【ヲタ目線地震教室23】S波はヘビのようにやってくる(#1092)
今回は、地震の“よこ揺れ”であるS波による、震源の推定方法その1です。
震源の推定には、観測点からの方角と距離を判断しなければなりません。今回はそのうち、方角の判断方法です。
【揺れの方向を感じる】
ちょっと大きめの地震を感じた時、避難するほどの危険は無いと判断できたならば、ぜひよこ揺れの方向を感じ取ってください。
と言いつつなんですが、それはかなり難しいことなのです。
まず、揺れの方向は建物の構造や内部での居場所の影響を受けます。さらに、震源に比較的近い地震の場合、P波のたて揺れ成分も強く感じます。
少し大きな地震になると、震源から直接到達する『直接波』に加えて、地中で屈折して来る『屈折波』が混ざり、わかりづらくなることもあります。
ですから、建物の影響を受けない屋外で、揺れ始めの早い段階で、体感だけなく電柱のような地物や観測装置が揺れる様子から、揺れの方向を判断できれば理想的です。
【精密な観測装置とは】
もっとも、屋外で揺れの方向がわかるような時は、震度4以上のかなり大きな地震です。悠長に揺れを感じる前に、まず落下物などからの安全確保が優先なのは、言うまでもありません。
それができたら、地面と地物の動きに集中して、揺れの方向を感じてみてください。
屋内では、体感に加えて精密な観測装置の力を借りましょう。そんなもの持っているわけないだろうと思われた方、ご安心ください。精密な観測装置とは、ただの『振り子』です。
じっとしている時に、「あれ、今揺れたかな?」と感じても、実は揺れていないということ、ありませんか?管理人はそんなのを“自分地震”と呼んでおりますがw、そんな時にも、本当に地震なのかすぐわかります。
作り方は簡単。とにかく何かぶら下げておくだけ。ただ、小さな地震へのレスポンスの良さと、振り子の振動周期を適正にして揺れの方向を判断しやすくするために、ちょっと工夫も必要です。
かなりいい感じなのが、5円玉を15~20cmくらいの糸で吊るすか、同程度の振り子を作ること。重りが軽すぎたり、ひも部分が重すぎたりするとレスポンスが悪くて揺れがすぐ収束してしまうので、その辺のバランスが大切です。
管理人のパソコンデスクのプリンタ台からはケミカルライト(折ると光るライトバー)がマグネットのフックでぶら下がっていて、これが実に敏感な振動センサーになっています。もちろん、非常時の照明用でもあります。
東日本大震災後、小規模地震があまりに多発したため、いつも揺れているような気がして気持ち悪い、という声を良く聞きました。
その対策のひとつが、デスクなどの上に振り子つきオブジェを常備して、本当に地震なのかどうかを、目で見て確かめることでした。
それをちょっと進化させると、震源推定にも使えるのです。なお、部屋のペンダント型照明器具もかなり良いのですが、重量があるのでレスポンスが悪く、振動周期が長すぎる場合が多いので、ちょっとわかりづらい感じではあります。
建物の構造による影響については、その建物での実際の揺れを何度か調べ、震源位置との関係から“クセ”を見いだす作業が必要です。
【で、揺れの方向は?】
前置きが異常に長くなって恐縮です。
ともかくも、揺れの方向がわかりました。ここでは、東西方向のよこ揺れが最も強かったとします。
その場合の震源の方角は、ほぼ南北方向のどちらか、ということになります。
S波は、イメージ的にはヘビが身体を左右にくねくねさせて進むように、『地震動の進む方向と直交する』揺れ成分が最大となります。
画像はS波の伝播イメージ
ですから、最も大きな震動の方向と直角に交わる方向の延長線上のどちらかが、震源の方角である可能性が高いわけです。
【それだけじゃわからない】
S波の揺れの方向からわかることは、そこまでです。
それに加えて震源までの距離がわかって来れば、周辺の地盤構造や過去の地震情報を併せることで、かなり正確に震源を推定することができるのです。
次回は、地震の揺れから震源までの距離を推定する方法です。
※読者の方からヘビの画像が気持ち悪くて記事読めないとのご指摘をいただきましたので、かわいいイラストに差し替えさせていただきました。ヘビが苦手な皆様、申し訳ありませんでした。
■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。
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