【東京防災ってどうよ43】今できる?防災アクション【10】(#1276)
『東京防災』にツッコむ43回目です。『今できる?防災アクション』も、早くも10回目ですよ。
まさかねw
本題に入る前に、小ネタなど。
前記事(#1275)でリンクした過去記事の三番目、家の中の地震対策【9】(2012年2月)で、管理人は家の中の地震対策の基本として、こう書きました。
『倒さない、落とさない、飛び散らせない、動かさない』
一方、『東京防災』冒頭の017ページ、【地震発生その瞬間】で、その時取るべき行動の基本として、こうあります。
大地震における室内のほぼ同じ危険を想定して、当ブログ記事はそれを防ぎ、『東京防災』はそれから逃げるケースを考えていますから、表現が似るのは当然でしょう。
でもこれだけじゃなくて、管理人的には細かいところにいろいろ「あれ?」てのがある。さすがに、そのまんまてのはありませんけど。
まあ、教授センセイとかが私のブログなんか見ている訳ないですよね。存在さえ知られていないだろうから、きっとただの偶然か管理人の思い過ごし、ということで。
ただね、とりあえずプロの『商業ベースの防災の専門家』、早い話が『自称防災の専門家』は、そういうこと平気でやるのがいるのは確か。時には、そのまんまパクって平然と自説としちゃっている奴もいるし。
理想は造り付け家具
さてやっと本題です。今まで、様々な家具の固定方法が紹介されてきました。
その多くが、『こういう器具を使うと簡単!』みたいな、トリビア的なものだったのです。
その点、『東京防災』は、決して手軽ではないものの、まず最良の方法を提示しています。『防止対策のポイント』の冒頭(096ページ)に、こうあります(一部抜粋)
【転倒・落下・移動防止対策はネジ止めが基本】
最も確実な方法は、壁にL型金具でネジ止めすることです。ネジ止めが難しい場合は、突っ張り棒とストッパー式、突っ張り棒と粘着マットを組み合わせると効果が高くなります。
最良の固定方法はL型金具のネジ止めであり、それができなければ、他の器具を併用せよと。
すなわち、他のいかなる器具も(併用しても)ネジ止めの効果を超えられない、だからネジ止めを最優先して、できない場合は他の器具、それも単独ではなく複数を併用しなさい、というわけです。
全く、その通りでございます。理屈の上ではね。
一緒に揺れれば暴れない
では、なぜネジ止めが優れているのか。
それは、簡単に言えば、造り付けの家具に最も近くなるからです。つまり、壁とほぼ一体になって揺れ、しかも壁から最も離れづらいという。
その点、他のいかなる防震器具も、家具の動きがある程度は壁と異なることが避けられず、家具単独の動きが大きくなってしまうと、転倒を防ぎきれないこともあります。
というわけで、家具が倒れないランキングは
1位 造り付け家具
2位 L型金具でネジ止め
3位 その他の防震器具(併用)
4位 その他の防震器具(単独)
となります。
家具が倒れるメカニズムに過去記事で触れていますので、ご参考までに。
☆再掲載☆高層ビル編10【首都圏直下型地震を生き残れ!36/54】
壁と衝突して跳ね返ることが、最も転倒につながる作用であり、L型金具のネジ止めは、それを効果的に防ぐわけです。
ならば、みんなネジ止めしちゃえばいいじゃないか。
目的のためには犠牲も厭わず?
でも、そうは行かない理由がたくさんあるから、みんなやらない。管理人も、やろうとして断念しました。
以下、できない、やりたくない理由を列挙します。
■家具の天板が薄くてネジが突き抜けてしまう
■家具の天板の強度が低くて強く固定できない
■鴨居などに穴を開けなければならない
■背後の壁の強度が低くて強く固定できない
■背後の壁の強度が高くてネジ込めない
という感じで、いざやろうとすると、ほとんどのケースでどれかに該当するわけです。そして、実は最大の理由だったりするのがこれ。
■財産価値を下げ美観を損ねる
という。実際、桐タンスや白木の鴨居、アンティーク家具とかにネジ穴開ける勇気、ないですよねw
さらに、多くの人が直面する、次元の違う理由がこちら。
■賃貸住宅だから壁に穴開けるなんてとんでもない
ですよね。地震対策に理解のある大家さんて、いるのかな。
理念は良いが残念すぎ
トリビア的屁理屈よりも、最良の方法を最初に提示した『東京防災』のスタンスは、賞賛されるべきでしょう。
でも、最良ながら今まで主に勧められなかったのは、上記のように、現実には困難だらけだからです。
単純に、家具に穴開けるの、イヤですもんね。
なんだか、大不況の時代に「全国民が財布のヒモ緩めれば経済はV字回復!」みたいな、誰もやりゃしないスローガンかましているようで。
これも、とても残念な机上の空論ですよ。
『ネジ止めが難しい場合は』という一言の裏に、山ほど難しい理由とやりたくない理由があるのですから。
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