2023年3月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

« 薩摩半島西方沖でマグニチュード7.0、津波発生(#1084) | トップページ | 【パリ同時テロ関連01】テロの本質と目的とは(#1086) »

2015年11月17日 (火)

【シリーズUDL23】衛生編6・“命の水”を創りだせ(#1085)

Tarebin
突然ですが、これもあると便利なUDLグッズです


■UDLとはUnder Disaster Lifeの頭文字。当ブログが提唱する被災生活の概念です。


今回は、UDLにおける飲み水の消毒について考えます。


【UDLの水は危険だらけ】
水道が止まったUDLにおいて、主な飲み水は備蓄してある水か、給水車などから受け取る水となります。

しかし電気も止まっているので、ふたを開けたペットボトルや容器に溜めた水を冷蔵することはできませんから、条件によってはすぐに細菌類が繁殖してしまうことがあります。

実際には、そのような水があればまだ良い方で、浄化された安全な水が手に入らないことの方が多いでしょう。特に都市部での発災直後は、給水支援も期待できません。

水に関する防災トリビアには、トイレの水洗タンクの水を飲めるように普段から掃除しておけとか、最悪の場合は風呂の残り湯も飲み水に、などと言うものもあります。

でも、そんなこと誰もやっていませんし、考えてもいませんよね。

マンションなどの給水タンクの水は、UDLでもかなり有望な水源です。しかし断水と停電で給水や配水が止まりますから、時間の経過と共に、細菌類の繁殖などの可能性が高まります。

場合によっては、タンクから水を汲み出す作業によって、浄水が汚染されることもあります。

仮に、近くに澄んだ水の川などがあっても、もちろんそのまま飲む訳には行きません。防火用水槽の水も元は水道水ですが、衛生状態は劣悪です。

そのような水でも、なんとか安全に飲めるようにしなければなりません。飲み水だけは待った無しです。生きるため活動するために必要な水は、なにが何でも確保しなければならないのです。


【最強の消毒は煮沸】
と、書きつつも、実は最強の消毒は『蒸留』です。しかし
それは、現実的とは言えません。

目に見える不純物が無い水を消毒する現実的な方法としては、やはり煮沸が最強であり、正しい方法で行えば、細菌とウイルスを除去することができます。

そして、煮沸がができない場合の次善の策が、次亜塩素酸ナトリウム消毒剤による消毒です。

もちろん、煮沸と併用することで、より安全な水にすることができます。以下に、次亜塩素酸ナトリウム消毒剤による消毒方法を示します。


【水が澄んでいることが前提】
言うまでもありませんが、飲み水にするためには、基本的には不純物が含まれない、澄んだ水でなければなりません。澄んでいても、化学物質や毒物で汚染されている可能性はありますが、ここではそれは考えません。

水に濁りがあったり目に見える不純物が混じっている場合、家庭でできる手軽な方法としてお勧めなのが、コーヒーフィルターによる濾過です。

澄んだ水が入手でき、煮沸ができない場合は、以下の方法で消毒します。ここでは、有効塩素濃度6%の消毒剤(商品名ピューラックスなど)での比率で考えます。

なお、飲み水の消毒には『食品添加物』に指定されている消毒剤しか使えません。キッチン用などは洗剤成分が含まれていて使えませんから、購入する際には十分に確認してください。


【まず消毒液を作る】
次亜塩素酸ナトリウム消毒剤の原液を、水に直接混ぜても良いのですが、一度に20リットルとか大量の水を浄水するのでもなければ、濃度の調整が難しくなります。

そこで、ここでは一旦中間濃度の消毒液を作り、それで飲み水を消毒する方法を紹介します。

■消毒液作り
有効塩素濃度6%の原液を20倍希釈して、0.3%の消毒液を作る。

水170cc(カップ1杯弱)の水に、原液9cc(ペットボトルのキャップ2杯弱)を混ぜ、かきまぜる

★注意★
塩素成分は徐々に失われるので、消毒液はたくさん作り置きしない。キャップつき容器に密閉して1週間が使用限度の目安。

消毒液を誤って飲まないように、容器には【飲むな!】などの表示をしておく。


■飲み水の消毒
水道水の消毒用塩素含有量は0.1ppm(0.00001%)程度だが、UDLではより安全性を考えて、0.5ppm(0.00005%)以上とする。

水500cc(小ペットボトル1本)に、上記の消毒液を4滴(約0.2cc)混ぜる

水2リットル(大ペットボトル1本)に、上記の消毒液を13滴(約0.65cc)混ぜる

※寿司などについている醤油さし容器(タレビン)があると滴下に便利で、消毒液の持ち歩きもできる。

★注意★
消毒液を混ぜたら良くかき混ぜ、30分程度放置する。

消毒成分は早ければ数時間で失われるので、飲み水も大量に作り置きしないで、使用前にこまめに作るようにする。

この消毒方法は細菌とウイルスに対して効果があるが、寄生虫卵に対しての効果はない。エキノコックスなどの危険が考えられる場合は、煮沸を併用する。


【こんな使い方もできます】
家庭などに備蓄しているペットボトル水、5~10年長期保存保証の水を用意できれば良いのですが、問題はコスト。500ccで160円以上しますから、大量に備蓄するのは大変。

しかし実際には、2リットル100円以下で売っている普通のペットボトル水でも、冷暗所に保存してあれば3年くらいはまず平気で、それより長くなっても大抵は大丈夫です。管理人は福島へボランティアに行った時、活動中の飲み水はすべて3年以上保存したペットボトル水でまかないましたが、全く問題ありませんでした。

もし水に濁りが出ていたら危険ですが、澄んでいれば雑菌が繁殖している可能性もほとんどありません。

でも、長期保存した水は澄んでいてもちょっと不安なものです。そこで、飲む前に上記の消毒液で消毒すれば安全性と安心感がぐっと高まります。さらに煮沸と併用すれば、まず大丈夫。

というわけで、次亜塩素酸ナトリウム消毒剤があれば、ペットボトル水の保存期間の問題も、かなり改善できるわけです。


■当記事は、カテゴリ【シリーズUDL】です。

« 薩摩半島西方沖でマグニチュード7.0、津波発生(#1084) | トップページ | 【パリ同時テロ関連01】テロの本質と目的とは(#1086) »

シリーズUDL」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【シリーズUDL23】衛生編6・“命の水”を創りだせ(#1085):

« 薩摩半島西方沖でマグニチュード7.0、津波発生(#1084) | トップページ | 【パリ同時テロ関連01】テロの本質と目的とは(#1086) »