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2015年12月

2015年12月28日 (月)

東京湾連続地震関連情報(#1103)

2015年の記事は一旦締めさせていただきましたが、12月26日に東京湾で小規模地震が連続発生したため、関連記事をお送りしています。


【現在と過去の状況】
12月26日午後10時12分から午後11時21分という1時間余りの間に、東京湾北部直下の深さ約20kmを震源とするマグニチュード2.7から3.4の小規模地震が連続5回発生し、東京23区などで震度1から2を観測しました。

最初の4回の地震は、東京湾北部のほぼ中央部の直下、ほぼ同じ震央で発生しましたが、現時点で最後の1回は東京湾北部の西岸寄り、羽田空港沖の直下付近で発生し、この地震の規模がマグニチュード3.4、最大震度2と最も大きいものでした。

その地震の後は、当記事執筆時点(12/27 2000時)まで、東京湾直下での有感地震は発生していません。

なお、この最後の地震の震央は今年9月12日に発生したマグニチュード5.3、最大震度5弱の地震の震央にごく近いのですが、9月の地震は震源深さが57kmであり、メカニズム的に別ものです。よって、直接の関連は薄いものと思われます。


東京湾直下地震というと、東京都の被害想定などでも登場するので、地震が多いというイメージもあります。しかし実際には非常に地震が少ない場所なのです。

ちなみに、近年東京湾直下で起きた地震は、2015年中は今回の連続地震を除けば4回、2014年中には3回、2013年中にはなんと0回、2012年中には4回しか起きていません。

2011年には、東日本大震災(東北地方太平洋地震)の翌日、3月12日から年末まで17回の地震が発生していますが、2015年に震度5弱が1回、2012年に震度4が1回の他はすべて震度3以下という、かなり静かな震源域なのです。


また、東京湾直下では震災直後でさえごく短時間に地震が連続するようなことは起きておらず、2004年まで遡ってみても、1日に複数回の地震が発生したことは今回の5連続を除けば2度だけで、いずれも2回続いたのみでした。

そのような状況から、ほぼ同一または直近の震源で5回の地震が連続するということは、東京湾直下震源域としては『異常事態』と捉えても良いと考えます。

ただし、過去様々な震源域で連続地震や群発地震が発生しているものの、大規模地震に繋がった例は多くありません。確率だけで言えば、このまま収束する可能性が最も高いのでしょう。

しかし、一時的にしろ普段見られない活発な地震活動が見られたのは事実ですので、より大きな規模の活動に繋がることを前提に、しばらくの間は警戒レベルを上げておくべき状況と考えます。


【この地震の特徴を推定する】
東京湾直下震源域で起きる地震は、震源深さが10kmから30km程度が多くなっています。この地域の地下は、陸側のユーラシアプレートの下に南からフィリピン海プレートが潜り込み、その下に東から太平洋プレートが潜り込むという三層構造と言われおり、それを模式図にすると、下図のようになります。
Mini

この地域で起きる地震は図の1から5のタイプに分類されます。1は地表近く、深さ10km程度の断層が動く地震、2は最上層のユーラシアプレートと第2層のフィリピン海プレートの境界で起きる『プレート境界型地震』、3はフィリピン海プレート内で起きる『スラブ内地震』、4は第2層のフィリピン海プレートと最下層の太平洋プレートの境界で起きる『プレート境界型地震』、5は太平洋プレート内で起きる『スラブ内地震』です。

今回の連続地震は、小規模のために気象庁から詳細の発表が無いので発震機構は不明ですが、震源深さが約20kmとされていることから、上記分類の2、ユーラシアプレートとフィリピン海プレートの『プレート境界型地震』である可能性が高いと考えられます。

かつて、東京直下地震ではそれまで最大震度6強とされていたものが、一部地域で震度7の可能性が出てきたと発表されて、結構な騒ぎになったことがありました。これは、最新技術による観測と解析の結果、両プレートの境界がそれまで想定されていた深さよりも、10kmも浅い場所にあることが判明したためです。

震源が浅くなれば、それだけ地表の揺れも大きくなるわけですが、今回の連続地震は、まさにその辺りで起きていると思われます。端的に言えば、もしその震源で大規模地震が発生すれば、地表の揺れが最も大きくなる可能性が高いという、「最も起きてほしくない震源」で起きている、ということです。


【その他の可能性】
上に掲載した南関東地下の構造模式図は、比較的一般的なものです。一方で、関東直下のプレート構造は、さらに複雑であるという説もあります。

それは独立行政法人 産業技術総合研究所 活断層研究センターが2008年に発表したもので、フィリピン海プレートと太平洋プレートの間に、『関東フラグメント』と呼ばれるプレートの“切れ端”が挟まっている、というものです。その模式図を、同研究所ウェブサイトよりお借りして掲載させていただきます。
Fragment

この説に沿うならば、20km程度という震源深さからだけでは、『プレート境界型地震』であるかどうかはわかりません。『関東フラグメント』が存在するならば、上図のようにかなり幅広い深度に渡っているからです。

ただ、今回の連続地震が『プレート境界型地震』では無かったとしても、比較的浅い場所で発生した、大規模化すれば非常に危険なタイプの地震であることには変わりありません。

『プレート境界型地震』だった場合は、その他のタイプよりも大規模になる可能性があるということで、そうでなければ危険度が小さいという意味では決してありません。いずれのタイプでも、地上に大被害をもたらすレベルの地震が発生する可能性はあります。

実際に、1894年(明治27年)には今回の連続地震とほぼ同じ、東京湾北部直下で発生して東京市(当時)及び近郊に大きな被害をもたらした『明治東京地震』(推定マグニチュード7.0)は、現代の解析によってフィリピン海プレート内部の『スラブ内地震』であった可能性が高いと言われています。

明治東京地震の震源深さは40~80kmと推定されていますが、同規模の地震でも、より浅い震源で発生すれば、それだけ地表の揺れは大きくなります。

今回の連続地震は、震源深さが20km程度ということで、今後もし大規模に発震した場合には非常に激しい揺れが予想され、場合によっては東京湾内で津波が発生する可能性もある震源域であるという認識をしておく必要があります。



【警戒しつつ日常を】

今の状況をまとめると、下記ようになります。

過去に大規模発震したことがある、構造的にも大規模地震が起きる可能性が指摘されている震源域で、過去にほとんど例が無い形で小規模地震が短時間のうちに連続発生したが、その後しばらく静穏な状態が続いている、ということです。

これが大規模地震に繋がるかは未知数ですし、非常に危機的状況であるとも言えません。しかし、地震に限らず『普段とは違う状態』が起きた場合は警戒レベルを上げることは、危機管理の常道でもあります。

せわしい年末の時期ではありますが、関東南部においては、これからしばらくの間は常に大規模地震への意識を普段より高めつつ、無闇に心配せずに日常生活を送ってください。

何も無ければそれで良し。しかし警戒する意識こそが、イザという時に『命の一秒』を稼ぎ出すことに繋がるはずです。

続報がありましたらできるだけお伝えしたいと思いますが、ブログ記事をアップできないこともあります。その場合は、Twitterの当ブログ公式アカウントでお伝えしたいと思いますので、下記アカウントをのフォローをお願いします。

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■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。


2015年12月27日 (日)

【緊急地震関連情報】東京湾直下で連続地震(#1102)

緊急記事をアップします。

昨日12月26日の午後10時台から11時台にかけて、東京湾直下を震源とする震度1~2の小規模地震が5回連続発生しました。

その後日付が変わってからは有感地震の発生はありませんが、東京湾を震源とする地震の連続は非常に珍しいので、しばらく警戒レベルを上げるべき状況です。

震源深さはすべて20kmとされており、最上層のユーラシアプレートと第2層のフィリピン海プレート境界のプレート境界型地震の可能性があります。

このタイプは、南関東直下型地震としては最大の揺れ、場所によっては震度7に達することが想定されているものです。

この活動が大規模地震につながるかはわかりませんが、小規模ながら何らかの理由で活発化していることは確かです。

今後1週間程度の間は警戒レベルを上げつつ、状況を慎重に監視する必要があります。

せわしい時期ですが、常に大規模地震発生を想定して行動してください。

続報がありましたらアップします。


■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。

2015年12月22日 (火)

本年もありがとうございました(#1101)

2015年、平成27年もいよいよ押し迫って参りました。

今年の冬は、寒さや雪の量はそれほど厳しくないようですが、いわゆる『暖冬』というほどでも無さそうです。

本年も『生き残れ。Annex』をご愛読いただきまして、ありがとうございました。当ブログは、明けて2016年1月12日に、スタートからまる4年を迎えます。

巷の防災情報があまりに役に立たず、いい加減ものばかりなことに対する憤りから始まった当ブログですが、4年で1100本の記事を書いても、まだまだネタは尽きません。

これからも、変わらぬスタンスでお送りして行きます。


【何かと気ぜわしいですが】
こんな忙しい時期、毎年のことながら防災への意識が薄くなりがちです。

しかし当たり前のことながら、年末年始だろうが忙しかろうが、災害、特に地震災害が発生する確率は、何ら変わりません。

むしろ低い気温、降雪、凍結、人混み、渋滞などのため、災害対策の条件は、よりシビアな時期でもあります。

そんな時期だからこそ、改めて災害対策を意識をしてください。特に、寒さ対策。

それはただ厚着をするだけではなく、災害下で長時間に渡って寒気に晒されることを想定して、人体の“弱点”を重点的に防護する対策です。

そのような対策の有無で、行動できる時間が大きく変わって来ますし、最後には『生き残れる』かどうかの差となるのです。

賑やかで明るい街中も、一旦災害が発生すれば、無慈悲なサバイバルフィールドと化します。そしてそこでは、寒さに加えて、人の多さそのものがひとつの“凶器”となるのです。


【過去記事リンクします】
この時期における具体的な対策方法は、これまでの記事で何度もお送りしておりますが、とりあえず年末年始の行動で想定される危険に対しての対策を、過去記事からピックアップしてリンクしますので、ぜひお役立てください。

なお、下記リンク記事は、2012年の年末にアップした記事の再掲載となります。

【年末年始の災害対策 1】防水・防寒編
【年末年始の災害対策 2】忘年会・新年会編
【年末年始の災害対策 3】年末年始ライブ編
【年末年始の災害対策 4】寒冷地ドライブ編
【年末年始の災害対策 5】帰省編
【年末年始の災害対策 6・最終回】初詣編


【年末年始もご安全に】
管理人、年内に一度雪の中の屋外ライブに出かけます。そして年末には、すばらしい運営ながら防災的には気がかりな東京ビッグサイトのコミケに参戦し、年明けには、久々に北海道、札幌のスタジアムへ行きます。

寒い中で、多くの人が集まるイベントに続けて参加、というわけです。管理人はかつて札幌に住んでいたこともあるので、寒さの恐怖は身にしみています。でも改めて気を引き締めて、十分な装備と気構えで行こうと思います。当時ほど若くないしなw

もちろん、何も無ければ取り越し苦労、でも、もし何かあってもそれなりに余裕でいられるように。


そんなわけで、ちょっと早めではありますが、特にお伝えしたいことが出て来ない限り、これにて本年の記事を締めさせていただきます。本年もご愛読いただきまして、誠にありがとうございました。

のんびりしたい年末年始でも、災害対策の条件はよりシビアな時期であることを心に留めて、良いお年をお迎えください。

皆様にとって、来年が良い年になりますことを、心よりお祈りさせていただきます。

■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

2015年12月17日 (木)

【ヲタ目線地震教室27】おまけ・震源推定の実例(#1100)

ふと気がついたら、通算1100号記事でございます。

震源推定シリーズは、一旦は前回で最後にしようと思ったのですが、どうにも実際のイメージがしずらいなと言う感じなので、もう1回やります。


【震災前の昔話です】
管理人は、かつて東京都内、台東区上野の近くに通う勤め人でした。

余談ながら、台東区や墨田区は、1923年(大正12年)の関東大震災で、広い範囲が火災で焼き尽くされました。

現代でも、一歩裏町に入れば当時とあまり変わらないような木造建物の密集地や細い路地があり、防災的にはかなりシビアな地域と言えます。

ですから、自然に「今ここで大地震が起きたらどう行動しよう」という意識が、普段から否応無しに高まっていました。

そしてその頃、震源推定で同僚を驚愕させたことがありましたので、その時どういう流れで推定したのかを、実際の事例として紹介したいと思います。


【ドンぴしゃでした】
その話は東日本大震災の何年も前で、関東南部でも震度3以上の地震など半年に1回あるかないかという、とても“平和”な時期でした。

もちろん、個人的に蓄積できていたその場所の地震データも、震災後に比べれば非常に少なかったのです。それでも管理人は、ある程度のパターンは把握できていました。地震ヲタですから。

その地震は、茨城県県南部の千葉県境寄りが震源で、震源深さ70km、マグニチュードは確か4.9だったでしょうか。台東区上野辺りは、震度4の揺れとなりました。

その地震の震源などを、我ながら出来すぎというくらい、ぴたりと当てられたのです。


【人間緊急地震速報発表】
それは、ブルブルという感じのたて揺れから始まりました。管理人は8階建てビルの5階にいましたが、ビル全体が震えるような感じ。

満載のダンプカーが走るそばで感じるような、かなり鋭い感じの、管理人流の表現では「エッジが立った」たて揺れです。それまで滅多に感じたことのない強さでしたから、すぐに「結構近い、そして大きめ」と判断しました。

そして、管理人は同フロアにいた人に声を掛けました。
「震度4くらい、来るぞ!」
横揺れが来る前に警報する、人間緊急地震速報でしたw

もちろん、秒数カウントを始めています。そして約6秒後に、ビルがミシっとしなる様な、大きな横揺れが来ました。まさに震度4レベル。

こんな風に、管理人は緊急地震速報が無い時代にそれをやっていたのですから、そりゃ変人扱いされますってw


【推定開始】
P波とS波の時間差が約6秒だったので、0.8をかけて10倍して、震源までの距離は大体48kmくらい。

管理人は、その時点で震源を茨城県南部、埼玉県南部、東京湾付近に絞り込んでいました。過去多かった(とは言っても当時は年数回)パターンから、そう判断しました。

そして横揺れです。まあ避難の必要なしという感じなので、揺れ方に集中します。

まず最初の大きな揺れの振幅がかなり大きめ。これは結構深い震源だなと。10kmくらいの浅い震源ならば、もっと細かくて速い揺れになるはず。

揺れの方向は、東西に近い方向が強いなと。ならば、やはり茨城南部か、東京湾付近か。しかしP波S波の時間差から、そこは近すぎる。

ならば茨城南部かと思い、さらに揺れに集中します。ゆさゆさと振幅が大きめながら、これも管理人の表現ですが「芯のある」揺れです。わかりやすく言うと、揺れの速度が早めで、振り回されるような感じがする揺れです。

ずっと遠い地震ならば、もっと「ふわふわとした」感じになるはずですし、P波S波の時間差からも、それほど遠くありません。距離的にも揺れ方からも、茨城県南部の可能性が高くなってきました。

揺れはそのまま徐々に減衰し、1分程度で感じなくなりました。でも、最後の方でかなり細かい揺れがしつこく残っていたのが、管理人は気になっていたのですす。


【審判の時w】
揺れが収まると、毎度ながら「いまのどこ?」という質問が飛んできます。別に格好つけるつもりは無いのですが、やはりここは地震ヲタとしてビシっと決めたい。

まず震源域。茨城県南部、それも千葉県境に近い(推定距離と揺れ方から判断)

マグニチュードは5前後(推定距離と揺れの大きさの経験則から判断)

そして震源深さは50km・・・と一度は言ったものの、揺れの「エッジ」がそれほど立っていないと感じたこと、最後の方に結構しつこく揺れが残っていたことから、いやもっと深い、70kmだなと訂正したのです。

震源が遠いか深いかで、揺れは振動周期が長くなって「エッジ」が弱くなり、揺れる時間が長くなる傾向があるわけです。

今の地震は深めの地震だとはわかったものの、深さ50km程度では、もっと早めに収束するはず、あれだけ残っていたのなら、70kmはあったはずだと。

それを図にすると、下図のようになります。地図は、関東南部で地震が多い場所とそのタイプ、青い円は上野から40kmの範囲、グレーの部分は、上野からほぼ南北方向を示し、赤い×印が震源です。
1

実際の震源は上野から北北東方向で、震央までの距離は40km弱。算出された48kmよりは短いですが、震源が深さ70kmであることと、秒数カウントにかなり誤差が含まれることを考えれば、許容範囲と言えます。

このように、震源までの大まかな距離と方角、揺れ方に加え、その場所での過去データを勘案することで、かなり正確に震源推定ができる、という例でした。


この地震、気象庁発表によれば、マグニチュードが推定より0.1小さかった他はドンぴしゃということで、管理人はさらに地震変態の地位を確固たるものにしたのでしたw

特に、震源深さを言い直して当てたということが「なんでだ?」と不思議がられましたが、細かい情報と感覚の積み重ねからの判断だった、といわけです。


【イメージしていただけましたか?】
実際には、こんな感じで震源推定をやっているわけです。

現在はもう上野には通っておりませんが、東日本大震災後に関東でも地震が超多発したために、関東地方の地震情報は、感覚的なものも含めて膨大な量が蓄積できています。

ですから、震源推定の精度もより上がってはいるのですが、何しろこんなのは“ゲーム”に過ぎませんから、わからなくても全く問題はありません。

ただ、揺れを感じた瞬間に固まらず、それが自分にとって危険な地震かどうかという判断が素早くできるようになるための、ひとつのトレーニング方法というところでしょうか。


これで、震源推定に関するシリーズを終わります。さて、次は何をやろうかな。


■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。

2015年12月15日 (火)

【シリーズUDL28】衛生編11・2トップ体制で戦おう(#1099)

Myouban_3
ダイヤの原石?いえ違います今回の主役です


■UDLとはUnder Disaster Lifeの頭文字。被災生活の概念です。

今回は、UDLにおける身体の衛生維持に役立つアイテム、最後の4つめです。


【体臭予防に効果的】
4つめは、ミョウバンです。ミョウバンとは何かというと、いくつかの金属塩が結びついた複合塩の総称ということで、結局のところ良くわかりませんがw、天然でも産出される物質です。

ともかくも、我が国では古くから漬物の発色を良くしたり、野菜のアクを抜いたり、中華麺に添加する『かんすい』として利用されきた、安全な食品添加物です。

なんでも、ヨーロッパでは、古代ローマ時代から天然のミョウバンを消臭剤として使っていたとのことで、“世界最古のデオドラント剤”だそう。その効果は折り紙付きです。


【重曹で良くない?】
でも、このシリーズ記事で2番目に紹介した重曹と、効能がかぶりますね。重曹だけあれば十分じゃないかとも思えますが、ミョウバンを別に用意する意味もあるのです。

その最大の理由は、弱アルカリ性を示す重曹に対して、ミョウバンは水に溶かすと弱酸性になるということ。


アルカリ性の重曹は、油を溶かす効果で皮脂を取り除くのに加えて、本来は弱酸性である皮膚の酸性が強くなると出る臭いを中和して消してくれます。

一方、酸性のミョウバンは、細菌の繁殖を抑制することで、細菌が汗の成分を分解すると出る、イヤな臭いを抑えてくれます。

特に、アルカリ性であるアンモニア系の臭いを中和するので、汗くささを抑える効果が高いのです。

細菌の繁殖が抑えられれば、臭いだけでなくその他の皮膚トラブルも出にくくなりますから、風呂に入れないUDLの、強い味方というわけです。


重曹とミョウバン、このふたつを併用すれば、重曹で臭いの“原料”である汗や皮脂を取り除き、ミョウバンで臭いの“工場”である細菌の繁殖を抑えられます。さらに、酸性及びアルカリ性の臭いを中和して消すという、相互補完効果があるわけです。

また、アルカリ性の重曹を多用することで、本来は弱酸性の皮膚がアルカリ性に偏りすぎてトラブルを起こさないように、酸性のミョウバンで中和することができます。


【世界最古はダテじゃない】
ミョウバンの効果はそれだけではありません。

アルカリ性の臭いを中和して消すだけでなく、ミョウバンの金属分子が臭い物質の分子に作用して、臭い物質自体を分解する効果もあります。

さらに、発汗そのものを抑える、制汗作用もあるのです。そのメカニズムは良くわかっていませんが、とにかく汗の量を減らしてくれます。

その効果は、全身にミョウバン水を浴びると汗が出なくなりすぎて、体温調節に支障を来すことがあるほど。特に子供、お年寄り、病気の方、身体の弱い方が使う際には、細心の注意が必要です。

使い方については記事最後で詳しく触れますが、さすがに“世界最古のデオドラント剤”、実に優れモノです。

これが、スーパーや薬局などで、50グラム100円程度で入手できるのです。家の防災用備蓄に、一袋放り込んでおきましょう。

もちろん、平時から使っていればなお良し、ということで。


【ミョウバン水の作り方】
ミョウバンの市販品は、一般的には粉末です。結晶のままのものや焼ミョウバンと呼ばれるものは、すりばちなどで粉状にして使います。

UDLに限らず、例えば腋の下の汗や臭いを抑えたい場合は、粉末を直接腋の下に塗ってしまって大丈夫。でも、水に溶かした方が、何かと使いやすいでしょう。


■ミョウバン水(原液)の作り方■
水500cc当たり15グラム強(小さじ3杯強)のミョウバンを入れて、良く振って溶かす。濃度の目安は、ミョウバン1に対して水30。

溶けきらない場合は、そのまま1日ほど放置しておく。溶けて透明になったら完成。

ミョウバン水は、常温保存ならば長くても2週間程度を使用限度の目安にしましょう。ミョウバンはとても安価ですから、UDLでも水が使えるならば、こまめに作りましょう。


【ミョウバン水の使い方】
肌に使う際は、原液を水で6倍から10倍に薄めます。500ccの原液があれば、ミョウバン水を最低3リットル作れます。


次に、禁止事項。

・顔に使ってはいけない
危険な物質ではありませんし、粉を直接肌に塗っても大丈夫なくらいですが、顔は止めた方が良いそうです。その理由は調べても良くわかりませんでしたが、専門家からのアドバイスです。

・全身にかけたままにしない
前述の通り、ミョウバンには制汗作用がありますから、全身にかけてそのままにしておいたりすると、発汗を抑えすぎて、特に夏場には体温調節に支障を来すことがあります。

腋の下や股間など、汗と臭いを特に抑えたい場所にはたっぷり使い、その他の皮膚にはさらっとかけて、良くふき取っておきましょう。

特に子供、お年寄り、病気の方、身体の弱い方の場合は十分な注意を。


続いて、注意事項

・かぶれることもある
人によっては肌に合わず、かぶれなどの症状が出ることがあります。最初に、少量でパッチテストをしてから使いましょう。

ミョウバンの濃度を薄めると問題が出なくなることもありますので、心配な場合は試してみてください。

・口に入れない
ミョウバンは、特に毒性は無い食品添加物です。しかし、うがいには向いていません。うがいは重曹水で。


【2トップでUDLを戦い抜け】
インフラが止まるUDLでは、風呂に入れません。そして、なかなか清潔な下着や服が着られません。

でも、汗をかいたり汚れたりする仕事が、山ほどあります。

その中で身体をできるだけ清潔に保ち、臭いを抑え、皮膚トラブルを防ぎ、そしてなにより、気分的にさっぱりするために、衛生編では4つのアイテムを紹介しました。

中でも、身体全体の衛生のために、重曹とミョウバンという“2トップ”体制をお勧めします。

その効能もさることながら、とても安価で、平時から使えて、水に溶かすだけという手軽さなど、備えておくメリットは絶大です。


【衛生編の最後に】
このように、少しの知識と備えでものすごく楽ができるのに、巷の防災情報には、なぜこのような情報がほとんど無いのでしょうか。

インフラが1ヶ月とか止まることが想定されるのに、ウエットティッシュなどの備えを勧めるようなのばかりですよね。 そうでなければ、紙製下着や下着ライナーが役立ったとかいう、非常にわかりやすいトリビア的情報ばかりで。

それは、メディアに良く出る商業ベースの『防災の専門家』の大半が、まず衛生という概念を甘く見ていること(重視するための基本的知識も無い)、こういう安価なものを紹介しても儲からないこと、情報の受け手も、衛生対策情報をあまり欲していないことなど、理由はいろいろあります。

しかし、現実の災害現場からの声が確かにあり、それに応える情報が存在するのです。もう、『本当に役に立つこと』のセレクションを、自分の商売を優先する『防災の専門家』に任せるのは、止めにしませんか。

そんな手合いはこれからもメディアには登場し続けるでしょうが、我々は過度に単純化されてバイアスがかかり過ぎて『本当は役に立たない』情報を捨て、自ら『本当に役に立つこと』を知るために、能動的に調べてはいかがでしょうか。


つまるところ、災害だとかUDLだとかはどうでも良いのです。いつも使えるものが使えない過酷な環境で、いかに

『健康に、楽に過ごせるか』

そのための、ほんの少しの備えと手間が、天地の差を生むというだけのことです。

都市伝説ではありませんが、備えるか備えないかは、あなた次第です。そして、備えたあなたは、確実に“楽ができる”のです。


これで、衛生編を終わります。




■当記事は、カテゴリ【シリーズUDL】です。

2015年12月11日 (金)

【ヲタ目線地震教室26】さあやってみよう震源推定(#1098)

3dchart
震源の距離、深さ、規模を揺れ方から見抜くには
(画像は防災科学技術研究所Hi-netの資料より)


今回は、震源の方角と距離の他に、震源推定に必要な要素を、できるだけ単純化してまとめます。 でも、単純化とは記事が短いということではありませんw


【まずは揺れかた】
ある程度の大きさ以上の地震ならば、最初にP波のたて揺れを感じます。

最初はたて揺れの感じで、大まかに2種類に分けます

■1■
下から突き上げるような、ドン!またはドドド!と感じる揺れならば、震源がかなり近い、中規模以上の地震。

そのような揺れを感じたら、震源推定などしないで、すぐに避難行動に移る。ごく短時間で、激しいよこ揺れが始まる来る可能性大。

■2■
ガタガタ、ビリビリと感じるたて揺れは、震源が比較的離れていることが多い。

しかしたて揺れを感じる時点で中規模以上の地震であり、はっきりとしたガタガタ、ビリビリが何十秒も続くようならば、距離が遠くてもかなりの大規模地震と判断すべき。


最初にドン!やドドド!を感じたらすぐ避難、ガタガタ、ビリビリの場合は、とりあえずS波のよこ揺れが来るまでの秒数をカウントしてみましょう。

そして、S波のよこ揺れが到達します。多くの場合、S波のよこ揺れは、到達直後が一番大きな揺れになります。ですから、最初の大きなよこ揺れが危険なほどでなければ、避難するほどではないと判断することもできます。

ただし、東日本大震災(東北地方太平洋地震)がそうだったように、複数や広範囲の震源が連鎖したり、さらに大きな地震波が遅れて到達したような場合には、よこ揺れの途中から、揺れがより大きくなることもあります。

そのような巨大地震の場合には、たて揺れの段階から普段の中小規模地震とは違う強い揺れを感じますから、これは大きそうだと思ったら、速やかに避難体制を取ってください。

では、よこ揺れの種類による判断とは。


【遠い・深いでゆるやかに】
一般に、S波のよこ揺れの周期は、観測点から震源が遠いほど、または震源が地下深いほど、震動周期が長めの“ゆさゆさとした”揺れになる傾向があります。

これは、地震波が地中を伝わって来る途中で反射や屈折した地震波や、速度の違う地震波が合成されたりして、震動周期が長くなって行くためです。

静かな水面に石を投げ込んで波紋を立てると、中心から距離が離れるに従って、ゆるやかな波になって広がって行く、それと同じことが、地中でも起きているわけです。

なお、長周期の揺れは地盤構造の影響でも発生することがあります。


【遠い・深いと後を引く】
観測点から遠かったり、震源が深い地震の傾向は、もうひとつあります。揺れている時間が、長くなるのです。

これは、地震波が地中を伝わって来る時間が長いために、その途中で反射や屈折をする“遅い地震波”が発生しやすく、それがしばらく地表の観測点に到達し続けるために、揺れている時間が長くなるのです。

大きな揺れが収まってからも、「あれ?まだ揺れている」と感じるような地震は、ほとんどの場合、遠いか深いかのどちらかです。

これに対し、震源が近い、深さが浅い地震ほど、強い揺れがぐわっと来て、すっと収束するような揺れ方になりやすいわけです。


【たて揺れを感じない場合】
実際には、P波のたて揺れを感じずに、いきなりよこ揺れが始まるように感じる場合も多くあります。

それは、地震の規模が比較的小規模だったり、震源がかなり遠いか、非常に深い場合です。S波よりエネルギーの小さなP波が、観測点に到達するまでの間に減衰してしまい、身体に感じない程度の揺れにまで弱まっているわけです。

そのような地震で、被害が出るような危険はまずありませんが、その場合でも、上記のようにS波の揺れ方を感じることで、震源までの距離や深さを、ある程度は判断できるわけです。

ただ、非常に特殊な例ですが、今年の5月30日に起きた、小笠原諸島西方沖、震源深さ682km、マグニチュード8,1の巨大深発地震のように、P波のたて揺れをほとんど感じずに、最大震度5強にまで達するような地震もあります。

あの地震は震源までの距離が非常に遠く、また非常に深かったために、日本列島の広い範囲で周期の長いゆさゆさとした大きな揺れが長時間続きました。しかし、長周期の揺れは建物などに対する破壊力が比較的小さいために、被害らしい被害は出ませんでした。

あの地震はマグニチュード8.1という巨大規模だったために、あれだけの揺れが陸地まで届いたものであり、非常にレアケースと言えるでしょう。


【揺れ方の特徴をまとめてみる】

上記の要素を総合的に判断すると、その地震の“正体”が、かなり見えて来ます。

・P波を感じずにS波を感じたら、小規模、遠い、深い地震のどれか。危険は小さい。P波を感じずに、いきなり激しいS波が来ることはまず無い

・P波がドン!やドドド!だったら、かなり近くて浅い、中規模以上の地震。危険度大

・P波とS波の到達時間差が長いほど、震源が遠い地震

・S波の揺れがゆさゆさと周期が長めに感じたら、震源が比較的遠いか、深めの地震

・揺れがすぐに収まらずにしばらく続いていたら、震源が比較的遠いか、深めの地震

・・・以上のように順番に判断して行くと、揺れ方だけでその地震の”正体”が、かなりわかって来るわけです。

それに加えて、前記事で触れたようにP波とS波の時間差カウントから大まかな震源距離をはじき出し、揺れの方向から震源の方角を観測点から二方向に絞り込めば、地震発生の地域をかなり絞り込めます。

さらに、その地域の地震の“クセ”、すなわち多発する震源域と震源深さ、揺れ方の特徴などのデータや経験則が加えられれば、ほとんどピンポイントで、例えば、

「茨城県南部、埼玉寄り、震源深さ70kmくらい、マグニチュード5前後」というような判断もできるのです。

ここで、マグニチュード値を判断した要素は、過去の同様の地震で地表はこの程度揺れたという経験則のみからなので、その地域に長く住んで、体感的データを蓄積している必要があります。


【ゲームでもあり、実利のためでもある】
管理人は、このような方法で実際に地震の“正体”を揺れが収まった直後に判断し、気象庁の発表とほぼピッタリということが、普通にあります。

かつての勤め人時代は、地震が来るたびに周囲から尊敬、いや好奇の目で見られておりましたw。それでも、仕事中に地震が起きると「いまのどこ?」と、内線電話がかかって来たものです。そこで、我ながら異常な精度で震源を当て、さらに地震変態として見られていましたw

もっとも、このシリーズ冒頭で述べた通り、震源推定など自己満足のためのゲームにすぎません。それ自体に、実利は無いのです。


しかし、地震を感じた瞬間に神経を研ぎ澄ませて揺れを感じ取り「どこだ?どのくらいだ?」と判断しようとする習慣は、それがもし危険な地震だった場合には、避難行動へ移る時間を確実に短くし、不意を突かれてパニックに陥る可能性も減らすのです。

そんなわけで皆様も是非、地震の揺れを感じたら、これはどんな地震なのか?という意識をしていただければと思います。

秒数のカウントなどできなくても、揺れ方を感じて「近い?遠い?浅い?深い?」と考えるのを習慣にするだけでも、その効果は絶大なのです。

最後に、繰り返しますが、最も危険なのは“近くて浅い”直下型地震です。

P波がドン!やドドド!だったり、短時間で大きなS波を感じた場合は、何よりまず、身を守る行動に移ってください。そこで稼ぎ出せた1秒があなたを救うことが、確実にあるのです。

■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。


【シリーズUDL27】衛生編10・ほとんどこれだけなんです(#1097)

■UDLとはUnder Disaster Lifeの頭文字。被災生活の概念です。

今回は、UDLにおける身体の衛生維持に役立つアイテムの、3つめを紹介します。


【ほとんど唯一】
インフラ停止下のUDLでは、風呂やシャワーが使えません。そうなると、身体が洗えない以上に、気になる部分があります。髪です。

髪や頭を洗えないと、臭いやかゆみに悩まされるだけでなく、何より気分的に不快です。夏場は特に。

そんな時でも、例えばシリーズ前回記事で登場した重曹でも代用シャンプーを作ることができますが、手順がちょっと複雑な上、重曹だけで完結できずに、他にクエン酸なども必要になります。

何より、いつものように洗髪に大量の水は使えないのです。

そこで、水が無くても手軽に髪が洗えるものを探すと、これに行き着くわけです。
Shampoo
資生堂の、その名も『水のいらないシャンプー』です。

このシャンプー、防災用備品としてあちこちで薦められていますよね。他社の製品もいくつかあるにはあるのですが、ドラッグストアなどでの入手のしやすさや、おそらく同種のものの中で一番安い価格などを考えると、事実上唯一のお薦めと言えます。

その主成分は水とエチルアルコール。効能は、アルコール分でベタベタをふき取って、その他の成分で消臭、消炎効果を発揮している、というものです。


【その使用感は?】
『防災の専門家』とか『危機管理アドバイザー』とか名乗る人々も、このシャンプーの用意を薦めている人、多いです。なんたってほとんどこれしか無いんだし。

では、そんな人々の「使用感」レポートとか、見たことありますか?まず、無いですよね。大抵は使ったことがない。

実は管理人、幸か不幸かたっぷり使った経験があります。今を遡ること約15年、病気で1ヶ月ほど入院したのです。それも真夏に。

当時は今より髪もいっぱいあったしw、病院内は空調が効いているとは言っても最低限、汗かきの管理人は、すぐにベタベタです。身体は絞りタオルでなんとかなっても、髪のベタつきは取れないし、頭皮のかゆみはお手上げ。

そんな時に、少しでも効果があればいいや、というくらいの気持ちで使ってみたのが、このシャンプーなのです。

その上で、これは間違いなくお薦めできるアイテムだと言えます。水無しで髪が洗えるという理屈だけではなく、その使用感は想像を超えていたからでもあります。

最初は、正直なところ半信半疑でした。でも、このシャンプーを髪によく擦り込んで、頭皮もマッサージしてふき取るだけで、髪のベタつきと頭皮のかゆみが見事に取れたのです。

すーっとするメントールのような成分も入っていて爽快な使用感ですし、デオドラント成分が、汗くさい臭いも取り除いてくれて、残り香は普通のシャンプーのそれ。

もちろん、風呂で髪をしっかり洗うのに比べれば、さっぱり感は一歩譲ります。そして、髪の汚れやベタベタが酷い時には、それを落としきることはできないこともあります。

しかし、風呂に入れないUDLにおいては、ほとんど唯一の、救世主とも言えるアイテムと言えるでしょう。


【一家に一本?】
では、このシャンプーを一家に1本備えましょうと言うかというと、ちょっと違います。

1本じゃ足らないのです。

ここでは、インフラ停止は1ヶ月に及ぶことを想定しています。その間、家族みんなで使うとしたら。しかも、それが夏場だったら。

言うまでもなく、このシャンプーは原液を髪全体に行き渡らせなければなりませんから、普通のシャンプーに比べて多くの量を使います。髪の長い方は特に。

そんなわけで、例えば家族4人で使うとしたら、最低でも3本は用意しておきたいアイテムではあります。 この際、一人一本でも良いかもしれません。

決して、管理人は資生堂の回し者ではありませんけどw

さて、次回は身体の衛生のために役立つ、最後の4アイテム目です。


■当記事は、カテゴリ【シリーズUDL】です。

2015年12月 7日 (月)

【ヲタ目線地震教室25】安心してください。できてますよ(#1096)

Tokyobay
9月12日の東京湾地震、最大震度5弱の震央と震度分布図(気象庁の報道発表資料から転載させていただきました)

流行に乗ったバカっぽいタイトルをご容赦くださいw

今回は、震源の方角と距離に諸々の情報を加味して、実際に震源を推定する方法です。

【数学はいりません】
前回記事では、管理人が実際に震源推定をやった地震を例に、P波とS波の到達時間差をカウントして、震源までの距離を算出する方法をお知らせしました。

そこで『三平方の定理』なんか登場してしまったので、一瞬で算出するなんて無理!と思われた方も多いでしょう。実際には平方根の計算が必要になりますから、暗算なんてできません。

でもご心配なく。実際の震源推定には、あんな計算は不要、というかできません。あれは、気象庁から震央と震源深さが発表になって、初めてできる計算なのです。震源推定は、その前の話です。

あれはあくまで、P波とS波の到達時間差に0.8を掛けると、震源までの距離をかなり正確に算出できるという実例として、提示させていただいたものです。


【近いところまではわかりました】

では、あの地震で管理人は震源推定ができなかったのかというと、できていました。

管理人が地震の揺れから読み取った情報は、ツイートした通り
・かなり大きめのたて揺れを感じた
・P波とS波の到達時間差は、約8秒だった
・よこ揺れの中に、比較的大きなたて揺れ成分を感じた

・・・という3点。
Tweet

加えて、ツイートにはありませんが、よこ揺れの方向は東西に近い方向が主である、と感じていました。 しかし普段いる場所と建物ではなかったことから、それが正確かどうか、判断できませんでした。

でも、まず「たて揺れが大きめ」という時点で、時間差8秒から算出される震源距離よりも震央は近いと判断し、「よこ揺れ中にもたて揺れ成分が大きい」ことで、さらに近いと判断しました。

震源が近い場合の地震波が観測点へ向けて垂直に近い角度で到達するほど、一般に突き上げるようなたて揺れ成分を強く感じるのです。

一方で、よこ揺れの周期が比較的長く、ゆさゆさという揺れだったので震源は深め、50kmより深そうだという判断をしました。

深めということからも、震源から観測点までの直線距離より、震央までの直線距離の方が短い可能性が高い。ならば震央は観測点から40~50km程度か、という判断をしました。

その時点で、震源は海の方向、おそらく東京湾周辺、可能性として深さ80kmより深い地震が多発している『千葉県北西部』の震源域か?、と考えていたのです。

ちなみに、新宿から『千葉県北西部』の震源域の南端、東京湾岸までの距離は、ほぼ40kmです。

実際には『千葉県北西部』の震源域の10kmほど南西側、東京湾北部の羽田空港に近い海底、深さ57km(速報は70km)で、新宿から震央までの距離はほぼ30kmでした。

東京湾の海底では、深さ10km程度の浅い地震が散発的に起きていますが、50kmより深い地震は東日本大震災後でも珍しいので、あのようなツイートになった次第です。

さらに付け加えますと、よこ揺れが比較的短い時間ですっと収束したので、そこからも震源は比較的近いと判断できました。


【揺れ方と過去情報を加味する】
このように、まず震源の方向と距離を大まかにはじき出せたら、揺れの強さと周期、周囲で過去に起きている地震の情報を組み合わせることで、かなり正確に震源の推定ができるわけです。

もっとも、ゆれ方による分類や過去の地震情報は、管理人のような地震ヲタでもないと、なかなかすぐにはわからないかもしれません。

そこで、次回は震源の方角と距離以外に加味すべき情報を、思い切り単純化してまとめたいと思います。


■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。


【シリーズUDL26】衛生編9・これを使わない手はないでしょう(#1095)

Soda
普段から多用途、UDLでも大活躍(画像は一例です)


■UDLとはUnder Disaster Lifeの頭文字。当ブログが提唱する被災生活の概念です。

今回は、UDLで身体の衛生を保つために効果的な4アイテムのうちのふたつめ、何かと使いでがある、アレです。

【もう使ってますか?】
台所や風呂場、部屋の掃除から食用まで、とても利用範囲の広いものと言えば、アレです。重曹(炭酸水素ナトリウム)です。

ちなみに、なぜ重曹というかというと、別名の重炭酸ソーダから来ています。ソーダの漢字表記は『曹達』で、重炭酸曹達、略して重曹というわけです。どうでも良いトリビアでしたw

さておきこの重曹、やたらと利用範囲が広くて環境負荷も軽いので、バカっぽいタイトルをつければ、『知らないと恥ずかしい?エコで賢い主婦の必須アイテム!』とでもしたくなるようなw、実に使えるものなのです。

家庭内での用途をざっと挙げると、
・ケーキなどのふくらし粉
・肉を柔らかくする
・油汚れ落とし
・茶渋落とし
・排水口のヌメリ取り
・ペットやげた箱の臭い取り
・銀製品の手入れ
・野菜の農薬・ワックス落とし
・口臭・虫歯予防うがい薬
・入浴剤

・・・等々、実に多用途です。

これらの中で、ちょっと気になる用途が、臭い取りや油汚れ落とし、入浴剤など。 そのような効能が、UDLでの身体の衛生維持に大きな力を発揮するのです。


【ツーン臭を中和】
細かい能書きはさておき、重曹は弱アルカリ性で、油やタンパク質を分解する効果があります。

一方、風呂に入れない身体には皮脂がたまり、そこに雑菌が繁殖すると酸性が強くなり、あのツーンとした悪臭を発するわけです。

もう見えて来ましたね。重曹の水溶液を使って身体を拭けば、皮脂が分解されて落ちやすくなり、身体のベタベタを緩和します。皮膚を清潔に保つことであせもや湿疹など皮膚トラブルも防ぎ、なにより水だけで拭くより、気分的にずっとサッパリするでしょう。

さらに、酸性に偏った状態を中和することで、鼻にツーンと来る酸性臭を効果的に抑えるのです。

こんなに便利なもの、使わない手はありません。しかもお値段は5kgで1000円程度と異常なほどリーズナブル。もちろん普通はそんなにいりませんから、100円ショップやスーパーで売っている小袋をひとつ、まずは防災用備蓄に加えてみませんか。

もちろん、普段から使っていれば、特に防災用として意識する必要もありません。


【身体を拭くためには】
重曹の水溶液で身体を拭く時には、うがい用の水溶液がそのまま使えます。UDLでも、口臭と体臭を退治しましょう。 虫歯予防にも効果があると言われます。

■うがい・身体拭き用重曹水の作り方■
水500cc(ペットボトル1本)に、重曹3グラム(ペットボトルキャップに3分の2くらい)を入れて、よく振って溶かす

※うがいの場合、液を飲み込んでも害はありませんが、基本的には吐き出してください。

これをスプレーボトルに入れておけば、身体にスプレーしてタオルでふき取ることで、効果を発揮します。

水だけで身体を拭くよりも、確実にさっぱりして臭いも抑えますよ。まとめ買いして町内会やマンションの備蓄品にしたり、ご近所などでシェアしてもいいですね。


【注意することいつくか】
重曹はとても安全性が高いものですが、一応化学薬品ですので、注意点がいくつかあります。

・重曹は、『食品添加用』(ふくらし粉として使えるもの)が、安心して使えます。『掃除用』などと表記されたものは、純度が低かったり、他の成分が添加されているものもあります。

・重曹は弱アルカリ性です。希釈液程度では通常は問題ありませんが、弱酸性の皮膚に対して高濃度で使うと、人によっては皮膚トラブルが起こることもあります。最初は少量でパッチテストしてみましょう。

・市販の重曹水スプレーは、基本的にキッチンの油汚れ落とし用などですから、重曹の濃度がかなり高くなっています。重曹自体に毒性はありませんが、アルカリ性が比較的強いこと、洗剤成分が添加されていることがあることから、皮膚への直接使用は避けるべきでしょう。

・衣服や室内のツーンとした酸性臭を中和する効果もありますが、高濃度で大量に使うと、布地や塗装などがアルカリ性によって変色、劣化することもあります。

しかし、基本的にはかなり安全なものであり、多少濃度を間違えたから、すぐに危険となるものでもありません。重曹の粉で直接身体を洗っても、良く洗い流せば大丈夫なのですから。

まずは、『家に備える防災グッズ』に、ひと袋加えてみてはいかがでしょうか。


最後に。重曹水で身体を拭くこと自体は、決して管理人オリジナルのアイデアではありません。でも、今まで防災分野ではあまり言われてこなかったことです。ここぞとばかりにパクらないでくださいね、『防災の専門家』の皆様wこうでも言っておかないと、平気でパクる奴いるからな。


■当記事は、カテゴリ【シリーズ”UDL】です。


2015年12月 3日 (木)

【ヲタ目線地震教室24】震源までの距離を一瞬ではじき出す(#1094)

今回は、観測点から震源までの大まかな距離を計る方法です。


【地震を感じたらまずやるべきこと】
それは言うまでもなく、安全の確保です。それが必要無い程度の揺れだった場合にのみ、震源推定をやってみましょう。

あなたは、P波のガタガタ、ビリビリという揺れを感じて、「あ、地震だ」と気付きました。

余談ながら、そういう時、屋内ならば思わず天井を見上げてしまいませんか?それはある意味で、本能的な行動。潜在的には、誰でも”地震=押し潰される”という恐怖があるわけです。だから、つい上を見てしまう。

でも、実際の避難行動に移ると、真上方向への意識がおろそかになりがちなのも事実。しかし、あなたを押し潰すかもしれない危険は、常に真上から落ちて来るのです。避難行動に移ってからも、真上の危険を確認し続けるように、普段からして意識しておいてください。


さておき、P波の縦揺れを感じた瞬間に、震源推定のために始めることがあります。それは、カウントアップ。秒数のカウントです。

揺れ始めからの秒数を数えて、S波のよこ揺れが始まるまでの時間を計るのです。

実際には、揺れを感じた瞬間にカウントを始めるのは難しいですから、管理人の方法は下記のような感じです。

・揺れを感じる
・地震かどうか判断する
・地震だと判断したら、揺れの大きさを判定する
・危険は小さいと判断したら、カウントアップを始める

ここまでで、管理人の場合は大体3秒くらいかかります。なので、この段階で4秒からカウントを始めるのです。1~2秒の誤差が出るのは致し方なしかと。

震源がごく近い場合には、この段階でもうS波のよこ揺れが始まっていますから、たて揺れの時間は大体何秒くらいだったか、後から思い出す感じです。

実例をご覧ください。


【こんな感じでやります】
去る9月12日の午前5時49分頃、東京湾直下の深さ57kmを震源とする(速報では深さ70km)マグニチュード5.2の地震が発生し、東京都調布市で震度5弱の他、広い範囲で震度4を観測しました。

管理人はこの時、西新宿のビルの4階にいまして、かなり大きなたて揺れを感じましたので、上記のようなカウントアップをしました。

そして地震発生の約25分後、地震情報を確認した後に、下画像のツイートをしました。
Tweet

【宣伝w】上画像は当ブログ公式アカウントです。記事関連以外にもいろいろつぶやいていますので、ぜひフォローしてください。記事更新情報も流しています。

この時は、S波のよこ揺れが始まるまでに約8秒。震源までの距離が大体わかりました。そして、震度4とされたよこ揺れには、上下動の成分を大きめに感じたこともあり、震源はかなり近い場所だと、瞬間的に判断できたのです。

では、震源までの距離を算出した方法とは。


【八掛けしてみる】
まず、P波のたて揺れを感じてから、S波のよこ揺れが到達するまでの秒数を計りました。

次に、その秒数を八掛けにする、すなわち0.8を掛けます。そしてその数値を10倍すると、震源までの大まかな距離(km)が算出できるのです。

S波到達までの秒数をA、震源までの距離(km)をBとすると

B=A×0.8×10

となります。
  
上記の地震の場合、8秒に0.8を掛けると6.4、10倍すると64(km)となります。では、実際の距離は?


【ちょっと数学を】
この地震の場合、管理人がいた西新宿から東京湾の震央までの距離は、ほぼ30kmでした。64kmよりだいぶ短いですね。計算が間違えているのでしょうか。

いえ、そうではありません。30kmとは、あくまで震源直上の地表面である震央までの距離です。震源は、そこから真下に57km潜った場所です。

そこで、地下の震源から、観測点の地表までの距離を算出してみます。

直角三角形の二辺の長さが決まれば、残るもう一片の長さが決まるという『三平方の定理』(ああ懐かしいw)により、震源から観測点の距離が算出できます。

観測点と震央の水平距離が30km、そこから垂線を下ろし、57km潜った場所が震源です。これで、直角三角形の二辺の長さが決まりました。

これを『三平方の定理』の公式に当てはめると、震源と観測点を結ぶ斜辺の距離は、約64.4kmとなります。概算数値の64kmとほぼ同じです。

秒数のカウントを感覚でやっていること、秒数に掛ける0.8という数字が大まかな値であること、震源とはピンポイントではなく、ある程度の広がりを持つ範囲であることを考えると、出来すぎともいえる数値です。

人間が感覚でカウントした秒数に、大まかな0.8を掛けてドンピシャの数値ということは、むしろ偶然に過ぎません。今回はたまたまこうなりましたが、本来これほどの精度を持つ方法ではありません。

この方法で判定するはピンポイントの震源ではなく「どこの震源域が動いたのか」ということであり、その程度の精度の方法ということです。

なお、この地震の場合は震源が観測点と近かったために、観測点から地表の震央までと、地下の震源までの距離の差が大きくなりました。

この差は、観測点と震源との距離が長くなるほど、小さくなります。観測点が東京ならば、例えば約200km離れた福島県沖の地震では、震源の深さによる距離の差を考慮する必要は全くありません。

この方法では、「大体あの辺り」ということがわかれば十分なのです。


【方角と距離に加えて】
ここまでで、観測点から震源の大まかな方角と、大体の距離がわかりました。しかし、方角は観測点から二方向のどちらかですから、これだけでは震源の推定はできません。

これらの情報に、さらにいくつかの情報を加味することで、震源の場所を絞り込んで行くことができます。

次回は、その方法です。

■数値を訂正しました■
当初、観測点から震央までの距離を40kmとしていましたが、30kmに訂正しました。震央の場所を誤って計測してしまった結果です。しかしその数値で計算しなおした結果、より震源までの実距離に近い数値が算出されましたので、この方法の有効性が改めて確かめられました。


■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。


2015年12月 2日 (水)

【シリーズUDL25】衛生編8・身体の汗と汚れをなんとかしたい(#1093)

Summer
こんな避難生活では身体の衛生対策が必須(画像はイメージです)

■UDLとはUnder Disaseter Lifeの頭文字。当ブログが提唱する被災生活の概念です。


風呂もシャワーも使えないUDLで、身体の衛生を保つためにできることは、身体を拭くことくらいです。

【それはそれで良いけれど】
世間の防災情報でも、一部はそのことに触れていて、こんなものを備えておくと良い、というアドバイスも見られます。

と言うか、衛生を無視した防災情報が多すぎますね。無視しているのならまだしも、発信者が衛生を考えていないことが非常に多い。

机上の空論の受け売りだけで、実体験や現場での情報収集なしに発信する手合いは、たいていそんなの。『防災の専門家』にも、その程度の輩は結構いますし。


さておき、衛生用の備えとして薦められているのが、このようなもの。
Sheet
これは一例ですが、このような顔や身体を拭けるウェットクロスがあれば、確かにかなり快適です。

より汎用性が高い、赤ちゃん用おしりふきシートが便利という情報など、現実に即したものと言えますね。

それはそれで、是非備えておきたいものです。ただ、問題は『量』なのです。


【何日使える?】
ウェットクロスを1パック、防災用備品に入れておけば安心ですか?2~3日の避難生活ならともかく、例えば家族4人が使うとしたら。

普通のウェットクロスは、1枚で顔周りをしっかり拭いたら大体おしまい。全身を拭くならば、4~5枚は使ってしまいそう。家族で使ったら、あっと言う間になくなります。ひとりでも、特に夏場には1週間と持たないでしょう。

でも、風呂やシャワーが使えないインフラ停止状態は、1ヶ月は続くものと考えておかなければなりません。それが夏場だったら、ぞっとしませんか?

そんな状況に陥ったら、市販のウェットクロスなどは、あくまで急場しのぎに過ぎないのです。

そんな過酷なUDLをできるだけ快適に過ごし、皮膚トラブルや臭いを防ぐためには、身体の衛生維持のために効果的なものを、十分な量で備えておかなければなりません。


【アレがあるじゃないか】
え、またなにか大量に備蓄しなければならないの?お金もスペースも足りないよ・・・と、お嘆きの皆様、ご心配無用です。

UDLだけでなく平時からいろいろと利用方法があり、場所を取らないけれどたっぷり使えて、しかもかなり安上がりという衛生用備品、あります。

そんなものを、このシリーズでは主に4つ提案したいと思います。それはまた次回、というのもアレですから、ひとつはここで。
Powder
シッカロール、ベビーパウダー、天花粉(この呼び名は古いかw)です。

特に夏場には、ベタつきとあせもなど湿疹を防ぐ効果が高いので、とりわけお子さん用には備えておきたいもの。

消臭効果があるものもありますから、家の防災用備品にひとつ入れておきましょう。たとえ10年放っておいても、傷みませんからw

次回は、家事をする方ならば実はもうお使いかもしれない、アレです。UDLでも、すごく使えるんです。

※タイトル脱字ありましたね修正しましたすいません。

■当記事は、カテゴリ【シリーズUDL】です。

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