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2016年7月

2016年7月31日 (日)

【東京防災ってどうよ14】ここがダメなんだよ【10】(#1233)

『東京防災』にツッコむ、数えて10回目。今回も、記事の内容というよりは、東京都の想定自体にツッコむ感じです。 でも、ツッコみネタが無くなってきたわけじゃありません。あくまでページ順ということでw


【068ページ】死と向き合う


Death
東日本大震災では19,225人、阪神・淡路大震災では6,434人が亡くなり、多くの方々が「死」と向き合いました。首都直下型地震が発生した場合には、約11,000人の死者、約210,000人のも負傷者が出ることが想定されています。(一部略)

この『死と向き合う』というタイトルに、多くの方が「こんなの初めて」、「現実を直視している」、「よくそこまで書いた」などと、おおむね好意的な印象を持たれているようです。

その通り、巨大災害では巨大な『死』と、否応なしに向かい合わなければなりません。生き残った多くの人が、自分と何らかの関わりを持った人の死を経験するのです。

ただ、今回問題とするのは、上記の想定死者・負傷者数です。巨大都市東京が最悪に近い大地震に襲われた時、果たして“その程度”で済むのか?被害を矮小化しすぎていないか?と、管理人は常々考えています。


これで正しく恐れられるのか


上記の想定は、12月の北風が強い午後6時、家庭では夕食の準備で火気を多く使っている、市街地は帰宅や買い物などで賑わっている、繁華街には人がどんどん集まってきている、交通機関は満員になっている、首都高や幹線道路は渋滞しているという状況で東京直下型地震が起き、東京都の広い範囲で震度6強、一部で震度7の激しい揺れが発生した、という想定です。

地震のタイプは内陸または東京湾直下、震源深さは10km程度のマグニチュード7クラスが想定され、言うなれば、阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)が、東京直下で起きたような状況です。

すなわち、空気が乾燥している中、住宅街では倒壊と火災が多発し、強い北風で延焼が進み、市街地・繁華街では人混みを倒壊物、落下物や火災、爆発が襲い、鉄道は脱線、一部は転覆し、高架や橋が落下し、渋滞で消防や救急の臨場は遅れ、自衛隊など救援の主力部隊は、被災地になかなか到達できない。

そんな、想像するだけで胸が悪くなるような状況で、果たして11,000人程度の死者で済むのか?

「それほど大したことない」などと、誤解を生んではいないでしょうか。


もちろん、被害想定は統計的、科学的な根拠に基づいてはいます。しかしまず、この想定の対象は東京都民のみで、膨大な流入人口は含まれていません。流入人口はその居場所があらゆる状況に及ぶので、統計的にも被害想定が不可能なのです。

さらに、消防や自衛隊などの救援体制が、ある程度は機能するという前提でもあります。果たして、それは本当に可能なのか。

1923年(大正12年)の関東大震災(関東地震)の際、東京府本所区(当時)の広場に避難した人々が、大火災旋風に襲われて4万人近くが犠牲になったような“特異な状況”が起これば、すぐに想定の何倍もの犠牲者が出るでしょう。そしてそれは、十分に起こり得ることなのです。

もちろん、当時よりは街の耐火・耐震化が進み、消防・救助体制も比較にならないほど強化されています。しかし、当時とは比較にならない人口増加と街域拡大が進んでいる一方で、当時と条件的にはあまり変わらない、耐震性が低くて延焼しやすい、広大な『木密地域』も残っています。


どう考えても甘くないか


東日本大震災(東北地方太平洋地震)では、地震動の周期が比較的長く、建物に対する破壊力はそれほど大きくなかったために、もし津波が無かったと仮定したら、犠牲者数は最悪でも数千人レベルか、それより少なかったでしょう。

一方、阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)は、淡路島から神戸市直下の浅い断層が動いて、周期1~2秒という非常に破壊力の大きな揺れとなっため、耐震性の低い建物が軒並み倒壊し、犠牲者の約86%が自宅内で犠牲になりました。

それは午前5時46分という在宅率が高い早朝に起きたためですが、それは同時に市街地、繁華街、交通機関にはあまり人いなかったということで、そこでの犠牲者は、ごく限られた数でした。

それでも、6,434人という命が失われたのです。

神戸よりはるかに巨大で、人口も膨大で、危険地帯も多い東京が、冬の夕方という最悪の状況で同じような地震に襲われた時、“神戸のたった1.7倍”の犠牲で済むとされ、そういう想定で対策が進んでいるという現実を、我々は受け入れるべきなのでしょうか。

感覚的にも、街に人が溢れる午後6時に震度6強以上が起きたら、誰もが「それでは済まないだろう」と感じるでしょう。

その感覚は、決して間違いではないはずです。


もちろん、東京に被害をもたらす地震は、震源が浅い直下型だけではありません。南関東内陸や周辺の海底で、様々な大規模地震が起きる可能性があり、タイプによっては、震度6強以上でも被害が局限されることもあります。

しかし、冬の夕方に浅い直下型で震度6強以上という最悪のはずの被害想定は、決して最悪ではない、それが起きた場合の現実は、はるかに過酷なのだと考えるべきなのです。


もっとも、マクロの数字自体は、個人にはとありあえず関係ありません。

ただ、犠牲者が多いということは負傷者も想定よりはるかに多くなり、支援が必要な被災者数も想定を超える数となる、ということです。

それはすなわち、医療、水、食品、住居などの支援が、より受けづらくなるということでもあります。ならば、個人として何をしておくべきか、ということです。


あの記憶が蘇る


私事ではありますが、管理人は中学生時代に、小松左京氏の小説『日本沈没』を読んで以来、災害や防災に興味を持ち続けてきました。

『日本沈没』では、大変動の始まりに東京大地震が起き、死者・行方不明者が200万人に達するという描写があります。

もちろんそれはフィクションであり、1970年代とはいえ、大袈裟に過ぎるでしょう。ただ、東京がどこから手をつけて良いかわからない、全然手が回らない規模の超巨大被害に見舞われるという悪夢の印象が、どうしても払拭できません。

恐れ過ぎは、日常生活のクオリティを落とします。でも、恐れなさ過ぎは、被災後の過酷さを何倍にも増幅します。我々には、どんな自助努力ができるのでしょうか。『東京防災』をめくって、トリビアに感心している場合ではありません。

それよりまず、巨大地震を『生き残る』ことが先決ではありますが。

■『東京防災』は、東京都防災ホームページからデジタル版が閲覧できます。また、PDF版や電子書籍版も無償で配布されています。詳しくは下記リンクからご覧ください。

東京都防災ホームページ

■当記事は、カテゴリ【『東京防災』ってどうよ】です。


2016年7月30日 (土)

【東京防災ってどうよ13】ここがダメなんだよ【9】(#1232)

『東京防災』にツッコんで、早くも9回目。今回はツッコみというより、“隠された真実を暴く”という感じかな。


【066ページ】女性・妊婦


Pregnant
女性は更衣の問題、妊婦は授乳などの不安を抱えています。また妊娠中の女性や産後まもないお母さんは、健康面やプライバシーに配慮する必要があります。

『要配慮者への思いやり』という章の一項目です。

ところで、『(災害時)要配慮者』という言葉、聞いたことありますか?実は、以前は『(災害時)要援護者』と呼ばれていて、主に物理的援護が必要な身障者、病人、お年寄りなどという概念でした。

でも、2年くらい前だったかな?(忘れたw)、現実に即して、援護だけでなくさまざまな配慮をすべき対象の概念が広がったことで、呼称が変更されました。


さておき本題。災害時は、やはり女性の方が不自由が大きくならざるを得ません。

『東京防災』には、女性の更衣と妊婦、乳児の母親などに配慮をと書かれていて、それは全くその通りです。

しかし現実の避難生活では、ほぼすべての女性に降り懸かると言っても過言ではない困難と危険があるのですが、長きに渡って、それは表だって取り沙汰されませんでした。

ある意味で社会の恥部とも言えることであり、メディアがネタにしたい、被災地の“美談”とは対極とも言えることだからです。

そしてやはり、『東京防災』でも全く触れられていません。


現実は想像を超えている


管理人は、一般的な感覚を持った男性です。敢えて、男性目線で書きましょう。

災害時は、皆が『禁欲生活』を強いられます。

酒やタバコなどの嗜好品も、テレビも音楽も本もゲームもインターネットも無いか、平時より極端に制限され、大きなストレスとなります。

そしてもちろん、性的な欲求を満たす場もほとんど無い中で、ごく近くで女性の日常生活が垣間見えるのです。それがどのような欲求を引き起こすか、ということです。

そこで、女性に配慮して目を逸らすのは理性。しかし強いストレス下で、その理性さえ麻痺しがちになることもあるどころか、最初から理性的な行動を考えない層も、確実に存在するという現実があります。

避難所などで女性をジロジロ見るなどは、正直なところ序の口。シリーズ前記事の、避難所の照明の項でも触れましたが、寝ている女性を覗く、盗撮する、触る、ふとんに入って来るなどの行動を平然とやる者もいて、それを防ぐために、夜でも照明を消さない避難所も多かったのです。

さらには、夜間にトイレに行く時や、後片づけなどで人目の無い住宅地に戻った時などに身の危険を感じたり、実際に身体的危害を加えられた例も、決してレアケースでは無いレベルで起きています。ただ、“美談偏重”のメディアが報道しないだけなのです。

東日本大震災被災地に災害派遣され、最前線の現実を目の当たりにしてきた自衛隊員氏は言いました。
「大災害が起きたら、特に女性は自分の身を守ることを第一に考えてください」と。

過去の被災地では、各地で自警団が結成されましたが、それは火事場泥棒対策だけではなく、女性に対する危害を防ぐためのことも多かったのです。それは予防ではなく、現実に起きたから、ということです。


こういう話になると、こう思われる女性もいるはずです。
「わたしはもうトシだから関係ないわ」とか。

いえ、違います。以下は、管理人が東日本大震災被災者から直接伺った話です。

これは被災後しばらく経ってからの話ですが、ある地域では、お年寄りが夜や明け方する散歩が禁止されたそうです。

それはなんと、60~70代くらいの女性の性犯罪被害が多発したからなのです。夜や明け方の暗いうちに、人目の無い木立、田畑や津波被災地を、ひとりで散歩している女性が狙われたのです。

それは特定の犯人が繰り返したということではなく、あちこちで起きた結果、ということです。

災害時の禁欲生活と強いストレス下では、そういうことも起こるということを、現実の問題として考えてください。

そして、国籍も人種も考え方も生活も性癖も種々雑多な人間の巨大集合体である、東京を始めとする大都市圏で巨大災害が起きたら、何が起きるでしょうか。

ここでは、最も多発する女性に対する危険を採り上げましたが、性別や年齢に関係なく、性的なことにも限らず、誰にでも身体的危害が降り懸かる可能性があるということです。


セルフディフェンスするために


ここでは、被災地で女性が性的干渉を受けることを、なるべく避けるための方法を考えます。

これは、東日本大震災、茨城県豪雨、熊本地震の被災地などで支援活動を行っている、管理人の知人でもある女性が提唱している事を主にしています。


一部の女性向け防災マニュアルなどには、『気が滅入りがちな被災後でも少しでも気持ちを明るくするために、カラフルな服や小物を』というような“指導”が見られます。

また、女性向けを謳った防災グッズには、カラフルな色彩が多く見られます。

女性ご自身でも、例えば非常持ち出しリュックを選ぶ際に、どうせならとかわいらしい色彩やデザインのものになることもあるでしょう。

でも、それがあなたを危険に晒すのです。


現実の被災地では、前記のように強いストレスと禁欲生活下に置かれます。そんな中での“女性らしい格好”は、男性の性的劣情を、平時以上に強く煽ることになります。

実際に、そういう格好の女性が性的犯罪被害のターゲットになったこともありますし、それ以前に、”性的な視線”を集めやすいのは間違いありません。

ですから、平時の秩序とは異なる災害時に性的干渉の対象になりづらくするためには、俗っぽく言えば女を捨てた格好が望まれることなります。

具体的には、

■服装はできるだけ肌の露出がない、身体の線が出にくいゆったりしたもので、地味な色彩を。一部に女性的な色が入っているだけでも目立つ。
■バッグなどの持ち物は、女性的なデザインではない地味な色彩のものを。キャラクターものなども避ける。
■化粧はしないか、ごく控えめに。
■髪が長い場合はまとめて、地味な帽子やスカーフなどで目立たないように。

わかりやすく言うと、ちょっと離れたら性別がわかりにくいくらいが、安全のためには理想、ということです。

行動面では
■避難所のトイレに行く(特に夜間)、後片づけなどで人目の無い場所へ行く、男性が多い場所へ行く時などは、必ず複数で行動し、常に行き先が周囲にわかるようにしておく。
■エマージェンシーホイッスル、防犯ベルなどを常時携帯し、音がしたら来てもらえるようにしておく。鍋を棒で叩くなど、大きな音が出るものならなんでも良いが、その音が緊急事態を示すことを、周囲の人と共有しておくこと。
■着替えの時などは徹底的に人目を遮断し、できれば周囲を監視する人を置く。ガードが甘いと思われると、間違いなくターゲットになりやすい。
■信頼できる人との間で、不審者や危険な場所などの情報を共有しておく。


特に女性の場合は、被災生活の中でこのようなことを気遣わなければならない現実が、間違いなくあるのです。

ここでは、主に女性に対する危険への対策をまとめましたが、さらに言えば、被害者になり得るのは、決して女性だけでは無い、という現実もあります。

また、子供に対する干渉の危険も無視できません。

とにかく、災害被災地には、このようなことを考えなければならない、”報道されない現実”があるということを、まずは認識してください。


今回は、あまり『東京防災』へのツッコみという感じではありませんが、被災地のこのような現実に一切触れない、“臭いモノにはフタ”的な体質は、強く糾弾します。 どこまで取り上げるかは編集者の自由かもしれませんが、被災地で実際に起きている問題が隠匿されていることは、まぎれもない事実なのです。


■『東京防災』は、東京都防災ホームページからデジタル版が閲覧できます。また、PDF版や電子書籍版も無償で配布されています。詳しくは下記リンクからご覧ください。

東京都防災ホームページ

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2016年7月28日 (木)

Are Pokemon GOs stupid?(#1231)

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キミは何も悪くないんだw


ポケモンGOの配信が開始されてから、約1週間。良くも悪くも、話題には事欠きません。


批判は山ほど


ポケモンGOのファンやプレイヤーは、いろいろ感じることはあっても、あまり強い批判はしませんね。

批判者の中心は、基本的にゲームをやらない、ゲーム(と、そのヘヴィプレイヤー)を毛嫌いしている人々かと。ただでさえ嫌いなゲームプレイヤーが、街中に突然わらわらと現れたのですから。

批判者が最も嫌なのは、公共の場なのに自分だけの世界に没入して、周囲とはあまり馴染まない集団、極端な例えをすれば、言葉も文化も全然知らない民族が突然、自分の生活空間に高密度で浸透してきたようなものではないでしょうか。

移民や難民が大量に流入して来る地域とはこういうことなのかなと、平和ボケした頭で考えてみたりしますwしかし、極端なマナー違反や危険行為をする人は、ごく一部です。

でも、嫌いな人から見れば、突然立ち止まって何も無い空間にスマホを向けて、画面を指ではじいてひとりでニヤニヤしている人(これが結構多いw)とか、カップルやグループなのにそれぞれスマホに熱中して、イヤホンまでしてコミュニケーションが断絶している人たちとかを見ると、自分に実害が無くても、とにかくキモチワルイと感じるわけで。

ましてや、深夜や歓楽街をスマホ片手の子供がうろついているのを見れば、「これはけしからん」と思う人が続出するのもむべなるかなと。


土俵が違う


しかし、例によってこういう議論、全く噛み合いません。お互いにメリットとデメリットを言い合うだけで。

賛同側は、楽しいからやっている。一部のマナー違反や問題行動で全部を批判するな、という感じ。テクノロジーの進化でAR(仮想現実)が手軽に使えるようになり、アニメスタート当初は考えてもいなかった、あのポケモン世界が現実の中で再現できる世の中になったのですから、ファンにとってはたまらない。

ポケモンファンじゃなくても、新世代のゲームとして、とりあえずやってみたくなる魅力はありますね。

批判側は、いやそうじゃなくて、街中で周りに配慮しない、他人の領域に平然と入る、事故の危険が大きいとか、そういう行動や風潮を助長するとか、いやそもそもいい若者がゲームをやりすぎるとか、ざっくりまとめてしまえば『教育上よろしくない』という感じかと。良くも悪くも、上から目線になりがちです。

そんな噛み合わない言い合いを見ていると、これはアレと似ているなと感じるのです。


”大国”の憂鬱


我が国は、ゲーム・アニメ大国です。生活の中に、それらが高密度で浸透し、それが時に社会問題にもなります。

一方、パターンとしては似たようなのが、アメリカです。アメリカは、言わずと知れた銃大国。銃の力で国ができたようなものだし、昔からセルフディフェンスのために銃が必要、という状況もあります。

しかし銃犯罪が多発するに至り、銃規制の流れが強まってきました。でもそれがなかなか進まない大きな理由のひとつが、アメリカ最大の圧力団体と言われるNRA(National Rifle Association 全米ライフル協会)の存在です。

規制派は、社会に銃が無ければ悲惨な銃犯罪は防げるから、銃自体のコントロールを厳しくしろと。それによって強力な銃の販売規制や、購入時の身分、犯罪歴チェックなどが厳しくなるなどの規制が行われています。

一方、NRAを中心とする規制反対派は、銃を持つのは合衆国憲法で保証された権利であり、大部分の銃使用者は問題無い。銃の販売を規制しても、犯罪者はヤミの銃を買うのであまり効果は無い。悪いのは銃ではなく、悪用する人間だというスタンスです。

だから両者の主張は平行線。しかし近年は、強力な戦闘用ライフルが乱射事件などに多用されることが増えて、NRAはちょっと分が悪い感じです。しかし、基本的には規制強化の方向に向かってはいるものの、社会から銃を激減させることはできないでしょう。

それくらい、米国において銃は不可欠の存在なのです。完全な規制は、我が国でゲームやアニメ禁止するくらい、いやそれ以上に困難でしょう。

さておき、両者の主張はどちらにも一理あるのですが、ひとつ確かなことは、銃もゲームも、人間が使うツールのひとつに過ぎない、ということです。

そういう考えに立たずに、ゲームが悪い、ゲーマーが悪い、ゲームメーカーが悪い、しまいにはいや社会が悪いとか言い合っていても、何の解決にもならないのです。

我々が必要としているのは、ソリューション(解決策)です。


考えるヒント


NRAが昔から主張している、ひとつのスローガンがあります。

If guns are outlawed ,only outlaws will have guns.
(もし銃そのものが無法のものならば、銃を持つのは無法者だけだ)

というもので、いや実際は銃は正義の役に立っている、だから銃だけを規制するのは無意味だ、問題は悪用する人間だ、というニュアンスです。

ではその人間、すなわち銃犯罪者を撲滅するには。

これはもう教育、経済、習慣、法律、流通など社会のあらゆる場面での対策が必要なわけで、それはポケモンGOも含む、ゲームやアニメなどとのつき合い方の問題と、本質的には変わらないはずです。

すなわち、一筋縄では行かない。

ポケモンGOの登場は、テクノロジーとコマースにおける必然であって、それ自体を批判しても無意味なのです。

好むと好まざるとに関わらず、そういう現実と折り合いをつけて、自分の周囲から変える、それも強制ではなく多くが納得できる方法で行わなければ、何も変わりません。


大事故にならなければいいけど


もしかしたら、例えば日本人旅行者が、米国内でポケモンGOをやりながら他人の土地に侵入して射殺されるとか、両国でふたつの問題が一気にリンクされるようなことが起こるかもしれません。

そうでなくても、例えば駅など危険な場所や運転中のプレイで、犠牲者が出るような大事故に繋がれば、規制せざるを得なくなるでしょうね。

ちなみに管理人は、ポケモンに限らずスマホゲームはやりませんし(バッテリー温存のためです)、ゲーム自体の批判をするつもりはありません。アニメだって大好きです(ガルパンはいいぞw)

ただ、頻繁に車を運転する者として危険な歩行者、自転車そして車が急増していることに、強い危惧を感じています。

社会正義とか大げさなことではなく、不注意のプレイヤーでも、ぶつけたらこちらの過失が大きくなりますから、そんな目に遭わされたらたまらない、というだけです。

ただ、「周りを全然見ていないプレイヤーは大っ嫌いだぁ!」と、叫ばせていただきますw


最後に、NRAのスローガンをパクらせていただきましょう。

If Pokemon GOs are stupid ,only stupids will play Pokemon GOs lol
(もしポケモンG0がバカなものならば、プレイするのはバカ者だけだww)

※英文最後の「lol」は、「laugh out loud」(大笑いする)の略で、主に米国で使われるネット用語。(笑)やwと同じ意味です。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

茨城県北部で震度5弱(#1230)

Nied

昨日7月27日の午後11時47分頃、茨城県北部の深さ50㎞を震源とするマグニチュード5.3の地震が発生し、茨城県日立市、常陸太田市で最大震度5弱を観測しました。

気象庁の区分では、ギリギリ茨城県北部になりますが、実際には茨城県のほぼ中央部海岸沿いが震央です。

この地震は、東日本大震災(東北地方太平洋地震)の後に多発するようになった、広い意味での余震と言えます。

当記事執筆時点では、まだ気象庁からの公式発表はありませんが、経験則からすると、ほぼ東西方向に圧力軸を持つ逆断層型地震と考えられます。

基本的には、東日本大震災の影響で西向きの動きが速くなった太平洋プレートの圧縮力によって、太平洋プレート岩盤内で発生した『スラブ(岩盤)内地震』と考えられ、震災後の”よくある地震”のひとつです。

このタイプの地震では、一般に余震はあまり多くありませんが、念のため数日の間は震度4程度の余震が発生することを予期してください。

画像は、防災科学研究所の新強震モニタ画面で、地震発生から約1分後の画像です、青い丸がP波、赤い丸がS波到達範囲の理論値を示していますが、実際には場所によって、地震波の到達が理論値より前後しているのがわかります。

なお、新強震モニタは震源の場所と規模をリアルタイムで把握できるツールであり、緊急地震速報を受信した時など、すぐに開けば自分の居場所に揺れが到達するタイミングも、大まかな震度も把握できます。

非常に便利ですので、スマホやPCのブラウザでブックマークしておくことをお奨めします。

新強震モニタ


■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。


2016年7月27日 (水)

防犯にはまず『可能方法』を考えよ(#1229)

ひとつ前の記事(#1228)で、相模原殺傷事件に関係した記事を拙速でまとめましたが、書いたのが事件発生当日の午前中だったために、まだ詳細な情報がありませんでした。その後、新たな状況がいろいろわかってきましたので、改めて。


本質的には変わらない


昨日の記事では、犯行の動機は施設をクビになった私怨も原因のひとつとなったものの、その裏には過去多くの連続殺傷事件と同様の、『ゆがんだ自己主張』の発露があるのではないかと考えました。

しかし現実はさらに醜悪で、犯人は障害者に生きる権利を認めないという、ナチスドイツを彷彿とさせる過激思想に染まっていたようです。

しかし、過激な自論を他人に吹聴したり、政府関係者に自論を書いた手紙を届けるなどの常軌を逸したアピールは、やはり『ゆがんだ自己主張』の発露でしょう。

犯人は他への攻撃性向が強く、一時は措置入院をさせられていたとのことです。しかし仮に、犯行時は精神的に不安定であったとしても、やはり『ゆがんだ自己主張』に繋がる気質または素質を持っていたのは間違いなく、過去の類似事件と本質的には変わらないと考えます。

なぜなら、あれほど凄惨なことを平然とやり切るには、強い自己愛が不可欠、すなわち“自分のため”でなければならないからです。

犯人は、障害者の存在を認めないという自論を実行に移している自分に、強い高揚感を感じていたのではないでしょうか。管理人は、そう考えます。

この犯人の思想や行動は、犯罪史に残る特異なものです。でもその裏にある、他の存在や人間性に考えが及ばない、自己主張のためなら他を消去することを厭わない人間性や気質は、決して特異なものではなくなってきている、そういう時代なのです。


どうやって身を守るか


犯人の気質がどうあろうと、その“攻撃”から我々が身を守る方法は、あくまで『戦術論』です。

それにはまず、敵の『可能方法』を考えます。『可能方法』とは軍事用語で、敵がその目的を達成するために行い得る方法のこと。

例えば今回の事件の場合、仮に犯人の襲撃が予測できたならば、可能性が高い『可能方法』を、このように考えたでしょう。

■時間帯:職員が少なく、入所者が寝ていて攻撃が容易で、逃走時も目立たない深夜帯
■侵入方法:窓ガラスを破るのが最も容易
■武器:刃物、鈍器類
■襲撃方法:居室の鍵を入手するために、最初に職員を襲撃・拘束する必要がある
■移動方法:車の可能性が高い

このような『可能方法』があれば、例えばこういう対策になります。

■警察と巡回、通報、初動などについて相談しておく
■夜間には耐刃ベストなど防具を着用したガードマンを配備、鍵はガードマンが携帯し、職員巡回時は同行する
■侵入可能なガラス窓などを特定し、センサーやカメラで警備、異常があればすぐに110番する体制をとる
■施設内にさすまた、警杖などを備え、使用法の訓練をする
■屋外カメラを設置し、深夜帯に敷地に車が接近、停止した段階で、ガードマンが警戒態勢に入る

このような対策で、侵入を防げる可能性が飛躍的に上がるわけですが、4つ目の屋外カメラ監視は、もしやっていても、現実には施設から離れた場所に車を止めるという方法で、元職員の犯人に破られたわけです(テレビで流れたのは別施設のカメラ映像)

しかし、上記のような対策をしていれば、建物への侵入段階で感知、阻止できたか、最悪の場合でも警察に通報するくらいのことはできたはずです。このように、敵の『可能行動』を考えて、それに対する二重三重の防御を固めることができるわけです。

現実には、経費などの問題でガードマン常駐など難しいことも多いでしょう。でも、もしここが襲撃されるならどういう方法になるか、防ぐために何ができるか、その時はどう動くかという情報を共有しておくだけで、相当の効果があるのは間違いありません。

そして、例えば侵入しやすい窓下や隠れやすい場所には音が出る砂利を敷く、空き缶を並べる、人感センサーライトをつけるなどの簡単な対策で、実際の侵入を阻止する効果はかなり上がりますし、「ここは警戒が厳重だ」というアピールにもなるのです。

施設警備を考えられる際には、この考え方を参考にされてみてください。


災害対策より効果的


現実には、ほとんどの家や施設はこのような“攻撃”の対象になることは無いでしょう。

しかし、強盗犯や窃盗犯に狙われることはありますし、得体の知れない人物が侵入してくることも考えらえます。後者は、特に都市部で、これから顕著になって行くでしょう。

そういう時に慌てず、効果的な感知と対応、そして可能ならば反撃ができる備えをしておく必要があります。もし実際に被害に遭ってしまった時、あまりにも無防備だったとしたら、管理責任を問われることにもなりかねません。

このような犯罪対策は、相手が人間だけに行動がある程度は読めますし、それなりにコントロールすることも可能なのです。

しっかりとした犯罪対策は、自然災害に対する対策よりも、はるかに効果が上がることは間違いありません。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。


2016年7月26日 (火)

また起きた『日本型テロ』〜相模原大量殺傷事件〜(#1228)

最近、世界各地でテロやそれに類する無差別殺傷事件が多発し、ニュースを見ても、それがどの事件のことなのか、すぐにはわからないような状況です。

そんな中、神奈川県相模原市の障害者施設で、大量殺傷事件が発生しました。


これもテロ行為


テロとは本来、政治的、社会的、宗教的などの主張を実現または拡散するために行われる暴力手段のことです。

しかし、当ブログでは過去記事で何度か述べている通り、我が国で起きる無差別殺傷事件も、背景は全く異なっても、その手段においてテロ行為と同一であると考えるべきです。

その典型は、2008年に発生した秋葉原無差別殺傷事件で、その他にも社会、組織や個人に対する私怨や自暴自棄、さらには、ただ「人を殺してみたかった」という理由でのテロ行為が急増しているのです。

一般的なテロ行為との手口上の共通点は、『入手できる最強の武器で』、『対象の不意を突いて』、『なるべく効率良く』殺傷に及ぶということ。異なる点は、犯人のパーソナリティーに起因する場合がほとんどなので、ほぼ例外無く単独犯だということです。

そういう面では、かつて米国の学校などで多発した、宗教的背景の無い銃乱射事件に近いものです。我が国では、爆弾や銃の入手が困難なので、『最強の武器』は、刃物や車になるということです。


我が国では、世界で多発しているような政治的、宗教的背景の大規模テロを起こしづらいことは、過去記事で述べてきました。

しかし全く安心はできず、言うなれば“日本型テロ”の脅威の方が、はるかに現実的になっているのです。賑わう繁華街にいても、いつ車で突っ込んで来られるか、刃物を振り回されるかわからないと言っても過言ではない。

現実的には、『最弱のターゲット』が『最も効率良く』狙える子供の登校列が狙われることが多く、繁華街では子供、子連れの女性、お年寄り、自分の方を見ていない人、転んだり、恐怖で動けなくなった人から狙われます。

それが、特に犯人のパーソナリティーに起因する“日本型テロ”の特徴と言えます。

それは何故なのでしょうか。


自己主張としてのテロ


今回の相模原事件の犯人も、襲撃した施設をクビになったことへの私怨があったと言います。

秋葉原事件も、犯人は周囲から馬鹿にされ、ネット上でも無視された結果でした。

普通の健全な精神ならば、その恨みは自分を貶めた対象に向かうものです。いつか見返してやる、思うだけならば、いつか殺してやる、ということもあるでしょう。

しかし“日本型テロ”では、攻撃は直接の対象に向かわず、無関係の弱者へ向かうのです。そして、できる限りの大量殺傷を狙う。

それは一見、一般的なテロと同じように見えますが、そこは本質的に異なります。


一般的なテロは、“不都合な対象”の排除と社会に恐怖を与えることが目的です。

それに対し、“日本型テロ”は、「自分はこんなにすごいことができるんだ」という、ゆがんだ自己主張のためであることが多いのです。

今回の相模原事件も、本来は恨みの対象になるはずの施設職員に、犠牲者はいないようです。一方で、重度の障害を負ったほとんど無抵抗の人々という『最弱のターゲット』を、非常に『効率よく』殺傷しています。

“日本型テロ”の場合、犠牲者が多ければ多いほど、強く自己主張ができる。もっと簡単に言えば、『目立てる』から、多数を手にかけようとするのです。

並の人間ならば、恨みもない何十人もの人間を機械的に刺し続けるなど、とてもできるものではありません。しかし”日本型テロ”で犯人が大量殺傷を狙うのは、ひとりでも多く殺して事件を大きくした方が、それだけ『目立てる』というモチベーションに突き動かされているからと言えます。

それにはまず、人を殺すという行為が『命を奪う』という不可侵の悪であるという概念ではなく、極論すれば、自分が『目立つ』ための生け贄という概念に近い、利己的に正当化された記号的行為になっていなければならず、そういう感覚は想像以上に広まっています。

だから、「人を殺してみたい」だけで無関係の人を実際に殺す、ということも成立するのです。そこには、犠牲者側の視点は存在しません。例えば、ネット上のように。


現実を直視することから


それを「狂っている」というのは簡単です。むしろ、狂ってくれていた方が安心というくらいですが、決してそうではなく、ほとんど“普通の人”の中身の一部が違っているのです。

その原因は先天的な脳の形質異常のこともあれば、後天的な影響のこともあり、その複合という場合もあります。

こういう事件があると、メディアは、すぐに『心の闇』とか言い出して、特異な事例としたがります。それが、“正常な”視聴者の溜飲を多少なりとも下げ、いちばん数字になり、批判も受けづらい手法だからです。

しかし、それが決して特異では無く、それどころかどんどん悪化していることは、近年“日本型テロ”が急増していることが示しています。

ひとりが犯行に及ぶ裏には何十、何百という『予備軍』が存在することは間違いありません。

例えば、今回のような大量殺傷事件の犯人を、ヒーローとして崇めるような層が存在するのです。それも、決して少なくない数で。

そんな現実を批判したり、どうすべきだとか語るのは、当ブログの範疇ではありません。ただ、これが我が国の人間と社会が生み出してしまった現実の病理であるということを認め、それが我々に及ぼす危険から、『生き残る』方法を考えるのみです。

今回の相模原事件のような、反吐が出るような不快極まりない現実も、残念ながら決して特別なことではなくなって来ている、まずはそういう認識をしなければならないのです。

後日、また続きを書きます。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

2016年7月25日 (月)

Driver hates Pokemon GO(#1227)

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これ、とても恐ろしい画像です


過日、日本国内でも、あの『ポケモンGO』が入手できるようになりました。


そこじゃなくて


配信開始直後から、各地で予想通りとも言えるトラブルが多発していますが、スマホでゲームやったり音楽聴いたりしない管理人が、それについてどうこう言う立場ではありません。

ただ、かなりの頻度で車を使って移動する管理人が感じた、個人的な感想というか危険についてです。

これ、タクシー、バスやトラックなど、日常的に運転されているプロの方々にとっては、かなり由々しき問題なのかなと。

あ、ちなみに管理人、ポケモン自体は嫌いじゃありませんよw


想定外の連続


ポケモンGO配信開始翌日、管理人はたまたま、夕方から深夜にかけて都内各地を車で走っていました。

街には、ひと目でポケモンG0プレイヤーとわかる人々が「もうこんなにいるのか」というくらい、やたらと目に付きました。

ただの歩きスマホとは明らかに雰囲気が違うので、大体わかります。ポケモンG0プレイヤーの方が、ずっと”入り込んで”いる感じです。すなわち、周りへの注意がよりおろそかになっている。

もちろん、まだ不慣れな初モノだからこその入れこみ具合ということもあるでしょう。でも、この先のトラブル多発を、強く予感させたのです。


時間帯で変わって行く


夕方から夜早い時間帯の、街にまだ人がたくさんいるうちは、まだ良いのです。

ゲームに熱中していても、なんとなく人の流れに乗って行けるし、あまりはみ出したりしない。人や自転車との衝突の危険は大きいのですが、そんなこと管理人は知ったこっちゃありませんwあくまでドライバー目線です。

問題は、夜遅い時間になってから。

これは、ある意味で衝撃的でした。配信開始直後で、子供は夏休みが始まったばかりというタイミングもあったのでしょうが、まず、とんでもないところに人が、そして子供もいる。

時は休日の深夜です。例えば東京の中心部である霞ヶ関、虎ノ門から汐留、市場で有名な築地界隈など、普段ならば人通りもほとんど無いような時間と場所に、大人はもちろん、高校生はまだしも、どう見ても中学生だろうという子供たちが、スマホやタブレット片手に黙々と歩いている。それもあちこちで。

それも大通りだけではなく、暗い裏道にも現れる。どこで”獲物”が現れるかわからない、あのゲームならではの影響です。しかも、車通りが少ない裏道では、車道を歩いていることも多いのです。その方が”ゲットしやすい”のでしょう。

犯罪に巻き込まれるとか、補導されるとかの問題は他の方にお任せするとして、管理人はドライバー目線です。これ、特にプロドライバーの方にとっては、大変な問題だと思うのです。


経験則をぶちこわされる


プロドライバーは、自分が走る地域の様子に精通しています。

「ここは夕方に飛び出しが多い」とか「この時間帯は人がいない」とか。”特別な条件”が無ければ、その経験則はほとんど当てはまるのです。

しかし、ポケモンG0は、”特別な条件”になってしまいました。とにかく、プレイヤーの居場所や動きの予測ができない。

普段は人っこひとりいないような道に、突然現れる。路肩を歩いていて、獲物が現れると突然立ち止まったり、駆け出したりする。スマホを注視したまま、周りを見ずに道路を渡る。歩行者信号を無視する。渋滞中の車の間に入ってくる、等々。

管理人が数時間運転しただけで、そんなことが普通に起きたのです。

例えば、タクシードライバーの方。普段は誰もいない深夜の抜け道に、突然プレイヤーが現れますよ。車道上で立ち止まっていても、客とは限りませんよ。

例えば、トラックドライバーの方。深夜や郊外など、普段は関係者以外いないような場所でも、トラックの死角にプレイヤーが現れますよ。路側やサービスエリアでも、車の周囲にプレイヤーがいるかもしれませんよ。

例えば、バイク便ライダーの方。路側を走っているプレイヤー自転車が、突然止まったり進路変更したりしますよ。交差点では、早く渡りたいプレイヤーが車道にはみ出してきますよ(これが実に多い)

もちろんプロの方々だけの危険ではありません。とにかく、普通の歩きスマホ以上に周囲への意識が希薄な歩行者が、場所と時間を選ばずに一気に大量に現れた、ということなのです。

歩行者や自転車だけではありません。たった数時間の間だけでも、走行中にプレイしているドライバーも、何人か見かけました。

そんな奴にぶつけられたら、悲惨なんてものじゃありません。

とにかく、しばらくの間は「ここは(この時間は)○○のはずだ」という先入観を全部捨てて、慎重に運転するしかなさそうです。


現実的な対策として


言うまでもありせんが、これはポケモンGO批判ではありません。

理由なんかどうでも良くて、ドライバーやライダーからしてみれば、危険な歩行者(そして一部のドライバー)があちこちに大量に現れた、ということに対してのセルフディフェンスをお勧めしているだけです。

そういう状況であるということを認識して慎重に運転しなければならないのはもちろんですが、管理人としては、ドライブレコーダーの装備を強くお勧めしたいと思います。

ネット上でも、ポケモンG0に熱中して道路に飛び出した子供に急停止したら、子供の親に「前をよく見て運転しろ」と逆ギレされた、という話が拡散されていますね。

そんな時、どちらの過失が大きいかの証拠があるかどうかで、その後の展開や処理が天地の差となります。

現実には、歩行者側の過失が大きくても、車側の責任が重くなるわけです。それでも、状況がしっかり残っていれば、不当な責任は負わずに済むのです。

これから、それが必要な状況が、どんどん増えて行きますよ。


げに恐ろしきは


これから学生は夏休み。あちこちで、スマホ片手に子供がうろつくでしょう。とにかく、慎重な運転を。

もしそんな子供を、向こうが悪かろうが危険な目に遭わせたりしたら、ボール投げてもゲットできない『モンスター親』が現れますよw『モンスター親』と戦う最大の武器は、『でんきショック』じゃなくて、ドライブレコーダーでしょうね。

”モンスターはバーチャル世界だからこそ楽しいんだよ”と、きれいにオチがつきましたところで、失礼いたしますw


・・・なんでタイトルを英文にしたかって?目立つっしょwというのは冗談で、日本語の検索に少しひっかかりにくくしたんです。なんとなくw

■当記事は、カテゴリ【交通の危険】です。

2016年7月23日 (土)

【東京防災ってどうよ12】ここがダメなんだよ【8】(#1226)

『東京防災』にツッコむ、気がつけば8回目。まだまだ終わりは見えません。

今回は、「なんでそうなるかなぁ」という小ネタをいくつか。


【064ページ】炊き出しは衛生的に


Takidashi
調理・盛り付けの前、食材に触った後、トイレの後にはせっけんで十分に手を洗います。調理器具も、使用後や作業が変わるたびに洗浄と消毒を行います。

その通りなんですけどね。

でも、炊き出しが必要な時って、大抵断水してますよね。手指も調理器具も、十分な洗浄のためには、せっけん、洗剤と流水(もちろん水道水や飲用適の井戸水など)が必要です。

調理者が溜めた水で手を洗うだけなんて、言語道断。当然ながら、手指や調理器具の消毒用に、エタノールなどの消毒剤が必須。不十分な環境の手洗いだけでは、食中毒のリスクが高まります。

てか、イラストじゃゴム手袋してるじゃないかぁぁww何故それを書かない?文字数の制限か?入手できないと問題だからか?

理想的なのは、使い捨てのラテックスやニトリルなどの手袋を、作業ごとに交換することですね。 これは、明らかにイラストレーターとの打ち合わせ不足だけど、絵の方が正しいってどういうことよw

しかしまあ、現場でできもしないことを“指導”する、これも防災界では普通にあることですね。

ちなみに、『参照→208ー211ページ』とありますが、そこには代用食器や簡易コンロの作り方だけで、衛生の話は一切なし。全く無意味なので無視します。


【065ページ】感染症の予防


Kansen
風邪、インフルエンザなどの感染症が流行しやすくなります。こまめに手洗い、うがいを励行します。水が出ない場合、可能であれば消毒用エタノールを用意できれば安心です。

安心じゃないんだよ。

まず最初に大切な知識を。風邪やインフルエンザなどの感染経路の大半は、実は喉からではなく、ウイルスが付着した場所に手で触り、その手で食品や目や鼻などの粘膜に触ることで、ウイルスが体内に入る場合です。

風邪などをひくと喉が痛むので、なんとなくそこから感染したというイメージがありますが、実は大半が違います。ですから、感染症予防のためには、うがいより手洗いの比重がはるかに大きいのです。

でも、断水下では『流水で、せっけんを使い、指の又や爪の間、手のしわの中まで念入りにこすり洗いする』という望ましい洗い方は、なかなか難しいものがあります。

そこで、エタノールなどの消毒液が欲しいわけですが、とても大切な情報が抜けています。

避難所で感染が拡がって怖いのは、インフルエンザよりむしろノロウイルスでしょう。感染すると激しい下痢を引き起こし、特に共用のトイレでは十分な後処置をしないと感染拡大しやすく、過去の災害でも、実際にあちこちで起きています。

ノロウイルスの感染力は、インフルエンザウイルスよりはるかに強く、ウイルスがほんの数個体内に入っただけで感染する可能性があるので、より強力な対策が必要です。

ところが、ノロウイルスにエタノールは効かないのです。

ノロウイルス消毒のためには、次亜塩素酸ナトリウム剤の希釈液が必要です。専用の医薬品でなくても、キッチン用塩素系漂白剤を500倍程度に薄めたものでも大丈夫。

但し、劇薬なので扱いは簡単ではなく、エタノールよりも使用上の注意事項が多いので、書ききれないから実際の被災地で起きていることも無視ということなんですね。

かといって、別にノロウイルス感染などに関する項目があるわけでなし。『東京防災』では、都民の健康よりも、文字数縛りと責任逃れが優先されたようですね。

それとも、監修者が知らなかったとか?ww

当ブログの関連記事をリンクしておきます。
【シリーズUDL20】衛生編3・敵の弱点と武器の効果を知れ(#1075)
【シリーズUDL21】衛生編4・こんなのならさらにお手軽(#1078)
【シリーズUDL22】衛生編5・環境の敵を排除せよ(#1082)


ちなみに、後の方に掲載されている災害用備蓄品リストには、消毒剤関係は一切入っていませんね。まあお気楽だこと。また後でツッコみます。


【065ページ】睡眠と消灯


Lights
避難所での生活は不慣れなことも多く、睡眠不足になって体調を崩してしまうおそれがあります。明るいと眠れない人、暗いと眠れない人もいるので、日替わりで消灯することもひとつの方法です。

これも、一見もっともですけどね。しかし、実にお気楽な話でしかありません。

東日本大震災、今回の熊本地震、管理人は直接の情報を持っていませんが、おそらく他の地震災害でも、多くの避難所で、夜も煌々と明かりがつけられたままでした。

その理由は、明かりを暗くすると、夜中に主に女性に対する干渉が多発したからです。

夜中に、男性が寝ている女性を覗く、身体に触る、ひどいケースになると、ふとんに潜り込んで来るというようなこともあったそうです。

このため、不審な行動が目につきやすいように、明かりをつけておかざるを得なかったのです。

これは避難所生活では決して珍しく無いことなのですが、報道に乗ることはまず無く(熊本地震で初めて公式に報道されたのでは?)、行政も無視、ということですね。

もっとも、他の項目に『不審者を見たら警察や管理者へ』とは書いてありますが、それで防げれば苦労はしない、というのが現実ですよ。

避難所の明かりを消すか消さないかは、睡眠の質ではなく人間の質で決まるということです。

そして、集まっている人間の雑多さでは、他に類を見ない大東京。避難所で平和に眠れるかどうかは状況次第、まあ行政はそこまで面倒見切れない、ってことでしょうかね。

ちなみに、『参照→206ページ』とあるので飛んでみると、簡易ランタンの作り方という、まあどうでもいい、いやトリビアネタとしては重要な話でしたw

このシリーズ、一体どこまで続くんだろう。

■『東京防災』は、東京都防災ホームページからデジタル版が閲覧できます。また、PDF版や電子書籍版も無償で配布されています。詳しくは下記リンクからご覧ください。

東京都防災ホームページ

■当記事は、カテゴリ【『東京防災』ってどうよ】です。


2016年7月20日 (水)

茨城県南部で震度4が連続(#1225)

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今朝の地震の震央と震度分布(気象庁ウェブサイトからお借りしました)

本日2016年7月20日、午前7時25分頃、茨城県南部の埼玉寄りの深さ50kmを震源とするマグニチュード5.0の地震が発生し、茨城県や埼玉県などで最大震度4を観測しました。

管理人在住の埼玉県南部は震度4でしたが、震源に比較的近いので、ケーブルテレビ回線の緊急地震速報が『震度3程度』を発報するのとほぼ同時に、かなり強めの横揺れを感じました。

気になるのは、3日前の7月17日には、ほぼ同じ震央の深さ40kmで、マグニチュード5.0、最大震度4の地震が起きたばかりということです。


念のため警戒レベルアップ


茨城県南部の埼玉寄り震源域は、東日本大震災後に有感地震発生回数が増えはじめ、現在では関東地方で最も地震が多く発生する震源域となっています。

時々、マグニチュード5台半ば、最大震度5弱が発生しており、今年の5月16日にも発生しています。

しかし、震度4以上の大きめの地震が短期間で連続することはほとんど無く、震災直後の2011年に2日連続で震度4、2015年に9日の間を開けて震度4が連続したのが目立つくらいです。

今回、3日間で震度4が連続したのは、震災直後の超多発期を除けば、震災後初めてということになります。

それ以前に、この茨城県南部埼玉より震源域での有感地震回数が、このところ若干増えています。

このため、地震のメカニズムがどうこうということではなく、”活発な震源域で、いつもと違う事が起きている”という一点において、管理人はこれから1週間程度、警戒レベルをアップすることにします。

具体的には、行動中や在宅中に被害が出るレベルの地震が起きるという前提で、備蓄品のチェック、EDC装備の強化、家族との情報共有と連絡体制の再確認、安全度の高い移動方法の選択、先延ばしできる外出の延期などです。


傘を持っていくかどうか?


現実には、大きめの地震が連続したからと言って、さらに大きな地震に繋がる確率は、ごくわずかなものでしょう。

それは震源域の構造的特性にも左右されますから、それが危険に繋がる震源もあれば、全くそうでない場所もあるものの、それは現代の科学では判断できないのです。

単純に、東日本大震災(東北地方太平洋地震)前の、2回の前震の記憶が、不安を呼び起こしているということもあります(メカニズム的には別物だとわかっていても)。

特に、茨城県南部も含めた関東地方南部の地下は、北アメリカプレート、フィリピン海プレート、太平洋プレートが三層に重なり、それぞれ別方向へ動いているという非常に複雑な構造であり、現代科学においては『何が起こるかわからない』場所なのです。


地震について科学的に考え、しかし科学が解明できないことを畏れる、自分の感覚を信じる、エセ予知やオカルトを信じる、どれもあなたの自由です。

しかし、いずれにも共通する確かなことは、何を信じていようと、巨大地震に対して、心、行動、物資の有効な備えができていなければ、それはすべて、あなた自身に跳ね返って来るだけのこと。

雨が降りそうな時、荷物を増やしても傘を持っていくかどうか、という事と全く同じです。

個人レベルの災害対策とは、豪雨の中で傘が無い、それはイヤだという気持ちが原点なのです。


■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。


2016年7月19日 (火)

【東京防災ってどうよ11】ここがダメなんだよ【7】(#1224)

『東京防災』にツッコむ7回目。前回記事(#1222)でもトイレのことに触れましたが、今回はトイレ関連の記事へのツッコミ。ビックリするくらい、キタナイ話がキレイゴトになってしまったお話ですw


【060ページ】トイレの使い方


避難所生活での留意点という記事のいち項目です。
Toilet2
施設のトイレは多くの人が利用するので、トイレットペーパーが詰まる可能性があります。施設が指示した方法でトイレを使いましょう。

インフラが止まった災害後は、食べるよりも出す方が大問題。その実態は、コトがコトだけにあまりリアルにj語られていないのですが、いかに困難なことかは想像できます。

多くの人が着の身着のままで一気に集まる避難所のトイレは、特に初災初期においては、想像を絶することになりやすいのです。

なのに、避難所のトイレ関係の記述はこれだけ。トイレットペーパーが詰まるって、そういう問題か?そういう話は、発災からかなり時間が経って、しっかりとした秩序が生まれて来てからだろうよ。


臭いモノにはフタに限る!


発災初期には、避難所では統一されたルールを全避難者に周知することはできません。仮にできても、それを守る余裕が無いことの方が多いのです。

上下水道が止まった避難所のトイレは、極端な話、数時間で“地獄”になります。

例えば公衆トイレで、前の人の“痕跡”が少しでもあったら、むちゃくちゃ不快ですよね。インフラ停止下では“痕跡”どころではなく、そのまま。それが何人分も、しかも便器以外の場所にも散乱しているという。それが現実なのです。

不快なだけではありません。ろくに手も洗えないので細菌、ウイルス感染の温床となり、トイレに行く回数を減らそうと水分を取らず、肺塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群。ロングフライト血栓症とも)を発症する人も少なくありません。

雑用水があれば、流しながら使うこともできますが、近くに川やプールでもなければ、現実には無理。雑用水が確保できても、水汲みに行く体制、ためておくためのタンクやドラム缶、流すためバケツなどの資材が用意できるのは、しばらく経ってからとなります。

しかし、避難所に秩序と体制が出来上がるまでの間、“トイレ地獄”には、効果的な対策が事実上ありません。現実には、最悪の状況まで行ってから、みんなの力で『イヤイヤながら』改善されて行くのです。

誰も、できればトイレ管理なんかに関わりたく無いですよね。でも、やらざるを得ないから、やるのです。

そういう現実を一切無視して、『トイレットペーパーが詰まる』とか言う話だけですか『東京防災』は。

これなど、文字通り“臭いモノにはフタ”以外の何物でもありません。


大切な情報なにもなし


上記の記事の後に、『参照→200ページ』とあるので、飛んでみました。ところが。
Toilet
細かいことはもうアレなので省きますが、断水時の洋式・和式トイレの流し方と、代用トイレの作り方だけ。 それはトイレを流す雑用水や代用トイレ資材が確保できた後の話であって、その前が大変ななのですが。

その段階の話としても、例えば文中に『トイレットペーパーは流さずにゴミとして捨てます』とありますし、代用トイレを使った後処理の問題もありますが、それについては一切記述なし。

過去の地震災害では、ビニール袋入りの便が、当然ながら収集が止まったゴミステーションに大量に出されて、臭いや衛生面で大問題になったこともあるのです。

特に在宅避難の場合、最終的には燃えるゴミとして処理するにしても、ゴミ収集が再開されるまでは自宅で保管しておき、収集再開後も一気に全部出さないなどの配慮が必要となります。

保管中の臭いや、衛生面での対策も必須です。なのに、そういうことは一切無視。


『東京防災』におけるトイレ関係の記述は、仮に100の情報が必要だとしたら、せいぜい20くらいなものに過ぎません。しかも、一番ダーティな部分は一切無し。

“臭いモノにはフタ”という言葉がハマりすぎで、ここまで来ればかえってサワヤカですらあるwだから、監修者なんとか言えよ。

敢えて想像してみてください。かなり荒っぽく言うと、『1200万都民が毎日出すものの量』を。上下水道が止まれば、それが生活空間に溢れ続けるんですよ。しかも、それを自分で扱わなければならない。考えたくないですよね。でも、誰も逃げられない。

おまけに、手もろくに洗えない状況なのに、衛生面が完全に無視されているのは、一体どういうことなのでしょうか?


本当に必要なこと


インフラ停止下のトイレ問題について必要な情報を、箇条書きにします。

当ブログ過去記事に記載した内容に加え、おそらくだれも見たことが無い、しかし役に立つ情報もお送りします。


■特に発災初期、避難所の劣悪なトイレになるべく行かなくて済むように、非常持ち出しには最低でもひとり分3個くらいの簡易トイレを備えておく。

■家庭の備蓄には、便を固めて消臭できる便処理剤を、1人当たり30回分以上と、ゴミ袋と共用できる45リットル程度のポリ袋を200枚以上用意しておく。簡易トイレは高コストだが、便処理剤だけならば比較的安価で入手できる。(『東京防災』の別記事には、簡易トイレをひとりあたま30個備蓄とあるが、それだけでどれだけのコストになるか考えているのか?)

■小用に簡易トイレや便処理剤を使っては不経済なので、代用として介護用尿パッドも便利。これをビニール袋に入れて排尿する。一枚で200~300cc(商品による)の尿を吸収し、優れた消臭効果もある。女性用品の安価な代用品にもなる。

■避難所のトイレを少しでも快適に使うためと、インフラ停止下の自宅トイレの環境改善のために、消臭スプレーを、普段使いに加えて多めに備蓄しておく。芳香剤ではなく、硫化水素臭を中和するタイプを。

■トイレも含めた、被災時のあらゆる作業の衛生維持に使える、ラテックスやニトリル製などの使い捨て手袋の備蓄を。食品を扱うことも考えて、パウダーフリー(貼り付き防止用のパウダーを使っていないもの)がお薦め。

■トイレ後に手が洗えない場合のために、手指や環境消毒用にエタノールや次亜塩素酸ナトリウム剤を備蓄しておく。避難所内での細菌・ウイルス感染対策用としても有効。平時のインフルエンザやノロウイルス対策などにも有効。手指ではなく、環境の消毒専用ならば、安価なキッチン用塩素系漂白剤の希釈液でもOK。

■自宅での便保管用に、密閉できる大型プラケースやペール缶などを備えておく。プラの衣装ケースが最適で、平時は本来の使い方をすれば経済的。保管ケースの消臭や消毒にも、前出の消臭スプレーや消毒剤が有効。

■町内、マンション単位では、下水道のマンホール上に設置して直接排便できる、マンホールトイレを備蓄する。


ざっとこれだけで、被災時のトイレ環境は天地の差となります。例によって自慢するわけではありませんが、こういう現実的な情報、どこかでご覧になったことありますか?

過去の教訓を生かし、普段使いのものをできるだけ流用したり、多用途に応用できるもので、安価に済ませるために考えれば、こういう形になるはずです。しかし現実には、くだらない“防災トリビア”ばかりがはびこるのがこの世界。

ご覧の通り、上記のほとんどがホームセンターとドラッグストアで入手できるもので、高価で用途が限られる、いわゆる『防災グッズ』など、大して必要無いのです。

でも、商売で防災やっている連中は、“大人の事情”でいらないモノ、不完全なモノを薦め、そのためには事実をネジ曲げ、教訓も無視することも多々、というわけです。


防災という、あなたやあなたの大切な人の命がかかった世界は、商売とトリビアとウソとキレイゴトに蝕まれていると言っても、決して過言ではないのです。

まだまだ続きますよ。

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2016年7月15日 (金)

フランス・ニースで無差別自動車テロ(#1223)

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ニーステロ事件で、犯人が使ったトラック。運転席窓部分に、治安部隊が阻止射撃を行った弾痕が見える。我が国では、今まではこのような阻止方法は行われなかったが、ニース事件を受けて、東京の花火大会警備に警視庁のERT(Emergency Response Team 緊急対応部隊)が配備されることが急遽決まった。すなわち、暴走車両などに対しては、銃器による火力で阻止するということ。しかし、使用武器はライフル弾よりはるかに威力が劣る9ミリ拳銃弾を使うMP5型サブマシンガンであり、連射はできるものの、厚めの鉄板1枚で防弾できてしまう程度のものという不安も残る。

■参考映像 警視庁緊急対応部隊実弾訓練■


2016年7月14日。革命記念日の祭典で賑わうフランスの有名保養地ニースで、無差別テロが発生しました。


『新手』と言われるが


革命記念日を祝う花火を見物する群衆に大型トラックで突入し、2km以上に渡って暴走、当記事執筆時点の情報では、84人が犠牲になったとされています。

また、使用はされなかったものの、車内から爆弾類も発見されたそうです。犯人は単独で、警察との銃撃戦の末、射殺されました。

この事件を受け、一部の『専門家』が、銃や爆弾が主でなくても大量殺傷テロを実行できることを証明した、『新手』であるとコメントしています。

しかし、決して『新手』ではありません。


セオリー通りの選択


まず、ニースという実行場所の選択。

フランス最大の祝日である革命記念日は、当然ながら厳重な警戒下に置かれます。特に、パリを始めとする大都市圏では監視の目も多く、テロの実行は困難です。

一方で、ニースのような保養地は外国人観光客も多く、“見慣れない顔”がいるのが当たり前の土地です。もっとも、今回の実行犯はフランス国内居住者で、住民として認識されている人間の『ホームグロウンテロ』とされます。

そして、有名保養地であるニースは、街を離れれば隠れる場所も多い“田舎”でありながら、経済活動も活発ですから、大型トラックが走っり回っていても不審では無いという条件もあります。

これが例えばパリならば、革命記念日の祭典中に、大型トラックが積み荷などのチェックなしに中心部に入るのは、とても困難だったでしょう。

さらに、観光客が多いニースは、その性格からも警備体制が比較的ソフトだったはずです。具体的には、完全装備でライフル銃を提げたような警官や兵士は少なく、拳銃を携帯した警官が主だったのかと。

拳銃だけでは、暴走するトラックを阻止するのは非常に困難です。

このように警戒が厳重な“主要ターゲット”(“ハードターゲット”とは少し意味が異なります)を敢えて外し、比較的手薄な場所を狙うというのも、テロの『セオリー』のひとつなのです。

大規模テロは、特定の施設や人物を狙うのが主目的ではなく、大きな被害で恐怖を与えることが目的だからです。


そして、ニースの記号的意味。

フランスの大都市と言えば、誰もがパリと答えるでしょう。ではフランスの保養地と言えば、おそらくニースが筆頭になるくらい、世界的に有名です。場所を知らなくても、名前は知っている。

管理人は、過日の記事『テロは対岸の火事なのか(#1215)』で指摘していますが、伊勢志摩サミットの最中、東京・新宿駅の警戒は厳重だったものの、世界的に有名な繁華街、歌舞伎町の警戒が手薄なのを見て、狙われるならばこちらだろうと考えたのです。

「シンジュクステーション」より、外国人も含めて多くの人々が楽しんでいる、有名な「カブキチョー」で大被害を生んだ方が、日本国民にも世界にも、与える衝撃と恐怖が拡大するだろうと。

今回、ニースが狙われたのは、それと全く同じということであり、それがテロの『セオリー』のひとつなのです。


あの事件の模倣ではないか


管理人は、前出の記事(#1215)だけでなく、数年前から海外でテロが起こる度に指摘していたことがあります。

我が国におけるテロの代表例として、2008年に東京・秋葉原で発生した、無差別殺傷事件を挙げているのです。

もちろん、事件の背景は全く異なります。しかし『有名な場所で、効率良く、多くの人を殺傷してアピールする』という方法論において、近年多発しているテロと、非常に共通点が多いのです。

あの事件は、多くの人で賑わう秋葉原の歩行者天国にレンタカーの2トントラックで突っ込んで数人を轢き、衝突して停止した後は、下車してダガーナイフ(殺傷に特化した、致命傷を与えやすいナイフ)で手当たり次第に刺すという方法でした。

すなわち、犯人が入手することができた『最強の武器』を、最も効果的な場所で使った、ということです。もしトラックが走り続けられていたら、さらに多くの人を轢いていたでしょう。


今回のニース事件は、映像によれば5~7トンくらいの中型トラックで、人混みの中を2km以上暴走しています。

その後、警察に阻止されていなければ、犯人はおそらく下車して、銃や爆弾でさらに被害を拡大させるつもりだったのでしょう。

それは、秋葉原事件と全く同じ方法なのです。ただ、より大型のトラックと、ナイフの代わりに銃と爆弾が使えたから使った、ということです。

テロリストにとって、銃や爆弾の入手や隠匿には、発見される大きなリスクがあります。しかしトラックは、それ自体は誰にも怪しまれないし、法的な問題も無いものの、その対人殺傷力は、我々が日常的に使えるものの中で、おそらく最強でしょう。

それは誰でも考えつくことでもありますが、秋葉原事件が、テロリストにそういうヒントを与えてしまった可能性も否定できないと、管理人は考えています。

とても皮肉なことですが、もし秋葉原事件があまり知られていない街で起きたなら、これほど有名にはならなかったでしょう。

有名な秋葉原で起きたからこそ、ここまで世界的に記憶にも記録にも残っているのであり、それが恐怖の拡散と伝播を目的とするテロ行為の“本質”そのもの、ということなのです。


これからのこと


別に自慢したいわけではありませんが、当ブログでは、最近我が国でも多発している、人の中に故意に車で突っ込む行為も、背景は異なっても、同じテロ行為だと指摘しています。

車を使うテロ行為は、実行者が「その気になれば」いつでもどこでも可能であり、一連の自動車テロにより、そのハードルはどんどん下がっていると感じています。

背景にいかなる思想や精神があろうと、人の中に車を突っ込ませるテロ行為は、その“手軽さ”から、これから確実に増えて行くでしょう。


そこから逃げる方法はただひとつ。『轢かれなければ良い』のであって、これが刃物による無差別殺傷ならば、『犯人に接近しなければ良い』のです。

繁華街や観光地などの人混みにいる時は、常に周囲の状況を見て、頭の隅で「ここで何か起きたら、どう動くか」をシミュレーションしておくしかありません。

そのような無差別テロの場合、悲鳴や混乱が起きたのを認識しても、しばらくは何が起きているのか把握できないでしょう。そうして動けないでいるうちに、人混みの向こうから車が突っ込んで来るか、刃物を持った人間が現れる。

ですから、何か異常な騒ぎを察知した時点で、日本国内だったら、とりあえず車の突入か刃物による通り魔か考えて、全速で距離を取る、道から外れる、遮蔽物があれば隠れる、建物内に入るなどの行動を考えておくと良いでしょう。 何か異変を感じたら、とにかくこう動く、という行動を決めておくのです。

自分が最初のターゲットでも無い限り、それだけでかなりのリスクを避けることができるはずです。なぜなら、無差別殺傷犯は、最もやりやすいターゲットを狙うからです。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

2016年7月14日 (木)

【東京防災ってどうよ10】ここがダメなんだよ【6】(#1222)


『東京防災』にツッコむ6回目ですが、まだ終わりははるか先ですw今回のネタは、1本のみ。とても大切なことなのに、またもややっつけ仕事なので。


【054ページ】在宅避難のすすめ


Stayhome
自宅で居住の継続ができる状況であれば、在宅避難をしましょう。避難所では、環境の変化によって体調を崩す人もいます。事前に自宅の耐震化を行い、食料や水など必要な物を日頃から備え、可能な限り在宅避難できる準備を備えておくことが大切です。

これ、ごもっともなんですけどね。

まず大前提として、特に東京都を始めとする大都市圏の多くで、『住民全員が必ずしも避難所に入れるわけではない』ということ、ご存じでしたか?

人口密集地では、地域の人口に対して災害時に避難所となる学校やホールなどのキャパシティが足らないことが多いので、耐震性の高い家が多い新興住宅街や、マンションなどの住人は、最初から避難所に収容する人数にカウントされていないことが、かなりあります。

でも、被災時に避難所へ行っても追い返されたりはしないでしょうが、避難所が溢れてしまったら、在宅避難か他所への移動を要請されることもある、ということです。ご自宅が避難所収容対象地域かどうかは、お住まいの自治体の防災課などに確認してみてください。

大都市圏では、多くの場所で避難所が足りないという現実があるので、こういう内容が書かれているわけです。言うまでもなく、東京都は“日本で一番避難所が足りない”地域なのです。


それでも避難所へ行く


1995年の阪神・淡路大震災後から指摘されていましたが、地震であまり被害を受けなかった家の人も、多くが避難所へ入りました。それは、その後の地震災害でも同様のことが起きています。

その最大の理由は、「余震が怖いから」

損傷を受け、部屋の中はぐちゃぐちゃで、しかもインフラが止まった家で、多発する余震に堪えるのはとても恐ろしいことですし、二次的な倒壊の危険もあります。 非常にレアケースではありますが、熊本地震のように震度7が2連発ということも、現実に起きています。

家にあまり被害がなく、在宅避難が可能な人でも、余震が怖いからと自宅駐車場の車の中や、庭にテントを張って生活していたことも多かったのです。それくらい、大地震で被害を受けた後の余震は、精神的にキツいわけです。

それに、周囲で居住不可能の家の人は避難所へ行って近所の人口が減り、水もガスも電気もなく、夜は真っ暗。火事場泥棒や性犯罪者に遭遇する危険もある。

そんな中で堪えるのは、仮に余震が無くても、できれば誰もやりたくありません。テキストでは、避難所では環境の変化で体調を崩す人もいるから、慣れた居場所で落ち着いて過ごせ、だからできるだけ避難所来るな、というニュアンスですが、災害後は自宅が全然落ち着けないから避難所へ行きたくなるという、実は逆の話なのです。

でも、多くの場所で避難所が足りません。そんな現実に一切触れずに、できるだけ避難所来るなと言うのも、どうなのでしょうか。

行政の不備や後手は、隠匿するということでしょうかね。でもこれは行政の手抜きとかじゃなく、人が多すぎるんだからしょうがない、ということなのですが。


在宅避難のデメリット


在宅避難は、慣れた居場所であるという以外に、メリットがかなり少ないのです。列挙しましょう。

■インフラ停止下では、情報が入ってこない。特に、地域の情報がわからない。
■町内、マンション単位などで在宅していなければ、人が減って話し相手も減り、互助体制ができず孤立することもある(災害後は、話し相手の有無がとても重要なのです)。
■街を監視する人目が減り、治安状態が悪化しやすい。
■避難場所が行政に把握されず、避難所に集約される支援物資、水などが分配されないことがある。分配されても、避難所から運搬する手間がかかる。
■家の中で体調を崩したりケガをしたりしても、発見されない可能性がある。

ざっと考えても、こんなにあります。『東京防災』のテキストでは、避難所は居心地が悪い→在宅避難は備蓄があればできる→だからやっとけ、という話ですが、避難所へ入りたくなるのは、備蓄の問題ではないことがおわかりいただけるかと。

その裏に、避難所不足という問題があることを隠しているのがイヤらしいのですが。

ともあれ、避難所はプライバシーが保てず、ストレスが多いのは確かなものの、情報や支援物資の到着が早く、何よりも、同じ体験をした人がたくさんいる場所です。

被災後で不安な時は、人がたくさんいる場所が安心、という心理が働きます。だから、人は駅前とかにも集まる。

備蓄にしても、自力でまかなえるのはせいぜい3日間から1週間。その後は公的支援を受けながらということになると、在宅避難の困難さが増して行くのです。

そういう現実を無視して、備蓄さえあれば在宅の方が楽、みたいに思わせるような内容を、管理人は糾弾します。

これは監修者だけの問題ではなく、避難所の不足という現実を書かないようにという、“天の声”が降りて来ているのを感じます。

実は自分が避難所の収容人数にカウントされていないということを都民に知られると、対応不可能なのに苦情が増えるという“不都合な真実”なのでしょう。


ならばどこへ行こうか


いくら備蓄があっても、家が危険になれば、避難所へ入るしかありません。それは、堂々と主張できる権利です。

しかし、大都市圏の多くの避難所は、キャパシティを超える人数が詰め込まれることは間違いありません。一時的には、帰宅困難者まで面倒を見ることになるかもしれませんし。

つまり、かなり劣悪な環境になるということです。特に、当初のトイレはルールも秩序もなく、掃除する人もいないとなれば、どうなるか。

自宅ならば、ビニール袋を使うだけで快適な環境が保てますし、便所理剤やマンホールトイレなどがあれば、さらに快適です。それに何より、人目を気にしなくて良いのです。

家が損傷していても、トイレだけは自宅へ帰るという例も多いのです。


こんな話もあります。阪神・淡路大震災では、断水下で損傷した無人の家のトイレに侵入して用を足し、タンク内に残った最後の水で水洗して去るという、後に『トイレハンター』と呼ばれた人も多かったとか。

もちろん、それは不法侵入と水の窃盗に当たる犯罪行為ですが、どこか憎めない話ですね。なにしろ、それくらい清潔なトイレを渇望する状況になるということなのです。それを考えただけでも、在宅できるならする、という選択肢を取りたくなります。


しかし結局のところ、居場所がなければ避難所のお世話になるしかありません。

なにしろ、在宅避難の現実的なメリットもデメリットも明らかにせず、体調がどうのというくらいの理由で在宅を勧める『東京防災』、都民をバカにしているんじゃないかと考える管理人は埼玉県民ですがw

まずは、ご自分が本当に避難所に入れるのか、入るならばどこなのかを、お住まいの自治体に確認されてはいかがでしょうか。


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2016年7月13日 (水)

【東京防災ってどうよ09】ここがダメなんだよ【5】(#1221)

『東京防災』にツッコむシリーズ、今回はもう5回目ですよ。


【048ページ】人混みはパニックに注意


Panic
人混みの中で突然走り出すなどの行動がパニックを引き起こし、事故になる危険も。不正確なうわさや譲歩の流布によるパニックを防ぐために、まわりの人に配慮した行動を心がけます

パニックについては前記事でも触れていますが、大切なことなのでもう一度。

上記の内容では、あくまで『パニックを引き起こさないように、ひとりひとりが周りに配慮した行動をしましょう』ということですね。

しかし現実には、特に発災直後の恐慌状態に於いて、他に配慮できる状態の人はごく僅か。

例えば、強い余震が来て、思わず悲鳴を上げそうになった時、周囲にパニックを引き起こすかもしれないからやめておこう、今の居場所は危険だから、別の場所へ向かって駆け出すのはやめておこう、などと考えて実行できる人がいるのですか?

ネットで流れたけど裏の取れない、正しいかわからない情報を、これが広まったらパニックになるからと、拡散や口伝をやめた人がどれだけいるのですか?

所詮、机上の空論に過ぎません。過去の災害で出来なかった、人間心理を考えれば、これからも出来そうもないことを、“そうあるべきだ”というだけで指導しても、なんの効果もありません。


君子危うきに近寄らず、だよね


そんなできもしないことより、『パニックが起きたらどうするか』を考えなければなりません。

しかし、密集した群集の中にいてパニック状態になったら、安全確実な対処法は存在しません。右往左往、猪突猛進する群集に流され、突き飛ばされ、踏みつけられるのです。

そこでできることはただひとつ。

『最初から群集の中に入らない』

ということだけです。

指定避難場所など、ある程度安全が確保されている場所ならまだ良いのですが、例えば東日本大震災後の都内で見られたように、大きな駅前に立錐の余地も無いほど集まった人々の真ん中に、あなたがいたら(実際にいた方も多いでしょう)
Kitakukonnan
Kitakukonnan2

想像してみてください。もしここで、強い余震が起きて、ビルからガラスや外装材が降り注いだら、飲食店や下水道に流れたガスに引火して爆発が起きたら、あなたが直接の被害が無い場所にいたとしても、何が起きますか?

最近多発している、空港などの爆弾テロから逃げ惑う人々の映像が、いろいろ公開されています。あれが、本当のパニックです。そして、災害直後の群集は、あれより人の密度が何倍にもなっているのです。 その中で、あなたは無事でいられますか?

ですから、群集からは常に距離を置く、駅前などで待機する場合は、群集の端の方に位置を取り、いつでも群集から最初に離れられる、行動の自由を確保しておくのです。

ただ端にいるだけでは、後から来る人々に中の方に押し込まれますので、それをかわしながら、常時同じ場所を確保しなければなりません。群集が膨れ上がれば、どんどん外側へ移動するのです。

それでは電車やバスが動き出した時に、乗る順番がどんどん遅くなる?その通りです。そこで、早く帰れることと踏みつぶされるかもしれないこと、どちらに重きを置くかは、あなた次第です。

もっとも、ほとんどの公共交通が止まるような大地震では、待っていればそのうち動き出すというレベルの話ではありませんが。


群集のパニック対処法については、当ブログでは今まで何度も指摘していますが、他にあまり同様の話を見かけません。『みんなで配慮しあえばパニックは防げる』なんて脳天気に信じていたら、ひどい目に遭うのは、あなたですよ。

でも、悲しいけどこれ、東京都の公式指導なのよねえw


【050ページ】落下物から身を守る


Falldown
住宅地では屋根瓦やエアコンの室外機、ガーデニング用プランターなどの落下で負傷したり、命を落とす危険も。繁華街やオフィス街では、看板やネオンサイン、ガラスの破片などの落下に注意しましょう。

例によって、文末が『注意しましょう』だけで、どのように注意するかが一切無いのですが、今回はそこではありません。

まず、過去の地震災害で、普通の住宅街において落下してきたエアコンの室外機やプランターの衝突で負傷、死亡した人がいるのでしょうか?というか、一般家屋のプランター、普通道路まで落ちますか? ヨーロッパみたいに、窓が花壇になっているような家など滅多にないでしょう。

仮に少数いたとしても、わざわざ書くようなことではありませんね。住宅街の主な危険は、屋根瓦の落下とブロック塀や石塀、灯籠などの倒壊であり、多くの犠牲者がでています。

一番危険なのは塀の倒壊に巻き込まれることですが、ここではテーマが『落下物』なので記述なしw(壁の倒壊に関しては別章に記述がありますが、まあ現実的ではない、理屈っぽい分類ですね)


あれを忘れてないか?


繁華街やオフィス街では『看板やネオンサイン、ガラスの破片など』となっていて、それは間違いありません。

でも現実には、それよりも落下して来る確率が高いものがあり、それはビル街ならばどこでも起こり得ます。新しいビルばかりの場所も、例外ではありません。

その危険は、外壁材。

ビル街で周りを見てください。外壁に陶器や石材などの外壁装飾用タイルや板を貼っているビル、すごく多いですよね。それがはがれるのです。古いビルならば、外壁の吹き付けモルタルなどがはがれて落下してくる可能性が、非常に高くなります。

地震でなくても、時々外壁の剥落事故がニュースになります。古いビルの場合、セメントや接着剤が劣化したり、ヒビが入っている場所が、実はとても多いのです。

比較的新しいビルでも、施工不良の場所が現実にありますし、それ以前に、外壁に化粧タイルや石板を貼り付けるという工法自体が、激しい地震の揺れに対して完全では無いかもしれません。
Building
上画像は、東京・西新宿のビル街ですが、写っているビルのほとんどが、外装材がガラスもしくは化粧タイル、石材などを貼り付けた仕上げになっています。もちろん、すべてが新耐震基準の比較的新しいビルですが、ほぼすべてのビルから、外装材が剥落する可能性があると言っても良いでしょう。

細かい理屈はともかく、過去の地震災害で、新しいビルの外壁材があちこちで落下しているのは、紛れもない現実なのです。

ですから、繁華街やオフィス街でなくても、3階建てくらいの小さなビルでも、外壁材は落ちてくるものだという前提で考えなければなりません。

注意しろではアレですから、前記事の基本的対処方法を再掲します。

■歩道などビルからの落下物の飛散範囲から離れる
■バッグ、上着や腕で頭と首への直撃を避ける
■移動時は、周囲だけでなく上方も視認する


今回はここまで。まだまだ、ネタは山ほどありますよ『東京防災』


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【東京防災ってどうよ08】ここがダメなんだよ【4】(#1220)

『東京防災』にツッコむ、4回目です。さて、あと何回続くんでしょうかねw


【034ページ】百貨店・スーパー・コンビニ


Conbini
百貨店、スーパー、コンビニでは商品の散乱やショーケースのは層などに注意して、階段の踊り場や柱の近くへ。コンビニでは買い物かごをなどをかぶり、身を守ります。

スーパーやコンビニが大地震に遭遇した時の映像は、報道やネット上でたくさん公開されています。

そんな映像の一例です。 1995年の阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)で、震度7に達した地域のコンビニの状況です。激しい音がしますので、再生音量にご注意ください。

映像を見ると、震度7クラスの場合でも、重心が低い陳列棚が倒れる可能性は、それほど大きくないことがわかります。しかし、棚は床の上を激しく動き、商品が一気にバラ撒かれます。

陳列棚の近くにいたり、棚を押さえようとしたりすると、激しく動く棚に“体当たり”を食らい、吹っ飛ばされる危険がありますから、強い揺れを感じたら、通路の交差点などなるべく広い場所へ、それが間に合わなければ、『通路の中央部』で、陳列棚からできるだけ距離を取ります。

特に、酒類などガラス瓶が多い売場に大きな危険があり、上のイラストも、そういうイメージなわけです。

しかしその際、“防災トリビア”として有名な、買い物かごで頭部を守るという行為が、どれだけ身を守ってくれるのでしょうか。 上動画のような状況で、そんなことができますか?

イラストでは、しゃがんだ状態でガラス瓶が落ちてくるという、一番危険な状態が描かれていますが、買い物かごかぶる前に、棚から距離を取る、ということを最優先するべきなのです。 しかし実際には、それほどのスペースが無いことも多いのが現実ですが。


できる人、やった人はいるのか?


管理人は、過去記事の中で、こう指摘しました。 (関連記事は文末にリンクします)

スーパーで大地震に遭った人で、実際に買い物かごで頭を守った人、ましてやそれで命拾いした人は、ほとんどいないのではないか。

現実の場面では、買い物の途中であり、地震が来たからと言って、かごの中の商品をとっさに床にぶちまけて頭にかぶれる人が、果たしてどれだけいるのか、管理人には無理だとも。

さらに、スーパーでは空のかごは大抵出入り口近くにあるので、それがすぐ手に取れる場所にいる人は、揺れがひどくなる前に、屋外に脱出する方を優先せよと。

すなわち、強度と衝撃吸収性に優れ、防護面積も広い、“防災トリビア”としては優れたネタとなる買い物かごも、実際の場面ではほとんど使えない、そんな記事は、興味を惹くだけに過ぎないと指摘したのです。実際、そうじゃありませんか?


ところが、まだこんな内容が堂々と。でも上のテキストを良く見ると、『コンビニでは買い物かごなどをかぶり』と、コンビニ限定なんですね。

コンビニでは買い物かごを使うことは少なく、でも、それほど広くない店内に何カ所かに空のかごが置いてあって手に取りやすいから、ということでしょうかね。

これは、長いこと“定番”としてきたことが、スーパーじゃ無理だと認めた、ということでしょうか?

まさか、当ブログの記事が影響したんでしょうか?wwwいや冗談じゃなくて、ネタ元が素人のブログだろうとそういうことがあり得るほど、安易な受け売りがはびこってるのが、この防災って世界なんですよ。

何度でも言う。監修者出て来い。


加えて、百貨店・スーパーでの初動にしても、『階段の踊り場や柱の近くへ』というのもどうかと。

強い揺れが来た時に、たまたま階段の踊り場にいる人なんて、買い物につき合われて疲れたオトーサンかお年寄りくらいでしょうw

柱の近くというのは、天井材が落ちにくい場所であるということと、建物が崩壊するという最悪の場面でも、生存空間が残りやすい場所、ということなのでしょう。

でも、百貨店・スーパー店内を思い出してください。柱の近くは棚の近くなんですよ。

それ以前に、百貨店などの実際の避難訓練では、激しい揺れが来たら、まず客をなるべく広い通路の中央に誘導し、頭を守りながら姿勢を低くさせる、ということが行われており、管理人もそれが一番合理的で安全な初動だと考えます。

なのに、『東京防災』様にはこんなことが堂々と。だから、監修者なんか言えよ。

ついでに付け加えれば、このネタなど、自分で買い物カゴをもって買い物なんか滅多にしないオッサン連中が頭だけで考えたことですよ。現実には、女性がこういう状況に陥る可能性が高いわけですよね。でも、女性目線は皆無。

女性目線でなくても、買い物カゴに強度があっても、激しい揺れの中で両手を使ってかぶるなんて、できやしないわけです。せめて、起震車の上でもやったことがある『専門家』は、ぜひ反論してくださいw

この世界、こんなのばかりだ。


【035ページ】地下街


Subground
停電で多くの人がパニックになり、非常口に殺到すると負傷の危険があります。落ち着いて落下物から身を守り、柱や壁のそばでゆれが収まるのを待ちます

なんと、ツッコむことはありません。おおむねその通りです。

管理人も、過去記事では地下街で強い揺れを感じたらすぐに動くな、通路の端に位置を取り、パニック状態の群集をやりすごす余裕を持て、としています。地下街は、地震でぺちゃんこに潰れることはまず無いのです。

イラストも、なかなか現実的です。地下街にはいろいろな店舗やショーウインドウがあり、出火、商品やガラスの飛散などの危険があるわけで、パニックに加えて、それらの危険からも身を守らなければなりませんが、そういう状況が描かれています。

ではなんでピックアップしたかというと、後ページにある関連記事で、ブチ壊しになっているからなんですよ。


トリビア書きたいばかりに机上の空論が


048ページには、各種の危険から避難する方法をまとめた『安全避難チェックポイント』というコーナーがあります。

その中の一項目で、せっかくの正しい情報を、なんと自己否定してしまっているという。これも、目を惹きやすい“トリビア”を出したいがための矛盾です。

そこには、こうあります。

【地下では壁伝いに移動】
停電した地下街は、パニックが起こる可能性が高い場所のひとつ。地下街には60mごとに非常口が設置されているので、ひとつの非常口に殺到せず、壁伝いに歩いて避難します。

Wall

地下街の出入り口が、最長でも60mごとに設置されているのは、建築基準法で定められた全国共通の基準です。ですから、暗闇でも壁伝いに進めば必ず60m以内に脱出口にたどりつける、という“指導”が、昔からの定番でした。

でも、ひとつ前のイラスト、ショーウインドが割れていましたよね。それだけじゃなく、商品や什器が通路まで散乱するでしょう。言うまでもありませんが、実際の地下街はこういう感じです。
Subgroud2
これは大阪の梅田地下街。まあ、どこでも似たようなものですね。

一体どこに伝って歩ける壁があるんだと。

過去記事でも指摘していますが、暗闇で壁伝いに進める場所など、地下駅のコンコースなどごく一部に過ぎません。

これなど、『壁伝いに進めば60m以内に出口にたどりつける』という“定番トリビア”を書くために、壁があって危険物も無いという話になってしまっているし。 前の関連記事を自己否定してます。

ただ『60m以内に出入り口がある』とだけ書き添えて置けば良かったのにね。


現実には、地下街は停電しても非常灯が点灯するでしょうし、それが無くても、地下店舗には非常用照明が用意してもあるでしょう。

さらに、スマホや携帯電話の明かりもありますから、完全な暗闇を手探りで移動するということは、現在ではまず無いわけです。

実はこのネタ、スマホどころか携帯電話が普及する前、すなわち個人が明かりを持っていない時代からずっと生き残っている“定番トリビア”というわけで、目を惹くネタのためには現実も曲げるという、これも防災の世界に良くある話というわけです。

まだまーだ続きますよ。

■関連記事リンク■
☆再掲載☆買い物編01【首都圏直下型地震を生き残れ!8/54】
☆再掲載☆買い物編02【首都圏直下型地震を生き残れ!9/54】
☆再掲載☆買い物編03【首都圏直下型地震を生き残れ!10/54】

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2016年7月12日 (火)

八丈島近海で連続地震(#1219)

Image

本日7月12日の午前5時台から7時台に、八丈島近海で小規模地震が3回連続しています。

3回とも震源深さ10km程度、マグニチュード4台半ば、神津島で最大震度1を観測しています。

一連の地震が、今後どのような活動につながるのか、このまま収束して行くのかはわかりませんが、八丈島付近では、近年あまり見られなかった活動です。

念のため、さらに大きな地震の前震である可能性を考えて、警戒レベルを上げるべき状況かと考えます。

仮に、この震源深さでマグニチュード6台後半以上の地震が起きると、八丈島などで震度5弱以上となり、津波が発生する可能性があります。

その場合、八丈島には数分以内に、関東地方沿岸部にも30分以下で到達するものと考えられます。


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2016年7月10日 (日)

【東京防災ってどうよ07】ここがダメなんだよ【3】(#1218)

『東京防災』の誤りや不備にツッコむ、3回目です。なお、このシリーズはかなり長くなりそうですので、専用カテゴリ【『東京防災』ってどうよ】に、過去に遡ってまとめさせていただきます。


この『東京防災』、どうにも記事の表現に疑問を感じることが多いのです。重箱の隅をつつくようですが、大切なことなので、がんがん指摘します。


【028ページ】繁華街


City2
落下物から身を守り、ビルの倒壊にも注意しながら、公園など安全な場所へ。広い所へ逃げる余裕が無い場合には、耐震性の高い比較的新しい鉄筋コンクリートのビルに逃げ込みます。人混みで最も怖いのがパニックになることです。人の多い場所こそ、冷静な対応が求められます。

繁華街の屋外で大地震が来たら、最大の危険はガラス、看板類、外装材などの落下物です。なのに『落下物から身を守り』だけですか?どうやって守るのですか?

ここで必要な行動は、
■歩道などビルからの落下物の飛散範囲から離れる
■バッグ、上着や腕で頭と首への直撃を避ける
■移動時は、周囲だけでなく上方も視認する

特に、ビル前の歩道など最も危険な場所から、最低でも10m以上の距離を取ることが必要です。


『人混みで最も怖いのがパニック』、その通りです。でも、『冷静な行動が求められます』って、みなさんパニクらないでくださいね、冷静にね、と言っていて、それができると思っているのでしょうか?

群集の秩序が保たれている状態でも、余震、爆発や、時にはひとりが上げた悲鳴がきっかけで、群集が一気にパニック状態に陥ることがあります。それがコントロールできるのならば、苦労はしません。

パニックの危険を回避するためにできることはただひとつ、群集に近づかないことしかありません。

駅などに集まっている群集の中には入って行かず、最低でも群集の辺縁部に位置取りして、パニック発生時の行動の自由を確保しておかなければなりません。


【029ページ】学校


School
教室で身を守るためには、飛散した窓ガラスの破片や照明器具の落下を避けるため、窓から離れ、机の下に隠れ、脚を持って揺れが収まるまで待機します。廊下ではすぐ窓から離れ、階段では転げ落ちないよう手すりにつかまります。揺れが収まったら、先生・教師の指示に従って行動しましょう。

もうお気づきでしょう。イラストのような一般的な教室で、『窓から離れ、机の下に隠れ』ということが両立できない場所があります。みんな大好き窓際列の子は、危険に晒されても止むなし、ということでしょうか。

イラストでは、大型テレビが吹っ飛んで来ていますし、実際に起こるでしょう。窓ガラスより危険とも言えます。席の場所によって、危険度が大きく異なるのです。

この文は生徒向けですが、それより学校側にガラスの飛散対策や備品類の固定を徹底させることが先決。東京都が予算つけてくれるんでしょwそれが完全ならば、何も無理に窓から離れることもありません。

それよりも、机上だけの発想で、同時にできないことを平然と“指導”している姿勢を疑いますね。

だから監修誰なんだよ。

せんせーい、イラストの真ん中の男の子、机の脚を持っていませーん。いけないとおもいまーすww


【030ページ】駅


Station
落下物などから身を守り、ホームから転落しないよう近くの柱に移動。混雑して身動きがとれないときは、うずくまって揺れが収まるのを待ちます。地下鉄の場合、いち早く地上に出ようとしてパニックになる危険も。ホームから線路には絶対に下りず、揺れが収まったら駅員の指示に従います。

また出た『落下物などから身を守り』。やり方はイラストでご覧ください、ってことですかね。

駅のホームで一番落ちて来やすいものは、蛍光灯でしょう。他に駅名票、時刻表など、鋭い金属とプラスチックの破片となる、かなり危険なものもあります。

いちばんおかしいのは、混雑して身動きできなければ『うずくまって揺れが収まるのを待つ』と。身動きできない混雑では、うずくまることなんかできません。

ひとり当たりの占有面積が一気に2~3倍になりますから、みんながやれば、確実にホームや階段から人がこぼれ落ちるでしょう。

ギリギリ、片膝または両膝をついて踏ん張るくらいでしょう。イラスト左側の、上着をかぶった人のように、しゃがんだだけでは強い揺れで確実に転げ回ります。

ハイヒールを履いている場合は、どうしてもしゃがむ形になりやすいのですが、揺れが激しく、つかまる場所が無い場合は、思い切って膝をつくことです。


【031ページ】電車内


Train
強い揺れを感知すると電車は緊急停車するため、人に衝突したり倒れる危険があります。座っていたらカバンなどで頭を保護し、立っている時は姿勢を低くして身を守る。満員電車では手すりやつり革にしっかりつかまり、足を踏ん張って倒れないように。揺れが収まったら、乗務員の指示に従います。

意味不明。『座っていたらカバンなどで頭を保護し』って、何のため?電車は、激しい揺れの中で非常ブレーキをかけて急減速中です。車内で落ちて来るものは、網棚の荷物くらいですが、座っている人の頭部を直撃するようなことは、ほとんど無いでしょう。

それより、ひとりで座っていたら椅子から転げ落ちるかもしれませんし、満員だったら、思い切り圧縮されます。ですから、必要なことは両足を思い切り踏ん張って、手すりなどに手が届けば掴まって、身体を保持することです。

揺れと減速Gの中で、重いバッグを頭の上に上げていること自体が困難でもあります。もし電車が脱線したら、凄まじい減速ショックが来て、場合によっては身体ごと吹っ飛ばされます。その段階でバッグを頭の上に保持することなど、全く不可能。

それでも、ある『防災の専門家』は、「電車が脱線転覆したら、頭を守れ」とか、暢気なことを言っていたりしますし。その程度の『専門家』が監修したんでしょうね。

なお、電車の中で大地震が来た時の基本は、とにかく掴まる、できるだけ姿勢を低くして重心を下げる、の2点です。そうすることで乗客同士による激しい圧縮に耐え、万一転覆した場合でも、怪我の程度を軽くできる可能性があります。


という感じで、細かく見ればおかしな事、できない事、役に立たないことが、『東京防災』には山ほど書いてあります。

これからもどんどんツッコみますよ。

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東京都防災ホームページ

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2016年7月 8日 (金)

テロ関連記事リンク集(#1217)

Dacca2
ダッカ事件では、装甲車を使った突入作戦「サンダーボルト作戦」が行われた


バングラデシュの首都ダッカで発生したテロ事件で日本人が犠牲になってから、当ブログのテロ関連の過去記事に多くのアクセスを頂戴していますので、関連記事のリンク集をお送りします。

なお、過去記事では銃撃や爆弾によるテロ事件に遭遇した場合を想定しておりますが、今回のダッカ事件のように、テロリストに身柄を拘束されてしまった場合には、有効な対処法はほとんどありません。

ただ、相手の指示に従いながら救出を待つしかありませんが、その時何が起こるかは、状況次第です。

治安部隊が突入して来る時は、多くの場合、英語もしくは現地語で『Heads down,heads down!』(頭下げろ!)と言いながら突入してきます。言葉がわからなくても、突入が始まったらすぐにべったりと床に伏せるか、できるだけ頭を下げます。

これは、流れ弾に当たる可能性を減らすだけでなく、治安部隊側からは、反撃する意思のある者を一瞬で区別するために行われるものです。その時立ったままでいたり、身を縮めていない者は、反撃の可能性があるテロリストと判断されて、射殺される可能性があります。

過去のハイジャック事件でも、治安部隊が機内に突入したとき、恐怖で立ち上がってしまった乗客が犯人と誤認されて、射殺されしまったこともあります。


テロ関連のリンク集です

上から、新しい順になっています。

テロは対岸の火事なのか?(#1215) 2016/7/4

ベルギー・ブリュッセルで連続爆破テロ(#1159) 2016/3/23

【パリ同時テロ関連05】最後はあなたの判断と行動です(#1090) 2015/11/24

【パリ同時テロ関連04】いつどこで何が、そしてどうすれば?(#1089) 2015/11/19

【パリ同時テロ関連03】そして、我が国の状況は(#1088) 2015/11/18

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海外で生き残れ【アルジェリア・テロ事件に寄せて】 2013/1/26


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【東京防災ってどうよ06】ここがダメなんだよ【2】(#1216)

『東京防災』の誤りや不備にツッコむ2回目です。


【024ページ】浴室


Bath
裸でいる浴室はケガをしやすい場所です。鏡や電球などのガラス類の飛散から身を守るため、洗面器などを頭にかぶり、すぐに浴室から出て安全な場所に移動します。

入浴中の地震、考えるだけで怖いですよね。で、『東京防災』での対処法が、上記太字部分です。どう思われますか?


浴室内での最大の危険は、その通りガラス類です。特に鏡の落下が怖い。でも、天井や壁に取り付けられた電球類が地震で割れた落ちたという話、聞いたことありますか?管理人はありません。

それに、浴室の照明はほぼ例外無く、軟質樹脂製の防水カバーがついているはず。電球の飛散は、まずあり得ないでしょう。ごくまれにはあるかもしれませんが、主な危険とは言えません。

浴室は、一般的には比較的狭い空間に柱や壁が集まっているので、構造強度的には比較的強い場所でもあります。

マンションなどのユニットバスの場合、鉄筋コンクリートの躯体構造の中に、強化プラスチック製のバスユニットが組み込まれていますから、建物が完全崩壊でもしない限り、天井の剥落などもなく、かなり安全性が高まります。

さらに、バスタブという強固な『シェルター』もあります。

天井や梁が落ちるような場合でも、バスタブの中に入れば、生存空間が残る可能性が非常に高くなります。自力脱出できなくなる可能性もありますが、最悪の場合の逃げ場はある場所なのです。

木造家屋の場合は、完全崩壊したとしても、バスタブまで押し潰されることはまずありません。 そしてバスタブは、大竜巻の場合の最後の逃げ場でもあります。

しかし、何より入浴中の最大の問題は、素っ裸だということですね。それが、避難行動の遅れに繋がりやすいのです。


ピントのズレとやっつけ仕事


それに対処する方法が、冒頭の太字部分だそうで。

浴室で洗面器を頭にかぶれという話、管理人は『東京防災』で初めて見ました。そんなことしても、鏡の落下、飛散には何の効果も無い。鏡でやられるのは、腰から下です。

一戸建てだと窓の大きな浴室もあり、ガラスの危険はさらに大きくなりますが、洗面器ヘルメットに何か意味がありますか?

そして上記の通り、照明器具は大した危険ではない。どうも、洗面器はヘルメット代わりに最適という“トリビア”を書きたいがために、照明器具という頭上の危険をわざわざ作り出したようにしか見えないのですが。

監修した奴出てこいよ。


で、洗面器ヘルメットをかぶってどうするかというと、ほら出た『安全な場所に移動します』だって。

だから『安全な場所』ってどこなんだよ。それぞれの家で違うから特定の場所は書けない?書いちゃって、それに従った人が負傷して、後で訴えられたりしたらマズいから書かないということ?

それに、ここでは揺れている最中に浴室からの脱出を勧めているようですが、洗面器ヘルメットで片手が塞がれ、素っ裸で全身無防備のまま、おそらく停電している中を『安全な場所』へ移動しろと?

仮に、監修者がこれ以上の詳細を書きたくても、割り当て文字数が少ないから書けないわけですよ。

こんなやっつけ仕事で、誰の命を守れるというのでしょうか。


だからこうしろという話


ではどうするか。

浴室は前述の通り、建物の構造的には、比較的安全度が高い場所です。大昔の灯油式風呂窯とかでも無い限り、火災の危険も小さいでしょう。

しかも素っ裸で、窓が無いことも多いので、停電すれば昼間でも真っ暗になる。 そのような条件下での、効果的な避難行動とは。


まず、慌てて飛び出すことは避けるべきでしょう。洗面器をかぶりたかったらどうぞ。でも管理人ならば、片手が塞がれる方がイヤですね。

素っ裸で無防備、停電で視界も限られる中、揺れる居間などに戻ることは、危険極まりありません。まず浴室及び脱衣所で、脱出体制を整えるべきです。

そこで必要な要素は2つ。
■停電下での視界を確保する
■屋外脱出できるレベルまで最短時間で身支度する


まず、暗くなりがちな脱衣所には、暗くなって人がいると点灯する、人感式センサーライトは必須でしょう。壁につけておいて、脱出時には外して持って行けます。1000円くらいから市販されています。

脱出前に、脱いだ服を着られる余裕があれば良いのですが、脱出が必要な規模の地震の場合、まず無理です。

そこで、脱出専用と割り切って、丈が長めのガウンやバスローブ、コート類を、脱衣所に常備しておくことをお勧めします。足の防護のために、スリッパなど履き物も必須。

寝室などにスリッパやスニーカーをとは良く言われますが、一番無防備な浴室は、ほとんど無視されてますね。


そこまで備えている上で、揺れている最中に動けなかったら、浴室から脱衣所のスペースで持ちこたえるべきです。

ただ、脱衣所に洗濯機や乾燥機がある場合、それが最大の危険です。倒れて来たり、最悪の場合吹っ飛んで来る可能性もあります。

ですから、浴室内で待機という選択肢も十分にあり得ます。もちろんこれは、すぐに倒壊しない程度の耐震強度が見込める建物の場合ではありますが。

それでも、倒壊が始まって逃げ場を失ったら、最後にはバスタブに飛び込むことです。

多くの場合で、浴室は廊下に面しています。モノが少ない廊下に出られれば、そこは屋外にも直結する、かなり安全な場所です。その時点で、ガウンなどを着ていて、スリッパを履いていて、手にはライト類があれば、その後の行動の自由度が、素っ裸の盲目状態とは比較にならないわけです。

入浴中の大地震に対処するためには、このくらいは必要ということです。

それを200文字かそこらで収めようというだけで、もうダメダメなんですよ『東京防災』は。しかも、いらん事まで書いてあるし。

まだまだ続きます。

■『東京防災』は、東京都防災ホームページからデジタル版が閲覧できます。また、PDF版や電子書籍版も無償で配布されています。詳しくは下記リンクからご覧ください。

東京都防災ホームページ

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2016年7月 4日 (月)

テロは対岸の火事なのか?(#1215)

Dacca
我が国でも過激思想信奉者のテロが起き得るのか?(画像はダッカのテロ事件現場周辺)


バングラデシュの首都ダッカで、繁華街の飲食店が襲撃され、日本人を含めた外国人を中心に、多数の犠牲者が出ました。

その他にも、世界各地で爆弾・銃撃テロが頻発しています。

当ブログでは、過去記事で爆弾・銃撃テロに遭遇した場合の対処法をお送りしておりますが、日本人が犠牲になったダッカでのテロ発生を受けて、過去のテロ関係記事のアクセスが急増しております。


そういう時代


当ブログとしては、テロが頻発する理由や背景などについて言及するものではありません。

あくまで、武器を使用した攻撃から『生き残る』確率を上げる方法を考えて行きます。

残念なことに、テロ事件はその発生数を増しつつあり、我が国の国内でも、いずれ発生するのではないかと危惧されています。

我々は、理由はともかく“そういう時代”に生きている、という認識をしなければなりません。

もうひとつ認識を改めなければならないことは、実は我が国でも、『テロ』が急増している、ということです。

言葉の上でのテロの定義は、思想信条などを宣伝、拡散するために取られる暴力的手段のことです。

その目的は、実行側に不都合な対象の排除と、社会に恐怖を与えることですから、いわゆる暗殺もテロの範疇となります。

我が国では、そのようなテロの危険を肌で感じるようなことは、今のところはほとんどありません。

しかし、思想信条などのバックボーンが無くても、形態的にテロに近い犯罪行為は少なくないのです。


あれもテロだった


我が国でも、確実にその発生件数が増えている、無差別殺傷事件です。

象徴的なもののひとつが、2008年に発生した、秋葉原無差別殺傷事件でしょう。犯人はトラックで歩行者天国に突入し、その後ナイフで通行人を刺傷しました。

それが可能方法のうちで最も効率が良い方法だったからであり、もし犯人が銃や爆弾を入手していたら、それが使われていたでしょう。

その他にも、通り魔的に通行人を刺傷する、人の列に故意に車で突っ込むなどの事件が急増しており、思想信条などが絡んだテロよりは、はるかに身近な脅威と言えます。

これらの事件と、最近海外で頻発しているテロが方法面で共通していることは、対象を完全に圧倒できる“戦力”を、相手の不意を突いて、警備や防護が手薄な“ソフトターゲット”に指向する、という点です。

ただし我が国の場合、そのような事件のほとんどに犯人のパーソナリティが関わっているので、ほぼ例外無く単独犯であり、銃や爆弾の入手が困難なことと併せて、海外のテロに比べると、被害は限定的ではあります。

では、我が国で海外のような、複数犯による大規模テロが起きる可能性は、どれだけあるのでしょうか。


困難、しかし残る可能性


過去記事でも述べていますが、少なくとも、現在世界各地でテロを多発させている勢力が、我が国で大規模テロを起こすことは、物理的にかなり困難です。

海外のテロを見てわかるとおり、最近は『ホームタウンテロ』もしくは『ホームグロウンテロ』、すなわちその国の大きなコミュニティに属する人物による犯行が主流です。

分かりやすく言えば、“同じ顔”の人々の中に紛れ込みながら準備、移動そして実行できる環境がある場所での犯行がほとんど、ということです。

我が国では、海外から来た実行犯が完全に溶け込めるコミュニティがあまり存在しない、つまり“目立つ”のです。

では、ある程度は安心していて良いのでしょうか。


最悪のシナリオ


我が国には、近隣のアジア諸国民及び出身者の、大きなコミュニティが存在します。その風貌は、一般的な日本人と良く似ています。

言うまでもなく、そこで暮らす一般の人々がテロに協力するようなことは無い、と言って良いでしょう。しかし、“同じ顔”のコミュニティは、意図せざるうちに、ある悪意を覆い隠してしまうこともあります。

では、東アジア人が、我が国におけるテロの実行犯になることがあり得るのでしょうか。

これは、管理人が過去から可能性のひとつとして考えていて、当ブログの記事で示唆したこともあるのですが、最近になって、国際情勢分析のプロが同様のことを警告しているのを目にしました。

シンプルに書きましょう。

我が国を敵視するふたつの勢力が、思想信条を超えて、いわゆる“敵の敵は味方”という理屈で結託する。その一方は、日本国内で目立たずに活動できる条件と、強力な武器を調達できる能力を持っている。

そして、そのふたつの勢力が、実際に直接交流を持っていることが確認されている、という事実があります。

結託することでお互いにメリットがあれば、そういうことが起こります。


誤解なきように追記しますが、これは特定の国民や民族が危険だという意味ではありません。民衆の意志とは関係なく、そのような“作戦”が実行される可能性が確実に存在し、現段階で実際に交流が確認されている、ということなのです。

もし我が国で大規模テロが起きるならば、その舞台裏は欧米や中東諸国とはかなり違ったものになる可能性が高いということで、実行側に意志さえあれば、直接攻撃よりはるかに難易度が下がる環境ができつつある、という認識はするべきでしょう。

そして、テロで狙われる場所は世界共通。“敵”を象徴して、多数を殺傷して社会に恐怖を与えられる場所です。


果たしてそれで良いのか


最後に、管理人が疑問に思ったことを。

管理人は、伊勢志摩サミットの最中、東京・新宿へでかけました。その時の警戒はとにかく厳重で、特にJR新宿駅は、構内全域にほとんど死角が無いんじゃないかと思う程に警察官が配置されていました。

しかし、歌舞伎町などの繁華街に入ると、あれっ思うくらいに警察官の姿が無かったのです。もちろん、私服警官や街頭カメラでの、目立たない監視はあったでしょう。

でも、大きなキャリーバッグを牽いた外国人観光客なども、特に職務質問などされることもなく、自由に行き来しています。歩行者天国にも、特にバリケードなどが増えていることもありません。

管理人は思いました。テロリストが狙うならば、こっちだろうと。駅の警戒で水際で止める?いや、車やタクシーで乗り付ければ問題ありません。

それどころか、車ごと繁華街に突入するのも簡単。爆弾ならば、駅で起爆するよりも、繁華街のビル街の方が看板やガラスの落下による二次被害も大きくなるし、何より楽しい場所が血に染まるという、心理的恐怖感が大きくなります。

それが世界に報道される場合、『シンジュクステーション』よりは、世界的に有名な『カブキチョー』の方が、よりインパクトが強くなり、観光にもダメージを与えられる。

サミット時の警戒状態を見て、「果たしてこれで阻止できるのだろうか」という疑問と、そこはかとない恐怖に囚われたのは事実です。

でも、それで自分の行動を制限したら、それこそ“敵”の心理戦にまんまと乗せられてしまうわけで、それがテロの効果なのです。

ですから、基本的には行動を制限はしませんが、狙われそうな場所へ行く時は、僅かでも異常を感じたらすぐ離脱する、万一の場合の避難路は常に確認しておくなどの意識は、自然災害に対するものよりも数段強化しておくべきでしょう。

それは言うほど簡単では無いのですが、我々が現実にできる『テロ対策』なのです。


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【関東南部緊急気象情報】気象災害に厳重警戒を(#1214)

7月4日午後4時30分送信

ただいま関東地方の群馬県、神奈川県、栃木県、埼玉県、東京都で、スーパーセルと呼べるレベルの巨大積乱雲が複数発生しています。

豪雨、落雷、降雹、竜巻の発生に警戒してください。
Image

午後4時50分現在、神奈川県、東京都西部で非常に発達しています。栃木県も厳重警戒が必要です。
Image_2

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2016年7月 2日 (土)

【東京防災ってどうよ05】ここがダメなんだよ【1】(#1213)

『民間防衛』と比較しながら『東京防災』にツッコむこのシリーズを進めるにあたり、コンセプト違いなどの問題をどう表現するかについて、もう少し詰めなおしたいと考えています。 ぶっちゃけ、煮詰まりましたw

そこで、シリーズのもうひとつの柱となる、記載された内容の問題や誤りにツッコみ、本来はどうあるべきかをお伝えする記事を、先にお送りすることにします。

わかりやすくするために、巻頭からページ順で指摘して行きます。かなりの数があるので、これだけでかなりの記事数になりそうです。

これからツッコんで行くのは、明らかな誤りと(これが結構ある)、防災指導にありがちな、“間違えてはいないが実際にはできない、やり方がわからない”という内容が主になります。



【018ページ】火元を確認する


(本文)火を使っている時は、揺れが収まってから、あわてずに火の始末をします。出火したら、落ち着いて初期消火に当たります

まずは小ネタから。文中にこの後何度も出てくる「落ち着いて」という表現ですが、だれも慌てたくて慌てている訳じゃなく、落ち着こうと思っても、そう思うだけではできません。

じゃあどうするか。管理人はこう指導します。地震などが収まり、周囲に差し迫った危険が無いと判断できたら、次の行動に移る前に、深呼吸を3回せよと。

そんな悠長な、というのであれば、1回でも効果は絶大。その僅かな余裕が、次の行動の速度と精度を確実に上げて、結果的に『生き残る』確率を上げるのです。

でも、それが本題じゃありません。

この項目では【詳細→188ページ】とあって、消火器の使い方というページへ飛びます。これがまたざっくり過ぎてw


これで本当に火が消せるか?


以下、各項目を引用します(太字部分)

1・震災時は、初期消火が重要になります。消火器を使う際は、まずは火元を確認。逃げ口を背にします。

2・消火器の上部についている安全ピンを抜きます。

3・ノズルを手に持って、放射口を燃えている部分に向けます。

4・バーを握って、火元に直接消火剤を放出します。炎が天井に達したら、消火をやめて避難します。

これで、消火器を使ったことの無い人(ほとんどでしょう)が、正しく使えるようになりますか?

管理人がちょっと感心したのは、『逃げ口を背にします』という部分。消火失敗時の退路の確保は最重要であり、それが指摘されたものは、ほとんど無かったと思います。でもそれ以前に、この内容では消火できない可能性が高いかと。


失敗は繰り返される?


過去の火災や地震災害で、“消火器の失敗”は、いやという程繰り返されています。なのに、それが全く反映されていない。

“消火器の失敗”とは、こういうことです。
■火点に近づく前に(大抵は火点に向かって駆け寄りながら)安全ピンを抜いてレバーを握り、放射を初めてしまう

■放射点と火点の距離が遠すぎる

■燃え上がる炎に向かって放射してしまう

■火が消える前に放射が終わってしまう


まず、一般的な消火器の放射時間をご存じですか?約20秒に過ぎないのです。

それも周知されていこともあり、火点に駆け寄りながら慌てて放射を始めてしまい、着いた時にはもうおしまいという失敗が、最も多いのです。

ですから、安全ピンの抜き方をわざわざ1項目使うより、“いつ安全ピンを抜くか”を指導しなければなりません。

そして、最も効果的に火炎を制圧できる放射の仕方も、絶対に必要。この内容では『消火器の使い方』であって、『火の消し方』では無いのです。

あくまで、なんとなく使えるような気にさせるだけの、低レベルの商業メディア並みの内容でしかありません。

では、どうあるべきか。


教訓を生かした現実的な方法とは


管理人ならばこうする、という机上論ではなく、自分で実際に防災講習などで指導している方法です。本物の消防隊の前でも、やったことがありますw

■火点を確認。消火器を持って、できるだけ煙や熱が流れて来ない方向(風上)から接近。同時に退路も確認。

■周囲に協力者がいたら、追加の消火器を探して、持ってきてもらう。

■火点から5m程度に接近したら、消火器を一旦地面において、安全ピン除去。片手にホースの放射口、もう片手に本体を持ち換え、さらに接近。

■熱や煙が酷くなければ、可能ならば火点から3〜4m程度まで接近し、放射口を『炎の根本』に向けて、レバーを握り噴射開始。 火勢が弱まればさらに接近。

■『炎の根本』をほうきで掃くような気持ちで、火点の周囲にも広めに消火剤を散布する。

■炎が天井に達したり、放射が終わっても火勢が衰えなかったら、直ちに避難する。


という感じです。いかがでしょうか。大切なことは、消火剤を有効射程内から、無駄無く全部火点にぶっかけてやることです。『東京防災』記事よりは、イメージを掴んでいただけたかと思います。

実際の現場では、慌てすぎてはるか遠くから噴射を始めてしまう失敗が多いので、火点手前で一旦止まり、体制を整える段階で安全ピンを除去するようにしておくべきです。

燃え上がる炎の迫力に負けて、炎に向かって水平以上の高さで放射しても、炎とは燃焼ガスの化学反応に過ぎませんから、仮に炎は小さくなっても、火は消えません。

消火器は、消火剤を『火の根本』にかけることで、燃焼に必要な酸素の供給を遮断したり、冷却効果で温度を発火点以下に下げることで火を消します。ですから、『火の根本』を狙わなければならないのです。


使うのはプロじゃない


ところで、上で引用した『東京防災』の記事にも、実は狙う部分が書いてあります。それも2回も。おわかりになりますか?

3番の『放射口を燃えている部分に向けます』と、4番の『バーを握って火元に直接消火剤を放射します』

という、上記太字の2ヶ所です。これが、『火の根本』を狙い、『ほうきで掃くように』消火剤を放射するという意味だと理解できた方、まずいないでしょう。

プロや、既に知識のある人は、これでわかります。でも『東京防災』は、どういう人たちが対象なのですか?こういうのをやっつけ仕事というのです。

使えない・いらない情報も

消火器の使い方ページの次は、『屋内消火栓の使い方』が載っています。

Tb4

マンションや中小ビルによくある、1号消火栓というタイプについてなのですが、こんな注釈が。
『一号消火栓は複数人での操作が基本。ここでは二人で操作することを想定』

いや、基本というか、2人じゃなければ操作できないんですよ。ひとりでポンプ起動してバルブ開いたら、水道どころじゃない強い噴射が始まりますから、それからひとりでホースの筒先を掴んだり、コントロールするのはまず不可能なのです。

ひとりが火点近くで筒先をしっかり保持してから、もうひとりがポンプ起動とバルブ解放をする、事実上そうするしかありません。

なのに、ひとりでできるようなユルユルイラストに、無責任な注釈だけで、とりあえず載せとけ、というレベルの内容でしかない。

なお、消火栓に関する過去の失敗では、バルブを開けたもののポンプ起動方法を知らず、水圧が上がらずに消火に失敗した、というものが最多であり、阪神・淡路大震災の時から、実例が指摘されています。

ですから、教訓を生かすなら、ポンプ起動方法こそが最重要なのです。

それからね、ものすごく大切なこと、無視されてます。

屋内消火栓は、停電したら使えないのです。もちろん、自家発電装置などがあれば別ですが。地震被災地では、使えたらラッキー、というくらいのものなのです。


どうでもいい話も


その次の190・191ページには、こんな情報が。
Tb3
スタンドパイプに、可搬式消防ポンプの使い方だって。

こんなもの、消防団などで実地訓練受けなければ、絶対使えませんよ。防災ヲタで防災士で防火管理者の管理人にも、ほとんど無理です。 と思ったら、両項目ともにこんな注釈が。

『使用には事前訓練が必要です』ときた。

こんな情報、一般向けの本に載せることに、何の意味があるのでしょうか?ページ数稼ぎ?イラスト作者への発注量増やすため?

こんなもの載せるなら、消火器・消火栓をもっと充実させろという話。

この『東京防災』、このように関連するものは全部載せとけ、実際にできなくてもかまわんと言うような、意味の無い総花的内容がすごく多いのです。しかも、始めに文字数ありきで、重要度、優先度に関係なく同じ文字数。

行政が企画したものの限界なのでしょうか?


このシリーズ、とても長くなりそうですw

■『東京防災』は、東京都防災ホームページからデジタル版が閲覧できます。また、PDF版や電子書籍版も無償で配布されています。詳しくは下記リンクからご覧ください。

東京都防災ホームページ


■当記事は、カテゴリ【東京防災ってどうよ】です。


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