村井地震予知の“インチキ”を考える【6】(#1163)
今回の本題に入る前に、前回記事で引用させていただいた『週刊P』掲載図の前年、2014年末に掲載された、2014年7月15日から12月6日までの期間に検知された『異常変動』の図表をご覧ください。
季節が変わると地震も変わる?w
この図表の観測期間は、上記の通り夏から初冬までです。『異常データ』が観測された地点や数が、前回記事に掲載した、冬を挟んだ季節のものと全く異なることがわかります。地震の発生って、季節に影響されるんですかねw
前記事の掲載図では、豪雪・降雪地域に偏っていた『異常データ』観測点が、上図では全国的にかなり平均して散らばっています。しかも、冬場の『異常データ』が極端に少なかった西日本や、特に九州での観測が目立ちます。このことからも、冬場の『異常変動』が、降雪や積雪による影響である可能性が高いことがわかります。
一方、夏場をまたいだ上図の観測期間の場合は、各地での雨の影響が大きいものと考えられます。この年2014年(平成26年)の8月には、公式に『平成26年8月豪雨』と命名された豪雨が列島各地を襲い、各地で大きな被害が出ているのです。
詳しくはウィキペディア『平成26年8月豪雨』をご覧ください。
上図左上にある変動グラフでも、わざわざ『8月に多くが警戒ラインを超えた』と注釈してありますし、右下のグラフでも、7月から8月にかけての変動が極大化している、すなわちノイズの発生が増えているのがわかります。
これらのことから、各地の『異常データ』、すなわちノイズの原因は、激しい降雨や雷による空電現象などの気象条件によるものである可能性が、非常に大きいと言えます。しかし、村井氏はそれらの異常データが地表面の『異常変動』だとして採用した結果が、この図表というわけです。
もちろん、その後『警戒ゾーン』内での、震度5クラス以上の地震は起きていません。
他にも、この年の11月に発生して、村井式予知に誤った評判を与える結果になった『長野県神城断層地震』など、いろいろツッコミどころはあるのですが、とりあえず今回の本題に入りましょう。
でもその前に、とりあえずこれだけははっきりさせておきましょうか。一部で言われるように、2014年11月22日の『長野県神城断層地震』(最大震度6弱)を村井氏が『予知』したという事実はありません。結果的に『予知』したように見えるだけです。それも、後で詳しく触れます。
東北-関東の太平洋岸に危険は無い?
さて本題です。村井氏による『地震警戒ゾーン』には、実際に毎日のように地震が多発している、東北から関東の太平洋岸が含まれていません。
その理由のひとつは、前回記事で書いた通り、この地域の電子基準点データに大きな変動が見られず、村井理論においては、この地域を『警戒ゾーン』にする根拠が薄弱である、ということでしょう。実際にたくさん起きているのにね。
この地域の『異常変動』が少ないことは、前回と今回記事に掲載の図表をご覧いただければ、一目瞭然です。その状態で、こんなに注目度が高い地域を下手に『警戒ゾーン』に指定したら、タダでさえ多い批判や指摘が激増するのは自明。メルマガ読者も減るかもしれないし。
まあ、どんな理由にしろ、東日本大震災による巨大地殻変動の真っ只中にあり、毎日のように地震が起きていて、数ヶ月に一度以上は震度4~5クラスが起きている地域が『警戒ゾーン』では無いというのが、村井理論の“凄さ”のひとつですね。
あの言葉が聞こえてくる
村井氏の『地震予知』手法を表現するのに、あの言葉が良く聞かれます。
『下手な鉄砲数撃ちゃ当たる』
理論がどうだろうと、単純に地震が多い場所をこれだけ広く指定して、それも半年くらいのタームで警戒せよと言っておけば、今の日本列島は誰でもそれなりの“的中率”が出せるくらい、地震がたくさん起きているのです。
それは、過去記事で管理人自身も証明した通り、何も難しいことではありません。それでも、村井氏の『予知』による、厳密な意味での“的中率”は、たった15%くらいなんですよ。ほとんど当てずっぽうと同じレベルの確率です。
それは、誤った理論によって、滅多に地震が起きそうも無いエリアまでが、『警戒ゾーン』に広く指定されているからというのも、大きな理由ですね。そう言った意味では、今の日本列島でもっとも地震が多発している、東北-関東の太平洋岸を、ぜひとも『警戒ゾーン』に指定したいところ。
それだけで、”的中率”は1割から2割は簡単に上げられます。でもそれをしないは、科学者としてのせめてもの矜持、だと思っていたのですが・・・
ついに撃っちゃったw
村井氏は、今年3月6日にテレビ出演されました。これも、村井氏大好きで鳴らすw『Mr.サ○デー』(フジ○レビ系列)です。
管理人、直接観てはいないのですが、各方面からの話とかyoutubeとかで、断片的ながら情報は得ました。まあ相変わらず村井氏礼賛がすごい番組ですね。でも、今回はほんの少しだけ他の可能性も示唆するような発言がMCからあったりして、局にも批判意見が相当集まっていることを伺わせますね。
さておき、ここでは細かいことは一切無視しましょう。番組で放映された、村井氏による一枚の図表がすべてです。さあ、ご覧ください。
うあああああ!いつの間にか東北-関東の太平洋岸が『警戒ゾーン』に入ってる!!!
電子基準点の『異常データ』がものすごく少ない、しかも、今までに村井氏が大規模地震の根拠とする7センチ以上の大変動(=ノイズ)がほとんど観測されていない地域が、いつの間にか『警戒ゾーン』になっているじゃありませんか!
しかも、あれだけ長いこと拘って来た『岐阜-北信越』は消滅し、その他にも北海道南部、九州南部、南西諸島など、大規模地震が“とりあえず起きそうも無い場所”がみんな無かったことになってる!
と、思っていたのですが、番組をご覧になった方からのご指摘で、『岐阜-北信越』は上の画像の後、なんと赤色で表示されたとのこと。そのエリアへの拘りもさることながら、これで日本列島の大部分が『警戒ゾーン』になるという物凄さですw
なにしろ、東北-関東の太平洋岸を加えてしまったということは、ついに日本最大の地震多発地帯の“魅力”に負けたようですね。禁断の“下手な鉄砲”を、一番獲物が多い場所に向けてぶっ放したということですよ。そこには理論も矜持も、全く見当たりません。
それでも関東が残っているのは、なんと言ってもメルマガ最大の“市場”ですし。
これならば、“的中率”は急上昇しますよ。ある意味で、見事な『選択と集中』です。今までの“的中連発”のカラクリをあちこちで暴露されて、いよいよ背に腹は変えられなくなってきた、ということでしょうかね。
さあ、そんな御仁を『地震予知の権威』、『優秀な科学者』、『地震大国の救世主』とか呼んで、まだ崇め奉るのですか?役に立たない情報に、おカネを払うのですか?こんなのと絡んで、企業イメージを悪くするのですか?
村井氏を信奉する皆様、よーく考えてみてください。
このシリーズ、まだまだ続きますよ。
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