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2016年3月30日 (水)

村井地震予知の“インチキ”を考える【7】(#1164)

当シリーズの前回記事までに、村井氏の『地震予知』手法にいかに問題があり、いかに粉飾されたものなのかを述べて来ました。

次は、『的中連発』と一部で言われるのが本当なのかを、検証して行きたいと思います。


メディアのアオりの結果


村井氏の『地震予知』を有名にしたのは、やはりメディアの力です。

その中で、紙媒体としては最も“村井推し”と言える、有名週刊誌『週刊P』の記事から、それを探ってみたいと思います。

なお、『週刊P』から引用させていただく記事は太字表記とし、一部要約しています。

■2013年5月時点での村井氏コメント■
現時点で注意が必要なのは函館周辺。函館の(電子)基準点は、少し離れたところの地震でも前兆現象が観測される。

2003年の十勝沖地震でも、函館基準点は動いていた。浦河沖で小地震も観測されているので、道南の広い地域で警戒が必要。

東北6県のうち、青森の基準点だけは他と動きが異なり、北海道と連動している。距離的にも函館と近い青森は、注意しておくべき。


そしてなにが起きたのか


このコメントに対し、記事では2014年7月8日、石狩地方南部、震源深さ約3km、M5.6、最大震度5弱の地震(下図参照)を“的中”というニュアンスで書いています。

下図は、気象庁の報道発表資料からお借りしたものです。
Ishikari

さらに2014年8月10日、青森県東方沖、震源深さ50km、M6.1、最大震度5弱の地震(下図参照)をも、“的中”という感じ。こちらも、気象庁の報道発表資料からお借りしました。
Aomori

上記ふたつの地震について、記事では『これ(=村井氏の情報に)対して、○○の地震が発生』という書き方であり、普通は“的中”ととられますよね。もちろん、村井氏も“的中”と言われることを受け容れていらっしゃる。


本当に“的中”?


さておき、まず注意していただきたいのは、村井氏の上記コメントは2013年5月です。しかも当時の最新情報ということでもなく、以前から継続的に警戒すべき場所として、道南や青森を挙げているものです。

しかし、上記ふたつの地震はコメント記事の翌年、2014年7月と8月であり、記事掲載時点からも1年以上、村井氏が警戒ゾーンとして設定してからは、もっと長い時間が経っています。

すなわち、大雑把に考えても1年半、もしかしたら2年以上も『警戒ゾーン』とされていた場所ということです。

なお、石狩地方南部の地震は、震源深さ3kmという「ごく浅い」断層が動いた地震、青森県東方沖の地震は、震源深さ50kmという、東日本大震災(東北地方太平洋地震)の余震として多発している「スラブ内地震」であり、両者は全く異なるメカニズムによるものです。

この例に限らず、村井氏の『予知』は、電子基準点の『異常変動』が出た場所の近くで地震が起きる場合は、それがどんな種類の地震だろうとそこの地盤がどうだろうと同じような地表面の変動が現れるという、大雑把極まりない理屈なのです。

せめて、電子基準点の『異常変動』が実際に起きているのならば、多少は説得力も生まれるのですけど。


そこで改めて、上の震源図をご覧ください。警戒すべき場所とされた函館、青森周辺と、実際の震央(図の×印)の水平面での位置関係において、震源深さも発震メカニズムも全く異なる地震の前兆が函館と青森の地表面に出た、しかも十勝沖海底まで連動もするという、地球物理学的にはあり得ない理由を、村井氏は説明していません。

まあ、地球物理学者からは非難轟々で敵対状態ですし、自分は『測量の専門家』だから専門外だと開き直られているようですが、いずれにしろ、全く説明のつかない現象が起きると主張されているわけです。

この例をまとめますと、警戒しろと言ってから少なくとも1年以上の時間が経ち、地図上は一見近いけれど、地盤構造が全く異なる場所で、発震メカニズムが全く異なる大きめの地震がふたつ連続した、しかも当時は震災の余震が、今よりはるかに多発していた時期でもある、

それを、あなたなら“的中”としますか?メディアは話題が欲しいから、怪しい話でも当然のように持ち上げますけど。

この記事手法は他の“的中”記事でも共通で、地面の下のことや地震のメカニズムは一切無視して、震央と水平距離が近ければ“的中”(しかし実際にはあまり近くないw)とする、実に安易な“素人騙し”の類です。


理屈はともかく、この例の場合は、「青森と道南辺りが危ないよ」と1年言っていれば、誰でも“的中”させられるレベルの話だということです。そしてなにより、道南と青森周辺は、もとより地震が多い場所なのです。震災から日が浅かった当時はなおさら。

そして忘れてならないのは、函館、青森が特に危険と言っていたのではなく、あくまで全国あちこち、それも非常に広範囲の『警戒ゾーン』のひとつに過ぎない、ということです。しかし、実際に地震が起きた後に“当たった”部分だけをピックアップすると、さも的確な『予知』をしていたような印象が残るという、ありがちな印象操作でもあります。

ですから、これが村井理論の正当性を証明することには全くなりませんし、決して“的中”とは言えないと言うことです。


まだまだやります


管理人としても、ひとつかふたつの例だけで“インチキ”だと断言するつもりはありません。

まだまだネタはありますよ。 次回へ続きます。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。


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