2023年3月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

« 2017年5月 | トップページ | 2017年7月 »

2017年6月

2017年6月27日 (火)

当ブログのスタンス~大切なこととそれほどでもない事~(#1329)

■当記事は、読者の方からのご質問、ご意見にお答えするものです


過日、地震や防災について専門的に研究されている方からのご意見を頂戴しました。

的確なご指摘もあったものの、多少の誤解もあるようですので、当ブログの主旨と管理人のスタンスについて、改めて説明させていただくために、記事にいたします。


そんなことありません


まず、当ブログが自助に重きを置きすぎているのではないか?もっと『共助』を重視すべきではないか?というご指摘です。

この点については、端的にお答えできます。当ブログや管理人は、決して『共助』を軽視しているわけではありません。

要は『自助』を前提としない『共助』はあり得ないという考え方です。

『共助』については、阪神・淡路大震災では生き埋めになった生存者の8割が近隣住民によって救出された、という例がよく引かれて、『共助』の大切さが説かれます。

しかし、それは我が国に限ったことではなく、多少の考え方の違いこそあれ、大抵の国や地域の被災地でも行われていることです。

ある意味で、当たり前のことなのです。

逆に、ならば近隣住民の大半が救助活動に最大の力を注いだかというと、決してそうとは言えない。自分たちのことを優先せざるを得ない状況もあったでしょうし、「自分は大したことはできない」とか、中には「面倒に関わりたくない」と、参加しなかった人も確実にいます。

これが、生命に直接関わる緊急の救助活動ではなく、例えば食品などの備蓄になれば、自分たちの分の備蓄を削ってまで他に与える人の比率は、さらに下がるでしょう。

被災地からは、少ない食料を分けあって飢えを凌いだというような”美談”が伝わって来ますが、果たしてあらゆるケースでそうだったのでしょうか。

ましてや、システムとしての『共助』体制があるケースや、同じ地域、学校や職場などの集団ではなく、たまたまそこに居合わせた人の雑多な集団、例えば駅の群衆だったら、大半の人が自分の取り分を削ってまで他にも与えるかというと、大いに疑問です。

もちろん、そういう人も少なくないでしょう。でもその場合”持てる人”にばかり負担が集中し、せっかくの『自助』が破綻します。

「困った時はお互い様」というのは全くその通りなのですが、それはある程度の余裕が前提と考えなければなりません。

ですから、管理人の考え方は、基本的に『共助』はオプションであり、まずは周囲からの支援を受けられない前提での『自助』態勢を作らなければならない、ということなのです。

少なくとも”持てる人”が他に施すのが当然、なにも備えていなくも、近所に助けてもらえて当然、という考え方はしていませんし、もちろん勧めません。

集団内で、お互いが労力や『自助』の備蓄を持ち寄って効果的に配分するというのが『共助』の理想的な形であり、そのためにはまず『自助』の充実が必要、ということです。

近所付き合いが希薄な都市部においても、ある意味で楽観的です。なぜなら、普段あまり付き合いがなくても、実際の災害時には多くの人が近隣の支援をするはずだからです。

やらない人はやらないでしょう。でも、大災害という異常事態下では、自分のコミュニティ、場合によってはたまたまそこに居合わせた集団にさえ、間違いなく帰属意識が高まるからです。力を合わせてこの危機を乗り切ろうと。

ですから、決して人付き合いの希薄さを悲観して目を閉ざしているわけではありません。ただ、やれることをやらないで他人に期待するな、ということです。


あくまで現実に即して


次に、専門的なご指摘についてです。大前提として管理人は専門家ではなく、学術的見地からの誤りはかなりあることは認識していますが、問題はそこでは無いと考えます。

まず、免震構造について。アイソレーターとダンパーによる構造は免震ではなく制震構造だとのことですが、学術的にはともかく、一般的には大半が免震と言われています。例えば『制震マンション』という表現は見たことがありません。

また、制震構造の鋼材ダンパーが揺れのエネルギーを吸収するのは弾性範囲内の『変形』ではなく、それを超えた塑性化が前提のご指摘。

ちょっと乱暴に言ってしまえば、弾性限界内でも不可逆的な塑性化でも、少なくとも『変形』はするわけで、一般的な表現としてはそれほど問題無いと考えます。要はダンパーは揺れのエネルギーを吸収する、ということが肝要なわけです。

高層建築物の『2次モード震動』記事についても同様で、建物の構造が『ゆがむ』ことには変わりはなく、構造が塑性化するか、どの程度で破壊に至るかについては、素人としては埒外と考える、というか理解し切れません。


次に、長周期地震動についてのご指摘について。

用語自体がメディアの造語とされていますが、専門家の発表・資料にも頻繁に登場しています。

また、周期1~2秒の揺れは『やや短周期地震動』とのこと。概念は知っておりますが、そのような揺れが発生した阪神・淡路大震災や新潟中越地震などの報道や各種発表・資料においても、『やや短周期地震動』という表記を見たことがありませんし、『免震構造の弱点』記事で引用した研究発表資料の中でも、『周期1~2秒の短周期地震動』という表記が見られます。

また、資料によって極短周期、短周期、やや短周期、長周期地震動の数値が異なっているケースも散見されますので、専門家ならぬ素人としては「どれが正しいんだ?」というところでもあります。

このように、管理人の理解不足の部分も否定できませんが、あくまで世間や専門的資料でよく見られる現実的、一般的な表現をしており、大筋においては間違いでは無い、ということもご理解いただければと。


専門家では無いからこそ


このような答えでは、専門家のお立場からは不満というか、いい加減なこと言うなとお感じかもしれません。

しかし、敢えて乱暴に言いますと、素人にはそんな細かい違いは、大筋において間違いでなければ、それほど問題ではないのです。

管理人は市井のいち防災研究者に過ぎず、地震学や構造学の素養もなく、あくまで各種資料を読み込んだ上で、そのエッセンスを理解しているレベルの”ちょっと詳しい素人”に過ぎません。

そんな管理人の、ひいては当ブログの役割として考えているのは、小難しい専門的理論を、誰もが自分の身を守るために使える情報へと変換するトランスレイター(翻訳者)としての存在です。

しかも商業的意志や立場などに影響されない、ボランタリーの立場でです。

手前味噌ながら、世間にそういう人、少ないですよね。メディアに出る人はみんな銭儲けやしがらみだらけで、ブログなどは閲覧数稼ぎで、いい加減なことを言う奴の多いこと。

まあ、正義の味方を気取るつもりもありませんが、持ち出しでこういうことをやるバカがひとりくらいいてもいいんじゃないかな、そのくらいの気持ちでやってます。

今後へのご提案もいただきましたが、ビッグデータ活用などは素人の手に余るものであり、それは専門家にお任せします。

管理人と当ブログは、あくまで専門家の研究成果を拝見してかみ砕き、平易な形で多くの方にお伝えすること。それを旨として参ります。

最後に、ひとつお願いです。

専門的研究をされているお立場として、管理人のような素人ではなく、専門家の肩書きで無根拠の話や大ウソをバラ撒く連中に対して、専門的見地から批判の声を上げていただければと。

ああいう連中は、それこそ『専門家のツラ汚し』ではないですか?

■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

2017年6月25日 (日)

長野県南部で震度5強(#1328)

2017年6月25日午前7時2分頃、長野県南部の岐阜県境寄り深さ7kmを震源とするマグニチュード5.7の地震が発生し、長野県王滝村で最大震度5強を観測しました。

幸いに大きな被害には繋がっていないようですが、震源の浅い地震は余震が多発する傾向があり、本震後には多数の余震が発生しています。今後しばらくの間は、本震と同程度の規模の余震が発生したり、近隣の震源域でさらに大きな規模の地震が発生する可能性がありますので、警戒を継続する必要があります。

この震源域は以前から比較的活発な活動を見せていましたが、2011年3月の東日本大震災以降、さらに発生回数が増加していました。しかし時間の経過と共に地震発生回数は次第に減り、ここ1年程の間には、顕著な活動は見られませんでした。

今回の地震は、久しぶりとも言える大きな発震でしたが、気象庁の発表によれば、東日本大震災の影響や、かつてこの震源域で発生した大規模地震のとの関連は、現在のところ不明とのことです。


使えるネタ?


例によって、この地震でエセ科学者が何を言い出すか予想しておきましょう。

まず大前提として、長野県南部震源域で大規模な発震があると、ピンポイントで”予知”していた者は皆無です。しかし、長野県は北部と南部に比較的活発な震源域があり、東日本大震災後には明らかに活発化していたので、とりあえず『危険地域』として挙げられているケースはあります。

それは予知でもなんでもなく、素人でもわかる確率論に過ぎません。多発している地域だから、さらに大きなのが起きるかもしれない、というレベルの話です。

その程度の予想で”的中祭り”を始める連中がどれだけいるか、しっかり見ておきましょう。


なお、”地震予知芸人”村井は、長野県北部から北陸にかけての地域で大規模地震が発生する可能性が特に高いと、数年前から言っています。

おそらく今回の地震も、下手をすれば”的中”を宣言するでしょうし(日本列島のほとんどを警戒地域にしていますからw)、同じ長野県というだけで、今回の地震の影響で、北部の地震が誘発される可能性があるとかの根拠の無い理屈で、なんとか自分の”予知”に注目を集めたい、さらに言えば、自分の”予知”した地域でなんとか大地震が起きて欲しい、というのが本音でしょう。


気がついていますよね


エセ科学者のヨタを担いで、話題性で数字を取りたいメディアは、なんとかして連中の理論が正しいような印象を粉飾しようとします。

過去には、警戒地域とされた震源と比較的近い、しかし”予知などされていない、全く別の震源で起きた地震で、警戒地域大きく揺れたから”的中”という屁理屈をかましたりしています。

しかし、数字取れば勝ちの商業メディアは、ある意味でそれが仕事です。でも、そんな尻馬に乗って喜んでいる、カネを稼いでいるのは、学究の徒であるはずの科学者なのです。

とにかく、東日本大震災後の地震多発期においてさえ、被害が出るレベルの地震を誰一人として”予知”できたことがない、それだけで、連中のあらゆる予知理論が破綻していることだけは、火を見るよりも明らかなのです。

当ブログにおいて、地震関連の記事は非常に多数の閲覧をいただいていますので、そこで敢えてこのような内容を書かせていただいています。


■当記事は、カテゴリ【地震関連】です。

2017年6月21日 (水)

大分県佐伯市で震度5強(#1327)

2017年6月21日午後11時27分頃、豊後水道の深さ42kmを震源とするマグニチュード5.0の地震が発生し、大分県沿岸部の佐伯市で最大震度5強を観測しました。

この地震は、熊本地震の震源域となった一連の断層群から少し南にずれていること、震源深さが40kmと深めで、10km程度の浅い地震が主だった熊本地震とその余震とは異なることから、一連の熊本地震とは異なるメカニズムによる、すなわち熊本地震の余震ではない地震と考えられます。

続報がありましたら、随時アップして参ります。

なお、九州全域に強い地震の可能性ありとインチキ予知をしている手合いもおりますが、言うまでもなく誰も『的中』などさせていませんので、そんな大ウソつきにはくれぐれも騙されませんように。

熊本地震の影響で九州全域で地震が起きやすい状態だとか、もっともらしい理屈を言ったりしていますが、何の根拠もありません。しかし、また宣伝のための“的中祭り”が始まるのは目に見えています。

エセ学者どもが何を言いだすか、しっかりウォッチしてみましょう。連中にとっては、大規模地震は単に“メシのタネ”に過ぎないのです。

◼️追記◼️
6月22日午前1時30分から行われた、この地震に関する気象庁の会見によると、やはり熊本地震とは異なるメカニズムの地震であり、熊本地震の影響によって発生したものかどうかはわからない、との見解です。

◼️当記事は、カテゴリ【地震関連】です。

« 2017年5月 | トップページ | 2017年7月 »