2023年3月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

« “インチキ”の中身をもっと良く知りましょう(#1167) | トップページ | 村井地震予知の“インチキ”を考える【10】(#1169) »

2016年4月 5日 (火)

村井地震予知の“インチキ”を考える【9】(#1168)

ある読者様から、村井氏ネタは「もうおなかいっぱいw」と言われてしまいましたがw、やるからには徹底的にやらせていただきます。


2014年以降、日本国内で起きた震度5弱以上の地震の発生を、すべて“的中”させたとされている村井氏ですが、細かく見て行けば、全然“的中”ではないことがわかります。

今回は、村井氏を『地震予知ヒーロー』として持ち上げて、数字が取れるコンテンツとして育てたい、メディア側のやり口を検証してみましょう。

村井氏大好き『週刊P』の記事から、要約の上引用させていただきます。


世は、いや営業はヒーローを必要としている


以下は、村井氏が“的中”させたとされる、ある地震についての記事です。(太字部分)

2014年9月16日午後0時28分ごろ、栃木県南部、群馬県南部、埼玉県北部などで震度5弱を観測する強い地震があった。この地震の発生を事前に「的中」させていた人物がいる。東大名誉教授の村井俊治氏だ。

現在発売中の週刊P(管理人註:2014年9月19・26日号)では、村井氏の監修のもとに「異常変動マップ」を掲載しているが、北関東は「警戒ゾーン」となっている。栃木県では、同誌発売前の9月3日にも震度5弱の地震を観測したが、引き続き「警戒を怠ってはならない」と記載されている。


・・・だそうです。大きな地震の発生を連続的中させた“ヒーロー”の登場をアオっております。

改めて記事内容をまとめると、

・村井氏は2014年9月16日に起きた、関東の震度5弱を『予知』していた。

・村井氏が以前から、「警戒ゾーン」としていた北関東(一般に群馬県、栃木県、埼玉県北部を指す)で、『予知』通りの地震が起きた。

・村井氏が“的中”させたとされる、9月3日の震度5弱以降、引き続き「警戒を怠ってはならない」と言っていた栃木県でも、震度5弱の揺れがあった。

ということになっています。関東で連続して起きた震度5弱を続けて的中→この人はホンモノだ!、というイメージを醸成しようと必死ですね編集部はw


違う違うそうじゃない


しかし、まず9月3日の栃木県北部震度5弱は全然“的中”ではない、“下手な鉄砲数撃ちゃ当たる”の類であることは、 過去記事『村井地震予知の”インチキ”を考える【8】(#1166)』で説明しました。

そして、それからたった約2週間の間をおいて起きた関東の震度5弱、まるで村井氏のプロモーションのためのような舞台装置です。本当に“持ってる”わあの人はw

日本列島の大部分を、半年以上のタームで『警戒ゾーン』としている村井氏ならば、どこで起きた地震でも“的中”をコジつけられるのですけど、やはり時間的な近さのインパクトは強烈です。 前回の記憶が鮮明に残っているうちに、次が来たのですから。

この辺りから、メディアのアオりに乗った村井氏の『増長』が加速して言った感じはありますね。 さておき、2014年9月16日の関東での震度5弱、本当に“的中”なのでしょうか?


ここ、笑うところです


村井氏は、北関東を『警戒ゾーン』としていました。北関東とは、一般に群馬県、栃木県、埼玉県北部を指します。

ここで、『週間P』の記事を、もう一度そのまま引用します(太字部分)

2014年9月16日午後0時28分ごろ、栃木県南部、群馬県南部、埼玉県北部などで震度5弱を観測する強い地震があった。

これだけ見ると、なんとなく“的中”か、それに近い地震という印象を受けますね。実際に、上記3地域で震度5弱の揺れを観測しているのです。

では、この地震の、気象庁の報道発表資料からお借りした図表をご覧ください。黒い×印が震央です。
Ibaraki2


どこが北関東だw


上図の通り、この地震は北関東では全然なく、誰がなんと言っても南関東である、茨城県南部の埼玉寄り震源域で起きたもの。

どこが北関東なんだ、という話ですが、村井氏が『警戒ゾーン』とした北関東地域で震度5弱を観測したから、無理矢理“的中”ということのようですねw 

なにしろ、この時『週刊P』は、関東で連続した震度5弱を『村井地震予知ヒーロー化プロジェクトw』の、千載一偶のチャンスと捉えたのでしょうね。 一気に畳み掛けて来た感があります。

この地震がバリバリの南関東、しかも震災後の最多発震源域のひとつとも言える、茨城南部震源域であることには全く触れず、村井氏の『警戒ゾーン』内で強い揺れがあったことだけを強調して、根拠無き“的中”をアオっている、ということです。

不都合なことは書かず、都合の良い部分だけを強調することによる、見事な印象操作です。でも、ウソは書いていないと開き直れる内容というところがミソ。

多くの大衆メディアにとって、事実なんかどうでもいいんですよ。数字になるイメージが作れれば。この場合は細かい理屈はともかく、“的中”したという印象が残れば良いわけです。でも、改めて言うまでもなく、全然当たっていません。


持ちすぎだろうw


ところで、これは全く偶然なのですが、村井氏が本当に“持っている”、という話。

今回採り上げた地震は、茨城県南部の埼玉寄りが震源です。なのに、震度分布を見てみると・・・
Ibaraki3
上図は、気象庁の報道発表資料からお借りしたものですが、オレンジ色で示された震度5弱のエリアが、群馬県、栃木県、埼玉県北部という、まさに北関東地域に点在しています。

その一方で、震源である茨城県では震度4が最高という、かなり不思議な揺れ方をした地震でした。もし茨城県や千葉県などで震度5弱以上を観測していれば、「北関東の地震」というイメージを作るのは、かなり難しかったでしょう。

なにしろ、このタイミングでこういう「村井氏に有利な」地震が起きるのですから、うらやましいくらいの強運をお持ちだ、ということは間違い無さそうです。


ひと粒で二度オイシイ


ところで、る今は村井氏を『地震予知ヒーロー』として持ち上げている各メディアですが、いよいよ世間からの批判の声が大きくなりはじめました。

これで、世間の潮目が変わったら、メディアは手のひらを返しますよ。『村井地震予知はインチキだった!』、『詐欺?!無根拠の地震情報を有料提供!』、『大企業もダマされたその手口を暴く!』とか言う見出しが踊る日が来るかもしれません。

ひとつ確かなことは、思い切り持ち上げた奴がコケたら、今度は思い切り叩いて数字を取る、メディアはそこまで視野に入れていますからね。それが一番オイシイから。できることならフェードアウトじゃなくて、消える前には叩きネタでひと稼ぎさせて欲しいんです。

STAP細胞騒動で有名なO女史の扱いなんて、典型的なわけですよ。

でも、いかなる場合もメディアは善意の第三者なのです。間違いを流したのは、あくまでも『悪い専門家』のせい、ということで。

なんてこと書いてると、絶対メディアからのインタビューとか来ないよなwというか、『週間P』は、村井氏関係の記事の中で、いろいろな『予知』をしている人物にインタビューしていて、中には耳鳴りだ体感だとかいうブログ管理人にも取材しているんですよ。

一応、多様な見解をというスタンスなのかもしれませんが、村井予知も、実はマユツバものだという本音の現れという気がしないでもありませんw


というわけで、なんとなく終わり感がありますが、このシリーズまだまだ続きます。だって"インチキ"がまだ山積みなんですからw

■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。


« “インチキ”の中身をもっと良く知りましょう(#1167) | トップページ | 村井地震予知の“インチキ”を考える【10】(#1169) »

エセ科学・オカルト排除」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 村井地震予知の“インチキ”を考える【9】(#1168):

« “インチキ”の中身をもっと良く知りましょう(#1167) | トップページ | 村井地震予知の“インチキ”を考える【10】(#1169) »