狼少年が闊歩している?(#1331)
近年は、『ゲリラ豪雨』という言葉が死語になりつつあるほど、夏場にはゲリラ的ではない豪雨や雷、竜巻が頻繁に発生するようになりました。
いいかげん笑いました
ゲリラ的豪雨に限らず、豪雨の際の報道では、こんなフレーズがよく聞かれます。
レーダーの解析によると、○○地方では○○○ミリの豪雨が・・・
でもこれ、かなりの確率でマユツバものなんですよね。実はつい先ほども、管理人在住の埼玉南部で強い積乱雲が発生して、スマホに豪雨警報メールが届きました。
その文面を見て笑っちゃいましたよ。なんだこれ、って。
だって、10分毎の降水量予想で、最高が時間雨量175mmだったものですから。
時間雨量175ミリとは、1平方メートルの底面積を持つ容器に、1時間で175mmの水が溜まる雨量ということです。これ、実際にはあり得ない雨量なんですよ。それどころか、実際には時間雨量100ミリ程度の雨さえ、現実にはほとんどありません。いわゆるバケツをひっくり返したような雨でも、せいぜい時間雨量70~80ミリくらいなものです。
なのに、レーダーの解析によるとという前置きの下、時間雨量100ミリを超える雨量が予想されたり、実際に降ったことにされています。一体何故なのでしょうか。
誤解がまかりとおる?
おなじみのレーダーの解析によるとという場合のレーダーとは、降雨域に電波を照射して、その反射波を捉えるドップラーレーダーのことです。
とはいえ特に特殊なものではなく、気象や航空分野などで使われているレーダーのほとんどは、電波のドップラー効果を応用した、ドップラーレーダーなのです。
そのドップラーレーダーで降雨量を観測する場合、原理的に大きな弱点があるということは、あまり知られていません。だから、多くの人は175ミリなんて雨が本当に降ると思ってしまう。
ドップラーレーダーは、雨粒の密度が高くなるか雨粒が大きくなるほどプラスの誤差が大きくなるのです。
すなわち、強い雨雲から降る豪雨ほどどんどんプラス方向に誤差が増えて行くという、原理的な特性があります。だからレーダーの解析によると175ミリの雨などという、あり得ない数値が出て来るのです。
管理人は電波やレーダーに関する専門的知識などありませんが、これは事実。
これから、豪雨の際の報道を注意してみてください。レーダーの解析によると、という数値が百何十ミリという数値でも、同じ場所でも○○町が設置した雨量計にによるとという前置きの数値は、はるかに小さくなっているはずです。実際に雨量ますに雨を溜めて測る雨量計の数値は、誤差が出ようのない絶対値だからです。
補正はできないのか?
ということは事実なのですが、ではどうしたら現実的な数値になるかと言う方法は、管理人ごときにはわかりません。
でも、現実にはあり得ない雨量でも、とんでもない数値が実際に流されているのを見ると、そう簡単に補正はできない、ということのようですね。
いずれにしても、どんな理由にしろ現実ではない数値が公開、報道され、そんなことが当たり前になっていることを、管理人は危惧しています。
だって、175ミリみたいな雨が実際に降ると信じ込まされていたら、80ミリの雨なんて大したことない、などという誤解を生みかねませんよね。80ミリでも、実際には滅多に起きない超豪雨なのですが。
狼少年だよね
先ほど管理人のスマホに届いた時間雨量175ミリの警報メール後、実際にはどうだったかというと、感覚的には精々50ミリにも満たないくらいの雨でした。
もちろんそれでもすごい雨でですし、気象レーダーアプリで見る降雨域画像は濃い赤色、すなわち時間雨量80ミリを超える降雨域として表示されていました。でも実際には、まあありがちな強い雷雨くらいなものだったのです。
でも、事情を知らない人はあれが80ミリ超、ましてや175ミリの雨だとか誤解しそうというか、確実にそういう誤解を生んでいるわけですよ。
そんな豪雨でも、なんだ大したことないな、という。これは、あまりにも危険な状況ではないでしょうか。誰もが無条件に信じやすい公式情報が、まるで狼少年のようなことをやっている。
このレーダー誤差については、是非とも専門家やお詳しい方からの解説をいただければと思うのですが。
とにかく、ドップラーレーダーは豪雨になるほどプラス誤差が大きくなる、すなわちとんでもない数値が発表されるほど、その地域の雨が強い、ということは覚えておかなければなりません。
発表された数値はともかく、レーダーの解析によるとという数値でも、それが100ミリを超えるような場合は、災害に直結するレベルの豪雨だ、ということも覚えておくべきです。
とにかく専門家の皆様、とんでもない数値を補正なしで発表するの、いいかげんなんとかしてくれませんか?
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