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2017年7月11日 (火)

【告知つき】変わったけれど、まだまだだ(#1330)

各地で震度5クラスの地震が連続し、台風が通過したと思ったら、西日本では特別警報クラスの豪雨が続きます。

と、思ったら鹿児島で震度5強が発生。まさに“災害列島”そのもの、という状況です。

それでも、いずれも直接の影響を受けていない、例えば関東では、その恐ろしさを我が事として実感するのは、なかなか難しいのです。

すると早速、お約束のように『首都圏で直下型地震の可能性』というようなアオり記事が登場して、メディア芸者化した『専門家』がしゃしゃり出て来ては、アオりの片棒を担いでいます。

災害への恐怖感が高まっている今は、ああいう連中にとっては実にオイシイ状況なのですよ。全く、暗澹たる気持ちになります。


速報的記事はお休みします


これまで、当ブログでは震度5弱以上の地震や大規模気象災害などが起きた、または起きそうな場合、できるだけ早いタイミングで速報的記事をお送りしてきましたが、最近は管理人の本業が多忙のため、なかなかすぐにアップができない状況です。

このため、今後は原則として速報的記事はお休みとさせていただき、お伝えしたいことがある場合は、別の形での記事をアップさせていただくことにさせていただきます。


何度目でしょうか


島根県地方と北九州地方が数十年に一度レベルとされる豪雨に襲われ、大雨特別警報が発表されました。被災された皆様には、心よりお見舞い申し上げます。

管理人はNHKの報道しか視聴していないのですが、大雨避難に関しての情報が、何度も繰り返されていました。

これまでの(それでも2013年頃からですが)
■風雨が酷くなる前に安全な場所へ避難せよ
ということに加えて、

■特に夜間は周囲の状況や前兆がわからないから慎重に動け。
■ひとりで屋外行動をするな。
■屋外に出るのが危険な状況ならば、無理に動かず二階以上や崖などと反対側の部屋に避難せよ。

というようなことが、以前にも増して繰り返されていました。それは、全く正しいのです。

豪雨による土砂災害による犠牲は、家が丸ごと押し流されたり押しつぶされたりする場合以外は、そのほとんどが土砂が流れ込む一階部分で起きているからです。

しかも夜間ならば、雨の轟音や雷鳴に満たされた中では視界も音も閉ざされたも同然であり、屋外に出ても、土砂災害の前兆などほとんどわかりません。

そして、危険な中を移動する場合には、何か起きた場合に支援や伝令の役を担う者と行動を共にせよという、例えばスキューバダイビングのバディシステムと同様の考え方です。

でも、ついこの間までは、報道でもそんなことには一言も触れられていませんでした。

大雨や土砂災害と言えば、川や沢の濁り、斜面からの水の噴出、斜面の亀裂、小崩落の音、悪臭などの前兆を感じたら避難しろと、その避難も屋外行動可能な状況かどうかということは無視され、とりあえず避難場所へ行け、という非現実極まりないものだったのです。

そのことを指摘する記事、もう何度目かになりますが、今回も敢えて書きます。


なんとか言えよ


それな何故か。メディアの肩を一方的に持つわけではありませんが、最大の責任は、災害報道にコメントしたり観衆したりする『商業ベースの防災の専門家』が、できもしない、当然ながら自分でやったこともない理屈をこねて、それが無検証でたれ流されていたからなのです。

毎度手前味噌ではありますが、管理人及び当ブログでは、そのことをずっと前から指摘しておりました。過去の関連記事の一部はこちらです。

【緊急特集】豪雨から生き残れ!【3】(2012年7月)

豪雨のときにできること(2013年6月)
豪雨災害に警戒を!(2013年6月)
今まで何をやっていたんだ(2014年8月)


地震などよりずっと発生する頻度が高い豪雨と土砂災害に関して、前兆を感じたら避難しろなどという大ウソがまかり通っていたのか。言っていることが間違いでなければ、本当は役に立たなくても責任は無いのか。何故誰も批判しなかったのか。

もちろん、誤りに気づいている人もいたでしょう。『商業ベースの防災の専門家』は、狭い”業界”の大御所、もしくは同業者に難癖をつけると面倒だ、とかいう理屈が先に立つのでしょうけどね。

あとは、所詮はメディアに迎合した商売だから、本来の専門家からすれば批判する対象でもない、というところでしょうか。

いままで、できもしない本当は役に立たない情報をたれ流して商売してきた『防災の専門家』ども、なんとか言えよ。

そして、この大規模災害を前にして、まだエラそうに『水害避難時は長靴を履くなスニーカーなどを履け』と言えるのか?

管理人は一部の報道しか視聴していないのでなんとも言えませんが、あのくだらない話、今回の豪雨災害ではすっかりナリを潜めたような気もしますが。

被害が甚大ならば引っ込めるような、キャッチーなだけの“本当は役に立たないこと”を拡散して商売している『防災の専門家』に任せておけるのですかメディアの方々。

まあ、メディア側の責任逃れと賑やかしには必要な『メディア芸者』なんでしょうけどね。


本当のことはひとつ


それにしても、NHKでの内容や言い回しは、実に当ブログ過去記事のものと似ています(他局は視聴していないのでわかりません)。これ、3年くらい前にもそう書いたけど、あの頃よりさらに似ている。報道内容と、リンク先過去記事の内容を見比べてみてください。

では、NHKもしくは監修した『防災の専門家』が、当ブログの記事をパクったのか。なんてことは全然考えていません。そんなことを無断でされていたのなら、著作権侵害を主張しますよwww

冗談はさておき、豪雨や土砂災害が起きる状況を正しく分析し、過去の被害状況をきちんと検証すれば、導き出される効果的な避難方法は、自ずから同じことに絞られてきます。似ていて当たり前なのです。

自身の被災体験も無い管理人が正しい方法を導き出せたのは、そういうプロセスを踏んだ結論だからです。決して、誰かの受け売りではありません。

すなわち、きちんと考えれば誰にでもわかることであり、実際に被災されたり、現場の状況を見ている方ならば、もっと良くわかることに過ぎません。もっとも、『防災の専門家』が皆そういうプロセスを踏んだかは、大いに疑問ですけどね。

基本、その多くが一般に公開された情報の集積して、アソートして『専門家』名乗っているだけですから。

同様の方法で知識を集めた管理人は、あの連中が言うくらいのことは、大抵のことはわかりますよ。それこそ、知識を集積したプロセスはほぼ同じですから。

大きな違いは、少なくとも管理人は、そういう方法論で『専門家』を名乗るほど恥知らずではないし、他人のふんどしをデコって、それを売って商売する気は無いということです。

それにしても、メディアに出るから、『専門家』が言うからと、“本当は役に立たない”知識を信じ込まされていた一般視聴者こそ、いい面の皮ということですね。

もし、ずっと前から正しい情報が伝えられていたならば、特に、土砂崩れでは二階に上がれば多くのケースで生き残れる、という知識が広まっていたら、失われなくて済んだ命はひとつやふたつではない、ということは確かなのです。


こういう記事を書くと、結局自慢したいんだろ、という見方をされるかもしれませんが、それは致し方ないでしょう。

ただ、ひとつ確かなことは、管理人は『専門家』ヅラして適当なことをたれ流す連中に、心底頭に来ている、ということです。


■当記事は、カテゴリ【気象災害】です。


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気象災害」カテゴリの記事

コメント

今回の豪雨は3年前の九州北部の豪雨や、35年前の長崎大水害を思わせるようなケースでしたね。個人的には風化の加速を実感する報道内容だったと思っています。やはり、被災地住民もしくは身内に被災者がいなければ語り継がれなくなってきていると痛感します。

防災啓発に関してはたしかに突っ込みたいことが多分にありますが、防災研究発展の歴史を考えると仕方ない部分もあるので微妙なところです。もともと災害のメカニズムを解明しようとする人がいて、防災がまともに研究対象となったのはそのあとですから、前兆現象云々というのはやむを得なかったわけです。記者はそんなバックボーンまでわかりませんから、NHKであってもなかなか改善していかなかったのは恐らくそうした理由からでしょう。災害に詳しい人と防災に詳しい人ではそもそも畑が違うと想像できる記者がいたら、ぜひサインを貰いたいものです。

地震に限った話ですが、専門家(笑)の方々について、研究者でなくても見分けられる方法をひとつ紹介しておきます。地震学や地震工学の世界に「直下"型"地震」という言葉は存在しませんので、この言葉を発したら専門家でない可能性が極めて高いです。防災の先生でも同じことが言えると思います。いわゆる直下型地震というのは、首都東京に代表される大都市圏では被害が甚大になるという視点に立っているので、専門家であればふつうは都市圏直下(の)地震というような言い方をします。

それと、2015年6月8日のマグニチュードに関する記事でちょっとだけ。
たしかに最初に経験式を提案したのはリヒターさんなので、一番古いマグニチュードはリヒタースケールマグニチュードとも呼ばれる米国のローカルマグニチュード(ML)です。まだ断層が地震の原因と判明していなかった時代です。
日本国内で用いられるのは気象庁マグニチュード(MJまたはMJMA)とモーメントマグニチュード(MW)です。前者は地震計の振幅記録(変位と速度)から即時的に求まるので速報向きで、地震速報のMは気象庁マグニチュードを使っています。後者は断層の面積やすべり量などから計算するので即時性は劣りますが、物理的に明快で世界共通のマグニチュードとなっています。気象庁マグニチュードはM8クラスでは過小評価となり、M8.4で頭打ちになるため、M8クラスではMWを採用します。3.11が最初M8.4とされたのもこれが理由です。ヲタ目線の記事ということでしたので、日本国内のを紹介してほしかったところです。

>ろで様

近年は、ある意味で災害情報慣れしてしまって、個別の災害についての記憶は、あっと言う間に薄れてしまいます。具体的な記憶は、その当事者周辺にしか残らないのが現実でしょう。

それをどうこう言っても仕方ありませんので、その災害から得られた教訓を具体的な対策として具現化し、それを一般化することが、災害の『風化』を防ぐことだと考えます。

なのに現実は、豪雨などによる土砂災害から身を守るためにはただ上階に上がるだけでも効果的ということが、未だに一般化していない。

そういうことが、最近はとんと聞かなくなりましたが、『雷が鳴ったらへそを隠せ』という定番の話くらいに一般化していなければならないのに。そんなことを何十年も無視し続けて、何が『防災の専門家』だって話ですよ。

メディアはあくまでも『器』であり、制作者がいろいろなネタを詰め込むわけですから、制作側が全てに精通しているわけがない。だから各分野の『専門家』を使うわけですから、その『専門家』が、使いやすい”メディア芸者
”優先で、特に防災分野はレベルが低いわけですよ。

その一方で、おっしゃるようにメディアに乗ることで注目を集めるという効果も大きいわけで、全否定できるものでもない。

災害被災地の方々がメディアの横暴に憤りながらも、報道されることで注目を集め、早期復興の一助になるから我慢している、という構図もあるわけです。諸刃の剣、と言ったら大袈裟でしょうか。

『直下型地震』のこと、私も常々気になっていました。メカニズムがどうだろうと、都市の直下で起きたら直下型みたいな曖昧な概念ですし。山の直下で起きても直下型には違いありませんが、要は「激しい揺れで大きな被害が出る地震」という、イメージ先行の概念ではありますす。

なんとなく都市直下の浅い部分で起きる、兵庫県南部地震や新潟中越地震のような地震を指すようになっていますね。確かに、そんな言葉を偉そうに使う学者は、一般ウケするキャッチーな言葉で理論をネジ曲げる”メディア芸者”に違いありませんね。『商業ベースの防災の専門家』に至っては、なにをかを況やですw所詮、一般情報の受け売りですから。

マグニチュード記事についてのご指摘とご教示、ありがというございます。勉強になりました。

我が国では気象庁マグニチュードとモーメントマグニチュードが使われているということは理解しておりましたが、それぞれの概念や違いについて深く理解するに至っていないので、あのような記事になりました。

あくまで、欧米では別の呼び名をされることもあるよ、数値がこれだけ変わるとこんなにエネルギー量が変わるんだよ、ということをイメージしてもらいたいな、ということが主眼でした。未だ、マグニチュード値と震度が混同されるようなこともありますので。

レベル的には、ヲタじゃなくてビギナーレベルですね。でも、それさえもまだまだ一般化されているとは言えません。

そんなわけで、いろいろ鋭いご指摘、痛み入ります。よろしければ今後も是非ともご意見を頂戴できればと。よろしくお願いいたします。

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