怖』を植え付けられますが、規模は必然ではない、ということです。
もっとも我が国では、銃の乱射や狙撃によるテロが実行できる可能性は低いでしょう。日本国内での強力な銃と弾薬の入手や、海外からの持ち込みや運搬は非常に困難です。
さらに、銃撃で効果を上げるためには、それなりの訓練を受けていなければなりませんから、実行者は誰でも良い訳でもありません。そのような人物は当局にマークされていることが多いので、移動や入国も容易ではありません。
そして、銃撃よりも容易な方法がある以上、それを選ぶ理由は少ないと言えます。
銃撃より容易な方法とは、爆弾です。
【爆弾は作れる】
これまでの記事にも登場しているアンホ(ANFO)爆薬のように、市中で手に入る材料で合成できる爆薬もありますし、少量ならば材料の調達も可能でしょう。
もし日本国内で怪しまれずに荷受けできるシンパ企業などが存在するならば、船便で少量の爆発物を持ち込むことも、絶対不可能とは言えません。
爆弾を作るに当たっては、爆薬だけでなく起爆装置も必要ですが、それも市販の部品で作ることが可能ですし、テロリストはそのような技術も持っています。
さらに、前記事でも触れたように、本来はテロリストと繋がらないような、日本国内で怪しまれずに活動できる勢力が支援することも、絶対無いとは言えません。
そのような形で、日本国内で少量の爆弾を用意することは、決して不可能とは言えないのです。
【誰が、どこで、どうするか】
ここでは仮に、ひとりで運べるサイズの爆弾が用意できたとしましょう。
まず、誰が実行するか。日本国内で準備した人物やシンパは、当局に監視されているかもしれません。そんな人物が普段行かない場所へ移動しようとしたら、さらに厳重な監視下におかれるでしょう。
ですから、実行者は当局がマークしていない、される可能性が低い人物でなければなりません。その筆頭が、旅行者です。
旅行者然とした人物ならば、大荷物を運んでいても怪しまれませんし、どこに現れても理由づけができます。そんな人物が実行の直前に入国して、協力者と一度だけ接触または打ち合わせた方法で爆弾を受け取り、そのままターゲットへ移動する。この方法は、過去のテロ行為でも頻繁に行われている、『セオリー』のひとつです。
そして、これまで述べたようにターゲットは多くの人が集まる、その国を象徴するような場所や施設が主です。大荷物を運んだ旅行者が、まさに“溶け込める”場所なのです。
では、どこか。我が国をターゲットとするテロリストが過去に起こしたテロ行為の現場を、思い出してください。
各地の首都や大都市の繁華街や集会、または有名観光地などです。政府関連施設や空港、軍事施設などの『ハードターゲット』は、最初から対象外なのです。
【そして、実行】
皆様も、もし自分が攻撃側ならばどうするか、考えてみてください。
それは、ともすれば非常に不快な作業ですが、相手の目線で何ができるか、何がやりやすいか考えることは、危機管理の基本です。あなたが思いつく弱点は、相手にとっても同じことです。
以下は、あくまで想定の一部です。敢えて固有名詞は書きません。必然的に、首都の可能性が高くなります。
・有名なスクランブル交差点
・タワーの展望台もしくは周辺
・ブランド店や劇場が並ぶ高級ショッピング街
・ホビーや家電で有名な街
・臨海地区の大型施設
・最高速度に達した高速列車内
・ラッシュ帯の通勤電車内
このように、実際の被害よりも“そこで起きた”ことのショックが大きな、大々的に報道される有名な場所であることが重要なのです。 他に、敢えて警戒厳重な首都を避けて、世界的に有名な観光地などの可能性も考えられます。
なお、日本国内発の航空機を攻撃するのはかなり困難ですが(不可能とは言えません)、世界各地から日本国内へ向かう日本の航空会社の機体を狙う可能性があるのは、ロシア旅客機への攻撃があったことからも明らかです。
世界には、セキュリティ体制が十分とは言えない空港も、かなり存在しているのが現実です。
そう考えると、一体いつどこが狙われるのかと疑心暗鬼になって、出かけるのも怖くなりますね。
でも、それがテロの心理的効果そのものであり、そうなっては相手の思う壺、ということです。仮に、相手に何も実行する気がなくても、情報を流すだけで『敵』をコントロールしようとする心理戦に、負けるわけには行きません。
【起こるならば、いつか】
最後に、その問題。ここでも、皆様が相手側の目線で考えてみてください。
皆様がもし他国へ行って、できるだけ目立たずに行動して、あるミッションを達成したいとします。その場合、いつを選びますか?
この場合のセオリーは、『木の葉は森に隠せ』ということになります。そういう条件が、より整うのはどういう時か。具体的には書きませんが、お考えになってみてください。
【負けないこと】
ここまで述べたことは、テロ行為における『セオリー』から考えられることです。
一方で、その裏をかかれたり、過去に無かった手段が採られることも無いとは言えません。しかしいずれの場合も、相手が目指すのは“より容易に、より大きな効果”を上げることですから、そこからある程度の絞り込みもできます。
いずれにしろ、あれこれ考えすぎて疑心暗鬼になり、不安に囚われて生活が乱れてしまったら“負け”なのです。
様々な考え方がありますが、少なくとも、心理戦に負けずに堂々と日常生活を送ること。それが何よりも大切なことなのです。
■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。
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