福島県沖でM7.4・津波発生(#1294)
本日2016年11月22日、午前5時59分頃、福島県沖の深さ25kmを震源とするマグニチュード7.4の地震が発生し、福島県沿岸部などで最大震度5弱を観測しました。
この地震で福島県沿岸に津波警報(予想波高3m)が発表され、その後宮城県沿岸部にも津波警報(予想波高3m)が追加発表されました。
当記事執筆時点では、宮城県の仙台港で最大波高1m40cmの津波を観測し、なお上昇中となっています。
この地震により、福島第二原発の使用済み核燃料冷却水の循環ポンプが停止しましたが、約1時間30分後に復旧しました。現時点では、東日本沿岸部の他の原発も含め放射線漏れなどの被害に繋がるような状況は見られていません。
地震のタイプ
気象庁発表によると、この地震は『北西-南東方向に張力軸を持つ正断層型』とのことで、当初は震源深さ10kmと速報されましたが、深さ25kmに修正されています。
福島県沖におけるこのタイプの地震は、東日本大震災後に発生頻度が上がっていましたので、東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)の余震ということができます。
しかし、東北地方太平洋沖地震とは発生メカニズムが異なりますので、同一震源域での直接的な余震ではない広い意味での余震、いわゆる『誘発地震』ということができます。
東北地方太平洋沖地震は、ほぼ東西方向に圧力軸を持つ逆断層型、すなわち太平洋プレートの圧縮力による『プレート境界型地震』でしたが、今回の地震は、岩盤内に働く引っ張り力(張力)によって岩盤がずれる正断層型です。
なお、マグニチュード7.4(速報値7.3から修正)という規模は、管理人が知る限り2番目に大きな規模の余震と思われます。
最大の余震は、2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震本震の約15分後に宮城県沖で発生したマグニチュード7.5の地震で、これは『アウターライズ地震』と呼ばれるタイプの浅い地震でした。
幸運だったこと
この地震の速報値は、深さ10kmでマグニチュード7.4でした。もしその通りであれば5mクラスの津波が発生していてもおかしくなく、震央の位置からすれば、数分で陸地に到達していたでしょう。
しかし実際には深さが25kmと比較的深めだったので、海底の変形量があまり大きくなかったこと、断層の動いた方向により、最初は『引き波』が発生し、その後『押し波』に変わったことから、陸地への到達まで数十分の時間がかかりました。
また、震央がもっと陸地に近いか陸地直下だった場合、最大震度6弱~6強の揺れになったものと考えられます。過去の例を見ると、このタイプの地震が沿岸直近や陸地直下で発生していることもまれに起きているので、今回そうでなかったことも幸運と言えるでしょう。
デマに騙されないで
去る11月13日、ニュージーランド近海でマグニチュード7.8の地震が発生しました。
そして11月14日には、月の軌道が地球に接近する、いわゆる『スーパームーン』という現象がありました。
そして今回の福島沖地震が起きたので、今後しばらく両者を絡めたデマが飛び交うことと思われます。
注意しなければならないことは、何らかの関係があるとされる前提条件が、全くウソだということ。
一部で、ニュージーランドで地震が起きると日本でも起きると言われますが、統計的に見れば全く相関は見られません。これは、2011年2月22日に発生したニュージーランド・カンタベリー地震の約1ヶ月後に東北地方太平洋地震が発生したことから、まことしやかに言われ始めました。
そして今回は10日後ですから、また一騒ぎ起きそうです。さらに、『スーパームーン』が近かったということで、いろいろ言われるでしょう(既に始まっていますが)
しかし、これは偶然としか言いようがありません。そういう連鎖メカニズムが存在するかどうかということとは別の問題で、長年に渡る統計を見れば、それぞれ全く無関係に発生しています。ニュージーランドと日本の地震が近かったのが2回目だからといって、関連があるとは全く言えません。
それに、一時は南太平洋のバヌアツ諸島での地震の後、日本でも発生するという話があったものの、いつの間にかそれがニュージーランドに変わっているという、まあその程度のものです。
一部で、過去の『スーパームーン』の時に大地震が多かったなどとまことしやかに言われてもいますが、これは全く事実に反する、完全なウソです。
しかし、人の不安はとてもオイシイ商売になりますから、そういうことを広めたい手合いがたくさんいる、ということです。
そのような根拠の無いデマ情報には、決して惑わされませんように。
そんなものは全く関係なく、巨大災害はいつでもあなたの身に降りかかる可能性があるのです。
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