【シリーズUDL34】心理編6・復興の槌音の中で(#1129)
復旧・復興に“心の復興”はなかなか追いつかない(画像はイメージです)
■UDLとは、Under Disaster Lifeの頭文字。被災生活の概念です。
今回からは、UDL後期における心理と、その対策を考えます。
【いろいろ落ち着いて来ると・・・】
被災からしばらく経ち、自分の置かれた状況は、なんとか受け入れられつつあります。不自由なUDLも、ふと気がつければそれが日常となっていて、それなりに慣れてきました。
被災家屋の修理や仮設住宅への入居も始まり、少しずつ“次の段階”へ進みつつあります。
しかし、家に戻れても、この災害で失ったものは少なくありません。人的、経済的、社会的などのダメージが大きくて、被災以前と完全に同じ暮らしには、もう戻れません。
そして、状況はまだまだ流動的。この先どうなるか、まだはっきりとはわかりません。たとえ経済的には心配ないとしても、人は家と食べ物だけあれば、生きていけるわけではないのです。
そんな段階で最も心を苛むことは、なんでしょうか。それは、
『先が、見えない』
ということです。
【抜け落ちたピース】
被災者は、周囲から多くの支援を受けます。それとセットで、もちろん善意からなのですが、多くの応援も受け取るというか、受け取らざるを得ません。
「がんばって」
「負けないで」
「前を向いて」
「元気出して」
そんな応援で、苦しくても「よし、負けないでがんばろう!」と思えたり、「負けてたまるか!」と歯を食いしばれるあなたは、その先も恐らく、大丈夫でしょう。
でも、そう思えない人も多い、と言うより、思えない人の方が多いのかもしれません。 もちろん誰でも、がんばって前向きに元気に進んで行きたいのです。でも、そういう気力が沸いてこない。 被災からしばらく経って、失った人、モノ、関係は、頭の中では受け入れつつあります。でも、元気は出ない。
【能動的行動へ】
被災後ある程度の間までは、周囲で起きたことの情報を得て、それに合わせて行動することが主でした。言わば、受動的に状況に対応していたのです。ある意味で、やるべきことと結果が決まっていた、と言えます。
そしてその段階が過ぎると、復旧・復興への歩みが始まります。その段階では、やるべきことや進む道は人それぞれ違って来て、自分でそれを決めなければなりません。 能動的行動の段階です。
しかし、今や被災前のあなたを作っていたパズルの、多くのピースが抜け落ちてしまい、その穴を埋めて新しい絵を描くにはどうしたら良いのか、そもそも新しい絵とはどんなものなのか、それさえまだ思い浮かばないことの方が多いでしょう。
『先が、見えない』
のです。そんな中、復旧・復興へのかけ声は大きくなって行きます。それは、ある意味で同調圧力と言っても良いでしょう。
でも、なかなか元気は出ないのです。次回へ続きます。
■当記事は、カテゴリ【シリーズUDL】です。
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