【相次ぐテロ事件】この時代を生きる我々に必要なこと(#1301)
2016年12月19日、トルコのアンカラでロシア大使がトルコ警察のボディガードに射殺され、ドイツのベルリンでは、クリスマスマーケットに大型トレーラートラックが突入して、多数の死傷者が出ています。
いずれも、政治的、宗教的背景を持つテロ事件と考えられます。
我々は安全なのか
我が国では、このような背景のテロ事件は未だ発生しておらず、我が国の様々な要素から、海外に比べて発生しづらい状況ではあります。
しかし、決して他人事ではありません。同様の事件が起き得る要素は、我が国にも確実に存在します。
一方で、背景を拡大して考えれば、我が国では面識の無い人間を攻撃する、いわゆる「誰でも良かった」という事案が急激に増えています。
銃器や爆弾を使った事案の可能性は低いとはいえ、大量殺傷の武器に転用できるものはいくらでもあり、トラックなどその最たるものです。
我が国では、2008年に東京・秋葉原の歩行者天国で、トラックと刃物を使った無差別殺傷事件が、実際に発生しているのです。
“敵”の立場で考える
管理人は、都内を車で移動することが多いので、運転しながら考えます。ちなみに、管理人の移動は乗用車ですが、4トントラックの運転も経験があります。
そこで、「もし自分がテロリストで、大量殺傷を狙うならどうするか」と。
さらにその宣伝効果、すなわち『目立つ』ためにはどうするのが効果的か、と。
新宿、渋谷、池袋、銀座、秋葉原や各種イベントなどの人混みで、周辺の道路や警戒の状況をそういう目で見ると、その意志さえあれば、改めていつでもどこでも、そして誰にでもできるということがわかります。
どこでもトラックの突入を止められるようなバリケードは無く、警察官や警備員がいても、仮に銃撃されたとしても、そう簡単には止められないし、拳銃弾くらいなら防護も難しくない。
要は、そういうことを考える人間がいるかいないか、それだけにかかっているのです。
選ばれた理由
ベルリンでのトラック突入は、クリスマスマーケットの露店街でした。
なぜそこだったのか。
世界的に知られた街で人口も多く、クリスマスに浮かれた老若男女が密集して逃げ場が少なく、露店はトラック突入の支障にならない。
すなわち、最も効率良く惨劇を演出できる舞台だったということです。
これは、2016年7月、独立記念日に沸くフランスの有名観光地、ニースで発生したトラック突入事件と全く同様です。
我が国の秋葉原事件も、その点では全く同じなのです。
なお、テロという言葉には、元来『政治的(宗教的)主張を誇示するための暴力的手段』という定義があるので、そのような背景が無ければ、公式にはテロとは呼ばれません。
しかし、秋葉原事件など、その手段は無差別テロそのものだったのです。
ふたつだけでいい
では、我々がそのような危険から『生き残る』ためにはどうしたら良いのか。
そのためには、ふたつのことをするだけで、大半の危険をヘッジすることができます。
まず、場所と時期を考える。
テロリストもしくは無差別殺傷者の目的は、個人の抹消ではありません。
社会に恐怖を与え、その主義主張や存在を誇示するために最も効果的なのが大量殺傷だから、そういう手段を採るのです。すなわち、プロパガンダ効果を最大にしたい。
であれば、それが最も効率良く行える場所がメインターゲットになります。
我が国の場合、これからの時期ならば、クリスマスや年末年始で賑わう良く知られた場所で、できるだけ人が密集していること。
そう考えれば、自ずとターゲットは絞られてきます。
まずは、自分が今日行く場所がそういう場所なのかどうか、テロリストの発想で考えてみてください。
そして現場では、今いる場所でどういうことができるか、頭の隅で考えてみてください。
一緒に、守るべき人がいるならなおさら。
もうひとつは、無理に状況を把握しようとせずに行動をすること。
例えば、ちょっと離れた場所で悲鳴や怒号が上がったら、普通ならば酔っぱらいのケンカか、くらいに思ってしまうでしょう。
しかし、それが刃物を振り回すテロリストだったら。
何が起こったのか把握しようとしているうちに、人混みの中からテロリストがあなたの前に現れるかもしれません。
同様に、エンジンをふかす音、急加速、急ブレーキ音、破裂音、衝撃音などが聞こえたら、何が起こったか把握しようとする前に、まずはその場を離れることを最優先するべきです。
基本的には、声や音の発生源と反対の方向へ。道路上ならば、広い道から狭い道や建物の中へ。
すなわち、あなた自身がテロリストにとって“効率の良い殺傷ターゲット”ではなくなることが重要です。
それは、群集がパニックを起こして本格的に逃げ出す前に動く、ということでもあります。
一旦パニックになれば、群集は最も逃げやすい方向へ殺到します。そうなれば、その流れから外れることは困難で、転びでもしてしまえば、“最優先ターゲット”になってしまいます。
しかも、群集が逃げやすい方向は、テロリストにとっても最も攻撃しやすい方向、ということです。特にトラックの突入ではそう言うことができますし、銃撃でも同様です。すなわち、見通しが良くて遮蔽物が少ない、ということ。
フランス、ニースの事件では、道路上で立ちすくんでしまった人、道路上を逃げた人の多くが犠牲になったのです。
そのような場合、広い場所にいるほど無防備ですし、人混みの中では、すぐに状況を把握するのは困難ですから、とにかく異常を感じたらすぐ動くことです。
取り越し苦労も身のため
とはいえ、管理人とて普段の街中でそういう事態が起こることは現実感がありません。
しかし、起こる可能性は確実にあるのです。それを、どこまで現実のものとして考えるか。
それは災害で被災するのと同じ事であり、あなたが被害者や被災者になるかどうかは、すべて
その時の居場所
だけにかかっているのです。
そして、もしそういう場に居合わせてしまったら、いかにして被害を最小限にするか、すなわち、どうやって『生き残る』かを普段から考え、実践できるようにしておく。
残念なことに、それはこの時代に生きる我々に欠かせない要素となりつつあるのです。
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