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2016年1月22日 (金)

【シリーズUDL31】心理編3・心の安定を得る最強の方法とは(#1115)

Radio
被災直後の情報はAMラジオが最強(画像は静岡市緊急情報防災ラジオ)

■UDLとはUnder Disaster Lifeの頭文字。被災生活の概念です。

当シリーズ前回記事(#1110)をお読みいただければ、被災初期の心理的ストレスの大きな理由が『情報不足』であり、できるだけ情報を得ることがストレスを軽減し、行動の精度を上げるということがおわかりいただけたかと思います。


【極限からのアドバイス】
その話、どこに根拠があるんだと突っ込まれそうですので、明記しておきます。実はこれ、専門的な研究成果からでもなければ、被災者の生の声からでもありません。

この話は、情報不足による強烈なストレスを、おそらく日本で最も強く感じたことのあるかもしれない方のひとりから、アドバイスを受けたのです。その方は、陸上自衛隊のレンジャー隊員です。

少し解説しておきますと、陸自のレンジャー隊員資格とは、一般隊員から選抜された優秀な隊員の中から、さらに一般とは比べ物にならない過酷な訓練課程を修了した者にだけに与えられる、いわばエリート隊員の称号です。そういう方こそ、災害サバイバルにおいても“本当のプロ”なのです。


さておき、レンジャー訓練では、物資、情報不足のまま山中に放置され、その中で任務を達成するという訓練があります。

既に何日も寝ずに行動し続け、食料や水が不足する中で山中を移動し、『敵』に発見されずに目標に接近します。しかし目標や『敵』に関する十分な情報は与えられず、自ら偵察して判断しなければならない。

それでも十分な情報は得られず、情報不足のまま作戦を強行すれば、大きな被害を受けるかもしれない。しかし身体は疲れ切り、栄養も不足していて、ただでさえ判断力が鈍っている。それでも、決められた期限までに任務を達成しなければならないが、ひとつ不用意な行動をするだけで、すぐ『敵』に発見されて、任務は失敗する。

そのような、災害被災者が感じるよりも、遙かに過酷な極限状態を経験された方が、そういう場面で心を安定させるために最も効果的なのが『正しい情報』であると言われるのです。


参考までに、レンジャー訓練の過酷さを示すエピソードをひとつ。ある隊員がすべての訓練を乗り切り、『状況終了』(訓練終了)の声がかかった途端に倒れました。既に、精神も肉体も限界を超えていたのです。

そして抱き起こす上官に向かって、「自分は生きているんですか?死んでいるんですか?」と問うたと。選び抜かれた屈強な隊員が、そうなるまで追い込まれるのがレンジャー訓練なのです。

そういう方々の言葉には、素人が口を挟めない重みがあります。管理人がアドバイス元をこれまで強調するのも、こういった実体験や研究・訓練の成果のような根拠の無い、上っ面だけの言葉遊びみたいな情報がはびこっているからなのです。


【乾いたスポンジ】
ここで注意しなければならないのは、『情報は正しくなければならない』ということです。

水でも食事でも睡眠でも、不足すれば人は飢餓状態に陥ります。情報も然り。何もわからない中で何らかの情報がもたらされると、多くの人はその正誤を検証することなく、あたかも乾いたスポンジに水が染み込むように、すんなりと取り込んでしまうのです。

そして、かりそめの安定を得てしまう。その情報がさらなる危機を予告するような怪しいものであっても、何も知らないよりは、何か知る方が落ち着くのです。そして、心の安定が得られたからこそ、その情報を自信を持って拡散する。時として、大きな尾ヒレをつけて。

もうおわかりですね。それが大災害後にデマが拡散する最大の理由なのです。


それがわかっていれば、被災直後の情報飢餓状態で素人発信の情報を見ることなど、相当な知識と覚悟がなければ、判断の誤りに繋がる可能性が非常に高い、と考えなければなりません。

ですから、仮にネットが生きていても、特に被災直後は、素人発信のSNS情報など見るべではないのです。もちろん、正しい情報の方が多いでしょう。しかし、怪しい不良情報ほど、情報飢餓に陥ったあなたを虜にします。

その理由のひとつは、なにもかも曖昧な中で、根拠の無い不良情報ほど「○○が起こる」などと、“断言”されているからなのです。


【では何が必要か】

その答えはシンプルです。あらゆるインフラが停止した状況下で、正しい情報が最も確実に得られる方法は、AMラジオです。

なぜAMかと言うと、AMは電波の到達距離が長いため、近くの放送局が停波していても、大抵は他の局が受信できますし、山中でもかなりの確率で受信できるからです。NHKラジオならば、どこの局を聴いても同じ情報が得られます。

レンジャー隊員氏の言葉を借りれば、「災害時はAMラジオが最強」ということになります。家にAMトランジスタラジオを備えるのはもちろん、できることならEDC(常時携帯)していたいものです。

しかし、普段からAMラジオを聴いている方は少ないでしょうし、小型でも滅多に使わないものをEDCするのは、意外に負担が大きいもの。

そこで、都市部に限ればFMラジオでも良いかなと、管理人は考えます。FMラジオならば、携帯音楽プレイヤーなど他の器機に組み込まれていることもありますから、EDCの負担を軽くすることができます。NHK FMならば、大抵の都市部で受信することができます。

また、コミュニティFM局がある地域ならば、地域密着の情報が入手できます。もっとも、コミュニティFM局の取材力はそれほどでもありませんから、発災直後はあまり期待できないかもしれませんが。

注意しなければならないのは、スマホのラジオアプリです。あれはあくまでインターネット経由であり、電波を直接受信しているわけではありませんから、インターネット回線がダウンしたら使えません。


【ラジオ情報で十分?】
では、ラジオの情報があれば、それで十分なのでしょうか。それは誰もが思うことですが、もちろん十分ではありません。特に発災直後からしばらくの間は、ラジオで流される情報はいわゆるマクロ情報であり、大局的である意味で大雑把です。

あなたが今行動するための、あなたの居場所のミクロ情報が得られることは、まず無いでしょう。それでも、“正しいマクロ情報”を得る意味は大きいのです。

次回は、その理由と具体的で細かい行動方法について考えます。


■当記事は、カテゴリ【シリーズUDL】です。


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