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2015年11月

2015年11月29日 (日)

【ヲタ目線地震教室23】S波はヘビのようにやってくる(#1092)

今回は、地震の“よこ揺れ”であるS波による、震源の推定方法その1です。

震源の推定には、観測点からの方角と距離を判断しなければなりません。今回はそのうち、方角の判断方法です。


【揺れの方向を感じる】
ちょっと大きめの地震を感じた時、避難するほどの危険は無いと判断できたならば、ぜひよこ揺れの方向を感じ取ってください。

と言いつつなんですが、それはかなり難しいことなのです。

まず、揺れの方向は建物の構造や内部での居場所の影響を受けます。さらに、震源に比較的近い地震の場合、P波のたて揺れ成分も強く感じます。

少し大きな地震になると、震源から直接到達する『直接波』に加えて、地中で屈折して来る『屈折波』が混ざり、わかりづらくなることもあります。

ですから、建物の影響を受けない屋外で、揺れ始めの早い段階で、体感だけなく電柱のような地物や観測装置が揺れる様子から、揺れの方向を判断できれば理想的です。


【精密な観測装置とは】
もっとも、屋外で揺れの方向がわかるような時は、震度4以上のかなり大きな地震です。悠長に揺れを感じる前に、まず落下物などからの安全確保が優先なのは、言うまでもありません。

それができたら、地面と地物の動きに集中して、揺れの方向を感じてみてください。

屋内では、体感に加えて精密な観測装置の力を借りましょう。そんなもの持っているわけないだろうと思われた方、ご安心ください。精密な観測装置とは、ただの『振り子』です。

じっとしている時に、「あれ、今揺れたかな?」と感じても、実は揺れていないということ、ありませんか?管理人はそんなのを“自分地震”と呼んでおりますがw、そんな時にも、本当に地震なのかすぐわかります。

作り方は簡単。とにかく何かぶら下げておくだけ。ただ、小さな地震へのレスポンスの良さと、振り子の振動周期を適正にして揺れの方向を判断しやすくするために、ちょっと工夫も必要です。

かなりいい感じなのが、5円玉を15~20cmくらいの糸で吊るすか、同程度の振り子を作ること。重りが軽すぎたり、ひも部分が重すぎたりするとレスポンスが悪くて揺れがすぐ収束してしまうので、その辺のバランスが大切です。

管理人のパソコンデスクのプリンタ台からはケミカルライト(折ると光るライトバー)がマグネットのフックでぶら下がっていて、これが実に敏感な振動センサーになっています。もちろん、非常時の照明用でもあります。


東日本大震災後、小規模地震があまりに多発したため、いつも揺れているような気がして気持ち悪い、という声を良く聞きました。

その対策のひとつが、デスクなどの上に振り子つきオブジェを常備して、本当に地震なのかどうかを、目で見て確かめることでした。

それをちょっと進化させると、震源推定にも使えるのです。なお、部屋のペンダント型照明器具もかなり良いのですが、重量があるのでレスポンスが悪く、振動周期が長すぎる場合が多いので、ちょっとわかりづらい感じではあります。

建物の構造による影響については、その建物での実際の揺れを何度か調べ、震源位置との関係から“クセ”を見いだす作業が必要です。


【で、揺れの方向は?】
前置きが異常に長くなって恐縮です。

ともかくも、揺れの方向がわかりました。ここでは、東西方向のよこ揺れが最も強かったとします。

その場合の震源の方角は、ほぼ南北方向のどちらか、ということになります。

S波は、イメージ的にはヘビが身体を左右にくねくねさせて進むように、『地震動の進む方向と直交する』揺れ成分が最大となります。
Image_2
画像はS波の伝播イメージ


ですから、最も大きな震動の方向と直角に交わる方向の延長線上のどちらかが、震源の方角である可能性が高いわけです。


【それだけじゃわからない】
S波の揺れの方向からわかることは、そこまでです。

それに加えて震源までの距離がわかって来れば、周辺の地盤構造や過去の地震情報を併せることで、かなり正確に震源を推定することができるのです。

次回は、地震の揺れから震源までの距離を推定する方法です。


※読者の方からヘビの画像が気持ち悪くて記事読めないとのご指摘をいただきましたので、かわいいイラストに差し替えさせていただきました。ヘビが苦手な皆様、申し訳ありませんでした。


■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。

2015年11月27日 (金)

【シリーズUDL24】衛生編7・身体の衛生を保つために(#1091)

■UDLとはUndere Disaseter Lifeの頭文字。当ブログが提唱する被災生活の概念です。

今回からは衛生編の後半として、身体の衛生を考えます。


【風呂に入れない!】
言うまでもなく、インフラが止まったUDLでは、このことに尽きるわけです。特に夏場には、大きな問題です。

地震被害で想定されるのは、断水、停電、ガスや灯油の供給途絶に下水道の損傷。それらがすべて解決されなければ、自宅でゆっくりと風呂に浸かることはできません。

UDLと言ってもじっとしている訳ではなく、平時よりむしろ汗をかくことや汚れ仕事が増えますし、少し落ち着いてからは、仕事や学校に通うこともあるでしょう。

しかし身体を十分に洗うことができず、洗濯も十分にできずに清潔な着替えもろくに無い暮らしが、しばらく続くのです。


【自分と、周りのために】
面倒くさがりの人が、「風呂に入らずに死んだ奴はいない!」とか開き直ったりもします。確かに、死ぬことはありません。もっとも、実際に犠牲者が出ているUDLでは、口が裂けても言えない台詞ではありますが。

さておき、身体を清潔に保てないことの問題は、現実には『皮膚トラブルと臭い』が主になります。それ以前に、とにかく気分的に不快なわけですが、UDLではある程度の割り切りと我慢も必要です。

とにかくも、皮膚のトラブルで辛い思いをしないためと、臭いで周りをなるべく不快にさせないためにできる、最低限の対応策を備えておきましょう。

何の対応策も持っていないのと、不完全でも代替策を持っているのでは、天地の差となります。ここでは、汎用性が高くて比較的安価なものを中心に、UDLでの身体の衛生を考えて行きます。


【これがあれば最高】
いきなり核心に切り込むような見出しですが、実は脱線話です。

大規模災害被災地からのニュースに、必ず登場するのがこれ。
Bath01
陸上自衛隊が装備している入浴セットです。制式名称は『屋外入浴セット2型』といい、1日に1200人ほどの入浴が可能だそうです。

本来は災害派遣用装備ではなく、野営地などで隊員の衛生向上と士気の維持のために装備されているものですが、災害時にはこれほどありがたいものもありません。

もちろん好きな時に入れるわけではないものの、気持ち的にはUDLでの救世主とも言えるものです。

ちなみに、衛生維持だけでなく汚染除去のためでもある、屋外用のシャワーセットは大抵の軍隊が装備していますが、湯船を持つ入浴セットを装備しているのは、世界でも陸上自衛隊だけなのです。

この装備が導入されたきっかけは、1985年に発生した日本航空のジャンボ機が群馬県の御巣鷹の尾根に墜落した事故でした。現場で過酷な任務に当たる自衛隊員に対して、ある企業から無償提供されたのがこの入浴セットの原型です。

使用したところ、隊員の衛生や士気の維持に大きな効果が認められたため、その後制式採用されたという経緯があります。その後は各地の大災害被災地をはじめ、海外のPKO基地でも大活躍しています。

湯船に浸かると元気が出る日本人ならではの、実にありがたい装備ですね。


【濡れタオル+αを】
さておき、インフラが止まった災害被災地の現実として、風呂に入れない間は、濡れタオルで身体を拭くくらいしかできません。それを、自力で根本から解決する方法は無いのです。

しかし+αの装備をしていることで、皮膚トラブルや臭いが出る可能性を大きく減らせますし、それ以上に気分的な効果が非常に大きいのです。

このシリーズでは、そのために役に立つ装備を、なるべく汎用性が高く、手に入りやすく、安価であることを基準に考えて行きます。


■当記事は、カテゴリ【シリーズUDL】です。

2015年11月24日 (火)

【パリ同時テロ関連05】最後はあなたの判断と行動です(#1090)

Summit
伊勢・志摩サミット会場。天然の要害とはまさにこのこと


パリで発生した同時テロに関連した記事は、とりあえずこれで最後にしたいと思います。

今回は、多少宗教や民族に関わる記述が出てきますが、当ブログはあくまでテロ行為という事象面のみから考えます。よって、原則的に固有名詞は使いません。


【我が国は狙われるのか】
つまるところ、そこに行き着くかと。

現在、我が国もターゲットだと宣言している勢力による、日本国内における大規模テロ攻撃は、現実的なオペレーション面から見れば、これまで述べた通りかなり困難です。

加えて、我が国をターゲットとする理由は、主に政治的なものです。当該勢力が“敵側”を「十字軍連合」などと呼ぶ理由は、11世紀初頭に端を発する宗教対立まで遡らなければなりません。

しかし、我が国の宗教や文化はその宗教対立とは非常に縁が薄く、民族や国民も、歴史的に彼の地の民族と対立したことは、事実上ありません。

そんな国が“敵側”に加担したと見なされたからこそ、新たなターゲットとして宣言することによる、“宣伝効果”が大きいという面もあるでしょう。


【プライオリティを考える】
プライオリティとは、優先順位のことです。ここでも、皆様の視線で考えてみてください。

ここで、彼の勢力が”敵側”と見なす主な国々と、我が国の状況を比べてみましょう。

■対主要各国
・1000年に渡る宗教対立が存在する
・近代でも、民族・宗教を軽んじられて来たという思いがある
・経済的に搾取されて来たという思いがある
・直接的攻撃に戦力を派遣している
・多くの国は地理的に近く、移動、入国が比較的容易
・相手領域内での武器類の入手や運搬が比較的容易
・相手国内などに性格の近いコミュニティが存在することが多く、浸透しやすい
・ネットメディアによる情報拡散により、自主的にシンパになり得る層が存在する

■対日本
・歴史的に宗教・民族対立は存在しない
・近代の統治政策には直接的に関係していない
・かつて『欧米列強』の干渉を排して独立し、二次大戦敗戦後も復興を遂げた有色人種として、民族的、文化的にシンパシーを感じていることも多く、一般民衆に対する根源的な敵対意識が低い
・直接的攻撃を行っていない
・武器類の持ち込みや入手が困難
・距離的に遠い島国で、国内に性格の近いコミュニティもほとんど存在しない、『外国人』が目立つ環境
・民族的、宗教的バックボーンを持つシンパが生まれる可能性は非常に低い

ざっと考えても、これだけの異なる条件があります。もちろん、だから我が国が絶対安全だというつもりは毛頭ありませんが。

ただ、この状況を非常に有り体に言ってしまえば、より強い怒りや恨みを抱いている相手が近くにいて、しかも棍棒を隠し持って近づきやすい、ということ。

距離的に遠い相手でも、そこには“仲間”がいて、情報をもらったり、かくまってもらえる場所がある、ということです。

我が国はそのどちらでもなく、近くの“敵”は盛んに直接攻撃してくる。ならば、あなただったらどのターゲットを重視して、どこへ優先的に反撃しますか?


その一方で、こうも思われるかもしれません。
「攻撃が難しいと思って安穏としている奴らにも、いつか目にものを見せてやる」

その対象が、我が国だということです。じっくりと準備をし、少ない攻撃で最大の効果を上げられる場所とタイミングを狙うために、密かに準備が始められていてもおかしくありません。


【阿呆か?】
そこでメディアを賑わしているのが、「伊勢・志摩サミット」が狙われるのではないかという報道。全く、バカも休み休み言えという感じです。あんな場所に攻撃を仕掛けられる勢力など、世界に存在しません。

ましてや、航空戦力や長距離ミサイルなどの飛び道具さえも持たない民兵組織が、地球の裏側のサミットを攻撃してくるなどと考えるのは、ある意味で平和ボケの象徴かと。

かつての洞爺湖サミットの時もそうでしたが、山頂や島が会場に選ばれるのは、警備がやりやすいから。風光明媚なんておまけです。要は、たやすく“要塞化”できるからです。

そこを、世界有数の能力を持つ警察、海保、自衛隊が厳戒体制に入り、その裏では警察、自衛隊、海保の対テロ特殊部隊が極秘展開し、さらにその裏では、米軍があらゆる監視網と反撃手段を展開する。

そんな場所が、民兵組織に攻撃できるとか考えるメディアや専門家連中って、一体何なのでしょうか。これなど、ゲリラやテロリストが万能のような印象を植え付けてしまう、ディスインフォメーション以外の何物でもありません。

いくら生還を期さない自殺攻撃を前提としていても生身の人間、物理的限界は超えられません。


【苦笑いされている?】
元来、テロ行為とは「いつどこで起こるかわからない」ことが、恐怖の元なのです。なのに、最高度の警備が行われる時間と場所を区切られている時点で対象外。

それに、これまで述べたように、テロ行為の最大の目的は、“恐怖の醸成”なのです。何も、厳重に警備された各国首脳を狙う必要はない。

しかも、個人をターゲットにするテロ行為の『セオリー』は、最も警戒しづらい移動中を狙うこと。 “要塞”に入ってから攻撃するなど、単純に効率が悪く成功の確率が下がるだけ。なのに、会場である島の警備体制をしたり顔で語る“専門家”など噴飯ものです。

だから、彼の地の勢力は最近の報道を見て(日本の報道などは確実にチェックされています)苦笑いしているかもしれません。「そんなの狙えるわけないだろう」と。

でも、世界の注目が集まるサミット開催時に攻撃できれば、これほどの『宣伝効果』もありません。

さて、あなたらなどうしますか?


【一歩引いて騒ぎを起こせ】
究極の『ハードターゲット』である、サミット会場近隣は近づくこともできない。ならば、近づかなければ良いのです。

ここでのテロ行為の目的は、各国首脳が集まって対テロ作戦も話し合われる場所の『近く』もしくは『関連する場所など』で、明確な攻撃を行うこと。最初からサミット会場など想定外です。

サミット中にその国内でテロ行為を成功させられてしまったら、各国首脳は怒りと恐怖を感じ、ホスト国の面目は丸潰れです。サミットを途中で中止させたりすれば、それはもう大成功。

そしてその効果をより高めるためには、攻撃対象はなるべく会場に近く、世界的に名が知れていて、自分たちが溶け込みやすい場所が良い。それは、どこか。


国内への攻撃が無理ならば、海外のホスト国関連施設、ホスト国へ向かう交通(関係者が乗っていればなお良い)を狙いたい。

そして最も“手っとり早い”のが、海外でホスト国の国民を狙うこと。ターゲットになりやすいホスト国国民が多くいて、自分たちが隠密作戦をやりやすい場所はどこか。

東アジア系以外の民族に、日本人、中国人、韓国人などモンゴロイド系民族の顔を識別するのは困難。ならば、日本人を識別しやすいのは、どのような場所か。

そう考えて行くと、可能性はかなり絞り込まれて来るわけです。我々自身も、テロ被害に遭う可能性を減らす、セルフディフェンス方法を考えられます。


【実際に起きている】
大きなイベントが行われる時、ある意味で警備が“手薄”になる地方でテロ行為を行う手段は、過去にも実際に行われている、ある意味で『セオリー』です。

とは言え、これまで述べたような条件により、我が国で実行するのは非常に困難です。

それよりも、より実行しやすい条件が整い、より効果が大きい時がこれから来るとすれば、そこへ向けて、少しずつ目立たずに準備を進めて行く、その方が現実的と言えましょう。

もっとも、そのような長期オペレーションに耐える人員、資金、支援体制を用意できる組織力を維持できることが大前提です。

『掃討作戦』がどのように進み、どのような『成果』を上げているのかという情報を注視することで、我が国への間接的なリスクを計ることもできるのです。しかし、それは非常に曖昧模糊とした判断しかできませんし、それを解説できる“専門家”は滅多にメディアに出ません。

そこには、防災分野と同じく「こうすれば絶対大丈夫」というトリビア的解決策が無いので、メディア的には需要がごく少ないからです。テロ攻撃の可能性を並べるだけなら、管理人にもできますけどね。

最後は、あなたご自身の判断でリスクを軽減してください。ご質問などありましたら、何なりとどうぞ。但し、記事以上の具体的な地名や方法などは、表でも裏でもお答えしかねます。


これで、テロ関連の記事を一旦終了します。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

2015年11月19日 (木)

【パリ同時テロ関連04】いつどこで何が、そしてどうすれば?(#1089)

Scramble
テロのターゲットは心理的効果によって選ばれる(画像はあくまでイメージです)


今回は、我が国で実際に起こり得るテロ行為を、現実の状況と技術面から考えます。


【小規模テロならどこでも可能】
いきなりですが、これが現実です。

但し、それはあらゆる手段を含んだ、個人または少人数で完結するテロ行為まで想定した場合です。例えば、東京・秋葉原で発生した無差別殺傷事件も、背景に政治的などの動機は無いものの形態としてはテロ行為そのものであり、あのような攻撃ならば、どこでも可能なのです。

しかし、現在懸念されるテロリスト集団の“得意な方法”である、銃撃や爆弾攻撃となると、それほど簡単ではありません。

前記事の通り、多人数が連携して長期間の準備が必要な大規模テロを、外国勢力が日本国内で行うのはかなり困難です(絶対不可能とは言えませんが)

しかし、テロとは大衆に『恐怖』を植え付けることが目的ですから、その効果が有れば、攻撃の規模は問わないのです。大規模テロならばより大きな『恐怖』を植え付けられますが、規模は必然ではない、ということです。

もっとも我が国では、銃の乱射や狙撃によるテロが実行できる可能性は低いでしょう。日本国内での強力な銃と弾薬の入手や、海外からの持ち込みや運搬は非常に困難です。

さらに、銃撃で効果を上げるためには、それなりの訓練を受けていなければなりませんから、実行者は誰でも良い訳でもありません。そのような人物は当局にマークされていることが多いので、移動や入国も容易ではありません。

そして、銃撃よりも容易な方法がある以上、それを選ぶ理由は少ないと言えます。

銃撃より容易な方法とは、爆弾です。


【爆弾は作れる】
これまでの記事にも登場しているアンホ(ANFO)爆薬のように、市中で手に入る材料で合成できる爆薬もありますし、少量ならば材料の調達も可能でしょう。

もし日本国内で怪しまれずに荷受けできるシンパ企業などが存在するならば、船便で少量の爆発物を持ち込むことも、絶対不可能とは言えません。

爆弾を作るに当たっては、爆薬だけでなく起爆装置も必要ですが、それも市販の部品で作ることが可能ですし、テロリストはそのような技術も持っています。

さらに、前記事でも触れたように、本来はテロリストと繋がらないような、日本国内で怪しまれずに活動できる勢力が支援することも、絶対無いとは言えません。

そのような形で、日本国内で少量の爆弾を用意することは、決して不可能とは言えないのです。


【誰が、どこで、どうするか】
ここでは仮に、ひとりで運べるサイズの爆弾が用意できたとしましょう。

まず、誰が実行するか。日本国内で準備した人物やシンパは、当局に監視されているかもしれません。そんな人物が普段行かない場所へ移動しようとしたら、さらに厳重な監視下におかれるでしょう。

ですから、実行者は当局がマークしていない、される可能性が低い人物でなければなりません。その筆頭が、旅行者です。

旅行者然とした人物ならば、大荷物を運んでいても怪しまれませんし、どこに現れても理由づけができます。そんな人物が実行の直前に入国して、協力者と一度だけ接触または打ち合わせた方法で爆弾を受け取り、そのままターゲットへ移動する。この方法は、過去のテロ行為でも頻繁に行われている、『セオリー』のひとつです。

そして、これまで述べたようにターゲットは多くの人が集まる、その国を象徴するような場所や施設が主です。大荷物を運んだ旅行者が、まさに“溶け込める”場所なのです。

では、どこか。我が国をターゲットとするテロリストが過去に起こしたテロ行為の現場を、思い出してください。

各地の首都や大都市の繁華街や集会、または有名観光地などです。政府関連施設や空港、軍事施設などの『ハードターゲット』は、最初から対象外なのです。


【そして、実行】
皆様も、もし自分が攻撃側ならばどうするか、考えてみてください。

それは、ともすれば非常に不快な作業ですが、相手の目線で何ができるか、何がやりやすいか考えることは、危機管理の基本です。あなたが思いつく弱点は、相手にとっても同じことです。

以下は、あくまで想定の一部です。敢えて固有名詞は書きません。必然的に、首都の可能性が高くなります。

・有名なスクランブル交差点
・タワーの展望台もしくは周辺
・ブランド店や劇場が並ぶ高級ショッピング街
・ホビーや家電で有名な街
・臨海地区の大型施設
・最高速度に達した高速列車内
・ラッシュ帯の通勤電車内

このように、実際の被害よりも“そこで起きた”ことのショックが大きな、大々的に報道される有名な場所であることが重要なのです。 他に、敢えて警戒厳重な首都を避けて、世界的に有名な観光地などの可能性も考えられます。

なお、日本国内発の航空機を攻撃するのはかなり困難ですが(不可能とは言えません)、世界各地から日本国内へ向かう日本の航空会社の機体を狙う可能性があるのは、ロシア旅客機への攻撃があったことからも明らかです。

世界には、セキュリティ体制が十分とは言えない空港も、かなり存在しているのが現実です。


そう考えると、一体いつどこが狙われるのかと疑心暗鬼になって、出かけるのも怖くなりますね。

でも、それがテロの心理的効果そのものであり、そうなっては相手の思う壺、ということです。仮に、相手に何も実行する気がなくても、情報を流すだけで『敵』をコントロールしようとする心理戦に、負けるわけには行きません。


【起こるならば、いつか】
最後に、その問題。ここでも、皆様が相手側の目線で考えてみてください。

皆様がもし他国へ行って、できるだけ目立たずに行動して、あるミッションを達成したいとします。その場合、いつを選びますか?

この場合のセオリーは、『木の葉は森に隠せ』ということになります。そういう条件が、より整うのはどういう時か。具体的には書きませんが、お考えになってみてください。


【負けないこと】
ここまで述べたことは、テロ行為における『セオリー』から考えられることです。

一方で、その裏をかかれたり、過去に無かった手段が採られることも無いとは言えません。しかしいずれの場合も、相手が目指すのは“より容易に、より大きな効果”を上げることですから、そこからある程度の絞り込みもできます。

いずれにしろ、あれこれ考えすぎて疑心暗鬼になり、不安に囚われて生活が乱れてしまったら“負け”なのです。

様々な考え方がありますが、少なくとも、心理戦に負けずに堂々と日常生活を送ること。それが何よりも大切なことなのです。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。


2015年11月18日 (水)

【パリ同時テロ関連03】そして、我が国の状況は(#1088)

Sof
我が国の対テロ作戦の急先鋒を担う秘密部隊、陸自中央即応集団特殊作戦群の隊員

今回は、フランスで発生したような大規模テロ行為が、我が国で実行可能なのかについて考えます。

当記事は、前記事をお読みになった上でご覧ください。
【パリ同時テロ関連02】テロは思いつきではできない(#1087)

【大規模テロを実行するためには】
これまで述べたように、テロの最大の目的は“どこで殺戮が起きるかわからない”という恐怖を煽り、大衆の厭戦気分を醸成することにあります。

そして、大規模テロの実行には、十分な能力を持ち、良く訓練された実行犯と支援メンバーが、綿密な計画の下に長い時間をかけて準備することが必須です。

その間、当局の監視網に察知されずに機密を保持するためには、細心の注意と有効な『隠れ蓑』が必要なのです。

フランスのテロを見て、同様のテロがすぐにでも我が国で起きるかもしれないと恐怖を感じてしまったら、それはテロリストの“思う壷”ということです。


【浸透には『顔』が重要】
前記事に挙げたフランスの状況と、我が国を比べてみてください。

我が国において、かつてから存在する外国人コミュニティは、その多くが東アジアに由来するモンゴロイド人種のものです。すなわち、一般的日本人と風貌が近い。

近年はその他の民族の居住者もかなり増えていて、各国からの外国人観光客も、あちこちで見かけるようになりました。

しかし、日本人があまり立ち入れないような閉鎖的な外国人コミュニティはほとんど形成されておらず、実在する外国人コミュニティも、同一の民族、宗教、文化、思想などで高度に均質化されているわけでもありません。

しかも、やはり東アジア系人以外が街中にいると、それが大都市でも、やはりまだ“目立つ”のです。

すなわち、東アジア系人以外が溶け込める、良く似た『顔』の環境は非常に少なく、さらには民族的、宗教的にもテロリストを支持する可能性がある集団でもないので、その中で地元在住者以外が長期に渡って秘密活動を行うのは、非常に困難だと言えるでしょう。

それは一方で、日本人も含めた東アジア系人ならば比較的やりやすい、ということも意味しますが。

フランスの場合、地元出身者がテロリスト支配地域に渡航し、訓練を受けて帰国してもその事実が把握し切れず、再び元のコミュニティに溶け込んでテロを実行するという、いわゆる『ホームタウンテロ』が、最も容易と言える状況があるのです。


【武器は調達できるか】
言うまでもなく、我が国における銃器の管理体制は世界最高とも言えるレベルです。猟銃一挺が紛失しても大騒ぎになりますから、ましてや軍用銃を国内で調達するのは、事実上不可能。

爆薬にしても、軍用のプラスチック爆薬の入手はまず不可能。ダイナマイトでも、鉱山などから盗み出すくらいしか方法がありませんし、それはすぐに発覚するでしょう。

アンホ爆薬を自作しようとしても、原料を“怪しい外国人”が大量に買い付ければ非常に目立ちますし、『隠れ蓑』のコミュニティが無ければ、集積や加工も困難です。


一方で、国内に闇の銃器や爆薬が存在しないわけではありません。反社会勢力による密輸と集積が行われており、時々摘発されてニュースになります。

さらに、詳しくは書きませんが、“その他の勢力”による、武器の集積が行われている可能性もあります。

もし国内の反社会勢力や“その他の勢力”がテロリストと結託して武器や爆薬を供給したとしたら。その可能性がゼロだと断定するのは楽観的に過ぎますが、現実的に懸念するほどではないとは思われます。

何より、現有の反社会勢力にしても“その他の勢力”にしても、市民の大量殺戮を狙うテロリストと結託する『メリット』が、あまり考えられません。但し、可能性のひとつとしては想定しておくべきでしょう。

なお、テロの方法は銃器や爆薬だけでなく、交通機関を機械的に破壊したり、毒物などを使用する方法も考えられます。しかし、我が国をターゲットとするテロリスト集団の“得意な方法”ではなく、他の地域でも行われていませんから、やはり銃器と爆薬による方法を最も警戒すべきでしょう。


【果たして可能なのか】
以上のような条件からしても、我が国の国内で大規模テロを行うのは、非常に困難なのです。

もちろん、警戒が手薄な地方ならば、実行できる可能性は多少は高まります。しかしテロの本来の目的は、これまで述べたように『敵』の中枢や象徴的な場所を無差別攻撃して大被害を与えることで、大衆に恐怖を植え付けることです。

ですから、狙われるのは大都市やそれに準ずる場所の、非常に混雑する場所と時間帯ということになります。

果たして、それは可能なのか。次回は、我が国で想定されるテロ行為の、具体的可能性を考えます。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。


【パリ同時テロ関連02】テロは思いつきではできない(#1087)

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大規模テロの実行には、監視を潜り抜けた長期間の準備が必要である
(画像は市街を警戒するフランス軍兵士)


今回は、テロの種類と実行するために必要な条件を考えます。

【テロの種類とは】
広義においてのテロ行為とは、平時に敵対勢力の隙を突いて攻撃し、敵対勢力にダメージを与える行為すべてと言って良いでしょう。

そのような意味では、暗殺や個人での爆破や銃撃も、テロ行為の範疇となります。しかしここでは、我々も含めて戦闘状態下にはない一般市民が最も怖れるべき、組織的バックボーンを持った勢力による、都市部での無差別テロについて考えます。

今回のパリでのテロを見聞し、同様の勢力による同様のテロが我が国でも起きるのではないかと、心配されている方も多いでしょう。

もちろん、その心配が無いとは言えません。


【パリのテロを分析する】
ここで、パリのテロで行われたことを分析してみましょう。

・実行犯
フランス国内に同質のコミュニティが多数存在する、特定の宗教を信仰し、フランス語を母国語とするフランス出身または在住期間が長い人物が多数を占める集団。

・戦術
約30分間に8ヶ所で攻撃が実行されるという、綿密に計画・訓練された戦術。スタジアム周辺で時間差で3回の自爆が起きたのは、爆発によって集まる負傷者救護や現場掌握のための人物、もしくは野次馬に対して攻撃を反復し、被害を拡大させる戦術と思われる。

判明している状況からは、射撃はかなり正確であり、射手は軍事訓練を受けていた可能性が高い。一部の実行犯は、テロ実行主体とされる勢力の掌握地域に渡航していたことが確認されている。

・武器
戦闘用ライフル銃(AK47系)と大量の弾薬。おそらく隣国ベルギーの闇市場で調達された、半自動(単発)射撃専用の民生モデル。なお、現代の軍用ライフル銃は全自動(連発)射撃が可能だが、命中精度が落ちるので、全自動射撃は実戦ではあまり使用されない。

自爆用爆薬の種類は判然としないが、人間が爆薬ベストに詰めて身体に巻ける量ということからして、少量でも強力な爆発力を持つプラスチック爆薬もしくはダイナマイトなどの可能性。しかしフランス国内への持込や入手は困難とも思われるので、硝酸系肥料や軽油などから自作できる、アンホ(ANFO)爆薬の可能性もある。

これらのことを踏まえて、大規模テロを実行するには何が必要なのか、検証してみましょう。


【大規模テロは“段取り9割”】
今回のテロのような、多数の人間が複数箇所を同時攻撃をするような大規模テロのためには、何が必要か検証します。

・人選
最大の条件は、実行地域に溶け込めること。目立たない風貌、行動、言語の人物でなければならない。加えて、作戦を完遂できる能力、精神力、強固な意志と、準備段階でそれと察知されない用心深さを持っていなければならない。特に『敵側』の監視対象になっている集団に属する人物の場合は、長期に渡って監視の目を欺くための、高い技術と能力が要求される。

・環境
大規模テロを行うには、秘密裏の準備行動が長期間にわたり、関わる人物も多数に上る。その間に実行メンバーや支援メンバーが集まったり出入りしても怪しまれない環境、具体的には同質の人間による、それなりの規模のコミュニティが必要。同様の考えや習慣を持つ、地元民による支援コミュニティが存在するのが理想的。

・武器の調達
攻撃ターゲット近くで武器弾薬を調達できる環境か、極秘裏に持ち込めるルートが必要。アンホ爆薬などを自作する場合には、原料となる肥料や軽油などを大量に買い付けても怪しまれない人物と環境が必要。もしくは怪しまれない人物多数による分散調達や、闇ルートでの調達が必要。さらに、武器弾薬の集積や加工を怪しまれずにできる場所も必要であり、そのためにも実行グループが“溶け込める”環境が必須。

・訓練
物資の調達、ターゲットの選定及び下見、隠密での行動訓練を行う必要があるが、その際にそれと察知されやすい要素があってはならない。そのためにも、“そこにいても目立たない人物”である必要がある。


ざっと考えても、大規模テロにはこのような準備が必要なのです。決して、粗暴な人間が思いつきで実行できることではなく、高い能力を持った多くの人間がそれぞれの役割を完璧にに実行した上で、それらを組み合わせて初めて実行できるのです。

上記のような過程が完全に実行されたならば、余程偶発的な事態が起きない限り、大規模テロは成功したも同然と言えます。

そして、今回パリで起きた同時多発テロでは、上記の条件がすべて整っていたことがわかります。今年1月に発生したテロに続き、再びフランスでテロが実行されたことは、決して偶然では無いということができます。


それでは、このようなテロが我が国でも実行可能なのでしょうか。

次回はそれを検証します。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。


2015年11月17日 (火)

【パリ同時テロ関連01】テロの本質と目的とは(#1086)

Terror1
テロ行為の最大の目的は、恐怖の醸成である(銃撃されたパリのオープンレストラン)

フランス、パリで同時多発テロ事件が発生しました。今年の1月には、パリの新聞社を襲撃するテロ事件が発生しましたが、今回は自爆、市街地での銃撃、劇場を占拠しての銃撃と、より大規模で計画的でした。

当ブログでは政治、宗教、民族などに関わる問題には触れないスタンスを取っておりますが、あくまで異常事態から『生き残る』という観点から、1月の新聞社襲撃テロの後に、市街地での突発的テロ行為から生き残る方法をまとめた、下記リンクの記事をアップしました。

【パリでテロ事件】もしあなたがそこにいたら?
【パリでテロ事件】続・もしあなたがそこにいたら?

今回のテロ事件を受けて、上記記事の閲覧もかなり増えていますし、当ブログにいらっしゃる方の検索フレーズランキングが、下画像のようになっています。
Rank

このような状況を受けて、あくまで政治、宗教、民族問題とは別の側面から、テロとは何か、何が起きるのか、どうすればよいのかをまとめた臨時シリーズ記事をお送りします。


【どうすれば良いか?】
まず最初に、誰もが最も知りたいことから。

通常、最も可能性が高いテロ行為は、爆発と銃撃です。ここでは、それらへの対処を考えます。

爆発と銃撃から確実に生き残るために必要なことは、たったふたつしかありません。

爆発が起きる場所にいない、銃弾に当たらない

これだけです。


【テロとは何か】
答えになっていないじゃないか、とお怒りの方もあるでしょう。自分の居場所でテロが起きたら、対処のしようが無いじゃないかと。

しかし、それがテロの本質なのです。

テロは、英語でterrorism(テロリズム),ドイツ語でterrol(テロル)、フランス語でterreur(テルール)。その語源はラテン語のterrorであり、その意味は『恐怖』です。

直接的には、18世紀のフランス革命におけるロベスピエールの恐怖政治,regeme de Terreurに由来するもので、そこから、政治的目的による暴力手段を表すようになりました。


通常の暴力手段は、敵対勢力の人員や施設を殺傷、破壊することで、物理的弱体化を目的とします。一方でテロは、その名が『恐怖』に由来する通り、物理的弱体化はあまり目的とせず、敵勢力を疑心暗鬼にさせ、大衆に恐怖心理を植え付けて厭戦気分を煽る、すなわち心理的弱体化が目的です。

もしあなたが戦場にいたら、爆発が起きて銃弾が飛んで来るのは当たり前です。しかし、平和な街中でそれが起きたら、そのショックは計り知れませんし、具体的に身を守る方法が思いつきません。

今回のテロ事件報道では、実行勢力は警戒が厳重な『ハードターゲット』を攻撃する力が無いから、街中の『ソフトターゲット』を狙ったなどというものがありますが、それはあまりに浅薄で愚かな見方です。

テロは、軍事的攻撃ではないのです。テロは、そのターゲットが平和な場所なほど、そして実行勢力に敵対する勢力を象徴する場所であるほど、恐怖を煽るという目的にかなうのですから、最初から『ハードターゲット』など埒外なのです。


【効果的に恐怖を煽るための方法】
過去に起きた大規模テロ事件を思い出してください。商業施設や市場の攻撃や爆破、観光地や空港での銃撃、ハイジャックなどが主です。中には軍事施設、宗教施設、政治関係者などを狙ったものもありますが、それらはテロの範疇ながら、直接的な報復攻撃の性格が強いものです。

本来のテロとは、平和な街中を血で染めて大衆に恐怖を抱かせ、厭戦気分を盛り上げることで、最終的には実行勢力側の目的達成を近づけるために行われるものなのです。

パリのテロ事件現場を、改めて考えてみてください。

サッカーの国際親善試合が行われ、大統領も観戦していた満員のスタジアム近くでの自爆、平和な街中を象徴する、しかし無防備なオープンレストランへの銃撃、敵対勢力を象徴する国の音楽で盛り上がっている、逃げ場が無い有名劇場内での銃撃。

どれも「敵」を象徴する場所で、恐怖を煽る効果が十分に計算されたターゲットであることがわかります。

確かに、例えば警戒が厳重な『ハードターゲット』であるスタジアム内に突入しての自爆は、非常に困難だったでしょう。

でも、その必要はありません。街中に警戒が厳重で無い賑やかな場所はいくらでもあり、そのどこでも攻撃対象になり得る、どこで殺戮が起きるかわからないという恐怖感の醸成こそが、テロの最大の目的だからです。


次回は、テロの種類と実行に必要な条件を考えます。


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【シリーズUDL23】衛生編6・“命の水”を創りだせ(#1085)

Tarebin
突然ですが、これもあると便利なUDLグッズです


■UDLとはUnder Disaster Lifeの頭文字。当ブログが提唱する被災生活の概念です。


今回は、UDLにおける飲み水の消毒について考えます。


【UDLの水は危険だらけ】
水道が止まったUDLにおいて、主な飲み水は備蓄してある水か、給水車などから受け取る水となります。

しかし電気も止まっているので、ふたを開けたペットボトルや容器に溜めた水を冷蔵することはできませんから、条件によってはすぐに細菌類が繁殖してしまうことがあります。

実際には、そのような水があればまだ良い方で、浄化された安全な水が手に入らないことの方が多いでしょう。特に都市部での発災直後は、給水支援も期待できません。

水に関する防災トリビアには、トイレの水洗タンクの水を飲めるように普段から掃除しておけとか、最悪の場合は風呂の残り湯も飲み水に、などと言うものもあります。

でも、そんなこと誰もやっていませんし、考えてもいませんよね。

マンションなどの給水タンクの水は、UDLでもかなり有望な水源です。しかし断水と停電で給水や配水が止まりますから、時間の経過と共に、細菌類の繁殖などの可能性が高まります。

場合によっては、タンクから水を汲み出す作業によって、浄水が汚染されることもあります。

仮に、近くに澄んだ水の川などがあっても、もちろんそのまま飲む訳には行きません。防火用水槽の水も元は水道水ですが、衛生状態は劣悪です。

そのような水でも、なんとか安全に飲めるようにしなければなりません。飲み水だけは待った無しです。生きるため活動するために必要な水は、なにが何でも確保しなければならないのです。


【最強の消毒は煮沸】
と、書きつつも、実は最強の消毒は『蒸留』です。しかし
それは、現実的とは言えません。

目に見える不純物が無い水を消毒する現実的な方法としては、やはり煮沸が最強であり、正しい方法で行えば、細菌とウイルスを除去することができます。

そして、煮沸がができない場合の次善の策が、次亜塩素酸ナトリウム消毒剤による消毒です。

もちろん、煮沸と併用することで、より安全な水にすることができます。以下に、次亜塩素酸ナトリウム消毒剤による消毒方法を示します。


【水が澄んでいることが前提】
言うまでもありませんが、飲み水にするためには、基本的には不純物が含まれない、澄んだ水でなければなりません。澄んでいても、化学物質や毒物で汚染されている可能性はありますが、ここではそれは考えません。

水に濁りがあったり目に見える不純物が混じっている場合、家庭でできる手軽な方法としてお勧めなのが、コーヒーフィルターによる濾過です。

澄んだ水が入手でき、煮沸ができない場合は、以下の方法で消毒します。ここでは、有効塩素濃度6%の消毒剤(商品名ピューラックスなど)での比率で考えます。

なお、飲み水の消毒には『食品添加物』に指定されている消毒剤しか使えません。キッチン用などは洗剤成分が含まれていて使えませんから、購入する際には十分に確認してください。


【まず消毒液を作る】
次亜塩素酸ナトリウム消毒剤の原液を、水に直接混ぜても良いのですが、一度に20リットルとか大量の水を浄水するのでもなければ、濃度の調整が難しくなります。

そこで、ここでは一旦中間濃度の消毒液を作り、それで飲み水を消毒する方法を紹介します。

■消毒液作り
有効塩素濃度6%の原液を20倍希釈して、0.3%の消毒液を作る。

水170cc(カップ1杯弱)の水に、原液9cc(ペットボトルのキャップ2杯弱)を混ぜ、かきまぜる

★注意★
塩素成分は徐々に失われるので、消毒液はたくさん作り置きしない。キャップつき容器に密閉して1週間が使用限度の目安。

消毒液を誤って飲まないように、容器には【飲むな!】などの表示をしておく。


■飲み水の消毒
水道水の消毒用塩素含有量は0.1ppm(0.00001%)程度だが、UDLではより安全性を考えて、0.5ppm(0.00005%)以上とする。

水500cc(小ペットボトル1本)に、上記の消毒液を4滴(約0.2cc)混ぜる

水2リットル(大ペットボトル1本)に、上記の消毒液を13滴(約0.65cc)混ぜる

※寿司などについている醤油さし容器(タレビン)があると滴下に便利で、消毒液の持ち歩きもできる。

★注意★
消毒液を混ぜたら良くかき混ぜ、30分程度放置する。

消毒成分は早ければ数時間で失われるので、飲み水も大量に作り置きしないで、使用前にこまめに作るようにする。

この消毒方法は細菌とウイルスに対して効果があるが、寄生虫卵に対しての効果はない。エキノコックスなどの危険が考えられる場合は、煮沸を併用する。


【こんな使い方もできます】
家庭などに備蓄しているペットボトル水、5~10年長期保存保証の水を用意できれば良いのですが、問題はコスト。500ccで160円以上しますから、大量に備蓄するのは大変。

しかし実際には、2リットル100円以下で売っている普通のペットボトル水でも、冷暗所に保存してあれば3年くらいはまず平気で、それより長くなっても大抵は大丈夫です。管理人は福島へボランティアに行った時、活動中の飲み水はすべて3年以上保存したペットボトル水でまかないましたが、全く問題ありませんでした。

もし水に濁りが出ていたら危険ですが、澄んでいれば雑菌が繁殖している可能性もほとんどありません。

でも、長期保存した水は澄んでいてもちょっと不安なものです。そこで、飲む前に上記の消毒液で消毒すれば安全性と安心感がぐっと高まります。さらに煮沸と併用すれば、まず大丈夫。

というわけで、次亜塩素酸ナトリウム消毒剤があれば、ペットボトル水の保存期間の問題も、かなり改善できるわけです。


■当記事は、カテゴリ【シリーズUDL】です。

2015年11月14日 (土)

薩摩半島西方沖でマグニチュード7.0、津波発生(#1084)

11月14日午前5時51分頃、九州の薩摩半島西方沖、約160kmの深さ約10kmを震源とするマグニチュード7.0の地震が発生し、佐賀県白石町で最大震度4を観測しました。

この地震で、種子島・屋久島地方、奄美群島・トカラ列島、鹿児島県西部に津波注意報が発表され、中之島で30cmの津波を観測しました。


【かなり静かな震源域】
この地震の震源域、薩摩半島西方沖はかなり静かな震源域であり、東日本大震災後にも、特に活発化するような動きはありませんでした。

この周辺で起きる地震は、ほとんどが震源深さが「ごく浅い」から10km程度で、稀に深さ150km以上の深発地震が起きています。年間の有感地震発生回数も、平均して10回あるかないかくらいで、小規模地震がほとんどです。

2015年に入ってからは、5月27日にマグニチュード4.1、最大震度1が起きていますが、その地震は深さ150kmで発生しているので、今回の地震とは無関係です。浅い地震は、今回の一連の地震が、年初めての有感地震ということになります。

2007年まで遡って記録を調べても、以後この震源域で起きた最大の地震はマグニチュード4.9でしたから、今回の地震は飛びぬけて大きな規模だったと言えます。


【意外に小さかった?】
今回の地震で、{あれ?」と思われた方も多いのではないでしょうか。

深さ10kmという浅い海底でマグニチュード7.0ですから、地上がもっと大きく揺れたり、大きな津波が発生してもおかしくなかったのではないかと。

もし陸地の地下で同様の地震が起きたら、地上の揺れは震度6強以上となって、大被害が出る規模の地震だったのです。

津波にしても、一般的には深さ10kmの海底でマグニチュード6台後半以上の地震が起きた場合には、もっと大きな津波が発生するはずです。なのに今回は、最大でも高さ30cmでした。


【場所とメカニズムのおかげ】
この地震で地上の最大震度が4と、あまり大きくならなかった最大の理由は、震央の場所(下図参照)です。下図は、気象庁ウェブサイトからお借りしました。
20151114
今回の震央は、薩摩半島西方沖震源域の中でもかなり西寄り、すなわち陸地から約160kmも離れた遠い場所だったからです。

しかし、なぜ津波がとても小さかったのでしょうか。


この地震について、気象庁から発表がありました。この地震のメカニズムは、『北西-南東方向に張力軸を持つ横ずれ断層型』ということです。このメカニズムのおかげで、津波が非常に小さかったのです。

津波は、地震によって海底が変形すると、それによって大量の海水が押し上げられたり落ち込んだりして発生します。すなわち、海底に垂直の動きがあった時に、大きな津波になりやすいのです。

しかし横ずれ断層では、断層自体に垂直方向の動きが少ないために、それによる海底の動きも小さかったので、津波が小さかったということができます。

もちろんこれは偶然ではなく、この震源域に横ずれ断層が存在して、今回はそれが動いた結果ということです。もしこれが、深さ10kmの正断層もしくは逆断層による地震だったら、大津波警報が出てもおかしくないレベルの津波が発生したかもしれません。


【忘れてはならないこと】
注意すべきは、今回震源域周辺で発生する地震のすべてが横ずれ断層によるものとは限らない、ということです。

今回の地震規模は非常に大きかったため、周辺の他の震源域に影響を与えていないとは限りませんし、すぐ近くに他のタイプの断層があるかもしれません。

さらに、今回はたまたま陸地から遠い海底で、メカニズム的に津波もごく小さかったのですが、このような規模の地震がいつどこで起きてもおかしくないという現実を、改めて突きつけられた、ということでもあります。被害は事実上ありませんでしたが、今回は間違いなく“大地震”だったのです。

このような巨大エネルギーが溜まった断層が、どこかの陸地の直下や浅い海底にもし眠っていたら、いや、どこかに必ず眠っているはずなのです。

そして、日本列島は東日本大震災以降、巨大な地殻変動は未だ収束していませんし、震災以前よりはるかに地震発生回数が多い状態が続いています。

いつかどこかで確実に起きる大地震が、平常時よりはるかに起きやすい状態が続いているということを、改めて良く考えて、しかるべき行動と備えをしてください。

起きてから嘆いても、後の祭りです。


■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。


2015年11月12日 (木)

他人のふんどしでやりたい放題?(#1083)

Capture
一見の価値ある映像ではありますが (画像はPC画面からのキャプチャです)


先日、『防災の専門家』とか『危機管理のエキスパート』とか名乗っている、“テレビでお馴染みの”防災評論家Y・T氏の講演に、ツッコミを入れる記事をアップしました(下リンク)

新感覚のエンターテインメント登場?(#1076)

そこでは、東日本大震災直後にツイッターでつぶやかれた“お涙頂戴ネタ”を、Y氏があたかも自分が現場で採録したような調子で語っていることを明らかにしました。

今回はその続きですが、今回の方がはるかに問題が大きいかと。


【著作権侵害・無断営利使用・利用規約違反の可能性】
Y氏は、講演の冒頭で、いわゆるツカミのために、ある映像をプロジェクターで上映したようです。その映像は、こちら。youtube動画をリンクします。

【東日本大震災】国家存亡の危機180秒映像!地震津波の瞬間・原発事故!
https://youtu.be/-PPE72_n48M

本題とは関係ありませんが、このyoutube映像の出来は素晴らしく、あの日に何が起きたのかを簡潔に、しかし鮮明に思い起こさせてくれます。しかし、必然的に非常にショッキングなシーンが多数含まれますので、視聴は各自のご判断でお願いします。

とにかく、講演の聴衆を“防災モード”にするには最適とも言える映像ではあります。しかしこの映像、Y氏が構成や制作をしたわけでは無いようです。


【いかなる権利で使用したのか?】
上記リンクの映像は、NowNetNewsさんというyoutubeチャンネルに投稿されています。当該チャンネルの他の映像を見ればわかりますが、NowNetNewsさんが独自に編集したニュース映像を投稿しているチャンネルのようです。

すなわち、映像の著作権はNowNetNewsさんに帰属するものと考えられます。

さらに、この映像はYouTube Japan公式チャンネルにも転載されています。非常にインパクトが強い象徴的な映像ですから、youtube運営によりピックアップされて、転載されたものと思われます。

仮に、Y氏の講演での映像使用が正当なものだとしても、出典元の表示は著作権者であるNowNetNewsさんでなければなりません。しかし講演での映像上映時には、『出典元 YouTube Japan』と表示されていたそうです。

これだけでも、他の人が制作した映像を使用する場合のルールが無視されています。そんなことも知らないで、カネを取るイベントをやっているのでしょうか。


【そんなのは些事】
まあなんて細かいことツッコんで、などと言われてしまいそうですが、実はそんなことはどうでも良くて。

最大の問題は、youtube動画をダウンロードして使っているということ。youtubeの利用規約には、下記太字部分が明記されています(抜粋)

お客様は、YouTubeの事前の書面による承認なく、本サービスまたは本コンテンツのいかなる部分(本コンテンツ(以下に定義します。)を含みますが、これに限られません。)をもいかなる媒体によっても配布しないことに合意します。

お客様は、本サービス自体の動画再生ページ、Embeddable Player、又はその他YouTubeが明示的に認めた手段以外のあらゆる技術及び手段を通じて、 本コンテンツにアクセスしないことに合意します。

お客様は、「ダウンロード」または同様のリンクが本コンテンツについて本サービス上でYouTubeにより表示されている場合を除き、いかなる本コンテンツもダウンロードしてはなりません。お客様は、YouTubeまたは関連する本コンテンツのライセンサーからの事前の書面による同意なく、コピー、複製、送信可能化、出版、翻案、配布、放送、表示、販売、ライセンス付与又はその他一切の他の目的のために利用されてはなりません。

つまりは、Y氏は利用規約で禁止されている方法でyoutubeにアクセスし、禁止されているダウンロードを行い、禁止されているコピーを行い、禁止されている商業目的での利用をしているのではないか、ということです。

加えて、NowNetNewsさんの著作権侵害も行っているようです。

仮にアクセスやダウンロードしたのが本人でなくても(多分違うのでしょう)、商業目的で使用しているのはY氏本人です。もし著作権者の許諾を得ずに商業利用しているのならば、法的、規約的以前に道義的、商道徳的に大きな問題ですが、ご当人はどこ吹く風のようで。

さしもの『危機管理のエキスパート』も、自身に降りかかるリスクについては“専門外”のようですね。


【全部想像ですけどw】
ここまで指摘したこと、実はすべて“想像”ですw

Y氏が、youtube並びにNowNetNewsさんから公式に許諾を受けてやっていることならば、何の問題もありません。それを受けていないのではないかという想像の下、この記事を書いています。

でも、上記の厳しい利用規約をすり抜けて許諾を得る方法、あるのでしょうかね。それができるならば、Y氏はかなりの“大物”なんでしょう。


想像のまま、この記事を締めることにします。

“テレビでおなじみの”防災の専門家、危機管理のエキスパートさんは、やっぱり素人にはできないことができるのかな。いや凄いわwww

実際、あれは止めといた方がいいんじゃないですかね、誰か忠告してやってくださいよ。…って、これであの映像の上映を本当にやめたら、実に笑えるんだけどw

皆様の情報をお待ちしております。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。


2015年11月11日 (水)

【シリーズUDL22】衛生編5・環境の敵を排除せよ(#1082)

Spray
UDLでの健康を守るために、手軽なスプレーで環境の敵を排除(画像はイメージです)


■UDLとはUnder disaster Lifeの頭文字。当ブログが提唱する被災生活の概念です。

衛生編ではここまで、UDL環境での細菌・ウイルス対策及び飲み水の消毒用に、アルコール(エタノール)消毒剤と次亜塩素酸ナトリウム消毒剤を備えておくことを提唱し、その簡易版とも言える代用品も紹介しました。

今回からは、UDL環境に対する、それらの具体的な使い方について考えます。それについての詳細な情報は、ネット上などにたくさん存在するのですが、当ブログとしては、“これだけは覚えておきたい”ということを中心に、できるだけシンプルにお送りしたいと思います。


【アルコール系で細菌対策】
まずはアルコール消毒剤の使い方ですが、これは簡単。医薬品指定のものでもキッチン用でも業務用でも、原液を消毒したい場所に直接噴霧したり、液をつけてふき取ったりするだけです。

しかし、UDLではふき取り用布の衛生状態を保つのも難しいことが考えられるので、環境の消毒用としては、基本的にはスプレーボトルに移して噴霧する方が良いでしょう。

水が使えない環境で、トイレの後などで手指の消毒をする際には、適量を手に取って、手全体になじませてゴシゴシとまんべんなくこすりあわせ、指の又や皺の中、指紋の間に付着している細菌も消毒します。

なお、アルコールはすぐ揮発しますから、後からふき取ったり、洗い流したりする必要はありません。但し、アルコールには皮膚の油分を取り除く効果がありますから、使用後に皮膚が白くカサカサになることがあります。 気になる場合は、ハンドクリームなどで油分を補給してください。


アルコール消毒剤の効能は、すべての細菌と、一部のウイルスの除去です。

ウイルスに関しては、周りに脂質の膜を持っているタイプにのみ効果があるのですが、どのウイルスに効果があるのか覚えるのも大変ですし、それ以前に、そこにどんなウイルスがいるのかもわかりません。

ちなみに、アルコールはインフルエンザウイルスには効果がありますが、酷い下痢を引き起こすノロウイルスやロタウイルスには効果がありません。

ですから、当ブログとしては『アルコール(エタノール)消毒剤は細菌だけに効果がある』と、割り切っても良いかと考えます。

家庭内に下痢をしている人がいたり、避難所内や人混みの中に出た後だったりでなければ、基本的にはアルコール消毒で良いかと思いますが、やはりそれだけでは不安です。


【塩素系でウイルス対策】
そこで、やはり必要になるのが次亜塩素酸ナトリウム消毒剤です。こちらはすべての細菌とウイルスに効果があり、食品添加物指定の薬剤ならば、飲み水の消毒にも使えますが、使い方はちょっと面倒です。

次亜塩素酸ナトリウム消毒剤は、原液が肌に触れるとかぶれ、荒れなどを引き起こし、色物の服についたら一発で色が抜けてしまいます。

肌についたら、普段ならばすぐに流水で洗い流せば問題ありませんが、水道が使えないUDLでは、特に取り扱いに注意する必要があります。使用時には、ゴム手袋などで肌を守ってください。


次亜塩素酸ナトリウム消毒剤は、水で希釈して消毒液を作ります。環境を消毒する場合と、飲み水を消毒する場合では希釈率が大きく異なります。

そこで、とりあえず覚えておきたい希釈率とその方法を、下記に示します。 ここでは、有効塩素濃度6%の原液(商品名ピューラックスなど)の比率で考えます。有効塩素濃度4%の原液(商品名ケンミックス4など)の場合は、原液の量を約1.5倍にしてください。


■住環境用消毒液■
トイレの便座、ドアノブ、手すり、床などの消毒や、衣類、タオル、器具などの漬け置きに使う消毒液は、有効塩素濃度が約0.02%になるように作ります。

・水1リットルに対して原液約4ccを入れて、良くかき混ぜる

細菌・ウイルス感染者の便、吐しゃ物などが付着した場所を消毒する場合は、濃度を5倍(0.1%)に上げます。

・水1リットルに対して原液約18ccを入れて、良くかき混ぜる

500ccペットボトルのキャップは約5ccの容量ですから、原液を計るのに便利です。なお、原液の量はそれほど神経質になることはありません。例えば18ccならば、ペットボトルのキャップざっと4杯分くらいの感じで大丈夫です。また、次亜塩素酸ナトリウム消毒剤のキャップは、通常20~25ccです。容器にキャップの容量が書いてあります。


【その他の注意点など】
とりあえず、これだけ覚えておけば実用上問題無いでしょう。

繰り返しますが、消毒液の濃度はそれほど神経質になることはありません。むしろ、環境が細菌やウイルスで汚染されていることが確実だったり、その疑いが高い場合は、濃いめにしておく方が安心です。


なお、ここでは食品添加物指定の次亜塩素酸ナトリウム消毒剤を使うことを考えていますが、キッチンハイターなどキッチン用次亜塩素酸ナトリウム漂白剤を使う場合には、以下の点に注意してください。

キッチン用には少量の水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)や界面活性剤などの洗剤成分が添加されているので、トイレの便座やドアノブなど肌に触れる場所に使用した場合は、30分ほど経過して消毒効果が十分発揮された後に、きれいな布や紙でふき取る。

管理人の経験では、消毒液程度の濃度では特に問題は感じませんでしたが、皮膚に対しての影響を最小限にするためには、そのような対策をした方が良いかと思います。

また、次亜塩素酸ナトリウム消毒剤を使うと、プールのような匂いがします。それは微量ながら有毒のガスですから、使用時には換気を良くしてください。


一部の指導では、スプレーすると希釈液が目に入ったりする可能性があるので、希釈液を消毒したい場所につけてふき取る方法を勧めているものもあります。

もちろんその方が安全ではありますが、ここでは布や紙も不足するUDLを前提としていますし、なるべく手軽で広範囲を消毒できる方法を考えていますので、敢えてスプレーをお勧めしています。使用の際には、特に目に入らないように、可能であればゴーグルなどの使用をお勧めします。

次回は、飲み水の消毒です。


■当記事は、カテゴリ【シリーズUDL】です。


2015年11月 6日 (金)

【ヲタ目線地震教室22】S波のよこ揺れで震源推定(#1081)

今回からは、震源の推定方法です。

そんなことをしてぴたりと当てても、所詮はヲタ的な自己満足に過ぎませんが、それでも地震が来るたびに揺れ方を意識するということを習慣にするだけで、本当に大きな地震が来た時の反応速度が確実に上がります。

「あ、地震だ」で終わらず、「どのくらいの規模だ?近いのか遠いのか?」と考える意識が、「大きいぞ、ならば次の行動へ」という意識に繋がりやすくなり、頭が真っ白になって固まってしまうことを防ぐ効果も、確実にあるのです。


【推定に必要な要素はふたつ】
震源推定に必要な要素は、以下のふたつです。
・観測点からの方角
・観測点からの距離

さらに、観測点に長く居住したりしていれば、過去の地震の揺れ方と震源のデータの蓄積で、推定の精度を上げることができます。

では、まず観測点から震源の方角を推定する方法から考えてみましょう。


【地震波の特性から推定】
ある程度の大きさの地震になれば、まず最初に「たて揺れ」であるP波を感じます。

P波は、理屈を言えば震源から放射状に拡散して行く「粗密波」、イメージ的には震源を中心点とする円の半径方向に”伸び縮み”する波ですから、P波の揺れの方向がわかれば、その延長線上どちらかの方向に震源があることになります。

しかし、実際のP波は振幅が小さく、ガタガタ、ビリビリ、ブルブルという感じですから、揺れの方向を体感できることはまずありません。

ですから、P波を感じた時点では震源の方向は考えず、別の作業をスタートさせることになりますが、それは後述します。

もしP波が、突き上げられるような「ドン!」や「ドドド!」という風に感じたり、「ガタガタ」でも棚の上のものが落ちたりするような大きさだったら、震源推定なんか放り出して、すぐに避難行動開始です。

それは間違いなく、かなり近い震源の中規模以上の地震か、遠距離の巨大地震だからです。断言はできませんが、そうなったら最低でも震度5弱、ほとんどの場合で震度5強以上と考えなければなりません。

地上では山や崖が崩れたり、震源が海底ならば、津波が発生する可能性が高い規模です。

念のため付け加えますと、感じたのがごく小さな地震でも、実際の避難行動は行わないまでも、火気の近くにいたらすぐ火を消すなど、避難体制への移行を必ずしてください。

他に、避難経路や避難用履き物などの確認、ガラスや家具など危険物から離れる、夜ならば備えているライトを手に取るなど、避難を前提とした行動を少しでも行ってください。

普段からのそのような積み重ねが、「本番」で大きなな違いとなるのです。練習は、裏切りません。


【S波が震源推定の本番】
さて、P波が危険なほどではなければ、ある作業を続けつつ、「よこ揺れ」であるS波を待ちかまえます。

S波は、大きな地震であるほど最初の「グワっ!」と来る揺れが強く、そのショックで多くの人が固まってしまうのです。それを防ぐ最良の方法が、P波を感じた時から、次にS波の「グワっ!」が来るぞと予想し、身構えていることです。

そういう意識を作るためにも、P波のうちから「あ、地震だ」で済まさず、揺れかたに集中し、次に何が来るのかを考えることが有効です。


ここで恒例の脱線をしまして、地震波の実際についてちょっと確認しておきましょう。前記事では「表面波」などは考えなくても良いとか書いたのですが、ここはちょっとヲタ目線で、地表面を伝わって来る地震波である表面波が登場します。下図をご覧ください。
Quakewavve
典型的な地震波のグラフです。

まず最初にP波が到達して、それがしばらく続きます。P波の揺れは、途中でいきなり大きくなったりはしません。

次に、揺れが少し大きくなりはじめた部分。S波が到達し始め、よこ揺れの振幅が大きくなり始めました。ここで注意しなければならないのは、S波が到達したらP波は終わりでは無いということ。ここでは、P波とS波が混ざり始めるのです。

そして、振幅がいきなりグワっと大きくなる部分ですが、実はここで、最も速度が遅い表面波が追いついて来て、P波+S波+表面波の揺れが始まっています。実は、グワっと大きなよこ揺れが始まる時は、S波だけでなく表面波が到達していることが多いのです。

表面波は、地震波の性質としてはS波の範疇ですが、地中を伝わって来るS波より速度が遅くて震動周期が長いよこ揺れが特徴です。震源が遠い地震の場合、S波の横揺れが始まってしばらくしてから、突然さらに大きな揺れが始まることがありますが、これは表面波が遅れて到達したか、複数の震源が連鎖して、別の地震波が到達したかのどちらかです。

データが無いので断言はできませんが、東日本大震災(東北地方太平洋地震)の際、関東地方などで感じた揺れが途中からいきなりグワっと大きくなったのは、その時点で表面波が到達したからではないかと、管理人は考えています。

関東地方付近では、震源からの距離がかなり長い巨大地震だったため、最大の揺れをもたらす表面波が、最初のS波の到達からかなり遅れたと考えられます。

ここでyoutube動画を一本リンクします。千葉県の京成電鉄成田駅で撮影された動画です。開始28秒くらいで、よこ揺れが一気に大きくなるのがわかります。
■youtube動画3月11日 地震 京成成田駅での様子
https://youtu.be/lEmAQ6Xizd4


次回も、S波による震源の推定方法です。


■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。

2015年11月 5日 (木)

『津波防災の日』だったそうで(#1080)

Tsunamibousai
もう一度考え直した方が良いんじゃないですかね、この『津波防災の日』は

今日11月5日は、『津波防災の日』だったそうですね(当日の記事なのに既に過去形)

なんで今日かというと、東日本大震災以来、あちこちで採り上げられた津波避難の逸話、『稲むらの火』の舞台となった津波が11月5日だったからとか。

それにしても、管理人的には全くテンションが上がらない日です。津波対策を本気で考えて、その日に避難訓練などを行うのならば、もっと寒い時期に制定するか、せめて3月11日とすべきでしょう。

過去の逸話に合わせた日付など、制定側の自己満足に過ぎません。


それに、過去記事でも触れたのですけど、この『津波防災の日』、なんと震災の4ヶ月後くらいに制定されたそうで。

正直言って、その頃はこんなどうでも良い日を制定とかしてる場合じゃなかったでしょう。被災地はまだ混乱の真っ只中で、原発も予断を許さない状況で。

そんな時に、かなりのマンパワーと予算を使って『津波防災の日』制定だとは、あいた口が塞がらない感じ。その前にやるべきことは、いくらでもあっただろうよ。

さすがに、震災の4日後に「この悲劇を教訓にしてすばらしい国を創って行こう」とか発言した首相がいた政権ですわ。

別に、政治的な意図は全くありませんよ。政策とかは全く関係なく、状況把握能力と危機管理能力に著しく欠ける発言や行動を批判しているだけです。こういうこと書くと、すぐ○○側とか工作員とかレッテル貼られるから困るw

そんなわけで、管理人にとって、この『津波防災の日』は、未だに“どうでも良い日”でしかありませんし、これからも変わらないでしょう。もう一度、考え直すことをお勧めしますよ。津波についてじゃなくて、この日の存在自体を。


どうでも良ければ無視すれば良いのですが、やっぱり何か言わなければ気が済まない感じだったので、記事を上げさせていただきました。短文失礼しましたw


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