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2016年7月 2日 (土)

【東京防災ってどうよ05】ここがダメなんだよ【1】(#1213)

『民間防衛』と比較しながら『東京防災』にツッコむこのシリーズを進めるにあたり、コンセプト違いなどの問題をどう表現するかについて、もう少し詰めなおしたいと考えています。 ぶっちゃけ、煮詰まりましたw

そこで、シリーズのもうひとつの柱となる、記載された内容の問題や誤りにツッコみ、本来はどうあるべきかをお伝えする記事を、先にお送りすることにします。

わかりやすくするために、巻頭からページ順で指摘して行きます。かなりの数があるので、これだけでかなりの記事数になりそうです。

これからツッコんで行くのは、明らかな誤りと(これが結構ある)、防災指導にありがちな、“間違えてはいないが実際にはできない、やり方がわからない”という内容が主になります。



【018ページ】火元を確認する


(本文)火を使っている時は、揺れが収まってから、あわてずに火の始末をします。出火したら、落ち着いて初期消火に当たります

まずは小ネタから。文中にこの後何度も出てくる「落ち着いて」という表現ですが、だれも慌てたくて慌てている訳じゃなく、落ち着こうと思っても、そう思うだけではできません。

じゃあどうするか。管理人はこう指導します。地震などが収まり、周囲に差し迫った危険が無いと判断できたら、次の行動に移る前に、深呼吸を3回せよと。

そんな悠長な、というのであれば、1回でも効果は絶大。その僅かな余裕が、次の行動の速度と精度を確実に上げて、結果的に『生き残る』確率を上げるのです。

でも、それが本題じゃありません。

この項目では【詳細→188ページ】とあって、消火器の使い方というページへ飛びます。これがまたざっくり過ぎてw


これで本当に火が消せるか?


以下、各項目を引用します(太字部分)

1・震災時は、初期消火が重要になります。消火器を使う際は、まずは火元を確認。逃げ口を背にします。

2・消火器の上部についている安全ピンを抜きます。

3・ノズルを手に持って、放射口を燃えている部分に向けます。

4・バーを握って、火元に直接消火剤を放出します。炎が天井に達したら、消火をやめて避難します。

これで、消火器を使ったことの無い人(ほとんどでしょう)が、正しく使えるようになりますか?

管理人がちょっと感心したのは、『逃げ口を背にします』という部分。消火失敗時の退路の確保は最重要であり、それが指摘されたものは、ほとんど無かったと思います。でもそれ以前に、この内容では消火できない可能性が高いかと。


失敗は繰り返される?


過去の火災や地震災害で、“消火器の失敗”は、いやという程繰り返されています。なのに、それが全く反映されていない。

“消火器の失敗”とは、こういうことです。
■火点に近づく前に(大抵は火点に向かって駆け寄りながら)安全ピンを抜いてレバーを握り、放射を初めてしまう

■放射点と火点の距離が遠すぎる

■燃え上がる炎に向かって放射してしまう

■火が消える前に放射が終わってしまう


まず、一般的な消火器の放射時間をご存じですか?約20秒に過ぎないのです。

それも周知されていこともあり、火点に駆け寄りながら慌てて放射を始めてしまい、着いた時にはもうおしまいという失敗が、最も多いのです。

ですから、安全ピンの抜き方をわざわざ1項目使うより、“いつ安全ピンを抜くか”を指導しなければなりません。

そして、最も効果的に火炎を制圧できる放射の仕方も、絶対に必要。この内容では『消火器の使い方』であって、『火の消し方』では無いのです。

あくまで、なんとなく使えるような気にさせるだけの、低レベルの商業メディア並みの内容でしかありません。

では、どうあるべきか。


教訓を生かした現実的な方法とは


管理人ならばこうする、という机上論ではなく、自分で実際に防災講習などで指導している方法です。本物の消防隊の前でも、やったことがありますw

■火点を確認。消火器を持って、できるだけ煙や熱が流れて来ない方向(風上)から接近。同時に退路も確認。

■周囲に協力者がいたら、追加の消火器を探して、持ってきてもらう。

■火点から5m程度に接近したら、消火器を一旦地面において、安全ピン除去。片手にホースの放射口、もう片手に本体を持ち換え、さらに接近。

■熱や煙が酷くなければ、可能ならば火点から3〜4m程度まで接近し、放射口を『炎の根本』に向けて、レバーを握り噴射開始。 火勢が弱まればさらに接近。

■『炎の根本』をほうきで掃くような気持ちで、火点の周囲にも広めに消火剤を散布する。

■炎が天井に達したり、放射が終わっても火勢が衰えなかったら、直ちに避難する。


という感じです。いかがでしょうか。大切なことは、消火剤を有効射程内から、無駄無く全部火点にぶっかけてやることです。『東京防災』記事よりは、イメージを掴んでいただけたかと思います。

実際の現場では、慌てすぎてはるか遠くから噴射を始めてしまう失敗が多いので、火点手前で一旦止まり、体制を整える段階で安全ピンを除去するようにしておくべきです。

燃え上がる炎の迫力に負けて、炎に向かって水平以上の高さで放射しても、炎とは燃焼ガスの化学反応に過ぎませんから、仮に炎は小さくなっても、火は消えません。

消火器は、消火剤を『火の根本』にかけることで、燃焼に必要な酸素の供給を遮断したり、冷却効果で温度を発火点以下に下げることで火を消します。ですから、『火の根本』を狙わなければならないのです。


使うのはプロじゃない


ところで、上で引用した『東京防災』の記事にも、実は狙う部分が書いてあります。それも2回も。おわかりになりますか?

3番の『放射口を燃えている部分に向けます』と、4番の『バーを握って火元に直接消火剤を放射します』

という、上記太字の2ヶ所です。これが、『火の根本』を狙い、『ほうきで掃くように』消火剤を放射するという意味だと理解できた方、まずいないでしょう。

プロや、既に知識のある人は、これでわかります。でも『東京防災』は、どういう人たちが対象なのですか?こういうのをやっつけ仕事というのです。

使えない・いらない情報も


消火器の使い方ページの次は、『屋内消火栓の使い方』が載っています。

Tb4

マンションや中小ビルによくある、1号消火栓というタイプについてなのですが、こんな注釈が。
『一号消火栓は複数人での操作が基本。ここでは二人で操作することを想定』

いや、基本というか、2人じゃなければ操作できないんですよ。ひとりでポンプ起動してバルブ開いたら、水道どころじゃない強い噴射が始まりますから、それからひとりでホースの筒先を掴んだり、コントロールするのはまず不可能なのです。

ひとりが火点近くで筒先をしっかり保持してから、もうひとりがポンプ起動とバルブ解放をする、事実上そうするしかありません。

なのに、ひとりでできるようなユルユルイラストに、無責任な注釈だけで、とりあえず載せとけ、というレベルの内容でしかない。

なお、消火栓に関する過去の失敗では、バルブを開けたもののポンプ起動方法を知らず、水圧が上がらずに消火に失敗した、というものが最多であり、阪神・淡路大震災の時から、実例が指摘されています。

ですから、教訓を生かすなら、ポンプ起動方法こそが最重要なのです。

それからね、ものすごく大切なこと、無視されてます。

屋内消火栓は、停電したら使えないのです。もちろん、自家発電装置などがあれば別ですが。地震被災地では、使えたらラッキー、というくらいのものなのです。


どうでもいい話も


その次の190・191ページには、こんな情報が。
Tb3
スタンドパイプに、可搬式消防ポンプの使い方だって。

こんなもの、消防団などで実地訓練受けなければ、絶対使えませんよ。防災ヲタで防災士で防火管理者の管理人にも、ほとんど無理です。 と思ったら、両項目ともにこんな注釈が。

『使用には事前訓練が必要です』ときた。

こんな情報、一般向けの本に載せることに、何の意味があるのでしょうか?ページ数稼ぎ?イラスト作者への発注量増やすため?

こんなもの載せるなら、消火器・消火栓をもっと充実させろという話。

この『東京防災』、このように関連するものは全部載せとけ、実際にできなくてもかまわんと言うような、意味の無い総花的内容がすごく多いのです。しかも、始めに文字数ありきで、重要度、優先度に関係なく同じ文字数。

行政が企画したものの限界なのでしょうか?


このシリーズ、とても長くなりそうですw

■『東京防災』は、東京都防災ホームページからデジタル版が閲覧できます。また、PDF版や電子書籍版も無償で配布されています。詳しくは下記リンクからご覧ください。

東京都防災ホームページ


■当記事は、カテゴリ【東京防災ってどうよ】です。


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