2017年9月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

« 【ミサイル攻撃の基礎知識03】言うほどの脅威ではない?(#1337) | トップページ | 【ミサイル攻撃の基礎知識05】たとえ鉄壁の護りだとしても(#1339) »

2017年9月10日 (日)

【ミサイル攻撃の基礎知識04】たぶん、無理。(#1338)

今回のテーマに行く前に、あのことに触れておきましょう。


全然パワーが違う


我が国にとっては原子爆弾(原爆)という言葉だけで忌まわしいものですが、さらに水素爆弾(水爆)までが、遠くない将来に実戦配備されそうな状況です。

ところで、原爆と水爆の違いとは?ざっくりと解説します。

まず原子爆弾とは、ウラン235やプルトニウムなど核物質の原子を『核分裂』させて、莫大なエネルギーを放出させるものです。

そのためには超高温・超高圧が必要なので、核物質を火薬で囲み、中心の一点に向かって爆発させます。これを、エネルギーを外側に放出する『爆発』に対して、『爆縮』と呼びます。

ところがこの方法では、核物質の量を増やしていっても、放出されるエネルギーの量には限界があります。

そこで開発されたのが、水素原子を『核融合』させることで、理論上は無限のエネルギーを放出させることができる水爆です。

しかし、水素原子を『融合』させるためには火薬の爆縮エネルギーだけでは不足です。そこで、小型原爆を起爆装置として、そこで生まれる超高温・超高圧と濃密な中性子線の効果で水素原子の『核融合』の連鎖反応(臨界)を引き起こすのが水爆です。

百万分の何秒という時間内ではありますが、水爆ではふたつの核爆発が起きているわけです。

水爆は、より少ない“燃料”で原爆よりはるかに大きなエネルギーが放出されるために、より小型でより強力な核兵器となります。イメージとしては、原爆の何百倍というエネルギーが、ほとんど同じサイズの、場合によってはもっと小型軽量の兵器から得られるのです。

であれば、北朝鮮が急速度で水爆を開発、実験し、その成果を派手にアピールしている意味もわかってくる、というわけです。


“無力化”は可能か?


ここからが今回の本題。北朝鮮が核弾頭を搭載できる弾道ミサイルを増強するにつけて、いざとなったら先制攻撃してミサイルを“無力化”してしまえ、という論調も存在します。

そのためには、一発も撃ち返されないうちに、すなわちほぼ同時に、すべてのミサイル発射台を潰さなければなりません。

結論から言えば、それはもう不可能です。米国の情報収集力と攻撃能力を以てしても、です。それ以前の問題として、自衛隊にはそのような攻撃ができる装備も、必要な情報を得るための能力もありません。

北朝鮮からの映像を見てもわかる通り、すでに移動式ICBM発射台が実用化されており、その位置は厳重に秘匿されています。

情報収集衛星や無人偵察機などからの情報で一目瞭然というのは素人考えで、相手も見られているのは百も承知で偽装をかけているのです。仮に大半の発射台の位置を把握できたとしても、ひとつでも見落としがあったら、核弾頭による反撃をされる可能性があり、先制攻撃のリスクが大きすぎるのです。

それが、核兵器を保有することの『抑止力』ということでもあります。


アレはあまり使えない?


一方、北朝鮮は潜水艦発射型弾道ミサイル(SLBM Submarine Launch Ballistic Missile)の実用化も近そうです。

SLBMは、仮に国土が全滅しても、命令さえ生きていれば敵に致命的な反撃を加えられる兵器です。しかしそれを実現するためには、潜水艦の位置が完全に秘匿されていなければなりません。

しかし、現時点で北朝鮮が保有する潜水艦は旧式で騒音が大きく、航続距離も長くありませんから、日米韓の警戒網をすり抜けて姿を消すことは、非常に困難と考えられます。

朝鮮半島周辺を含め、世界の主要海域には英米が主体となって運用している潜水艦聴音網(ソーサス SOSUS SOund SUrveillance System)と呼ばれる音響監視ネットワークが設置されており、それをかいくぐり、さらには潜水艦や対潜航空機の追尾を振り切ることは、事実上不可能でしょう。

但し、常識破りの無茶な自殺的、破滅的手段を取れば振り切れる可能性はゼロではありませんが、それはもう最終全面戦争の段階ですから、さし当たって心配することは無いでしょう。


次回は、弾道ミサイルは本当に迎撃できるのか?ということについて考えます。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。


« 【ミサイル攻撃の基礎知識03】言うほどの脅威ではない?(#1337) | トップページ | 【ミサイル攻撃の基礎知識05】たとえ鉄壁の護りだとしても(#1339) »

日記・コラム」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/543100/65762510

この記事へのトラックバック一覧です: 【ミサイル攻撃の基礎知識04】たぶん、無理。(#1338):

« 【ミサイル攻撃の基礎知識03】言うほどの脅威ではない?(#1337) | トップページ | 【ミサイル攻撃の基礎知識05】たとえ鉄壁の護りだとしても(#1339) »