【ミサイル攻撃の基礎知識02】弾道ミサイルってなに?(#1336)
今回は、そもそも弾道ミサイルとは何か?ということについて考えます。
その他はみんな同じ仲間
ミサイルには、大きく分けて2種類あります。
ひとつは、ロケットモーターやジェットエンジンの力で空気中を飛び、翼(空力翼)で自動操縦されて目標に向けて誘導される、誘導ミサイルというタイプ。
大半のミサイルはこのタイプで、空中や地上目標を攻撃するものです。発射される位置と目標によって空対空、地対空、空対地、地対地、地対艦ミサイルなどと呼ばれますが、基本的な原理は一緒です。
我が国で弾道ミサイル防衛のために配備されている、イージス艦搭載のSM3ミサイルや、地上に配備されているペトリオットPAC3ミサイルもこの仲間です。
余談ながら、最近の報道ではPAC3(パックスリー)としか呼ばれなくなりましたが、あれはpatriot(自衛隊では”ペトリオット”と表記)という名称であり、PAC3とはpackage3、すなわち3型を表す型式名です。
航空機迎撃専用のPAC2に、弾道ミサイル迎撃能力を付加したタイプがPAC3といわけです。
また、主にジェットエンジンで長距離を飛行する対地、対艦攻撃用の誘導ミサイル、いわゆる巡航ミサイルというタイプもあり、米国のトマホークミサイルが代表的です。
実はアレと同じ
一方の弾道ミサイルは、我が国にも似たようなものがあります。
弾道ミサイルとは、基本的な技術においては宇宙ロケットとほとんど同じものなのです。要は、宇宙空間まで打ち上げて人工衛星などを地球周回軌道に乗せるためのロケットを、そこまで飛ばさずに重力によって地表に向かって落下させれば、弾道ミサイルとなります。
乱暴に言ってしまえば、先端に人工衛星が乗っているか攻撃用弾頭が乗っているかの違いでしかない、というわけです。
もちろん大気圏再突入のための装備や、そのための制御技術は異なります。でも、基本的には同じものなのです。
『弾道』とはなに?
弾道とは、地球上で空間に物体を射出した際に、重力(加えて空気抵抗)によってしだいに落下してくる軌跡、いわゆる放物線のことです。弾道ミサイルとは、打ち上げられた後に放物線を描いて飛ぶミサイル、というわけです。
野球のホームランボールが描く軌跡がまさに弾道であり、その落下地点は、空気抵抗を無視すれば、打ち出される方向、角度と速度によって決まります。
弾道ミサイルを打ち出す力は、ロケットモーターです。これで宇宙空間にまで打ち上げ、必要な速度に達した段階で方向と角度を制御してロケットモーターを切り離せば、弾頭部は空気抵抗が無く重力も非常に弱い宇宙空間を、弾道飛行をして目標に向かうわけです。
ロケットを噴射する段階(ブーストフェイズ boost phase)を長くすればより長距離に届きますから、数千kmから1万km以上を飛ぶ『大陸間弾道ミサイル』(ICBM Inter Continental Ballistic Missile)は二段式、三段式するなどで搭載燃料を増やし、噴射時間を長くすることで超長距離へ到達させるわけです。
ロケットモーターを切り離し、弾頭部が慣性によって宇宙空間を弾道飛行をする段階をミッドコースフェイズ(mid course phase)と呼びます。
そして、大気圏再突入です。それは次回に。
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