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2016年1月19日 (火)

バス事故から生き残るためにこれだけは(#1113)

年始早々、長野県の軽井沢でスキーツアーバスが崖に転落して15名が犠牲になり、25名以上が重軽傷を負う大惨事となってしまいました。犠牲者と傷を負った人々は、ふたりのドライバーを除けば、ほとんどが10代から20代前半の若者でした。


【管理人が怖れていたこと】

当ブログ年始のごあいさつで、今年から交通関係のカテゴリを追加することを予告しました。

それは歩行者、自転車、自動車運転、公共交通機関利用時それぞれの状況で、命に関わる事故から『生き残る』ための方法を考えるカテゴリです。

その中で、公共交通機関利用時の危険として最も怖れていたのが、観光・長距離バスの事故だったのです。

既に多くの報道からおわかりかと思いますが、観光バス業界においては、国の規制緩和による参入業者増加、過当競争、運転手不足などにより、その安全性が相対的に低下していると感じていたからです。

現実に、今回ほどの大事故ではなくても、バスの事故発生数は確実に増加しています。

ですから、観光・長距離バスを利用する時には、「せめてこれだけはやっておこう」ということを記事で提案するつもりでしたが、その前に大惨事が起きてしまいました。

そこで、とり急ぎというのも変ですが、観光・長距離バス利用時の「これだけは」の部分だけを、先に書きたいと思います。


【バス事故の実際】
大きなバスに乗ると、乗用車などに比べてしっかりと守られているような安心感があります。

しかし実際に衝突や転覆などの事故が起きてしまうと、人体への衝撃や損傷は、より大きくなる可能性が高いのです。

まず、あまりシートベルトを締めていない。路線バス以外では、バス乗車時でも法律で装着が義務付けられているものの、実際にはつけていないケースが大半でしょう。

そして、衝撃を吸収するクラッシャブルゾーンが無い。特に側面衝突や転覆時、車体側面で衝撃があまり吸収されません。特に側面衝突や転覆時には、車体が変形しやすいのです。

さらに最近のバスは、眺望を良くするために窓ガラス面積が広くなっていることと軽量化のために、相対的に車体上部や天井部分の強度が低くなっています。

根本的な問題として、バスは車内が広いので、シートから投げ出されるような状況になると、身体の移動距離が長くなり、あちこちに衝突して身体の損傷が大きくなるということもあります。

そして窓が大きいということは、乗客の車外放出の可能性も大きくなっている、ということです。


これらの条件をわかった上で、今回の事故画像を見てください。
Bus1
バスは画像左側から走って来て、横倒しになりながら立木に天井部分から激突して停止

Bus2
立木に激突した天井部分はくの字型に陥没し窓枠も変形

Bus3
車体後方から。天井の陥没部分には、生存空間があまり残らなかったのがわかる

Bus4
転倒して下側となった車体右側面。ボディが大きく変形して窓際の席を押し潰している

これらの状況は、あたかもバスの弱点をことごとく突かれたような状況であり、それが多くの犠牲者を出す結果になったのです。

バスは大きく右に傾きながら右ガードレールに接触し、それをなぎ倒しながら、崖側に横倒しになって行きましたそして崖側に飛び出し、半ば空中に浮いた状態で、屋根の後部が立木に激突しました。

その時、おそらく時速50km以上は出ていたであろう速度が、一瞬でゼロになったのです。

天井部分の変形強度はそれほどありませんから、変形によって速度エネルギーが吸収されて減速する効果は、あまり無かったでしょう。

当初からそのような働きをするように設計されているわけでもありませんし、くの字型に大きく曲がった変形の様子からも、それがわかります。

そのような急減速によって、横倒しになった車内では、シートベルトを締めていない乗客が天井方向へ時速50km、秒速14mに近い速度で投げ出されて車体内部に衝突するか、車外へ投げ出されたのです。一部は、外れたシートごと車外に投げ出されています。

犠牲者を検視した医師によれば、頭部、頸部、胸部の激しい損傷が死因となったケースが多かったそうです。すなわち、高速で吹っ飛ばされて頭から天井部分などに衝突したり、窓枠やガラスに衝突しながら車外に投げ出されたのです。


【現実で解説できてしまう悲劇】

当ブログの新カテゴリで、バス乗車時の危険については、まさにこのような状況を想定していたのです。

それを現実の事故で説明できてしまうということは、悲劇以外の何物でもありません。しかし、そこから教訓を得て新たな犠牲を出さないための対策をすることが、生きている我々の責務なのです。

事故の発生自体を、乗客が減らすことはできません。できることは、規制緩和と過当競争によって、不良業者(今回のバス会社もその類でしょう)の参入や、無理な運行が行われている現実を、まず知ることです。

そして、実際に観光・長距離バスを利用する際には、相場よりも“安すぎる”ツアーや路線を避けることが、ひとつのリスクヘッジとなります。

もっとも、事故の発生率を考えればそれほど神経質にもなれないでしょうし、バス会社まで利用者が選べることは、まずありませんし、バス会社の良し悪しを判断するための情報もありません。

何より、特に経済的に豊かとは言えない若い人にとっては、価格の安さは何よりの魅力です。

阪神・淡路大震災において、家賃が安くて耐震強度が低いアパートに住んでいた20代の学生や単身者が、建物の倒壊によって数多く犠牲になってしまったのと、同じ構造があります。

では、どうしたら良いのでしょうか。


【せめてこれだけは】

今となっては後出しジャンケンと言われても仕方ないのですが、新カテゴリのバス編では、下記のことを提案しようと考えていました。

今回の事故でも、もしそれが完全に行われていたならば、犠牲者はまず半分以下になり、もしかしたら一人も出なかったかもしれません。

それは、とても簡単なことです。

『せめて寝る時だけは、シートベルトを締めよう』

ということです。もちろん、基本的には常時締めていなければなりません(法律で義務付けられています)、観光バスなどでは、なかなかそうも行かないでしょう。

だからせめて、完全に無防備になる寝る時だけは、シートベルトを締めようと提案したかったのです。

それだけで、身体がノーコントロールで吹っ飛ばされてあちこちに激突したり、ガラスや窓枠で身体を引き裂かれながら車外に投げ出されるという、最も危険な状況を回避できるのです。

すなわち、事故を『生き残れる』確率が、大きく上がるということです。


年始早々起こってしまった悲劇に際し、予定していた内容の一部を先に記事にさせていだきました。

皆様が観光・長距離バスを利用される際は、ぜひこれだけは実行されますことを、切に願う次第です。


■当記事は、カテゴリ【交通の安全】です。

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コメント

あとは乗用車は、バスを見下しているので、平気で前方割り込みをする。時速5km以下でも立ってる人は転倒する。何故なら急ブレーキなど考えずに立ってるから。それは普通の事ですよ。
時速50kmで走ってるバスが20mほど車間距離を空けていても、そこに乗用車は割り込んでくる。その時の車間距離は5m~10mとか。どうしろと。

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