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2016年2月24日 (水)

【JAL機発煙事故】マニュアルに書いてない航空安全(#1147)

Evacuate_2
こんな状況で、軽装で放り出されたらどうなるか

2月23日、北海道の新千歳空港で、誘導路を走行中の日本航空ボーイング737型機の№2エンジンから発煙し、乗客が緊急脱出する事態となりました。

【この事故の原因は?】

事故機は離陸のために誘導路から滑走路へ向かっていましたが、激しい降雪による視界不良のため離陸を中止し、駐機スポットへ引き返そうとした時に、エンジンから発煙したとのことです。

情報を総合すると、誘導路で一旦停止した時に、アイドリング状態のエンジンに大量の雪を吸い込んで、それが№2エンジン内部のファンブレードに氷結したようです。そのために正常な空気圧縮ができず、一旦フレームアウトしたとのこと。フレームアウトとは、ジェットエンジンの燃焼が止まってしまうことで、自動車のエンストのようなものです。

そこで、スポットへ引き返すために№2エンジンを再始動しようとした時に、№2エンジンから「破裂音、煙、炎」が発生したとの証言があります。

後の調査で、空気圧縮機のファンブレードに雪の水分が氷結していたとのことで、安定した空気圧縮ができなくなっていたのは間違いなさそうです。

このため異常燃焼が発生し、破裂音と煙が発生したものと考えられます。炎については、エンジンから吹き出すようなものではなく、「排気口内で燃えていた」との証言があることから、未燃焼のジェット燃料が溜まって着火したか、エンジン異常によって噴出した潤滑オイルが燃焼していたものと考えられます。


【臭いの正体は】
エンジンの異常燃焼が発生した後、機内にも異臭が入って来ました。

ジェットエンジンで圧縮されて高温になった空気(ブリードエア)の一部は、外気と混ぜて適当な温度にした後、機内に導かれて空調に使用されます。

このため、エンジン内部の発煙、着火で発生した異臭が、機内にも入って来ました。乗客の証言によると、「プラスチックが燃えるような」、「鼻にツンと来る」、「焦げ臭いような」臭いだったというものが多く、一部に「灯油の燃えるような」臭いという証言もありました。

ジェットエンジンに使用する燃料は、言わば「高純度の灯油」で、臭いもそっくりです。普通の異常燃焼だけならば、あたかも灯油ストーブの排気のような臭いがするはずです。

しかし、焦げ臭い、刺激がある、ツンとくるなどの証言があることから、燃料だけでなく他のオイルや、エンジン周りの樹脂部品などが焦げた可能性が考えられます。


【乗客の対策は】

今回の事故(航空事故に認定)は、幸いなことに誘導路を走行中に発生し、火災に発展もしなかったので、乗客の脱出もスムースに行ったようです。

しかし、離陸滑走中などにこういう事態が起きないとは言えず、過去記事ではそのような場合の対処方法にも触れています。基本は、「離陸滑走中に加速が鈍ったら、自分の意思で耐衝撃姿勢へ移行せよ」ということです。


今回の事故はそこまでシビアではなかったものの、例によって「航空の専門家」が乗客はああせいこうせいとメディアでいろいろ言っていますが、何故か元CAとかでも全く言わないことがあるので、それを書くために、この記事を書こうと思ったのです。それはもちろん、管理人がずっと昔からやっていたことなのですが。


それは、防寒具。激しい降雪の中、乗客が脱出する映像では、シャツ姿やスーツ姿の人もいました。そういう方々は、上着を頭上の荷物入れ(オーバヘッドストウェッジ)に入れてしまっていたのでしょう。

緊急脱出時は、荷物を持たないのが基本です。ですから、脱出を前にしてオーバーヘッドストウェッジを開けようと立ち上がったら、確実にCAに制止されます。もし一人に許してしまうと、できればいろいろ持ち出したい人が一斉に荷物を出し始め、収拾がつかなくなるでしょう。

CAは、緊急時に全乗客を90秒以内に脱出させるために乗っている、と言っても過言ではありません。だから、ドアの数とCAの数は必ず同じです。機内サービスはあくまでオマケなのです。

さておき、緊急事態になってからは、手元にあるものだけが全てです。寒冷地を飛ぶのに、防寒着をしまいこんでいてしまっては、こういう時に着られないわけです。北海道でも、マイナス20度とかになることは、普通にありますし。


【常に脱出を想定しておく】
管理人は関東出身ですが、かつては札幌に住んでいた時期があるので、千歳・羽田間は頻繁に往復していました。冬は、常に防寒上着を手元におき、膝がけ代わりにしていました。もちろん、機外への脱出などを考えてのことです。

他の機内持ち込み荷物も、緊急脱出を考えたものになっています。最も重視したのがバッグ類で、できるだけリュックやたすきがけできるショルダーバックのように、行動の妨げにならないものにしています。

しかし、本来は緊急脱出時には身体ひとつで、というのが基本です。それでも、現実には手で持つ必要が無いリュックやショルダーバッグくらいなら持ち出せますし、リュックならば、身体のプロテクターにもなるのです。

でも、「荷物は持ち出し禁止」という前提があるから、「航空の専門家」はそんなこと言えないのですけどね。でも、素人の管理人は、こういうことも書いてしまいます。


【どこのマニュアルにも書いてないけど】
それから、防寒服などを手元に置くことのメリットをもうひとつ。飛行中に緊急事態に陥り、不時着などをしなければならなくなった場合に役立つのです。

航空機事故による身体の損傷部位のうち、シートベルトによる腹部の損傷は、かなり高い率に上ります。圧迫による損傷だけでなく、非常に激しい衝撃を受けた場合、バックルの金具が刃物のように働き、身体を傷つけることもあります。

それを防ぐため、緊急着陸前にはシートベルトと身体の間にモノを挟んで衝撃力を分散させることで、身体の損傷を軽減できる可能性があるのです。

すぐ手元にあるのならば、毛布が良いでしょう。雑誌などでも、かなり効果があります。そんな場合、防寒服など厚手の服が手元にあれば、すぐにシートベルトに挟むことができ、効果的なプロテクターになるわけです。

このように、緊急事態に陥ってからオーバーヘッドストウェッジを開けなくて済むだけのものは、常に手元に置いた上で搭乗したいものです。

こういうことは、建前上は決まりごとに反する部分もあるので、公式には一切言われません。でも、この程度ならばセルフディフェンスとして、周囲の安全を阻害しない範囲内に限り、自分の意思で備えておくべきことだと考えます。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

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