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2015年11月 6日 (金)

【ヲタ目線地震教室22】S波のよこ揺れで震源推定(#1081)

今回からは、震源の推定方法です。

そんなことをしてぴたりと当てても、所詮はヲタ的な自己満足に過ぎませんが、それでも地震が来るたびに揺れ方を意識するということを習慣にするだけで、本当に大きな地震が来た時の反応速度が確実に上がります。

「あ、地震だ」で終わらず、「どのくらいの規模だ?近いのか遠いのか?」と考える意識が、「大きいぞ、ならば次の行動へ」という意識に繋がりやすくなり、頭が真っ白になって固まってしまうことを防ぐ効果も、確実にあるのです。


【推定に必要な要素はふたつ】
震源推定に必要な要素は、以下のふたつです。
・観測点からの方角
・観測点からの距離

さらに、観測点に長く居住したりしていれば、過去の地震の揺れ方と震源のデータの蓄積で、推定の精度を上げることができます。

では、まず観測点から震源の方角を推定する方法から考えてみましょう。


【地震波の特性から推定】
ある程度の大きさの地震になれば、まず最初に「たて揺れ」であるP波を感じます。

P波は、理屈を言えば震源から放射状に拡散して行く「粗密波」、イメージ的には震源を中心点とする円の半径方向に”伸び縮み”する波ですから、P波の揺れの方向がわかれば、その延長線上どちらかの方向に震源があることになります。

しかし、実際のP波は振幅が小さく、ガタガタ、ビリビリ、ブルブルという感じですから、揺れの方向を体感できることはまずありません。

ですから、P波を感じた時点では震源の方向は考えず、別の作業をスタートさせることになりますが、それは後述します。

もしP波が、突き上げられるような「ドン!」や「ドドド!」という風に感じたり、「ガタガタ」でも棚の上のものが落ちたりするような大きさだったら、震源推定なんか放り出して、すぐに避難行動開始です。

それは間違いなく、かなり近い震源の中規模以上の地震か、遠距離の巨大地震だからです。断言はできませんが、そうなったら最低でも震度5弱、ほとんどの場合で震度5強以上と考えなければなりません。

地上では山や崖が崩れたり、震源が海底ならば、津波が発生する可能性が高い規模です。

念のため付け加えますと、感じたのがごく小さな地震でも、実際の避難行動は行わないまでも、火気の近くにいたらすぐ火を消すなど、避難体制への移行を必ずしてください。

他に、避難経路や避難用履き物などの確認、ガラスや家具など危険物から離れる、夜ならば備えているライトを手に取るなど、避難を前提とした行動を少しでも行ってください。

普段からのそのような積み重ねが、「本番」で大きなな違いとなるのです。練習は、裏切りません。


【S波が震源推定の本番】
さて、P波が危険なほどではなければ、ある作業を続けつつ、「よこ揺れ」であるS波を待ちかまえます。

S波は、大きな地震であるほど最初の「グワっ!」と来る揺れが強く、そのショックで多くの人が固まってしまうのです。それを防ぐ最良の方法が、P波を感じた時から、次にS波の「グワっ!」が来るぞと予想し、身構えていることです。

そういう意識を作るためにも、P波のうちから「あ、地震だ」で済まさず、揺れかたに集中し、次に何が来るのかを考えることが有効です。


ここで恒例の脱線をしまして、地震波の実際についてちょっと確認しておきましょう。前記事では「表面波」などは考えなくても良いとか書いたのですが、ここはちょっとヲタ目線で、地表面を伝わって来る地震波である表面波が登場します。下図をご覧ください。
Quakewavve
典型的な地震波のグラフです。

まず最初にP波が到達して、それがしばらく続きます。P波の揺れは、途中でいきなり大きくなったりはしません。

次に、揺れが少し大きくなりはじめた部分。S波が到達し始め、よこ揺れの振幅が大きくなり始めました。ここで注意しなければならないのは、S波が到達したらP波は終わりでは無いということ。ここでは、P波とS波が混ざり始めるのです。

そして、振幅がいきなりグワっと大きくなる部分ですが、実はここで、最も速度が遅い表面波が追いついて来て、P波+S波+表面波の揺れが始まっています。実は、グワっと大きなよこ揺れが始まる時は、S波だけでなく表面波が到達していることが多いのです。

表面波は、地震波の性質としてはS波の範疇ですが、地中を伝わって来るS波より速度が遅くて震動周期が長いよこ揺れが特徴です。震源が遠い地震の場合、S波の横揺れが始まってしばらくしてから、突然さらに大きな揺れが始まることがありますが、これは表面波が遅れて到達したか、複数の震源が連鎖して、別の地震波が到達したかのどちらかです。

データが無いので断言はできませんが、東日本大震災(東北地方太平洋地震)の際、関東地方などで感じた揺れが途中からいきなりグワっと大きくなったのは、その時点で表面波が到達したからではないかと、管理人は考えています。

関東地方付近では、震源からの距離がかなり長い巨大地震だったため、最大の揺れをもたらす表面波が、最初のS波の到達からかなり遅れたと考えられます。

ここでyoutube動画を一本リンクします。千葉県の京成電鉄成田駅で撮影された動画です。開始28秒くらいで、よこ揺れが一気に大きくなるのがわかります。
■youtube動画3月11日 地震 京成成田駅での様子
https://youtu.be/lEmAQ6Xizd4


次回も、S波による震源の推定方法です。


■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。

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