【東京防災ってどうよ21】ここがダメなんだよ【17】(#1247)
番外編から、通常シリーズに復帰します。
『東京防災』にツッコむ、いつまで続くんだの17回目。
今回からは、『東京防災』175ページからの『もしもマニュアル』にツッコみます。
【176ページ】心肺蘇生法

『もしもマニュアル』のトップは、定番の心肺蘇生法です。
画像のように見開き2ページで、いわゆる胸骨圧迫(心臓マッサージ)と人工呼吸の方法、さらにAED使用法も、さらりと(本当にさらりとw)触れられています。
存在自体がやっつけ仕事?
防災マニュアルにこういう記事があるのはある意味当然で、疑問を感じる方はいないかもしれません。
ではここで質問。既に胸骨圧迫やAED使用の訓練を受けられている皆様、知識も経験も無い人が、これを読んだだけで安全・確実に心肺蘇生法を実施できるようになると思いますか?
実際に訓練を受けてみて、こんな少しの文章だけで表せるような、簡単なことでしたか?
それでも、うろ覚えや見よう見真似にしろ、何も知らないよりはマシ、という考え方もあります。
では、心肺蘇生ではなくても、実際に傷病者の救護をしたことのある方に質問です。
傷病の状態がよくわからず、自分がどこまで対応できるか自信が無い状態で、傷病者に触ること、怖くなかったですか?ましてや、意識不明だったりしたら。
実際の災害時に倒れている人は、外傷性であることが多いのです。頭を強く打ったり、激しく出血していたり、骨折していたり、内臓損傷などの可能性も高いという。
ちなみに管理人、日本赤十字と消防署の上級救命救急講習を受けてますが、訓練を受ける以前から、交通事故救護の回数は両手で足らない場数を踏んでいます。軽傷からほぼ即死状態まで。
そういう経験から言えることは、『東京防災』に限らず、防災本などに大抵ある、こんな記事ほとんど無意味だということ。
読めば、こういうことをやるんだ、という知識にはなりますが、正しくできるようには絶対ならない。
欠かしてはならないこと
倒れている、ましてや意識不明や大きな外傷のある人に触るのは、とても勇気がいることです。
胸骨圧迫をすることで、状態を悪くしてしまう可能性もあります。それでも、心肺停止していたら、まずは命を繋ぐためにやらなければならない。
それが一般人にとってどれだけ勇気がいることかは、瀕死の現場経験がある方でなければわからないでしょう。
自分の救護技術に自信があったとしても、そう簡単なことじゃない。
ですから、こういう記事には、必ず『実際には難しいことが多いので、訓練を受けていないと十分な救護はできない』などという注釈が無ければなりません。
それが無ければ、単なる賑やかし記事に過ぎないのです。
でも、そう書いておけば、誰もできなくても責任逃れになる、という話では困りますが。
とにかく、正しく効果的な心肺蘇生法を行うには、日本赤十字や消防署などが行う訓練を受けなければなりません。
監修どこよ
記事の存在だけでなく、内容にも疑問が。
人工呼吸に関する、下記の注釈です。
人工呼吸用マウスピースなどを使用しなくても感染危険は極めて低いと言われていますが、感染防止の観点から、使用したほうがより安全です。
この注釈自体は問題無いのですが、最近はマウスピースが無い場合は人工呼吸を行わず、胸骨圧迫を続けて循環の確保を優先する指導が行われています。
管理人も、日本赤十字でも消防署でも、そう教わりました。
それに、マウスピース無しでも感染危険は極めて低い、という指導は受けたことがありません。実際にはそうなのでしょうが。
もっとも、それは唾液のみの接触が前提であって、口や鼻から出血していたら、人工呼吸を行うことで感染の危険が非常に高くなります。
ですから、少なくとも管理人はマウスピースなしで人工呼吸はしないつもりです(EDC装備に入れてありますが)。それでも必要と思われる場合は、レジ袋に穴をあけて顔にかぶせ、せめて血液や唾液が直接接触しにくいようにしようと考えています。
それにしても、実際の訓練でも出てこなかった話が突然出てくる『東京防災』、監修は一体どこの誰なんだ?
役に立たないだけじゃなく、訓練を受けた人間まで混乱させてどうする。
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こんなのを設置義務付け、補助金給付にしたら?
http://fallprotectionxs.com/wp-content/uploads/2016/03/linkedpro-lifeline-roof-xsimpact-multi-line-fall-protection.jpg
投稿: | 2016年9月 1日 (木) 12時18分
>9/1のコメント主様
情報ありがとうございます。雪下ろし関係ですね。
そうなんですこういうのが必要なんですよね。こういうのがあれば、一人でひさし近くの雪も下ろせるし、落雪しても一緒に落ちないし。
屋根の真ん中にフックをかけるパイプを設置しておけば良いわけで。ハーネス類は高所作業用のものを使えばそれほど高くないし。理想的かと思います。
これなら不慣れなアルバイトやボランティアも使いやすい。実際、雪国へ雪下ろしボランティアに行った若い人も、不慣れで危険だからと自治体の指示で屋根の雪下ろしを禁止されることも多いのです。地上の除雪や雪捨てしかやらせてもらえない。
自治体にしてみれば、責任問題になるから逃げちゃうんですね。
確かに、自治体に補助金出してもらうのは良いアイデア。これからさらに人手が無くなって来るのですから、素人ができるようにしておくべきですね。
投稿: てば | 2016年9月 2日 (金) 09時07分