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2016年9月

2016年9月30日 (金)

【東京防災ってどうよ42】今できる?防災アクション【9】(#1275)

『東京防災』にツッコむ42回目は、『今できる?防災アクション』の9回目です。

今回から数回は、094ページからの『室内の備え』をイジります。
Funiture1

096ページの『防止対策のポイント』から始めましょう。


そりゃそうだけど


この章には、地震時における室内の家具備品類の転倒、移動対策を中心に、具体的な対策方法が記されています。

最初にこんな文が。

家具類のレイアウトを工夫したら、器具による家具類の転倒・落下・移動防止対策を行います。最も確実な方法は、壁にL型金具でネジ止めすることです。ネジ止めが難しい場合は、突っ張り棒とストッパー式、突っ張り棒と粘着マットを組み合わせると効果が高くなります。

前の章での『まず家具類のレイアウトを工夫して被害を防げ』という内容を受けて、次は固定だ、というわけです。

いや全くその通りでございます。それが、できるならね。


違う角度から見てみれば


次の見開き(089・099ページ)には、いろいろ対策があります。
Funifure2

Furniture3

どれも、お馴染みと言えばお馴染みですね。

今までにも、こういうことをやりましょうという指導は、どこにでもありました。ただ、そのほぼ全て『家具側からしか見ていない』のです。

しかし、家具類を固定するということは、あくまでも『家具と壁の相互作用』です。

動こうとする家具くんを、壁くんがぐっと止める。そのためには、家具くんと壁くんがガッチリ手をつないでいなければなりません。

『東京防災』ちゃんは、家具くんと壁くんが手をつないでいれば大丈夫というけれど、壁くんにしてみれば、こんなのじゃ手が離れちゃうよ引っ張れないよ、ということも多くて。

家具くんや転倒防止器具くんは似た性格の奴ばかりだけど、壁くんはいろんな奴がいるから、みんなと仲良くできるとは限らないんだってば。


もうひとつ困ったことは、家具くんや壁くんは、住む人にとても大切にされているということ。

ちょっと昔には、家を建てたら『一国一城の主』なんておだてられたりしてw、まあ、それくらいに思っている人も少なくないですし。

そういう目から見て行くと、家具の固定てのは、ずいぶんと“浮き世離れした話”だなあと。


それでも『東京防災』ちゃんは、メガネの生徒会長のように「みんなこうやって仲良くしようね!」って言うけど目が笑ってないし、かと思うと「成績を上げるためには大切なものを犠牲にすることも必要です」って、上から目線で当たり前のように言うんだよな。

そんなこと、なに不自由しない家育ちの秀才に言われてもなあ、育ちが悪くてアホなオレらは正直、やってらんねえよ!って思っちゃうんだよな。


・・・というわけで、ちょっとふざけちゃいましたけど、そういうことなのです。

それでは、『東京防災』ちゃんを巡る家具くんと壁くんのほろ苦いストーリー、次回から始まります。

いやすいません普通に真面目にやりますww

だれか生徒会長のビジュアル描いてくれませんか?やはりここは黒髪ストレートロングでww


先にネタバレしちゃいますね


とか言いつつ、今回は管理人的なツッコみどころを、先に明かしてしまいましょう。

当ブログスタート直後、2012年2月にアップしたシリーズ記事の該当部分をリンクします。

できましたら、先にご一読いただければ幸いです。

家の中の地震対策【7】
家の中の地震対策【8】
家の中の地震対策【9】

記事の内容は管理人オリジナルであり、何も参考にしていないというか、参考にするものが無かったので、管理人独自の経験と視点から、机上の空論をぶった斬ったのです。

でも、あれから4年と7ヶ月、『東京防災』ちゃんの言い回しや言うことに、妙に似ているところがあるんですよ。

まあ、目指すところが一緒ならば、似てきて当然でしょうけどね。『専門家』が素人のブログをパクるわけないって!www

冗談はさておき、少なくともあの当時は、こういう具体的な問題を指摘する『防災の専門家』はいなかったはず。もしそれが間違いでしたら、是非ご指摘ください。


■当記事は、カテゴリ【『東京防災』ってどうよ】です。

2016年9月29日 (木)

【東京防災ってどうよ41】今できる?防災アクション【8】(#1274)

『東京防災』にツッコむ通算41回目は、『今できる?防災アクション』の8回目です。
Takeout3

今回は、前回に引き続き090~091ページの『非常持ち出し袋』から、091ページの各種リストにツッコみます。


持ち歩き用非常持ち出し袋


まずはじめは、常時持ち歩くべき防災グッズのリスト。当ブログで言うところのEDC(Every Day Carry)装備です。

こう解説されています。
外出時に被災したときのために、常に持ち歩くカバンに最低限必要なアイテムを入れておきましょう。携帯ラジオの電池は外しておきます。

で、以下のリストが。

■携帯ラジオ
■ライト
■乾電池
■携帯電話用充電器
■歯ブラシ
■携帯トイレ
■ホイッスル
■小銭
■マップ
■水筒
■エマージェンシーセット・ブランケット

まず、「常に持ち歩くカバン」てのがオッサン目線ですよね。特に女性の場合、いくつかのバッグを使い回すことも多いもの。

でも、いちいち入れ替えるなんて面倒だし、現実的には、持ち歩くカバンすべてに同様の装備をしておかないと、スキだらけになってしまいます。

あの“マーフィーの法則”によればw、災害は備えがない時に起こるのです。だから、コストと手間をかけてでも、EDCの“密度”を上げるべきです。

なにしろ、外出中がいちばん無防備で、しかしいちばん過酷な状況に遭うことになります。そこでいかに安全に、いかに“楽をするか”のための装備なのです。

EDC装備はなるべくひとつかふたつのポーチなどにまとめてなくなるのを防ぎ、使う時にはワンアクションでカバンから取り出せるようにしておきましょう。

意外と良いのが、大きめのペンケースや文房具ケースなど。機能的だし、カラフルでかわいいのもありますし。管理人も使っています。

まとめておけば、カバンの入れ替えやメインテナンスも楽ですよ。

では、内容は上記リストでOKかというと、そうじゃない。


何が起こるんだ?


EDC装備は、主に屋外もしくは普段の居場所から離れた場所において災害の第一撃の危険から逃れ、その後は主に帰宅困難に対応するものです。

そこで何が起こるかを考えれば、装備すべきものが決まってきます。

そう考えれば、歯ブラシより先に装備すべきものがあるだろうと。もうおわかりですよね。


状況は、停電、断水、交通途絶下での長時間待機や歩行で、これは確実に起こります。そしてそこに悪天候という要素が加わったら。

もういいかげんウンザリなのですが、どうして『防災の専門家』はいつも防水装備を無視するのか。雨や雪の中を移動することを考えれば、管理人ならば他の何が無くても雨具が欲しい。防寒効果も大きいし。

エマージェンシーブランケットが雨具代わりになるなんて言うのは、自分で実際に広げたことも無い奴。あんなの、ろくに使い物になりません。

なにしろ管理人は、アルミのエマージェンシーブランケットを現在はEDCから外しているくらいですから(後のリンク記事では出てきますが、正直、無くてもいいかと)

細かいことはともかく、日常的に持ち歩ける最高レベルの雨具(もちろん傘じゃありません)をEDCしてください。

その効果は、地震以前にゲリラ豪雨の時に発揮されます。傘があっても、豪雨ではほとんど無意味。そこで合羽やポンチョを併用すれば、服や荷物をかなり守ることもできますし。


その他の装備内容は、考え方にもよります。ただ、上記リストは昔ながらの携帯ラジオを持てと。

もちろんそれは正しいのですが、気になるのは、『東京防災』全体では、大災害下でもなんだかネットは生きているような、実にお気楽な前提なんですよね。

だったら別にラジオいらないじゃん、という。ラジオ情報はいかなる巨大災害でも入手できるし、そのローテクさ故に最も冗長性が高いですから、持っているに越したことはありません。でも、普段全然使わないラジオを持ち歩くのは、意外に負担が大きいのです。

ちなみに、管理人はFMラジオつき音楽プレイヤーに統合してしまいました。バッテリー温存のために、スマホで音楽を聴いたりしませんし。

とりあえず、管理人のEDC記事をリンクしておきますね。比べてみてください。
【徹底的に防水・防寒を考える16】管理人のミニマムEDC【まとめ編2】
No.900【徹底的に防水・防寒を考える17】管理人のミニマムEDC【まとめ編3】
【徹底的に防水・防寒を考える18】管理人のミニマムEDC【まとめ編4】
【徹底的に防水・防寒を考える19】管理人のミニマムEDC【まとめ編5】


職場用非常持ち出し袋


次に、職場に備える『会社で用意する意外の物』というリストです。『会社に泊まることや、歩いて自宅まで帰ることを想定したアイテム』だって。

■歩きやすい靴
■ヘルメット
■非常食
■ライト
■救急セット
■軍手
■寝袋
■簡易トイレ
■レインコート
■水筒

ここでやっと、レインコートが出てくるわけですよ。これは帰宅困難になって初めて取り出すものだから、運が良ければ定年まで使わないかもw

それよりも、外にいる時の防水の方が何百倍も重要なのに、ほんと『防災の専門家』って何よ。マクロ防災ばかりやって現場知らない奴が偉そうに語るなよ、って話。

災害は会議室で起きてるんじゃない!ということですが、こういうセンセイ方は、こう言いそう。
「防災は会議室でやっているの」


さておき、管理人としては勤務先備蓄にぜひ加えたいものが。仕事場がビル内の方、多いですよね。

そういう方は、ぜひ『防煙マスク』や『防煙フード』を加えてください。地震と火災はセットで考える。しかも、地震の時は停電でスプリンクラーが働かないかもだし、消防車も来ませんよ。

ちょっと大きなビルでは、下の階で火災が起きてもわかりませんし、気がついた時には階段や廊下には濃い煙、ということが普通に起こりますから。


まとめておきたい大切な物


なんとも意味不明なんだよなこれ。ここは『非常持ち出し袋』のページなのに、このリスト。

■家族の写真
■免許証
■年金手帳
■貯金通帳
■健康保険証
■印鑑
■株券
■お薬手帳

こんなのを、ファスナー付きビニールケースに入れておくと防水になるからまとめとけと。

で、どこに入れておく?免許証、健康保険証は非常持ち出しに入れるものじゃないし、運転免許なら濡れても問題ないし、カード式の健康保険証も多いし。

しかしまあ株券てのがオッサンの発想だよね。今時自宅に株券置いてる人ってwしかも、災害時に真っ先に株券持ち出そうなんてなあw

『東京防災』ではありませんが、どこかで見た防災マニュアルは、非常持ち出しに土地建物の権利書入れとけ、なんてのもありましたよw何故なら、火事で焼けたら自分の不動産だって証明できなくなるからだってw

でも、そういう発想する人は、恐らく災害への備えなんてカネと手間かけてやらんでしょうな。それは、かなり自信持って言えますわw


ところで、内容はともかく、これは『非常持ち出し袋』に入れるもの、ということですよね。 ということは、災害時にすぐに手に取れる場所に置いておかなければなりません。

090ページのテキストには、こうあります。玄関の近くや寝室、車の中、物置などに配置しておけと。

そんな場所に、財産まとめて置いとけということですね。

現実に、非常持ち出しに預金通帳と印鑑とか入れて、玄関などに置いといてまとめて盗まれたという事件、結構起きているんですよ。

狙う方は、特にお年寄りの非常持ち出し袋には、そんなものが入っているということを知っているし。泥棒にしてみれば、欲しいものをすごくわかりやすい場所に、目立つリュック入りで出しておいてもらえるのだから、そりゃたまらないw

避難所に行ってからも、実は盗難かなり多いんですよ。火事場泥棒は外部の人間が主だけど、避難所内は被災者同士のことが多いので、あまり表ざたにならず報道されないだけです。

そんな貴重品は、自宅の耐火金庫にでも入れておくべきですね。


現実には、大災害時にはほとんどの銀行と郵貯で、本人確認ができれば預金の引き出しに応じる措置が取られていますから、それほど心配いらんのです。

こういう話は、銀行にも経験が無くてすぐに対応できなかった、1995年の阪神・淡路大震災の教訓から来ているわけです。

でも、本人確認用にとして非常持ち出しにマイナンバーカード入れておこうなんて、絶対考えないようにwwでも、新ネタとしてどこかの『防災の専門家』が言いそうで怖いw


『小銭』というのも、携帯電話がほとんど普及しておらず、公衆電話でしか連絡できなかった、阪神・淡路大震災時代の教訓です。カード式電話は停電すると硬貨しか受け付けなくなるので小銭は必須というのが、当時の定番トリビアでした。

でも今は公衆電話探す方が大変だし、あっても電話ボックスや駅などの災害対応型などでないと、カード専用のものもあります。てか、テレホンカードってもう死語だよねw

大都市圏だとどれくらい実効性があるか未知数ではありますが、大規模なシステムダウンの場合は各携帯電話キャリアが移動基地局車を配置します。でも、エリアはごく限られますし、かなりの通話・通信規制がかかるのは間違いありませんが。


なにしろ、全体的にこのページは現場経験はロクにない、しかも結構歳の行った『防災の専門家』が監修を依頼されて、必死に考えて文字数埋めた、という感じがするんですよね。

じゃなければ株券出て来ないってw


■当記事は、カテゴリ【『東京防災』ってどうよ】です。


2016年9月27日 (火)

【東京防災ってどうよ40】今できる?防災アクション【7】(#1273)

『東京防災』にツッコむ、ついに通算40回目は、『今できる?防災アクション』の7回目です。
Takeout
今回は、090~091ページの『非常持ち出し袋』にツッコみます。


やっぱりアレがない!


このページ、先の特番記事で、『非常持ち出しにカップ麺が入っている』ということを、散々ツッコみました。

【東京防災ってどうよ・番外編】ほんとバカだよね~非常持ち出しにラーメン?~(#1236)

でも、それだけじゃないんです。全然ダメなんです。

まずは088ページのイラストとリストから。
Takeout2
イラストのど真ん中に鎮座されているのが、カップ麺ですw非常持ち出しには、あり得ません。お湯ないしw

つぎに、これは単純にイラストレーターとの打ち合わせ不足、すなわち監修者が悪いのですが、イラストの救急箱は絶対にリュックに入りませんね。

わかりやすく描けば良いというものでもなく、こういう部分にこそリアリティが求められるはず。

ここはコンパクトなファーストエイドキットでしょう。レッドクロスらしきもの描いとけば、絵的にもわかります。

分量的にも、全体の中で救急箱が大きすぎ。そんなものより水増やせ、というのが現実ですよ。

懐中電灯やラジオなど、「昭和かよ!」とツッコみたくなるレトロ風味だし。若い人、あんなの見たことないってwなに、最新のはお年寄りが見ても何だかわからんて?w

細かいこと言えば、予備電池に角型9V電池(006P型)が入っています。あれ、何に使うんだろう。ちなみに、両方の電極をスチールウールでショートさせると、赤熱して簡単に火種ができますよ。うん、きっとそのためだろうw

こういう詰めの甘さは、「どうせ大半の読者なんかわからんのだから適当でいいよ」的な、住民をナメたスタンスを感じますね。

いや住民じゃない、納税者様だよ。税金使ってこれだもんな。怒れよ都民w

それに、すごく大切なアレが無いんだよな。


ほんと能天気だこと


さて、リストです。下記の通りです。
■懐中電灯
■携帯ラジオ
■ヘルメット
■防災頭巾
■軍手
■毛布
■電池
■ライター
■ろうそく
■水
■食品
■インスタントラーメン
■缶切り
■ナイフ
■衣類
■哺乳瓶
■現金
■救急箱
■貯金通帳
■印鑑

まず、管理人はこの中から三つを除外したい。

それは缶切りとろうそく。現代は缶切りが必要なことはほとんど無く、避難所など混雑の中でろうそくを灯すのは危険極まり無いし。

もし使うならば、キャンドルランタンのような覆いが絶対に必要。キャンドルランタンがあれば、屋外でも使えます。

あと、インスタントラーメンねw


さらに、ナイフもどうかと思います。

もちろん、あれば何かと役に立ちます。しかし、たとえ災害被災地であっても、銃刀法は適用されます。

現実に、東日本大震災被災地でも、屋外での作業のためにナイフを所持していた被災者やボランティアが、銃刀法違反でナイフを没収されています。

サバイバルナイフやマチェット(西洋なた)のような大型だけでなく、アーミーナイフのような小型のものでも、刃渡り5.5cmを超えたら銃刀法で規制されますし、それ以下でも危険物と見なされれば軽犯罪法が適用されます。

少なくとも、使うのは避難所の中に限定して、移動する際はポケットなどに入れず、リュックの中などにしまっておくべきです。

それでも、職務質問などされたら没収は避けられないでしょう。持つならば、その覚悟で。

下手すれば犯罪者になるかもという話なのに、安易にナイフ所持を勧める神経が理解できません。というか、考えてないだろ監修者。


次、毛布。リュックに入るかボケ!以上。


不思議なのが、哺乳瓶。特にそういう家庭を想定しているわけでもなく、そうだとしても、消毒資材も粉ミルクもない。

こういうのが、オッサン目線の机上の空論、という奴ですよ。前記事で触れたように、監修が女性でも、オッサン目線の人もいるのです。要は、性別ではなく経験値、ということです。


軍手はあまりに定番ですが、ひと組ではあまり意味なし。最低でも3組、できれば10組は欲しい。

というか、軍手なんか入れずに、作業用の厚手のゴム手袋1~2組と、キッチンや園芸用の薄手の奴何組か入れておく方が、ずっと使いでがありますよ。

寒さの中で水と泥に覆われた東日本大震災被災者の声など、全く反映する気はないようですね。

軍手には、防汚・防水性が全く無いのがネックなわけです。洗濯もできないでしょうし。


さて、ここまでイラストとリストにざっくりとツッコんできましたが、どちらにもアレがないんですよ。

全く、脳天気もいいところだ。


だからなぜアレがない?


これは非常持ち出し袋です。大地震が起きたら、真っ先にひっつかんで避難行動するためのものです。

でも、『防災の専門家』は、自分に都合の良い発災状況しか想定できないらしい。

なぜ、雨や雪の中での発災や避難中の降水を考えない?

現実に起きているというのに、何故無視できる?

地震だけではなく、台風や豪雨による避難行動で持ち出すこともあるのです。なのに、これだ。

「水害避難時には長靴を履くな」とかいう、どうでもいい“指導”をしつつ、非常持ち出しには雨具のひとつも入れないというのが『防災の専門家』だそうですよ。

怒れよ都民と有料購入者(管理人含む)

とういわけで、非常持ち出しには、雨合羽やポンチョを、必ず必要人数分入れてください。

100円ビニール合羽のようなものでも無いよりは全然マシなのですが、やはりある程度のレベルのものの方がずっと快適ですし、防寒性能も高いのです。


さらに、非常持ち出しに毛布なんてバカ言ってないで、ブルーシートを最低1枚は装備しましょう。

避難する先に屋根があるとも、天気が良いとも限らないのです。ブルーシートは、グラウンドシート、簡易テント、荷物の防水・保護、簡易寝袋など利用範囲が広く、避難時の有効性は絶大です。

ブルーシートは、筒状に丸めてリュックのレインフラップに挟むか、外部のベルトにくくりつければ、簡単に持ち運ぶことができます。特に、毛布よりはねw


最後に、どうでも良いネタなど。

リストに『貯金通帳』とありますが、貯金と呼ぶのは郵貯のみ。銀行は『預金』なんですよ。

ほんとどうでもいいネタですいませんw


■当記事は、カテゴリ【『東京防災』ってどうよ】です。


2016年9月26日 (月)

村井はネ申なのか?w(#1272)

いつも長い記事ばかり書いていると、短い記事だとなんだか申し訳なく感じてしまう管理人ですw

今回はごく短い記事ですが、ネタの破壊力が抜群なのでご勘弁を。


ネ申降臨!


電子基準点ノイズネタでおなじみの地震予知芸人村井俊治が、今年(2016年)3月9日にフジテレビ系列で放送している情報番組『Mr。サンデー』に出演し、近いうちに震度5クラス以上の地震が起きる可能性が高い地域として、自説を発表しました。

それから約7ヶ月。熊本の震災をはじめ、本日(9/26)の沖永良部島震度5弱も含めて、震度5弱以上の地震が何回か発生しました。その震源を村井の予知図と重ねてみると、驚くべき事実が浮かび上がってきたのです!

Mrsunday_2

なんと、すべての震度5弱以上を完璧にハズすという、ほとんどネ申レベルの不的中精度!www

危険エリアとして日本のこれだけ広い範囲をカバーしているだけでもお笑いなのですが、現実は下手な鉄砲でさえ、そう簡単に当てさせてくれないんですね。

かといって、村井が予知しているエリアなら安心とは全然言えないのが悲しいんですけど。なにしろ、インチキはインチキ以外の何物でもない、ということで。

でも実は、村井が予知を発表しはじめた数年前からほとんど同じ状況なんですけどねw


この図は、村井のインチキを科学的に検証されている方が作成してツイッターで公開されているもので、管理人もいつも拝見しております。

村井以外のインチキ予知も実に冷静に科学的に検証されていますので、あの連中どうなのよ、と思われる方は、是非下記ユーザーをフォローしてみてください。みんな信じられないくらいにインチキだということがよくわかりますよ。

発生した地震に関する科学的解説もあるので、興味のある方にはとても有用な情報となるでしょう。

横浜地球物理学研究所@Yokohama_Geo


このネタは、ツイッターをやっていない方にも是非ご覧いただきたくて、引用させていただきました。ありがとうございました。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。


鹿児島県沖永良部島で震度5弱(#1271)

Quake_okinawa
震央図は気象庁ウェブサイトからお借りしました


本日9月26日の午後2時19分頃、沖縄本島付近の海底、深さ44kmを震源とするマグニチュード5.6(数値はいずれも速報値から修正された暫定値)の地震が発生し、鹿児島県知名町(沖永良部島)で最大震度5弱を観測しました。

気象庁の報道発表によると、北西-南東方向に圧力軸を持つ逆断層型とのことです。

沖縄本島付近をはじめとする南西諸島付近では、震源深さ10km程度の浅い地震が比較的頻発していますが、時々深さ40~70km程度の、深めの地震も発生しています。

今回震度5弱を観測した沖永良部島付近では、マグニチュード5~6台前半の地震が比較的コンスタントに発生しており、近年では2007年、2008年、2014年に起きているそうです。数年タームの視点で見れば、決して珍しいタイプの地震ではないということができます。

震源が深めの地震は、浅い地震に比べると余震が少ない傾向がありますが、とりあえず1週間程度は警戒すべきでしょう。

可能性は小さいのですが、この地震がさらに大きな地震の前震かもしれないということも、念のため想定しておきましょう。


■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。


2016年9月24日 (土)

【管理人ひとりごと】変わること、変わらないこと(#1270)

いつもご愛読ありがとうございます。管理人ひとりごとでございます。


大きく変わります


このところ、かなりハイペースで記事の更新を続けております。

これは、『東京防災』というツッコみどころ満載のネタに出会ってしまったせいでもありますが、この未だ終わりの見えないシリーズを、なるはやで完結させておきたい、という考えあってのことでもあります。


実は管理人、今年の年末くらいから生活パターンが大きく変わる予定で、今までほど執筆時間の自由度が無くなってしまいます。

その前にはちょいと海外へ行く用事もあったりで、これから年末までバタバタと突っ走りつつ、できるだけ書きまくりたいと思っております。

事実上来年からですが、新生活になっても週に2回以上は更新して行きたいと考えており、それは多分大丈夫でしょう。

ただ、今までのように、例えば地震関連情報をすぐにアップする、というようなことはできなくなりそうです。

しかしその一方で、今までにないネタを仕入れられるチャンスもありそうですので、ご期待ください。

管理人はもうそれなりにいい歳ですが、いくつになっても新しいことにチャレンジするワクドキ感はいいものですね。

でも変えない、変わらない


当ブログは2012年1月12日にスタートし、この記事で通算1270本目です。

当ブログの前身はmixiのコミュニティで、2007年10月から、防災に関する大ウソや机上の空論をぶった切りつつ、『本当に役に立つ』災害対策について考えておりました。

そして2011年3月11日、東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)が発生しました。管理人はあの日、実は米国ワシントンD.C.にいて、直接の経験をしていないのです。

3月13日には帰国して、自己完結できる体制が整ってからは福島県を中心にボランティア活動に携わり、過酷な現実を目の当たりにしました。

長きに渡って防災に関わることをやってきたのに、まさにあの日に日本にいなかったので地震の実体験が無いという負い目も、被災地の最前線に向かう原動力になっていたかもしれません。


その後、防災情報需要の高まりと共に、震災前にも増して防災に関する不良情報が飛び交うようになるのを見るにつけ、それまでクローズドでやっていた内容をオープンなブログ化して、より多くの方々に『本当に大切なこと』を知っていただきたい、そういう思いで始めました。

それから約4年と8ヶ月、通算PV数は当記事執筆時点で131万8300PVを超え、こんなブログとしては、かなりの人気を頂戴していると言ってもよろしいかと思います。

でも、当ブログが存在することで何かが変わったのか、何かが変わったのは当ブログの影響なのか、正直なところ良くわかりません。

それでも、何か少しでも爪跡を残せてはいるはずだと考えています。


当ブログが追い求めるのは、災害から『生き残る』ために、本当に役に立つことただそれだけであり、それは変えませんし、変わりません。

今後とも、『生き残れ。Annex』を、よろしくお願いいたします。


読者様各位

生き残れ。Annex管理人 てば拝


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。


2016年9月23日 (金)

【東京防災ってどうよ39】今できる?防災アクション【6】(#1269)

『東京防災』にツッコむ通算39回目、『今できる?防災アクション』の6回目です。

前回に引き続き、『東京防災』093ページの『備蓄 5つのポイント』をイジります。
Points_2
今回で、5つめまでやりますよ。


3.オール電化住宅の必需品


オール電化住宅の場合、停電になった時にはお湯を沸かすこともできなくなります。お湯が使えれば、カップ麺など多くの食料品を利用できます。そこでカセットコンロ・ガスボンベを用意しておきましょう。オール電化住宅でなくても、ガスが供給されなくなったときにはカセットコンロが大いに役立ちます。

光熱をすべて電気でまかなうオール電化住宅が停電時にどうなるかは、べつに『専門家』にわざわざ言われなくてもわかりますよね。

最後におまけみたいに書いてありますが、オール電化住宅に限らず、カセットコンロは防災備蓄品のマストアイテムです。

プロパンガスを使用している場合でも、過去の災害ではボンベの転倒、配管やレギュレーターの破損などで使えなくなった例がかなりあるので、カセットコンロは用意しておくべきです。

ところで、カセットガスボンベはどれくらい持つかご存じですか?

1週間自活せよというならば、それに必要なガスの量をアドバイスするのがプロではないですか?まあ、下手に言い切るといろいろ問題が出るのもプロではありますがw

器具や気温などで左右されますが、カセットボンベ1本は火力全開で1時間と考えておけば良いでしょう。実際はもう少し長く使えることが多いかと。

となると、ホームセンターなどで売っている3本パック1個だけだと、ちょっと心もとないですね。とりあえず2個、6本備蓄しておけば、かなり安心でしょう。

なお、調理などだけでなく、やかんなどでお湯を沸かして暖房するというような使い方もできますから、ご自分の使用状況を考えて、必要な数のボンベを備蓄しておきましょう。


4.ひとり暮らしの備蓄


コンビニ利用が多いひとり暮らしの人は、冷蔵庫に1週間分の食料品はないでしょう。そんなときには、コンビニでカップ麺やレトルト食品、スナック菓子、ビールなど、自分の好みの物をいつもより少し多めに買い置きしておけば良いのです。

停電した冷蔵庫の中身で1週間食えるって、また言ってるよ。やっぱりオッサン目線だこの人w

量が1週間分あっても、停電したらそんなに持つわけ無いという現実を全く知らないというか、ちょっと考えればわかりそうですけどね。

被災時にはマヨネーズなめて飢えを凌いだなんて話もありますが、それさえも開封後の常温保存では3日目にはそろそろヤバいし、夏場なら2日目でも怖い。

こういう方は、ぜひマクロの防災だけやっていてくださいよ。ろくに経験も無い家庭防災に、口を出さないでいただきたい。ましてや、ひとり暮らしの防災など。


で、カジュアル感を演出したいのかw、余分に買っておくものに、ビールが入っている。

被災下でのアルコールなど嗜好品は、いろいろ怖いんですよ。なんたって、激しいストレスの中で、ほとんどの人が禁酒・禁煙を強要されている。

そんな中で、ヌルいビールwでも飲んで酔っていたら、場合によっては周囲から一斉攻撃されて、身体的危険に晒されることさえあるというのが、報道されない被災地の現実のひとつです。

酒がどうのではなくて、溜まりにたまったみんなのストレスのはけ口になってしまうかもしれない、ということ。自分のものであっても、「なんでお前だけ!」という感じで。

それに、発災から数日ですよ。地震ならば大きな余震が続いている中で、ビール飲んでる場合じゃないでしょ。あんた死ぬわよw

災害派遣の自衛隊員は、もちろん食料を持っているのですが、被災者から見える場所では絶対に食べなかったのです。

そういう気遣いが必要なピリピリした現場の空気、お役人や教授センセイには伝わっていないのでしょうね。いいところ、大名行列組んで視察するくらいだろうから。

はっきり言いましょう。特に都市部の被災地で酒、タバコなどを持っている、または持っていることを匂わせるような言動は、盗難、恐喝、暴行の被害に遭う可能性を高めます。

そこまで行かなくても、周囲との摩擦を生む可能性がありますから、取り扱いはくれぐれも慎重に。早い話が、見つからないようにね。

備蓄の話じゃなくなってしまいましたが、ビールの買い置きとか言う教授センセイは、こういう現実など全く知らないか気にしていないようなので、敢えて触れました。


5.使用期限をチェック


食品の賞味期限と同じように、電池、薬、使い捨てカイロなどにも使用期限があります。いざという時にあわてないよう、定期的に点検しましょう。

あれ、おかしな話になってきたw

通常備蓄が面倒だから、“手軽な日常備蓄”を勧める記事でしたよねこれ。

使用期限などの定期点検は通常備蓄品のためのメインテナンスであり、それが軽減されなければ、日常備蓄を勧める意味がありません。

まあ、当シリーズで述べている通り、食料品に限らず日常備蓄だけでは必要物資をまかなえないという証明を、自らやっていただいているようで。

平時の使用頻度が低い電池、薬、使い捨てカイロだからこそ、何年も放置して、いざというう時に使えなくならないようにチェックせよ例示したということでしょうが、なんとも浮き世離れしていますね。

使い捨てカイロの使用期限なんて、できることなら「みなさんご存じでしたか?」とでも書きたいトリビアネタでしょうね。 でもね、管理人は5年物を使ったことありますよ。暖かかったですよwそんなの大した問題じゃない。

つまりアレですよ。頭で考えただけ、という。

こういうのが面倒だし忘れがちだから、備蓄品が放置されるのです。「やりましょう」と言って事が済むなら、『専門家』なんていりません。

「どうやったら上手に回せるか?」を提案、指導するのが『専門家』じゃないですか?

まあ、頭で考えているだけの人には、有効なアドバイスは無理ですよ。

少なくとも、防災工学の専門家が出る幕じゃないですね。どういう経緯で登場されたか知りませんけど。


そんなわけで


『日常備蓄』についてのツッコみは、ここまでです。

最後にもう一度念を押しておきますが、管理人は『日常備蓄』を否定しているわけではありません。

でも、絶対にそれだけではダメなのです。

もちろん、『日常備蓄』だけでも無いよりははるかにマシ。何も手をつけていない方は、そこから始めましょう。

でも、それなりに手間もおカネもかかりますよ。『東京防災』が言うように、誰にでも簡単お手軽ではないのです。

それでも、少し余分に食品などがあるちょっとした安心感、それを楽しんでください。人間、楽しくないことは自主的に続けられませんから。

そして、インフラ停止下で本気で1週間自活しようと思うあなた。通常備蓄と日常備蓄を効率的に組み合わせて、あなた自身の『防災ポートフォリオ』を組んでください。

くれぐれも、「誰でもお手軽」みたいなのにダマされずにね。


最後にこれだけは。

停電した冷蔵庫の生鮮品を1週間食えるなんて、絶対に信じないでくださいね。こんな大ウソを、1200万都民の1%でも信じてしまったらと思うとゾッとする。

仮に食中毒で苦しむ人が出ようと、責任など一切取る必要が無い立場だから、こういう大ウソも言えるのでしょうね。

なにしろ、そんなことしたら、

あんた死ぬわよw


■当記事は、カテゴリ【『東京防災』ってどうよ】です。


【東京防災ってどうよ38】今できる?防災アクション【5】(#1268)

『東京防災』にツッコむ通算38回目、『今できる?防災アクション』の5回目です。

今回も『日常備蓄』をイジり倒します。それにしても、この『どうよ』シリーズ記事終わりが見えないわw


机上の空論5つのポイントw


前回記事に続き、『東京防災』092ページからの見開き記事にツッコみます。
Points
今回は、093ページの『備蓄 5つのポイント』について。重川希志依/常葉大学大学院環境防災研究科 教授監修の記事です。

ところで、管理人は大変な勘違いをしておりました。この重川氏の記事、典型的なオッサン目線に見えたので、すっかり男性だと思い込んでいたんですよ。でも、名前良く見りゃ女性ですね。で、調べてみたら、中央防災会議委員だとか、ニッポンの防災の中枢に関わっていらっしゃる。

でも女性だからと言って家事に詳くないのはおかしい、なんて言いませんよ。男女同権がどうのということじゃなくて、ハウスホールドもやる男性である管理人がそれを言ったら、自分を否定することになっちゃいますからw

ちなみに、重川氏のご専門は建築なんですね。いくら防災に関わっていると言っても、そういう方が家庭防災語らなくても良いと思うのですが。

まあ、前記事でも触れましたが、こういう方もいらっしゃるということで。

では、本編です。1項目ごとに引用させていただきますね。先に言っておきます。今回で5項目完結できませんw


1.冷蔵庫は食料品備蓄庫


一般家庭であれば、冷蔵庫の中やそのほかの買い置き食料品が1~2週間分あると言われています。例えば冷凍庫の中の物から食べ始め、次に冷蔵庫の物、そのほかの食品、と順序を考えれば、普段あるもので数日間は食べつなぐことができます。

さあ笑おうぜw

のっけから『1~2週間分あると言われています』って、誰が言ったんだよ。誰でもいいけど、あなた自身が経験的、実験的に把握していることじゃないのか?

やっぱりというか、そうじゃないんだよね。

それに、なんでも口に入れられれば食事になるわけじゃないし、冷蔵庫って調理が必要な生鮮品が中心ですよね。

皆様、ご自宅の冷蔵庫の中を思い出してください。このセンセイの言うこと、納得できますか?

冷凍庫→冷蔵庫→その他と食べて行けというのも、いわゆる“足が早いもの”から消費しろという、あくまで概念論。

実際は、冷凍庫の肉類より冷蔵庫の魚介類の方が足が早いし、肉類もあまり冷凍はせず、冷蔵庫のチルド室くらいが普通でしょう。あくまで、ケースバイケースなのです。

普段から料理をする方々ならば、納得していただけますよね。

でも、センセイにはそういう視点はなく、要はやったことが無い人間がやることも無い人間に「なるほど」と思わせる効果しかありません。すなわち、机上の空論。文字数が無いから一般論だけというのなら、マニュアルの意味がありません。

それでも、教授センセイが言うと、ノーチェックで世に出るわけです。

それに、経験則の宝庫である実際の被災地からの声さえ反映されておらず、『日常備蓄』は簡単という、自説を補強したいだけにしか見えません。

せめて、停電した冷蔵庫の開扉回数と時間は最少限に、という現実的な“指導”のひとつでもあればねえ。なに?やっぱり文字数が足らない?w

この”指導”からは、冷蔵庫の中身を数日間安全に食べられるようなイメージしか伝わってきませんが、当然ながら現実は違います。

当ブログ過去記事をご覧ください。
【シリーズUDL10】キミは震災ディナーを知っているか?(#1031)

1月に発生した阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)でさえ、こうだったのですよ。もちろん、東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)でも。

停電した冷蔵庫の生鮮品、特に肉や魚介を食べられるのは、冬場でもいいところ1~2日に過ぎないのです。

現実には備蓄どころか、もったいないから傷む前に必死で食べたのですよ。

どこが『日常備蓄』で、数日は食えるんだか。


2.生活用水の重要性


断水になると、最も困るのは生活用水が使えなくなること。いざという時に備えて、常に風呂に水を張っておきましょう。また、集合住宅では受水槽の水も使えますが、どのように配分するか、ルールを決めておくことが大切です。

断水すると、最も困るのは飲み水が無くなることですけどねw

あ、そうか。日常じゃない備蓄、ローリングできないストックでペットボトル水買ってあるかww

もちろん生活用水も重要なので、風呂の残り湯はキープしておきたいもの。

ちょっと昔の風呂窯式なら、バスタブには常に新しい水を張っておき、後から沸かすことも普通でしたが、最近の温水式ではそれもできませんし。

では、その水が何に使えるか。

現実的には、下水道の配管が健全な場合のみ、水洗トイレを流すことと、ちょっとした洗濯くらいでしょう。それができるだけでも天地の差ではあります。


次に、集合住宅の受水槽の水も使えるとしていますが、こちらは上水道ですよ。飲める水であり、決して生活用水ではない。

飲める水でトイレ流せって話ですか?

地下にある一次受水槽の水は、みんなで配分を決めて汲みだして使いましょう。でも、屋上の二次受水槽からは、一般的にはポンプを使わずに重力で各部屋の蛇口へ配水されますから、断水、停電しても水槽に水があるうちは水が出ます。

そうなると、早い者勝ちなんですよ。ちょっと覚えておきたいブラックトリビアですw


さておき、では集合住宅なら水が確保きるかというと、最近はそうじゃないんですね。

近年は、水道管から水を取り込み、そのままポンプで圧力をかけて各部屋へ配水する増圧直結配水方式が主流になって来ています。すなわち、受水槽が無い。

しかし、自治体によっては、断水時の水確保のために規制しているところもあります。災害時の対応が増えることを嫌って、自治体的にはあまり好ましく無いわけです。

でも、デベロッパーにとっては建設費の大幅なコストダウンになるので、どんどんやりたい。

さて、あなたのマンションはどちらですか?管理会社か自治会へGO!w


水配分のルール決めるなんてのは、センセイに言われなくてもやりますよ。子供じゃないんだから。そうではなく、こういう情報こそ、『専門家』には期待したいですけどね。

ああそうか。書きたくても文字数が足らないから書けないのかww

ちなみに管理人は、自宅マンションの防火管理者でありますから、その辺はウルサイですよ。


さて、そんなわけで次回へ続きます。


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2016年9月22日 (木)

【東京防災ってどうよ37】今できる?防災アクション【4】(#1267)

『東京防災』にツッコむ通算37回目は、『今できる?防災アクション』の4回目。今回も、『日常備蓄』をイジります。


誰にでもできる日常備蓄?


『東京防災』092ページの見開きでは、『日常備蓄』について細かく解説しています。
Stock2

タイトルは『誰にでもできる「日常備蓄」』サブタイトルには『1週間は誰にも頼らずに暮らす』とあります。

タイトルだけ見れば、簡単な日常備蓄(ローリングストック)で1週間暮らせる、という意味に取れますよね。でも、それだけでは不可能なことは、前々、前記事で述べました。『日常備蓄』は、あくまで補助的なものに過ぎないのです。

商業誌じゃないんだから、キャッチーなタイトルで目を惹こうとした訳じゃないでしょうが、ならば大ウソということですね。


記事本文の冒頭では、色つきでこう強調されています。

支援が届くまでの少なくとも1週間は、誰にも頼らずに暮らせるように備えることが「備蓄」です。

では、過去の大災害で、インフラ(上下水道、電気、ガス)停止下で、自宅で1週間完全に自己完結(誰にも頼らずに自活すること)できた人はいるのでしょうか?

それは、ほぼ皆無のはず。少ない食品を細々と食いつなぐことは、自活とは言いません。すなわち、ほとんど誰もやったことの無いことが、簡単にできると言っている。

その後には、こう続きます。

(日常備蓄とは)『なくなったら困る物を買い置きして、古い順から使うようにすればいいだけ。特別なものを備える必要はありません。それが日常備蓄という考え方で、いつもより少し多めに食品や日用品を買いおきしておきましょうということに過ぎないのです。』

いかにも簡単なことのようにおっしゃいますな。

特別なものはいらないのならば086ページの『最小限備えたいアイテム』のリストはなんだ?
■水(飲料水、調理用など)
■主食(レトルトご飯、麺など)
■主菜(缶詰、レトルト食品、冷凍食品)
■缶詰(果物、小豆など)
■野菜ジュース
■加熱せず食べられる物(かまぼこ、チーズなど)
■菓子類(チョコレートなど)
■栄養補助食品
■調味料(しょうゆ、塩など)
レトルトご飯や缶詰、栄養補助食品に、ミネラルウォーターだって、決して誰もが普段遣いするわけではない、十分に“特別なもの”だろうよ。

このリストのツッコみどころ、前回記事でひとつ落としてしまったので、ここで。備蓄すべき主菜の中に冷凍食品が入っているのは、悪い冗談か何かですかね?

まあ、このリストは別の人が作ったのでしょうから、自分が言われる筋合いは無いと思われるかもしれませんが。でも、そんなのは読者には関係ない。


さておき、この記事の筆者は『日常備蓄』とはいつもより少し多めに買い置いて、先入れ先出しすることに過ぎない、と言う。それで1週間食いつなげると。でも、大前提としてあなた自身はそういう備えをしているのか?

研究者ならば、せめて現実的なシミュレーションをした上で、そう言っているのか?

それ以前に、あなた自身や様々な家庭における日常の食材の種類、量、その他日用品の必要量を把握しているのか?

まさか、それもわからずに他人に“指導”しているのか?

もし把握しているのならば、『日常備蓄で1週間分』という発想ができることが理解不能。

あなたの言うことは、実現不可能な机上の空論ということでよろしいか?


なんとか言ってくれ


管理人、例によって書きながらだんだん腹が立ってきました。

どう切り取ってもできもしない、本当は役に立たないことが“指導”されている。

で、お気づきでしょうか。管理人が文中で「あなた」という呼びかけをしていること。

実はこれ、署名記事なんですよ。でも、どうやら第三者による口述筆記のようですが。文末に、こう記されています。

(談)重川希志依/常葉大学大学院環境防災研究科 教授

どんな研究されているかわかりませんけどね、少なくとも家庭生活のリアルを知らずに、概念だけで言っているようですね。

これがまさに、“野球情報には詳しいけれど、一度もプレーしたことない奴が野球選手の練習法を指導している”、という状態。

一般社会ではそんなの許されないか、そういう人は淘汰されるんですよ。結果出せないし。でも、防災の世界ではそんなのばかりで、結果がどうなろうか責任もなければ批判もされない。

あの『水のう』で防水とか、水害避難時に長靴はダメ、スニーカーを履けとか言っている連中、今年の連続水害や『政務官スニーカーおんぶ事件』に際し、役に立たない“指導”であるとこれだけ明らかになっても、まだ同じことを言えているという、ほんとうに異常な世界です。


それに、『専門家』と言っても、防災科学や地球物理学の専門家は、決して家庭防災の専門家ではありません。

家庭防災を学術的に研究するジャンルはほとんど存在せず、資格も特に無いから、専門外の『教授』や、ちょっと詳しいだけの『商業ベースの防災の専門家』が、防災やら危機管理アドバイザーとか名乗って好き勝手できるのです。

防災士ごときで『防災のプロ』とか名乗る輩もいるし。かく言う管理人も2007年から防災士ですよ。だからこそ“ごとき”と言える。おまけに防火管理者資格も持ってるぞw

特に、『教授』という肩書きがあると無敵ですよね。最高学府の講師ならば、学術的にも人格的にもすばらしい、というイメージで。

でも、最高学府と言ってもピンキリだし、全然『教授』というレベルじゃない人も多いということをお忘れ無く。当たり前だけど、肩書きじゃなくて、人なんですよ。


まだやります


さて、ここまででコキ下ろしたのですから、是非反論を期待したいものです。

でも、わかってますよ。管理人が匿名で正体不明の怪しいブロガーに過ぎないから、言いたいことがあっても無視するのが『オトナの作法』ってものですよね。


そうこう言いつつ、

重川希志依/常葉大学大学院環境防災研究科 教授

による記事へのツッコみ、次回も続きます。


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2016年9月21日 (水)

【東京防災ってどうよ36】今できる?防災アクション【3】(#1266)

『東京防災』にツッコむ通算36回目は、『今できる?防災アクション』の3回目。

前回記事から続いて、食品の備蓄についてです。


【086ページ】最小限備えたいアイテム


Stock
さて、『今やろう!防災アクション』の冒頭では、『日常備蓄』(ローリングストック)の勧めがありました。

そこから1枚ページをめくった086ページからは、具体的な備蓄の内容が提示されます。

でもそれは、冒頭で勧めたはずの『日常備蓄』の考え方を自ら否定して行くという、驚くべき内容となっています。

もっとも、そうなっていることに監修者は気づいてもいないのでしょう。なんたって、実践を伴わない机上の空論ですから、問題点も気づかない。

086ページには、備蓄しておくべき最小限の食品類として、下記が提示されています。
■水(飲料水、調理用など)
■主食(レトルトご飯、麺など)
■主菜(缶詰、レトルト食品、冷凍食品)
■缶詰(果物、小豆など)
■野菜ジュース
■加熱せず食べられる物(かまぼこ、チーズなど)
■菓子類(チョコレートなど)
■栄養補助食品
■調味料(しょうゆ、塩など)

これ、ふたつの意味で問題だらけということ、おわかりになりますか?


ダメな理由その1


まず上リスト中で、『日常備蓄』の基本的考え方である、日常の食品類を少し余分に買っておいて、無くなる前に買い足すことで、常時備蓄をキープするという方法が採れるものは?

厳密に言えば、調味料(しょうゆ、塩など)だけじゃないですか?

この時点で、『日常備蓄』はあまり効果が無いと、自ら否定しているようなもの。

それに、普段の食事で、ペットボトル水、レトルト食品、缶詰など、ほとんど使いませんよね。通常の備蓄には適していても、『日常備蓄』には全く適していない。

備蓄した食品類は、賞味・消費期限などを考えて定期的に入れ替えることが必要なわけですが、そのためには、備蓄食品を意識して消費する“防災ディナー”のようなことをしなければなりません。

でも、現実にそんなことをするのは面倒なので、だからこそ『日常備蓄』(ローリングストック)という考え方が出てきた訳ですが、普段の食材と備蓄食品に重なる部分がなければ、ほとんど意味がありません。

章の冒頭でローリングストックを勧めたのならば、後の記事はそれを前提としたものでなければなりませんが、上記のリストは、従来から言われて来た通常の備蓄品ばかり。

自ら、『備蓄食品のローリングストックはできません』と宣言しているようなものですね。

できるのは、せいぜい米と麺類くらい。しかし、それも前記事でも指摘したとおり、十分な水が使えなければ、単独ではほとんど食べられない。

ここで、改めてリストを良く見てください。レトルトご飯はあるものの、『日常備蓄』の中心となるはずの米(無洗米)さえ、実は入っていないという体たらく。


こういう反論もあるかもしれません。通常の備蓄食品も、日常的に少しずつ料理などに使って消費すれば良い、と。でも、そう言うこと言う人の大半は、自分で食事なんか作らない人なんですよね。

普段使わない、それも生鮮品ではない食材を日常の料理に応用するのは、やったことの無い人間が想像するより、はるかに面倒なことなのですよ。そうでしょ?料理やる皆様。

そんな面倒なこと、どうぞやれる人はやってください。そんなのは、備蓄品の量も作業の手間も考えていない机上の空論です。


量の問題として、例えば水のこと。ひとり1日2リットル、家族4人として8リットルの3日分で24リットル、ペットボトル12本。これだけのミネラルウォーター、短期間で使えますか?

ご飯を炊くのに使いますか?なんなら、ミネラルウォーターでお米とぎます?w

ならば、例えば3日で2リットルくらい、お茶でも淹れるのに使いますか。きっとおいしいお茶が飲めるでしょう。でも、そうしたら3日に1本のペースで補充しなければ、備蓄はどんどん減って行きます。

そんなことを、水だけでなく全部の備蓄食品で、いつ来るかわからない災害に備えて常時残量と消費期限を把握しながら、延々と管理し続けられますか?

もちろん、それが苦にならない方もいるでしょう。でも、絶対に多数派ではありません。 というか、そういうことを提唱している人間自体が、絶対にやったこと無いはず。


こういう空虚な”指導”を見ると、家族の食を預かる仕事をナメるな、やったこともないオッサンの机上の空論をエラそうに吹くな!という。あ、これは管理人の怒りねw

ちなみに、女性で防災だの危機管理だのアドバイザーだの名乗る人物でも、こういうこと言うのいますね。

女性が言うと”主婦目線”に見えるけどさにあらず。こいつ家事なんか全然やったこと無いな、てなこと平気で言うのもいる。

当ブログ過去記事にこんなのがあります。女性が食いつきそうな話題を振っておきながら、内容は机上の空論丸出しというw多いんですよ、こういうの。

【呆れました特集】専門家ってなに?【1】

防災備蓄とは、本来おカネも手間も場所も取る、実に面倒なことなんですよ。でもそれを、上っ面のアイデアで「こうすれば簡単!」と、耳当たりの良いこと言う輩が多すぎる。

『日常備蓄』(ローリングストック)は、主な備蓄が整っていることを前提にした、あくまで補助的なものなのです。


こういう”指導”は、言うなれば野球の情報には詳しいけれど、一度もプレーしたこと無い人間が選手の練習法を指導しているような、あり得ない状態ということ。

でも、そんなのがありがたがられて、ヨタ情報でも商売になって、『東京防災』みたいな公式本にも載ってしまい、批判もほとんど起きないというのが、この災害大国の現実ということです。

管理人、孤立無援です(爆笑)いえ、ご愛読いただいている読者の皆様の存在は、常々感じております。ありがとうございます。

こういうやっつけ仕事を撲滅するために、どうぞ拡散してやってください。


ダメな理由その2


では、『日常備蓄』(ローリングストック)はさておいて、『東京防災』が勧める備蓄食品は正しいのか。

例によって、こういうのは概ね正しい。でも、現実に落とし込むと、机上の空論が浮かび上がって来るのです。

それも、ちょっと考えればわかることを、監修者が面倒くさがりなのか頭が悪いのか(たぶん後者w)、考えなしに提示していることが多くて。


当記事冒頭の備蓄食品リストを見られて、ちょっとおかしいと思いませんか?

それを食べることになるのは、インフラ停止下なんですよ。電気も水道も止まった。

例えば、夏には気温が30℃を優に超え、湿度が80%以上などという中で、冷蔵庫が使えないのです。

そんな中で、かまぼこ、チーズ、チョコレート、野菜ジュース?

もちろん、対応できる製品はあります。滅菌して個別包装されたものならば、常温保存もある程度は大丈夫でしょう。でも、高温で変質するものもある。

野菜ジュースなど飲料類にしても、1ポーション分の個別パックならば問題ありません。でも、ペットボトル飲料も含めて、開封後要冷蔵のものはダメ。

チョコレートがドロドロになるのも避けようがありませんんね。栄養だけ考えてピックアップされたのでしょうが、そんなちょっと考えればわかることさえ、考慮されていないし。


ここで、上のイラストをもう一度ご覧ください。どの絵が何を指すかは良くわからない部分もありますが、かまぼこは明らかに、セロハンなどで包まれただけの、要冷蔵の板かまですね。

このイラストは、記事の一部のはず。決して賑やかしやページ数稼ぎじゃないですよね。なのに、こういうことがまかり通るのが異常なのです。他の記事でも指摘していますけど。


こういう指摘をすると、管理人は小さな誤りを針小棒大に騒ぎ立てる、なんて小せえ人間なんだ、と思われる向きもあるかと。

でも、個別のことはそれほど問題じゃないんです。非常用備蓄食品に絶対に必要な条件とはなんですか?

味だ栄養だと言う前の大前提として、

真夏の高温・高湿度下でも常温保存ができること

ではないですか?でも、それができない食品がひとつでも入っていたり、真夏でも常温で長期保存できる食品を備蓄せよという、最も重要な“指導”が全く見あたらないという不良記事が、公的資料として拡散されていることを糾弾しているのです。


ちなみに、番外編の過去記事では、非常持ち出しにカップラーメンなどあり得ない、ということを指摘しました。
【東京防災ってどうよ・番外編】ほんとバカだよね~非常持ち出しにラーメン?~(#1236)

本来は、こちらの家庭内備蓄にカップラーメンなどが入っているべきなのですが、『最小限備えたい』というコンセプトのせいか、入っていませんね。

なのに、非常持ち出しには入れてしまうという『東京防災』サマw


仕事が大規模な東京都が主体という、この仕事に関っておくとハクがつくし後々のメリットも大きいと踏んだ『防災の専門家』が寄ってたかって内容のすり合わせもせずに好き勝手やって、しかも全体を横断して監修できる人物がいなかったのでしょうね。

いても、名誉職みたいなお飾りか能力不足だったということかな(たぶん後者w)


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2016年9月19日 (月)

【東京防災ってどうよ35】今できる?防災アクション【2】(#1265)

『東京防災』の『今やろう!防災アクション』にツッコむ、本編に入ります。

この章は、
■物の備え
■室内の備え
■室外の備え
■コミュニケーションという備え
という4つのテーマで、自主的な災害対策を“指導”していますが、例によって机上の空論や詰めの甘さ、非現実的な内容が見られます。

コンセプトが正しくても、多くの人が実際にできて、災害時に役に立たなければ意味がありません。

『防災の専門家』のやっつけ仕事の場であってはならないのです。

では、始めましょう。


【084ページ】物の備え


災害対策の大きな柱のひとつが、物資の備蓄です。

防災というと、これが最優先というイメージがどうしてもありますが、これは災害から『生き残る』ためではなく、『生き延びる』ための行動です。

現実には、市販の『防災セット』を買って、そこで止まっている方も多いでしょう。

もし、もう十分に備蓄をしているから安心と、それ以上の対策をお考えではない方がいましたら、それも大きな間違いです。

いずれにしても、まず災害生き残らなければ、何の役にも立ちません。


さらに、世間の防災情報通りに備蓄をしていても、それが正しくないこともあるし、役に立たない防災グッズもあるということをお忘れなく。

シリーズ前記事で触れた、『非常持ち出しにカップ麺』のように。いや、もっと致命的な誤りもあるのです。


実際に備蓄をやろうとすると、何を備えたら良いのかわからない、意外におカネがかかる、収納場所を取る、入れ替えが面倒など何かと問題が出てきて、そのうちに放置されてしまうことも多いもの。

それを乗り越えて、効果的な備蓄を維持するためにはどうするか。『東京防災』にはその方法も示されていますが、果たしてそれは、本当にできるのか?


日常備蓄という考え方?


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最初のページにあるこのイラスト、凄いですよね。大量の備蓄品が専用スペースにぎっしりという。

でも、これはどういう意図があるのでしょうか。理想の姿?できればこのくらいやれという“指導”?

誰もが考える理想は、自分専用の備蓄倉庫が家のすぐ近くにあって(家の中ではデッドスペースとなって邪魔だから)、中味の管理は他人がやってくれたらいいなとw

でも、自分で選び、買い、収納し、管理しなければならない。そして、備蓄の内容はできるだけコンパクトかつ無駄が無く、十分な量が無ければならない。

簡単なことではないのです。


そんなこんなでなかなか手をつけられない人にアピールするためなのか、最近現れたのが、『日常備蓄』という考え方。『ローリングストック』と呼ばれることもあります。
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このイラストのイメージですね。テキストには、こうあります。

『これまでの災害用備蓄は、乾パンやヘッドライトなど普段使わない物を用意する特別な準備と考えられてきました。そのための管理や継続が難しいとあきらめてしまう人も多かったはず。しかし、日頃利用している食料品や生活必需品を少し多めに購入しておく「日常備蓄」なら、簡単に備蓄ができます。

上記テキストの太字の部分をご覧になって、例えば日頃から家族などの食を預かるあなたは、「それなら簡単!」と納得できますか?

これぞ、やったこともない奴が頭で考えただけの、典型的な机上の空論なのです。


自宅で調理して食事をしている場合、少し多めに購入しておける、冷蔵庫を使わなくても保存が効く食材が果たしてどれだけありますか?

現実には、米、乾麺類、缶詰、レトルト・インスタント食品、ミネラルウォーターくらいしかありません。

しかも、上下水道が復旧するまでは米は事実上無洗米でなければならず、乾麺も茹でる水が確保できなければ、調理できません。

無洗米、使ってますか?管理人は使っていません。


さらに、それぞれの食生活スタイルに影響されるものの、缶詰やインスタント食品は普段の使用頻度が低いですよね。というか、家での調理が中心の場合、ほとんど使わない。

すなわち、『ローリング』(=回転)できるのは米や麺など主食とおかず少々であり、インスタント食品や缶詰は、普段生鮮品があっても意識して消費しないと『ローリング』できない、ということです。

しかも、備蓄量も米や麺などを除けばせいぜい2~3日分を余分にストックできるくらいなもの。普段遣いの食品収納スペースに、それ以上の余裕ありますか?ある方がうらやましいw

その程度の効果しかないものを、「簡単に備蓄ができます」などと言えるのですよ『防災の専門家』は。なぜなら、自分でやったことも無いか、メディア向けの形を表面だけ作っているだけだからです。

『日常備蓄』は、あくまで総合的な備蓄の一部を担うに過ぎないのです。

『日常備蓄』が推奨されるようになった裏には、商業ベースの『防災の専門家』が大好きな、今まで無かったトリビアを提示して目立ちたいという発想と、非常に親和性が高い考え方だと言うのが大きいかと。

行政としては、意識して災害用備蓄をしない層が少しでも備蓄を持つことで、発災害時の公的支援への負担を大きく減らせる、という意図もあるでしょうね。

でも、そこに現実の行動や経験から来る裏付けはろくに無い机上の空論が中心なので、実に薄っぺらな話でしかなく、いざ実際にやってみようと思っても、それほど大きな効果は上げられないのです。


驚きの自己否定w


もちろん、管理人は『日常備蓄』を否定するわけではありません。

管理人が批判している対象は、『東京防災』だけでなく各メディア上で、「こうすれば問題解決!」的なノリで扱われていることに対してと、そういうレベルで拡散している、口先だけの『防災の専門家』に対してです。

繰り返しますが、『日常備蓄』でできることは食品備蓄の一部に過ぎず、他の対策を補完するものに過ぎません。それだけで簡単に十分な備蓄ができるわけではないのです。

それでも、『今やろう、防災アクション』のトップを飾る記事でした。

でも、ページを一枚めくると、驚くべきことが起こるのです。

次回へ続きます。


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2016年9月16日 (金)

【東京防災ってどうよ34】今できる?防災アクション【1】(#1264)

『東京防災』にツッコむ、今回からは新編です。

『東京防災』081ページからの、『今やろう 防災アクション』にツッコみます。
Action1

タイトルがずっと同じだといい加減わかりづらいので、当編は題して『今できる?防災アクション』としますね。


正しいだけでは使えない


『今やろう 防災アクション』の章では、物と行動両面で、すぐにとりかかるべき災害対策が、地震対策を中心にいろいろ示されています。

そこで提示されるアクションのコンセプトは、言うまでもなくほとんど正しいのです。

しかし、それを現実の行動に落とし込もうとした時に、様々な問題が出てきます。

なぜなら、そこには机上の空論本当は役に立たない防災トリビアがあちこちに入り込んでいるからです。


『地震に注意しましょう』というのは、正しいことです。

しかし、いつ、どこで、どのように注意するかという具体的な情報が無ければ、意味を為しません。

そこまでの情報はそれなりにあるものの、問題はそこからです。

最大公約数的に提示された対策を、それぞれの状況にいかに落とし込んで行くか。

その段階で、多くの人は対策を進めることをあきらめるか、妥協してしまいます。

それは現実の災害対策の難しさ、複雑さのせいでもありますが、提示された情報自体の問題も非常に多いということを、当ブログでは指摘し続けてきました。


当編では、『東京防災』の記事にそのような視点でツッコみながら、ではどうするかというレベルまで、できる限り解き明かして行きたいと考えています。

それでは次回から、 『今できる?防災アクション』 の本編を始めます。


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2016年9月15日 (木)

【東京防災ってどうよ33】ここがダメなんだよ【29】(#1263)

『東京防災』にツッコむ27回目は、英語編最終の第9回。
Phone

今回は、まあそれほどじゃないけど、言いたいことはあるw


国際電話はどこでかけられますか?


質問:Where can I make an international call?
(国際電話はどこでかけられますか?)

答え:Just a monent,I will check.
(調べるので待っていてください)

質問文は、まあ普通かと。make a call で、電話をかけるということですね。

でも、call は電話をかけるという動詞でもあるし、我々が海外で訊くならば、

Where can I call to overseas? なんて方が簡単かなと。

もちろん Where can I call an international call? でも良いけれど、call がカブってあまりキレイじゃないですね。

ちなみに、phone も電話をかけるという動詞でもあります。

宇宙人が「ET phone home 」って言ってましたね。

これもリンクしてしまえw

子供が喋るシンプルな英語は、我々にとっては良いテキストですよほんと。


では答えの文。

おなじみの Just a moment ですが、『ちょっと待って』くらいの感じです。moment は『瞬間』ですから。

でもこの場面では、ちょっと時間かかりそうです。ならば、

Please wait for a while.(しばらく待ってください)、数分くらい待たせそうならば、

Please wait for a few minutes.なんてのもアリかなと。

この言い回し、管理人は国際イベントの現場ですごく使いました。

でも、wait for~だけだと、結構キツいニュアンスがあるそうなので、please は必須ということで。

ネットで調べたら、相手の話に納得できず、「おいちょっと待て!」と話をさえぎるような時に Wait (for) a moment ! なんて言うそうですよ。そりゃキツイわw

なお、for はつけてもつけなくても問題ありません。 アタマ来た時にはforなんかすっ飛ばします普通w


「調べるので」は、 I will check.でもちろん通じるわけですが、会話では、あれが良く出るんです。

check it out

そうです、あの“チェキラ”ですw

I'll check it out. は「ちょっと調べてみます」という感じの、多用するフレーズです。

発音は、そのまんま アイルチェキラ と言えばネイティブっぽくてカッコいい。

なお、簡単な単語では look up も、こんな場合の『調べる』という意味ですから、I'll look up.もアリ。発音は、アイルルカッ という感じ。

そう言えば、表計算ソフトのEXCELで、セルを参照することを look up って言いますね。あれ、調べてたんだw

余談ついでに、check は、調べるという意味だけでなく、『阻止する』という意味があります。

アイスホッケーやバスケットボールで、身体で相手を阻止することを body check って言いますよね。

一方で、空港などでやるボディチェックは、実は和製英語で海外では通じません。

空港でボディチェックされたなんて言ったら、身体ぶつけられて進入を阻止されたと思われて、不審者扱いされますよw

あれは、security check なのです。


というわけで、最後はなんか余談だらけで、すいませんでした。


これなんだっけ?w


英語編は9回に渡って長々とやりましたが、実は英語の話じゃなくて『東京防災』へのツッコみなんですよね確かw

シリーズ最初に書いた通り、管理人は英語が得意というわけではなく、あくまで実践の中で、必要に迫られて覚え、使っているだけです。

ネイティブとの会話でも、ちょっと複雑になるとすぐわからなくなる程度ですし、ネット辞書のお世話になりっぱなしです。

それでも、これだけツッコめてしまう。いやむしろ、現場の英語に触れているからこそ、違和感を感じまくっているのです。

もちろん、言葉に絶対はありません。管理人の見解に、納得行かない方もあるでしょう。しかし、そこはあくまで個人ブログの範疇であり、管理人個人の見解ということでご勘弁ください。

異論反論ご意見は歓迎しますが。


英語編をここまでやった最大の目的は、外国人がたくさんいる東京の、英語が得意ではない人向けの用例集が、この程度で良いのかということを問いたかったのです。

管理人がツッコんだのは、あくまで机上の空論的英語であり、それを平然と“指導”する監修者に対してであり、さらに言えば、そういう体制で『本当は役に立たない』マニュアルを作ってしまう制作者に対してでもあります。

災害下の会話というシチュエーションとしても、わかりやすく実践的な英語という観点からも、どう見てもこれはやっつけ仕事だろうと。

『本当に役に立つ』ことを考えておらず、おそらくは『大御所』がやりたい放題やっているという、防災の世界と似通った構造が見えるからこそ、ここまでやりました。 いかがでしたでしょうか。


おしまいに、管理人の英語を鍛えてくれている海外の友人たちに感謝しつつ、最後はあの言葉で。

「言葉は度胸だ」


次回からは、『今やろう!防災アクション』にツッコみます。


■当記事は、カテゴリ【『東京防災』ってどうよ】です。


2016年9月14日 (水)

【東京防災ってどうよ32】ここがダメなんだよ【28】(#1262)

『東京防災』にツッコむ27回目は、英語編の8回目です。
Find

今回は、短文の割にはネタの宝庫だw


食べ物はどこで手に入りますか?


質問:Where can I find 〔food/water/a blanket〕?
(〔食べ物、水、毛布〕はどこで手に入りますか?

答え:I asked the person in charge. So please wait here.
(係りの人にお願いしたので待っていてください)

うーむwな質問文。 ここはどう考えても find じゃなくて get でしょうよ。

監修者は、探し回っても見つかっていないというニュアンスを出したかったのかもですけど、ここで find はまずあり得ない。

米国ネイティブとの会話では get はとても多用されますし、日本人相手にわざわざ「手に入れる」を「見つける」と言い換えて来るとは思えませんね。

立場逆だったら、そんなことしますか?


get は、例えば I got it.(わかった)、省略して Got it.なんてのはごく日常語。

ちなみに発音は、アイゴットイットじゃ伝わりません。カタカナ発音でアガリッ または ガリッ と言えばOK。ガを強くね。

むかし、シブがき隊(懐)が歌った『スシ食いねえ』という名曲wの歌詞の、「アガリ、アガリ、アガリ、ガリ、ガリ、ガリ」という部分、実は(注文が)わかったという I got itと、上がり(お茶)とガリ(しょうが)を掛けた、秀逸な言葉遊びだそうで。

■スシ食いねえをリンクしちゃいますw

おっとまた脱線したw では答えの文。またこねくりまわしちゃてるなぁw

まず、順番が逆なんですよ。前記事でも触れましたが、『最初に結論を述べよ』ということ。

○○だから××してください、というのは日本的発想です。少なくとも英語を話す外国人に対しては、××してください。理由は○○です、という流れでなければなりません。

英語でコミュニケーションする場合には、必ずそうすべきです。もちろん日本人にも、特にビジネスでは必要なことです。

英語の命令形で動詞が文頭に来るのは、偶然じゃないわけです。それが必要だから、そうなっているということ。

てか、監修した『英語のプロ』が、それを無視しているということが衝撃的ですけどね。


ですから、この場合も最初に Please wait here が来なければなりません。でも、wait より stay の方が、この場所に留まれというニュアンスなので、より適当。

wait だと時間を待つ感じで、その間に歩き回っていても良いとか取られかねません。ですから、「ここにいてください」の場合は、絶対に stay です。

シュワちゃんもターミネーター2で言ってますよね。
Stay here, I'll be back.って。
あの場面では、「自分が退路を開いて戻るから、それまでここを動くな」という意味なわけです。

そのシーンもリンクしちゃえw(『ターミネーター2』より)


で、今度は言葉だ。なんだこれ?感満点の、person in chargeだってwこんなの学校で習った?受験生は知ってそうだな。

意味は、『担当者』という。はい、辞書で調べましたw

答えの文は、我々日本人が喋るんですよね。その例文にこんなものブチこむ監修者って、やっぱ“英語研究のの大御所”みたいな方なんですかね。

こんなもの、staffで十分でしょうよ。

というわけで、管理人が言うならばこんな感じかな。

Please stay here for a while. I asked the staff.

for a while は『しばらくの間』という意味。

そんな状況では、どうせすぐは対応してもらえないだろうから、しばらく待ってね、と先に言っておくということで。

ところで、例文は asked だけで、それでは『尋ねる』という意味であり、訳文と違いますね。

まさか、どちらでも良いとは言いますまい監修者ww


さて、次回は英語編のラストです。


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身近な凶器の現実(#1261)

先日、管理人は所用にてある街に行きました。

そこで衝撃的な光景を目にしたので、思わず撮影してきました。

その画像が、こちら。
Tile_2

まあ別に、面白くもなんともないかもしれません。でも、恐ろしい事態を予期させます。


あなたの周りどこにでも


このビルは、その街の中心にそびえる巨大な複合ビルで、ほぼ全面が画像のようなタイルで覆われています。

竣工は1988年で、それから30年近く経ってはいるものの、そのタイルがボロボロ剥がれ落ち始めているのです。

このビルの場合はすでに補修工事が始まっていましたが、何もしなくても剥がれ落ちるタイルが、大きな地震でどうなるかは、言うまでもありません。

これが現実です。


そして、この画像のような地域を代表するような建物よりも、もっと簡易な方法で建築されたビルが、あなたの周りを取り囲んでいるのです。

その中には、状況によって想定以上に劣化していたり、手抜き工事された場所もあるでしょう。

すなわち、新しい建物でも決して安心はできない、ということです。


管理人は、大地震発生時の外壁材の剥落を、とても警戒しています。場合によっては、数十、数百kgというレベルで落ちて来るからです。


一度、あなたの居場所や出先で、ビル街を見回してみてください。

外壁に陶器や石材の化粧タイルを貼った建物が、想像以上に多いはずです。

それが、大地震でなくてもあなたの頭上に落ちてくるかもしれない。そして大地震が来たら、一部は確実に落ちてくるのです。

新耐震基準だから倒壊はしないはず、などと安心はしていられません。

多くのビルは、その外側にガラスも含めた凶器を抱えているのです。


大地震が来たら、そんな身近な凶器から身を守る方法は何か。普段から真剣に考えておいてください。

落下危険地帯にいたら、時間的猶予はほとんどありません。

文字通り、1秒が生死を分かつのです。


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2016年9月13日 (火)

【東京防災ってどうよ31】ここがダメなんだよ【27】(#1260)

『東京防災』にツッコむ27回目は、英語編の7回目。
Traffic

またなんかわかりづらくしてるw

道路はいつから通れますか?


質問:When can I use the road? Which route is open?
(道路はいつから通れますか? どこの道路が通れますか?)

答え:Route ■■ going from ○○ to △△ is closed between ●● and ▲▲.
(○○から△△に向かう■■号線は、●●~▲▲の間は通れません)

こんな質問文、本当に言う外国人いる?

road を use するという表現、簡単な単語だし、文法的には通じますけど、なんか不自然じゃないですか?

こういう場合の会話で良く出てくる単語のひとつが、
available
『利用できる』という意味です。

簡単な単語を使うなら、通り抜けられるという意味で  go through も良いかなと。

実際には、こんな感じじゃないですかね。

When can I go through the road? Which route is available? 

管理人には、例文を外国人が言うイメージがどうしても浮かびませんw

もし我々が外国で質問するなら、文法とか無視して、こんなのでも大抵は通じますよ。

When road recovery? Which route (can) I go?

can をカッコに入れたのは、文法的には必要だけど、無くたってなんとかなる、ということ。

もっと簡単に、When the road open? だって十分通じるし。

そう、『言葉は度胸』です。


さて答えの文。なんかパズルみたいで良くわからんw英語が得意ではない人向けなのに、無理矢理一文に全部詰め込むという発想がおかしい。

こんなのを、英語が得意でない人が喋るのを聞かされる外国人がかわいそうだw喋る方も、内容を分ければもっと簡単です。

実際の場面を考えれば、日本の有名でもない地名並べられて、外国人はわかりますかね普通。

しかも、どの道路がいつ通れるのかという質問に答えていない。

おもてなし精神に激しく反しますねw


ここで登場しているのが、学校英語でおなじみのイディオム between A and B(AとBの間)であります。

これ自体は、実際の会話やSNSの文でも良く使いますし、交通関係の会話には必須でしょう。

でも、このケースで不通場所を二地点間で表すのは、あくまで情報であって、相手の行動を考えたら適当とは言えません。

質問した外国人は、いつ道が通れるようになるのか、どのルートが使えるのかを聞いてます。ということは、いつ、どこまで行けるのかということ。

まず、現在どの道も通れないのならば、それを教えてあげないと。

Now no route available.か、Now All route closed.という感じですが、Now no road go だって通じるんですよ実際は。

で、今どの道でどこまで行けるかを教えてあげる。

Now You can go to ●●(通行止め地点)via Route ■■.
(今、国道■■号線で●●まで行くことができます)

via (管理人はヴァイアと発音して通じています)というのは、~を経由して、通ってという意味ですが、by でも on でも、何も無くても通じます。気にしない気にしないw

で、復旧する時間がわかっているのならば、教えてあげれば。

復旧は英語でなんて言う?なんて考えずに。close しているものが開くのですから、open で十分です。

(The) road (will be) open tomorrow.

明日開通します、くらいで。カッコ内は、無くたって通じますよ。

こういう場合、実際には本当に開通するか断言できないし、情報はあくまで伝聞にすぎません。

ならば、頭にこれをつけておくと良いでしょう。

I heard the road will be open tomorrow.

ちょっとしたゴマカしです。I heard は「私は~と聞いています」、すなわち「~だそうです」という、伝聞であることを意味します。

断言できなかったら、他人のせいにしましょうw

他人を特定すれば、さらに信憑性が増します。その情報を、テレビニュースで言っていたのなら、

A TV news said, the road will be open tomorrow.

という感じで、日本語で「ニュースで言っていた」と言うのと同じく、この場合の動詞は、言っていた=said なんです。


そんなこんなで、いろいろ細かい指摘をしましたけど、改めて思い出してください。これが載っているのは英語の試験用テキストじゃなくて、日本で一番英語を話す外国人が多い、東京の防災マニュアルなんですよ。

災害下の現場で役に立たなければ、何の意味も無いのです。

それ考えると、あまりに非現実的なのが多すぎはしませんか。

外国人に「コンナコトイワネーヨ」と笑われていなければ良いのですが。冗談ではなく。


英語編、あと2回あります。


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2016年9月12日 (月)

【東京防災ってどうよ30】ここがダメなんだよ【26】(#1259)

『東京防災』にツッコむシリーズ、怒涛の26回目は、英語編の6回目。 当シリーズ記事としては、もう30回目の大台なんですよ。

今回も、???な表現が・・・ そして、実は外国人にとても役に立つ情報源を紹介します。まあ、聴きたくない外国人もいそうだけどなw
Trafic


交通はいつ復旧しますか?


質問:When the transportation〔train/bus/airport〕be back in service?
(〔電車・バス・空港〕はいつ復旧しますか?

答え:You can get imformation about the transportation 〔bus,train,boat,airline,etc.〕through TV and radio .
(電車〔バス・船・飛行機〕の情報は、テレビ、ラジオでお知らせしています。

また実にまどろっこしい文章だことw

交通機関を表すのに transportation は出て来ないかと。普通は trafficやtraffic system などです。というか、普通は train や airline など個別に訊いてきますよね。

back in service というのも『復旧する』という日本語表現を無理に英訳したような感じですね。一語では restoration (レストレイション)が正しい訳語ではありますが、 馴染みのある単語では、recovery(リカバリ)がいいかなと。意味はほぼ同じですし。

構文自体も、典型的な未来形の質問文ですから、外国人ならばwill を使って来るかと。でも、この文をわかりやすく簡単にしたとも思えません。他の文はみんなこねくり回し過ぎだしw

実際には、シンプルにこんな感じに訊いて来のでは?

When will the traffic be recovery (restoration) ?


では答えの文。まず英語以前の問題として、テレビ、ラジオじゃ外国語の情報はほとんど無いわけですよ。前の文でインターネットのNHKワールド出しておきながら、なんでテレビ、ラジオなんだよw

すっかり現実的ではなくなりましたが、管理人が後で意味を与えましょうw

さておき、You can ~という表現自体は、良く使います。例えば道案内で、

Go along this way,soon you can find the police station on your left.

というように。まあそれでも良いのですが、このコーナーは、そういうことがパっと思いつかない人向けですよね。

であれば、伝えるべきは「テレビ、ラジオから情報を得よ」(できるかどうかは、とりあえず置いといてw)

Get information from TV and radio.

これで十分です。from は on でもかまいませんが、~からというニュアンスです。

例文にまたもや出てきた through なんて、こういう場合にほんと聞いたことないw 

『文法的には』正解なんでしょうけどね。


最強の情報源


日本のテレビ、ラジオでは英語情報があまり得られず、あっても文字放送などで、簡単に見られるものでもありません。

そこで、災害時の英語情報として管理人が最適と考えるというか、手軽に入手できるほとんど唯一のリアルタイム情報源がこちら。

AFN(American Forces Network)

です。管理人も含めて、ある程度のお歳の方にはw、FEN(Far East Network)という名前の方が馴染みかもですね。ちなみに、AFNに名称変更したのは1997年です。

これは在日米軍が米軍基地の軍人・軍属やその家族向けに行っているラジオ放送です。

米軍の放送ですから、情報収集力とその正確さは折り紙つきでしょう。日本のメディアみたいに変な演出やアオりは無いし。

但し、基地周辺向けなのでどこでも受信できるわけではありませんが、実際にはかなり広い範囲で受信できます。

日本国内の放送局と周波数は下記の通り。

AFN Tokyo 東京都・横田基地 AM810kHz
AFN Misawa 青森県・三沢基地 AM1575kHz
AFN Iwakuni 山口県・岩国基地 AM1575kHz
AFN Sasebo 長崎県・佐世保基地 AM1575kHz
AFN Okinawa 沖縄県・キャンプフォスター FM89.1MHz

そしてなんと、今はインターネットラジオ放送もあります。
AFN360 INTERNET RADIO

特に東京の放送は、ほぼ南関東全域でクリアに聴くことができますし、インターネットラジオが聴ければどこでも大丈夫ですね。

英語がわかる方は、災害時の情報源としてAFNの聴取をお勧めします。

というわけで、外国人に英語災害情報を求められたら、AFNを教えてあげましょう。

Listen AFN(American Forces Network) on AM (FM) radio or Internet.

ごちゃごちゃ言わないで、シンプルに。これが一番親切で、役に立つ情報でしょうね。


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水害時のスニーカーとはこういうことだ(#1258)

Mutai_2
おんぶされて水溜まりを渡る務台復興政務官

台風10号による水害被災地を視察に訪れた政務官が、水溜りをおんぶされて渡ったことで批判され、復興大臣が陳謝するという、なんとも緊張感の無いニュースがありました。

なんとその政務官、靴が長靴や半長靴ではなく、スニーカーだったのです。


まさかとは思うが


この務台政務官、かつては消防庁の防災課長も務め、主要な政策のひとつとして防災を掲げている程のお方です。

そんなお方が、泥や瓦礫で足場が悪いことが予想される水害被災地を訪れるのに、スニーカー履きという。

もしこれが認識不足ではなく、意識してやったことだとしたら、どうでしょう。


実は、氏の古巣である消防庁の防災ウェブサイトにも、『水害避難時には長靴を履くな』という“指導”が載っていたりします。

また、大半の『防災の専門家』がそれを肯定していますから、まさかとは思いますが、水害=長靴禁止と短絡的に考えたのか、それを入れ知恵した側近がいたりするのか。

いずれにしろ、本来は深く冠水した場所を歩くとき、長靴に水が入ると脱げやすく危険、というのが“指導”の主旨ですから、ピント外れも甚だしいのです。


なお、当ブログでは水害避難時に長靴を履くなという“指導”に対し、一貫して反対しています。

特に、長靴の代わりに、紐で締められるスニーカーなどを履けという、『商業ベースの防災の専門家』が拡散している、根本的に誤った危険極まりない情報を完全否定しています。

長靴の代わりに履くものは、最低でもハイカット型で、靴底がブロックパターンなど泥濘地でもしっかりグリップできるものでなければなりません。

しかし、長靴への浸水を簡単に防ぐ方法もあるのです。(関連過去記事を文末にリンクします)


長靴の出番だ


今回のニュースは、なんだか脱力するような話ではありますが、少なくとも水が引いた水害被災地では長靴が無いと大変だということを、実際に示してくれたことは確かです。

当ブログではそういう理由で、水害時でも浸水対策をした長靴を履いて避難することを、敢えて提唱しているのです。

こういう実例を見た上で、それでもあなたは水害避難はスニーカーと考えますか?

水溜りでなくても、深い泥の中をスニーカーで歩けますか?

そして、そのような不良情報を拡散する『防災の専門家』を認めますか?


■関連過去記事■
【関東・東北大水害】それでもあなたは長靴を履かないか?(#1058)


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2016年9月11日 (日)

【東京防災ってどうよ29】ここがダメなんだよ【25】(#1257)

『東京防災』にツッコむ25回目は、英語編の5回目。

今回からは、避難生活での英会話『LIVING IN EVACUATION SHELTERS』です。
Information


英語の情報が欲しいです


質問:I need information in English.
(英語の情報が欲しいです)

答え:You can get radio programs in 16 other language through the following NHK Web site "NHK WORLD".
(NHKのウェブサイト「NHK WORLD」で16言語対応のニュースを見ることができます)


まず質問文。我々が逆の立場なら、I need Japanese information.でも通じますが、日本や日本人の情報が欲しい、という意味に取られるかもしれません。。

でも例文のように in Japanese という形ならば、日本語の情報という意味に限定されますから、より良いでしょう、

と、珍しく肯定しましたw でも、答えの方がスゴくてwwこんな簡単なことを、よくもまあこれほどまでにこねくりまわしたなと。

ツッコみが長くなるので、先に最もシンプルな形を書きますね。

See website NHK WORLD.

これ以上何が必要だというのでしょうか。

ちなみに、日本で言うホームページとは、本来はウェブサイトの入り口となるページのことを指しますから、外国人には誤って理解されるので、使わない方が良いでしょう。

それにしても、例文ではウェブサイトからラジオで情報を得られると言っているのに、訳文ではニュースを見ることができる、となっているのも意味不明ですね。

実は、NHK WORLDのウェブサイトでは、映像ニュース、文字ニュースと、専用アプリを使用した多言語ウェブラジオのサービスがあります。

もちろん、ウェブサイトに行けば英語の案内がありますから、行き先を教えてあげれば事足ります。

例文作ったのは『英語の専門家』でしょうが、内容のリサーチが甘い“やっつけ仕事”やっちゃいましたねw


まだツッコみます。

答えの中で、following が出てきます。これは「次の」や「下記の」を表す言葉であり、ひとつの文の中で使うことはまず無いのでは?

例えば See following websites. NHK WORLD,TOKYO met. government,Minato-ward.
(下記のウェブサイトを見てください。NHKワールド、東京都庁、港区。)というように、別に例示するような場合に使うかと。

一文の中で、しかも例示が一つしか無いのに following を使うなんて、わざと難しくして喜んでいるようにしか見えないのですが。まあ、そういう『専門家』、多いんだけどねw


それからもうひとつ。ウェブサイトを通じて、という意味で through を使っていますが、これも日本英語的発想でしょうね。インターネット上の情報を指す時は、on で十分というか、それしかないでしょう。

管理人がネイティブとSNSでやり取りする中で、例えば Let's talk about it on facebook. みたいなことは普通にあって、ネイティブは on を使います。through なんて見たことない。


さらに、用法だけじゃなく、答え方そのものにも問題があります。この例に限らず。

例文では、そこで情報を得られますよ、と言っているわけですが、だからどうしろ、という結論がありません。

結論が無くても良いというのは、日本的な感覚と言えます。流れから察せよ、と。

逆に、前記事の Let's go together.では、何故一緒に行くかという、一番重要な質問に対する答えを言わず、そこは察せよ、という。

外国人、特に欧米人には、それは通用しないと考えましょう。


英語学習やビジネス会話、面接の受け答えの場面などで言われたことありませんか?

『最初に結論を言え』と。それが必要なのです。

ですから、この場合でも

See website NHK WORLD, because You can get multiple language information on that website.

のように、最初に行動を指示し、その後に理由を述べるべきでしょう。監修者は、試験に出る英語ばかり考えていて、実践が少ない『専門家』なのでしょうね。


ところで、上の文で最後のthat website が気になった方、いらっしゃるかと。なぜ「あのウェブサイト」と?

実はこれ、文法的にどうだかは知りませんがw、実際の会話で良く出る形です。この場合の that は「その」という意味になります。恐らく、アメリカ英語でしょう。

覚えておくととても便利なのが、相手の言葉など対して、「それはいいね!」とか「それは凄い!」という意味の

That's great !

というセンテンス。これはかなり多用され、管理人も大好きですが、決して「あれはいいね」じゃないんです。会話のみに現れる、“試験に出ない英語”ですね。

はい、次のは試験に出るよw

答えの文中、16 other language とありますが、お気づきですか?

languageはuncountable noun、不可算名詞です。languagesとしたらマイナス5点ねww


・・・なんてこと考えてると、絶対喋れないよ!

『東京防災』の英文、あと4本あるんだけど、結局全部ツッコみどころ満載なので、このシリーズあと4回続きます!


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2016年9月10日 (土)

【東京防災ってどうよ28】ここがダメなんだよ【24】(#1256)

『東京防災』にツッコむ24回目、英語編の4回目です。

English4

こんな風に言う外国人、おるんかいな。


ここはどこですか?


質問:What is the name of this place?
(ここは、どこですか?)

答え:You are in ○○〔near ○○〕.
(ここは、○○〔○○の近く〕です)

日本の学校では、場所を訊ねる時はwhereと教わりますよね。なのに、外国人がそう言わない設定というw

当然こんな言い方、まずしませんよ。なんでこんな妙なヒネり方するんだ監修者。

ここは普通に
Where is here?
でしょう。

それに、これに限らず、ほとんどの場合でisは短縮されて Where's here?と言います。

特に米国人が言うと、ウェアーズヒァみたいにしか聞こえない。でも、私たちが話す時にもそのようにカタカナ発音した方が、ずっと通じますよ実際。

あの、ホッタイモイジルナ、ですね。


なんだか『ズ』が聞こえたら反射的に何かの複数形だと頭に浮かびそうですが、実際の会話では、isを短縮した『ズ』がたくさん聞こえてきます。

学校英語では、文頭でのbe動詞の短縮はIt'sとI'mくらいしか出てきませんが、会話では、例えば He is はほとんど He'sとなります。

You areもほぼ全部 You'reです。ユルみたいに聞こえます。我々が喋る際には、発音記号とか気にすると変になりますが、ユルと言っておけば通じます。ルを軽く巻き舌にしてやれば、よりネイティブっぽくなりますよ。

例えば、You're beautiful!なんて、ユルビュリホー!とカタカナ発音で確実に通じますし、その方がカッコいいw

あの、アンビリバボー、ですね。


恒例の脱線、恐縮です。戻ります。

答えの文ですが、まあこれしかないでしょうという感じです。でも、地名だけ言えば用は足りますね。

それに上記の通り、会話ではYou're in ○○.と短縮されることが多いのです。

地図があれば、居場所を指さして You're here.と。hereだけでも十分ですが。発音は、ユルヒァでほとんど通じます。


わからなかったら外しちゃえ


余談ついでという感じですが、実地で良く迷うこと。

答えの文では、You are in ○○.だったのが、地名ではないと You are here.とinが無くなってます。

こういうの、会話では良く迷うんですよね。

inなのかatなのかonなのか、toなのかforなのか、ofがいるのかいらないのか、とか。

でもそんなこと気にして口ごもるくらいならば、とりあえずそれっぽいのぶっこむか、取っ払っちゃいましょう。それでも、大抵は意味は通じますから。

外国人にとって、日本語の助詞はすごく難しいのですが、助詞なしや間違ったのカタコト日本語でも、我々はほとんど理解できるのと同じことです。

そういう経験の後、正しい用法を調べればあなたの血肉となって、確実に英語力アップにつながりますなどと、どっかの先生みたいなこと言いつつw、今回はこれにて。


英語編、次回から避難生活です。


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2016年9月 9日 (金)

【東京防災ってどうよ27】ここがダメなんだよ【23】(#1255)

『東京防災』にツッコむ23回目、今回は英語編の3回目です。

Safe_place

なんかどんどん日本英語のカオスにハマっていくぞw


どこへ逃げればいいですか?


質問:Where is a safe place?
(どこへ逃げればいいですか?)

答え:Do you have a map?You should go there.
(地図を持っていますか?あなたはそこへ避難すべきです〔地図を見て案内〕)

うーん、英語以前に、こんな質問されてもなぁ。

これは災害の第一撃の後、どこへ行けば安全か訊ねられた状況でしょう。その状況で絶対に安全という場所、答えられますか?

結局、避難所を案内するしかありませんし、それなら前回記事で採り上げた文章と同じです。

でも、そこが余震、火災、津波など二次的災害に対して絶対に安全だと、あなたは言い切れますか?それに、相手が地図を持っているという、ご都合主義的な状況設定がおかしい。

本来ここでは英語での道案内という、ちょっとハードルが高い答えが要求されるのですが、地図でごまかされたw

英文としては、shouldだのwouldだのが出てくると、一気にわかりづらくなりますね。いえ、もっとシンプルでいいんです。

で、こういうシチュエーションでの、ある意味での“ごまかし”も含めて、答えてみましょう。

まず、地図が無いとして、道案内の基本2パターン。
go this way
turn right (left)

これだけで、近所なら大体事が済みます。

交差点はcrossingまたはintersectionですが、crossでもほとんど通じます。手を交差するジェスチャーを加えればなお良し。ちなみに、踏切はrailroad crossingと、そのまんまですw

細かい場所がわからなければ、go this wayと方向だけ示して、あとは前記事で出た必殺のSorry I'm not sure.(すんません《これ以上は》よくわからないんです)で。

なにしろ、わからないならわからないとはっきり伝えなければなりません。英語がわからなくても、I'm not sure.でいいんです。

つい言ってしまいがちな I can't speak English.は、英語がわからないという理由だけであなたとのコミュニケーションを拒絶する、話を聞く努力をするつもりもありませんという、とても失礼な反応なのです。

理解してもらえるかなと、おそるおそる英語で話しかけたのに、いきなりI can't speak English.と返されて、多くの外国人はかなり傷ついているんですよ。これ、日本に来たことのある管理人の友人は、みんな言います。

これ、立場が逆だったら「日本語ワカンネーヨ 話シカケルナボケ!」と言われるくらいの感じだって知ってました?

せめて、聞く努力をしてあげましょうよ。でも、わからなければ Sorry I'm not sure.で。


話が逸れましたwで、とりあえず安全と思われる避難所を案内するわけですが、そこが本当に安全か自信がなければ、この一語を付けましょう。

temporary(テンポラリ)

一時的な、という意味です。temporary evacuation areaは一時避難場所。すなわち、そこは最終的な避難場所ではなく、状況によってはさらに避難行動が必要な場所、という意味になります。

余談ながら、temporaryの対義語は permanent(永久の、恒久的な)。いわゆるパーマは、巻き髪がそれまでとは比べものにならないくらい長く保たれる技術に対して“永久の”と名付けられたという、どうでも良いトリビアでしたw

ちょっとイヤらしい話ですが、「あの場所なら安全だ」と言われて避難したら被害に遭ったなどという場合、訴訟沙汰になる可能性も無いとは言えません。特に米国は、訴訟社会ですからね。

でも、temporaryをつけておけば、そのリスクはかなり減らせるでしょう。

そんなの非現実的ですか?現に、日本人同士でも行政の避難指示などの問題が訴訟になっていますよね。それが個人に降りかからないと言い切れますか?


より現実的な答えとは


今回は、このネタ一本で行きましょう。とても大切なシチュエーションなのに、『東京防災』ではあまりに簡単にごまかされていますから。

とりあえず、地図はさておいて、~すべきだというshould なんか使わず、シンプルに

Go to temporary evacuation area.と答えれば良いでしょう。


では次に、避難場所を訊ねられて、ある場所を案内したものの、そこが本当に安全かわからない。であれば、そこで想定される危険を教えてあげたいもの。その場合の、超シンプルな言い方を考えてみましょう。

■津波が予想される場合
日本語のTsunamiは、東日本大震災のずっと前から世界語になっています。ちなみに英語ではtidal wave(タイダル ウェイブ)ですが、ツナミで世界どこでも通じます。

津波からの避難は『高台に逃げろ』。これを最もシンプルに言うと、

Go higher!(Tsunami coming!)
(ゴー ハイァー! ツナミ カミン!)
少しでも高い場所に行け!(ツナミが迫っている!)ということです。

もし津波が来たら高台へ逃げろ、ということなら、Go higher if Tsunami coming ! と、if を入れてやるだけです。文法的には、if Tsunami comes が正しいんですけどねw

Run higher!だと、すぐに高台へ逃げろというニュアンスになり、より良いでしょう。to が抜けてるとか目的詞が無いとか気にしないですぐ逃げなさいってw

これがもし『東京防災』の記事になったら、
You have to evacuate to higher place as soon as possible ! とか、まあ英作文の試験みたくなるんじゃないですか?w

でも、すぐにと言いたければ、immediately(イミディエトリイ)か right now(ライト ナウ)をつけるのが普通です。


■余震が予想される場合
つい、余震って英語でなんて言うのかな、なんて考えてしまいませんか?地震はearthquakeまたはquakeですが、余震は実は意外な言葉です。なんと aftershock なんですよ。

でも、そんなこと知らなくてもno problem。余震は、さらに来る地震ってことですよね。それに気をつけろと伝えれば良し。

caution more quake.で通じます。しかしcaution(コーション=注意)は名詞であり、動詞が先頭に来る命令形ではありませんが、cautionに関しては、こういう会話表現は普通です。

動詞をつけたければ、何にしますか? なんと use が普通なんですよ。例えば、

It expected more quake. Use caution strictly ! (さらに地震が予想されます。厳重に注意してください!)

なんて表現になるわけです。

なお、大きな地震は big quake で大丈夫。ただ、巨大地震というニュアンスなると、massive quake なんですね。
この表現は、東日本大震災の英語報道で盛んに使われていました。


■火災が予想される場合
これも余震と同じで、caution fire で大丈夫。

ただ、これだとあなたが火事を出すなという意味にもなりますので、大火災に注意しろ、と伝えたい。これも big fire で大丈夫ですが、他にも major, great , large ,など、なんか大きそうな言葉いろいろ使えます。

最大級は、やはり massive fire でしょうか。

ちなみに、火災旋風は?

管理人はfire tornado (ファイア トーネード=炎の竜巻)だと思っていて、まあそれでも通じるでしょうが、正確には違いました。竜巻の本場米国では、tornadoとは雲に届く巨大なつむじ風、というニュアンスがあるようです。

火災旋風はfire whirlwindで、炎のつむじ風という意味です。発音が結構難しいのですが、ファイア ワールウインド と言えば大丈夫でしょう。

という感じで、別に自慢するわけじゃないけれど、英語が得意ではない、でも英語で伝えたいという人には、こういう内容じゃなければいけなくないですか?

でも、公式にはこういう“伝わるけど正しくない英語”は書けないのでしょうね。それにしても非現実的なのばかり出てくるけどねw


まだ続きますよ。


■当記事は、カテゴリ【『東京防災』ってどうよ】です。


2016年9月 8日 (木)

【東京防災ってどうよ26】ここがダメなんだよ【22】(#1254)

『東京防災』にツッコむ22回目は、英語編の2回目。
English

前回記事のラストで登場した「言葉は度胸!」 という言葉、管理人の友人である米国人英語教師の言葉なんです。実に本質を突いた言葉だなと。

喋る前に考えてちゃ、ダメなんですよ。

というわけで、今回は2ネタお送りします。


家族を探しています


質問:I am looking for my family.
(家族を探しています)

答え:Please visit an emergency shelter near your home and ask staff there for information.
(家族が住んでいたところの近くの避難所で、係の人に聞いてください(近くの避難所を案内)

学校で習うイディオムの代表格、look for~が出てきましたね。似たものに、look forward to ~(~を楽しみにしている)てのもありますが、どちらも実際の会話で良く使います。

さておき、質問文はともかく、答えがなんとまどろっこしてくて非現実的なことよ。

こういう構文ができる人にはこんなマニュアルほとんど必要無いし、できない人には覚えることもできないんですから。仮に丸暗記しても、状況が変わったら応用も効かない。

てか、監修してるの絶対に日本人だぜw それも、昔の英語教育にどっぷりの『大御所』という感じ。


まず、相手に指示するのに頭にPleaseなんかいらない。お願いしてやってもらうわけじゃないんだから。日本語における丁寧語のニュアンスはありません。

動詞も、わざわざvisit(訪問せよ)なんて言う必要なし。どこかへ行けと指示する場合は、すべてgoで大丈夫。

なんか変に難しい単語使いたがるんだよね日本の学校英語はw

ここで伝えたいことは、「家族が居た場所の避難所で情報を得よ」ということですよね。

管理人ならこう言います。文法的にどうのじゃなくて、できるだけシンプルに伝えるのです。

Go evacuation area near your home, and get imformation.

これで確実に通じるし、行ったらば誰でも係員ぽい人見つけて声かけますって。

ちなみに、goは実際の会話でも良く出ます。行くという意味だけでなく、~になる、という意味でもネイティブは良く使いますよ。

例えば、良くなる=go better、暖かくなる=go warmのように。管理人も、困ったら強引にgo+形容詞を使ってしまいますが、大抵通じます。

なお、上のgo betterも、もっとシンプルにgo goodでも通じるというか、ネイティブが良く言います。かなり便利ですよgoは。

では次のネタ。これ、シリーズ最強ネタかもしれませんw


避難場所はどこですか?


質問:Please tell me the way to evacuation site.
(避難場所はどこですか?)

答え:Let's go together.
(一緒に行きましょう)

おっといきなりevacuationが出てきましたw監修者変わったのかな。てか統一しろよ。

ここではevacuation siteと言っていますが、他に場所を表すのに、前出のarea(地域、区域)、place(場所)、venue(会場、施設)時にはfacility(施設)辺りが出てくるかもですね。

てか、そこじゃないんです。

この、日本人には馴染みの Please tell me the way~ という表現、ネイティブは絶対というほど使いません。こんなの教えてるの日本だけじゃないですか?

管理人が、「英語教師め大ウソ教えやがって!」と一番思うのがこれですよw

道を訊ねる時は、
How to get to ~?
です。

我々が例えばセントラル駅への道を訊く時は、丁寧にこんな感じが良いでしょう。

How to get to the Central Station from here please?

若い方は知らないかもですが、以前NHKでやっていた米国の英語教育番組、セサミストリートのテーマソング思い出してください。

最後に『Can you tell me how to get, how to get to Sesame street?』(セサミストリートへはどう行くのか教えてもらえますか?)って歌ってますよね。子供の頃からそう教えられている人が、道を訊ねるのにPlease tell me the wayなんて絶対言わない。

セサミストリートのテーマソング、リンクしちゃいますw

Please tell me the way~てのは、おそらく昔ながらの丁寧なイギリス英語なんでしょうね。でも、アメリカ英語が通じやすい地域で道を訊ねる時には、あり得ない言い回しということです。現実には、ほとんど和製英語に近いもの。

ただし、道を訊ねる以外で教えてほしいことがある時はあり得なくも無いし、私たちが何か教えて欲しい時は、とりあえず相手に伝わる表現ではあります。 でも、道を訊くにはNG。


さて答えです。Let's go together.と、さりげなく行き先を知っていて、一緒に行ける状況になってますね。

では避難場所を知らなかったり、一緒にも行けなかったら?こんな限定された設定、なんか意味あるんだろうか。

ちなみに管理人なら、この状況でもLet's go together.とは言いません。

こういう時は、Follow me.(ついてきなさい)ですね。まあ、好みの問題かもですが、こっちの方が自然だと、管理人は考えます。

こういう言い方でも、英語を話す外国人は、高圧的だと感じることはまずありません。

それに、Let's go together.では、日本人同士ならば行き先を知っているというニュアンスに取れますが、外国人にそうは通じない可能性があります。

それならば、I know the evacuation area. Let's go together.と言うべきでしょう。

でもFollow me.ならば、先導するからついて来い、と言っているのですから、行き先を知っているということが確実に伝わるわけです。

余談ながら、ヒコーキヲタの管理人的ネタをひとつ。
Follw_me_car
これは、羽田空港のその名もFollow me car。定期便などではない、空港に不案内な機体が飛来した時に、駐機場所まで先導する車です。Follow meとはそういうニュアンスなわけです。もちろん、世界中どこの空港にもFollow me carはいますよ。


では、避難所を知らなかったら?

一番簡単なのは、やはり I don't know.でしょう。いやもっと簡単に、No! No!でも通じますね。

ちなみに、顔の前で片方の手のひらを拝むように縦にして左右に振ると、ほとんど世界中で理解される否定・拒否のサインとなります。手のひらを前に向けると、バイバイですねw

ここで、ネイティブも良く使う表現をひとつ。全然知らないじゃなくて、良くわからない、というニュアンスの言い方です。

I'm not sure.

直訳すれば、「私には確実ではありません」ということ。これはかなり使えますよ。是非覚えておいてください。

そんなこんなで、『東京防災』の英語監修者さんよ。

こんな非現実的な内容、本気で役に立つと思ってる?

どなたからでも、異論反論大歓迎ですけど。

まだ続きます。

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2016年9月 7日 (水)

茨城県南部で震度4(#1253)

Quake2_2
地震発生から約40秒後の新・強震モニタ画像。青い丸はP波、赤い丸はS波の理論的到達距離


2016年9月7日、午後1時28分頃、茨城県南部(埼玉寄り)の深さ50kmを震源とするマグニチュード4.9(速報値)の地震が発生し、茨城県水戸市などで最大震度4を観測しました。

この茨城県南部の埼玉寄り震源域は、現在関東で最も活発と言える場所で、震源深さ50~70km程度の地震が頻発しています。

この震源域が活発になったのは、2011年3月の東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)から半年ほど経ってからであり、広い意味で震災の余震ということができます。

その後、時間の経過と共に発生頻度は下がって来ていますが、ここ何ヶ月かの間に、わずかに増加傾向が見られています。


なお、関東に大規模地震の可能性が高まっていると根拠無く煽っているニセ地震予知屋もおり、今回の地震でさらに危機を煽るような言動に出るものと思われますが、この地震自体は現在の関東で「最もよくある地震」であり、全く珍しいものではありませんので、くれぐれも根拠の無い煽りなど信じませんようにお気をつけください。

日本全国どこでも、目立った危機が迫っているような事実はありません。熊本にしても、時々大きく発震しながらも、少しずつ地震の発生頻度は下がって来ています。

しかし、現実にはどの場所でも突然大規模地震が起きる可能性があると言っても過言ではありません。

どこで、いつなどという根拠の無い情報は無視して、物心両面で、常に地震災害に対する備えをされますように。


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【東京防災ってどうよ25】ここがダメなんだよ【21】(#1252)

『東京防災』にツッコむ、もう21回目。今回からのテーマは、英語です。

288~291ページに『ENGLISH FOR EMERGENCY』(非常時に使える英会話)という英語問答集があります。
English_2

これがまた、実に非現実的というか意味不明というか。


誰に向けているのか?


この英語問答集、管理人に言わせれば、完全にやっつけ仕事ですよ。

大前提として、質問と回答の設定がおかしいw

それは追々ツッコむとして、例文は全然『英会話』じゃなくて、試験の答案に書くような英文だし。

もっと言えば、日本の試験でしか点取れないような文もある。

レベル的にも、この程度の質問を聞き取れる、理解できる人には答えられる内容の一方、英語はほとんどダメという人にはハードルが高すぎて丸暗記も困難だし、シチュエーションを限定しているので、そもそも丸暗記に意味が無い。


すなわちこんな問答集、誰の役にも立たない、ってことですよ。外国人多いから英語ネタも必要だろ、ちょっと載っけとけくらいの、やっつけ仕事。

しかも、これは公式情報の限界かもしれませんが、実際の会話では使わない表現や、文法通りの文章だけでなく、致命的な誤り、すなわち伝わらない英語まである。

というか、外国人がみんな文法通りに正しく英語喋るって思いこんでないですか?

日本人だって日本語が不自由wな人もいるんだし、英語が母国語じゃない人の英語なんて、かなりスゴいこともある。それでもガンガン喋って来るし。

なんかこういう問答集、日本人の英語コンプレックスの裏返しみたいな気さえします。

「こんなもの載せても(見ても)、どうせ会話なんかできない」という諦観が、最初から監修者にも読者にもあるんじゃないですか?

だったら、徹底的にシンプルにすればいい。


これ言っとかないと


なんて書くと、必ず「おまえは何様なんだ」と言われるw

管理人は、英語をマスターしているなんて、口が裂けても言えません。語彙と構文力は、高校レベルの半分くらいじゃないかな。でも、英語は日常的に使っています。誤解の無いように、ちょっと書いておきます。

管理人はかつて、国際イベントを運営する仕事をしていました。現場では、世界各国からの参加者と英語でやり取りしなければならない場面があるので、必然的にいろいろな英語に触れてきました。

そして今は、趣味の関係で米国、フランス、スウェーデンなどに友人がいて、SNSで日常的に英語でやり取りしていますし、彼らが日本に来る時にアテンドしたりしています。

管理人個人のツイッターアカウントは、タイムラインの3分の1が英文という感じです。でも、外国人同士の会話は、省略やスラングが多くてほとんど理解できません。その程度です。

というわけで、管理人の英語は、必要に迫られて覚えた現場仕込みなのです。その上で思うことは、学校で習った英語は、実践の場では単語以外あまり役に立たない、ということですね。

時制だとか三単現のSだとか、文法的に正しくしゃべろうとするから自信が無くなる。

ならばそんなもの取っ払って、意志が通じれば良しと開き直った時から、新しいEnglish worldが広がりました。ビジネスじゃないのだから、大体伝わればいいんです。

だって、英語で挨拶もろくにできない人が文法の間違いを気にするって、お笑いじゃないですか?でも、そう教えられちゃっているんですよね。最近の英語教育は良く知りませんが。

言うまでもなく、外国人の側だって、日本人のあなたに正しい英語なんて全然求めていないのです。

と、前フリだけで終わるのもアレですので、最初のネタ1本行きます。


避難所はどこですか?


質問:Where is the emergency shelter?
(避難所はどこですか?)

答え:There is an emergency shelter in ○○Park(○○primary school/○○area) nearby.
(そこの近くにある○○公園《○○小学校、○○地区》が避難場所になっています)

まず、欧米人はemergency shelterなんて言わないでしょう。evacuation area(イヴァキュエイション エアリア)など、evacuationを使う方が一般的。

なお、【evacuation=避難】は、災害英語として絶対に覚えておくべき単語です。動詞形はevacuateです。これはとても良く出てきます。だって、避難所の公式の英語表記だってevacuation areaってなってますしw

ちなみに、危険が迫って「逃げろ!」と言う時は、「Evacuate!」(避難しろ!)なんて言いません。そんな時は「Run!」で良いのです。


答えの文で、「There is ~」から入るのは、英語がそれなりにわかる人でしょうね。だから真似する必要なし。

ただ、「○○ Park」とか言えば良いだけのこと。

ちなみに、小学校をprimaly schoolと言うのは主に英国式。米国人は、大抵elementaly school(イレメンタリィ スクール)と言いますし、大抵はそれで通じます。

あと、これは管理人の印象だけど、最後にnearbyをつけて「近くの」を表すようなこと、まず無いんじゃないかな。

英語に自信がなかったら、とにかくセンテンスを短くすること。この質問への答えは、

「○○park.Near.」(○○公園。近いよ。)で十分なのです。

余談ながら、文中の単語の読み、elementalyをイレメンタリィなどと頭のeをイと表記していますが、これは主に米国式。ローマ字っぽくエレメンタリィと言うと、理解されないこともあるかも。

とりあえず、長い単語の頭のeはイと発音する方が通じやすくて、カッコいいかもですよ。

ちなみに、管理人がこの質問をされたとして、ぱっと思いついたのはこんな答え。

Evacuate area are there in ○○park overthere. Near from here.

後から考えれば、evacuateが名詞形のevacuationになってないとか、頭にanが無いとか、避難所が単数なのにare使ってるとか、ここから近いよという文に主語も動詞も無いとか(それはわざとだけど)、いろいろ文法的にはダメ。でも、確実に通じます。

後から、「あ、あれ間違いだったな」と気づけば、次から気をつける。そうやってブラッシュアップして行けば良いということで。

そう。「言葉は度胸」なんです。 まず口に出してみなければ、何も始まりません。

さて、英語編このあとしばらく続きますね。


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2016年9月 3日 (土)

【東京防災ってどうよ24】ここがダメなんだよ【20】(#1251)

『東京防災』にツッコむ、また大台乗ったよの20回目。

今回は、あるテーマに沿った小ネタ集です。


オトコの花道?


当ブログでも度々触れていますが、防災の世界は、どうにも男性目線が過ぎるなと。

確かに、騒ぎになればそれを収めるのはオトコの見せ場、みたいな部分もあるわけですが、そのせいか、世の中の半分以上を占める女性から見ると、理不尽なことも多いわけです。

まあ、『防災の専門家』なんてほとんどオッサンばかりで、絶対数が少ないから好き勝手やってきたしな。

象徴的なことのひとつとして、非常持ち出しのリストに女性用品が入るのが一般的になったのは、東日本大震災後やっとですよね。でもまだ無視されることも多く、なんと『東京防災』のリストにも入っていない(後でツッコみますw)

それは女性自身が考え備えることで、男が考えることじゃない知らなくても良い、みたいな感覚のことも多くて。

現実に、ある被災地の避難所で、オッサンが必要物資を聞いて回ったら、当然のように生理用品の要望があって、でもそのオッサン、なぜかそれが「不謹慎だ」と怒ってリストから外したというような、訳の分からない現実もあるわけです。

特に地方へ行くと、そんなのまだ結構あるんですよ。

それに、被災地への支援物資に、最初から女性用品が含まれるのが一般的になったのは、ほんとここ数年ですよ。5年半前の震災時でさえ、かなり後手のことが多かったのです。

かく言う管理人は、いわゆる一般的な感覚を持った男性ですけど、ホームワークが多いので、家事を普通にやります。料理は大好きだし。

なんて書くと「女々しい奴」、「無職でブラブラしてる奴」、「負け組」みたいなイメージを持った方、いますよね(無職じゃないからねww)

ビジュアルも、ひょろっとした弱そうな奴みたいな想像した方も絶対いるはず。でもひとつカミアすると、管理人は筋トレが趣味で、二の腕周り40cm以上あるからねw

なにしろ家事労働は格下、女性特有の問題に男は関わらない、そういう感覚がまだまだ多いから、防災の世界もこうなるわけで。

前置きが長くなりましたが、そんな男性目線に偏った情報の象徴的なものを、『東京防災』からピックアップします。


【199ページ】ポリ袋と段ボール箱を使う


ポリタンクやペットボトルがない場合は、段ボール箱の中にポリ袋を敷き、底と側面を布製の粘着テープでしっかりと補強して使います。
Box
一般的には、主に家事をやる女性が多いわけですが、そんな方々から見たら、あり得ない情報ですよね。

面倒だから問題点を箇条書きにします。
■ゴミ袋に使うポリ袋は、時間が経てば水が滲みてくる(生ゴミの水気、浸み出しますよね)

■水を入れたビニールの表面に結露が生じることもあり、段ボールに浸みる(普段の買い物でもおなじみです)

■開放された水の中に、ゴミ、ホコリや虫などが入る(それくらい想像しろよ監修者)

■水を使う際に手や容器を入れて汲まなければならず、だんだん汚れてくる(これを使うような断水下では手も食器も良く洗えない。そんな水料理に使えます?)

■一般的な家庭用ゴミ袋は45リットル容量。イラストのように水入れたら重量は40kgを越えて動かせないし、下手に動かしたら箱が崩壊する(男でも無理めw)

■ポリタンクの代用として代車などで運ぶ際には震動で水がこぼれ、段ボールが濡れてすぐダメになる(もちろん手で運ぶのはほとんど無理)

という感じで、ポリタンクなどが無い場合の代用と言いながら、とてもじゃないけど水を入れて運べないし、衛生も保てないし、1日以内に水が滲みて段ボールも崩れる(ガムテープは濡れたら剥がれます)という、意味不明で危険きわまりない、むしろ「絶対にやってはいけない」くらいの方法です。

カッコ内に書いたように、この資材を普段から使ったり、衛生のことを考えている人ならば、最初から思いつかないようなことですよ。

でも、実経験のないオッサンが、例によって“頭で考えただけの”情報が、大手を振っているのです。では次。


【210ページ】簡易コンロの作り方


Cook1
なんでも、アルミ缶とアルミホイル、サラダ油を使った簡易コンロだそうです。

こんな細かい工作、管理人は絶対やりません。面倒だからではなくて、サラダ油使って灯す程度の火力では、せいぜいろうそく代わりくらいにしかならないからです。

なのに!
Cook2
料理やる人からすれば、怒りを感じるイラストですよね。ろうそく数本分かそれより弱い火力で、でかい魚を丸ごと焼いているとは。

これはイラストレーターが悪いんじゃなくて、指示した監修者が料理など全くやったことが無い証拠。火があれば料理ができるという、それだけの発想。

こんなのじゃ、十分火を通すのに1時間じゃ済まないでしょう。 その間、誰が番をするのかな?きっと、男性はやらない前提になってない?

しかしもちろん、あくまでわかりやすいビジュアルとしての意味もあるでしょう。

でも、こんなのは「書いた奴何もわかってないな」という印象しかなく、不快感すらあって、情報の信頼度に関わります。まあ、『防災の専門家』なんて、その程度なんだなと。

ええ、その程度が威張っているんですwでは次。


【213ページ】リュックサックの作り方


Trausers
この記事、『東京防災』の中で一番印象に残ったという方が多いのではないかと。

これこそ、管理人が良く言う『興味は惹くけれど本当は役に立たない防災トリビア』の典型でしょうね。

もちろん、女性だけを対象にしたものではありませんけど、これがもし商業メディアの情報だったら、きっとこんなサブタイトルがつくはず。

『力の弱い女性でもラックラク~!』

アホか。

イラストでは、ズボンがいつのまにか、普通のリュックとそっくりにトランスフォームしてますわw

これなど、二本の脚部が肩ハーネスになるという、まさに机上の空論から生まれたもの。実際には、幅も角度も長さもリュックとは全然違うわけで、とりあえず背負えるというレベル。

で、運ぶものは2リットルペットボトル2本、約4kg。その程度、トートバッグでも風呂敷でも十分だわ。別に、何kmも運ぶわけでなし。

それに、例えば阪神・淡路大震災以降、災害によるインフラ停止で支援を受けた被災者は何十万人もいるわけですが、こんなことやった人いるのかな?

それに、普段からそれより重い買い物を運んでいるんだよ多くの女性は。


言っても無駄だから


そんなわけで、男性目線すぎるというネタ集をお送りしました。

でも、こんな書き方すると、管理人は女性人気を取りに行ったなと、穿った見方をする人も必ずいるはずw

はい、それもありますww ここ最近、当ブログの女性読者の割合が、推定で常に40%を超えているという解析結果が出ていまして、こんな理屈っぽいヲタクっぽいブログなのに、本当にありがたく思っております。


管理人は比較的珍しい立場で、一般的な男性に良くある立場と、女性が多く手がける役割の両方を経験して来た人間なわけです。

そういう目で見ると、防災はとにかく男性目線に偏りすぎで、よくもまあこんなに女性のことを無視できるものだと、感心するくらい。もっとも、多くのオッサンはそれに気づいてさえいないのでしょうが。

しかし、オッサンにそこを改革せよ、なんて言っても無駄です。

そんな中、最近は女性による女性のための防災を標榜する方々もどんどん出てきて、新しい潮流も生まれてきています。

管理人としては、そういう方々の応援もしたいと思っています。当事者の発想と行動には、誰もかないませんから。

そんなことも含めて、こういう指摘のしかたをしてみました。


■当記事は、カテゴリ【『東京防災』ってどうよ】です。


2016年9月 1日 (木)

『防災の日』に想う(#1250)

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異例づくしの台風10号進路(気象庁データベースからお借りしました)

2016年の『防災の日』は、災害の真っ直中で明けました。 被害に遭われた皆様に、お見舞いを申し上げます。


地震と台風に備える日


『防災の日』とされた9月1日は、1923年(大正12年)に関東大震災(関東地震)が発生した日です。

同時に、暦の上では二百十日(にひゃくとうか。1月1日から210日目)という、強い台風の襲来が多いとされた季節の中心日でもあり、それも含めて防災を考える日として制定されました。

昔、といっても管理人が子供だった頃(そんなに昔ではない・・・かな)までは、台風の襲来は8月後半から9月くらいが“シーズン”だったのです。

その頃から見ても、ずいぶん気候も変わりました。

そして今年は、表面上だけは昔と同じように、台風10号の爪痕の中で、『防災の日』を迎えました。


昔と似ているようで別物


今回の台風10号、日本の南海上で大きくUターンして北上し、我が国の観測史上初めて、東北地方(宮城県)へ上陸しました。

あの場所まで北上してから左(西)寄りに進むというのも、非常に珍しいことです。普通ならば、偏西風に流されて右(東)寄りに進むことが多いのです。

周辺の気圧配置の影響とはいえ、とにかく“普通ではない”ことが多い台風でした。


迷走台風は時々ありますが、かつては夏の気圧配置がまだ安定していない7月から8月初旬くらいの、比較的早い時期の台風が迷走しやすいと言われました。

しかし、全地球的な気候変動は、そういう“セオリー”も急速に変えています。


今回の台風10号でもうひとつ特筆すべきは、北上してもあまり勢力が衰えなかったことです。

20年も前ならば、日本の南海上に達した台風は、北上するにつれて勢力がはっきりと弱まって行きました。

それは、日本近海の海水温が今ほど高くなかったため、台風のエネルギー源である、海面からの水蒸気の供給が減って行くからです。

しかし、日本列島の南海上で旋回して北上しながも、台風10号は強大化して行きました。それくらい、日本近海の海水温が高くなっているのです。

しかもその勢力を大きく落とさないまま北上し、宮城県に上陸しました。関東から東北地方の沖も、かなり海水温が高くなってるというわけです。

そのような状況の中で、被害の様相も変わってきました。


台風と言えば


かつて、台風といえば暴風被害を最も怖れたものです。台風=豪雨というイメージは、あまりありませんでした。

しかし近年は、まず豪雨を怖れなければならなくなっています。

それも台風接近のずっと前から、台風の進路からかなり離れた地域でもです。

日本近海でも大量の水蒸気を供給された台風は、それを列島上空にまで引っ張り込んで、豪雨を降らせるのです。さらに加えて、台風に伴う落雷や竜巻の発生頻度も、確実に上がっています。

今回の台風10号の被害も、大半が豪雨によるものでした。

例え小規模の台風でも、周辺も含めて豪雨に備えなければなりません。


そしてこれから


近年、気象庁が『猛烈な』とか『超大型の』形容する台風が、普通にやってきます。

中心気圧が950ヘクトパスカルを割りこむこともそれほど珍しくないほど、台風の強大化が進んでいます。

それでもまだ、ある意味でモラトリアム期間なのかもしれません。

あと10年、いや5年後には、この傾向はさらに危険なゾーンに進んでいるでしょう。


そしてある日、とてつもなく強大な『スーパータイフーン』が襲来する。

それは恐らく、避けられない未来予想図なのです。

■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。


【東京防災ってどうよ23】ここがダメなんだよ【19】(#1249)

『東京防災』にツッコむ、今回はスゴいぞの19回目。 防災の日に、最強のカス情報をお送りします。


今ツッコんでいる『もしもマニュアル』には、被災生活で役立つ豆知識的な情報が多いのですが、その中でも最も意味不明で役に立たなくて実際にはできない机上の空論で、実際の被災地でも誰もやっていないという、管理人の大好物が登場しますw

これはもう、防災トリビアですらありません。敢えて言おう。カスであると。

しかし管理人は、個別の情報をけなしたり、監修者をディスるのを目的としているわけはありません(やってますがw)

そうではなく、東京都が満を持して出した『東京防災』ほどの防災本にも、こんなあり低レベルの情報が堂々と載ってしまうという現実を、皆様に恐怖していただきたいのです。

そして言うまでもなく、このネタだけの問題ではありません。どこにでも転がっています。決して、笑いごとではないのです。

ある意味で、我が国の防災情報の問題を象徴するような今回のネタ、始まります。


【196ページ】足を保護する


ページ下部に、こんなコメントがあります。

【なぜ足を守るのか】
非常時は、まずケガをしないことが重要です。被災地は瓦礫などが散乱し、水たまりができ、想像以上に足場が悪くなります。釘や鋭利な破片でケガをしないように、あらかじめ足を守るすべを知っておくと安心です。

全くその通りです。足場が悪く危険物が散乱する被災地で行動する際は、足を守ることが最重要課題と言っても良いでしょう。

そして、そのために示された対策が、今回のふたつなのです。ここまでバカな(=職務遂行能力に著しく欠ける不適格な)監修者がいるのかと、愕然とさえします。
Foot

まず上から。
【足や靴を水から守る】
足場が悪い被災地では、足元を守ることが重要。靴が濡れないよう、靴の上からポリ袋をかぶせて、くるぶしあたりでひもを結びます。

これ、ネタ元はどこなのでしょう。過去にも見たこと無い。被災地でもやっていないどころか、まともな考えの人ならば、これが全く役に立たないことは、ちょっと考えればわかります。

おそらく、現場も見ず、普段ポリ袋(レジ袋のことのようですが)をろくに触ったこともない人物が、頭の中だけで考えたのでしょう。

きっと本人は、優れたアイデアだと思っているのでしょうね。

この方法の問題は、皆様言わずともおわかりかと。 レジ袋を靴の上から履いたりしたら、

三歩歩けば穴があく

のです。それを防水に使えだと?


現場はもっと考えている


実は、これに似た方法は、実際の被災地でも行われていました。

履き物を失った人が、足にレジ袋をかぶせて、ガムテープで補強して簡易靴を作ったのです。

その場合、特に底の部分にはガムテープを何重にも貼って、強度を出しました。それが必要なことは、それこそ“頭で考えただけで”わかります。

なのに、それにさえ考えが及ばない、レジ袋一枚かぶせて防水ができると考えるオメデタイ人物が、『東京防災』の監修やっているんですよ。あり得なくないですか?

税金(から支払われた報酬)泥棒って呼んでもいいですよね都民の皆様w

ちなみに、レジ袋を使った足の防水、もっと簡単確実で実績のある方法があります。それは後ほど。


さらに破壊的なバカネタ


もう、イラスト見ただけでバカ丸出しですよねw

【足や靴を瓦礫から守る】
上記と同様、靴にポリ袋をかぶせた上で、板などの固い物を靴底の下に敷いて、緩まないようにひもで縛ります。

監修者、まずおまえが自分でやってみろ。

固い板を足裏に密着させたら、まともに歩けるはずがない。足は、曲がるからこそスムースに歩けるのです。

これでは漫画のロボットのように、ガシャンガシャンとぎこちなく大股で進むしかありません。そう、あれと同じですよ。スキー靴履いて歩くときw

固い板である下駄で歩けるのは、鼻緒の一点支持でかかとが浮くからと、歯を支点にして前に傾くことができるからです。なのに一枚板を完全固定だと(大爆笑)

しかも、足より大きな板はひっかかりやすく、足裏は固く平らで滑り止めもなく、こんなもので瓦礫の中歩いたら(歩ければ、ですが)、それこそ大ケガしますよ。

踏み出すたびにあちこちに引っかかり、傾いた場所や固い場所ではズルズル滑り、石の上など不安定な場所ではシーソーのようにガクンと傾く。ああ恐ろしいw

皆様、スキー靴履いて長距離歩いたり作業したりできますか?いや、スキー靴の方がまだだいぶマシなんですが。

これ、本当は役に立たないウソ防災情報の象徴として、『水のう』と一緒に定番化しましょうかねww

実はこの方法、おそらく監修者は考えてもいないであろう欠点もあります。

イラストのように足と板をひもで結んでも、あっと言う間に緩みますし、ちょっと歩いたら、板の下、特に角の部分でひもはすぐに切れてしまいます。

こんな固いものと柔らかいものを、しかも大きさも違って動くものをひもで固定できると思っている時点でナンセンス。せめて、自分でやってから書けよ。まず、自分の足を血行が止まるくらい締め上げてからだ。

ひもと言っても、ビニールひもなど強度的に問題外だし、縛るためには理想的とも言えるナイロンのパラシュートコードでも、こんな使い方では大してもちません。

すなわち、こんな用途に適当なひもは無いのです。まさか針金なんて言わないよな。いや、針金でも切れるし、その前に足が腫れるw


瓦礫の中でのケガ対策としては、頑丈なブーツ、踏み抜き防止インソールなどが理想ですが、もちろんそんなものが無い状況です。

そんな時の最良の対策は、足元を確認しながら慎重に歩く、これに尽きますし、それだけで大抵のケガは防げるはず。少なくとも、板履きなんて恐ろしい靴よりはwww


それにしても、なんだかあまりにくだらな過ぎて、どんどん腹が立ってきます。

キリが無いのでこのへんにしますが、最後にひとこと。

こんなカス情報が、20億円かけて東京の全世帯に配られた『東京防災』に載っているんですよ。

ちなみに、『東京防災』への意見等を受け付ける窓口が以前はあったのですが、2016年2月1日で閉鎖されちゃってますw


これがレジ袋防水だっ


おしまいに、レジ袋を使った足の簡単防水法です。

実はこれ、かなり前に当ブログの記事に書いたことがあります。ここでは『実績がある』方法だと書いていますが、何を隠そう、管理人自身がやっていたことなのです。

やり方は実にシンプル。レジ袋を、靴の中に履くだけです。

足をなるべく濡らさないのが目的ですから、靴の濡れはあきらめます。


長時間高速度耐久試験済み


実はこの方法、管理人が雨の中でオートバイに乗る時に、日常的にやっていたことです。

革製のブーツには防水性が無いので、雨中ではだんだん水が滲みてきます。足が濡れることだけでも不快ですが、濡れた身体で走行風に当たると、どんどん冷えて来るのも問題。

特に指先やつま先など末端は冷えやすいのですが、ブーツの中にレジ袋を一枚履いているだけで、水濡れをかなり防ぐのと同時に、風が当たってもかなり暖かいのです。

しかし、レジ袋程度の防水性では、時間が経つにつれてだんだん水が滲みてきて、靴下が湿ってきます。それでも、ぐちゅぐちゅになるまで何時間もかかりますし、その状態でも、体温で暖められた水分が蒸発しずらいので、保温性はかなりあります。

すなわち、レジ袋を靴の中に履くと、水の染み込みをかなり長時間防ぐと共に、濡れてしまった後でも、体温で暖められた水分が冷えることと蒸発することをかなり防ぎ、気化熱による冷却を効果的に防ぐ、というわけです。

今回ネタにしたようなくだらない記事など無視して(言わなくても誰もやらんかw)、ぜひお試しください。というか、だれかレジ袋外履きを一度やってみてくださいよw


余談ながら、最近のライダーはウェアの性能が上がったのでこんなことしないかもしれませんが、雨でなくても、冬場の暖かさもかなりなものです。

ライダーさんも一度試してみませんか?

■当記事は、カテゴリ【『東京防災』ってどうよ】です。

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