原点に返るための雑感など~何のためにやっているのか~(#1198)
2016年5月25日午後9時30分までの、全国の有感地震発生状況。熊本地方はかなり落ち着いて来てはいる
(気象庁ウェブサイトより)
ここしばらく、記事の更新が滞ってしまって、申し訳ありません。
個人的にちょっとバタついているというのもありますが、正直なところ、管理人ちょっとテンションが下がっております。
今そこにある災害、なのに
熊本地震は、徐々にその活動が収束方向に向かってはいますが、未だに活発と言える状況であり、また大きな地震が起きる可能性も否定できません。
そんな中で、被災地では地震への警戒を続けつつ、緊急対応の時期が過ぎて生活再建の時期に入り、周囲からの支援もより細分化、専門化した内容が求められるようになってきています。
被災地を応援したくとも、そのような需要に対応できない場合は、『支援金』で応援しましょう。いわゆる『義援金』よりずっと早く、被災者のために役立てられます。
管理人としては、被災した市町村など自治体の窓口へ、直接『支援金』を送るのがお勧めします。
NPOなど任意団体も対応が早いのですが、中には運営のための諸経費も支援金でまかなわれていたり、会計が不透明だったり、支援の質が劣ったり、実態が伴わないものもあったりしますから、NPOなど任意団体を支援する際には、その内容を良く確かめてからにしましょう。
そういった諸々のことは、“つい先日”、東日本大震災という巨大災害で経験したことであり、我々は今、現在進行形の災害に対して、その経験と知識を生かすべき時なのです。
何もしないよりはマシ?
その一方で、東日本大震災後とはまた違った、やりきれない事態も起きています。
過日のニュースで、熊本地震後、首都圏などでも『防災グッズ』の売り上げが急増して、品切れも出ていると。まあそれは、毎度おなじみの、熱に浮かされたような一時的現象に過ぎません。
でも、売れているのは水だ非常食だというものに集中し、家具の転倒対策品などは、普段とほとんど変わらないとも。
ニュースでは、『既に対策済みのことが多いのだろう』とか、思いつきのようなことが書いてありましたが、そんなわけない。ほとんどやる気が無いだけのこと。家具の固定などの対策までやっている人は、食品などの備蓄もできていることが大半ですから。
まあ、それでも実際に動いておカネ使うだけでマシなのでしょうけどね。でも、みんな5年前には何をやっていたのでしょうか。
デマ拡大再生産システム
デマの拡散も、5年前よりはるかに規模が大きくなりました。
大きな理由のひとつが、スマホの普及。5年前には2割程度だったものが、現在は6~7割となっています。このため、ネット情報へのアクセスがはるかに容易になったことと、個人からの画像情報の発信も、手軽になったことが挙げられます。
でも、それ以上に危惧すべきは、情報リテラシーの著しい低下とメディアのやりたい放題でしょう。
ネットでちょっと目に付く情報は、真偽はさておいて、ワンクリックで拡散される。そして、あちこちで見かける情報は、多くの人が信用しているという印象を与え、さらに拡散される。
そして多くは、とりあえずの善意から、一部は、“影響を受けやすい人々”が、ほとんど集団ヒステリーのように騒ぐ。
すると、それをメディアが面白おかしく採り上げて、さらに拡散に拍車がかかる。報道(とは呼べないが)の結果が、悪質なデマの拡散に繋がることがわかっていても、確実に数字になるコンテンツを放っておく気はない。
特に近年、数字のためなら何でもアリみたいな風潮が強まっていますね。ゴシップメディアみたいなのは、本来そういうものですが、比較的“お堅い”メディアも、例外ではありません。
特にネットニュースの記事は、報道というより、単にPVを稼げれば勝ちですから、何でもやりますよ。最近、特に目に付きませんか?【~~か?】みたいな記事タイトル。
例えば【熊本まだ震度7の可能性か?】というタイトルがあったら、思わずクリックしちゃいますよね。で、中身はナントカ教授の「断層帯がなんちゃらでまだ大地震がおきる可能性がどうたら」とか、過去記事の焼き直しで多くのPVが稼げる訳です。
とにかく、【~~か?】としておけば、根拠の無い話やうわさ程度の話でも、なんでも注目記事にできるわけですよ。もちろん【GPSで大地震予知が実現か?】というレベルの大ウソも、全然普通になっちゃいました。
発信者もウソばかり
東日本大震災後、やたらと『専門家』のコメントが溢れました。そして熊本地震後も、ご覧の通りです。
そしてその中には、商売の宣伝のための『自称専門家』や、一応ホンモノなのだけど、カネ集め目覚めたり、俗世を超越しちゃったりと、別次元に逝ってしまった手合いも少なくありません。
そんな連中も、メディア上では一緒くたにされて『専門家』だの『プロ』という扱いです。 何故なら、メディアにしてみれば、ホンモノの専門家の科学的なコメントは、実は面白くない。
「~が起きる可能性」という話より、「~がもうすぐ起きる」と言ってくれた方が、確実に数字になるわけで、それを『専門家』の口から言って欲しい。
本当に『専門家』かどうかは、とりあえずの肩書きはついているし、本人がそう名乗っているのだから、批判されようとメディアには責任は無い。
そんな流れで、村井だの早川だのその他諸々が、数字のためにもてはやされているわけです。
熊本地震後、どこかの教授連中とかが「次は○○だ」とかいろいろ言っていますが、そのほとんどが無根拠で、自分の主張に絡めて注目を集めようとしている類です。
そんな連中のコメント内容を、科学的に解説している科学者もいらっしゃって、メディア上で注目を集めることを言う奴らがいかに大ウソつきか、『教授』とか言ってもいかにピンキリか、ということをわからせてくれます。
悪い冗談だろう?
そんな中、多少はまともかと思っていた経済誌『東洋経済』のオンライン記事に、完全に村井礼賛と取れる記事が載りました。
内容は、『週刊P』の焼き直しレベル。しかも、あの村井を、『週刊P』でも言わなかった『地震予知のプロ』とおだて上げ、過去の震度5クラスを『全部的中させた』と断言して、ヒーロー扱いに。
しかし、村井が熊本地震の直前に南九州は『警戒ゾーン』から外した理由は、本人の言い訳「気持ちがブレた」という、『週刊P』でも書かれたそのまま(その『週刊P』記事については、別記事を上げます)
理論の正当性云々以前に、どこの科学者が、データなどの根拠なく、本人の気持ちだけで結果を左右できるのか。そんなことを平然と言う奴を、『地震予知のプロ』だと、『週刊P』以上におだてる有様。
これが悪い冗談でなければ、メディアもさらにバカに拍車がかかったな、と嘆かざるを得ません
20年前から変わらず、さらにバカに
1995年の阪神・淡路大震災で、避難所の最前線でメディア対応に当たったある神戸市職員氏は、管理人にこう言いました。
『マスコミは想像しているよりはるかにバカばかりだから、「これは言わなくてもわかるだろう」とは一切考えるな。それをやると、勝手な想像でとんでもないことを書かれる。非協力的な印象を与えると、ウソを書いて叩かれる。一社だけに話すと他社が騒ぐので、発表は必ず全社集めてから』
などと、いろいろ教わりました。今回の熊本地震で、益城町など主な避難所にメディアが全社張り付いていて邪魔で仕方なかったというのも、そういうことです。当然ながら、何も変わっていないのです。
メディアが最も望むのは、最も数字になる、自社だけの“特ダネ”である一方、最も恐れるのは、自社だけが大ネタを見逃す、いわゆる“特オチ”なのです。だから、他社が集まっている場所からは、絶対に離れない。
それが被災者の邪魔になろうが、そこにいなくて“特オチ”出したら、自分のクビが飛ぶかもだから、他に選択肢は無いのです。
そこにも下請けの悲哀が
なお、現場に張り付いているのは、一部を除いて下請けの製作会社スタッフです。給油の列に横入りして炎上騒ぎになった関西テレビの中継車に乗っていたのも、アナウンサーやチーフディレクターなど以外は、下請け制作会社スタッフでしょう。
中継車の燃料切れで中継に穴開けたりしたら、始末書じゃ済まないわけで、そのためにはなんでもやるのがメディアですから。 画のインパクトが弱かったら、被災者無理矢理泣かせてでも悲惨な画を撮れとか、逆らえない指示が出るなんてのも、本当のことです。
1991年、雲仙普厳岳の噴火による大火砕流で43人の犠牲者が出ましたが、火砕流が襲った場所は本来避難勧告地域であり、立ち入り規制されていたのです。
しかし、安全地帯からは“いい画”が撮れないと騒いだメディア各社から立ち入りを強く要求されたので、仕方なく地元消防団やタクシー運転手が同行し、みんな犠牲になってしまったのです。
あの当時メディアが『命をかけて取材した』とか持ち上げましたが、そんな横紙破りに付き合わされて犠牲になった、地元の方々のことを忘れてはなりません。
もっとも、現場の人間も本当に行きたい人ばかりじゃなかったでしょうね。本局に「立ち入り禁止で画が撮れない」と報告したら、間違いなく「ガキの使いじゃねえんだできないならできるようにしろ」というような返事が返って来たでしょうから。
詳しい経緯は、ウィキペディアの『普賢岳』ページにありますので、参照してみてください。
普賢岳-Wikipedia
役に立たない連中も
メディアのそういう体質は変えようはありませんし、これからも繰り返されるでしょう。
しかし、メディアには現場の状況を外部へ伝えるという、他には賄えない機能があります。報道に乗ることが、被災地の大きなメリットになります。だから、全部いらないとは言えまえん。
しかし、被災地に入るメディア側の人間に、確実にいらない奴らがいます。当ブログではおなじみの表現『商業ベースの防災の専門家』です。
学術的な専門家ではありませんから、調査と言ってもあくまで素人レベルの印象集めでしかない。それは、あの連中が自分のサイトや講演で流している内容を見ればわかります。だから、被災地情報を外部に伝えるという機能は皆無か、あってもごく限定的。
そんなことより、あの連中は災害を自分の商売のネタにするのが、最大にしてほぼ唯一の目的なのです。特に、人的な苦しみをネタにすることで、お涙頂戴的な演出が効果的なわけです。
災害被災者の悲惨な話、感動話を拾って講演で喋り、自ら『涙の伝導師』とか名乗って喜んでいる奴もいますしね。で、その実、ネタがツイッターからの拾いものだったりとかw(下記過去記事参照)
新感覚のエンターテインメント登場?(#1076)
もちろん、現実的で正確な防災関連情報を広めるならば、存在価値があります。でも、あの連中にそういう機能がほとんど無いどころか、一部は害悪でもあるという現実も踏まえ、『本当は何が正しいのか』をお伝えするために、当ブログは4年前にスタートしたのです。
原点に返れたかな
とまあ、管理人最近ちょっとテンション落ちていましたが、管理人が大嫌いな皆様、残念でした。まだまだこれからもやりますよw
いろいろ書いて、原点返りできたような気がします。
とにかく熊本に限らず、災害被災地に『商業ベースの防災の専門家』が現れたら、みんなで追い返しましょうねwまあ、あの連中は被害が酷い場所や時期にしか現れないけどね。インパクトがある画とネタだけが目的だから。
■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。
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コメント
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こんばんは
いつも参考にさせていただいてます。
長年の友人が信者で有料サイト登録してます。東北の震災でもろに津波受けた被災者、身内も亡くしてます。情報を信じきっておりまして、どうしたものかと。このブログに誘導したいとは思ってます。
投稿: いわわ | 2016年5月25日 (水) 22時57分
>いわわ様
コメントありがとうございます。
あのようなネタを信奉してしまう人には、いろいろな意味で、心に傷や弱さを抱えています。
最初からそんな人には何も言うべきことはありませんが、実際に被災されて、心身に傷を負われた方が、わずかでも心の拠り所を求めて、ある対象に傾倒してしまう、ということは少なからずあります。
東日本大震災後、福島の放射線被害地域で、放射能を除去する水とか言うインチキに、町ぐるみでひっかかりそうになったこともありました。
このように、情報不足や強いストレス下などでは、人は曖昧な情報より、強く断言される情報に惹かれてしまうものです。そして、それによって心の安定がもたらされると、もう自分では否定できなくなる。
ですから、一度信奉してしまったら、信奉している自分の心が重要であって、その内容が正しかろうが間違っていようが、関係なくなってしまうのです。軽く”洗脳”された状態とも言えます。
そんな人には、信じる対象を頭から否定してはいけません。まずは信じているということを受け入れ、安定した状態の中で、でもここは違うね、これは無かったねと、少しずつ矛盾を明らかにして行くしか無いのかな、と思います。
でも、そんな方には、私のブログはあまり向いていないのかな、とも思います。
私のブログでは、例えば村井の矛盾を事細かに明らかにしてはいますが、その一方で、意識的に、あの手の連中を小バカにした演出をしています。信者にしてみれば、信じる対象がコケにされているのを見たら、理屈より先に感情的な反発をされてしまいそうです。
ですから、村井や早川に関しては、下記のブログをご覧いただくことをお勧めします。私も参考にさせていただいている、本物の理学博士が、正しい科学理論とデータを元に、冷静に村井などのウソを明らかにしているブログです。
「ここの内容の意見を聞きたい」くらいの感じで、見てもらってはいかがでしょうか。いきなり「なるほど」とはならないでしょうが、最初はそのくらいの感じがよろしいかと思います。
横浜地球物理学研究所
blog.goo.ne.jp/geophysics_lab
投稿: てば | 2016年5月26日 (木) 10時14分
いつも勉強させてもらってます
ありがとうございます
今後も頑張ってください
楽しみにしております
ところで各所で絶賛中の「東京防災」、
突っ込むご予定はないのでしょうか
投稿: | 2016年5月26日 (木) 11時04分
>コメント主様
ご愛読、応援ありがとうございます。
「東京防災」、ツッコむ予定ございます。埼玉県民の私は、入手困難な時期に有償で入手しましたので、しっかりモトを取らせていただきたいと思いますw
近いうちに。
投稿: てば | 2016年5月26日 (木) 11時52分
お返事ありがとうございます
突っ込み、楽しみにしております
名無しで失礼いたしました
投稿: | 2016年5月27日 (金) 09時15分
こんにちは。
人間信じたいものを信じてしまうので致し方無いですね。
ただ、ふと我に返った時に本当に必要な情報に接せられるかどうかだと考えます。
てばさんのやっているところはそこかなと。
メディアを主戦場にするのであれば発信力をつけないといけませんね。
東京大学名誉教授(笑)とか。
しがらみを増やして言いたいことも言えずになってしまうのは本末転倒なのでできることを地道に行っていくしか無いかと思います。
こんなことしか書けませんが頑張ってください。
投稿: whoki | 2016年5月27日 (金) 14時03分
>whokiさん
応援コメントありがとうございます。モチベーション上がります。
何を信じるかはそれぞれの勝手ですが、ウケるだけの中身の無い不良情報が安易に発信され、それが商売のネタとして拡散されるシステムが出来上がってしまったなと。
防災関連情報には、究極は命がかかっていますし、人間の根源的恐怖に訴えかけますから、ある意味で最強のキラーコンテンツなわけです。
それが商売になり、ウソ八百がまかり通っていることが腹立たしくて。
私がメディアを主戦場にすることはありません。そのメディアのやり口が大嫌いなのですからwそれに、メディアに与すると様々な制約に縛られますし。
なんちゃら大教授というような人は、本来は専門家であるが故、エビデンスの無いことは言えないはずなのです。しかし最近は、レベルの低い「教授」みたいな奴らが、好き勝手やり放題。
それも、メディアが数字になるアオりネタを探して、ウソでもキャッチーなことを言う連中を掘り出した結果ですよ。
まあ、そんな中でも、粛々とやって行くしかないですね。
投稿: てば | 2016年5月27日 (金) 18時39分
私も、メディアの出鱈目さ加減には強い危機感を感じています。
2週間ほど前、上海ディズニーランドのプレオープンがありましたが、日本の大手メディアは「中国人のマナーの悪さ」をこぞって伝えていました。
これって、もう少し高いところから見ると、中国人のマナーよりも、日本のメディアの悪趣味さが際立ってきます。
日本のメディアの行動を、個人のレベルに置き換えてみましょう。
他人の家(中国)に押しかけ、家の中の汚いところ(マナーの悪さ)を写真に撮って、自宅でその写真を見ながら盛り上がっている(放送する)のです。
もし隣人がそんなことをする人物だったら、私なら強い嫌悪をおぼえます。
そうでなくても、理科離れが酷いメディアです。
これに悪趣味が加わって、もうどうしようもないレベルです。
私が危機感を覚えているのは、メディアの酷さを理由にメディアの行動を制限されてしまうと、政権の監視機能が失われてしまう事です。
ですから、何とかメディアには自制を持った取材と報道をしてほしいのですが、どうにもなりません。
投稿: 伊牟田勝美 | 2016年5月28日 (土) 11時09分
>伊牟田勝美様
ご愛読ありがとうございます。
ここ数年、メディアの質の低下が酷いと感じます。「社会の木鐸」だとか言いながら、現実には数字上げてナンボの世界ですから、数字になりやすい方向へ流れ易く、それはポピュリズムへの迎合と同時に、さらに悪化させることになります。
あるレベルまでは仕方無いですし、面白おかしい角度からのアプローチも、あって然るべきではあります。しかし、いよいよ本当に「ウケれば勝ち」という風潮に、歯止めが効かなくなってきた感じです。
例示された中国の報道もそうですが、本来中立であるべき報道に、メディアはまずバイアスをかけます。それが最近本当に酷いと。
イメージとしては、中国人はマナーが悪い、日本のランドはきれい、中国人には時期尚早だという感じで、日本人の優越感をくすぐるような流れですね。
過日の、女子大生シンガー刺傷事件もそうですが、多くのメディアは「被害者はアイドル→ファンとの距離が近い→アイドルファンにはおかしな人間が多い→起こるべくして起きた事件である」というストーリーありきで、事件の本質なんかどうでも良いわけで。
そして、そういう「報道」がいちばん数字になる、という現実があるわけです。災害報道でもそれは全く同様で、酷い被害、大変な被災者、今後や他所の危険をアオるというような、パターン化された、しかし一番数字になるスタイルに偏り、いいネタが無ければ「作る」ことさえやる。
メディアの現場も、要は自分のクビや立場しか考えられなくなってきているのでしょう。数字最優先のポピュリズム迎合だけで、そこに存在意義に裏付けられた自制が働かないことは、メディアの自殺です。
権力の監視役としての存在も、私はもう期待していません。政権からのプレッシャーに反発して当たり前だという、矜持も役割意識も感じられない。自主的に「忖度」が進むという、異常な状況です。
ジャーナリストは激しく反発していますが、メディアの上層部にそういう意識が本当になくなって来ましたね。こういうことを書くと、すぐ「現政権に反対の立場」とかレッテルを貼られそうですが、政治的立場とは一切関係なく、「メディアの自殺」は、とても由々しき事態なのです。
メディアの存在意義と自由を自ら放棄して、数字最優先の商売オンリーメディア化が、加速度的に進む中、どんな勢力が政権を取ろうと、「メディアの自殺」は良い結果にはなりません。
別に具体的に規制されてもいないのに、自ら遠慮して報道しなかったりぼかしたりする主要メディアって、この国くらいのものじゃないかと。
投稿: てば | 2016年5月28日 (土) 14時20分