大分県の地震について(#1183)
4月14日から活動が始まった、一連の『平成28年熊本地震』は、地震の発生回数は減少傾向を見せながらも、時々震度5クラスを発震するという、予断を許さない状況が続いています。
大分地方の地震活動
活動当初は熊本県内の断層が動きましたが、その後震源域は広がりを見せ始めました。
震源域は北西と南東方向に広がりはじめ、北西方向は阿蘇地方から、さらには大分県内にまで拡大しました。
大分県内の震源域を示す、4月21日から過去1週間の震央分布図を、防災科学技術研究所のHi-netからお借りして掲載します。
上図の通り、大分県内の震源域は、は熊本県内の震源域とは完全に分かれています。両者の間に空いた地震空白域には、阿蘇山があります。
観測史上初の現象
大分県内の地震活動は、熊本県内の“続き”ではありません。あくまで、当初の震源域の近くにある別の断層帯で起きている、別の活動なのです。
大分も熊本も、中央構造線断層帯に連なっているので、構造的に影響を受けやすい関係ということは考えられますが、今回のように近隣の断層帯が、連続的に活発な活動を起こすという現象は、近代の地震観測史上初めて経験することです。
このため、そのメカニズムや今後の活動がどうなるかなどについては、経験則からの分析や予測をすることができません。
まだしばらくの間は、慎重に推移を見守るしかないのです。
大分の大断層帯が動いた?
上図を見ると、大分県内の震源域は、阿蘇山を挟んで熊本県内から線状に繋がっているように見えます。
それは一見、当たり前のように思えるのですが、実は少し不可解なことが起きているようなのです。
大分県内には、小さな断層が密集したような構造の、『別府ー万年山(はねやま)断層帯』があります。一連の地震は別府市や由布市周辺で起きていることから、普通に考えれば、この断層が動いている、と考えられそうです。
ところが。
もう一度上図をご覧ください。主な断層帯が、水色の線で描かれています。
今回の震源域の中心を通る線と交わるように延びているのが、『別府ー万年山断層帯』です。断層帯の方向と、地震が起きている地域が、あまり重なっていません。
今回の震源域は、まるで熊本県内の『布田川ー日奈久断層帯』の延長線上に、中央構造線に沿った断層帯があるように見えますが、大規模な断層帯は確認されていません。
これは推定ですが、今回動いている大分県内の断層は、今まで動くことがあまり想定されていなかった、小規模のものなのかもしれません。
大分の地震活動はどうなるか?
現在は、別府湾沿いの別府市から、南西方向の由布市を結ぶ線を中心に、地震が発生しています。
発生回数は、若干減り始めてはいますが、未だ大きな地震が起こらないとは言えない状況です。
今後しばらくの間は、最大震度6強レベルを想定した体制で、警戒を続けるしかなさそうです。
4月21日時点では、有感地震の震源が、別府市の別府湾海岸付近に集中しているような傾向が見えます。しかし、由布市方面の活動が収束に向かっているとは、全く言えません。
前記のように、過去の経験則で判断できないことからも、しばらくの間は高い警戒レベルを維持する必要があるでしょう。
強い揺れが予想される
大分県内の地震は、熊本県内よりさらに震源深さが浅いようです。
気象庁の発表基準で、震源深さ「10km」(10~19km)より浅い、「ごく浅い」(0~10km)地震が多くなっています。
震源が浅いと、地震の規模の割には地上の揺れが大きくなり、揺れの周期が短くて速い、破壊力の大きな揺れになりやすくなります。
また、震源域周辺では、緊急地震速報よりも、強い揺れの方が先に到達することが考えられます。
このようなことは、現地の皆様はすでに体験されているかと思いますが、さらに強い揺れに備えて、対策を進めてください。
具体的には、
■十分な光量のLEDライトを複数、手元に備える
■家具類を固定する(熊本では、固定した家具が吹っ飛んだという証言もありますが、その前から逃げるための「時間稼ぎ」効果は確実にあります)
■転倒しそうな家具類の前で寝ない
■高い場所の危険物を下ろす
■天袋や戸棚の収納物を出すか、扉に開放防止ロックをつける
■耐震強度に不安がある家で寝る時は二階で
■倒壊しそうな家の一階で寝る時は、寝床の脇に頑丈なテーブルやちゃぶ台を置いて、梁が落ちても生存空間が残るようにする。一階でベッドの場合は、激しい揺れを感じたらベッドの脇に身を寄せて伏せる
■閉じこめられた時のために、寝床にペットボトル水を用意しておく
■閉じ込められた時に救助を求めるため、レスキューホイッスルなどを用意しておく。叩いて音を出すものは、動けない可能性が高い。情報収集用ラジオを手元においておき、大音量で鳴らしても良い。
■破壊脱出・救助用の大型バールを手元に備える
■室内用の靴を寝床に備える。
もちろんこれで完全ではありませんが、水や食品などの備蓄はすでにある前提で、これだけのことをやるだけで、特に夜間の第一撃から『生き残る』ことができる確率が、飛躍的に大きくなるのです。
もちろん、大分に限ったことではありません。熊本県内もまだ予断を許しませんし、何より、この熊本地震は、
『いつどこで起きてもおかしくない』
ということを、改めて我々に突きつけたのです。
できることを、できるうちにやっておいてください。すべては『生き残る』ために。
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