2018年12月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

« THEこの程度~お笑い大寒波対策~(#1124) | トップページ | 【再掲載】小説・生き残れ。【9/22】(#1126) »

2016年2月 4日 (木)

【シリーズUDL33】心理編5・アレひとつあれば十分か?(#1125)

■UDLとはUnder Disaster Lifeの頭文字。被災生活の概念です。


心理編では、被災直後に心理的な安定を得るためのファクターの筆頭として、正しい情報を得る方法、具体的にはトランジスタラジオを備えることの大切さを考えています。

今回は、避難所におけるラジオの効用と使い方です。


【多機能だから安心?】
家に備える防災グッズの定番になっているもののひとつが、これでしょう。
Radio

画像は一例ですが、手回し発電式のラジオとライトが一体化した製品です。乾電池が入手できない状況では、とても有用なものではあります。

かつては携帯電話(ガラケー)の充電機能も魅力でしたが、はるかに大電流が必要なスマホが主流になった今では、充電機能は残念ながらあまり使いものになりません。スマホ用としては、発電量が小さすぎるのです。

さておき、これがあれば避難所で情報飢餓に陥ることは無いから安心、なのでしょうか。


【抹殺された教訓】
UDLには不可欠の機能を集約したこのような製品は、その機能故の、大きな問題があるのです。

それは、阪神・淡路大震災後に被災者から上がった声であり、東日本大震災後にも繰り返されたはずです。

しかしその声は、この“定番防災グッズ”を販売する上での障害になるものですから、販売業者から利益を受けている『商業ベースの防災の専門家』は、ほとんど抹殺したのです。

それ以前に、そういう声があったことさえ知らない、低レベルの『防災の専門家』もいるわけですけど。


さておき、そんな被災者の声として最も大きかったのが、ラジオとライトが一体化されていることの問題でした。

夜、避難所でラジオを聴いていると、誰かがトイレに行くからライト貸してと。特に被災直後は、いつも何か情報を得ていたい時です。でも、誰かがライトを使うたびに強制的に中断させられる。

避難所のトイレは過酷な状態のことが多く、時にはどこか遠くへ用を足しに行ったりもする。だから一度行ったら時間がかかるし、いつ戻って来るかわからない。その間、避難スペースは真っ暗で情報もない。

他人のラジオから漏れてくる小さな音が、余計に神経を逆撫でする。やっと帰って来たと思ったら、今度はケータイを充電するから貸してと。

しまいには子供が携帯ゲーム機を充電したいと。そんなこんなで、もういい加減にしろ!ラジオが聴けないじゃないか!ということが多発したのです。

そんな本当の話、ご存じでしたか?


【“防災セット”には無いもの】
では、その解決策とは。上記のエピソードには、多機能故の問題と、もうひとつの問題が隠れています。

まず、機能の問題。阪神・淡路でも東日本でも、被災者の生の声は、当然のようにこう言っています。

「ライトはいくつあっても良い」

停電下では、多機能ラジオライトひとつだけでは、下手をすると何も無いよりもストレスが大きくなることもあるのです。

夜間は、何をするにもライトが必要ですから、ひとり1本どころか、それ以上にたくさん欲しかった、という声が多かったのです。それならば行動の制約も少なくなりますし、いつでもラジオを聴いていられます。

でも、市販の防災セットには多機能ラジオライトひとつか、なんだか安物の懐中電灯1本みたいのが普通ですよね。そんなものを売る側が、こんな教訓を伝えるはずがない。


もうひとつの問題。そんなラジオにスピーカーしかないか、イヤホンが無いこと。

考えて見てください。被災直後の避難所では、ラジオなどの有無で大きな情報格差が生まれています。何もわからない人のそばから、ラジオの音が漏れ聞こえて来る状態。

夜になっても、情報は聴いていたい。でも寝ている人もいるし、夜は小さな音でも大きく響く。そんな中では、ごく小さな音で聴く方も漏れ聴かされる方も、大変なストレスなわけです。

実際の避難所では、ラジオがうるさいとかのケンカも多発したのです。被災のショック、身体疲労、情報飢餓に不慣れで不自由な避難所生活。ストレスが爆発して当然、というような環境です。

そんなわけで、周りに迷惑やストレスを与えないためと、夜間も聴いていられるように、ラジオにはイヤホンが必須なのです。でも、“防災セット”のラジオにはイヤホンがついていなかったり、イヤホンジャックさえ無いものもあります。

そんなもの売るのにも、猛烈に邪魔な教訓というけで、見事に抹殺されてますね。


【だったら分けてしまえ】
多機能ラジオライト、ひとつはあっても良いでしょう。電池が無くても作動するのは、何よりのメリットです。

でも、そこで思考停止しないでください。上記のような“抹殺された現実”があるのです。

ですから、避難所生活を前提とした装備には、十分な数の、最低でも家族数のライトと予備乾電池、そして手回し式充電式ラジオライトを備えましょう。

そしてラジオはイヤホン式か、必ずイヤホンを接続できるものを。避難所で聴くには、それが必須と言えます。

被災後しばらく経てば、大抵の避難所には大きめのラジオやテレビを置いた情報コーナーのようなものができるはずですから、自分用はイヤホン式で、ある意味で“こっそりと”聴くのが、自分と周囲のストレスを軽減することになります。


【グッズの話ではないのですが】
なんだか防災グッズがテーマのようになっていますが、もちろん心理編です。

特に被災初期において、精神の安定のためと、精度の高い行動をするために必須の情報源としてのラジオの大切さと、現実的な使い方をまとめてみました。

要は、市販の“防災セット”では現実には問題が多すぎるので、自分や家族に合わせた機能と数の装備を、自分で備えなければならない、ということです。 それが、被災初期の精神の安定に大きく貢献し、自分にも周囲にも、余計なストレスを感じさせないために必須なのです。

ついでに、商売のためには大切な情報をも抹殺する『防災の専門家』もぶった切ってみましたw あの手の連中は、必要無い情報を垂れ流すだけでなく、必要な情報を言わないことも多い、ということを忘れずに。


次回からは、UDL後期の心理について考えます。


■当記事は、カテゴリ【シリーズUDL】です。

« THEこの程度~お笑い大寒波対策~(#1124) | トップページ | 【再掲載】小説・生き残れ。【9/22】(#1126) »

シリーズUDL」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/543100/63164266

この記事へのトラックバック一覧です: 【シリーズUDL33】心理編5・アレひとつあれば十分か?(#1125):

« THEこの程度~お笑い大寒波対策~(#1124) | トップページ | 【再掲載】小説・生き残れ。【9/22】(#1126) »