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2017年4月 4日 (火)

不適格な“ベテラン”がはびこっていないか(#1322)

かなりの憤りを込めて、敢えて書きたいと思います。

8人もが死亡した那須の雪崩事故に関して、非常に杜撰な管理体制が明らかになって来ました。


完全に人災ではないか


正直なところ、管理人もそんなに詳しくニュースを追っているわけではありませんが、現時点での問題点を列挙してみます。

もし事実誤認がありましたら、ご指摘ください。

■大雪で登山訓練を中止した後、一部の教員の独断に近い形でラッセル訓練へ代替された。

■事故斜面は、地元の救助隊によると雪崩の危険が大きく、救助隊でさえ近寄ったことが無い場所とされるが、教員側にそのような認識は全く無かった。

■ラッセル訓練を行う前に、通常は行っている、雪崩の危険性を判断する『弱層テスト』が行われていなかった。

■生徒への事前の講習で、雪崩避難の方法、雪の上層に身体を浮き上がらせる動き、鼻と口を手で覆って呼吸を維持する方法など、雪崩対策の知識は一切与えられていなかった。

■雪崩ビーコンの装備は、最初から全く考慮されていなかった。

■雪崩発生時、引率の教員が「伏せろ!」と言い、それに従った生徒がそのまま巻き込まれた。

これだけでも、いかに杜撰な行動だったかが明らかです。

しかし、管理人はさらに別の問題を指摘したいのです。


エセ“ベテラン”の跋扈?


事故後、『登山のベテラン』とされる責任者は、自らの判断が致命的誤りだったにも関わらず、「絶対安全だと思った」と、何度も強調しました。

しかも、8名もの命が失われたことについては、「反省しなければならない」という、まるでちょっとした失敗のような言辞をしています。

あくまで自分のベテランとしての判断は正当であり、雪崩は“想定外”だった。しかし、その“想定外”を読みきれなかったことは反省するという、どこかで聞いたような言い訳に終始しているのです。

しかし、少なくとも事故に至る準備と行動においては、ベテランとしての知識も判断力も不足していたことを露呈しています。

果たして、責任者や引率者は、本当のベテランだったのでしょうか。


これも老害のひとつか


最近、中高年ライダーの事故が増えています。

そんな長年バイクに乗り続けているか、若い頃に乗っていてリバイバルしたようなライダーはそれなりに経験を積んでおり、ベテランと言われる人種ではあります。

確かに近年のスポーツバイクは高性能化が顕著であり、昔の感覚では手に負えなくなってきているのも一因でしょう。ただパワーが大きいだけでなく、総合性能が高くなって、昔よりずっと簡単に超高速走行ができてしまうので、ちょっとした判断ミスや反応の遅れが大事故に繋がるのです。

なにしろ、あまり“上手くない”ライダーが昔のレーシングマシンよりよハイパワーでスピードが出せるバイクに乗っているのですから、ある意味で事故が増えて当たり前なのです。昔より反応速度なども確実に落ちているのに。

それでも、ツーリングや街乗りが主体でライディング技術や判断力がそれほどでもない層でも、長年乗っていれば”ベテラン”とされ、それなりのステイタスを持つようになる。

いきおい初心者を指導したり、引率したりすることも増えるわけです。


一方で管理人は、最近は小さなバイクしか乗っていないものの30年来のバイク乗りであり、かつてはレースにも盛んに出場しました。仲間にもそのような人が多いのですが、今もビッグバイクに乗っているような人でも、事故を起こすような人は聞いたことがありません。

その大きな理由として、高い技術と判断力を要するモータースポーツまでやった人は、早い話が“自分の限界”を正確に把握しているからでしょう。今この状況でどこまで行けるか、安全マージンはどれくらいあるかを正確に判断できるわけで、だから事故も起こさない。


今回の雪崩事故における責任者の言い訳に、その辺りと似た関係性を感じるのです。

責任者にどんな経験があるかは知りませんが、決定的に欠落していたのは、あの状況の危険を正確に推し量る知識と技術であり、その判断を裏付ける経験値です。

しかし「絶対安全だと思った」と繰り返し主張することが、自分には正当な判断ができる実力が無かったということを証明しているにも関わらず、“ベテラン”としてのプライドは曲げない。

そんな、経験年数は長いけれど、高いレベルまで突き詰めた知識や技術が無い連中がベテラン面して判断を誤る、しかもプライドだけは高くて自分の誤りは認めないというようなこと、世の中のあちこちで、確実に増えているのを感じるのです。

皆さんも、思い当たるフシがあるのではないでしょうか。


平時には大きな問題とならなくても、状況がある“しきい値”を超えた時、判断する人間の実力不足は、致命的な結果となって跳ね返って来ます。

今回のあまりに痛ましい雪崩事故は、管理人としては、そんな“老害”のひとつと考えざるを得ないのです。

もっとも、歳には関係なく、エセ“プロ”だのニセ“専門家”なんてのも山ほどいますけどね。

■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

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コメント

全く同感です。自称専門家!解説者のくせに玄人気取り、そんなど素人ばかりでは?冬山登山だけでなく!
ところで、那須地方の直近でM3クラスの揺れがあったのでは?

>Zicchan様

コメントありがとうございます。

いやほんとそんなの多いですよね。ここには敢えて書かなかったのですが、防災の世界はそんなのばっかりですし。

防災士資格だけで”防災のプロ”だの、受け売りの知識だけで専門家ヅラする奴が多すぎて。

自分の経歴を美化して自信持ちすぎている年寄りに限らず、そんなのは歳には関係ありませんね。バカでも派手なこと言っていればメディアが喜んで採り上げるし。

なお、事故が発生した3月27日の記録を調べてみましたが、特に関連があるような地震は発生していないようです。でも、もちろん地震も雪崩発生の原因にはなり得ます。

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