【東京防災ってどうよ13】ここがダメなんだよ【9】(#1232)
『東京防災』にツッコんで、早くも9回目。今回はツッコみというより、“隠された真実を暴く”という感じかな。
【066ページ】女性・妊婦

女性は更衣の問題、妊婦は授乳などの不安を抱えています。また妊娠中の女性や産後まもないお母さんは、健康面やプライバシーに配慮する必要があります。
『要配慮者への思いやり』という章の一項目です。
ところで、『(災害時)要配慮者』という言葉、聞いたことありますか?実は、以前は『(災害時)要援護者』と呼ばれていて、主に物理的援護が必要な身障者、病人、お年寄りなどという概念でした。
でも、2年くらい前だったかな?(忘れたw)、現実に即して、援護だけでなくさまざまな配慮をすべき対象の概念が広がったことで、呼称が変更されました。
さておき本題。災害時は、やはり女性の方が不自由が大きくならざるを得ません。
『東京防災』には、女性の更衣と妊婦、乳児の母親などに配慮をと書かれていて、それは全くその通りです。
しかし現実の避難生活では、ほぼすべての女性に降り懸かると言っても過言ではない困難と危険があるのですが、長きに渡って、それは表だって取り沙汰されませんでした。
ある意味で社会の恥部とも言えることであり、メディアがネタにしたい、被災地の“美談”とは対極とも言えることだからです。
そしてやはり、『東京防災』でも全く触れられていません。
現実は想像を超えている
管理人は、一般的な感覚を持った男性です。敢えて、男性目線で書きましょう。
災害時は、皆が『禁欲生活』を強いられます。
酒やタバコなどの嗜好品も、テレビも音楽も本もゲームもインターネットも無いか、平時より極端に制限され、大きなストレスとなります。
そしてもちろん、性的な欲求を満たす場もほとんど無い中で、ごく近くで女性の日常生活が垣間見えるのです。それがどのような欲求を引き起こすか、ということです。
そこで、女性に配慮して目を逸らすのは理性。しかし強いストレス下で、その理性さえ麻痺しがちになることもあるどころか、最初から理性的な行動を考えない層も、確実に存在するという現実があります。
避難所などで女性をジロジロ見るなどは、正直なところ序の口。シリーズ前記事の、避難所の照明の項でも触れましたが、寝ている女性を覗く、盗撮する、触る、ふとんに入って来るなどの行動を平然とやる者もいて、それを防ぐために、夜でも照明を消さない避難所も多かったのです。
さらには、夜間にトイレに行く時や、後片づけなどで人目の無い住宅地に戻った時などに身の危険を感じたり、実際に身体的危害を加えられた例も、決してレアケースでは無いレベルで起きています。ただ、“美談偏重”のメディアが報道しないだけなのです。
東日本大震災被災地に災害派遣され、最前線の現実を目の当たりにしてきた自衛隊員氏は言いました。
「大災害が起きたら、特に女性は自分の身を守ることを第一に考えてください」と。
過去の被災地では、各地で自警団が結成されましたが、それは火事場泥棒対策だけではなく、女性に対する危害を防ぐためのことも多かったのです。それは予防ではなく、現実に起きたから、ということです。
こういう話になると、こう思われる女性もいるはずです。
「わたしはもうトシだから関係ないわ」とか。
いえ、違います。以下は、管理人が東日本大震災被災者から直接伺った話です。
これは被災後しばらく経ってからの話ですが、ある地域では、お年寄りが夜や明け方する散歩が禁止されたそうです。
それはなんと、60~70代くらいの女性の性犯罪被害が多発したからなのです。夜や明け方の暗いうちに、人目の無い木立、田畑や津波被災地を、ひとりで散歩している女性が狙われたのです。
それは特定の犯人が繰り返したということではなく、あちこちで起きた結果、ということです。
災害時の禁欲生活と強いストレス下では、そういうことも起こるということを、現実の問題として考えてください。
そして、国籍も人種も考え方も生活も性癖も種々雑多な人間の巨大集合体である、東京を始めとする大都市圏で巨大災害が起きたら、何が起きるでしょうか。
ここでは、最も多発する女性に対する危険を採り上げましたが、性別や年齢に関係なく、性的なことにも限らず、誰にでも身体的危害が降り懸かる可能性があるということです。
セルフディフェンスするために
ここでは、被災地で女性が性的干渉を受けることを、なるべく避けるための方法を考えます。
これは、東日本大震災、茨城県豪雨、熊本地震の被災地などで支援活動を行っている、管理人の知人でもある女性が提唱している事を主にしています。
一部の女性向け防災マニュアルなどには、『気が滅入りがちな被災後でも少しでも気持ちを明るくするために、カラフルな服や小物を』というような“指導”が見られます。
また、女性向けを謳った防災グッズには、カラフルな色彩が多く見られます。
女性ご自身でも、例えば非常持ち出しリュックを選ぶ際に、どうせならとかわいらしい色彩やデザインのものになることもあるでしょう。
でも、それがあなたを危険に晒すのです。
現実の被災地では、前記のように強いストレスと禁欲生活下に置かれます。そんな中での“女性らしい格好”は、男性の性的劣情を、平時以上に強く煽ることになります。
実際に、そういう格好の女性が性的犯罪被害のターゲットになったこともありますし、それ以前に、”性的な視線”を集めやすいのは間違いありません。
ですから、平時の秩序とは異なる災害時に性的干渉の対象になりづらくするためには、俗っぽく言えば女を捨てた格好が望まれることなります。
具体的には、
■服装はできるだけ肌の露出がない、身体の線が出にくいゆったりしたもので、地味な色彩を。一部に女性的な色が入っているだけでも目立つ。
■バッグなどの持ち物は、女性的なデザインではない地味な色彩のものを。キャラクターものなども避ける。
■化粧はしないか、ごく控えめに。
■髪が長い場合はまとめて、地味な帽子やスカーフなどで目立たないように。
わかりやすく言うと、ちょっと離れたら性別がわかりにくいくらいが、安全のためには理想、ということです。
行動面では
■避難所のトイレに行く(特に夜間)、後片づけなどで人目の無い場所へ行く、男性が多い場所へ行く時などは、必ず複数で行動し、常に行き先が周囲にわかるようにしておく。
■エマージェンシーホイッスル、防犯ベルなどを常時携帯し、音がしたら来てもらえるようにしておく。鍋を棒で叩くなど、大きな音が出るものならなんでも良いが、その音が緊急事態を示すことを、周囲の人と共有しておくこと。
■着替えの時などは徹底的に人目を遮断し、できれば周囲を監視する人を置く。ガードが甘いと思われると、間違いなくターゲットになりやすい。
■信頼できる人との間で、不審者や危険な場所などの情報を共有しておく。
特に女性の場合は、被災生活の中でこのようなことを気遣わなければならない現実が、間違いなくあるのです。
ここでは、主に女性に対する危険への対策をまとめましたが、さらに言えば、被害者になり得るのは、決して女性だけでは無い、という現実もあります。
また、子供に対する干渉の危険も無視できません。
とにかく、災害被災地には、このようなことを考えなければならない、”報道されない現実”があるということを、まずは認識してください。
今回は、あまり『東京防災』へのツッコみという感じではありませんが、被災地のこのような現実に一切触れない、“臭いモノにはフタ”的な体質は、強く糾弾します。 どこまで取り上げるかは編集者の自由かもしれませんが、被災地で実際に起きている問題が隠匿されていることは、まぎれもない事実なのです。
■『東京防災』は、東京都防災ホームページからデジタル版が閲覧できます。また、PDF版や電子書籍版も無償で配布されています。詳しくは下記リンクからご覧ください。
東京都防災ホームページ
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