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2016年10月11日 (火)

【東京防災ってどうよ47】今できる?防災アクション【14】(#1281)

『東京防災』にツッコむ47回目は、『今できる?防災アクション』の14回目です。

今回は、突っ張り棒と他の耐震器具との併用について考えます。

なんでも良い訳じゃないんですよ。


相性が大切


『東京防災』098ページの、突っ張り棒の説明にはこうあります。
Fix1

ネジ止めすることなく、家具と天井の隙間に設置する。粘着マットやストッパーとの組み合わせで強度が高くなる。

突っ張り棒に組み合わせる耐震器具として、粘着マットとストッパーが挙げられてます。


これは仲良くできそう


粘着マットとは、左下イラストのいわゆる耐震ジェルマットで、一般的にはテレビやパソコンなど、比較的軽量なものに使うイメージがありますね。

でも、冷蔵庫など重量家具にも対応する製品もありますから、家具の重量に合わせて、見合ったものを使う必要があります。

耐震ジェルマットは、家具の底面と床面を貼り付けて暴れたり動いたりしにくくすると同時に、クッション性の高い材質によって、家具が暴れた時に床面と衝突する衝撃を分散し、暴れが大きくなりにくくするものです。

ですから、使えるのは床面がフローリングやリノリュームなど粘着性が保てる平滑で比較的固い場合のみであり、柔らかくて貼り付きづらく、引っ張れば浮き上がってしまカーペットや畳の上では、性能が発揮できません。

しかし、フローリングやリノリュームなどでも、材質によっては激しい震動で表面層だけがはがれて、粘着効果が無くなることがあります。

家具の方も、底面が頑丈で平滑な構造なら良いのですが、あまり強度の無い薄板などの土台だったり、薄い合板で裏打ちしてある場合などは、耐震効果が落ちます。

このように、粘着ジェルマットに適した条件がありますので、良く調べてから使わなければなりませんが、条件が合えば、突っ張り棒と相乗効果を発揮することができるでしょう。


なお、耐震ジェルマットはいくつかのメーカーから発売されていますが、100円ショップものやあまり安価なものは弾力がなくなる、粘着力が落ちるなど劣化が早めの傾向があるので、特に重量家具用としては、それなりの価格帯の製品を選ぶことをお勧めします。

一度設置したら何年も放置されることになりやすいのですが、劣化は確実に進みますので、効果を維持し続けるためには、定期的な交換も必要です。

とりあえず、突っ張り棒と耐震ジェルマットの併用は、手軽で効果が見込める方法だと言えるでしょう。


こっちは仲良くなれそうもない


突っ張り棒と併用する器具として挙げられているもうひとつは、ストッパーです。

これは、クサビ型の器具を家具の前底面に挟み、家具を少し後ろに傾けることで重心を壁寄りに移動し、地震の揺れによって前側に倒れて来づらくするものです。

ですから、これも固い床の方が効果を発揮しやすいのですが、カーペットや畳でも、それなりの効果が見込めます。

設置も、家具を後ろに傾け、前側を数cm持ち上げて器具を挟んで戻すだけですから移動もいらず、最も手軽に設置できる耐震器具と言って良いでしょう。

ストッパーの弱点は、家具の前底面に挟んでいるだけなので、激しい揺れで家具が暴れ出すと、器具が吹っ飛ばされて効果が無くなる可能性があることです。

それを防ぐ粘着タイプもありますが、一般的には挟み込むだけのタイプが多いようです。

その点、突っ張り棒と併用して家具の暴れが小さく抑えられれば、ストッパーが外れる可能性も減るので、とても効果的な相乗効果が生まれる・・・・・はずなのですが。


どこまで確かめた?


突っ張り棒とストッパー、家具の上と下で動きを押さえ、どちらも設置するにも家具の移動がいらないし、壁や家具も傷付かない。

その特性もお互いを補完する形で、理想的な相乗効果が発揮できる。

・・・・と、理屈はそうであり、ある程度は正しいと言えるでしょう。


しかし、両者の併用にはまた別の問題が持ち上がって来ることに、『東京防災』監修者は気づいているのでしょうか。

そしてそれは、せっかくの多重対策を台無しにする可能性を秘めているのです。


おそらく、耐震器具の併用による実際の加震実験などは行われていないでしょう。なぜなら、それぞれの器具はメーカーが違うことがほとんどで、仮に同じメーカー製でも、他の器具と併用する前提になっていないからです。

そんな『大人の事情』を乗り越えて、最良の効果を見いだすための組み合わせ加震実験を誰かやって欲しいものですが、そういう話は聞いたことがありません。

『東京防災』で耐震器具の併用を勧める裏にも、データの裏付けは無いはずです。すなわち、「そういう効果があるはずだ」というレベルの、空論では無いかもしれませんが、あくまで机上論かと。

それに、少なくとも当ブログの考え方とは完全に相容れない部分があるのです。


こんな問題がある


『大人の事情』はともかく、突っ張り棒とストッパーの併用は、当ブログはお勧めしません。

それについては、かなり前の過去記事で詳しく書いていますが、管理人ごときに実際の加震実験などできるはずもありません。

でも、実際に何種類かの耐震器具を入手し、構造や強度など、あれこれ調べてみた結果、導き出した結論です。

ですから、こちらも机上論ではあっても、少なくとも空論では無いかと。

その内容は、下記リンク先をご覧ください。
☆再掲載☆高層ビル編11【首都圏直下型地震を生き残れ!37/54】
☆再掲載☆高層ビル編12【首都圏直下型地震を生き残れ!38/54】

リンク先記事は2013年12月の再掲載版ですが、当初は2012年3月から連載していたシリーズ記事です。

記事内では、突っ張り棒とアンカーベルトの併用をお勧めしていますが、壁にボルトが打てないという前提ならば、粘着式アンカーとクサビ型ストッパーの併用が、最も手軽で効果的ではないかという結論です。

なにしろ、家具を傾ける器具と突っ張り棒の併用は、器具自体や天井板にかかる応力をかなり複雑にしますので、当ブログとしてはお勧めしません。


それにしても、『東京防災』では何故かベルトやチェーンで家具と壁を結着するタイプの器具(アンカーベルト)や、壁と家具の上部を結着する粘着式アンカー(商品名:ガムロックなど)の類が一切登場しませんね。

そんなところにも、何か監修者の『大人の事情』みたいなのが入り込んでいるようで、なんとも生臭いものを感じてしまうわけです。

※リンク先記事中、『ガムロック』の価格を2500円程度としていますが、最近は値上がりしているようです。


■当記事は、カテゴリ【『東京防災』ってどうよ】です。

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