2017年10月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

« 【緊急地震関連情報】東京湾直下で連続地震(#1102) | トップページ | 新年あけましておめでとうございます(#1104) »

2015年12月28日 (月)

東京湾連続地震関連情報(#1103)

2015年の記事は一旦締めさせていただきましたが、12月26日に東京湾で小規模地震が連続発生したため、関連記事をお送りしています。


【現在と過去の状況】
12月26日午後10時12分から午後11時21分という1時間余りの間に、東京湾北部直下の深さ約20kmを震源とするマグニチュード2.7から3.4の小規模地震が連続5回発生し、東京23区などで震度1から2を観測しました。

最初の4回の地震は、東京湾北部のほぼ中央部の直下、ほぼ同じ震央で発生しましたが、現時点で最後の1回は東京湾北部の西岸寄り、羽田空港沖の直下付近で発生し、この地震の規模がマグニチュード3.4、最大震度2と最も大きいものでした。

その地震の後は、当記事執筆時点(12/27 2000時)まで、東京湾直下での有感地震は発生していません。

なお、この最後の地震の震央は今年9月12日に発生したマグニチュード5.3、最大震度5弱の地震の震央にごく近いのですが、9月の地震は震源深さが57kmであり、メカニズム的に別ものです。よって、直接の関連は薄いものと思われます。


東京湾直下地震というと、東京都の被害想定などでも登場するので、地震が多いというイメージもあります。しかし実際には非常に地震が少ない場所なのです。

ちなみに、近年東京湾直下で起きた地震は、2015年中は今回の連続地震を除けば4回、2014年中には3回、2013年中にはなんと0回、2012年中には4回しか起きていません。

2011年には、東日本大震災(東北地方太平洋地震)の翌日、3月12日から年末まで17回の地震が発生していますが、2015年に震度5弱が1回、2012年に震度4が1回の他はすべて震度3以下という、かなり静かな震源域なのです。


また、東京湾直下では震災直後でさえごく短時間に地震が連続するようなことは起きておらず、2004年まで遡ってみても、1日に複数回の地震が発生したことは今回の5連続を除けば2度だけで、いずれも2回続いたのみでした。

そのような状況から、ほぼ同一または直近の震源で5回の地震が連続するということは、東京湾直下震源域としては『異常事態』と捉えても良いと考えます。

ただし、過去様々な震源域で連続地震や群発地震が発生しているものの、大規模地震に繋がった例は多くありません。確率だけで言えば、このまま収束する可能性が最も高いのでしょう。

しかし、一時的にしろ普段見られない活発な地震活動が見られたのは事実ですので、より大きな規模の活動に繋がることを前提に、しばらくの間は警戒レベルを上げておくべき状況と考えます。


【この地震の特徴を推定する】
東京湾直下震源域で起きる地震は、震源深さが10kmから30km程度が多くなっています。この地域の地下は、陸側のユーラシアプレートの下に南からフィリピン海プレートが潜り込み、その下に東から太平洋プレートが潜り込むという三層構造と言われおり、それを模式図にすると、下図のようになります。
Mini

この地域で起きる地震は図の1から5のタイプに分類されます。1は地表近く、深さ10km程度の断層が動く地震、2は最上層のユーラシアプレートと第2層のフィリピン海プレートの境界で起きる『プレート境界型地震』、3はフィリピン海プレート内で起きる『スラブ内地震』、4は第2層のフィリピン海プレートと最下層の太平洋プレートの境界で起きる『プレート境界型地震』、5は太平洋プレート内で起きる『スラブ内地震』です。

今回の連続地震は、小規模のために気象庁から詳細の発表が無いので発震機構は不明ですが、震源深さが約20kmとされていることから、上記分類の2、ユーラシアプレートとフィリピン海プレートの『プレート境界型地震』である可能性が高いと考えられます。

かつて、東京直下地震ではそれまで最大震度6強とされていたものが、一部地域で震度7の可能性が出てきたと発表されて、結構な騒ぎになったことがありました。これは、最新技術による観測と解析の結果、両プレートの境界がそれまで想定されていた深さよりも、10kmも浅い場所にあることが判明したためです。

震源が浅くなれば、それだけ地表の揺れも大きくなるわけですが、今回の連続地震は、まさにその辺りで起きていると思われます。端的に言えば、もしその震源で大規模地震が発生すれば、地表の揺れが最も大きくなる可能性が高いという、「最も起きてほしくない震源」で起きている、ということです。


【その他の可能性】
上に掲載した南関東地下の構造模式図は、比較的一般的なものです。一方で、関東直下のプレート構造は、さらに複雑であるという説もあります。

それは独立行政法人 産業技術総合研究所 活断層研究センターが2008年に発表したもので、フィリピン海プレートと太平洋プレートの間に、『関東フラグメント』と呼ばれるプレートの“切れ端”が挟まっている、というものです。その模式図を、同研究所ウェブサイトよりお借りして掲載させていただきます。
Fragment

この説に沿うならば、20km程度という震源深さからだけでは、『プレート境界型地震』であるかどうかはわかりません。『関東フラグメント』が存在するならば、上図のようにかなり幅広い深度に渡っているからです。

ただ、今回の連続地震が『プレート境界型地震』では無かったとしても、比較的浅い場所で発生した、大規模化すれば非常に危険なタイプの地震であることには変わりありません。

『プレート境界型地震』だった場合は、その他のタイプよりも大規模になる可能性があるということで、そうでなければ危険度が小さいという意味では決してありません。いずれのタイプでも、地上に大被害をもたらすレベルの地震が発生する可能性はあります。

実際に、1894年(明治27年)には今回の連続地震とほぼ同じ、東京湾北部直下で発生して東京市(当時)及び近郊に大きな被害をもたらした『明治東京地震』(推定マグニチュード7.0)は、現代の解析によってフィリピン海プレート内部の『スラブ内地震』であった可能性が高いと言われています。

明治東京地震の震源深さは40~80kmと推定されていますが、同規模の地震でも、より浅い震源で発生すれば、それだけ地表の揺れは大きくなります。

今回の連続地震は、震源深さが20km程度ということで、今後もし大規模に発震した場合には非常に激しい揺れが予想され、場合によっては東京湾内で津波が発生する可能性もある震源域であるという認識をしておく必要があります。



【警戒しつつ日常を】

今の状況をまとめると、下記ようになります。

過去に大規模発震したことがある、構造的にも大規模地震が起きる可能性が指摘されている震源域で、過去にほとんど例が無い形で小規模地震が短時間のうちに連続発生したが、その後しばらく静穏な状態が続いている、ということです。

これが大規模地震に繋がるかは未知数ですし、非常に危機的状況であるとも言えません。しかし、地震に限らず『普段とは違う状態』が起きた場合は警戒レベルを上げることは、危機管理の常道でもあります。

せわしい年末の時期ではありますが、関東南部においては、これからしばらくの間は常に大規模地震への意識を普段より高めつつ、無闇に心配せずに日常生活を送ってください。

何も無ければそれで良し。しかし警戒する意識こそが、イザという時に『命の一秒』を稼ぎ出すことに繋がるはずです。

続報がありましたらできるだけお伝えしたいと思いますが、ブログ記事をアップできないこともあります。その場合は、Twitterの当ブログ公式アカウントでお伝えしたいと思いますので、下記アカウントをのフォローをお願いします。

生き残れ。Annex公式@ikinokore_annex
https://twitter.com/ikinokore_annex


■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。


« 【緊急地震関連情報】東京湾直下で連続地震(#1102) | トップページ | 新年あけましておめでとうございます(#1104) »

地震関連」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/543100/62950390

この記事へのトラックバック一覧です: 東京湾連続地震関連情報(#1103):

« 【緊急地震関連情報】東京湾直下で連続地震(#1102) | トップページ | 新年あけましておめでとうございます(#1104) »