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2016年7月15日 (金)

フランス・ニースで無差別自動車テロ(#1223)

Nice3
ニーステロ事件で、犯人が使ったトラック。運転席窓部分に、治安部隊が阻止射撃を行った弾痕が見える。我が国では、今まではこのような阻止方法は行われなかったが、ニース事件を受けて、東京の花火大会警備に警視庁のERT(Emergency Response Team 緊急対応部隊)が配備されることが急遽決まった。すなわち、暴走車両などに対しては、銃器による火力で阻止するということ。しかし、使用武器はライフル弾よりはるかに威力が劣る9ミリ拳銃弾を使うMP5型サブマシンガンであり、連射はできるものの、厚めの鉄板1枚で防弾できてしまう程度のものという不安も残る。

■参考映像 警視庁緊急対応部隊実弾訓練■


2016年7月14日。革命記念日の祭典で賑わうフランスの有名保養地ニースで、無差別テロが発生しました。


『新手』と言われるが


革命記念日を祝う花火を見物する群衆に大型トラックで突入し、2km以上に渡って暴走、当記事執筆時点の情報では、84人が犠牲になったとされています。

また、使用はされなかったものの、車内から爆弾類も発見されたそうです。犯人は単独で、警察との銃撃戦の末、射殺されました。

この事件を受け、一部の『専門家』が、銃や爆弾が主でなくても大量殺傷テロを実行できることを証明した、『新手』であるとコメントしています。

しかし、決して『新手』ではありません。


セオリー通りの選択


まず、ニースという実行場所の選択。

フランス最大の祝日である革命記念日は、当然ながら厳重な警戒下に置かれます。特に、パリを始めとする大都市圏では監視の目も多く、テロの実行は困難です。

一方で、ニースのような保養地は外国人観光客も多く、“見慣れない顔”がいるのが当たり前の土地です。もっとも、今回の実行犯はフランス国内居住者で、住民として認識されている人間の『ホームグロウンテロ』とされます。

そして、有名保養地であるニースは、街を離れれば隠れる場所も多い“田舎”でありながら、経済活動も活発ですから、大型トラックが走っり回っていても不審では無いという条件もあります。

これが例えばパリならば、革命記念日の祭典中に、大型トラックが積み荷などのチェックなしに中心部に入るのは、とても困難だったでしょう。

さらに、観光客が多いニースは、その性格からも警備体制が比較的ソフトだったはずです。具体的には、完全装備でライフル銃を提げたような警官や兵士は少なく、拳銃を携帯した警官が主だったのかと。

拳銃だけでは、暴走するトラックを阻止するのは非常に困難です。

このように警戒が厳重な“主要ターゲット”(“ハードターゲット”とは少し意味が異なります)を敢えて外し、比較的手薄な場所を狙うというのも、テロの『セオリー』のひとつなのです。

大規模テロは、特定の施設や人物を狙うのが主目的ではなく、大きな被害で恐怖を与えることが目的だからです。


そして、ニースの記号的意味。

フランスの大都市と言えば、誰もがパリと答えるでしょう。ではフランスの保養地と言えば、おそらくニースが筆頭になるくらい、世界的に有名です。場所を知らなくても、名前は知っている。

管理人は、過日の記事『テロは対岸の火事なのか(#1215)』で指摘していますが、伊勢志摩サミットの最中、東京・新宿駅の警戒は厳重だったものの、世界的に有名な繁華街、歌舞伎町の警戒が手薄なのを見て、狙われるならばこちらだろうと考えたのです。

「シンジュクステーション」より、外国人も含めて多くの人々が楽しんでいる、有名な「カブキチョー」で大被害を生んだ方が、日本国民にも世界にも、与える衝撃と恐怖が拡大するだろうと。

今回、ニースが狙われたのは、それと全く同じということであり、それがテロの『セオリー』のひとつなのです。


あの事件の模倣ではないか


管理人は、前出の記事(#1215)だけでなく、数年前から海外でテロが起こる度に指摘していたことがあります。

我が国におけるテロの代表例として、2008年に東京・秋葉原で発生した、無差別殺傷事件を挙げているのです。

もちろん、事件の背景は全く異なります。しかし『有名な場所で、効率良く、多くの人を殺傷してアピールする』という方法論において、近年多発しているテロと、非常に共通点が多いのです。

あの事件は、多くの人で賑わう秋葉原の歩行者天国にレンタカーの2トントラックで突っ込んで数人を轢き、衝突して停止した後は、下車してダガーナイフ(殺傷に特化した、致命傷を与えやすいナイフ)で手当たり次第に刺すという方法でした。

すなわち、犯人が入手することができた『最強の武器』を、最も効果的な場所で使った、ということです。もしトラックが走り続けられていたら、さらに多くの人を轢いていたでしょう。


今回のニース事件は、映像によれば5~7トンくらいの中型トラックで、人混みの中を2km以上暴走しています。

その後、警察に阻止されていなければ、犯人はおそらく下車して、銃や爆弾でさらに被害を拡大させるつもりだったのでしょう。

それは、秋葉原事件と全く同じ方法なのです。ただ、より大型のトラックと、ナイフの代わりに銃と爆弾が使えたから使った、ということです。

テロリストにとって、銃や爆弾の入手や隠匿には、発見される大きなリスクがあります。しかしトラックは、それ自体は誰にも怪しまれないし、法的な問題も無いものの、その対人殺傷力は、我々が日常的に使えるものの中で、おそらく最強でしょう。

それは誰でも考えつくことでもありますが、秋葉原事件が、テロリストにそういうヒントを与えてしまった可能性も否定できないと、管理人は考えています。

とても皮肉なことですが、もし秋葉原事件があまり知られていない街で起きたなら、これほど有名にはならなかったでしょう。

有名な秋葉原で起きたからこそ、ここまで世界的に記憶にも記録にも残っているのであり、それが恐怖の拡散と伝播を目的とするテロ行為の“本質”そのもの、ということなのです。


これからのこと


別に自慢したいわけではありませんが、当ブログでは、最近我が国でも多発している、人の中に故意に車で突っ込む行為も、背景は異なっても、同じテロ行為だと指摘しています。

車を使うテロ行為は、実行者が「その気になれば」いつでもどこでも可能であり、一連の自動車テロにより、そのハードルはどんどん下がっていると感じています。

背景にいかなる思想や精神があろうと、人の中に車を突っ込ませるテロ行為は、その“手軽さ”から、これから確実に増えて行くでしょう。


そこから逃げる方法はただひとつ。『轢かれなければ良い』のであって、これが刃物による無差別殺傷ならば、『犯人に接近しなければ良い』のです。

繁華街や観光地などの人混みにいる時は、常に周囲の状況を見て、頭の隅で「ここで何か起きたら、どう動くか」をシミュレーションしておくしかありません。

そのような無差別テロの場合、悲鳴や混乱が起きたのを認識しても、しばらくは何が起きているのか把握できないでしょう。そうして動けないでいるうちに、人混みの向こうから車が突っ込んで来るか、刃物を持った人間が現れる。

ですから、何か異常な騒ぎを察知した時点で、日本国内だったら、とりあえず車の突入か刃物による通り魔か考えて、全速で距離を取る、道から外れる、遮蔽物があれば隠れる、建物内に入るなどの行動を考えておくと良いでしょう。 何か異変を感じたら、とにかくこう動く、という行動を決めておくのです。

自分が最初のターゲットでも無い限り、それだけでかなりのリスクを避けることができるはずです。なぜなら、無差別殺傷犯は、最もやりやすいターゲットを狙うからです。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

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