【東京防災ってどうよ19】ここがダメなんだよ【15】(#1240)
『東京防災』にツッコむ15回目。ここまで来ると、早くも30回の大台が見えてきます。だってネタが多すぎるんだもんなw
今回は、竜巻です。
【157ページ】竜巻から身を守るために
【屋内にいたら】
窓ガラスの破片や飛来物を避けるため、一戸建て住宅では1階の窓の少ない部屋に移動、雨戸、カーテンを閉め、窓から離れて頑丈なテーブルの下で竜巻の通過を待ちます
なんとまあ一戸建てのことしか書く文字数が無くて、集合住宅の別項目も無いという時点で意味不明。マンションなどは、竜巻で建物は倒壊しないから良いとでも?
若い人が多く住んでいる、奥行きの無いワンルーム型アパートやマンションは無視ですか。一番危険なのに。
ここで『1階の窓の少ない部屋に移動』としているのは、高い場所ほど飛来物が衝突、突入する危険が大きく、2階など屋根の下の部屋は、屋根が吹き飛ばされることがあるからです。
ですから、一番危険なのは開けた場所にあるワンルーム型アパート、マンションの上層階であり、特に軽量鉄骨製など、鉄筋コンクリート製に比べて強度が無いアパートなどの上層階は、かなり危険となります。しかし、一切記述なし。
また、『雨戸、カーテンを閉め』というのは、窓ガラスが割れて飛び散ったり、飛来物が突入してくるのをできるだけ防ぐためです。
すなわち、竜巻被害の危険は主に横方向から来るのです。なのに、テーブルの下ですか?これは家屋の倒壊を想定しているのでしょうが、それ以前に、もっと大きな危険があります。
でも、ここでは『窓の少ない部屋』にいることになっているので、最大の危険は無視ということでしょうか。
もっとも、竜巻による最悪の飛来物は、窓どころか壁も突き破って飛び込んで来ますから、少なくとも窓際の部屋から移動できない場合は、テーブルの下などほとんど無意味です。
ただし、窓際の部屋から移動できない場合は、テーブルを窓に向けて横倒しにしてバリケード代わりにするなど使い様はありますが。
経験者に学べ
竜巻被害が多発する米国中西部では、地下室やコンクリート造りの家でなければ、バスルームに避難してバスタブの中に伏せろとされています。
これは、バスルームは一般に奥まった場所にあり、倒れかかる大きな家具などが無く、柱と壁が集中しているので、屋根が吹き飛ばされても壁などの構造が残りやすい、つまり横方向に多少のバリケードが残ることが多いからです。
さらに、バスタブが横方向からの飛来物の衝突を防ぎ、もし家が倒壊した場合でも、高い確率で生存空間が残るからです。
そして、家が空に吸い上げられるような最悪の場合でも、バスタブごと吸い上げられる可能性は、かなり小さくなるのです。 これがむき出しの人体だったら簡単に吸い上げられてしまい、生還できる可能性はほとんどありません。
このような方法は、木造平屋建てが多く、竜巻被害が多発する米国中西部郊外において、最善とされて来ました。
皆様は、目的が良くわからない『東京防災』式と経験に裏付けられた米国式、どちらを選ばれますか? 条件は違っても、竜巻が家屋に対してもたらす破壊は、それほど違いません。
我が国における現実的な対処方法を、過去記事にまとめていますのでご覧ください。 2012年5月に、茨城県つくば市でF3クラスの竜巻が発生した時にお送りした緊急特集記事です。
【緊急特集】竜巻から生き残れ!【1】
【緊急特集】竜巻から生き残れ!【2】
【緊急特集】竜巻から生き残れ!【3】
【緊急特集】竜巻から生き残れ!【4】
【緊急特集】竜巻から生き残れ!【5】
もうひとネタ。
【屋外にいたら】
突風や飛来物を避けるために、頑丈な建物の中や地下施設に避難します。近くにそれらがない場合は、物陰やくぼみなどに隠れて竜巻の通過を待ちます。
まあその通りです。とにかく頑丈な建物や地下に逃げ込みたいもの。スマホ向けてる場合じゃないですよw
でも、一見まともでも、後半は使いものにならない情報です。『物陰やくぼみに隠れて』だと?ほんとやっつけ仕事だな。
できるものならやってみろ
竜巻が接近してきた時、あなたは強風の中で頑丈な壁の後ろに隠れました。風も飛来物も防いでくれるので、ひと安心。そこで竜巻をやり過ごすことにしました。
ところが。
竜巻が近づくにつれて、今度はあなたがいる側から風が吹いて来たのです!風上に身を晒したあなたに、猛烈な風と飛来物が襲いかかる・・・
こんなこと、基本の基本でしょう。竜巻の周囲では、風は竜巻に向かって左回りで吹き込みますから、竜巻が移動するに従って、風向きはどんどん変わるのです。
屋外で、全方位からの暴風と飛来物を防げる『物陰』、どんな場所か挙げてみろよ監修者。
さらに、くぼみってなんだよ。文字で書いているだけで、現実は何も考えていない。風速50m超、場合によっては100mを超えるような風を防げる『くぼみ』、具体的に教えてくれよ。
監修した連中は、机上の知識をたれ流すだけで、現実にどうするかは何も考えず、その結果情報が無意味だろうが都民が傷つこうが、「自分の責任じゃないもん」とうそぶくのでしょう。
言っていることが間違いでなければ、実際にできなかろうが関係ないと。
でも、きっとあれ言うよね。『地表近くは地面との摩擦や地物による乱流で、風速が遅くなる』という理屈。だから少しでも低くなれと。それは正しいけれど、実際にどうやるかは我関せず。
現実にできることは少ない
屋外にいて、周囲に遮蔽物も少ないような場合に使える『くぼみ』は、かなり限られます。
最も使える可能性が高いのが、側溝。
側溝の中に、後頭部と首を守りながら、うつぶせかそれが無理なら横向きで伏せるのが最善と言えるでしょう。 コンクリートのふたがあったらはぎ取って、身体をふたの下に突っ込めれば、防護効果が高まります。
用水路なども使えますが、幅が広いと防護効果が落ちます。暗渠などの中に、10メートル以上入れれば理想的です。
前述の通り、竜巻の主な脅威は、激しい風によって横方向からもたらされるのです。そして、竜巻が直上付近を通過した場合には、猛烈な負圧で吸い上げられます。
ですから、とにかくできるだけ頑丈で、身体がぴったりと収まってなるべく隙間ができない、狭い『くぼみ』を探さなければなりません。それの筆頭は、街中では側溝や排水溝なのです。
なお、ふたの無い側溝などに伏せている場合、自分が吹き飛ばされなくても、飛来物が降ってきますから、上方向からの防護面積も、なるべく広く取らなければなりません。
しかし、軽い板などで覆っても、簡単に吹き飛ばされるはず。とにかく、頭と首を腕でガードしながら、後は運を天に任せるしか無いでしょう。
車の下は、車自体が吹き飛ばされたり、移動や転覆をする可能性があるので、お勧めできません。藤田スケールの下から2番目、F1程度の竜巻でも、大型トラックやバスを簡単に横転させる威力があります。
我が国では、過去にF3クラスまで起きていて、そのクラスになると最大風速は秒速約100mという、大型台風の2倍近くの暴風が吹くのです。
ですから、車の下は、他に何もない場合に、むき出しよりマシというくらいでしょうか。しかし、下手をすると隠れた車の下敷きになる可能性もある、ということです。
このように、屋外にいたら、逃げ場は非常に少ないのです。
それでも、『防災の専門家』は、物陰やくぼみとだけ言っていれば仕事になるし、都民や読者がどうなろうと責任も取る必要も無いのですから、お気楽なものですね。で、都税から報酬もらっているんですよ。
ちなみに、もう一度書きますね。『東京防災』プロジェクトに投じられた都税、20億円以上ですよ。それで、これだ。
こういうの、許しますか?
そして、まだまだネタは尽きないのです。
■当記事は、カテゴリ【『東京防災』ってどうよ】です。
« 【東京防災ってどうよ18】ここがダメなんだよ【14】(#1239) | トップページ | 【管理人ひとりごと】他のことも書きたいけど無理w(#1241) »
「『東京防災』ってどうよ」カテゴリの記事
- “ネタ”になっていない残念なネタ(#1288)(2016.10.24)
- 【東京防災ってどうよ50】許されざる怠慢とこれからのこと(#1285)(2016.10.20)
- 【東京防災ってどうよ49】今できる?防災アクション【16】(#1284)(2016.10.17)
- 【東京防災ってどうよ48】今できる?防災アクション【15】(#1282)(2016.10.12)
- 【東京防災ってどうよ47】今できる?防災アクション【14】(#1281)(2016.10.11)
この記事へのコメントは終了しました。
« 【東京防災ってどうよ18】ここがダメなんだよ【14】(#1239) | トップページ | 【管理人ひとりごと】他のことも書きたいけど無理w(#1241) »
コメント