台湾南部でM6.4の直下型地震(#1128)
日本時間の2月6日午前4時57分ごろ、台湾南部、高雄市の直下約17kmを震源とするマグニチュード6.7の地震が発生しました。
【阪神・淡路大震災と似た直下型】
この地震は典型的な直下型地震で、阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)とほぼ同じく、陸地直下の約17km付近の断層が震源という、良く似たタイプの地震です。
なお、阪神・淡路大震災の当初の震源は淡路島沿岸の海底でしたが、そこから断層破壊が神戸市直下まで進んでいます。
揺れの主成分も、阪神・淡路大震災と同様の震動周期1~2秒程度の短周期地震動だったと思われ、耐震強度が低い建物に、大きな被害をもたらしました。揺れている最中の映像や、「立てないほどの揺れ」だったとう証言からも、短周期地震動が卓越していたことが推測できます。
短周期地震動は、固有震動周期が近い低・中層建物に、最も大きな破壊力をもたらします。なお、激しい揺れの持続時間30秒以下と比較的短かったようで、これも直下型地震の特徴です。
地震の規模はマグニチュード6.4で、阪神・淡路大震災のマグニチュード7.3に比べると約30分の1程度で、地表面の揺れは、我が国基準で最大震度6強~6弱程度だったと考えられます。
【大被害は台南市に集中】
当初の震源は高尾市直下でしたが、大きな被害は被害は震源から北へ約40km離れた台南市に集中しています。これは地盤強度などに加えて、断層の破壊が高雄市直下から台南市方面に向かって進んだ可能性も考えられます。
建物の破壊状況は、ビルの低層階が押しつぶされるように坐屈していたり、低層階の一部が押しつぶされて大きく傾くなど、阪神・淡路大震災における旧耐震基準建物の破壊と似た状況が多く見られます。
メディアのカメラは大被害ばかりを追うので、台南氏全域に甚大な建物被害が出ているような印象もありますが、実際には倒壊した建物はそれほど多くなく、中小被害を受けただけの建物が大半のようです。大火災も発生していないようなのも幸いです。
【構造に問題か】
この地震で、17階建てのマンションが倒壊し、多数が生き埋めになりました。しかし、生存空間もかなり残っていたようで、救助活動が進んでも、現時点では犠牲者数はそれほど増えていません。
また、2月6日夕方の時点の報道では、台南市で倒壊した建物は「少なくとも11棟」となっており、市内全体に甚大な被害が及んでいるという訳では無いようです。
上画像は、倒壊した16階建てのマンションですが、柱の破断・坐屈面にはあまり鉄筋が見えておらず、床面との結合も弱いものだったようです。
また、倒壊前の画像を見ると、低層部と高層部の構造が異なり、さらに中央部と両翼の構造も異なるという、耐震的には問題のある構造だったようです。さらに、手抜き工事の痕跡が見つかったという報道もあります。
なお、この建物の他には、ビル全体が崩壊するような被害は出ていないようです。この建物の倒壊は、地震の規模のためと言うより、構造の根本的な問題があった可能性が高いものと考えられます
【義援金詐欺に警戒を】
東日本大震災の際、台湾の皆様からは人口1人当たり1万円にも上る、合計金額でも米国とほとんど同額という、膨大な支援をしていただきました。
それをお返しする機会かと思いますが、くれぐれも義援金詐欺には気をつけてください。既に民間の募金サイトなどが立ち上がって寄付が集まり始めているようですが、募金の主体がよくわからないものもあります。
民間団体や企業の場合、寄付金が本当に現地に送られているのか、一部もしくは大部分が差し引かれてはいないかなどを、チェックする方法がありません。そして、過去にはそういう義援金詐欺も多発しています。
また、電話や訪問で義援金を集める(と見せかける)詐欺手口もあります。ですから、原則として完全に信用がおける先以外へは、募金しない方が良いでしょう。
どこへ募金するか迷ったら、日本赤十字社をお勧めします。募金窓口の立ち上げには少し時間がかかりますが、慌てる必要はありません。急いで募金しても、あまり意味はありません。善意の募金が役立てられるのは、災害からの復興が本格化してからなのです。
■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。
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