2019年11月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

« フランス・ニースで無差別自動車テロ(#1223) | トップページ | 茨城県南部で震度4が連続(#1225) »

2016年7月19日 (火)

【東京防災ってどうよ11】ここがダメなんだよ【7】(#1224)

『東京防災』にツッコむ7回目。前回記事(#1222)でもトイレのことに触れましたが、今回はトイレ関連の記事へのツッコミ。ビックリするくらい、キタナイ話がキレイゴトになってしまったお話ですw


【060ページ】トイレの使い方


避難所生活での留意点という記事のいち項目です。
Toilet2
施設のトイレは多くの人が利用するので、トイレットペーパーが詰まる可能性があります。施設が指示した方法でトイレを使いましょう。

インフラが止まった災害後は、食べるよりも出す方が大問題。その実態は、コトがコトだけにあまりリアルにj語られていないのですが、いかに困難なことかは想像できます。

多くの人が着の身着のままで一気に集まる避難所のトイレは、特に初災初期においては、想像を絶することになりやすいのです。

なのに、避難所のトイレ関係の記述はこれだけ。トイレットペーパーが詰まるって、そういう問題か?そういう話は、発災からかなり時間が経って、しっかりとした秩序が生まれて来てからだろうよ。


臭いモノにはフタに限る!


発災初期には、避難所では統一されたルールを全避難者に周知することはできません。仮にできても、それを守る余裕が無いことの方が多いのです。

上下水道が止まった避難所のトイレは、極端な話、数時間で“地獄”になります。

例えば公衆トイレで、前の人の“痕跡”が少しでもあったら、むちゃくちゃ不快ですよね。インフラ停止下では“痕跡”どころではなく、そのまま。それが何人分も、しかも便器以外の場所にも散乱しているという。それが現実なのです。

不快なだけではありません。ろくに手も洗えないので細菌、ウイルス感染の温床となり、トイレに行く回数を減らそうと水分を取らず、肺塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群。ロングフライト血栓症とも)を発症する人も少なくありません。

雑用水があれば、流しながら使うこともできますが、近くに川やプールでもなければ、現実には無理。雑用水が確保できても、水汲みに行く体制、ためておくためのタンクやドラム缶、流すためバケツなどの資材が用意できるのは、しばらく経ってからとなります。

しかし、避難所に秩序と体制が出来上がるまでの間、“トイレ地獄”には、効果的な対策が事実上ありません。現実には、最悪の状況まで行ってから、みんなの力で『イヤイヤながら』改善されて行くのです。

誰も、できればトイレ管理なんかに関わりたく無いですよね。でも、やらざるを得ないから、やるのです。

そういう現実を一切無視して、『トイレットペーパーが詰まる』とか言う話だけですか『東京防災』は。

これなど、文字通り“臭いモノにはフタ”以外の何物でもありません。


大切な情報なにもなし


上記の記事の後に、『参照→200ページ』とあるので、飛んでみました。ところが。
Toilet
細かいことはもうアレなので省きますが、断水時の洋式・和式トイレの流し方と、代用トイレの作り方だけ。 それはトイレを流す雑用水や代用トイレ資材が確保できた後の話であって、その前が大変ななのですが。

その段階の話としても、例えば文中に『トイレットペーパーは流さずにゴミとして捨てます』とありますし、代用トイレを使った後処理の問題もありますが、それについては一切記述なし。

過去の地震災害では、ビニール袋入りの便が、当然ながら収集が止まったゴミステーションに大量に出されて、臭いや衛生面で大問題になったこともあるのです。

特に在宅避難の場合、最終的には燃えるゴミとして処理するにしても、ゴミ収集が再開されるまでは自宅で保管しておき、収集再開後も一気に全部出さないなどの配慮が必要となります。

保管中の臭いや、衛生面での対策も必須です。なのに、そういうことは一切無視。


『東京防災』におけるトイレ関係の記述は、仮に100の情報が必要だとしたら、せいぜい20くらいなものに過ぎません。しかも、一番ダーティな部分は一切無し。

“臭いモノにはフタ”という言葉がハマりすぎで、ここまで来ればかえってサワヤカですらあるwだから、監修者なんとか言えよ。

敢えて想像してみてください。かなり荒っぽく言うと、『1200万都民が毎日出すものの量』を。上下水道が止まれば、それが生活空間に溢れ続けるんですよ。しかも、それを自分で扱わなければならない。考えたくないですよね。でも、誰も逃げられない。

おまけに、手もろくに洗えない状況なのに、衛生面が完全に無視されているのは、一体どういうことなのでしょうか?


本当に必要なこと


インフラ停止下のトイレ問題について必要な情報を、箇条書きにします。

当ブログ過去記事に記載した内容に加え、おそらくだれも見たことが無い、しかし役に立つ情報もお送りします。


■特に発災初期、避難所の劣悪なトイレになるべく行かなくて済むように、非常持ち出しには最低でもひとり分3個くらいの簡易トイレを備えておく。

■家庭の備蓄には、便を固めて消臭できる便処理剤を、1人当たり30回分以上と、ゴミ袋と共用できる45リットル程度のポリ袋を200枚以上用意しておく。簡易トイレは高コストだが、便処理剤だけならば比較的安価で入手できる。(『東京防災』の別記事には、簡易トイレをひとりあたま30個備蓄とあるが、それだけでどれだけのコストになるか考えているのか?)

■小用に簡易トイレや便処理剤を使っては不経済なので、代用として介護用尿パッドも便利。これをビニール袋に入れて排尿する。一枚で200~300cc(商品による)の尿を吸収し、優れた消臭効果もある。女性用品の安価な代用品にもなる。

■避難所のトイレを少しでも快適に使うためと、インフラ停止下の自宅トイレの環境改善のために、消臭スプレーを、普段使いに加えて多めに備蓄しておく。芳香剤ではなく、硫化水素臭を中和するタイプを。

■トイレも含めた、被災時のあらゆる作業の衛生維持に使える、ラテックスやニトリル製などの使い捨て手袋の備蓄を。食品を扱うことも考えて、パウダーフリー(貼り付き防止用のパウダーを使っていないもの)がお薦め。

■トイレ後に手が洗えない場合のために、手指や環境消毒用にエタノールや次亜塩素酸ナトリウム剤を備蓄しておく。避難所内での細菌・ウイルス感染対策用としても有効。平時のインフルエンザやノロウイルス対策などにも有効。手指ではなく、環境の消毒専用ならば、安価なキッチン用塩素系漂白剤の希釈液でもOK。

■自宅での便保管用に、密閉できる大型プラケースやペール缶などを備えておく。プラの衣装ケースが最適で、平時は本来の使い方をすれば経済的。保管ケースの消臭や消毒にも、前出の消臭スプレーや消毒剤が有効。

■町内、マンション単位では、下水道のマンホール上に設置して直接排便できる、マンホールトイレを備蓄する。


ざっとこれだけで、被災時のトイレ環境は天地の差となります。例によって自慢するわけではありませんが、こういう現実的な情報、どこかでご覧になったことありますか?

過去の教訓を生かし、普段使いのものをできるだけ流用したり、多用途に応用できるもので、安価に済ませるために考えれば、こういう形になるはずです。しかし現実には、くだらない“防災トリビア”ばかりがはびこるのがこの世界。

ご覧の通り、上記のほとんどがホームセンターとドラッグストアで入手できるもので、高価で用途が限られる、いわゆる『防災グッズ』など、大して必要無いのです。

でも、商売で防災やっている連中は、“大人の事情”でいらないモノ、不完全なモノを薦め、そのためには事実をネジ曲げ、教訓も無視することも多々、というわけです。


防災という、あなたやあなたの大切な人の命がかかった世界は、商売とトリビアとウソとキレイゴトに蝕まれていると言っても、決して過言ではないのです。

まだまだ続きますよ。

■『東京防災』は、東京都防災ホームページからデジタル版が閲覧できます。また、PDF版や電子書籍版も無償で配布されています。詳しくは下記リンクからご覧ください。

東京都防災ホームページ




■当記事は、カテゴリ【『東京防災』ってどうよ】です。


« フランス・ニースで無差別自動車テロ(#1223) | トップページ | 茨城県南部で震度4が連続(#1225) »

『東京防災』ってどうよ」カテゴリの記事

コメント

トイレの備蓄に関しては確かに一人頭どれくらいという指標になるものが今までなかったので助かります。
私事ですが、この春引っ越しをしまして、荷造りの際に、我ながら呆れるくらい非常用トイレの処理剤が出てきました。既にあるのに、ついつい買い足して増えてしまったのですが、肝心の溜めておくためのペールは考えなかった💧
引っ越しを機に、バールを買ったり家具を固定したり(できる範囲で💧ですが)は、やったつもりだったんですが、まだまだだなあ。

>ぼたもちさん

大被害が出るような地震災害の場合、上下水道の復旧には最低でも1ヶ月、場合によってはそれ以上かかる可能性があります。

ですから、とりあえず1日1回で1ヶ月分という発想です。1ヶ月も経てば、支援物資や流通の再開でいろいろ手に入るようになっているかと思われますので、備蓄はとりあえずその辺りまでですね。

保管用のケース、重要ですよ。今、衣装ケースを使っていたら、中身を出して流用するという方法もあります。でも、また衣装ケースに戻すことはあり得ませんがw

トイレ資材は腐るものでなし、多い方が安心ですよ。

折りたたみ式の簡易トイレ、段ボール製が主流みたいですね。
しかし、専用袋とのセットでないと使い難いのはちょとさ〜
防水手袋、消臭スプレー、消臭液、黒のゴミ袋、養生テープ、エタノールスプレー、ハイターと備えるとかさ張りますね。ベランダにロッカーでも置かないと難しいorz
飲食物よりも切実ですからその他の非常持ち出しとのバランスが難しいですね

>クエイサー様

コメントありがとうございます。

座れるタイプの簡易トイレは、段ボール製が多いですね。でも、あれは災害時用にはハイコストでスペースキラーとなりやすいかと。ビニール袋つき便処理剤のような簡単なタイプでも、身の回りのモノを応用して便座を作ることは、それほど難しくないかと思います。

在宅避難ならば、大量の便処理剤とビニール袋、これに尽きますよ。途中で足りなくなるほど悲惨なことはありませんから。

備蓄品は、ベランダなどにケースに入れて置いておくのも良いですが、私の自宅の場合は、ニトリル手袋(100組でティッシュ箱ほど)はキッチン、消臭スプレーはトイレの棚、ゴミ袋はキッチンのワゴン、エタノールやハイターは浴室の脱衣スペース、テープ類は居間の棚と、普段良く使う場所に分散して備蓄しています。

マンションですから、部屋が潰れて取り出せなくなることは無い、という前提で考えています。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【東京防災ってどうよ11】ここがダメなんだよ【7】(#1224):

« フランス・ニースで無差別自動車テロ(#1223) | トップページ | 茨城県南部で震度4が連続(#1225) »