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2016年8月29日 (月)

【東京防災ってどうよ番外編】テロ・武力攻撃解説【3】(#1246)

『東京防災』のテロ・武力攻撃解説編の3回目です。今回は、対処法の記事に補足します。

『東京防災』の166、161ページです。
Underattack


爆発が起こったら


爆発が起こったら、すぐに姿勢を低くして、頑丈なテーブルなどの下に身を隠します。爆発は複数回続く場合もあるので、安全な場所へ避難しましょう。

これは自宅や屋内にいるときに、屋外で爆発が起きたことを想定していると思われますが、最初の爆発で建物が崩壊する状況ならば、こういう避難行動もできません。

テーブルの下は、建物の崩壊には有効な避難場所ですが、横方向からの爆風には無防備です。

テロ攻撃の場合は、連続攻撃も想定されますので(下記記事リンク参照)、屋内の場合はなるべく外部や表通りに面していない部屋に移動し、雨戸やカーテンを閉めて、ベッド、ソファ、机などの陰に身を隠す方が現実的でしょう。

ベッドのマットレスやふとん類は、爆発で飛散する破片やガラスなどに対して、とても有効な防護効果があります。

併せて、テレビ、ラジオ、ネットなどから情報を収集しながら、火災などが起きてない場合は、そのまま屋内で待機すべきです。

屋外で爆発に遭遇した場合は、同じ場所か近くでの連続攻撃を想定し、速やかに現場を離れ、繁華街やオフィス街の中心を出て、なるべく人の少ない方向へ避難します。

救護のために集まる人や、野次馬を狙った連続攻撃がテロ攻撃の“セオリー”であることは、最近の現実を見ればよくわかります。

【パリでテロ事件】もしあなたがそこにいたら?
【パリでテロ事件】続・もしあなたがそこにいたら?

166ページの【火災が発生したら】と【閉じこめられたら】については、一般的な火災や災害時の対処方と同じなので割愛します。


ゲリラ攻撃からの避難


被害は比較的狭い範囲に限定されるのが一般的ですが、被害が拡大するおそれがあります。いったん屋内に避難してから、行政機関の指示に従いましょう。

あなたのすぐ近くに『敵兵士』が現れるという、非常に緊迫した状況です。

ゲリラ攻撃は、少人数で攻撃・破壊を行ってすぐ離脱する、『ヒットアンドアウェイ戦法』が基本であり、それが自殺攻撃の場合でも、小火器や爆弾による短時間の攻撃が主となるので、『被害が比較的狭い範囲に限定されるのが一般的』というわけです。

しかし、複数グループによる他の場所への攻撃や、大型爆弾や化学兵器、ハイジャックなどによる連続攻撃により、被害が拡大するおそれもある、ということです。例えば爆弾攻撃ならば、自動車に満載された爆弾を地下で爆発させれば、ビルを崩壊させることも可能です。米国の911テロのような状況と言えます。

また、攻撃側の能力が高い場合、交通機関やインフラの破壊などで、被害が自動的、連鎖的に拡大するウィークポイントを突いて来ることもあります。

そのような場合には、情報収集が何より大切です。安全だという状況が把握できるまでは、無闇に動いてはいけません。

各種メディアを駆使して情報収集をしながら、行政の指示に従ってください。

但し、そのような場合に行政から的確な指示が出ないことも想定して、自ら危険を感じた場合のオプション行動も、同時に考えておかなければなりません。


ミサイル攻撃からの避難


着弾地域を特定するのは困難なので、屋外にいる場合は、近隣の頑丈な建物や地下街などに避難します。その後、行政機関の指示に従いましょう。

前記事で述べた通り、弾道ミサイル攻撃は、その実際の被害よりも心理的効果が大きいのです。

全面戦争状態でもなければ、多数の弾道ミサイルが降り注ぐということも想定しづらいので、自分の居場所に落下する確率は、決して高くありません。

大きなビルや地下街に避難できれば、直撃でもされなければ、まず大丈夫なのです。むしろ、迎撃が成功した場合の、広い範囲への破片の落下の方が心配なくらいで。

弾道ミサイルの目標は、基本的に“敵”の中枢部、大都市、重要施設などとなりますが、個別目標にピンポイントで落とすのは、ほぼ不可能です。

最も高性能と言われる米国の弾道ミサイルの場合でも、弾着の精度を示すCEP(Circular Error Probable 半数必中界)は、約50mとされます。

これは、例えば10発の弾道ミサイルを撃った場合、最低でも半数の5発が目標から50m以内に落下する精度、という意味です。

核弾頭搭載ならば無視できる誤差ですが、通常弾頭(爆薬)の場合は、建物レベルでの目標の破壊はまず不可能ということです。

最高精度の弾道ミサイルでもそれくらいですから、良く懸念されるように、我が国の近隣から発射された弾道ミサイルが原発を直撃して破壊するようなことは、“敵”にしてみれば余程の幸運に恵まれない限り可能性は低く、それよりも目標から何kmも逸れたり、目標のはるか手前で落下する確率の方が、ずっと大きいのです。

それは、ミサイルがとんでもない場所に落ちるかもしれないことも意味していますので、弾道ミサイル警報が発表された場合、あらゆる場所でなるべく頑丈な建物や地下へ避難し、行政からの情報に従って行動する必要があります。

現実には、ミサイルが飛翔中に空中分解することもあり、その場合は目標地域より何百kmも手前に落ちることもあるのです。


化学剤や生物剤攻撃からの避難


口と鼻をハンカチで覆いながら、その場からすぐに離れ、密閉性の高い屋内や風上の高台など、汚染の恐れのない安全な場所へ避難しましょう。

これも一見すると非現実的に感じますが、前記事で書いた通り、我が国ではどちらも現実に起きているのです。

もし、攻撃側がより高度の技術を持った、例えば国家レベルやそれに支援された者だった場合、巨大な被害に繋がる可能性があります。

そのような攻撃が行われたと思われる場合、基本はとにかく、記事のように対処して吸い込まないことです。

しかし、化学剤、いわゆる毒ガスの場合は、皮膚から吸収されたり、皮膚や粘膜に障害を引き起こすものもありますから、できるだけ肌を露出せず、可能であればレインコートやビニール合羽など、水を通さない服を着て防護するのが効果的です。

また、多くの化学剤は水に溶けやすいので、口や鼻を覆うハンカチなどを濡らすと、吸い込む量を減らすことができます。

安全な場所に避難できたら、ハンカチや衣服など身につけているものをビニール袋などに密閉し、体全体を流水で洗い、速やかに119番や医療機関に連絡して、指示に従います。

化学剤が衣服に付着している可能性がある場合は、脱ぐ際に触らないように衣服を着たままシャワーなどで良く洗い流し、それから脱いでビニール袋などで密閉することで、自分や周囲への被害を減らすことができます。

細かいことを言えば、排水の問題もあるのですが、とにかく自分と周囲の身を守ることが先決です。


一方、感染性病原体を含む生物剤を吸い込んだり身体に付着したと思われる場合は、119番や伝染病に対応できる医療機関に連絡し、指示に従います。

何らかの感染が疑われる場合は絶対に外出せず、家族など他の人との接触もしてはいけません。


核爆発や放射能汚染からの避難


核爆発には、遮蔽物の陰に身を隠し、地下施設や頑丈な建物の中に避難しましょう。まだ、ダーティボムと呼ばれる爆弾は、着弾後に放射能汚染を引き起こすので、行政機関などの指示に従い医師の診断を受けましょう。

これは核爆発が予想される、現実的には核弾頭搭載の弾道ミサイルの落下が予想される場合と言えるでしょう。

その場合、『遮蔽物』などと暢気なことを言っている場合ではありません。確かに、核爆発時に発生する数万℃にもなる熱線、強力な中性子線、そして風速数千mにも及ぶ爆風から、できるだけ身を守らなければなりません。

このような記述になる裏には、我が国ならではの広島、長崎の記憶があります。

しかし、だからこそ半端な遮蔽物など吹き飛ばされてしまうということも、理解していなければなりません。

広島や長崎の、被爆後の画像を改めてご覧ください。残っているのは、頑丈な鉄筋コンクリート建物の、それも骨格だけなのです。

しかも、広島、長崎の核爆発は20キロトン(TNT火薬換算2万トン)程度のエネルギーでしたが、現代の核弾頭は、1発で1メガトン(同、100万トン)クラスも珍しくないのです。

などと書くと、お詳しい方は「最近はクリーンボムだ」と指摘されるかもしれません。管理人、もちろん理解しております。


“きれいな爆弾”とは


『クリーンボム』とは、記事にもある『ダーティボム』に対しての呼称であり、放射能汚染を残さない“きれいな”核爆弾があるわけでは、決してありません。

米、露などの核先進国は、核攻撃後の侵攻、占領などを想定して、核爆発時の熱線・爆風による破壊と、後の放射能汚染が旧来の『ダーティボム』よりはるかに少なくなる核爆弾を開発しており、それが『クリーンボム』と呼ばれるものです。

広島、長崎に投下されたのは、核爆弾開発最初期における『ダーティボム』の典型というわけです。さらに、前記事で述べた通り、火薬などの爆発によって放射性物質をばらまくだけの爆弾も、『ダーティボム』の一種です。

しかし、『クリーンボム』は、ただ威力が弱いだけの核爆弾ではありません。恐るべき効果があります。

ほとんどあらゆるものを突き抜けられる中性子線が、『ダーティボム』よりはるかに強力なのです。

中性子線は、人体を突き抜ける際に細胞核、遺伝子や染色体を破壊して死に至らしめる効果が最も高く、死亡しない場合でも、重篤な放射線障害を引き起こします。

そんな『中性子爆弾』のイメージは、例えば爆心から1kmで被爆した戦車には傷ひとつつかない程度の熱線と爆風だが乗員は全員即死、という恐ろしいものです。

中性子線を効果的に遮蔽できる物質は、水くらいしかありません。他の放射線を遮蔽する鉛などの物質も、中性子線にはあまり遮蔽効果が無いのです。

あとは、厚さ数メートルのコンクリート壁なら、完全では無いものの、かなりの遮蔽効果があります。しかし、一般的なビルのコンクリート壁くらいでは、大部分のの中性子線が透過してしまいます。


ならばどうするか


それならば、地下に避難できたり、大きなビルの爆心と反対側にいれば、かなりの被害を防げるのではないか、とも考えられ、おそらくそれは正しいでしょう。

ただ、我が国を狙って放たれるかもしれない核爆弾は、核先進国のものである可能性はほとんど無い、ということです。

『東京防災』の記事でわざわざ『ダーティボム』に言及しているのも、現実に落ちてくるかもしれないのはそれだ、ということを言っているのでしょう。

その場合、核爆発を生き残った後の放射能汚染への対応は、東日本大震災後の福島で行われた、すなわち重大な原発事故への対応とほとんど同じです。ただし、状況はより悲惨で過酷なものになるでしょう。

我が国に落ちてくるかもしれない核弾頭の威力は、少なくとも広島、長崎級と同等、もしくはそれ以上なのです。


核爆発に対する最大の防御法は、地下や頑丈な建物の中で、最初の熱線と爆風から身を守ることです。

建物の中では、窓からの爆風に備えて、ガラスなどが直撃しない場所に避難します。しかし、どの方向から熱線と爆風が来るか事実上わからないので、なるべく建物の奥に入るべきでしょう。

広島、長崎では、核爆弾投下時には空襲警報が解除されており、人々が地上に出ていたことが、被害を甚大なものにしました。もし空襲警報下で皆が防空壕に避難していたら、被害はかなり小さくなっていたはずなのです。


■当記事は、カテゴリ【『東京防災』ってどうよ】です。



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