【東京防災ってどうよ24】ここがダメなんだよ【20】(#1251)
『東京防災』にツッコむ、また大台乗ったよの20回目。
今回は、あるテーマに沿った小ネタ集です。
オトコの花道?
当ブログでも度々触れていますが、防災の世界は、どうにも男性目線が過ぎるなと。
確かに、騒ぎになればそれを収めるのはオトコの見せ場、みたいな部分もあるわけですが、そのせいか、世の中の半分以上を占める女性から見ると、理不尽なことも多いわけです。
まあ、『防災の専門家』なんてほとんどオッサンばかりで、絶対数が少ないから好き勝手やってきたしな。
象徴的なことのひとつとして、非常持ち出しのリストに女性用品が入るのが一般的になったのは、東日本大震災後やっとですよね。でもまだ無視されることも多く、なんと『東京防災』のリストにも入っていない(後でツッコみますw)
それは女性自身が考え備えることで、男が考えることじゃない知らなくても良い、みたいな感覚のことも多くて。
現実に、ある被災地の避難所で、オッサンが必要物資を聞いて回ったら、当然のように生理用品の要望があって、でもそのオッサン、なぜかそれが「不謹慎だ」と怒ってリストから外したというような、訳の分からない現実もあるわけです。
特に地方へ行くと、そんなのまだ結構あるんですよ。
それに、被災地への支援物資に、最初から女性用品が含まれるのが一般的になったのは、ほんとここ数年ですよ。5年半前の震災時でさえ、かなり後手のことが多かったのです。
かく言う管理人は、いわゆる一般的な感覚を持った男性ですけど、ホームワークが多いので、家事を普通にやります。料理は大好きだし。
なんて書くと「女々しい奴」、「無職でブラブラしてる奴」、「負け組」みたいなイメージを持った方、いますよね(無職じゃないからねww)
ビジュアルも、ひょろっとした弱そうな奴みたいな想像した方も絶対いるはず。でもひとつカミアすると、管理人は筋トレが趣味で、二の腕周り40cm以上あるからねw
なにしろ家事労働は格下、女性特有の問題に男は関わらない、そういう感覚がまだまだ多いから、防災の世界もこうなるわけで。
前置きが長くなりましたが、そんな男性目線に偏った情報の象徴的なものを、『東京防災』からピックアップします。
【199ページ】ポリ袋と段ボール箱を使う
ポリタンクやペットボトルがない場合は、段ボール箱の中にポリ袋を敷き、底と側面を布製の粘着テープでしっかりと補強して使います。
一般的には、主に家事をやる女性が多いわけですが、そんな方々から見たら、あり得ない情報ですよね。
面倒だから問題点を箇条書きにします。
■ゴミ袋に使うポリ袋は、時間が経てば水が滲みてくる(生ゴミの水気、浸み出しますよね)
■水を入れたビニールの表面に結露が生じることもあり、段ボールに浸みる(普段の買い物でもおなじみです)
■開放された水の中に、ゴミ、ホコリや虫などが入る(それくらい想像しろよ監修者)
■水を使う際に手や容器を入れて汲まなければならず、だんだん汚れてくる(これを使うような断水下では手も食器も良く洗えない。そんな水料理に使えます?)
■一般的な家庭用ゴミ袋は45リットル容量。イラストのように水入れたら重量は40kgを越えて動かせないし、下手に動かしたら箱が崩壊する(男でも無理めw)
■ポリタンクの代用として代車などで運ぶ際には震動で水がこぼれ、段ボールが濡れてすぐダメになる(もちろん手で運ぶのはほとんど無理)
という感じで、ポリタンクなどが無い場合の代用と言いながら、とてもじゃないけど水を入れて運べないし、衛生も保てないし、1日以内に水が滲みて段ボールも崩れる(ガムテープは濡れたら剥がれます)という、意味不明で危険きわまりない、むしろ「絶対にやってはいけない」くらいの方法です。
カッコ内に書いたように、この資材を普段から使ったり、衛生のことを考えている人ならば、最初から思いつかないようなことですよ。
でも、実経験のないオッサンが、例によって“頭で考えただけの”情報が、大手を振っているのです。では次。
【210ページ】簡易コンロの作り方
なんでも、アルミ缶とアルミホイル、サラダ油を使った簡易コンロだそうです。
こんな細かい工作、管理人は絶対やりません。面倒だからではなくて、サラダ油使って灯す程度の火力では、せいぜいろうそく代わりくらいにしかならないからです。
なのに!
料理やる人からすれば、怒りを感じるイラストですよね。ろうそく数本分かそれより弱い火力で、でかい魚を丸ごと焼いているとは。
これはイラストレーターが悪いんじゃなくて、指示した監修者が料理など全くやったことが無い証拠。火があれば料理ができるという、それだけの発想。
こんなのじゃ、十分火を通すのに1時間じゃ済まないでしょう。 その間、誰が番をするのかな?きっと、男性はやらない前提になってない?
しかしもちろん、あくまでわかりやすいビジュアルとしての意味もあるでしょう。
でも、こんなのは「書いた奴何もわかってないな」という印象しかなく、不快感すらあって、情報の信頼度に関わります。まあ、『防災の専門家』なんて、その程度なんだなと。
ええ、その程度が威張っているんですwでは次。
【213ページ】リュックサックの作り方
この記事、『東京防災』の中で一番印象に残ったという方が多いのではないかと。
これこそ、管理人が良く言う『興味は惹くけれど本当は役に立たない防災トリビア』の典型でしょうね。
もちろん、女性だけを対象にしたものではありませんけど、これがもし商業メディアの情報だったら、きっとこんなサブタイトルがつくはず。
『力の弱い女性でもラックラク~!』
アホか。
イラストでは、ズボンがいつのまにか、普通のリュックとそっくりにトランスフォームしてますわw
これなど、二本の脚部が肩ハーネスになるという、まさに机上の空論から生まれたもの。実際には、幅も角度も長さもリュックとは全然違うわけで、とりあえず背負えるというレベル。
で、運ぶものは2リットルペットボトル2本、約4kg。その程度、トートバッグでも風呂敷でも十分だわ。別に、何kmも運ぶわけでなし。
それに、例えば阪神・淡路大震災以降、災害によるインフラ停止で支援を受けた被災者は何十万人もいるわけですが、こんなことやった人いるのかな?
それに、普段からそれより重い買い物を運んでいるんだよ多くの女性は。
言っても無駄だから
そんなわけで、男性目線すぎるというネタ集をお送りしました。
でも、こんな書き方すると、管理人は女性人気を取りに行ったなと、穿った見方をする人も必ずいるはずw
はい、それもありますww ここ最近、当ブログの女性読者の割合が、推定で常に40%を超えているという解析結果が出ていまして、こんな理屈っぽいヲタクっぽいブログなのに、本当にありがたく思っております。
管理人は比較的珍しい立場で、一般的な男性に良くある立場と、女性が多く手がける役割の両方を経験して来た人間なわけです。
そういう目で見ると、防災はとにかく男性目線に偏りすぎで、よくもまあこんなに女性のことを無視できるものだと、感心するくらい。もっとも、多くのオッサンはそれに気づいてさえいないのでしょうが。
しかし、オッサンにそこを改革せよ、なんて言っても無駄です。
そんな中、最近は女性による女性のための防災を標榜する方々もどんどん出てきて、新しい潮流も生まれてきています。
管理人としては、そういう方々の応援もしたいと思っています。当事者の発想と行動には、誰もかないませんから。
そんなことも含めて、こういう指摘のしかたをしてみました。
■当記事は、カテゴリ【『東京防災』ってどうよ】です。
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