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2016年3月 8日 (火)

村井地震予知の“インチキ”を考える【1】(#1154)

Photo
電子基準点の一種。ある人々によれば、これが1週間に数センチとか動くことがあるらしいww


当ブログでは創設以来、主に『商業ベースの防災の専門家』の行状に関して、多くの批判をしてきました。

一方、学術的な専門家、具体的には地球物理学や地震学、その関連の専門家などに対しては、その一部の発言などをピックアップして、誤りを指摘する程度でした。 基本的に、学究の徒に対する敬意が前提にあったのです。

しかしこの期に及んで、一部の学術的専門家に対しても、根本的にスタンスを変えざるを得なくなりました。

学術的な専門家までが、素人には真似のできない壮大なウソをついて、カネ儲けを始めたからです。もちろん、有用な情報によって収益を上げるならば、何の文句もありません。

問題は、肩書きの権威を振りかざし、児戯にも等しい非科学的な方法で地震の不安を煽るということが、堂々とまかり通ってしまっていることなのです。


【今、もっとも問題なのは】
ここはストレートに行きましょう。現在もっとも批判されるべきと考える対象は、

東京大学名誉教授(測量工学)村井俊治氏が主宰する「JESEA地震科学探査機構」と、発行するメルマガ「MEGA地震予測」

と言えます。あちこちのメディアに登場しては、今や我が国の“地震予知”の第一人者くらいの扱いです。メディアは、常にスターを欲していますからね。


ここで確認しておきたいのは、管理人はじめ、氏や氏の機関を批判する人の大半は、氏の手法である『地震前に発生する(かもしれない)地表面の変動を、GPS電子基準点を利用して計測する』という手法自体を批判しているわけではありません。

それ自体は研究途上の対象であり、現時点では地震との相関があるとも無いとも断言できないからです。もっとも、これまで発表された“成果”からは、少なくとも精度の高い相関があるとは思えませんが。


さておき、そこではありません。

最大の問題は、村井氏とそのチームにおける、基礎データの扱い方と評価の方法です。それをこれから解説して行きますが、それこそが、科学的手法とは全く言えない、管理人も含めた多くの人が“インチキ”だと指摘する部分です。

メディアが“的中連発”とアオる裏には何があるのか、本当に“的中”しているのか。実は、管理人が前記事でやった『地震予知』のネタ、あれはこの本編のための前フリだったのです。


【評価基準からしておかしい】
村井氏の手法は、列島各地に国土地理院が設置している、約1300カ所にも上る『電子基準点』のデータを解析することです。

『電子基準点』では、GPS衛星の電波で地表面の動きを測定しており、その精度はミリ単位です。地表面がX,Y,Z軸どちらにでも、1ミリ移動すればわかるほどの高精度なのです。

村井氏は、地震の発生前には地下だけはなく地表面にも動きが出るはずという独自の理論で、その動きと地震発生の相関関係を探っているわけで、そのためには、国土地理院の『電子基準点』は最高の基礎データとなります。それが、正しく使われる限りにおいては。

地表面は、様々な理由で日々動いています。でも、その動きはごく小さいもの。急激に大きな動きが測定されることは、まずありません。

ところが、村井氏のチームは、頻繁に「極端な変動が観測された」と発表し、その辺りで地震が来るとアオっては、「詳しくはメルマガで」と、熱心に商売をしています。

それは、本当なのでしょうか?


【一応科学者なんだけど】
村井氏は、決して地震の専門家ではありません。測量工学の“世界的権威”だそうです。その方がなぜ『地震予知』を始めたのかは良く知りませんが、少なくとも測量に関しては、トップクラスの専門家なのです。

測量に限らず、いかなる測定やデータ収集には、誤差が伴います。それは主に測定機器や条件によるものですが、新世代のGPS測量には、新世代なりの誤差の理由があります。電磁的ノイズです。

気象条件など様々な理由でGPS衛星の電波が乱れたり、他の電波が干渉したり、機器の調整や電源の状態が影響したりと、様々な電磁的ノイズが発生します。

本来ならば、そういった不正なデータを除去した上で判断しなければならないわけですが、測量の専門家であるはずの村井氏は、全くもって信じられない方法を行っています。

電磁的ノイズの影響を全く考慮せず、すべて急激な変動データとして採用し、地震の予兆だとしているのです。これだけでも、真っ当な科学者がやることではありません。十分に“インチキ”です。

そのあまりの酷さに、電子基準点データを提供している国土地理院が、ノイズの存在を強調する発表を行っているほど。

中には、○月○日の異常データは○○地点の機器交換の影響によるもの、などとピンポイントで理由を公表しているのに、なんと村井氏は、その異常データで「地震が来る」と発表していたりするというものすごさです。

そんな『地震予知』、あなたはまだ信用するのですか?

村井氏による無茶苦茶なデータの扱いを詳細に分析した、理学修士の方のブログをリンクさせていただけることになりましたので、是非ご覧ください。

リンク先記事だけでなく、一連の記事をお読みいただければ、村井氏の理屈(理論ではありません)が無茶苦茶なだけでなく、科学的態度を放棄して、自分たちの利益のためにデータを恣意的に曲解していることが見えて来ます。

【ブログタイトル】横浜地球物理学研究所

【記事タイトル】村井俊治氏の地震予測は、GPSの誤差を考慮しておらず、信用できません

ちなみに上記リンク記事は、2014年9月にアップされています。真っ当な方々の間ではそれより前からインチキ認定されていたのですが、最近になって話題が欲しいメディアが食いついて、アオりが激しくなっているわけです。


【それだけじゃない】
ここで、ひとつの疑問が持ち上がります。

本来は無意味なはずのノイズによる異常データを拠り所にした『地震予知』が、なんで世間では“的中”したと騒がれているのでしょうか。

普通ならば、予知がハズレだらけならば、あの方法は正しくない、という評価をされるわけです。それ以前に、発表者自身が正しい方法では無いと判断し、発表を取りやめるのが世間一般の感覚ですし、科学的な態度というものです。

しかし、現実にはあちこちで“インチキ”と言われている、現実と整合性の無い方法が“的中連発”と崇められ、信者(と収入)を増やしているのです。何故なのでしょうか。


もう大体おわかりですよね。実際には、“的中”などしていないのです。その裏には、当ブログでもいろいろ触れてきた、『肩書への妄信』、『確証バイアス』などの心理的理由、さらには事実との整合性よりも、話題性とインパクトを重視するメディアの扱いによって、ダーティヒーローが生み出されているという側面もあります。


次回以降、“インチキ”の現実とメカニズムを検証して行きます。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。


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